【ラブライブ!】穂乃果「希ちゃんって、μ’sに入る前から歌とかダンスとかやってたの?」
- 2020.03.30
- SS

穂乃果「もし本当にやったことないんだったら凄いよ!凄すぎるよ!」
希「あー……えっとな、穂乃果ちゃん?」
彼女が、9人目になった理由。これは、『のぞみ』の始まりの物語。
希「ふふっ、皆今日は流石にお疲れかな……?」
希「……夢みたいやなぁ……九人で作った曲で……あのA-RISEに、勝てるなんて」
希「私の望み、こんな贅沢に叶えてもらっちゃっていいのかな……」
希「って、アカンアカン!泣くのはまだ早いで、東條希っ!」
ガチャッ
穂乃果「おっはよーございまーすっ!」
希「おはよう、穂乃果ちゃん。昨日の今日で元気やね?」
穂乃果「うん!何だかこう……まだ身体が熱くて!私達、A-RISEに勝っちゃったんだ!って思ったら!」
希「ふふっ、わかるよ。ウチもそうやもん」
穂乃果「だよねだよねー!私なんか、海未ちゃんとことりちゃん待ち切れなくて一人で来ちゃったもん!」
希「いつもはお寝坊さんなのにね?」
穂乃果「もー希ちゃん、それはいいのー!」
希「クスクス、ごめんごめん」
希「んー?何ー?」
穂乃果「希ちゃんって、μ’sに入る前から歌とかダンスとかやってたの?」
希「あ……っ」
穂乃果「……?」
希「……穂乃果ちゃん、どうしてそんな風に思ったん?」
穂乃果「だって希ちゃん、μ’sに入ったばっかりの頃から私達と同じくらい歌って踊れてたんだもん!」
穂乃果「もし本当にやったことないんだったら凄いよ!凄すぎるよ!」
希「あー……えっとな、穂乃果ちゃん?」
希「ウチの口癖、なーんだ?」
穂乃果「希ちゃんの口癖……『スピリチュアルやね』?」
希「そうっ!スピリチュアル……穂乃果ちゃんの疑問の答えもまさにそれ!」
希「ウチが最初から皆と一緒に歌って踊れたのは……スピリチュアルパワーのおかげなんよ!」
穂乃果「なるほど、流石希ちゃんのスピリチュアルパワー……って、そんなわけないじゃん!」
希「うふふ、そう言っても本当のことやもん。さ、早めに屋上行って準備しよ!」
穂乃果「……怪しい……」
穂乃果「と、いうわけなんだよ!」
ことり「そう言われてみれば、確かに……」
海未「今まで気にしたことこそありませんでしたが……私達や絵里と同じレベルのパフォーマンスができたのですから、相応の経験があってしかるべきですね」
穂乃果「でしょでしょ!?だって私達、あの絵里ちゃんの特訓を受けてたんだよ!それについてこられるなんて絶対何かあるよ!」
海未「しかし穂乃果、希が答えなかったのなら、それは希にとって知られたくないことなのではありませんか?」
穂乃果「うっ……」
海未「希がそれを願うのなら、余計な詮索をしないのが希のためです」
穂乃果「うーん、でも……」
にこ「にっこにっこにー!にこにー参上!」
ことり「にこちゃん!」
海未「おはようございます、にこ」
にこ「おはよう!さ、今日もバリバリ練習するわよ!」
穂乃果「……同じ3年生のにこちゃんなら何か知ってるかな?」
海未「穂乃果!」
穂乃果「そんなこと言って、海未ちゃんだって気になるでしょ?」
海未「う、それは……」
にこ「何、何の話?」
穂乃果「希ちゃんって、昔ダンスとかやってたの?」
にこ「希が?さぁね、知らないわ」
穂乃果「にこちゃんでも知らないのかー……」
にこ「少なくとも1年の時には、歌もダンスも素人だったわよ」
ことり「……あれ?じゃあにこちゃん、1年生の時の希ちゃんのダンス見たことあるってこと?」
にこ「まぁいいか、隠すことでもないし……」
穂乃果「なになに、何かあるの?」
にこ「そんなに面白い話じゃないわよ?私が1年の時、部室に希が来たってだけ」
にこ「アイドル研究部に入りたい、ってね」
穂乃果「……ええーっ!?希ちゃんが、アイドル研究部に!?」
にこ「まだ私が希と知り合う前の話だけどね。最も、向こうは私のことを知ってたらしいけど」
海未「……しかし、おかしくありませんか?希がアイドル研究部に所属したのは今年です」
にこ「その時は私も一人になったばっかでね……色々荒れてたのよ」
ことり「荒れてた?」
にこ「そ。ま、早い話」
にこ「私が希を追い返したの」
にこ「不合格。出てってくれる?」
希「え……?」
にこ「何驚いた顔してるのよ。誰でも知ってるような曲を素人丸出しのダンスで歌っといて、合格できる気でいたの?」
希「だって今、ここ部員一人なんじゃ……」
にこ「関係ないわ、そんなの。いくら人数がいたって、やる気がないんじゃ意味ないもの」
希「そんな、だってウチは……!」
にこ「アンタ、昔私にスカウトされたって言ってたっけ?悪かったわね、私の勘違いに巻き込んで」
希「っ……」
にこ「今の私はね、本気でアイドルやりたいヤツにしか興味ないの。せめて一曲、完璧に踊れるようになってから来てくれる?」
希「……」
にこ「わかったらさっさと出てって。私だって忙しいんだから」
希「……わかった。お邪魔して、悪かったね」
バタンッ
にこ「……ったく、何なのよアイツ。全くの素人の癖して、なんでこのタイミングで」
にこ「……まさか、ね」
穂乃果「へぇー……」
ことり「それで、希ちゃんは諦めちゃったの?」
にこ「いや、それから一月後にもう一度来たわ。『もう一度テストしてほしい』ってね」
海未「流石希、といったところでしょうか……」
穂乃果「おおー!それでそれで!?希ちゃんのダンスはどうだったの!?」
にこ「……見てないわ」
穂乃果「……え?」
ことり「ど、どうして……?」
にこ「その時の希は、アイドルに相応しくなかった……だから、ダンスを見る前に不合格にしたのよ」
穂乃果「ど、どういうこと!?希ちゃんがアイドルに相応しくないって……!」
にこ「安心しなさい、今でもそう思ってるわけじゃないわ」
穂乃果「で、でも……!」
にこ「この話はこれでおしまい。面白い話じゃないって言ったでしょ?さ、練習行くわよ」
穂乃果「にこちゃん……」
海未「それどころか、謎が増えている気もしますね……」
ことり「けど、もう一度にこちゃんにダンスを見てもらいに来たってことは、やっぱり練習してたってことじゃないのかな?」
穂乃果「じゃあなんで、にこちゃんはアイドルに相応しくないなんて言ったんだろ……」
海未「考えれば考えるほどわかりませんね……」
穂乃果「よーし、こうなったら!」
絵里「凛……に、花陽に真姫も……どうしたの?」
花陽「あのね、絵里ちゃんに聞きたいことがあって」
絵里「私に?」
真姫「正確には穂乃果が聞きたいこと、ね……」
絵里「ちょっと、話が見えてこないんだけど……」
————————————
絵里「希のダンス、ね……」
凛「そうなの!絵里ちゃんは何か知ってる?」
絵里「……そうね、知ってるわ」
花陽「ほんとですか!?」
絵里「私が一年生の時……生徒会に入ってすぐの話になるわね」
希「ほっ!」
希「ほっ、ほっ……う、うわぁぁ!?」ドサッ
希「い、痛た……ほんとに難しいんやな……」スクッ
希「よーし、もう一回!」
絵里「……何をしてるのよ」
希「!?」ビクッ
希「な、なんだ、えりちか……驚かせんといてよ」
絵里「驚いたのはこっちよ、挨拶もそこそこにいなくなるから何かあったのかと思ったら……何をしてるの?」
希「見てわかるやろ?ダンスの練習」
絵里「それはわかるわ、どうしてそんなことしてるの?」
希「ちょっとね……本気だって、認めてもらわなきゃあかん人ができたんよ」
絵里「……何よそれ」
希「うふふ、詳しくは内緒や」
絵里「……」
希「きゃぁっ!?」ドサッ
絵里「……見てられないわね」
希「え、えりち……?」
絵里「あなた、本気って言ったわよね……どこまで本気なの?」
希「……もちろん、全部」
絵里「……そう」
希「もう一回……」
絵里「待ちなさい」
希「……えりち?」
絵里「私が見てあげる。一人でやるよりは、効果があるはずよ」
絵里「ダンスを上達させたいなら、柔軟性は必須よ……基礎を鍛えれば、パフォーマンスは格段に良くなるわ」グイッ
希「けど、これは……あ、痛い、いたたたたたたた!えりち、痛いって!」
絵里「何言ってるのよ、本気なんでしょ?」
希「っ!……うん」
絵里「なら、これくらい我慢しなさい。効果は私が保証するわ」
希「う、ん……あたたた……」
希「よっ、ほっ、はっ!」ビシィッ
希「──っ!決まった!」
絵里「今の凄く良かったわよ、希」
希「やった!ウチやったよ、えりち!」
絵里「そうね、私から見ても上達したと思うわ。見違えるくらい」
希「えりち……」
絵里「そろそろ見せてあげても良いんじゃない?その、認めてもらいたい相手に」
希「うん……ウチ決めた、もう一度見てもらいに行く!ウチの、本気を!」
希「そうやね……けど、それだけじゃないよ」
絵里「……?」
希「思ったんよ。ウチはもしかしたら、歌って踊るのが大好きなのかもしれん、ってな」
希「だってこの一月……ウチは物凄く、楽しかったから!」
絵里「っ……!」
希「そういえば、えりちはダンスか何かやってたん?練習に凄く詳しいみたいやけど」
絵里「……ごめんなさい、あまり話したいことじゃないの」
希「……そっか……なら、こういうのはどうやろ?」
絵里「?」
希「もしウチがその人に認めてもらえたら……その時には、教えてくれる?」
絵里「な、どうして……!」
希「ね?約束。ウチ、頑張るから。応援しててな?」
絵里「……たった今、あんまり応援する気分じゃなくなったのだけど……」
絵里「こんなところかしら」
凛「なるほど、それでそれで!?」
花陽「希ちゃんは、どうなったんですか!?」
絵里「それが、私も知らないのよ」
真姫「……どういうこと?」
絵里「希には、結局ダメだったとしか聞いてないのよ」
花陽「ダメ、だった……?」
絵里「私から見て、希の上達ぶりは思った以上だったわ。不合格になるなんて考えられなかった」
絵里「けど、希は何も話してくれなかったし……それ以上に、私がその時忙しくなったのもあってその件はそれっきりになってるのよ」
真姫「何よそれ……結局わかってないじゃない」
花陽「けど、希ちゃんがダンスの経験があったってことはわかったね」
凛「あとは認めてもらえなかった理由……うーん、謎だにゃ……」
花陽「けど、にこちゃんに認めてもらえなくて……」
ことり「認めてもらうためにダンスの練習を始めて……」
凛「それを、絵里ちゃんが手伝って……」
海未「絵里からのお墨付きをもらえるくらいに上達して……」
真姫「だけど、にこちゃんはダンスも見ずに不合格にした」
穂乃果「って感じなんだけど、どうかな!合ってる、希ちゃん!?」
希「あはは、二人とも話しちゃったんか……」
海未「すみません、希。余計な詮索だったでしょうか」
希「ううん、良いよ。ウチだって、何か理由があって言ってなかったわけやないしね」
ことり「それで結局、何があったの……?」
希「そうやね、ここまで来たら話さないのも酷やね」
希「けど、その前に一つ話そか。ウチと、にこっちと、えりちの出会いの話」
希「ウチが、音ノ木坂に入学した日のこと」
にこ「にっこにっこにー!」
にこ「あなた、可愛いね!それに、とってもナイスバディー!」
希「え、え……?」
にこ「どうかな!私と一緒に、アイドルやってみない?」
希「アイドル……?わ、私が……?」
にこ「そう!あなたならきっと、大人気ニコ!」
希「そ、そんな……私なんかが……」
にこ「……って、何あれ!金髪、それにとっても美人!あの人材を確保しない手はないわ!」ダッ
希「あ……」
にこ「そこのあなた!私と一緒にアイドル──」
絵里「ごめんなさい、興味ないので」スタスタ
にこ「……何よアイツ、失礼しちゃう!」
希「……!」
希「引っ越しばっかで友達のいなかったウチにとっては……一気に衝撃的な出会いが二つ、って感じだった」
希「アイドルにならないかって聞いてきた、小さくて可愛い女の子」
希「そして、自分と似た部分のある……金髪の美人さん」
希「その時は、同じクラスだったえりちに話しかけて、仲良くなって」
希「けど、もう一人。にこっちのことも、ずーっと気になってたんよ?」
希「だから、見てたんよ。にこっちがアイドルを始めたのも、初めてのライブも」
希「呼び込みの声が、一つ、また一つ減っていくのも……にこっちが、一人になるのも」
希「そんなにこっちを見て、ウチは思った。ウチがアイドルを始めれば、って」
希「ウチだって女の子やもん。アイドルに憧れる気持ちが、なかったわけやないしね」
希「……だけど、結果はにこっちが話した通り。その時にウチは気づいたんよ」
希「この子も、ウチと一緒なんや、ってね」
希「だから、にこっちを一人にしたくなかった……そのために、本気でアイドルを始めることにした」
希「それもね、ちゃんと理由があるんよ」
真姫「理由?」
希「そ。ウチがにこっちに、もう一回ダンスを見てほしいって言ったのと同じ時期に……事件が起きたんよ」
希「すぅ……はぁ……よし!」
ガチャッ
希「え、中から開いた……?」
にこ「わっ、びっくりした……アンタか。何の用?」
希「……ウチのダンス。もう一回、見てくれない?」
にこ「……ふぅん……来るとは思ってなかったわ。良いじゃない、見てあげる」
希「ほ、ほんと!?」
にこ「ただ、来週までちょっと用事ができちゃってね。部活はお休みなの」
にこ「だから来週、また来てくれる?」
希「来週……わかった!」
にこ「悪いわね。それじゃ、急いでるから」
希「来週、楽しみにしとるよ!」
希「いきなり全校集会なんてどうしたんやろ?えりちも朝からおらんみたいやし……」
司会『これより、新生徒会長就任の挨拶を行います。生徒会長、お願いします』
絵里「皆さん、こんにちは。学期の途中ではありますが、新生徒会長に任命されました。絢瀬絵里です」
希「え……えりち……!?」
クラスメイト「え、あれうちのクラスの絢瀬さんじゃないの?なんでこんな時期に生徒会長に?」
クラスメイト「なんでも、生徒会長と生徒会内で対立して、生徒会全員辞めちゃったって聞いたよ」
クラスメイト「じゃあ絢瀬さん、会長押し付けられちゃったってこと?」
クラスメイト「まぁ、あんな感じだし……無理もない、のかもね」
希「えりち……嘘やろ……?」
希「当時からえりちは、音ノ木坂をより良い学校にするために、って生徒会に入ってた」
希「けど、その時のえりちは皆が知ってる……μ’sに入る前のえりちより、よっぽど不器用やった」
希「その想いが強すぎるあまり……その時の生徒会長と衝突することも、あったみたいや」
希「そんなえりちを疎ましく思ったんやろなぁ。当時の生徒会長が、えりち以外の役員と共に辞職」
希「えりちは一人、生徒会に残される形になった」
希「ろくな引き継ぎもないまま、ほとんど嫌がらせみたいに生徒会長に任命されて、な……」
花陽「そんな、酷い……」
希「元々、真剣に生徒会長やってたような人じゃなかったしね……それでもえりちは……折れないどころか、誰にも頼らなかった」
希「いや……頼れなかったのかも、しれない」
希「今の生徒会組にとっては信じられへん話やと思うけど……えりちは、一人で生徒会を運営しようとしたんよ」
穂乃果「ええっ、そんなの私絶対無理だよぉ!」
希「いくらえりちでも、そんなことできひんよ……事実、数日のうちにえりちは追い詰められていった」
凛「絵里ちゃん……」
希「えりちは元々目立つ子だったし……様子がおかしいことに気づいてた子は、いっぱいおったやろね」
希「きっと、あの子も……そんな一人、やったんだと思う」
希「どうして、何も言ってくれなかったん……?」
絵里「当たり前じゃない……これは私の問題なの」
希「せやかて、えりち!一人で生徒会なんて、できるわけない!」
絵里「やるしかないわ。私は、生徒会長になったんだから」
希「えりち……」
絵里「話は終わり?ならもう行くわよ……やることは、山ほどあるんだから」
————————————
希(いくらえりちだって、一人でやれるわけない……事実、最近のえりちは凄く疲れてる)
希(ウチが力になってあげられたら……えりちは、ほんとは凄く良い子なんだから)
希(皆、それを知らないだけ。えりちだって、ちょっと不器用なだけなのに)
希(けど、ウチが生徒会に入ったら、あの子は……矢澤さんは、一人のまま)
希(ウチにどっちかなんて選べへんよ……カードも、ウチがほんとに迷った時には何も教えてくれない)
希(ウチは一体……どうしたらいいん?)
希「きゃっ!」
にこ「……っつつ……なんか、とっても屈辱的な感触だった気がするわ……」
希「あ……」
にこ「……前くらい、見て歩きなさいよ。何悩んでんのか知らないけどさ」
希「矢澤さん……」
にこ「今更になって、今日のダンスの自信でもなくなっちゃった?」
希「……そっか……今日、やったね」
にこ「まぁでも、気にしなくていいわよ。アンタ、不合格だから」
希「え……?」
にこ「不合格よ。アンタをアイドル研究部には入部させないわ」
希「ど……どうして!?だってまだ、ダンスだって見てもらってないのに……」
にこ「今のアンタは、アイドルに相応しくない。ただそれだけの話」
にこ「じゃあ聞くわ。アンタ、アイドルってどんな仕事だと思ってる?」
希「それは……歌って踊って、皆に笑顔を見せる……」
にこ「……違うわ。アイドルは、笑顔を見せる仕事じゃない。笑顔にさせる仕事なの」
希「笑顔に、させる……」
にこ「スクールアイドルといえど、人気グループになれば何十人、何百人というファンが付くの。そうなれば、その全ての人を笑顔にしなきゃいけない。アイドルには、それが求められてる」
希「……」
にこ「友達一人笑顔にできないヤツなんて、お呼びじゃないのよ」
希「え……っ?」
にこ「わかったなら部室になんて来るんじゃないわよ、時間の無駄だから。授業が終わったらさっさと帰りなさい」
希「矢澤さん……」
にこ「話は終わり。じゃあね」スタスタ
希「矢澤さん……」
希「ありがとう、ごめんなさいっ……!」
コンコン
絵里「……どうぞ」
ガチャッ
希「やっほー、えりち」
絵里「希!?あなた、どうしてここに……!だって、今日は!」
希「……ごめんね、えりち。あんなに手伝ってもらったのに、ダメだった」
絵里「ダメだったって……そんなワケないじゃない!私が保証する、あなたのダンスは素晴らしかったわ!」
希「ありがと、えりち。けど、嘘やないよ……不合格って、はっきり言われてしもた」
絵里「そんな……」
絵里「楽しそうって、あなた何言ってるのよ……私がどんな想いでここにいると思ってるの!?」
希「だってえりちは、この学校を良くしたくて生徒会に入ったんやろ?」
絵里「……っ」
希「自分の力で学校を変えて行けるって、凄く楽しいんやない?それなのに、そんな顔してたらもったいないよ」
絵里「希、あなた……」
希「それに、皆だってついて来られない……えりちは、不器用なんだから」
絵里「ぶきっ……」
希「こういう時はね……にっこり、笑顔が一番やでっ!」
にこ「何の用よ。不合格って言ったはずよ」
希「……新生徒会、なんとか軌道に乗りそうや」
にこ「あっそ。そんなの、私と何の関係があるのよ」
希「……ふっ……そうやね、何の関係もなかったね」
にこ「まさか、それを言うためだけにここに来たの?」
希「ううん、もう一つ……これは、矢澤さんにお願い」
にこ「お願い?」
希「アイドル研究部には、入れなかったけど……あなたさえ、良かったら」
希「ウチと、友達になってくれへん?」
希「その時に、ウチは決めたんよ。いつか、ウチの友達を」
希「ウチの友達二人を笑顔にできた時……ウチはアイドルになる、ってな」
希「実際には、ウチができたことなんてほんの少しで……やっぱり、皆のおかげなんやろうけど」
希「今、ウチはこうしてアイドルになれてる」
希「だから、皆。二人を笑顔にしてくれて……ウチをアイドルにしてくれて、ありがとう!」
6人「……」
希「あ、あれ……?」
穂乃果「のぞみぢゃあああああん……」グスグス
希「穂乃果ちゃん!?」
海未「私達を陰で支え続けてくれたのには、そんな理由があったんですね……」
真姫「……全く、昔っから面倒な人なのねあなたは……」
花陽「ふぇぇぇ……」
凛「感動だにゃぁぁ……」
希「ちょ、ちょっと!そんな大したことやないって!」
穂乃果「でも、でもっ……」
希「もう、皆泣かんといてー!」
~部室外~
にこ「……あーあ、こりゃしばらくかかりそうね。どうする、絵里?」
絵里「……」
絵里「……やっぱり、あの時の相手はにこだったのね」
にこ「そうよ、それがどうかした?」
絵里「ごめんなさい……あの頃から私が周りを見て行動してたら、にこはもっと早くアイドルに戻れてたのに」
にこ「ま、アイツと二人でアイドルやるってのも楽しそうではあったけどね」
希『ちょっと、皆して抱きつかんといて!苦しいって!』
にこ「希がいて、絵里がいて、後輩達がいて。今この時のためならどってことなかったわよ、2年くらい」
絵里「……そうね……ねぇ、にこ」
にこ「何よ?」
絵里「ラブライブ、優勝しましょうね」
にこ「誰に向かって言ってんのよ」
絵里「そうね。あの時の話は、そこでたっぷりしましょう」
にこ「何言ってんのよ、卒業式の日まで取っとくに決まってるじゃない。慌てる顔を最後に目に焼き付けてやるんだから」
絵里「面白そうね、それ」
にこ「でしょ?今までの分、たっぷりお返ししなくちゃね」
絵里「イタズラと、セクハラと?」
にこ「あと……ありがとう、とか」
絵里「ふふっ、そうね」
————————————
穂乃果「希ちゃあああん!大好きだよおおおおおおお!」
希「ああもう、わかった、わかったから!」
希「ウチも皆のこと、大好きやよ!」
これにて完結です!
以前にもにこの過去編を書いたことはあるのですが、それとは違うアプローチで書いてみました。
希の誕生日に蔵出ししましたが日付の上では2日遅刻……希お誕生日おめでとう!
最後までお付き合いありがとうございました。
おつ
さすがにこね
スピリチュアルや
この短さが丁度いい
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