【ラブライブ!】善子「赤い部屋?」
- 2020.04.22
- SS

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ホームページを開いた瞬間、本来のブラウザ以外に表示される小さな広告――ポップアップ広告。
普段は誰も見向きもしないまま消すこの広告。
その中に――絶対に消してはいけないと言われている広告があるという。
この噂を聞いたのは最近の放課後。
最近インターネットにハマっている友人が、ネットで奇怪な噂を知ったと話しかけてきたのだ。
善子「ん? 今日は一緒に帰らないの?」
ルビィ「うん。お姉ちゃんと一緒に、アイドルの勉強会するんだ~」
花丸「ほぇ~、勉強熱心ずら」
ルビィ「って言っても、ダンスの練習したり、アイドルのDVD見たり、プチPVの撮影とか……」
ルビィ「いつものAqoursの練習と、そんなに変わんないんだけどね」
善子「にしても、随分な熱の入れようね」
ルビィ「うん。なんでも、ファンサービスのことについてもっともっと学ぶべきだーって張り切ってて……えへへ」
ルビィ「あははは……」
花丸「善子ちゃんのネット配信でもルビィちゃんのほうが人気だったずら」
善子「! そうよ!! このリトルデーモンの分際で!!」ガタンッ
ルビィ「ピギャッ!?」
花丸「ああっ、飛び火しちゃった……」
ルビィ「うゅ……」
花丸「でもルビィちゃんすごいずら~。出待ちとか、ファンレターとか、憧れるずら~」
善子「ぐぬぬぬぬ……ヨハネだって、秘めたる真の力を解き放てば……ブツブツ」
花丸「何言ってるずら。ルビィちゃんはルビィちゃんの頑張りで輝いてるずら」
ルビィ「マルちゃん……」
善子「ふ、ふん! まあ? 本気を出したこの堕天使ヨハネには劣るけど……」
花丸「それじゃまた明日ずら~」
善子「聞けーーーーっ!!!」
花丸「そういえば善子ちゃん善子ちゃん」
善子「ヨハネよ!」
花丸「ねえねえ知ってる?」
善子「……何よ」
花丸「インターネットをしている時に出てくるポップアップ広告の中に、絶対に消してはいけない広告があるんだって」
花丸「バカにしないでほしいずら! 時々パッって出てくる、なんか鬱陶しい健康食品のチラシみたいなやつずら!」
善子「……広告ブロック使えばいいのに」
花丸「? そんな便利なものがあるずら?」
善子「ああ……今度見てあげるわ」
花丸「頼もしいずら~♪」
花丸「うん」
善子「なにそれ? 消したらウイルスにでも感染するの?」
花丸「ふっふっふっ……そんな可愛いもんじゃあないずら!」
善子「……一応聞いておくけど、ウイルスが何かはわかるの?」
花丸「・ ・ ・ ・ ・」
花丸「風邪の原因?」
善子「なんでパソコンから風邪のウイルスが出てくんのよ!!」
花丸「未来ずら~!」
善子「違ーーーーう!!!」
善子「!?」
花丸「なんと! その広告を消してしまうと……命をとられちゃうらしいずら!!」ドヤァ
善子「あんた、仮にも寺の娘でしょうに……そんなこと吹聴するもんじゃないわよ」
花丸「でも、おもしろそうずら」
善子「バチがあたるわよ」
花丸「自称堕天使属性の善子ちゃんに言われたくないずら」
花丸「善子ちゃんそのものずら」
善子「ヨハネよ!! 全く……ネットを触り始めてテンション高いのはわかるけど、よくもまあそんな出所の分からないウワサを信じられるわね」
善子「そのウワサの張本人は、今頃ガッツポーズしてるわよ」
花丸「まあまあ。話は最後まで聞くずら」
善子「まだ続くの……」
善子「ヨハネよ。あれでしょ? いわゆるゆっ○りボイスみたいな」
花丸「そうずら。ウワサの広告は、そのテキストトゥスピーチの無機質な声が出てくるみたいで」
花丸「で、その言葉というのが広告に唯一乗っている言葉」
「あなたは好きですか?」
花丸「と、それだけを喋るという、何の広告かよくわからないらしいずら」
善子「”あなたは好きですか?”ねぇ……」
善子「……ああ、リンクが貼られてないってことね」
花丸「りんく?」
善子「あんたほんっとーに噂の横流ししてるだけなんじゃあないわよね!?」
花丸「冗談ずら。クリックしても新しいところに飛ばないってことずら?」
善子「はぁ………」
花丸「面白いずら?」
花丸「というわけで、その広告を一目見ようと最近ずっと探してるんだけど、なかなか見つからなくて」
善子「あんた本当に暇なのね……」
花丸「デジタルとオカルトの融合っていうのも面白いずら♪」
善子「タフねぇ……」
花丸「だから善子ちゃん、もし見つけたら教えて欲しいずら」
善子「わかったわーかったわよ」
花丸「頼んだずらー♪」
善子「アホくさ……」
両親はまだ帰ってきていない。
早速パソコンを起動し、その「消しちゃいけない広告」とやらについて検索してみた。
善子「何よ……意外と情報あるのね」
しかし、どれもずら丸が言っていた以上の情報はなかった。
もともと信じていなかったということもあり、途中からは黒魔術の研究などのインターネットサーフィンに興じていた。
ウワサ話のことなんて、すっかり忘れていた。
「あなたは 好きですか?」
善子「ひっ!」
静寂を切り裂く無機質な声
そのポップアップ広告には、噂通りに真っ赤な背景にただ一言。
「あなたは好きですか?」
と書いてあるだけだった。
しかし、よく聞き取れなかったが「あなたは」と「好きですか?」の間に
善子「何か言ってた……?」
しかもこの広告、よく見ると何か黒い線が縦に一本ひかれている。
善子「そうだ、ずら丸に電話しなきゃ……」
いつまで経っても出てこない。
善子「あんのバカ丸……携帯電話なんだから、携帯しなさいよ……」
善子「……リンクもされてないわね」
善子「広告って言うよりも、いたずらよね……」
この広告を消すと、命を奪われる。
善子「……まさかね」
嫌な妄想が頭をめぐり鳥肌を立たせる。
善子「どうせ、誰かがいたずらで作ったんでしょ……」
善子「じゃあ、消したらどうなるのかしら」
善子「さすがに殺すまではできないでしょ……」
善子「試しに……」
善子「だ、大丈夫よ……いたずらなんだもの」
善子「………」
「あなたは好きですか?」
善子「……ぷっ」
善子「ぷぷぷぷ……」
善子「あははははははははは!!!!」
私は爆笑した。
消したら殺される。
というか消しても出てくる。
つまり、殺されることはないが消すことも出来ない。
さっきまでの緊張は何処へやら、その無機質な声が滑稽に思え、何度も何度もウィンドウを消した。
カチッ
「あなたは好きですか?」
カチッ
「あなたは好きですか?」
カチッ
「あなたは好きですか?」
カチッ
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
善子「ん?」
善子「……赤?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
善子「ちょ、ちょっと!?」
善子「わ、私はクリックしてないわよ!!」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは好きですか?」
「あなたは―――」
「あなたは赤い―――が好きですか?」
善子「ぺ、ページが……!」
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
善子「げっ!? これ全部人の名前……?」
善子「何の名前よ……」
善子「あっ!」
善子「国木田花丸……!」
善子(なんでずら丸の名前が……!)
善子(と、とにかくパソコンを止めましょう!!)
善子(すごく、やばい気がする!!)
善子(強制的に電源を……!)
善子(何かがいる!)
善子(私の後ろに、何かがいる!!)
善子(早くこの場から逃げ出したいけど動けない……)
「アナタハ赤イ――ガオ好キデスカ?」
善子「あ―――――」
花丸「どうしたずら?」
善子「何よ?」
ルビィ「なんていうか……目が真っ赤だよ?」
善子「徹夜だったからね」
花丸「徹夜だったからずら」
ルビィ「え、えー……」
ルビィ(何の徹夜なんだろ……)
花丸「……」
ルビィ「そ、それよりも二人共……」
善子「何?」
花丸「何ずら?」
ルビィ「さ、さっきから距離が近いと思うんだけど……あ、歩き辛いというか……」
善子「別にいいじゃない」
花丸「仲良くすることはいいことずら?」
ルビィ「うゅゅうゅゅ……///」
ルビィ「ぴぎ?」
花丸「うん……本当にめんこいずら……」
ルビィ「ぴぎぎぃ?」
善子・花丸「ふふふふふふ……」
ルビィ(ふ、二人共どうしちゃったんだろ……!)
ルビィ「……あれ?」
善子「ああ、これね」
花丸「ルビィちゃんのデフォルメキーホルダーずら♪」
ルビィ「い、いつのまに……っていうか、恥ずかしいよぉ///」
善子「ふっふっふっ……」
花丸「うふふふふ……」
ルビィ(うう……二人の見る目がなんかいつもと違う気がするよぉ……///)
「知ってる知ってる!」
「とあるポップアップ広告を消しちゃうと、日本人形みたいな謎の黒い長髪の少女が部屋にやってきて……」
「赤い髪の可愛い女の子のアイドルPVを徹夜で、目が真っ赤になるまで見せ続けて終いには……」
「「アイドルグッズで部屋が真っ赤になっちゃうってウワサ!!」」
――アナタは赤い髪の女の子がお好きですか?
面白かった
なつかしい気持ちになった、乙
面白フラッシュが懐かしくなったわ
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