【ラブライブ!】穂乃果「μ’sとμ’sみんなの物語」
- 2020.04.12
- SS

花陽(私は、アイドルが好き。スクールアイドルが好き)
花陽(……ちょっとお金を使い過ぎちゃう位には……)
花陽『あの……』
穂乃果『あなたは、この前の!』
花陽『あ、はい……。ライブ、観に行きます……!』
花陽(だから、自分の学校でスクールアイドルが結成されて、純粋に応援したいと思った)
花陽(だけど……)
凛「陸上部、どんな感じかなぁ? 良い先輩がいっぱいいると良いんだけど」
花陽「う、うん……。そうだね……」
花陽(凛ちゃんに引っ張られてる今……、ど、どうしよう……!)
花陽(私がライブ観に行く、って言った時、本当に嬉しそうな顔してた……)
ことり『来てくれるの!?』
花陽(本当に嬉しそうに。だから、私は……!)
凛「かよちん?」
花陽「凛ちゃん。私……!」
凛「……行きたいところがあるなら、言ってくれなきゃ、凛分かんないよ?」
凛「行きたいなら、ちゃんと行かなくちゃ」
花陽「凛ちゃん、ありがとう!」ダッ
花陽(私以外のお客さんがいたら、私なんていなくても同じなのに。それでも。どうしても)
花陽(まだ、やってるかな……? 間に合うかな……?)
花陽(でも、行かなくちゃ)
花陽(観に行く、って約束したから)
~講堂~
花陽「はぁ、はぁ……。……あれ、ライブは……?」
花陽(間に合った、のかな……?)
穂乃果『……っ!』
穂乃果『歌おう、全力で! だって、そのために今日まで、頑張ってきたんだから!』
花陽(この日の、ちょっとの勇気)
花陽(μ’sに入る時の勇気に比べれば、ホントにちっぽけ)
花陽(だけど、この勇気が始まり)
花陽(私が、あの輝かしいμ’sというグループに入る、その始まり)
花陽(私だけじゃない。みんなの、この時のほんの小さな勇気が、未来に繋がる)
花陽(私はこの小さな勇気を、μ’sのみんなと同じくらい、誇らしく思う)
花陽「ごめんね、真姫ちゃん! 先生に呼び出されちゃって……!」
凛「今日は家の手伝いをしないといけなくて、早く帰れ、って……!」
花陽「だからごめんね。一緒に帰れなくて……」
凛「だからごめん。一緒に帰れなくて……」
真姫「べ、別に良いけど……。じゃあ、また明日」
~帰り道~
真姫「久しぶりに、1人での帰り道……」
真姫「今日は……、ちょっと冷えるわね……」
真姫(今までは、1人が当たり前だった)
真姫(でも、何故か踏み込んだ仲にはなれなくて。いつの間にか距離ができて……)
真姫(寂しかった訳じゃない。それが、当たり前だったから)
真姫(寂しいも無い。楽しいも、無い)
真姫(私には、誰かといることに対して、誰かといないことに対して、何の感情も無かった)
真姫(今なら分かる。誰かといることの楽しさと、誰かといないことの寂しさが……)
真姫(だからこそ、時々思ってしまう)
真姫(1人になって、ふと孤独を感じた時に、思ってしまう)
真姫(寂しい、ってことを知らない方が、良かったんじゃないか、って……)
真姫「ただい……」ガチャッ
パァン パァンッ
真姫「えっ!?」
花陽「誕生日おめでとー!!」
凛「誕生日おめでとにゃー!!」
真姫「ヴェェェ!?」
凛「どう? びっくりした!?」
花陽「真姫ちゃんのお母さんに協力してもらったの!」
真姫「びっくり、って。そりゃあびっくりするわよ。私、今日誕生日じゃないし」
真姫「っていうか、もっと前だし……」
真姫「っ!?」
花陽「知り合う前に誕生日になって、祝ってあげられなくて、でも、何かしてあげたかったから」
真姫「そんなの、頼んで無いし……//」
凛「まぁまぁ! 真姫ちゃん、こっち来て! 昨日プレゼント買ってきたんだー!」グイッ
花陽「真姫ちゃんが気に入ってくれると良いんだけど……」
真姫(知らない感情が、次々と私の中を駆け抜けていく)
真姫(私は今、どんな感情なんだろ? どんな表情してるんだろ?)
真姫(でもきっと、それは寂しさの無い、笑顔なんだと思う)
こんな感じで、1日2編ずつ、今日くらいの時間でのんびり書き込んでいきます。
~空港~
ことり(私は、私のいなくなったμ’sの未来を考える)
ことり(海未ちゃんが作詞を。真姫ちゃんが作曲を。それは変わらない)
ことり(じゃあ、衣装は……?)
ことり(私のいなくなった穴はきっと、にこちゃんや花陽ちゃんが埋めてくれる)
ことり(8人になっても、多分、μ’sは問題無い)
ことり(今はぎこちなくとも、いつかきっと、また一緒に集まる日が来ると思う)
ことり(私は考える。私のいなくなったμ’sの未来を……)
ことり(私は考える。私がいなくなっても問題の無い、μ’sの未来を……)
ことり(今から留学する私は……)
ことり『……っ!』
穂乃果『ことりちゃん、ごめん。私、スクールアイドルやりたいの!』
穂乃果『ことりちゃんと一緒にやりたいの!』
穂乃果『いつか……、別の夢に向かう時が来るとしても!』ダキッ
穂乃果『……行かないで!』
ことり『ううん。私の方こそごめん』
ことり『私、自分の気持ち、分かってたのに……!』
ことり(私は考えたくなかった。私のいなくなったμ’sの未来なんて……)
ことり(私は考えたくなかった。私がいなくなっても問題の無い、μ’sの未来なんて……)
ことり(講堂でのあのライブの時から。ずっと)
~講堂~
海未「本当に良かったです!」ダキッ
ことり「海未ちゃん。……本当にごめんね……」
海未「戻ってきてくれて。本当に、本当に良かったです……!」ギュッ
ことり「ありがとう、待っててくれて」
ことり「みんなも、本当にありがとう。また明日からも、一緒にやっていいかな……?」
絵里「もちろんよ、ことり。みんなも、そう思ってずっと待ってたんだから」
ことり(私は、私のいないμ’sの未来を考えることはできません!)
ことり(みんなのことが大好きで、ずっと一緒にいたいから)
ことり(私は、9人全員がいるμ’sの未来を考える……!)
穂乃果「海未ちゃんと遊園地なんて久しぶりー!」
穂乃果「……あ! でも、こんなので簡単に穂乃果が許すと思ったら大間違いだよ!」フンッ
海未「……」チラッ
ことり「」ニヤニヤ
真姫「」クルクル
凛「」ニヤニヤ
花陽「」オドオド
絵里「」ニヤニヤ
希「」ニヤニヤ
にこ「」ニヤニヤ
海未(はぁ……。どうしてこんなことに!)
にこ「あ~、あの時のビンタね。それで仲違いになった、と……」
海未「はい。ここ最近になって、思い出したかのようにそれを取り上げてきて……」
希「まぁ、あれは本当に痛そうやったしねぇ」
真姫「でも、あれは穂乃果も悪かったでしょ? 海未がそこまで気にすることないわ」
海未「それもそうなのですが……」
穂乃果「穂乃果も悪いけど、だからって手を出したのは絶対間違ってる!!」
海未「の、一点張りでして……」
花陽「ある意味、穂乃果ちゃんらしいというか……」
ことり「う~ん、私は何となく予想がつくけど……」
海未「なっ! ことり! なんですか、その予想とは!?」
ことり「だ~め。これは、海未ちゃんが自分で気付かないと」
ピロンッ
絵里「あ、ごめんなさい」スッ
絵里「……ふふっ」
海未「絵里?」
絵里「海未。私に良い考えがあるわ!」ドヤァ
~回想終了~
海未(残りの8人は、見守り役兼アドバイス役と称して影に隠れていますが……)
ことり「」パシャッ キャー
真姫「」クルクルクルクル
凛「」ニヤニヤ ニャー
花陽「」アタフタアタフタ
絵里「」ニヤニヤ
希「」ニヤニヤ ジー(●REC
にこ「」プークスクス
海未(絶対にからかってます!!)
海未(……でもそう言えば、穂乃果と2人だけで出かけるというのは、久しぶりな気が……)
穂乃果「ほら、海未ちゃん! 次、お化け屋敷!!」
海未「ひぃっ!!」
海未(私は、無事に今日を乗り切れるのでしょうか……?)ハァ…
海未「もう陽も大分落ちてきましたね……。閉園時間も近いですし」
穂乃果「海未ちゃん、お疲れだね~」
海未「誰のせいだと……。それを言うのも、もう疲れました」
穂乃果「ごめんごめん。でも、最後に1つだけ。あれに乗ってくれない?」
海未「……あれ?」
穂乃果「ほら! 一緒に行こ!」グイッ
ほのか『一緒に遊ぼ!』
ほのか『ほら!』グイッ
うみ『あっ……!』
海未(……今のは……?)
海未「何かと思えば、観覧車でしたか……」
穂乃果「今日はごめんね。付き合わせちゃって」
海未「? 何故穂乃果が謝るんです? 元はと言えば私が……」
穂乃果「違うよ。みんなに協力してもらって、こうなるようにしたから」
穂乃果「もちろん、叩かれたことも怒ってないよ? あれはやっぱり、私が悪かったからね」エヘヘ
海未「こうなるようにした、って……」
穂乃果「あ! でも、叩かれたのは痛かったからね」
穂乃果「それでちょっとだけからかって、海未ちゃんからこうするようにしたんだけど」
海未「……どうしてです?」
穂乃果「んー。……私を叩いたことをずっと気にしてたのが、海未ちゃんだったから、かな」
穂乃果「分かるよ。私とことりちゃんはもちろん、他のみんなだって」
穂乃果「ずっと一緒にいるんだよ?」
海未「そう、ですか……」
海未(全部筒抜けだったんですね。私の、友達には……)
穂乃果「だからこうやって、気にしないで、って言いたくて、デートしたいなって」
海未(あなたはいつだって、そうやって私のことを気にかけてくれていました)
海未(……いえ、普段はむしろ逆のような気もしますが……)
海未(初めて会った、小さな時から、ずっと)
海未(そして今、そんな友達が、仲間が、あなた以外にも……。たくさんいます……)
海未「穂乃果……。私はあなたが……」
ドォーンッ!!
穂乃果「うわっ、凄い! 花火だ!!」
海未「えっ?」
穂乃果「海未ちゃん、見て見て! みんなも……、どこかで見てるのかなぁ……!」
海未(私の素敵な友達。私の素敵な幼馴染。……8人の、素敵な仲間達。私はみなさんが……)
海未(いつまでも大好きですよ)
~3年教室~
絵里(講堂でのライブから数日が経った)
絵里(そろそろ次の生徒会長を誰にするか、考える時期……)
絵里『何とかしなくちゃいけないんだからしょうがないじゃない!』
絵里『私だって、好きなことだけやって、それだけで何とかなるんだったらそうしたいわよ!』
絵里『自分が不器用なのは分かってる。……でも!!』
絵里『今更アイドルを始めようなんて、私が言えると思う……?』
絵里(私はたまに思い出す。μ’sに入った日のことを)
絵里(私のできない判断を出せる彼女達が、私は妬ましかった)
絵里(そして、笑顔で前に向かっていく彼女達が、私は少しだけ嫌いになった)
絵里(でも、そんな彼女達はやがて、こんな私でさえ飲み込んだ)
絵里(私にとってμ’sは、私に無い可能性の塊)
絵里(私ではやらない、私では選ばないことを、次々とやってみせて、私を驚かせていく)
絵里(いつの間にか、そんな彼女達が、私は大好きになった)
ガラァッ
穂乃果「あーいた! 絵里ちゃん!!」
絵里「えっ、もう練習の時間? まだ早いと思うけど……」
穂乃果「そうなんだけどねぇ。練習の前に、ステップで確認したいところがあって」
穂乃果「これ以上間違えると、海未ちゃんにまた怒られちゃう!」
穂乃果「だからさ、私を助けると思って! お願い!!」
絵里「えぇ、いいわよ。それじゃ行き……」
穂乃果「やったー! ほら、行こ!!」グイッ
絵里「ちょっと、早い!!」ガタッ
穂乃果『絵里先輩。μ’sに入ってください!!』スッ
絵里(この手の温もりなんだと思う)
絵里(温もり、が……!)
穂乃果「ん? どーしたの、絵里ちゃん。いきなり立ち止まって……」
絵里「穂乃果。ちょっと相談があるんだけど……」
絵里(この学校をも温かく引っ張っていくと、私は信じてる)
~凛ハウス~
凛「う~ん、どっち着て行こうかなぁ……?」
凛(どんな服を着ようかな。ズボンか、スカートか……)
凛(昔の私からは想像もできないにゃ……)
凛(でも、みんながいたから。かよちんがいたから。可愛い、って背中を押してくれたから)
凛(何を着ても良いんだ、って)
凛「……そう言えば、今日は何時からだったっけ?」スッ
凛々:明日ご飯食べに行こ!
凛々:新しいラーメン屋見つけた!
ぱな:うんいいよ 何時にしよっか?
凛々:いつでも!
凛々:昼でも夜でも
凛々:朝でも!>ω</
ぱな:朝からラーメンは……
ぱな:ぱながスタンプを送信しました
ぱな:朝は用事があって14時からでもいい?
凛々:分かったにゃ! 14時集合ね!
凛々:集合場所は
凛「……って、14時!?」バッ
凛「もう10分も無いにゃー!!」アセアセ
花陽「それで、遅くなっちゃったんだ」
凛「ごめんね。服選ぶの慣れなくて、時間かかっちゃった」
花陽「ううん。それは良いんだけど……」チラッ
花陽「結局、ズボンなんだね……」
凛「時間無い、って気付いてから、もう着慣れたので良いや、ってなっ……」
花陽「凛ちゃん。予定変更してもいい?」
凛「……え?」
花陽「凛ちゃんは可愛いんだから、服ももっと可愛いのを普段から着なくちゃ!」
凛「え? でも、凛、お腹が空い……」
花陽「着慣れたもの? だったら、可愛いのを普段から着慣れればいいんだよね!」
凛「かよちん……? 凛の声、聞こえてる?」
花陽「あーでも、可愛い服、っていうコンセプトならそっちに詳しいにこちゃんも……」
花陽「でも一般的な目線も欲しいから絵里ちゃんとか……」
花陽「よし! もうこの際、LINEのグループでみんなに呼びかけを……!!」
凛(こうなったかよちんは止まらないにゃ……。こんなかよちんも好きだけど//)
凛(今日もまた、私の背中を誰かが押してくれるのかな……?)
凛(みんながいるから、今日もまた、私は少しだけ変わる)
凛(それはきっと、私の未来の勇気に繋がるにゃ!!)
ぱな:凛ちゃんにもっと可愛い服を!
ぱな:これから来れる人いますか?
ことり:はい行きます! 目星はもうついてるんだぁ
のぞ:面白そうやしウチも
にこにー:可愛い服って言ったら私でしょ!
maki:はいはい
maki:暇だし私も行くわ
海未:宜しければ私も行かせていただきます。
ほ:今海未ちゃんと一緒! 私も行くー!
エリチカ:どんな服か楽しみね
エリチカ:エリチカがスタンプを送信しました
ピロンッ
凛々:みんな、ありがとにゃー!!>ω</
μ’s(9)
ほ:お疲れ!
ほ:ほがスタンプを送信しました
ぱな:新曲どう思われたかな?
ことり:Snow halation!(^8^)
ことり:9人で頑張って作ったんだから大丈夫!
海未:明日は練習をお休みにしますので、今日明日は皆さん、ゆっくり休んでください。
海未:明後日にはまた朝練から始めますので。
凛々:もう次の練習の話~? うみちゃんかたいにゃー!
海未:凛
凛々:あっ……
海未:凛
凛々:すみませんでした……
ほ:疲れてはいるけどライブで興奮しちゃって寝れないよー!!
~希ハウス~
希「穂乃果ちゃんらしいなぁ……」
希(ようやくウチのやりたかった、9人で曲を作ることができた)
希(やっぱり、この9人で集まれて良かったなぁ……)
希『いや、9人や。ウチを入れて』
希「……////」ボフンッ バタバタ
希(μ’sが9人揃ったあの日がきっと、ウチが一番勇気を出した日やな……//)
希(悟られんようにはしたけど……)
希(もう1人ぼっちじゃない。μ’s、っていう8人の女神のお陰で……)
希(……女神は言い過ぎかな?)クスッ
希(それでも、ウチを救ってくれたことには変わりない)
希(寂しさから。苦しさから。哀しみから……)
希(うーん。考えれば考えるほど、ちょっと寂しくなってきた)
希「……って言っても、今から誰かを誘う訳にもいかんしなぁ」チラッ
μ’s(9)
ほ:そーだ! 今からみんなでどこか集まろうよ!
ほ:打ち上げだー!!
凛々:じゃあうみちゃんはお留守番にゃー!!
海未:凛
凛々:……すみません
ことり:それ良い!
ことり:どこがいいかな?
エリチカ:みんなで集まると言ったら?
にこにー:希の家ね
にこにー:どうせ寂しがってる頃でしょ
ぱな:私も行きます
凛々:かよちんと合流完了
エリチカ:はやい
凛々:じゃあまきちゃんはお留守番にゃー!!
海未:凛
凛々:なんでまた
maki:行けばいいんでしょ?
maki:私も眠たくないし
海未:分かりました。私も母に外出していいか聞いてみます。
ほ:のぞみちゃーん!
ほ:今から行っても大丈夫ー?
ほ:ほが画像を送信しました
希「……もう、みんな揃ってるやん……」グスッ
ピロンッ
のぞ:えーよ!
のぞ:今から片付けしとくから
のぞ:はよ来てな!!
にこ「ふわぁ……」
にこ「……早く来過ぎたわね……」
にこ(昔はよく、夢を見た)
にこ(周囲の拍手喝采の中、素敵な衣装を着て、私は笑顔で歌う)
にこ(みんなを楽しませるために。私も、楽しむために)
にこ(それは夜だけの、私だけの時間。私だけの夢の中)
にこ(高校に入って、それを実現させたくて、部を作った)
にこ(アイドル研究部。アイドルを知り、いずれはそれを叶える部活)
にこ(そして、仲間を作った。……けど)
にこ「他の部の子に助っ人頼まれたんでしょ? 仕方ないわよ」
部員B「お母さんに勉強しろ、って怒られちゃって……」
にこ「親に言われたのなら仕方ないわね……」
部員C「ごめん。もう、ついていけない、っていうかさ……」
にこ「別に……、大丈夫、だから……」
部員D「私たちのことも、もっと考えて欲しかったな。……それだけ、言いたくて」
にこ「……そう」
にこ(夜だけが、私を素敵にしてくれた)
にこ(夜だけは、宇宙No.1アイドルでいられた)
にこ(夜だけを、私は好きになっていた……)
にこ(でも、もう違う)
穂乃果『あ。にこちゃんいた!』
にこ(もう。違うんだ……!)
にこ『遅いっ!!!』
凛『張り切り過ぎにゃぁ』
にこ『いいじゃない! ライブ当日なんだから! ……ふんっ!』
にこ(私だけの時間は、私だけの時間では無くなっていた)
にこ(私達の時間。スクールアイドル、μ’sの時間)
にこ(残り少ない時間かも知れない。それでも、私は)
絵里『さぁ。これでμ’sは全員揃ったわね!』
にこ(私だけの夢はもう、見ていない)
~穂乃果ハウス~
ガララッ
穂乃果「うわぁ、雨降ってるや……」
穂乃果「どうしようかなぁ」
穂乃果(雨を見ていると、ふとした時に思い出す)
穂乃果(文化祭の、ライブのことを)
穂乃果(μ’sのリーダーになって、頑張らなくちゃと張り切り過ぎて、失敗した)
穂乃果(あのライブだけは、本当に後悔が残っている)
穂乃果「明日ライブだし、もう少し走っておきたかったんだけどなぁ……」
穂乃果(仮にも、μ’sのリーダーなんだ)
穂乃果(みんなを、引っ張っていかなくちゃいけない)
穂乃果(前に。もっと、前に。みんなの夢を、叶えるために……!)
穂乃果「……よし!!」
海未「穂乃果……」
穂乃果「……はい」
海未「これは、どういうことですか……?」
穂乃果「ライブ前で、眠れなくて……、それで……」
海未「それで?」
海未「それと夜中まで漫画を読んで寝過ごしたことが、どう関係があると言うのですか!!」
穂乃果「うわーん! ごめーん! すぐ準備するからー!!」
穂乃果(そう思うのは、もう止めた!)
真姫「まさか、こういうことだったとはね」クルクル
穂乃果(私はリーダーだけど、歌詞が作れる訳でも無い)
穂乃果(曲が作れる訳でも、衣装が作れる訳でも無い)
にこ「色々と心配して損したわ」
希「まぁ、穂乃果ちゃんが事故に巻き込まれたんやない、ってのはカードで分かってたからね」
穂乃果(アイドルの夢をずっと昔から持っていた訳でも、色んなサポートができる訳でも無い)
凛「凛はこんなことだろうと思ってたにゃ!」
花陽「え? そーなの!? ちょっとだけ心配してたんだけど……」
絵里「ほら~。早くしないと、時間無くなるわよー!」
穂乃果(みんなの意見を1つにまとめることも、そんなに上手じゃない……)
穂乃果(私はみんなに助けられて、ここまで来たんだ……)
穂乃果(だから、1人でなんでもかんでも背負った気になって、無茶をするのはもう止めた)
穂乃果「いったぁーい!!」
海未「……まったく。何やってるんですか?」スッ
穂乃果「えへへ……。ありがと!」スッ
穂乃果(私は、みんなに支えられてここにいる!)
穂乃果(μ’sのみんな。私達を応援してくれる多くのみんな)
穂乃果(みんなのお陰で、ここまで来ることができた)
海未「大丈夫ですか?」
穂乃果「うん、大丈夫!」エヘヘ
穂乃果(いつか訪れるさよならが来るまで……。ううん、さよならが来たとしても)
穂乃果(私は、みんなで協力して、みんなで前に進んで行く!)
穂乃果「さぁ、行こう! μ’sの、ファイナルライブへ!!」
穂乃果(みんなで叶える物語……)
穂乃果(その思いを、今……!!)
~?年後~
μ’s(9)
ほ:今日、久しぶりに集まれないかな?
~音ノ木坂学院~
穂乃果「う~ん。なんか久しぶりに中に入った気がするな~!」
海未「穂乃果、勝手に入っても大丈夫なんですか?」
穂乃果「大丈夫だよー。ね、ことりちゃん」
ことり「うん! お母さんにお願いして、生徒のいないこの時間なら、って!」
穂乃果「穂乃果だってもう大人だよ?」
穂乃果「2人が見てるこの姿は言わば、仮の姿なんだよ!」エッヘン
ことり「……あはは」
海未「仮? むしろこれが真の姿では……?」
穂乃果「むー……!」
穂乃果「でも確かに。ここにいると、昔を思い出しちゃうね……」
海未「本当に。そうですね……」
ことり「うん。懐かしい、って思っちゃう」
穂乃果「そうだ! 屋上行こうよ!」
ことり「ここで毎日練習してたね……」
海未「はい、そうで……」
凛「そうだにゃー!!!」バァンッ
穂乃果「おぉ! 凛ちゃん!」
凛「久しぶり! かよちんもいるよ」
花陽「どうも、お久しぶりです」
ことり「うん。久しぶり!」
ことり「考えることは、同じみたいだね」
海未「それにしても凛、あなたまだ語尾に、にゃ、なんて付けてるんですか?」
凛「え? つけてないよ?」
穂乃果「えぇ! つけてないの!? ……もったいない!」
海未「もったいない? ……でも確かに、」
凛『よーし! さぁ、今日も練習、行っくにゃー!!』
海未「元気にさせてくれていたのは、間違いないですね」
穂乃果「よし。それじゃあ、移動しよっか」
ことり「あれ? 誰かもう来てるみたい」
花陽「あの後ろ姿は……」
凛「真姫ちゃーん! 真姫ちゃん真姫ちゃん、真姫ちゃーん!!!」ダダッ
真姫「ふん!」ビシッ
凛「痛い!」バタンッ
真姫「もう大人なんだから、感情のままに動いちゃダメでしょ」
凛「だからってすぐ暴力振るうのもどうなの?」
花陽「真姫ちゃん、久しぶり!」
真姫「久しぶりね、花陽」
海未「どうしてここに?」
真姫「なんとなくよ。なんとなく、ここが懐かしいな、って思って……」
真姫『……っ! 別に、歌うならそっちの方が良いって言っただけ!』
凛『かよちんはいっつも迷ってばっかりだから、ぱっと決めてあげた方がいいの!』
真姫『そう!? 昨日話した感じじゃ、そうは思わなかったけど?』
花陽『あの、喧嘩は……』
真姫「まぁ、懐かしい、って割には、嫌な出会いの仕方だった気もするけど」
凛「そうだったかもね……」
真姫「ほら、早く立ちなさいよ」スッ
凛「ありがと、真姫ちゃん」スッ
穂乃果「ほんと、懐かしいや……。ここも。μ’sも」
海未「……穂乃果……」
穂乃果「よし。次、行こっか!」
ガチャッ
穂乃果「あ。やっぱりいた!」
絵里「久しぶりね!」
希「久しぶりやねー!」
穂乃果「う~ん……」
絵里「ど、どーしたの?」
穂乃果「いや、絵里ちゃんがそこに座ってるのを見ると、嫌な時の思い出が……」
絵里「ちょっと! 嫌な時、ってどういうことよ!」
希「しょうがないやん。あん時のえりちは、キレッキレやったからなぁ」
絵里「ちょっと、希まで……!」
海未『それは……』
穂乃果『ライブです!』
穂乃果『3人でスクールアイドルを結成したので、その初ライブを講堂でやることにしたんです』
絵里『できるの? そんな状態で』
絵里『新入生歓迎会は遊びではないのよ?』
穂乃果「でも、そこにいる方が、様になってるよ!」
絵里「ほんと!?」
凛「ちょろい」
真姫「ちょろいわね」
凛「真姫ちゃんは人のこと言えないけど」
真姫「なっ!?//」
希「あ~、にこっちはなぁ……」
絵里「まだこっちに来れてないみたい」
ことり「そっか……、忙しいもんね」
にこ『お客さんがアイドルに求めるものは、楽しい夢のような時間でしょ!』
希「結局、にこっちの今が、ウチらの夢の延長線。会い辛くなったのは寂しいけどな……」
穂乃果「じゃあ、部室に行こっか。本当は、9人揃ってから行きたかったんだけど」
ことり「……うん、行こう!」
穂乃果「ここでみんなでよく話し合ってたよね。μ’sとして」
絵里「そうね……。1年間、ずっと」
花陽「ラブライブも盛り上がって、今では決勝のドーム大会が毎年の恒例です!」
ことり「確か、スクールアイドルみんなでライブをやった、あの年以来だよね」
穂乃果「うん。そうだね。……でも」
希「その先は言ったらアカンよ?」
穂乃果「希ちゃん……」
絵里「私たちはスクールアイドル、だった」
真姫「そのための歌だったじゃない」
真姫「最後のライブで、今が最高だって、時を巻き戻したりなんかしない、って」
穂乃果「分かってる。あの時はそう思ってた。今でも、分かってるつもり」
穂乃果「でも、時が流れて、たまに懐かしの~、なんてコーナーに取り上げられて」
穂乃果「それでも、みんなの記憶からは消えていく……」
穂乃果「もう、終わったから……」
海未「それでも、やり遂げたじゃないですか」
海未「廃校を阻止し、ラブライブのドーム大会だって……!」
穂乃果「そう、なんだけどさ……。私たちの中にさえ残ってれば、って思ってたんだけど……」
穂乃果「それでも、もう忘れられてて、μ’sとして会えなくて……」
穂乃果「やりきれないよ……」
にこ「せっかくこのにこにーが来た、ってのに、暗い顔でお出迎え?」
絵里「にこ!?」
希「にこっち……!」
にこ「穂乃果!」
穂乃果「はい!」
にこ「μ’sが忘れ去られてる……。本当にそう思ってる?」
穂乃果「それ、どういう意味……?」
にこ「質問に質問で返さないの!」ビシッ
穂乃果「ごめん……」
にこ「で? どうなの?」
穂乃果「それは……、思ってる、かな……」
にこ「そんなことないわよ」
穂乃果「うん。……え?」
にこ「ここら辺来るの久しぶりだからどこでも……」
穂乃果「ちょっと、にこちゃん! それ、どういう意味!?」
にこ「どういう意味、って、他にどんな意味があるのよ!」
穂乃果「それもそっか!」
海未「でも、忘れ去られてない、って……。もう何年も経ってるのにですか?」
にこ「今でも来るのよ? ラブライブからとか、μ’sから~みたいな手紙とかメッセージとか」
にこ「まぁ、昔みたいに熱狂的ではないかも知れない」
にこ「実際、そんなファンの子たちでも、忘れてる時だって、あるかも知れない」
にこ「……でもね、穂乃果」
にこ「忘れることはあっても、無かったことになんてならないのよ」
にこ「今が最高! って言ったって、やっぱり過去があってこその今なんだから」
にこ「まぁ、欲を言えば、それでも思い出して欲しいとは思うけど……」
穂乃果「……」グスッ
にこ「…あんたの求めてた答えだったみたいで安心したわ」
凛「さっすがにこちゃん!」
にこ「まぁね。こんなキャラで売っていく気は、さらさら無いけど……」
花陽「でもにこちゃん。たまにそういう面、出ちゃってるよ?」
にこ「なっ!? 花陽に言われる、ってことは、改善しないといけないわね……」
にこ「ふぅ……。あ~ん、もう、どぅめどぅめ~! にこにーは~、み~んなの、も・の!♡」
にこ「ちょっと! 聞こえたわよ、真姫ちゃん!」
真姫「そのキャラ、私の前でやらないでくれる?」
にこ「ずーっと前から思ってたけど、あんた、私に対して素っ気無さ過ぎでしょ!」
にこ「学生の頃に比べて感情豊かになったんだから、もっと良い感情もぶつけてきなさいよ!」
真姫「……っ!//」
真姫「もう、にこちゃん、サイテー! 知らないっ!!」ガチャッ ダッ
にこ「……え?」
花陽「今のはにこちゃんが悪い、かな」
にこ「え?」
ことり「仲が良いのは良いことだけど、今みたいな言い方はダメだよ?」
にこ「え!?」
にこ「……もう! ちょっと真姫ちゃーん! 待ってー!!」ガチャッ ダッ
希「みんなを笑顔に……。やっぱりにこっちが、ウチらの夢のその先にいるんやね」
海未「そうですね。にこが来て、すっかり元通りです」
海未「……戻り過ぎな気もしますが……」
穂乃果「大人になったって、笑顔で、手を振って」
穂乃果「うん、こっちの方が、私たちらしいね!」
海未「先程まで凹んでいたのは、誰だったんですかねぇ?」
穂乃果「ごめんね、海未ちゃん。でも大丈夫。……忘れてないのは、私たちも一緒だった」
穂乃果「μ’sとしての私があったから、あの時のみんなの応援の声があったから、」
穂乃果「今の私たちがある。それは、絶対に無くならないし、絶対に変わらない!」
穂乃果(あなたの夢は……?)
穂乃果(いつだって、目を閉じて、呼んでくれれば会えるから……)
穂乃果(また、いつでも会おう)
穂乃果(無くならない、楽しかったあの時の過去を思い起こして……)
穂乃果(私たちと、一緒に進もう!!)
見てくださった方、5日間、ありがとうございました。
オムニバス好き
お疲れさま(*´ω`)
乙です
ぼくをみてるみたいだよ
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