【ラブライブ!】絵里(まずいわね、体調が悪いわ……)
- 2020.04.03
- SS

絵里「――はぁ、―はぁ」フラフラ
にこ「……」
海未「よしっ!いい感じです!いったん休憩にしましょう」
絵里(ふぅ……。休憩ね)フラッ
穂乃果「はぁー疲れたー!」
凛「まだまだいけるにゃー!それに練習は始まったばかりにゃ!」
ことり「あはは、凛ちゃんは元気だね」クスッ
凛「あったりまえにゃー!」ワイワイ
絵里(ふふ、みんな元気ね。確かに練習は始まったばかりだし、これくらいで休むわけにはいかないわね)
にこ「絵里、悪いんだけど飲み物買いに行くのに付き合ってくれない?」
絵里「……にこ?別にいいけれど?」
にこ「悪いわね。あと、花陽!」
花陽「ん?どうしたのにこちゃん?」
にこ「ちょっと買い出しに付き合って」
花陽「別にいいけど?どうかしたの?」
絵里「そんな大人数で行かなくてもいいんじゃない?」
にこ「いいから!ついてきなさい」スタスタ
ぱなえり「……?」カオミアワセ
花陽「にこちゃんどうしたのかな?」ヒソヒソ
絵里「……」フラフラ
花陽「絵里ちゃん?」
絵里「!。あ、ああそうね。でも、にこの事だし皆の分でも買おうと思ってるんじゃないかしら?」ヒソヒソ
絵里(まずいわ。さっきより酷くなってる)
花陽「絵里ちゃん、本当に大丈夫?汗、すごいよ?顔色もなんだか悪いし……」
絵里「え、ええ。心配いらないわ。少し寝不足なだけよ」
にこ「……」スタスタ
にこ「着いたわ」ピタッ
絵里「ここって」
花陽「保健室?」
にこ「失礼しまーす」ガララ
にこ「ええ、行くわよ。んー?先生はいないみたいねー」
絵里「だったら―」
にこ「絵里!」
絵里「な、なによ」ビクッ
にこ「そこのべッドに横になりなさい」
花陽「に、にこちゃん?」
絵里「に、にこ?」
にこ「はぁ……気付かれないとでも思ってるの?」
絵里「気付くって何よ?」
にこ「ああ、もう!めんどくさいわね!こっち来る!」ガシッ
絵里「ちょ、ちょっとにこ!?」グイッ
絵里「なんd」
にこ「いいから!」
絵里「もう……」ゴソゴソ
にこ「はい、横になる!」
絵里「はい……」トサッ
にこ「ほんと、世話が焼けるわね。花陽、そこの体温計とってくれない?」
花陽「う、うん。はい」スッ
にこ「ありがと。ほら絵里、これで熱測りなさい」
絵里「熱なんて無いのに……」
にこ「無いなら無いでいいのよ。ほら早く」
絵里「分かったわよ」
にこ「八度五分。どう考えても熱があんじゃない」ヤレヤレ
花陽「絵里ちゃん……やっぱり体調良くなかったんだね」
絵里「そ、そんなことないわよ。まだ出来るわ。ほら、練習に戻りましょ」フラフラ
にこ「いい加減にしなさい!」クワッ
えりぱな「ひっ!」ビクッ
にこ「いつまでもつまんない意地張ってんじゃないの!絵里は風邪ひいてる!だから今日は練習休んで帰って寝る!分かった!?」
絵里「……ごめんなさい、にこ。そうね、今日はそうさせてもらうわ」
にこ「ふん。賢い子で助かるわ」
にこ「それじゃあ花陽!」
花陽「な、何かな、にこちゃん?」
にこ「私は絵里の荷物を持ってくるから、あんたは絵里が無理しない様に見ていてあげて」
花陽「う、うん!」
にこ「ありがと。じゃあ、行ってくるわね」スタスタ
絵里「ええ、大丈夫よ。心配かけてごめんね」
花陽「そんなことないよ。それよりも、さっきのにこちゃん……」
絵里「そうね、さっきのにこは……」
えりぱな「お姉さんみたいだったよね(わね)」
えりぱな「ぷっ、あははははは!」
絵里「さしずめ私は駄々をこねる妹といったところかしら?」クスクス
花陽「絵里ちゃんが妹でにこちゃんがお姉さんなんて、なんだか不思議な感じがするよね」クスクス
絵里「そうね。自分でいうのもなんだけど、私は姉の方が似合うかもね」
花陽「でも、あんなに声を荒げたにこちゃんは久しぶりに見たよね」
絵里「ええ。ちょっと驚いちゃったわ。まあ、素直に言うこと聞かない私が悪かったんだけど」
花陽「怒った、ていうのもあると思うけど。多分何よりも絵里ちゃんの事が心配だったんだと思うよ」
絵里「心配?」
花陽「それでね、それぞれがメンバーに抱いているイメージを言い合ったんだけど、にこちゃんは絵里ちゃんの事をよく見てると思った」
絵里「にこが私の事を?」
花陽「そう、絵里ちゃんの事を、だよ。絵里ちゃんは海未ちゃんみたいにμ’sを引っ張ってくれるけど、責任感が強すぎるから時々無理をし過ぎちゃうんだって」
花陽「だからにこちゃん言ってた。そんな絵里ちゃんを大切にしてあげたいし、できるだけ支えてあげたいって。μ’sのメンバーとして、そして一人の親友として」
花陽「だから絵里ちゃん。さっきのにこちゃんは……って絵里ちゃん?」
絵里「……うぅ」グスッ
花陽「……絵里ちゃん」クスッ
花陽「ちょっと、にこちゃんが来ないか外見てくるね」スタッ
絵里「……グスっ」コクコク
花陽「外にいるから、何かあったら呼んでね」ガララ
絵里「うぅ……にこぉ……」ポロポロ
絵里「そんなの、卑怯よぉ……」ポロポロ
絵里「ここ、あっそうだ、私保健室で寝てて……」
絵里「今は……時間はそんなに経ってないわね。まだ練習してるじゃない」
絵里(だいぶ良くなったけど、まだまだ全快とは程遠いわね)
絵里「ん?何かしらこれは」ピラッ
『絵里へ
眠ってたみたいだから、起こさないでおいた。起きたらすぐに家に帰ること!それであったかくしてよく寝なさい。
辛いようならまずは体調を優先して、しっかり休むこと!
それじゃあね。あまり気に病み過ぎちゃだめよ?
にこ、花陽より
PS 穂乃果達が帰りにお見舞い行くかもしれないから、一応気に留めときなさい』
絵里「ふふっ、ほんと世話焼きねえ」クスクス
絵里「練習終了までまだ時間はあるし、今日は帰らせてもらいましょうか」ゴソゴソ
絵里「あっそうだわ!帰る前に」カキカキ
絵里「これで良し!さて、少し回復してる間に帰りましょうか」スタスタ
『にこ・花陽へ
先に帰ります。看病ありがとう!
絵里』
穂乃果「やったー!終わったよー!」
凛「さすがに疲れたよー!」
ことり「今日も疲れたね」
穂乃果「そうだねー。あっ!そうだ!絵里ちゃんのお見舞い行こうよ!」
凛「それは良い考えだにゃ!凛、ラーメン持ってくにゃー!」
ことり「でも、いいのかな?大人数で押し掛けると迷惑になりそうだけど……」
希「ええんちゃう?えりちも皆が来てくれたら喜ぶやろうし」
ほのりん「決まりだね!」
穂乃果「皆はどうするー?」
真姫「私も行くわ」
海未「私も行きます」
穂乃果「にこちゃんと花陽ちゃんはー?」
花陽「え、ええっと」チラッ
穂乃果「あ、なら穂乃果達も行く!」
にこ「それはだめよ。もしまだ寝てたら起こしちゃうかもしれないし、それにただ寄るだけなら人数は少ない方がいいからね」
穂乃果「ええーでもー」ブー
希「まあええやん?あっちはにこっちと花陽ちゃんに任せようや。うちらは行く前にお見舞いの品でも買ってから行こうや」
海未「それもそうですね。それでは私達はお先に失礼します」
にこ「うん。絵里は体調悪いんだから迷惑かけるんじゃないわよ」
ほのりん「大丈夫大丈夫ー!」バタン
花陽(一番心配な人たちが返事しちゃったよ)
にこ「さて、と。私達も行きましょ?」
花陽「そうだね、にこちゃん」
花陽「……」スタスタ
にこ「花陽、悪かったわね」
花陽「え?どうしたのにこちゃん?」
にこ「絵里のためとはいえ、花陽にまで迷惑かけちゃったわ」
花陽「にこちゃん……。ううん、大丈夫!むしろ頼ってもらえて嬉しかったよ」
にこ「花陽……」
花陽「それにね。やっぱりにこちゃんはすごいなって再確認しちゃった。てきぱき動いて、時に厳しくでも優しい。にこちゃんはやっぱり私の憧れだなって」
にこ「ふふ。そうね。なんて言ったって私はスーパーアイドルのにこにーだからね!」
花陽「うんっ!にこちゃんはスーパーアイドルだよ!」
にこ「そんな私を憧れだなんて言ってくれる人がそばに居るなんて、私は幸せなアイドルね。ありがと、花陽!」ニコッ
花陽「い、いやっ、うぇっと…ど、どういたしまして///」アセアセ
にこ「さてと、早いとこ見ちゃいましょうか。あいつらだけだと絵里が心配になるわ」
花陽「うん!そうだね!」
絵里「七度八分。少し下がったわね。やっぱり無理をしなかったのが功を奏したのかしら」
絵里「って、無理をさせてくれなかっただけなんだけどね」クスッ
ピンポーン
絵里「あ、誰か来たみたいね。まあ、何となく察しはつくけれど」
コンコン
亜里沙「お姉ちゃん?」ガチャ
絵里「はーい、どうかしたの?」
亜里沙「μ’sの皆さんがお見舞いに来たけど、上がってもいいかって」
絵里「ええ、大丈夫よ。少しは落ち着いたし」
亜里沙「ハラショー!分かった」タタタ
絵里(お見舞いに来てくれるなんて、ありがたいわね。にこにもお礼を言わないと)
オネエチャンガハイッテモヨイト ヤッター! ダダダダ
凛「おらっ!ラーメン食えラーメン!」
海未「体調はどうですか?」
希「もー無理し過ぎやん?」
ことり「食欲わかないかもしれないから、亜里沙ちゃんに頼んでケーキ冷蔵庫に入れといたからね」
真姫「エリーが風邪って珍しいわね」
絵里「皆、ありがとう。おかげでだいぶ良くなったわ。……ってあら?にこと花陽の姿が見えないけどどうかしたの?」
希「ああ、二人はえりちが保健室にいないか確認してから来るよ」
絵里「そう……」シュン
希「えりち?」
絵里「あ、ああ!何でもないのよ!」アセアセ
海未「今日は絵里が体調を崩したということもあり、少し全体練習には不向きだと判断したのでユニットごとの練習にしたんです」
絵里「ああ、そうなんだ。マッキー、練習は上手くできた?」
真姫「ええ、大丈夫よ。なんだかにこちゃんがすごく張り切ってて、少し大変だったけどね」ヤレヤレ
絵里「ふふっ、なんだかその情景が目に浮かぶわ」クスクス
真姫「それに、エリーの事すっごく心配してたわよ」
絵里「えっ?にこが?」
真姫「ええ。エリーはいつも無理するとか、一人で背負いすぎるとか口を開けばエリーの事話してたわ」クスクス
希「にこっち、心配性やし世話焼きやけんなあ。らしいっちゃらしいけどな」
絵里「に、にこ……」ウルウル
絵里「ご、ごめんね?ただ、こんなに心配してもらえて嬉しくてね」グスッ
海未「分かります。風邪をひいたときに優しくされると、なんだかとても救われた気持ちになりますもんね」
リンチャーン、ミテミテー! オオースゴイニャー! フ、フタリトモ!アマリサワラナイホウガ
希「加えてえりちは泣き虫やしな」クスクス
真姫「そうね。エリーは意外と涙もろいわね」
絵里「そ、そんなこと……」
ピンポーン
希「おっ、にこっち達が来たみたいやね」
絵里「!!」パァァ
穂乃果「あ、にこちゃん達かな?」
凛「出迎えにいくにゃー!」ダッ
穂乃果「ちょう、待てやお前!」ダッ
ことり「ここ、絵里ちゃんちなんだけどね……」アハハ
希「ビンゴみたいやね」
海未「それにしては少し遅かった気がしないでもないですね」
真姫「言われてみれば、そうね?」
希「うーん。まあでもええやん。こうして来たんやし」
海未「それもそうですね」
ドタドタ バンッ
穂乃果「にこちゃん達来たよー!」
凛「きたにゃー!」
花陽「お邪魔します。絵里ちゃんその後はどう?」
絵里「ええ、おかげさまでね。あれ?にこは?」
希「ビンゴみたいやね」
海未「それにしては少し遅かった気がしないでもないですね」
真姫「言われてみれば、そうね?」
希「うーん。まあでもええやん。こうして来たんやし」
海未「それもそうですね」
ドタドタ バンッ
穂乃果「にこちゃん達来たよー!」
凛「きたにゃー!」
花陽「お邪魔します。絵里ちゃんその後はどう?」
絵里「ええ、おかげさまでね。あれ?にこは?」
真姫「そうね。エリー、酷くなったら私のとこに来なさい」
ことり「じゃあね絵里ちゃん。早く元気になってね」
穂乃果「じゃあね、絵里ちゃん!また来るねー!」ゾロゾロ
ミナサン、モウカエラレルンデスカ? ウン、エリチャンニヨロシクネ!
花陽「絵里ちゃん、熱は今どれくらい?」
絵里「学校にいる時よりはだいぶ下がったわ。今は八度も切ってるし」
花陽「良かった。早く元気になってね、絵里ちゃんがいないと海未ちゃんが大変そうだし。何よりとても寂しいから」
絵里「ありがとう、花陽。あなたとにこのおかげで早くに復帰できそうよ」
花陽「そっか。私ちょっとにこちゃんの様子みてくるね」スッ
絵里「ええ、私も少しだけ横になるわ」
花陽「何かあったら呼んでね?」
絵里「ありがとう」
絵里(あれ、何か冷たい感触がおでこに)
??「だいぶ落ち着いてきたわね。これなら明日にでも回復するんじゃないかしら」
絵里(この声って)
??「ふふっ、ぐっすり眠っちゃって。でも、今くらいのあんたが見ていてとても安心できるわ」
絵里(何だろう。起きたいのに起きれないわ)
??「あんたはいつも気を張り過ぎなのよ。たまにはこうして誰かに頼ることも覚えなさい」
??「私だけじゃない。あんたにはとっても素敵な仲間がいるんだから」
絵里(でも、起きなくていいやって思えるほど)
??「特にあんたの場合は極端ね。全部自分で片付けようとするんだから。ほんと不器用すぎよ」
絵里(語り掛けてくる声が心地よ過ぎて)
??「けど、私も似たようなタイプだから分かるわ。あんたの気持ちが痛いほどにね」
??「だから、もしあんたが止まれなくなったら私が止めてあげる。どうしようもなくて押しつぶされそうになったら私が支えてあげる」
絵里(けれど、どこか不安になるような)
??「だからね、絵里。無理はしないで頂戴ね。もう、仲間を失うようなことはしたくないの」
??「……ふふっ。なーんて、わがままよね。もう帰るわ。ゆっくりお休み、絵里」
絵里(私の大好きな、どこか似たような……)
絵里(とっても愛しい言葉達)
絵里「おはよう、希」フリフリ
希「あっ、えりち!もう大丈夫なん?」
絵里「ええ、おかげさまでね。でも、病み上がりだし今日の練習は休むことにするわ」
希「うん。うちもそれがええと思う。別に無理をせなあかん場面でもないしな」
絵里「そうね。皆に迷惑かけちゃったわね」
希「もー!そんなん気にせんでええんよ?遠慮はなしやし、困ったときはお互いさまやで」
絵里「そうね。ねぇ希?」
希「ん?どうしたん?」
絵里「いまさら言うのもなんだけど……私μ’sに入ってよかった!みんなに出会えてよかったわ!」
希「!!」
絵里「ええ。そういえば、にこはどこにいるか分かる?」
希「にこっち?今なら部室じゃないかな?」
絵里「ありがとう、ちょっと行ってくるわ!」
希「ん?なんか用でもあるん?」
絵里「実は昨日お礼言いそびれちゃったの。だからね」ダッ
希「……ふぅん、そっか」
希(えりち……なんでそんなに嬉しそうなん?)
絵里(さて、呼吸を整えて)スーハースーハー
コンコン
絵里「入るわよー?」
ガチャ
真姫「んー?あれ、エリーじゃない?どうしたのよ、こんな時間に」
絵里「マッキー、あなた一人なの?」キョロキョロ
真姫「今は、ね。さっきまでは花陽とにこちゃんもいたわよ?」
絵里「にこが!?そ、それで今はどこに?」ズイッ
真姫「ヴェェェ?た、確か今は一年の教室に向かったはずよ。凛を呼ぶって」
絵里「一年生の教室ね!?分かったありがとう!」ダッ
真姫「な、なんなのよまったく」
絵里(ふぅ、疲れるわね。結構急いできたわ)
絵里(さて、呼吸を整えて)スーハースーハー
コンコン
絵里「失礼します」
キャーセイトカイチョウヨー! ヤッパリキレイヨネー!
花陽「あ、あれ?絵里ちゃん?どうしたの?」
絵里「あ、花陽!に、にこを見なかった?」ズイッ
花陽「ウェェェェ!えっと、にこちゃんなら凛ちゃんと一緒に飲み物を買いに行ったよ?」
絵里「飲み物?それはどこに?」
花陽「えっと、さすがにそこまでは……」
絵里「あ、ああそうよね、ごめんなさい。失礼するわね」
花陽「う、うん」
絵里「失礼しました」ガララ
絵里「まいったわね。まるで私をあざ笑うかの如くにこに出会えないわ」
絵里「教室に戻りましょうか」
絵里「そうよね。焦りは禁物よね」ズーン
希「ところでえりち」
絵里「どうしたの?」
希「にこっちの事好きやな~」
絵里「!?ちょ、ちょっと希!?」アセアセ
希「ふふふ、冗談冗談」クスッ
絵里「も、もう!やめてよ……」
希「ほら、そろそろ授業始まるよ?席つかんと」
絵里「えっもうそんな時間?はやいわねー」
希「ほなまたなー」フリフリ
絵里「ええ、またね」フリフリ
希(うーん、えりち。それはまずいんちゃうかな)
希(まあ、まだえりち自身が気がついとらんだけましやけどな)
希「……はあ」
穂乃果「さあ、練習だよ!いざ屋上へ!」
凛「テンション上がる―!」
ことり「元気だねー」
花陽「まっ、待ってー!」
真姫「もう、騒がし過ぎよ」
希「……」
海未「ん?希、どうかしたのですか?」
希「そうやなぁ。したというかしないというか。しそうというか」
海未「何か悩みがあるなら是非とも相談してほしいのですが」
希「悩みというよりは心配事やな。あくまで可能性の話や」
海未「それでもいいです。抱え込むよりは話した方がいいでしょうし」
希(うーん。海未ちゃんなら大丈夫かな)
希「そうやね。例えばの話、海未ちゃんは穂乃果ちゃんに告白されたらどうする?」
希「そうそう。告白よ。正真正銘の愛の証明の事。それで、どうする?」
海未「そ、そんな、いきなりそんなこと言われましても」アセアセ
希「まあそう焦らんと。あくまでたとえ話やし、誰にも言ったりせんから」
海未「う、うーん、そうですね。穂乃果からですか。うーん……」
海未「一概に答えを言うわけではありませんが、とても嬉しいと思います」
希「嬉しい?」
海未「はい。穂乃果とはずっと幼馴染ですが、もし仮に穂乃果がその枠を超えて、さらに私の近くに歩み出てくれたとなれば、私はとても幸せに思いますし、嬉しく思います」
海未「もちろん、その告白を安易に受け取るとは思いません。とてもじゃないですけど、一般的ではないですからね」
希「だったら、やっぱり断るん?」
海未「そして何日も何日も、もしかしたら年単位で悩んで悩みぬいた末に私は、その思いを受け止めるのだと思います」
希「え、でも、さっき一般的じゃないって」
海未「そうですね。俗世からはかけ離れたことです。しかし、だからと言って穂乃果の思いを世間の目を気にして無下にするほど私は非情な人間ではありません」
海未「それに穂乃果が勇気をもって誠意をもって伝えてくれた気持ちです。こちらもそれにきちんと向き合い、答えを導き出すのが筋というものですよ」
希「それでもいいん?」
海未「はい。私の言葉に嘘はありませんよ。これが私の答えです」
海未「何かおかしなことを言ったでしょうか?」キョトン
希「いや、実に海未ちゃんらしいと思ってな。ホントに目を見張るほどまっすぐでかっこいいね」
海未「かっこいいなどそんなことないです。ただのしがない妄想狂ですよ」フフッ
希「そっか、ありがとね。いまのでうちもよくわかった気がする」
海未「お役に立てたのなら光栄です」
希「さっ、うちらも行こうか」
海未「ええ、そうですね」
凛「ふっ、よかろう」
海未「その意気です!それでは手始めに二人組で柔軟をしてください」
一同「はーいっ!」
穂乃果「海未ちゃんやろうっ!」
海未「はい、喜んで」
花陽「凛ちゃん、組もう?」
凛「ふっ、よかろう」
ことり「真姫ちゃん、やろっか?」
真姫「ええ、いいわよ」
希(今日はえりちが休みやし……)
にこ「希、やりましょ」
希(にこっちに確認したいこともあるし、好都合やな)
希「うん。ほな、やろうか」
希「……」グッグッ
希「なあ、にこっち?」
にこ「なによ?」
希「にこっちはμ’sが好き?」
にこ「はー?何よいきなり」
希「まあまあ、いつものうちの戯言と思って」
にこ「そう。まあ、好きか嫌いかで言われたら好きね」
希「素直やないなあ」クスクス
にこ「うるさいわねー」
にこ「あー?あんた、今の質問の意図は何よ」
希「別に?まあええから答えてや」
にこ「……嫌よ」
希「ええーなんでやー。別に他意はないんよ?」
にこ「ええ知ってる。だから私も答えない。それだけよ」
希「もー」
希(流石ににこっちは一筋縄ではいかんか。だったら、ストレートにいくしかないなあ)
希「ねえ、にこっち?」
にこ「今度は何よ?」
希「えりちのこと……好き?」
にこ「」ピタッ
希「いや、別に深い意味はないんよ?」
にこ「そう……」
希(ん?にこっちなんで黙り込むん?)
希(も、もしかして、にこっちもなん!?)
希「に、にこっち?あんまり深く考えんでええんよ?」アセアセ
にこ「―――そう、なのかもね」ボソッ
希「え?なんて?」
にこ「希の言う通りよ。私、多分絵里に気があるみたいだわ」
希「ほ、ほんまなん?気の迷いとかじゃなくて!?」
にこ「ええ。私、本気よ」
希「にこっち……」
希「ん?にこっち?」
にこ「ふふっ。あっはははは!おっかしーわね、もうっ!」クスクス
希「きゅ、きゅうにどしたん?」キョトン
にこ「希、いくらなんでも信じ過ぎよ!ふふっ」
希「……も、もしかして」
にこ「ええ、そうよ。今の話は全部嘘!あんたに合わせてただけなのよ」
にこ「それなのにあんた、マジになっちゃって。あーおかしい!」クスクス
希「むぅうう」ムスッ
希「後でわしわしやね」
にこ「はいはい、好きにしなさい」ヤレヤレ
にこ「それにね、希」
希「ん?」
にこ「あんたが抱えてる心配事、ちゃんと分かってるわよ」
希「えっ、なら……」
にこ「ええ、知ってる。でも大丈夫よ。あんたが気にすることじゃないし、私一人でも何とか出来るわ」
にこ「だから、希は心配しなくても大丈夫。でも、どうしようもなくなったら、その時は手を貸してちょうだい?」
希「もう、そんなん卑怯やん」ハァ
希「でも、そんときにはもちろん力になるよ」
にこ「ええ、頼りにしてるわね」
海未「さて、そろそろ練習を始めましょう!」
にこ「おっ。さあ希、行きましょうか」
希「うん、そうやね」
pipipi
絵里「六度五分。完全に下がったわね」
絵里「体調も悪くないし、特に異常もない」
絵里「これも、にこのおかげね。昨日のおかゆだけじゃなくて、温めたら食べれる料理まで作り置きしてくれるなんて」
絵里「はやく、直接お礼を言いたいわね……」
絵里「今日はにこの顔見れてないし・・・・・・」
絵里「電話…いや、にこにメールを送ろうかしら」
絵里「うん、そうね。とりあえず文面だけのお礼でも」
ポチポチポチ
絵里「よしっ!こんなものかしらね」
絵里「それじゃあ、送信っと」ポチッ
絵里「な、なんだか普通のメールなのにやけにドキドキするわね」ドキドキ
絵里「そうよね、にこだってお姉ちゃんだもんね。忙しいに決まってるわ」ソワソワ
ポチッ
絵里「……」
ポチッ
ポチッ
絵里「……」
ポチッ
ブーブー
絵里「!!」
絵里「にこからだわ!」パアァ
絵里「えーっとなになにぃ」ワクワク
絵里「にこ、ほんとに心配してくれてるのね」キュン
絵里「ん?なんか今胸が苦しくなったような?」
絵里「何なのかしら?まあいいわ。それより返信を♪」
ポチポチポチ
絵里『心配してくれてありがとう!熱は完全に下がったし、明日からはちゃんと出れそうよ。
これもにこのおかげね!』
絵里「そうしーん!」♪
絵里「ふふふ。返事はまだかなー」ルンルーン
亜里沙「お姉ちゃん、体調はどう?」
絵里「あら、亜里沙。ありがとう、もう大丈夫よ。心配かけたわね」
亜里沙「よかった。それより何かいいことでもあった?」
絵里「え?どうして?」
亜里沙「お姉ちゃん、すごく幸せそうな顔してるなって」
絵里「ええっ!?そう見える?」
亜里沙「うん。とっても嬉しそう」ニコッ
絵里「そう、そっか……。そうね、私とっても幸せだわ」ニコッ
亜里沙「もう大丈夫そうだね。良かった」
亜里沙「私、また下に戻るから、何かあったら呼んでね」タタタ
絵里「ええ、ありがとう」
絵里「!!」
ポチッ
にこ『ならよかったわ。明日、元気な絵里を見たいから、ちゃんと練習出なさいよね。
だから今日は早く寝ること。いいわね?』
絵里「もう、にこったら。お姉さんなんだから……」
絵里「私も、にこに会いたいわ……」
ポチポチポチ
絵里『にこの言うとおりね。今日はもう寝させてもらうわ。それじゃあね。また明日、学校で!』
絵里「送信っと」
絵里「さて、寝ましょうか」バサッ
絵里「ふふふ。早く明日にならないかなっ」
絵里「おはよー!希!」
希「おっ、えりち。もう完全に復活したみたいやな!」
絵里「ええ、おかげさまでね!」
絵里「さて、ちょっと部室に行ってくるわね」
希「うん?なんか忘れ物?」
絵里「ちょっとにこがいないか見てこようかと思ってね」
希「ああ、ほんまに・・・・・・」
絵里「えっ?どうしたの!?」
希「あっ、ううん。なんでもないんよ。ほら、あんまり時間ないんやし、はよ行ってき?」
絵里「そうね。じゃあ、また!」タタッ
希(にこっち、これほんまに大丈夫なん?)
絵里「まあ、最悪今日は練習で会えるから問題はないけど」
絵里「ふふっ」
絵里「らんららーん♪」クルクル
ミテ、セイトカイチョウガ ウワースゴクキレノアルオドリダワ
絵里「……」
絵里「羽目を外し過ぎるのも問題ね」コホン
絵里「にこ、いるかな」ドキドキ
絵里(なんでこんなにドキドキしてるんだろう)
コンコン
絵里「入るわよー」
ガチャ
絵里「……誰もいない」キョロキョロ
絵里「う~ん?そんな事ってあり得るのかしら」
絵里「でも、居ないのは仕方ないし……惜しいけど練習まで我慢しましょうか」クルッ
絵里「……はぁ」
??「…で……ね」
絵里「あれっ、この声ってにこ?」
絵里「まちがいない、あれはにこね!」ダッ
絵里「あっちの方からだわ」
??「でもっ!あの時の事はちゃんとしたいの!」
絵里(!。にこだけじゃない!?)ピタッ
ソー チラッ
絵里(あれは!)
絵里(にこの……元アイドル研究部の二人じゃない)
元部員A「そんなこと分かってる!都合がいいと思われてもいい!でも、私たち二人でちゃんと話し合った結果なの!」
元部員B「にこちゃんに嫌われてもいい、恨まれてもいい。でも、あの時の事ちゃんと謝ろうって決めたの!」
絵里(謝る?あの時の事?もしかして彼女達、自分達のせいでにこがアイドルを諦めかけちゃったとか思ってたり?)
にこ「そんなの・・・・・・本当に今更よ。あの時あんた達は自分たちの意思でアイドル研究部を辞めた」
にこ「そこにどんな理由があれ、私がその意思を恨んだりなんて無いわ。だから、そもそも謝罪なんてされる筋合いなんてない」
にこ「話はこれで終わりよ」スタスタ
元部員A「待って!」ガシッ
元部員A「にこっ!ほんとにごめん!」
元部員B「にこちゃん、ごめんなさい!」
にこ「・・・・・・」
元部員A「確かにあの時、お客さんは一向に増えなかったし、続けていても意味あるのかなって思った」
元部員A「だから私達は二人で話し合って、部を去るって決断をした」
元部員B「でも、私達はとっても大事なことを忘れていたの」
にこ「大事なこと?」
元部員B「そう。とってもとっても大事なこと。それはにこちゃんの事なの」
にこ「私?」
元部員A「でも、私達はそれをにこに伝えようとしなかった!同じアイドル研究部の部員として!一人の友達として!」
にこ「!!」
元部員B「結局そのまま私達は部を辞めた。にこちゃんから逃げたんだ」
元部員B「私達が辞めたらにこちゃんが一人になると知っておきながら」
にこ「……」
元部員A「辞めて数日は気分が楽だった。ああ、これであの日々から解放されるんだって」
元部員A「でも、日にちが経つごとに、私達は次第に一人残されたにこの事を気にかけるようになった」
元部員A「今にこはどうしてるだろう。一人でも続けてるのかってね」
元部員B「その時のステージを見て私達は酷く後悔しちゃった・・・・・・にこちゃんを一人にしちゃったことを」ポロポロ
元部員B「あんなに楽しそうにアイドルしてたにこちゃんが、あんなに辛そうに、何かを我慢するみたいに踊ってて……歌って…」ポロポロ
にこ「あんた達・・・・・・」
元部員A「今ではμ’sで活躍してるにこだけど、あの時の事が無くなったわけじゃない。私達がにこから逃げたことは、まぎれもない事実だから」
元部員A「こんな言葉だけの謝罪で許されるなんて思わない。でも、こうでもしないと、わたしッ……わたしっ…!」グスッ
元部員A「にこっ!本当にごめん!ごめんなさいっ」グスッ
元部員B「にこちゃん、逃げてごめんね。ちゃんと向き合わなくて、ごめんね……」ポロポロ
元部員A・B「うっ……グスッ・・・・・・」
にこ「……あんた達の気持ち、痛いほど分かったわ」
にこ「確かに、あの時は本当に辛かったわ。登りかけの階段を一気に足場ごと崩された気分だった」
にこ「あんた達の言う通り、一人で舞台に立つのも苦痛だった」
にこ「最初から一人じゃなくて、一人になって立ったステージだもん。笑顔でいる方が難しいわ」
にこ「でもね、それでも・・・・・・」ギュッ
元部員A「に、にこ!?」
元部員B「に、にこちゃん!?」
にこ「あんた達といた時間、今でも私の大切な宝物よ」
にこ「当たり前でしょ。私が立ち上げた部活にあんた達が入るって言ってくれた時、どれだけ嬉しかったと思ってるのよ」
にこ「その日は私、いろんな事を想像したわ。あんた達と部室でおしゃべりする日、一緒に楽しく練習する日」
にこ「ああ、やっと私の夢が始まるんだって、本気で思えたんだもの」
にこ「でも、それから私は自分本位で、とにかくアイドルになりたい、近づきたいって一心でやってた」
にこ「あんた達が一緒にやるって言ってくれた嬉しささえ忘れてね……」
にこ「だから、本当に謝らないといけないのは私の方・・・・・・」ギュゥゥゥ
元部員A「や、やだ、なんでにこが謝んのよ……」グスッ
元部員B「そ、そうだよ……私達の方が悪いに決まってるのに……」ポロポロ
にこ「ごめんなさいっ・・・・・・うっ、うわあああぁぁん!ごめんね、ほんとにごめんねっ」
元部員A「うっ、なんで泣くのよぉぉぉ!にこのばかぁぁぁ…!」
元部員B「ひっぐ、ぐすんっ、うええぇぇぇん!ごめんね、にごぢゃぁぁん!」
絵里「――――ッ!」ダッ
絵里(駄目だ。私はあれ以上、あの場に居ちゃいけない・・・・・・)
絵里「――――」グスッ
希「おっ!えりち~。にこっちには会え・・・・・・どうかしたん?」
絵里「何でもないのよ、何でも」
希「何でもない人は目を赤く腫らしてないよ」
希「なんかあったんやね」
絵里「大丈夫よ。本当に何でもないから」
希「えりち……」
絵里「心配してくれてありがとう、希。でも、本当に大丈夫だから。ね?」
希「……そっか。分かった。なんかあったら言うんよ?」
絵里「ええ、ありがとう」
希(次から次へと問題はつきんなぁ……)
ブーブー
希「??」
穂乃果「わーいっ!放課後だーっ!」
凛「うひょー!テンションが上がりまくりうひぃい!」
ことり「相変わらずだねー」アハハ
絵里「……」スタスタ
花陽「ん?絵里ちゃんどうかしたの?」
絵里「花陽・・・・・・、ううん、何でもないのよ」
花陽「そう?でも、とっても難しい顔してたよ?」
絵里「あはは、ほんとに大丈夫だから」
にこ「もーっ!またなんか抱え込んでんじゃないでしょうねー」
絵里「に、にこ・・・・・・」ウッ
にこ「なによ」
絵里「あ、ううん。なんでも・・・・・・ないのよ」
にこ「……」
にこ「そっ。それで、体調の方はどうなの?」
絵里「あ、えっと、うん。もう大丈夫よ。迷惑かけたわね」
にこ「はっ、何言ってんのよ。迷惑かけられた覚えはないわ。ねっ、花陽?」
花陽「うんっ!そんなことないよ絵里ちゃん!」
にこ「……はぁ。悪いけど花陽。先に屋上行っててくれない?」
花陽「え?う、うん、いいけど」
にこ「私は少し絵里に話があるから」
絵里「に、にこっ!?」
にこ「花陽、頼むわね。すぐに向かうから」
花陽「うん。分かった」タタッ
にこ「さてと、絵里。ちょっと来なさい」グイっ
絵里「え、ちょっとぉ!?」
にこ「あんた、どうしてそう隠すのよ」
絵里「隠すってなに―」
にこ「いい加減にしないと、本当にキレるわよ」
絵里「!」ゾクッ
絵里「で、でも……」
にこ「なに、にこには言いにくいこと?」
絵里「・・・・・・ええ、それもとてつもなくね」
にこ「そう。でも関係ないわ。言いなさい!」
にこ「どうしてもよ。そうやってすぐため込むのは絵里の悪い癖よ!」
絵里「ほっといてほしいんだけど」イライラ
絵里(何よ。私の事知ってるみたいに話して・・・・・・)
にこ「いいから!早く話す!練習遅れるわよ!」
絵里(私の事、本当は何も理解してないくせに!)
絵里(いっちょまえに理解者ぶっちゃって!)
にこ「絵里!」
絵里「―さい」ボソッ
にこ「あー何よ?」
絵里「―」プチッ
にこ「なっ…!」
絵里「私の事何でも知ってる風に振る舞って!本当は何も理解してないくせに!」
絵里「私がどんな気持ちでいるか!どんな思いでいるかなんてこれっぽっちも知らないくせに!」
にこ「なっ、何よ!わたしはただ、あんたの事が心配で―」
絵里「余計なお世話よ!にこに心配されなくても、私だけで何とかなるもの!」
にこ「何とかならないから心配してんじゃない!この分からず屋っ!」
絵里「分からず屋はどっちよ!この偽善者っ!」
絵里(ああ、こんなこと言いたくないのに……)
絵里「そうよっ!にこはただμ’sのメンバーだからってだけで私に気を使ってくれてるんでしょう!?」
絵里(本当は、笑顔でにことお話ししたいのに……)
にこ「そんなことないっ!わたしは―」
絵里(これ以上は言ってはいけない。でも、私は……もう)
絵里(止まれない)
絵里「また仲間に見捨てられるのが怖いから!独りになることが怖いから!少しだけでも恩を売っとこうと思ってるんじゃない!?」
絵里「『あの時』みたいにならないようにっ!」
絵里「……」ハァッ ハアッ
にこ「……そうね、あんたの言う通りだわ」
にこ「ごめんなさい。私、もう行くわね」
絵里(ハッ!私、なんてことを…!)
絵里「に、にこっ!ち、違うの!これは―」
絵里「――!」
にこ「―――ッ!」ウルウル
絵里(にこ、泣いっ)
にこ「最低っ!」ダッ
絵里「にこっ!」
絵里「私ってほんとバカね」
絵里「あんなに優しくしてくれてたのに……」
絵里「あんなに気を使ってくれてたのに……」
絵里「あんなに・・・・・・心惹かれてたのに……」グスッ
絵里「にこの事・・・・・・好きなのに……」ポロポロ
絵里「好きな人の事・・・・・・傷つけちゃった……」
絵里「のぞみ・・・・・・」グスッ
希「ごめんけど、さっきの事、見てた」
絵里「そう・・・・・・私、やっちゃったわ」
希「うん。えりちは酷い」
絵里()チクッ
希「えりち、ちょっとごめんな」スゥ
絵里「なによ……」
―パシィン!
絵里「の、のぞみ・・・・・・?」ヒリヒリ
希「えりち。言っとくけど、にこっちの痛みはこんなもんとちゃう」
希「それぐらい言ってはいけんことをえりちは言ってしもうたんよ」
絵里「そ、そんなこと―」
希「分かってる?どの口が言おうとしとるん」
絵里「のぞみ、なんか怖いわ……」
希「そりゃそうよ。うち今、本気で怒っとるもん」
希「なあ、えりち。正直うちとしてはこんなことしたくはないけど、いくら何でもあれは度が過ぎとる」
希「うちとしてはこんなことは起こってほしくなかったけど、もうどうしようもない」
絵里「全部・・・・・・気づいてたの?」
希「不器用なえりちのことやし、なんか起きんか心配しとったけど、うちの期待は呆気なく裏切られたわけや」
絵里「だったら……だったらどうして止めてくれなかったの!希なら、私を止められたでしょう!?」
希「うん。うちなら、えりちのガス抜きは出来たよ。でも、止められとったんや」
絵里「止められてた?」
希「そう。にこっちにな」
絵里「に、にこに・・・・・・?」
希「にこっちが大丈夫やって言うから、不安ながらも見とったんよ」
希「そしたら結果はこれや。まあ、お互い不器用やから、不運が重なってしもうたんやろね」
希「なあ、えりち。えりちの事、うちだって一から百まで理解できとるとは思わん。でも、さっきのは本心とちゃうやろ?」
絵里「そんなの・・・・・・当たり前じゃない」
絵里「それどころか、私気が付いたの。自分の秘めていた気持ちに」
絵里「バカみたいよね……今更、もう遅いのに」
希「そこで諦めるん?理由をつけて自分の本当の気持ちにまた嘘をつくん?」
絵里「だって、にこはもう・・・・・・」
希「えりち。えりちが知るにこっちを思い浮かべてみ?」
絵里「私が知るにこのこと?」
希「そうや。落ち着いてちゃんと思い出したら、もう迷ってる時間は無いんとちゃうかな?」
絵里「私が知る・・・・・・にこ」
―絵里!やったわねっ!
―にっこにっこにー!
―私が、支えてあげるわね。
絵里「!」
希「気が付いたみたいやな」
絵里「希、ごめんなさい。私、今すぐ行かないといけないところがあるの」ゴシゴシ
希「うん。その気持ち、しっかりな」
絵里「ありがとう。行ってくる!」ダッ
希「行ってしもうたなぁ……」
希「もう出てきてもええんちゃう?」
希「にこっち?」
希「ほんま、アイドル顔負けの演技力やなぁ」
にこ「あったりまえでしょ!なんてったって、にこはスーパーアイドルなんだから!」
希「それにしても、これからどうすん?」
にこ「どうするもなにも、もうわかってるでしょ」
希「まあなあ。ほんま、器用なんか不器用なんかわからんなあ」
にこ「言わせてもらえば、μ’sのメンバーで器用な奴なんていないわよ」
希「へー、うちもだめなん?」
にこ「どの口が言ってんのよ。あんたはもしかしたら絵里以上だわ」
希「あはは。まさかなぁ」
にこ「冗談じゃないわよ」
にこ「……はぁ」
にこ「そーゆーとこが、よ」
希「かなわんなあ」
にこ「ふん。それより、悪かったわね。結局、希の手を借りることになっちゃって」
希「ほんまよー。メール読んだときはしばらく理解できんかったんよー?」
にこ「悪かったわ。仕方ないとはいえ、その、希に辛い役を押し付けちゃったわ」
希「にこっち・・・・・・。ええんよ、別に。あれはうちがそうしたかっただけなんやし」
にこ「ほんとに、ありがと」
希「どーいたしまして」
にこ「じゃあ、そろそろ行くわね」
希「うん。もう大丈夫やな?」
にこ「ええ。おかげさまでね」タッ
絵里(謝りたい。今すぐにでも)
絵里(そして、伝えたい。私の、この気持ちを)
絵里(私の・・・・・・絢瀬絵里の本当の気持ちを!)
―ガチャ
絵里「……にこっ!」ハァハァ
にこ「やっと、来たのね」
絵里「に、にこっ!わ、わたしっ!さっきのこと―」
にこ「いいのよ、絵里。それより、答え見つけて来たんでしょ?それを聞かせてくれない?」
絵里(落ち着け。覚悟はできてる。後は気持ちを伝えるだけだ。そう、素直に)
絵里「わたし、やっと自分の気持ちに気がついたの!自分自身が抱く、本当の気持ちに!」
絵里「にこ、いいえ、矢澤にこさん。私、絢瀬絵里はあなたの事を・・・・・・愛しています」
絵里「酷いことも言った、迷惑も沢山かけた。でも、都合がいいかもしれないけど、私はにこの事が好き!」
絵里「にこにどう思われてもいい。でも、聞いてほしかった、私の本当の気持ちを!」
絵里「これが私よ。にこ」
にこ「……そう」
にこ「ようやく、素直になれたのね」
絵里「ええ。おかげさまでね」
にこ「その告白に対する、にこの返事」
絵里「・・・・・・いいえ。今はまだ遠慮しとくわ」
絵里「こんなこと言うのはあれだけど、さっきの事といい、にこにはいろいろ迷惑かけたりしてるから」
絵里「だから、まだ返事はいらない」
絵里「でもね、にこ」
絵里「私が自分の気持ちに近づく度に、にこの気持ちは私から離れていってたと思う」
絵里「けど、私はこうして自分の気持ちに気が付くことが出来た」
絵里「にこの前で、大好きな人の前で素直になることが出来た」
絵里「だから、私はその離れた心を引き戻すために、これからにことたくさん触れ合っていこうと思う」
絵里「たくさん、たくさん触れ合って、そして時期が来たらまた、改めてにこに告白するわ」
絵里「その時はちゃんとにこに返事を貰いたい」
絵里「ね、にこ。時間はかかるかもしれない。でも、私は決して諦めない」
絵里「にこが私を諦めなかったように、私はあなたを諦めない。絶対ににこを振り向かせて見せる」
絵里「これが私の思い。私の気持ち。嘘偽りのない、本物の!」
絵里「えっと、どこかおかしかったかしら?」
にこ「いいえ。ただ、少しだけ、ね」
絵里「??」
にこ「絵里」
絵里「どうしたの?」
にこ「気持ち、とっても嬉しいわ。その、期待してるから、ね」
にこ「あんたとの時間、私もとっても楽しみよ」
にこ「やっぱり、あんたは素直が一番ね」
絵里「ふふ、誰かさんのおかげね」ニコッ
にこ「ええ、とっても素敵で、その、かわいい」ボソッ
絵里「えっ、ちょっ!?そ、その///」カァァァ
にこ「ほら、かなり時間はくったけど、まだ全然あるわ。練習に行きましょ?」スッ
絵里「―ふふっ。ええそうね。ここからが始まりね」ギュッ
にこ「さあ」
絵里「行きましょうか」
にこえり「私達の未来へ!」
読んでくださりありがとうございました。
皆さんのアドバイス、とても参考になりました。
至らないところが多々あり申し訳ないとお詫びをするとともに、
終わりとさせていただきます。
ありがとうございました!
乙
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