【ラブライブ!】英玲奈「本当の自分」
- 2020.04.09
- SS

書き溜めアリ
劇場版の話になります。
勝手な設定があるかもしれませんが悪しからず。
穂乃果「遂に・・・・・・遂にやり遂げたんだね」
海未「ええ、私達の想いをすべて伝えることが出来たでしょう」
穂乃果「私達9人で歌えるのもあと一曲」
ことり「寂しいけど、みんなで決めたことだから、後悔しない」
穂乃果「うん!これが私達の音楽なんだ!」
ツバサ「大成功って言ってもいいんじゃない?」
あんじゅ「まあねぇ。あの子たちの顔見てよ」クスッ
ツバサ「ええ。あんなに輝いている彼女たちは久しいわ」クスッ
ツバサ「最大のライバルを失うのは辛いけど、最後にそのライバル達と最高のライブが出来た」
ツバサ「それは、私達にとっても大きな財産だわ」
あんじゅ「そうね。英玲奈もそう思うでしょ?」クルッ
ツバサ「あんじゅ、どうかしたの?」
あんじゅ「英玲奈が居ないんだけど」
ツバサ「・・・・・・英玲奈なら大丈夫。すぐ戻って来るわよ」
あんじゅ「……それもそうね」
ツバサ「ほら、少し休憩があって片付けのあと集合写真撮るから、私達もちょっと休憩しましょ」
あんじゅ「そうしましょうか」
ツバサ「多分その頃には、私達はさらに先へ進めているから・・・・・・」
英玲奈(まだ興奮が冷めやらないな。体全体が火照っている)
英玲奈(飲み物でも持ってくるべきだった)
ピトッ
英玲奈(・・・・・・おっ?何やら冷たい物が私の頬に触れているではないか)
英玲奈(この冷気。春の穏やかな日には最適でたまらないな)
英玲奈(しかし、突如現れたこの冷気の正体は何だ?)
英玲奈(頬に触れている感触からしてこれは缶だろうな。それもアルミ)
英玲奈(つまり、誰かが私に差し入れを持ってきたのだろう)
英玲奈(さて、それは誰だ?なるべく一人になりたくて、人目を盗んで来たはずだが)
英玲奈(しかし、ツバサならこんなチャーミングなことはしないはずだ。缶を投げ捨てる勢いで私に渡そうとするだろう)
英玲奈(では・・・・・・あんじゅか?うむ。あいつならやりそうだ)
英玲奈(急な冷気に驚く私を見たかったのだろうが、残念だったな)
英玲奈(生憎だが、それだけで動じるような私ではない!)
英玲奈「差し入れ感謝する」スッ
??「えへへ~、どういたしまして」
英玲奈(あんじゅの声じゃない!?)
英玲奈「・・・・・・なにぃ!?」グルッ
??「うわわっ!」ズルッ
英玲奈「危ない!」バッ
ガシッ
英玲奈「・・・・・・高坂穂乃果」
穂乃果「あ、あはは。ありがとうございます」エヘヘ
英玲奈「すまない、少し取り乱してしまった。立てるか?」
穂乃果「だ、大丈夫・・・・・・いたッ!」ズキン
英玲奈「見せてみろ。痛むのはここか?」クイッ
穂乃果「ご、ごめんなさい」
英玲奈「謝るな。いいから、痛むのはここか?」
穂乃果「……少し、痛いです」
英玲奈「軽くひねってしまったようだな。ここで待っておけ」
穂乃果「え、英玲奈さん!?」
英玲奈「医療道具を持ってくる。すぐ戻るから安静にしているんだぞ」ダッ
穂乃果「あ、あの、でもっ・・・・・・行っちゃった」
英玲奈「すまない、待たせた」ハァハァ
穂乃果「ご、ごめんなさい。穂乃果のせいで・・・・・・」
英玲奈「謝るな。元はと言えば私の責任だ。ほら、足を出せ」
穂乃果「だ、大丈夫です!自分でやれます!」アセアセ
英玲奈「いいから!早く足を出すんだ!」
穂乃果「は、はい」スッ
英玲奈「少しひんやりするかもしれないが、我慢してくれ」シュー ペタペタ
英玲奈「よし、できたぞ。腫れてはいないし、薬を塗ったから、しばらくしたらうごいても問題ないだろう」
穂乃果「ありがとうございます」ペコッ
穂乃果「会場の方で、今みんなお昼ご飯を食べてるんですけど、英玲奈さんの姿が見えなくて・・・・・・」
穂乃果「それで探してたら見つけて。まさかこんなところにいるなんて思いませんでした」アハハ
英玲奈「そうか、それは悪いことをした」
穂乃果「あ、いえ!それより、なぜこんなところに?」
英玲奈「なぜ、か。そうだな、何となく一人になりたかったんだ」
穂乃果「何か悩み事でもあるんですか?」
英玲奈「悩み事・・・・・・か」
英玲奈「高坂穂乃果。少し聞いてもいいか?」
穂乃果「勿論です!穂乃果で良ければ何でも聞きます!」
英玲奈「では聞いてもらおうか・・・・・・」
穂乃果「穂乃果から見て・・・・・・」
穂乃果「やっぱり、A-RISEは私達の憧れです。スクールアイドルの頂点にして、皆の憧れ。そう思ってます」
英玲奈「憧れ、か。なるほどな。ならば質問を変えよう。君の瞳に私、統堂英玲奈はどう映る?」
穂乃果「英玲奈さんですか!?え、ええっと・・・・・・」アセアセ
英玲奈「大丈夫だ。思ったことを言ってくれて構わない」
穂乃果「えっと・・・・・・クールで、滅多に感情を表に出さない人だなって、思います」チラッ
英玲奈「続けて」
穂乃果「歌は上手で、ダンスも上手くて、背も高くてスタイルも良くて、おまけに美人。穂乃果が欲しいもの全部持ってる人だなって思います」
穂乃果「でも、穂乃果は英玲奈さんが思いっきり笑っている姿を見たことが無いんです」
穂乃果「あんじゅさんもよく笑われるし、呆れた顔を見せてくれたこともありました」
穂乃果「でも、英玲奈さんだけはそれを思い浮かべることが出来なくて・・・・・・」
穂乃果「だから英玲奈さん、本当にアイドル好きなのかなぁ、なんて思うこともあったりなかったり・・・・・・」
英玲奈「……なるほど」
穂乃果「ご、ごめんなさい!その、悪い意味じゃなくて、その・・・・・・」アセアセ
英玲奈「大丈夫だ。言いたいことは伝わっている」
英玲奈「それに、それが私の考えていたことでもあるしな・・・・・・」
穂乃果「えっ・・・・・・?」
英玲奈「UTXに入学したのもアイドルを目指そうとしたからではない」
穂乃果「ええ!?そうなんですか!?」
英玲奈「ああ。今となってはあの頃が懐かしいがな」クスッ
英玲奈「高坂穂乃果、君はA-RISEのメンバーがどうやって選ばれるか知っているか?」
穂乃果「少し小耳にはさんだ程度ならですけど、一応・・・・・・」
英玲奈「我がA-RISEのメンバーは、それぞれ優秀な生徒を選抜しているんだ」
穂乃果「優秀な人の選抜・・・・・・」
英玲奈「A-RISEとは負けることを許されない、誰よりも高みに位置し崇高で気高い雲の上の存在」
英玲奈「私もUTXに入学したときはそれぐらい知っていた」
穂乃果「英玲奈さんがどこまでできるか・・・・・・?」
英玲奈「そうだ。先も言ったが、私は自分でもアイドルに向いていないことぐらい分かっている」
英玲奈「表情は作れない、不愛想、口下手。アイドルに必要なものがまるで備わっていない」
英玲奈「しかし、だからこそ、あえて苦手な分野に取り組み、自分の限界を知ろうと考えた」
穂乃果「どうしてそこまでして、自分の限界を知りたかったんですか?」
英玲奈「……こういうのも何だが、私は結構何でもこなしてしまえるタイプみたいでね」
英玲奈「生まれてこの方、挫折というものを味わったことが無い」
穂乃果「確かに、英玲奈さんは何でもこなせそうですもんね!」
英玲奈「……だが、私の思いに反して、特に苦労することもなく私はA-RISEの一員に選ばれた」
穂乃果「うへぇ・・・・・・やっぱりすごいですね」
英玲奈「教わったことをこなしていくだけ。それだけで選ばれてしまったからな。特に努力をすることなく」
英玲奈「だからこそ、あの時の感情は形容し難い。それくらい複雑な思いが入り混じっていたよ」
英玲奈「だが、人の上に立つ以上、へまはしていられない。どんな形であれ、選ばれたからにはベストを尽くさなければならない」
英玲奈「それが責任というものだからな」
穂乃果(英玲奈さん、すっごく真面目なひとだなぁ……)
英玲奈「そこで私はある事を思いついた。A-RISEとして私が最もベストを尽くせる方法を」
穂乃果「あること?」
穂乃果「違う自分の演出?それってどういう・・・・・・」
英玲奈「例えるならμ’sの矢澤にこのような感じだよ。彼女は自分の理想的なアイドルに“なりきる”ことに非常に長けているだろう?」
穂乃果「ああー!確かに!にこちゃんはイメージし易いですね!」
英玲奈「君が言ったように、私にはクールで大人びた印象を持つ人が多いようだ」
英玲奈「だから私は、クールで華麗な自分を演出しようと心掛けたんだ。周りの理想に合わせるようにね」
英玲奈「そしてそれは思った以上に私にハマり、A-RISEの統堂英玲奈は完成した」
穂乃果「ぷ、プロ意識高いですね~・・・・・・」アハハ
英玲奈「そうかもしれない。だが、この選択が私の悩みを生み出してしまったということになるんだ」
穂乃果「ええっ!?」
英玲奈「それ以外の時は普段の私でいこう。そう決めていたんだが・・・・・・」
英玲奈「いざA-RISEとして生きていくと、私は改めてその存在の大きさを思い知らされたよ」
英玲奈「学内でも、学外でも。私は常にA-RISEとして目を向けられた。想像以上だったんだ、A-RISEという存在がね」
英玲奈「『A-RISEの統堂英玲奈、周りが私に抱くクールで大人びた印象』」
英玲奈「はっきり言って、気を抜く暇が無かったんだ。私が“A-RISEの私”でいるためにはな」
英玲奈「するとどうだろう。日に日に統堂英玲奈という存在は身を潜め、A-RISEの統堂英玲奈が表見するようになった」
英玲奈「この意味が、君には分かるか?」
英玲奈「ああ。そう思ってくれていいだろう」
英玲奈「だから、さっき君が言ったクールな統堂英玲奈は果たして私なのだろうか。それは私が創り上げた偽物の私なのではないか」
英玲奈「私の行動すべてが本当に私の意思なのかどうかすらも怪しい」
英玲奈「そう考えていたら、いてもたってもいられなくてな。逃げるように会場を後にしたわけだ」
穂乃果「英玲奈さん・・・・・・」
穂乃果「で、でも!ライブ中、英玲奈さんは楽しそうに歌っていたってツバサさんから聞きました!さっきだって・・・・・・!」
英玲奈「それに関しては間違っていない。確かに先のライブ、私は心の底から楽しんでいただろう」
英玲奈「だが、あれはA-RISEの統堂英玲奈。私が長年積んできた“それ”だ。それが無意識のうちにライブをこなしていただけの話」
英玲奈「自分の姿を確認していないが、おそらく私は上手く笑えてなかったのではないか?」
英玲奈「口を開けて飛び跳ねていただけかもしれん」
穂乃果「そんなこと・・・・・・」
穂乃果「え、英玲奈さん!?」
英玲奈「車の中で話しただろう?結局A-RISEは続けていくが、私は正直、それが怖くてたまらない」
英玲奈「別にA-RISEが嫌とかそういうのではない。ただ、怖いんだ・・・・・・」
英玲奈「このまま自分を偽り続けて、創られた統堂英玲奈が私を飲み込むかもしれない」
英玲奈「終いにはまるでロボットの様に無表情、無感情な私になり果ててしまうかもしれない」
英玲奈「そんなの絶対に私じゃない。でも、それはあまりにも現実味があり過ぎて・・・・・・」
英玲奈「私はそれが本当に・・・・・・怖い」
穂乃果「そんなっ!英玲奈さんはそんな人じゃないです!きっとまだ本当の自分に気が付いて―・・・・・・」
英玲奈「じゃあ教えてくれ!!」
穂乃果「―っ!?」ビクッ
英玲奈「高坂穂乃果!君が思っている以上にA-RISEという存在は大きいんだぞ!?」
穂乃果「そ、それは・・・・・・」
英玲奈「これまで作り上げてきた自分を崩す?口で言うだけなら至極単純で簡単な話だ!」
英玲奈「ならどう崩せばいい?崩した先には何がある?私はもう、以前の自分が思い出せないというのに!」
英玲奈「周りの期待はどうなる!?A-RISEはどうなる!?ツバサやあんじゅにまで被害が及ぶかもしれないんだぞ!」ガシッ
穂乃果「痛っ―!」
英玲奈「高坂穂乃果・・・・・・私は・・・・・・どうすればいいんだ・・・・・・」
穂乃果「英玲奈さん・・・・・・」
穂乃果(英玲奈さん、こんなに苦しんでたんだ・・・・・・)
穂乃果(A-RISEの為に周りの理想に合わせた自分を演出して・・・・・・)
穂乃果(独りで抱え込んで・・・・・・自分の本当の気持ちをふさぎ込んで・・・・・・)
―今更アイドルを始めようなんて、私が言えると思う・・・・・・?
穂乃果(・・・・・・あっ)
―自分が不器用だってことは分かってるっ!でもっ・・・・・・!
穂乃果(そっか・・・・・・これは、あの時と似てる)
穂乃果(英玲奈さんも周りの目を気にして、責任を感じ過ぎるあまりに本当の自分を出すことが出来なくて・・・・・・)
穂乃果(それで悩んで、傷ついて・・・・・・)
穂乃果(だったら、穂乃果がしてあげられることは一つだけ・・・・・・!)
ギュッ
穂乃果「英玲奈さん、穂乃果は馬鹿だから、こんな時、なんて言葉をかけてあげたらいいかよく分かりません」
穂乃果「でも、一つだけ言わせてください。英玲奈さんは間違いなく英玲奈さんです」
英玲奈「……どういう意味だ」
穂乃果「確かに、A-RISEという大きなプレッシャーに押されて、その枠からはみ出さない様に必死にもがいている姿を自分だと言いたくないのも分かります」
穂乃果「実際、μ’sにもいましたから。似たような人が」クスッ
英玲奈「……」
穂乃果「でもその人は後に救われたと言っていました。“いつも寄り添ってくれた仲間に”と」
穂乃果「これは穂乃果の勝手な想像ですけど、A-RISEを辞めようと考えたとき、ツバサさんやあんじゅさんに必死に止められたんじゃないですか?」
英玲奈「……確かに。言ってもいないのに、執拗に迫られたことなら、ある」
穂乃果「一度、ツバサさんとお話したことがあるんです。μ’sとA-RISEの違いについて」
英玲奈「ツバサと?」
穂乃果「はい。あの時はあまり力になれなかったけど、ツバサさん、すごく真剣に聞いていました」
穂乃果「それで、思ったんです。ツバサさん、もしかしたらμ’sから何かを盗もうとしてるんじゃないかって。言い方は悪いですけどね」
穂乃果「それで、μ’sの原動力を少しでも知って、それをA-RISEに還元しようとしているんじゃないかって」
英玲奈「……みんなで叶える物語。ツバサはそれがμ’sだと言っていた」
穂乃果「そうです。それが私達です。誰かがくじけても他の皆で支える。誰かが辛くて泣きそうでも、他の皆で寄り添う」
穂乃果「それはA-RISEも一緒なんじゃないですか?」
穂乃果「だから英玲奈さん、一人で悩まないでください。英玲奈さんにも素敵な仲間がいるんです」
穂乃果「ツバサさん、あんじゅさん。それにμ’sの私達だってそうです」
英玲奈「……君たちもなのか」
穂乃果「もっちろんです!共に切磋琢磨してきた仲です。もう私達は仲間なんですから!」
穂乃果「今はまだ本当の自分が何かわからないかもしれません。見失って見つからないことだってあるかもしれません」
穂乃果「でも、英玲奈さんは一人じゃありません!共に寄り添い、探してくれる仲間がこんなにもいるんですから!」
穂乃果「だから、今の自分を見失わないでください!英玲奈さんは間違いなく英玲奈さんなんですから!」
英玲奈「……」
英玲奈「……ははっ、敵わないな、君には」
英玲奈「私は・・・・・・愚かだったのかもしれない」
英玲奈「君の言う通り、私にはこんなにも素晴らしい仲間がいた」
英玲奈「ツバサ、あんじゅ、それにμ’s」
英玲奈「本当に馬鹿だな、私は。こんなにも頼れる仲間がいて、それに縋ることを恐れていたなんて・・・・・・」
穂乃果「周りが見えなくなる時は誰だってあります。特にA-RISEを背負うというプレッシャーは計り知れませんから」
穂乃果「それでも、英玲奈さんには寄り添って共に歩んでくれる仲間がいるんです」
穂乃果「それを忘れてはいけないと思います」
英玲奈「……そうだな」
英玲奈「・・・・・・すまない、もう少し・・・・・・このままでいてくれないか?」グスッ
英玲奈「もう少ししたら・・・・・・グスッ、おちつくだろう・・・・・・」
穂乃果「はい・・・・・・勿論です」ギュッ
英玲奈「すまなかったな。恥ずかしい姿を見せた」
穂乃果「とんでもないです。もう大丈夫ですか?」
英玲奈「ああ、君のおかげで目が覚めたよ。私は独りではなかった」
英玲奈「いきなりという訳にはいかないだろうが、ようやく活路を見いだせた気がする。本当に感謝している」
穂乃果「別に穂乃果は何もしていませんよ!もし道に迷った時はまたいつでも相談してくださいね」
英玲奈「ふふっ、君は道に迷っても気が付いてなさそうだから、少し不安だけどな」クスッ
穂乃果「なっ!ひ、ひどい!?」
英玲奈「冗談だよ。そうだ、今、携帯は持っているか?」
穂乃果「携帯?ありますけど」ゴソゴソ
英玲奈「お近づきの印だ。その、連絡先を・・・・・・交換しないか?」
穂乃果「英玲奈さん・・・・・・!勿論です!」
穂乃果「英玲奈さん、こっちは準備できましたよ!」
英玲奈「う、うむ。少し待っていてくれないか?あと少しで・・・・・・このっ!」ポチポチ
穂乃果「もしかして英玲奈さん、機械音痴とか・・・・・・?」
英玲奈「……すまない。やってくれ」スッ
穂乃果「あ、やっぱり。はい、分かりました」
穂乃果(何で連絡先の交換なのに将棋アプリが開いてるんだろう)
穂乃果「~♪~♪」ポチポチ
穂乃果「はいっ!出来ましたよ!」スッ
穂乃果「いえいえ~!あっ!もうこんな時間ですよ!」
英玲奈「この後何かあるのか?」
穂乃果「写真撮影ですよ!みんなで集合写真を撮るんです!」
英玲奈「ああ、そういえばそんなことを言っていたな」ポンッ
穂乃果「ほらっ、早くいきましょう!」ギュッ
穂乃果「レッツゴー!!」ダッ
英玲奈「お、おいっ!、君は足が・・・・・・全く、本当に君には敵わないよ」フフッ
ことり「あっ!帰ってきた!!」
にこ「あんた一体どこ行ってたのよー!!」
穂乃果「ご、ごめんね!」
にこ「まったく・・・・・・って、何でA-RISE連れてきてるわけ!?」
穂乃果「あ、あはは~・・・・・・」
英玲奈「すまない。彼女は私が借りていた」ペコッ
にこ「あ、ああ、いえ!穂乃果が迷惑かけませんでしたか?」
凛「態度変わり過ぎにゃ~」
英玲奈「とんでもない。逆に私が彼女に迷惑をかけてしまったよ」
英玲奈「上手くリードしてやるつもりが、逆に彼女のペースされてしまった」
ことうみ「「・・・・・・ん??」」ピクッ
穂乃果「英玲奈さん!またいつでも(相談)してくださいね!」ニッコリ
英玲奈「ああ、勿論だよ」クスッ
英玲奈「それではまた後で。写真を撮るのはもう少しあとだろう?」
穂乃果「うん!ではまた~!」ブンブン
英玲奈「失礼するよ」フリフリ
穂乃果「いや~!お役に立ててよかったな~!」
ガシッ
穂乃果「……ん~?」クルッ
ことり「ほのかちゃ~ん。英玲奈さんとナニしてたのかな~?」ゴゴゴゴ
海未「ちゃ~んと説明してもらえるんですよね~?」ニッコリ
穂乃果「……え??な、何のこと??」ブルッ
ことうみ「「……ふふっ」」
穂乃果「……え?」
ワーワー ギャーギャー
英玲奈「まったく。騒がしいな」クスッ
ツバサ「お帰り。遅かったじゃない」
あんじゅ「片付けしないなんて卑怯よ~?」
英玲奈「すまなかった。反省している」
ツバサ「……そ、ならいいけど」クスッ
あんじゅ「ふふっ・・・・・・ようやく、トンネルを抜けたみたいね」クスッ
英玲奈「やはり、気が付いていたのか・・・・・・」
英玲奈「本当にすまなかった」
ツバサ「いいのよ。私達、仲間でしょ?」
英玲奈「……ツバサ」
あんじゅ「今度は彼女じゃなくて私達を頼りなさいよ~?」
英玲奈「……あんじゅ」
ツバサ「あんじゅの言う通りよ。分かった?」
英玲奈「……ああ!」
あんじゅ「それはツバサもよ~?」
ツバサ「ちょっ!あんじゅ!」
英玲奈「どういう意味だ??」
あんじゅ「さ~あね」クスッ
ツバサ「……もう!いいから、写真撮るわよ!」
チョット、フタリトモオモイヨー キニシナーイ!キニシナーイ!
英玲奈(集合写真か。雑誌の撮影以外でとるのはいつぶりかな)
英玲奈(笑顔が下手で、表情をつくるのが下手で、仕事以外では極力避けて来たけれど・・・・・・)
ツバサ「じゃあみんな!練習したあれ、いくわよっ!」
英玲奈(練習と言っても、ほんの数分合わせただけだがな)クスッ
英玲奈(それでも、ここからが私のスタートだ)
英玲奈(私が思い描く本当の私。それを見つけ出すのはいつになるかわからない)
英玲奈(それでも、今を歩む私はまちがいなく私自身)
英玲奈(だからこそ、私は今を全力で楽しもう。周りの目など気にせず、統堂英玲奈としての私を出していこう)
英玲奈(だってそれがきっと・・・・・・)
ツバサ「せーーーーのっ!!」
「「「「ラブライブ!!!!」」」」
それがきっと、本当の私。
あの集合写真の英玲奈の笑顔はいいものだ。
おまけ2本くらい投下して本当の終わりにします。
ツバサ「助かったわ。英玲奈の殻を破るにはどうしてもあなたの力を借りたくて」
穂乃果「いえいえ~!お役に立てて何よりです」
ツバサ「本当に、あなたはすごい人だわ。高坂穂乃果さん」
穂乃果「そんなことないです。それを言うならツバサさんだって」
ツバサ「私が?」
穂乃果「はい!英玲奈さんの深層心理まで読み取れるなんて、すごいですよ!」
ツバサ「そうかしら?あの子、分かりやすくない??」
穂乃果「そうですか?穂乃果にはいまいち・・・・・・」エヘヘ
ツバサ「まあ、こればっかりは一緒にいた時間がモノをいうものね」クスッ
穂乃果「そうですね~」
ツバサ「……英玲奈は、私やあんじゅに対しては全くと言っていいほど弱みを見せないのよ」
ツバサ「同じグループだから迷惑をかけたくないとか考えてるんでしょうけど、バレバレなのよね」クスッ
ツバサ「だから、私はあえてあなたに頼んだ。輪を広げることのできるあなたに」
穂乃果「輪を・・・・・・広げる?」
ツバサ「残念な話、私は“まだ”あなたみたいな力を持っていない。だから今の英玲奈の悩みを解消してあげることが出来なかった」
ツバサ「だけどあなたは違う。あなたは悩める人の悩みを解消し、さらにはその人を上のステージへと連れていくことが出来る」
ツバサ「だから、私はそんなあなたに懸けてみた。統堂英玲奈の将来を。私達A-RISEの未来を」
穂乃果「えええっ!?穂乃果、そんなに大事な仕事を引き受けていたんですか!?」
ツバサ「でも結果は御覧の通りよ。英玲奈は光を見つけ、A-RISEは歩むべき道を見つけた」
ツバサ「本当にありがとう。あなたには感謝してもしきれない」
穂乃果「そんな、穂乃果は別に・・・・・・」
ツバサ「今回だって、あなたの力を借りなければどうなっていたかわからない」
ツバサ「全ては私の責任だわ。リーダー失格ね」
ツバサ「……でも、いつまでもその状況で甘んじようとは微塵も考えてない!」
ツバサ「私はあなたに負けない!負けたくない!A-RISEのリーダーとして、あなたには!」
穂乃果「ツバサさん・・・・・・」
ツバサ「残念ながら、μ’sは解散しちゃうけど、私達は忘れないわ」
ツバサ「私達の絶頂期、A-RISEを負かしたスクールアイドルがいたことをね」ニコッ
ツバサ「ファイナルライブ、絶対に見に行くわ。そして見せてちょうだい。あなたたちの最高のステージを!」
穂乃果「ツバサさん・・・・・・はい!頑張ります!」
穂乃果「そうですね~、気が付けばもう真っ暗で」
ツバサ「家まで送るわ」
穂乃果「本当ですか!?やった~~!」
ツバサ「元気よね~ほんと」
穂乃果「えへへ~ありがとうございます!」
ツバサ「……やれやれね」クスッ
英玲奈「そうだ。最近は少しづつ解けるようになってきたな」
穂乃果「英玲奈さんの教え方がいいんですよ!」
英玲奈「そうか?私は至って普通に・・・・・・」
穂乃果「分かり易くてすぐに頭に入ってきます!」
英玲奈「そ、そうか。ならいいのだが」
穂乃果「で、でも、もうそろそろ休憩が欲しいかな~」アハハ
英玲奈「う~ん、そうだな。なら、最後にこの一問を解いて終わりにしよう。私はその間にお茶菓子を用意しておく」
英玲奈「ふふっ、まだまだ元気じゃないか」クスッ
英玲奈(さてと、お茶菓子は確か下に・・・・・・)
英玲奈「穂乃果、下に母親とかはいるのか?」
穂乃果「うん!多分店番してるはずー!」
英玲奈(なら、直接聞いた方がいいだろう)
スタスタ
雪穂「んー?・・・・・・あっ!ええっ!?」
英玲奈「ん?母親にしてはやけに小さいし、幼い気が・・・・・・」
雪穂「あ、あのっ!!A-RISEの統堂英玲奈さんですか!?」ズイッ
英玲奈「そ、そうですが?」タジ
雪穂「す、すごい!ほ、本物だ~!!」キラキラ
英玲奈「あ、あのー、君は?」
雪穂「あ、私!高坂穂乃果の妹、高坂雪穂と言います!!」ペコッ
雪穂「は、はいっ!」
英玲奈「なるほど。通りで可愛らしい顔たちをしているはずだ」ニカッ
雪穂「い、いえいえいえ!!とんでもないです!!」ドキドキ
英玲奈「謙遜することはないよ。もっと自信を持ってもいいくらいだ」
雪穂「あ、ありがとう・・・・・・ございます///」
英玲奈「妹さんということは、君もスクールアイドルを?」
雪穂「あ、はいっ!今年度から友達と始めまして・・・・・・」
雪穂「はい!精一杯がんばってます!」
英玲奈「元気のいい子だね。さながらお姉ちゃんにそっくりだ」ニコッ
英玲奈「練習とか、何か力になれることがあるならいつでも協力するよ。いつでも言ってくれ」ナデナデ
雪穂「は、はひっ!あ、ありがとござます!!」プシュー
『英玲奈さーん!終わったよ―――!』
雪穂「・・・・・・あ、多分そちらに」
英玲奈「ああ、これだ。ありがとう。店番が終わったら君もぜひ遊びに来るといいよ」
雪穂「えっ!いいんですか!?」
英玲奈「勿論だよ。それでは」
雪穂「あ、ありがとうございます!」
オソイヨー!! スマナカッタ
雪穂「……本物のA-RISE」
雪穂「お姉ちゃん、あんな人たちと競い合ってたんだ」
雪穂「……すごい」
この日、少し姉の偉大さを理解した雪穂でした。
おしまい!
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