【ラブライブ!】ことり「髪を切りました」
- 2020.03.30
- SS

みんなからは、もったいないーだとか失恋でもしたのーだとか。いろいろ言われました。
切った理由は、そんな大それたものじゃなくて、ただうっとおしくなっちゃっただけ。
でも、少し未練もあった。
今、私の机の上に置いてある、緑色のリボン。
これは、高校に入学するとき、ご近所さんの
星空凛ちゃんのくれたものです。
いいな
小学校も中学校も別々だったけれど、夏とかはよくプールに一緒に行ってたりしてた。
高校の入学式のとき、凛ちゃんが家の玄関にいて、
「入学、おめでとう!」
といってこのリボンをくれた。
それ以来、ずっとこのリボンを使っている。
そして1年後、凛ちゃんが音の木坂の制服を着てことりのところへやってきた。
「今日から、凛も音の木坂生だよ!」
「ことりせーんぱい!」
そういって、にかっとわらった。
笑顔は、星のようだった。
別段約束もしてなかったけれど、凛ちゃんと一緒に行こうと思っていた。
凛ちゃんは別のところへ引っ越していた。
学校は変わらないけれど、ことりのお隣さんのお隣さんじゃなくなった。
胸にぽっかり、空洞が空いた気分になった。
学校に行っても、凛ちゃんと会うことは少なかった。
寂しいな、そう思っていた矢先に、
廃校の問題が立ちふさがった。
ファーストライブ、偶然にも凛ちゃんは来てくれていた。
これが運命、そんな事を勝手に考えてたり。
花陽ちゃんが加入して、凛ちゃんも真姫ちゃんも手を取ってくれて。
にこちゃんも歩み寄ってきてくれて、希ちゃんも絵里ちゃんも入ってくれて。
合計9人、9人の女神が揃った。
そこから、いろんなことがあった。
ラブライブは出られなかったけれど、絵里ちゃんとの約束も守れた。
講堂をいっぱいにできた。いろんな人を笑顔にできた。
ある日、練習終わりに、凛ちゃんに呼び出された。
あのね、凛、好きな人ができたの
相談に乗ってもらっても、いい?
そんな内容だった気がする。
その子の名前は小泉花陽ちゃん。
同じユニット。
私は、いいよと返事をした。
凛ちゃんの笑顔が見たかったから。
薄い、黄色のリボン。
猫の刺繍がしてあった。
一種のマーキングみたいなものなのかな、とそのときは感じた。
でも、自分のリボンには猫の刺繍は入ってなかった。
これが格差か、そう感じた。
独占欲、なのかな。
そして、今日。
凛ちゃんに、呼び出された。
確か、凛の恋が叶ったとか、そんな感じ。
私は、それを聞いたときどんな顔をしてたんだろう。
ただ、物悲しかった。
なにか、大切なものが抜け落ちた感覚。
凛ちゃんと話すのが、怖い。
もし、どんどん、このまま、
凛ちゃんによって私の中の何かが、無くなってしまったら、
私が消えちゃう。
そう思った私は、まず身の回りのものから、
凛ちゃんを排除し始めた。
連絡先は残した。
LINEの履歴は消した。
メールも消した。
幼い頃、一緒に描いた絵本も、何もかも、全部。
そして、リボンに手をかけた。
これは、思い出のリボンだった。
これがなかったら、私と凛ちゃんは完全に決別してしまう。
だから、髪を切った。
私についている、凛ちゃんが鬱陶しくなった。
ただそれだけ。
少しだけ、昔話をしたくなった。
ただそれだけ。
凛ちゃん、今までありがとう。
さようなら。
またねは、ない。
髪を切ったハサミは、私と凛ちゃんの絆も一緒にきった、そんな気がした。
おわり
全員オトノキ小やで
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