【ラブライブ!】梨子「お盆の海と、お墓参り」
- 2020.04.19
- SS

梨子「ええっと、x=4だからこれを代入して……」カリカリ
梨子「あれ? 答えが合わない?」
梨子「ああ、そっか。ここがプラスだから……」カリカリ
梨子「……ふう。これで今日の分の宿題は終わり、かな」
梨子「それにしても、まだこんな時間……練習が無いとなんだか暇な感じね」
梨子「ルビィちゃんはダイヤさんと一緒にお家の方での集まりで……」
梨子「花丸ちゃんもお盆はお寺のお手伝いをしないとって言ってたっけ」
梨子「善子ちゃんは……儀式がどうとかでなんか大変そうだったなぁ」
梨子「それで練習がないのは仕方ないのだけど……どう過ごそうかしら」
梨子「ピアノ……は千歌ちゃんのお家に迷惑よね。お客さんもいるわけだし」
梨子「かといって、特に予定があるわけじゃないし……うーん」
梨子「……気分転換に、散歩にでも行こうかな」
梨子「それじゃあ、いってくるね」
ガチャ「ドア」
ミーンミンミンミーン
ジージー ジジジー
梨子(一番に耳に入ってくるのは蝉の声。どこかの家からの風鈴の音)
梨子(すっかり慣れた磯の香りに、今の時期だからか、いくらかお線香の匂いが混じってる)
梨子(花丸ちゃんも、檀家さんへの対応で今頃手一杯だったりして)
梨子(……私が内浦に来てから、もう半年かぁ)
梨子(それくらい経つけれど、まだまだ色んなものに驚かされてばっかりね)
梨子(大半は、誰かさんに引っ張られてのことかもしれないけれど)クスッ
ザザーン
ザザー
梨子(練習の時とか、こうやって散歩の時にも来たりするけど)
梨子(……やっぱり、いつみても綺麗な海)
梨子(そういえば、千歌ちゃんに最初に会ったのもここだったっけ)
梨子(確か私が海に飛び込もうとしたところを、止めようとして……)
ワウッ
ワッ、チョットー!?
梨子(そうそう、そんな感じで後ろから……あれ?)
しいたけ「ハッハッハッハッ」
梨子「千歌ちゃ……ひぃっ!?」
千歌「あ、梨子ちゃん!……っとと、こら、しいたけ! ス、ト、ッ、プ~!」ズザザザ
しいたけ「クゥン」
千歌「やっと止まったぁ……もう、急に走ったら危ないじゃん、しいたけ!」
しいたけ「ハッハッハッ」
千歌「まったく、これじゃあみんなにも心配されちゃうよー?」
梨子「ち、千歌ちゃん……その、頼むからそれ以上近づかないで!」
千歌「あ、いた……って遠くない!? 流石に怖がりすぎだって!」
しいたけ「ワフッ」
梨子「怖いものは怖いの!!」
千歌「あちゃー……梨子ちゃん、やっぱり重症だぁ」ポリポリ
しいたけ「ハッハッハッハッ」
千歌「うーん……じゃあ、しいたけ!」
しいたけ「?」
千歌「先に行っててお参りしてて! 後から私たちも行くから!」
しいたけ「ワウッ」ダダッ
千歌「気を付けるんだよー、っと。さて、これでよしっ」
梨子「……ほ、本当に? 近付いたら突然飛びかかってきたりとかは無いのよね?」
千歌「平気だってばー。ほら、もうあっちまで行っちゃったし」
梨子「……良かった」ホッ
千歌「ごめんってばー。今回はリードもちゃんと付けてたし許して! このとーり!」
梨子「……はぁ、まったく」
千歌「それで、梨子ちゃんは何してたの? 散歩?」
梨子「まあ、そんな所。千歌ちゃんも?」
千歌「うーん……休憩のついでといえばついでだけど、ちょっと違うような……」
梨子「?」
千歌「あ! 良かったら梨子ちゃんも一緒に来てよ!」
梨子「一緒に、って……何に?」
千歌「お墓参り!」
梨子「はあ……?」
千歌「コンビニで塔婆も買ったし、準備オッケー!」
梨子「塔婆ってコンビニでも売ってるものなのね……」
千歌「そうだよ? あれ、まさか東京だと売ってないの?」
梨子「ええ、初めて見た……って、違ーう!」
千歌「!」ビクッ
梨子「しれっとついてきちゃったけど、お墓参りって友達を誘うものなの!?」
千歌「んー……曜ちゃんや果南ちゃんとかは来てくれるよ?」
梨子「そうなの……?」
梨子(私が知らないだけで、そういう風習とかがあるのかな)
梨子(それとも、もしかして遊び場所が少ないから、その、お墓で遊んだり……?)
梨子「ってそんなわけないでしょ!」ビシッ
千歌「……梨子ちゃん、大丈夫? さっきから様子おかしくない?」
梨子「……ええ、大丈夫。今のでちょっと冷静になれたかも」
千歌「うん。多分そろそろ着くと思うけど……」
ワオン!
梨子「ひっ!」
千歌「あ、しいたけ! 梨子ちゃんは……あー、ちょっとそこで待っててね」
梨子「」コクコク
千歌「よしよし。ちゃんとお参りしてきた?」
しいたけ「ワフッ」
千歌「うん、いい子いい子。それじゃあ、私が呼ぶまでちょっとあっちの方とかで遊んでてね」
しいたけ「……」パタパタ
千歌「分かった? ……うん、よーし、それ行けー!」
しいたけ「ワウッ!」タタッ
千歌「……」
千歌「おーい、梨子ちゃーん! こっち来ても大丈夫だよー」
梨子(かすれて読み辛くなってるけれど、何か文字が彫ってあるみたいだった)
梨子「ねえ、千歌ちゃん。これが、お墓?」
千歌「うん。ちょっとちっちゃいけどね……えーと、必要なものは、っと」ゴソゴソ
千歌「塔婆! お水! お線香! お供え用の蜜柑!」
千歌「それからそれから、ちょっとお高いドッグフード!」
梨子「……千歌ちゃん。もしかして」
千歌「あ、そういえばちゃんと言ってなかったね」
千歌「このお墓ね、うちで飼ってた子たちのお墓。ペットたちのお墓なんだ」
千歌「そりゃね。だってしいたけもまだ三歳くらいだし」
梨子「ええっ! てっきりお爺ちゃん犬だと思ってたんだけど……」
千歌「お爺ちゃん犬だったら梨子ちゃんが上から落ちてきて平気な顔してないよ」
梨子「あ、あの時はごめんなさい……」
千歌「まあ、しいたけも梨子ちゃんのことを遊び相手みたいに思ってるんじゃない?」
千歌「普段は大人しいしいたけがあんなにはしゃぐなんて、滅多に見たことないもん」
梨子「じゃあもしかして私、ずうっとあの子に追い回されるの……」
千歌「あはは、かもねぇ」
梨子「笑い事じゃないってば!」
千歌「ごめんごめん」
千歌「んー? なぁに、梨子ちゃん」
梨子「しいたけさんの前に飼ってた子たちってどういう子たちだったの?」
千歌「……良いお姉ちゃん、だったかな」
梨子「お姉ちゃん?」
千歌「そう。志満姉や美渡姉たちと同じ――ううん、もっと身近なお姉ちゃんかも」
千歌「面倒見が良くて、やんちゃな所もあって、ちょっとドジだったりして」
千歌「一緒に駆け回ったり、ご飯分けて―!ってせがまれたりさ」
千歌「美渡姉と大喧嘩した時なんか、話し相手になって貰ったりもしたなぁ」
梨子「……」
千歌「そういう風にお世話になったから、こうやってお盆にお参りに来てるんだ」
千歌「勿論しいたけも連れてね。上の子たちに挨拶するように、って」
千歌「うん? うーん……お墓にいる子たちだったら梨子ちゃん平気だと思って。噛みつかないし」
梨子「また適当な……」
千歌「まあ、それだけじゃなくて。皆のことを紹介したくなったからかな」
梨子「紹介?」
千歌「私の大切な家族たちだよ、犬だけど怖くないよ、って。そんな感じかなぁ」
千歌「あと、みんなにも梨子ちゃんのことを紹介したかった、ていうのもあるかな」
千歌「新しく東京から来たお友達だけど、犬が苦手だから直してあげてって」
梨子「それって紹介じゃなくて、お願いじゃない……?」
千歌「あ、確かにそうかも」
梨子「もう、千歌ちゃんたら……」
千歌「てへへ……」
梨子「ほら、手、合わせないの?」
千歌「……うん!」
千歌「……」
梨子「……」
梨子「それにしても、良い景色ね。夕陽が綺麗」
千歌「でしょー? 美渡姉と一緒に見つけたベストスポットなんだ」
千歌「みんな海が好きだったから、眺めの良いところに、ってね」
梨子「……多分皆喜んでいると思うわ」
千歌「梨子ちゃん」
梨子「まだ犬は……怖いけど。すっごく、すっごーく怖いけど」
梨子「でも今日の千歌ちゃんの話を聞いて……少しずつ慣れていけたらな、って」
梨子「ほんのちょっぴりだけど、そう思えた気がする」
千歌「梨子ちゃん……!」
梨子「!」ビクッ
千歌「あれ、しいたけ……と果南ちゃん!」
しいたけ「ハッハッハッ」
果南「ああ、やっぱりいた。もう、砂浜歩いてたら突然しいたけが飛びついてきてびっくりしたよ」
千歌「あはは……それには色々訳がありまして……」
千歌「果南ちゃんは、今日はお店の方は終わり?」
果南「うん。それでお参りに来たんだけど……?」
しいたけ「ハッハッハッ」
梨子「……」ブルブル
果南「もしかして、しいたけ連れて来るのってダメだった?」
千歌「ダメじゃないけど……」
梨子「ダメです!!」
梨子「いきなりは無理!もっとこう、段階を踏んでからじゃないと!」
しいたけ「ワウッ」バシッ
果南「あ、ちょっと!? リードがっ!」
しいたけ「ワフッ」
梨子「ひ、こ、こっち来ないで~~~~!!!」
千歌「しいたけ、いい子だからこっち来て、ほら!」
しいたけ「ハッハッハッハッ」
梨子「嫌ぁあああああああ!! やっぱりダメー!!」
梨子「もう絶対千歌ちゃんちには行かない……」グスッ
千歌「そこまでかぁ……」
果南「あはは……」
しいたけ「ハッハッハッハッハッ」
終われ
千歌『そういえば、しいたけはメスだよ』
梨子『えっ!?』
千歌『立派な女の子だよ、ほら』
しいたけ『ハッハッハッハッ』
梨子『!?!?!?』
梨子「……はっ! って、あれ……?」
梨子「夢、で良かった……?」
適当に終われ
乙です
しかし
ガチャ「ドア」
があたまから離れない
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