【ラブライブ!】ことり「マケミちゃ、あ、ちが、ごめ」海未「え?」
- 2020.04.09
- SS

ことり「え?なにが?」
海未「え、いや、何がって、呼びましたよね。私のほう向いて」
ことり「えー?」
海未「いや呼びましたよね」
ことり「呼んー……だ、か、な?」
海未「え、呼んだかなって……よ、呼びましたよね?」
ことり「う、うん……よんだ、うん。呼んだけど……ど、どうしたの?」
海未「いや、それは……え? 何か用があって私を呼んだのでは?」
ことり「………」
ことり「あ、えっと……あっ、ううん。何でもないの。
だから、気にしないで?」
海未「そうですか。で、マケミちゃ、とは何でしょうか」
ことり「ぶふっ。そそ、それは………何でもな……いや、え、い、言ったかな……そんなこと…」
海未「え、言いましたけど…」
ことり「………」
海未「……ことり? どうしたんですか?何か様子がおかしいような…」
ことり「ちょちょ…! ははっ…う、海未ちゃんこそ。
ど、どうしたの? なんでそんなに気になるのかなぁ…?」
海未「いやだって、マケミちゃ、って言いながら私のこと呼びましたから。
マケミちゃ、って何なんだろう、って思って。
絶対マケミちゃ、って言いましたよね? 私の名前ではなく」
ことり「はは……えっと…」
ことり「落ち着こ? 海未ちゃん落ち着こ?」
海未「落ち着いてますけど……
どちらかというと、ことりの方が、慌てているような気がします」
ことり「ははは……ワッツ?」
海未「な、なんではぐらかすんですか…?
マケミちゃ、って何なんですか」
ことり「はっはっはっ……HAHAHA!!!」
海未「!?」
海未「!?」
ことり「………」
海未「………」
ことり「………真姫ちゃん、って言ったの」
海未「えっ」
ことり「ま、真姫ちゃんって、言ったの……」
ことり「う、うん……たぶん……」
海未「たぶん……?」
ことり「ぜ、絶対……」
海未「絶対……」
ことり「うん……絶対……」
海未「………私のことを、真姫と呼んだんですか?」
ことり「うん。言った。ことりそう言ったよ」
海未「そう……です、か」
ことり「………」
ことり「………」
海未「いや、でもやっぱりマケミちゃ、って」
ことり「」
海未「マケミちゃ、とは一体……。何なんですか、マケミちゃ、って」
ことり「こ、ことりは真姫ちゃんって言ったの~~~!!!」
ガチャ
真姫「呼んだ?」
ことり「」
真姫「今、ことりの声で呼ばれた気がしたんだけど…」
ことり「………呼んだけど」
真姫「何か用かしら」
ことり「用がなきゃ、呼んじゃだめなの?」
真姫「えっ」
ことり「………」
真姫「ど、どうしたの海未? なんだかことりが荒んでるように見えるんだけど」
海未「さ、さあ? 私にもさっぱり…」
真姫「え?」
海未「いま、またマケ…って言いませんでした?」
ことり「……」
真姫「海未?」
海未「いや、ですね。
その、ことりが私のことをマケミちゃ、と呼んだんですよ」
真姫「マケミちゃ…?」
海未「はい。私はそれが何なのか知りたいのですが、ことりが教えてくれないんです」
ことり「……」
海未「ねぇ、ことり? 今も、マケ…と言いましたよね?
違う単語を言いそうになって、言い直したんじゃないんですか?」
ことり「ち、違うもん。真姫ちゃんをまけちゃんって言いそうになっただけだもん…」
海未「いや流石にそれは……全然口の形が違うじゃないですか…」
ことり「……うぅ」
真姫「まぁ、まちきゃんと言い間違われたことはあるけど」
海未「……?」
真姫「……」
海未「……えっ、まちきゃん?」
つまり、最初に『K』を発音しようとして『T』を発音しちゃったから、
そのあとの『T』を更に逆転して『K』と発音してしまった、ということなんだけど」
海未「はぁ……いや、でもそれだと、マキをマケ、と言ったことの説明にはなりませんねぇ」
真姫「………普通に言い間違っただけじゃないの?」
ことり「そっ」
海未「私は、ことりの頭の中に『マケミちゃ』が含まれた単語があり、思わず口をついてそれが出た、と思っています」
ことり「………」
海未「私に関することで、『マケミちゃ』が含まれた何かをことりは知っているのではないでしょうか」
ことり「」
ことり「」
真姫「ことり?」
ことり「」
真姫「ど、どうしよう海未。ことりが全く感情を読み取れない顔してるんだけど…」
海未「え?」
ことり「」
海未「これは……」
ことり「」
海未「都合が悪くなったときに出ることりの癖ですね…」
ことり「ギックー!」
真姫「起きた!」
マケミちゃ、とは何なんですか?私、気になります」
ことり「ひゅーひゅー♪」
真姫「口笛吹いてるわよ……」
海未「こ、ことり……」
真姫「マケミちゃ……あ、マケミちゃん…?」
ことり「!?」
真姫「ねぇ海未。『マケミちゃ』って、『マケミちゃん』じゃないの?」
海未「マケミちゃん…? 名前、ですか…?」
真姫「違う人の名前を呼んじゃったんじゃないの?」
海未「違う人の……な、なるほど……
あ、いやでもそれだと、隠す意味がないような……」
ことり「……」
真姫「………」
海未「マケミ……マケ……んん…?」
真姫「なにか……心当たりが?」
海未「い、いえ……マケミ、とはどういう意味なのかと思いまして」
真姫「意味?」
海未「どういう単語なのかと。漢字を使うのか、英語の略なのか…」
真姫「英語の略……ま、ま、マーメイド……ケミストリー……とか?」
海未「人魚の化学反応……いや、うーん……」
ことり「っ!?」ドッキン!
海未「まける…?」
真姫「巻け、負け、蒔け……み、み、み……み?」
海未「どうしました?」
真姫「いや、漢字なら『糸巻きの巻け』とか、『勝敗の負け』とか、かなって。
み、が何なのか分からないけど」
海未「なるほど……」
ことり「…」ガタガタガタガタガタ
真姫「こ、ことり?大丈夫? なんだか震えてるけど…」
ことり「だい…じょうぶ………ち、ちょっと…寒くて…」ガタガタガタガタ
ことり「はぁ…!はぁ…!」ドックン…ドックン…
海未「まけ、み……」
ことり「あばばばば……」
バタン
真姫「え?」
ことり「」
真姫「き、きゃ──────っ!!!」
海未「え!?」
真姫「ことりが、ことりが─────っ!!!」
海未「お、落ち着いて…!!! い、息は…!」
ことり「」ス-…ハ-…
真姫「してる!!!」
部屋のベッドまでことりちゃんを送り届けた海未ちゃんは、机の上にあるマケミちゃん人形には気がつかなかった
ふう、安心した
がっくり膝をついて涙を流すマケミちゃん人形が見つかって海未ちゃんに追求されるような闇の深いことりちゃんはいなかったんだ
めでたしめでたし -完-
真姫「あ、ねぇ、ことり」
ことり「ん? あぁ、マケちゃん。あ、いっけない。
言い間違っちゃたよ。真姫ちゃん」
真姫「そ、それまだ言ってるんだ…」
ことり「え? まだ言ってるって? どうしたのマケちゃん、あ、違う真姫ちゃん。
私はただ、言い間違っただけダヨ?」
真姫「………海未は、ほら。なんかもう、それで納得してるみたいだけど」
ことり「……だ、だって、ほんとに言い間違えただけだもん。
ほかに深い意味はないよ?」
ことり「っ!?」ビクッ
真姫「ほら過剰反応。怪しい……」ジ-
ことり「や、やめて……ワタシヲ、ミナイデ……」ジリ…ジリ…
真姫「逃げたら……それはやましいことがあるってことよ…」
ことり「…!」
真姫「私の名前を言い間違ってるんじゃないんでしょ?」
ことり「……」
ことり「え?」
真姫「抑圧された感情があまりに強かったり、 多かったりすると、人間は精神に支障をきたしたりするそうよ」
ことり「な、ど、え、え? ど、どういうこと…?」
真姫「フロイト的失言よ」
ことり「なに?」
真姫「無意識的な本心だったり、欲求だったり……
ダイレクトに口に出す訳にはいかない気持ちが、
「言い間違え」と言う形をとって表現される現象のことよ」
ことり「え?え?」
あなた、海未のこと」
ことり「……!」ゴクリ
真姫「ほんとは……みんなとは違う目線で海未を見てるんじゃないかしら…」
ことり「ハァ…ハァ…!」
真姫「『マケミちゃん』……
これは、ことりの心にある願望が映した……」
ことり「あが…! あ……! あ…!」ガタガタガタガタ
真姫「海未の……
ことなんじゃ……ないかしら……」
ゴゴゴゴゴ……
真姫「『マケミ』……海未……『ウミ』……
ねぇ、ことり……?」
ことり「あぁ…!ぁ…」ガタガタガタ
真姫「私ね、ちょっと調べてみたの。いろいろ…」
ことり「な、なに、を……?」ハァ…ハァ…!
真姫「相反する葛藤……自己矛盾……二律背反……」
ことり「はぁー……! はぁー……!」
真姫「無意識の中に潜む、欲求……」
ゴゴゴゴゴゴ……!
つまりは………」
ことり「ちがう……ちがう……! 私は……!」
真姫「ある対象に対して、相反する感情を同時に持ったりすることなんだけど……」
ことり「あぁ……!ちが…!私はただ…!言い間違って…!」
真姫「ことりって、日頃から……
海未のこと、格好良いとか、頼りになるとか、言ってるわよね……」
ことり「ぁ……あ…」ガクガクガクガク
真姫「『マケミ』って………もしかして、『敗け』ミ、とか?
二律背反の気持ちが生み出した、ことりの願望だったりして……?」
━┓・・ ━┓・・ ━┓・・ ━┓・・ ━┓・・ ━┓・・
━┛. ━┛. ━┛. ━┛. ━┛. ━┛
真姫「常勝少女の海未を格好良いと思う反面……
敗けた姿の海未のことも好きな気持ちがあったりして……」
ことり「おぉ…! おぉぉぉ…!!」
真姫「『マケミちゃん』って、つまりはそういう……」
ことり「」
真姫「え…」
ことり「」
真姫「……」
ことり「」
真姫「あ、海未が後ろに」
ことり「えっ」クルッ
真姫「うそよ…」
ことり「」
ことり「……」
真姫「ただ、気になるだけなの……
私、気になるのよ……」
ことり「マッ…!」
真姫「……」
ことり「んん! ま、真姫ちゃんだって……人に知られたくないことはあるでしょ?
秘密にしたいことって、あるでしょ…?」ガクガクブルブル…
真姫「あるケド……大切な友だちになら、言えるわ。
私は自転車に乗れない……」
ことり「……!」
もし、ことりがまた何か大事なことを心に秘めていて……
誰にも言えない状況なんじゃないかって……」
ことり「まき、ちゃん……」
真姫「ことりも海未も、大事な……
とってもとっても大事な友だちだから…
なにか、心に秘めて出せない悩みがあるなら、言ってほしいの…!」
ことり「まき、ちゃ…!」ポロポロ
真姫「ねぇ、ことり…!
『マケミちゃん』って、なに…?
ことりは、海未が勝負事で勝ったりするのに、何か不満があるの…?」
ことり「ちが……! ち、違う…!」ポロポロ
ことり「不満なんて…!ない…!絶対…!神に誓って…!」ポロポロ
真姫「ことり……」ポロポロ
ことり「海未ちゃんのこと、大好きだから…!」ポロポロ
真姫「ことりぃ…!」ギュッ!
ことり「真姫ちゃん…!うぇぇん…!真姫ちゃぁん…!」ギュッ!
真姫「じゃあ……マケミっていうのは……」ポロポロ
ことり「それは……! ま……まけ、ま、ま…!
まめ…まけ…!」
真姫「…!」
ことり「豆煮…っ! 豆煮…!」ポロポロ
真姫「豆…え、いや…マケミ……えっ…!」ポロポロ
海未ちゃんの聞き間違い…! 豆煮…!ほんとは豆煮…!」ポロポロ
真姫「そんな…!そんなことって……!それじゃ…!
徒労…! 今までの事…!ぜんぶ徒労…っ!」ポロポロ
ことり「ごめん…!ごめん…!」ポロポロ
真姫「なんで…!言わない…!最初に、言わないの…!」ポロポロ
ことり「申し訳なくて…!海未ちゃんの名前を言うつもりが昨日の晩御飯を言っちゃって…!
それが申し訳なくて…!
マケミちゃん人形とかは…!全然関係なくて…!」ポロポロ
真姫「配慮…!圧倒的……配慮っ…!」ポロポロ
─────
───
なんていうか…当然のこと、ですよね………
だって、無いんだから、証拠………
なら納得するしか、ないですよね…
それが……例え無茶苦茶な理由でも……だって、証拠がないから…
私が『マケミちゃん』って言った証拠、ないから……
ごく普通に、私の言葉が全てなんだよね……
世の中には、あるんだよ…
暴いちゃいけない闇、っていうのも。
-完-
乙…圧倒的感謝ッ…
ことりのしたたかだけど根が良い子だから自ら土坪にはまっていく感じが最高に可愛い
超おもしろい
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