【ラブライブ!】海未「ラブノベルス誕生秘話」
- 2020.04.11
- SS

海未「いえ……そう言われると照れますね」
真姫「ふふん、当然でしょ。この私が作曲してるのよ」
穂乃果「聞けば海未ちゃんこの曲3日で完成させたらしいね」
海未「書き溜めている詩もありましたから……」
穂乃果「じゃあ、今度は1日に挑戦してみようか!」
海未「……はい?」
穂乃果「だからワンデイズ!」
真姫「曲ならあるわよ、気に入ってるけど、あんまりμ’sにそぐわないかなって曲が」
穂乃果「ほら来た! さあ、その曲は海未ちゃんの歌詞を待ち受けてる!」
海未「……ですがやはり無理です! 一日なんて無茶です!」
穂乃果「世の中時間をかければいい歌詞ができるとは限らないんだよ
中にはたった30分で生まれた名曲もあるとか」
海未「それは一握りの天才の話でしょう、私にはそんな才能なんて」
穂乃果「あるよ! 海未ちゃんには才能!」
海未「穂乃果……」
穂乃果「だっていままでの数十曲、全部完璧だもん! さすが海未ちゃんって感じだもん
才能は穂乃果が認めてるから! じゃあ、後はやるだけ、レッツ・ワンデイズ!」
穂乃果「えー」
海未「ともかく無茶です、というか新曲を出す必要があるかすら分かりません」
穂乃果「真姫ちゃーん」
真姫「まあ、自分の可能性を考えてみましょう」
海未「自分の可能性ですか?」
真姫「ここで一日で作ったとして、今度は6時間で歌詞が作れるかもしれない
もっと短い時間でできるかもしれない、そうすればμ’sにとってプラスになるわよ」
海未「μ’sのプラスになるというのは確かに大きなメリットですが……」
真姫「やるだけやってみて無理だった時は無理でしたでいいのよ、ね、穂乃果」
穂乃果「え!? 海未ちゃんには一日で完成させて欲しいんだけど……」
真姫「穂乃果?」
穂乃果「はい、無理だった時には無理だったでいいです……」
穂乃果「そうだよ! さっすが海未ちゃん!」
真姫「ふふ、あの曲はボツにしておくには惜しいもの、ね」
海未「では、私は歌詞活動に専念するということで、急いで家に帰ります」
真姫「あ、ちょっと待って」
海未「真姫?」
真姫「どうせなら、私の家でやっていかない?」
海未「真姫の家でですか? ですがご迷惑になるのでは?」
真姫「構わないわ、今日はパパもママも遅いし」
海未「手土産を持たずというのも」
穂乃果「じゃあ、うちのおまんじゅうを持っていけばいいよ!」
海未「しかしですね……」
真姫「なに? それとも私と一緒じゃ嫌なの?」
海未「嫌ではありませんが、真姫にも迷惑なのでは?」
真姫「迷惑なわけ無いでしょう、それに一人で行き詰まるより二人で悩んでいたほうが妙案も出るじゃない?」
真姫「そうこなくっちゃ」
海未「では、どのみちお泊まりの準備をしなければいけないので早く帰りますね」
穂乃果「ウチに寄るのも忘れないでね!」
海未「はい、わかっています」
真姫「ふふっ、じゃあ今日の夕飯は何にしようかしら? お夜食も必要よね……」
穂乃果「なんだか真姫ちゃん嬉しそう!」
真姫「べ、別に、楽しみになんてしてないわ! 海未のタメを思っての行動よ!」
海未「それにしても大きなお屋敷ですね、私の家の道場を入れても敵わないほどです」
海未「まあ、それはそれとしてインターホンを鳴らしましょうか」
真姫「海未!」
海未「わっ! いたのですか、真姫」
真姫「手土産も持ちましたし、からいたわよ」
海未「わざわざ外で待っていてくれたんですか?」
真姫「ちょっと気分転換に外に出ただけ、待ってなんかいないわ」
海未「そうですか、では、家を案内していただけますか?」
真姫「そうね、広いから迷っちゃうかも……ふふっ、おトイレの場所だけは覚えておいてね」
海未「お手伝いさんがいるのですか」
真姫「ええ、海未の家にはいないの?」
海未「自分の家のことは自分でするようにとの教えがありますから」
真姫「へぇ、そうね、それはいいかもしれないわね」
和木「お嬢様もご自身の部屋の掃除はできると良いですね」
真姫「片付けてないわけじゃないわ、曲のイメージを浮かばせるためにあえてカオスに身を置いているの」
海未「ああ、それはわかりますね。もっともそんなことをすれば母に叱られますが」
真姫「でっしょー?」
真姫「そうね……あ、その前に曲を聞いてみない?」
海未「確かに、それもそうですね」
真姫「この曲は自信曲なのよ、全く自分の才能が恐ろしいわね」
海未「自分で言いますか」
真姫「だって他の子は言ってくれないもの」
海未「みんな真姫のことはすごいと思っていると思いますが」
真姫「すごいじゃダメなのよ、満足できないわ」
海未「志が高いのですね」
真姫「ふふん、もっと崇めてくれてもいいのよ?」
真姫「意欲作でしょ」
海未「ええ、とても良いです」
真姫「ねえ」
海未「どうしました?」
真姫「本当にこの曲に歌詞付けられる?」
海未「一日で、なんてバカバカしいと思いましたが」
真姫「思いましたが?」
海未「この曲には一刻も早く歌詞をつけなければいけませんね」
真姫「そうでしょ、でしょでしょ? ま、当然よね」
真姫「頑張らねば……?」
海未「どうしました?」
真姫「いや、ねばっていい言葉だなって思って」
海未「では少しメモしておくことにしましょうか」
真姫「ねば……ねば……ネバーギブアップ?」
海未「そうですね、ネバーギブアップです」
真姫「違う違う歌詞にね、ネバーギブアップってダメかなと思って」
海未「なるほど……では、そうすることにしましょうか」
海未「頑張る……ネバーギブアップ……ですか」
真姫「まあ、先に決めるべきことではあるんだけどね」
海未「では、頑張る女の子を唄った歌はどうでしょう?」
真姫「あ、それいいかも、でもパンチがひとつ足りない気がするわ」
海未「ふーむ、何かを頑張る女の子がいいですね?」
真姫「何かが重要なのよね……何がいいかしら? あ」
海未「どうしました?」
真姫「そういえば穂乃果と海未って付き合ってるの?」
海未「な! 絵里みたいなことを言うのですか!」
真姫「だって産まれる前からの幼なじみなんでしょう? 恋愛感情のひとつやふたつあるんじゃないの?」
真姫「なーんだ、つまらないの」
海未「つまらないって、そんな」
真姫「あ、じゃあ、恋を頑張る女の子の歌詞にしない!」
海未「恋……ですか?」
真姫「彼女になりたいーみたいな! ちょっとファンシーな歌詞にしちゃいましょう」
海未「なりたい……ふむ」
真姫「海未?」
海未「がんばらねば、ねばーぎぶあっぷ 彼女になりたいな みたいな歌詞はどうでしょう?」
真姫「いい! いいわ! 相手は鈍感な女の子に決まりね!」
海未「なぜ女の子……」
真姫「だってにこちゃんがアイドルに彼氏や恋人を匂わすのはダメだって」
海未「歌くらいはいいではないですか……」
海未「さすがですね、真姫、ならいっそ天才的に鈍いということにしましょうか」
真姫「いい、いい! とっくに気がついててもおかしくないはずなのに! みたいな純情さん!」
海未「天才ですか真姫は」
真姫「ふふん、もっと褒めてくれても良いのよ」
海未「相手は別の高校……とかはどうでしょう?」
真姫「そうね、距離が離れている方が……あ、恋に恋してる女の子っていうのもありね」
海未「ですね、偶然を装って出会うというのも!」
真姫「すごいじゃない、海未! 待ち伏せているっていうのもありよね!」
海未「……それはまるでストーカーなのでは?」
真姫「創作の世界なんだからある程度の強調表現は必須よ」
海未「(使えそうなものからそうでないものまで、本当に色々)」
海未「(一人で行き詰まるより二人で悩んでいたほうが、とはよく言ったものです)」
海未「(もっとも二人で悩むようなことは殆ど無かったのですが)」
真姫「そろそろお風呂に入りましょうか?」
海未「そうですね、先に……」
真姫「何言ってんの、一緒に入るに決まってるじゃない?」
海未「は?」
真姫「作詞中なのよ、まだ歌詞は完成していない、創作の無駄は省くべきだわ」
海未「いや、しかしですね?」
真姫「甘ったれたこと言わない!」
海未「は、はいー!?」
海未「(まあ、コミュニケーションと称して胸を揉んでくることはないでしょう、ことりじゃあるまいし)」
真姫「どうかした?」
海未「いえ、真姫とこうして二人でお風呂というのは初めてだなと思いまして」
真姫「そうね、μ’sでみんな一緒にっていうのはあったけど」
海未「新鮮ですね」
真姫「海未、忘れちゃダメよ、私達はいま創作をしているの」
海未「ええ、わかっています。真姫、キャラ変わっていませんか?」
真姫「真剣に取り組もうとしてるの!」
真姫「これからは完成度を上げる作業よ」
海未「完成度ですか」
真姫「例えば がんばらねば、ねばーぎぶあっぷをひとつ取ったって
がんばらねばねばって変えることはできるわよね?」
海未「そうなると意味がよくわからなくなるのでは?」
真姫「ねばねばぎぶあぷ、とか」
海未「ふむ、たしかにある程度のアレンジは必要かもしれませんね、曲調が曲調ですし」
真姫「ラーララララーラーラララ♪ みたいなね」
海未「彼女になりたいなの部分ですか?」
真姫「そう、ちょっと思ったんだけど、彼女になりたいをもっと別の場所に移して、いっそのこと
なーなななーなとか言うのはどう!」
海未「もはやそれだとなんの曲だかさっぱり分かりませんが……でも、ありかもしれませんね」
海未「(のぼせそうになるまで、ずっとずっと)」
海未「(二人で赤い顔をしながら話し合うというのも、悪くありませんね)」
真姫「ふう……一息ついたわね」
海未「真姫、のぼせてませんか?」
真姫「ちょっとね、でも休むほどじゃないわ」
海未「ならばいいのですが」
真姫「まだまだ歌詞は完成に至ってないんだからビシビシ行くわよ!」
海未「任せて下さい!」
海未「(だけど私達は大切なことを忘れていた)」
海未「(それは、深夜テンションという、本当に抗いがたい、黒歴史)」
真姫「わかるわかる、なんで私の想いに気づいてくれないのよーって感じになってくる」
海未「あ、いっそのこと二人でのラブストーリーを書くっていうのもありですね」
真姫「痛い、痛い! でも好きな男の子をストーキングするくらいだから全然あり」
海未「メインヒロインは自分なのって感じの子で、ややもすればサイドストーリーをすすめる男の子!」
真姫「やばいやばい、意味分かんない! もう台詞なんかも入れちゃいましょうか!」
海未「妄想が加速してもうやだ~って感じになっちゃったり!」
真姫「物語的にはハッピーエンドねって感じで!」
海未「いいですいいです、ハッピーエンドも台詞に入れてしまいましょう!」
真姫「あ、そうだ、私の恋は実られられぬ、って、られぬを繰り返してしまいましょうか!」
海未「さすがですお兄様!」
真姫「だ、れ、よ、お兄様って! あはは! すっごいおかしい!」
海未「(お手伝いの和木さんに促されるまま朝にシャワーを浴び、朝食を食べ、二人でオトノキへ)」
海未「(二人で歩いていると背中をぽんと叩かれます。それは、穂乃果でした)」
穂乃果「おはよう! 海未ちゃん、真姫ちゃん! 歌詞できた?」
海未「ええ、一応は……ただ、完成してから確認をしていないのですが」
真姫「机に突っ伏して寝ちゃったものね」
穂乃果「おお! 精も根も尽き果てるって感じ! これは名作の予感!」
海未「一部台詞も入っているはずですが、大丈夫ですか?」
穂乃果「大丈夫だよ!」
真姫「台詞なんて入れたっけ……?」
海未「私も良くは覚えていないのですが、入れているはずです」
穂乃果「だいじょうぶ? 何となく二人、ふらふらしてるよ?」
真姫「創作明けにはよくあることよ」
海未「(本来ならここで気がつくべきでした)」
海未「(深夜テンションで書かれた作品は翌朝見直すと死にたくなるほど恥ずかしいということに)」
ことり「昨日はお疲れ様、だいじょうぶ?」
海未「ええ、心配はいりません、これで倒れるほどヤワではありません」
ことり「いや、そうじゃなくて歌詞の出来は大丈夫かなって」
海未「……」
ことり「目をそらさないで海未ちゃん!」
海未「私一人ではなく真姫もいたのですから、何も問題はないはずです」
ことり「こっち見て海未ちゃん!」
海未「ことり……いざとなれば介錯はおねがいしますね」
ことり「う、うみちゃーん!!」
希「無茶させんなあ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「海未ちゃんの可能性を信じてたんだよ!」
真姫「ちょっと、私もいたんだけど!」
穂乃果「てへへ、違った、二人の可能性を信じてたんだよ!」
絵里「それで? 誰が歌うの?」
穂乃果「もちろんμ’sで歌うんだよ! たった一晩で完成された神曲だもん!」
絵里「だもんって、それにして海未の表情が浮かばないけど」
海未「ご心配なさらず、腹を切る覚悟はできています」
絵里「そんな覚悟必要ないんだけど……」
希「まあまあ、じゃあ、早速だけど歌詞、見せてもらおう?」
にこ「ぶっ!」
真姫「ちょ、ちょっとなんで吹き出すのよ!」
にこ「吹き出すに決まってんでしょ! あのお硬い海未と生真面目な真姫が作詞した曲が
ラブノベルスって、意味わからなすぎるわ!」
希「まあまあ、にこっち、きょ、曲は普通かもしれんやん?」
絵里「ええ、どうのこうのいうのは、歌詞を聞いてからにしましょう」
海未「……では、いきますよ? 後悔、しませんね?」
穂乃果「ぐー」
凛「穂乃果ちゃん寝ちゃダメぇ!」
絵里「……」
希「……」
真姫「い、いい曲じゃない、さすが私だわ!」
にこ「……疲れてるのよ」
真姫「つ、疲れてなんかいないわ!」
海未「やはり、一日で完成させるなんて目標自体が……」
絵里「ま、まあ、この曲はμ’sで歌うのは、ナシじゃないかしら?」
希「そ、そうやね! あ、でも真姫ちゃんはいい曲って言ってたから、BiBiで歌うのはどうかな?」
絵里「ちょ、希ずるい! ああ、でも違うわ! 歌いたくないって言う訳じゃないのよ! ただちょっと恥ずかしくて」
海未「はは……その恥ずかしい歌詞を書いた私に何か一言」
穂乃果「うーん、いい曲だと思うけど」
にこ「……ん、まあ電波ソングとしてはいい感じじゃない?」
海未「穂乃果、にこ……」
にこ「にこは正直唄ってもいいと思ってるけど?」
真姫「もちろん私も唄うわ!」
にこ「嫌だったら別にいいのよ、BiBiじゃなくて、にこまきで新ユニット作るから」
真姫「まあ、私はどっちにしろ唄うんだけどね、曲に歌詞つけなきゃいけないし」
絵里「もう! 台詞だってバッチリだから!」
海未「みんな……いいのですか、深夜テンションで作られた歌詞なんですよ?」
にこ「いいに決まってんでしょ、それにボツにするにはもったいないじゃない?」
真姫「曲も無駄にならなくてすんだ、歌詞もついた、唄わないわけにはいかないわね」
絵里「そうよ、海未」
海未「絵里……」
絵里「ぶっちゃけ恥ずかしい歌詞なんて今までもあったわ」
希「エリち……台無しや……」
海未「(恥ずかしそうに唄う絵里や真姫、ノリノリで唄うにこ)」
海未「(段々と一日で完成させた自分が誇らしくなってきたりして)」
海未「(こうして笑うことができているのだから、上々の曲ではないでしょうか)」
穂乃果「ねえ、海未ちゃん」
海未「なんでしょう」
穂乃果「ラブノベルスの振り付け、やってみたいと思わない?」
海未「……」
穂乃果「大丈夫、海未ちゃんならできる! あ、今回も一日でね?」
海未「い、いい加減にしてくださーい!」
おわり
これはなかなか良い
なんか頭よさそうなSSだった
ネタ曲扱いされがちだが一番好きな曲
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