【ラブライブ!】千歌「果南ちゃんを手ブラで帰すわけにはいかないぞって」
- 2020.04.19
- SS

千歌「だから今日は千歌の部屋に泊まるのだ!」
果南「まさかそのために私の上着とブラをしいたけに食べさせたの?」
千歌「ふふふ」
果南「でも残念でした。私はウェットスーツ持ってきたから」
千歌「ああ!…… そうだった」
果南「千歌、なんでこんなことしたの?」
果南「ただのイタズラだったら怒るよ」
千歌「――だって」
千歌「最近、果南ちゃん全然私に構ってくれなくて」
千歌「寂しかったんだもん……」
果南「千歌……」
果南「……」フゥ
果南「いいよ、おいで」
千歌「え……?」
果南「ハグしてあげる♪」
千歌「わーい!」
ギュ
チュンチュン
果南「んっ――」
果南「もう朝か」
千歌「zzz」スー スー
果南「ふふ」ナデナデ
果南「さて、帰ろうか」
千歌「かなんちゃん……」
果南「ん、千歌、起きてた――」
千歌「zzz」スピー
果南「……寝言か」
千歌「だいすき……」
果南「!」
果南「///」
果南「もうちょっと、寝てようかな……」
千歌「zzz」グー
果南「ありがと」ナデナデ
千歌「でね! ここの振り付けは上手くいったと思うの」
果南「へえ、千歌ってばホント真面目にやってるんだ」
千歌「ええー!? それどういう意味!?」
果南「だって、いつも何か思いついては中途半端に投げ出して」
千歌「ひどいよー!」
果南「そうは言うけどね、毎回付き合わされるこっちの身にもなってよ」
千歌「むう……」
千歌「どーせ私は普通どころか半端星人ですよーだ!」
果南「あはは、ごめん。冗談だから怒らない怒らない」
果南「でも良かったね。夢中になれるものがやっとできて」
千歌「え?」
果南「千歌ってば、事あるごとに自分には何もない、何もないって言って」
果南「これでもけっこう、心配してたんだよ」
千歌「そう、なの……?」
果南「頑張りなよ。応援してるからさ」
千歌「……」
千歌「ねえ、果南ちゃん」
果南「ん?」
千歌「――ううん」
千歌「泊まってくれてありがとう」
果南「私も、久々に楽しかったよ」
果南「服なくなったのは痛いけど」
千歌「じゃあ今度お詫びに、いっぱいみかん持っていくね!」
果南「そういう問題じゃ――ま、いっか」
果南「じゃ、家に帰るよ」
千歌「服、ホントにごめんね」
果南「そう思ってるなら、もう二度としない。いい?」
千歌「うん」
果南「――でも千歌の気持ち、嬉しかったよ」
ハグ
千歌「えへへ///」
果南「またね」
ジャバジャバジャバ
千歌「果南ちゃんってば、また泳ぐの早くなってる」
千歌「毎日、お客さん相手に潜ってるからかな」
千歌「本当なら学校に行く時間も、ずっと――」
千歌「……」
千歌(やっぱり、誘えないよね)
千歌(だって、二人暮らししているおじいちゃんが入院して)
千歌(果南ちゃんはいま、ダイビングショップの経営で忙しいんだから)
※
千歌「それでね! 私たち明日東京行くことになったの!」
果南「へえー」
千歌「『へえ』って、それだけー!?」
果南「いや、凄いことなんだと思うけど、あんまり実感湧かなくて」
千歌「もお」
果南「でも、その日は休日だから、応援どころか見送りにもいけないや」
果南「稼ぎ時だしね」
千歌「う、ううん、気にしないで」
果南「お土産、期待してるよ」
千歌「観光で行くんじゃないよ」
果南「私、ほら、あの『ひよこ』ってのが食べたいな」
千歌「聞いてよー」ユサユサ
果南「楽しみにしてるからねー」ユレユレ
千歌「ただいまー」
果南「千歌、もう帰って来たの?」
千歌「だから観光じゃないって言ったでしょー」
千歌「まあいいや。はい、これ」
果南「『ひよこ』だね。買ってきてくれたんだ」
千歌「あれだけしつこく言ってたからね」
果南「そうだっけ?」
千歌「もー」
果南「なんてね、ありがと千歌」
千歌「あとこれも。――はい!」
果南「……またみかん? それもこんな大量に」
千歌「こないだ言ったでしょ。服ダメにしたお詫びにみかんあげるって」
果南「ああ、そんなこともあったね」
千歌「……果南ちゃん、最近忘れっぽくなってない?」
果南「そうかな? まあ、それだけ仕事に追われてるのかも」
千歌「あ――そうだよね」
果南「それより、せっかく来てくれたんだから、夕食うちで食べてかない?」
千歌「いいの!?」
果南「ちょうど作り過ぎててさ」
果南「それに、千歌の東京遠征ライブの話も聞きたいし」
千歌「!」
果南「千歌?」
千歌「う、ううん、なんでも……」
果南「?」
ハハハ
果南「それにしても、Aqoursってホントみんな個性的だね」
千歌「うん!」
果南「曜と2人で始めた時はどうなるかと思ったけど」
千歌「みんないい人でさー」
千歌「こんな私にも、まだついてきてくれて――」
千歌「――!」ハッ
果南「こら、千歌はリーダーでしょ? もっと自信もちなよ」
千歌「う、うん――あ、そういえば東京で曜ちゃんってば巫女さんのコスプレ――」
果南「それで、肝心のイベントはどうだったの?」
千歌「……!」
果南「どうしたの?」
千歌「……話さなきゃ、ダメ?」
果南「だってそれがメインなんでしょ、東京行った」
果南「そりゃあやっぱり聞きたいよ」
千歌「……あのね」
千歌「出場者みんな、とってもすごくて……」
千歌「とくに、セイントス・ノーマン・パーって二人組はプロみたいで……」
果南「へえ、それはまた熱い闘いだったね」
果南「で、結果はどうなったの?」
千歌「うん……で、負けちゃったんだ。大半のグループに」
果南「そっか」
千歌「……」ギュ
千歌「……なんかね、あんな凄いの見せられて」
千歌「私、ちょっと、自信なくしちゃったっていうか……」
果南「そう」
果南「まあ、現実は厳しいって言うし、仕方ないよ」
千歌「――果南ちゃんだったらどうする?」
千歌「もし、これまでの頑張りが全部否定されて」
千歌「絶対、この人たちには敵わないって、思い知らされて」
千歌「失敗もして、自分たちのパフォーマンスなんか本番じゃ全然できなくて!」
果南「……」
果南「そうだね、私だったら」
果南「すっぱり辞めるかな」
千歌「え……」
果南「自分に才能がないっていう道なら、見切りをつけてあきらめる」
千歌「そっか……ううん、そうだよね」
千歌「それが普通なんだよね」
千歌「なら、やっぱり私も――」
果南「千歌、おいで」
千歌「え?」
果南「いいから、おいで」
千歌「……」スッ
ダキッ ギュッ
千歌「///」
果南「アイドル、辞めたくなったの?」
千歌「!」
千歌「……」
果南「答えて」
千歌「……そんなわけ、ない」
千歌「私、スクールアイドルが大好き」
千歌「Aqoursが、大好きだもん!」
果南「そう、良かった」
千歌「え?」
果南「私も、アイドルやってる千歌が大好き」
千歌「か、果南ちゃん///」
果南「正直ね、驚いてるんだ」
果南「だって、あの千歌がだよ」フフ
千歌「なにそれぇ!?」
果南「あの千歌が、これまで見たことなかったくらい」
果南「どんなアイドルにも負けないくらい」
果南「一生懸命で、わき目も振らないほど夢中で」
果南「輝いてるんだから」
千歌「――!」
果南「そりゃあ見惚れちゃうよ」
果南「まあ、身内のひいき目だと思うけど」
スッ
果南「――さ、湿っぽい話は終わり。早くご飯食べちゃおう」
果南「せっかくの手料理、冷める前に食べてよ――」
ギュ
果南「千歌?」
千歌「がなんぢゃーん」ズビー
果南「ちょ! 鼻水、服に鼻水があ!」
千歌「ありがどーー!」ズビー
果南「分かった、分かったから! はい、どうどうどう」ナデナデ
千歌「ふん!」チーン
果南「ハァ……」
果南「みかん、またいっぱい持ってきてよね」
チュンチュン
果南「んー、今日もいい天気」
カナンチャーン
果南「あの声は――」
千歌「おはよーう!」ダダダ
果南「千歌! うん、おはよう」
千歌「はあ、はあ」
果南「どうしたの? こんな朝早く?」
千歌「果南ちゃんにお願いがあるの!」
果南「お願い? なに?」
千歌「私たちと一緒に、スクールアイドルになってください!」
果南「!」
千歌「分かってるよ。ショップで忙しくて、そんなことやってる暇ないことくらい、分かってる」
千歌「でも、私は果南ちゃんと一緒にやりたい!」
千歌「本当は、ずっと言わないつもりだった」
千歌「でも昨日、やっと分かったの。私にはやっぱり果南ちゃんが――」
果南「千歌、ダメだよ」
千歌「……そう、だよね」
果南「私を頼りにしようなんて、そんなのはダメ」
千歌「え?」
果南「ちゃんと引っ張ってよね。リーダーは千歌なんだから」
千歌「じゃあ、果南ちゃん……」
果南「かわいい幼馴染みの頼みでしょ? そりゃあ手伝わなきゃね!」
千歌「でも、お仕事が――」
果南「ダンスの自主練は夜にでもできる」
千歌「疲れてないの?」
果南「全然」
千歌「あう……」
果南「というか、なんで最初に誘ってくれなかったの? けっこうショックだったよ」
果南「ずっと、待ってたんだからさ」
千歌「うう……」ジワ
千歌「がなんぢゃーん」ズビー
ダキッ スカッ
千歌「ええ!? 避けられた!」
果南「服を守りたいからね」
千歌「ひどいよぉー」
果南「じゃあ、続きは――」
志満「あら、果南ちゃん。いらっっしゃい」
果南「お邪魔します」
美渡「どうしたの? こんな時間に」
果南「実は、今日千歌の部屋でアイドル活動について泊まり込みで話そうと」
美渡「え? 果南もアイドルやるの!?」
果南「ま、まあ」
美渡「うわ、意外」
果南「――だよね」
千歌「見てみて、一番星だよ」
果南「ほんとだ」
千歌「なんて名前だっけあれ」
果南「ベガ」
千歌「そうそう、デガ」
果南「わざとやってる?」
千歌「えへへ」
果南「はあ、まだまだ子どもだね、千歌」
千歌「純真を忘れないのがアイドルだよ」
果南「そうかな?」
千歌「そうかなん?」
果南「それより、私の振り付け部分なんだけど――」
千歌「あー、無視したー! 今のは果南ちゃんと疑問のかな――」
果南「説明しなくていい」
果南「――で、この曲の場合は」
千歌「ねえ、果南ちゃん」
果南「なに?」
千歌「あのぉ、大変言いにくいんですけどぉ」
果南「どうしたの、改まって?」
千歌「そろそろ、け、今朝の続きを……///」
果南「……」
果南「……」フゥ
果南「ハグしたいの?」
千歌「///」コクン
果南「いいよ、おいで♪」
千歌「わーい!」
ギュ
果南「ふふ///」
千歌「えへへ///」
梨子(……あわわ///)
梨子(夜の部屋で、千歌ちゃんと果南さんが抱き合って///)ドキドキ
梨子(こ、これがもしや、リアル百合!///)ドキドキドキ
梨子(――――!)ドキドキドキドキ
梨子「何も言えねえ///」
おしまい
最高

良い
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