【ラブライブ!】梨子「東京の友達がこっちに遊びに来るの」千歌「…え?」
- 2020.04.23
- SS

千歌「今週の土日は練習休みなんだよね。何しようかな~」
千歌「そうだ!梨子ちゃんと沼津にでも行こうかな!」
千歌「電話しよ!」PLLLLL
梨子『はい、もしもし』
千歌「千歌です。おはよう梨子ちゃん!」
梨子『おはよう、千歌ちゃん』
千歌「今日何か予定ある?もし無いなら…」
梨子『あ、ごめん千歌ちゃん。実は今日と明日は東京の友達がこっちに遊びに来るの』
千歌「…え?」
梨子『ウチに一泊泊まりでね。そういえば言ってなかったね…』
千歌「梨子ちゃん…東京に友達いるの?」
千歌「うっ…ごめん」
梨子(まあ東京じゃ少なかったけどね…友達)
千歌(びっくりして失礼なこと言っちゃったよ…)
梨子『それじゃあね』
千歌「…うん…」
梨子『』ピッ
千歌「…」
梨子ちゃんに…私たち以外の友達がいたなんて…いや考えてみれば当たり前なんだけど。梨子ちゃんって引っ越してくる前の話ほとんどしないから…思いもよらなかった。
友達って…どんな子…だろう?わざわざ静岡まで遊びに来るくらいだから、梨子ちゃんと…かなり仲良いよね?
…私よりも?
千歌(…)ズキッ
16年…
もしかして…私と曜ちゃんみたいな幼馴染だったりして…。そうじゃなくても…出会って数か月しか経ってない私なんかよりよっぽど長い付き合いなのは確実だよね…
その子は…私の知らない梨子ちゃんを…いっぱい知ってて…
千歌(…)ズキズキズキズキズキ
あれ…何だろう…この感じ…すごく…嫌な感じ…
-その時。隣の家の玄関のドアが開く音が聞こえた。
「それじゃ…行ってきまーす」
千歌「梨子ちゃん!」
慌てて服を着替えてスマホと財布を持つと、梨子ちゃんを追うように家を飛び出す。
千歌(待って…梨子ちゃん!)タッタッタッタ
千歌(バス停…いた!梨子ちゃん!って、バス来てるじゃん!)タッタッタッタ
千歌(あ…)
千歌(バス行っちゃった…)
千歌(…)
千歌(…いや…でも…これでよかったのかも…冷静に考えると…追いかけてどうするつもりだったんだろう…)
千歌(行かないでって言う?それとも一日中尾行?どっちにしろどうかしてるよ…私)
千歌(帰ろ…)トボトボ
―――――
学校の宿題でもしようと思ったけど、どうしても梨子ちゃんのことを考えてしまう。
梨子ちゃん。私の前に現れた奇跡みたいな女の子。
半年前には顔も名前も知らなかったなんて信じられないくらい、私の中で大きな存在になってしまった女の子。それは梨子ちゃんにとっても同じで…私より梨子ちゃんと仲の良い人なんていなくて…私より梨子ちゃんを知ってる人なんていなくて…勝手にそう思ってた。
でもそれは…馬鹿な私の思い上がりだったのかな。梨子ちゃんにとっての私は…引っ越し先で最初に仲良くなった友達の一人…でしか…ないのかも…
梨子ちゃんと二人で撮った写真を眺めたりして時間を潰す。不安を紛らわすように。
千歌(フフッ…この時は楽しかったなぁ…)
志満「千歌ー昼ご飯よー」
千歌「はーい」
千歌(食欲無いけど食べなきゃ…)
千歌(梨子ちゃん…お昼くらいになったら友達と家に来るかもって思ったけど…帰ってこないな…)モグモグ
千歌(今頃友達とどこかでランチ食べてるんだろうか…)モグモグ
千歌(…)モグモグ
美渡「ちょっと千歌…なんで泣いてるの?」
千歌「…え?」ポロポロ
千歌「あれ…なんでだろ…」ポロポロ
千歌「…ごめん、ご飯残すね。ごちそうさま」ガタッ
美渡「ちょっと千歌!」
美渡「悩みがあるなら、相談しなさいよ…!」
千歌「うん、でも大丈夫だから」
志満「…」
おかしい。いくらなんでもおかしいよ。
私はどうなってしまったんだろう。
こんなのは生まれて初めてだ。胸が苦しい。
梨子ちゃん…助けて…梨子ちゃん…。
―――――
友達A「いや~久しぶりに濃い壁ドントークができてる気がする!」
友達B「そうだね!やっぱり梨子の壁ドンへの造詣の深さには恐れ行ったよ~」
梨子「ふふっ…それほどでも…あるかも?」
友達A(あるのか…)
友達B「梨子みたいな壁友※が静岡に住んでて良かったよ~」※壁ドン仲間のこと
友達A「明日は本当に楽しみね!」
友達B「うん!明日静岡市で開催される”富嶽壁ドン三十六景”展…楽しみだね!そのために来たんだから!」
梨子「ええ!このイベントの何が凄いかって…」
梨子の携帯『ユメーノトービラー』
梨子「あれ?電話だ…千歌ちゃんから?二人ともちょっとごめんね…」ガタッ
梨子「はい、もしもし?」
『梨子ちゃん…今…何してるの…?』
『…友達と何してるの…?どんな子なの…?』
梨子「何って…い、いろんなことよ!積もる話もあるし…って言うか千歌ちゃんには関係ないでしょ!」
『…っ…私には…関係ないの…?』
梨子「当たり前でしょ!ちょっとおかしいわよ千歌ちゃん!」
梨子「用事がないなら変な電話して邪魔しないで!もう切るからね!?」
『あ…』ピッ
梨子「ふぅ…」
梨子(壁ドンについて話してるなんて言えるわけないじゃない)
梨子(それにしても…千歌ちゃんは元々変な人だけど、いつも以上に変だったわね…暇だったのかしら?)
梨子(…まあ、いいか)
梨子「…お待たせ!それで話の続きなんだけど…」
―――――
梨子ちゃんに嫌われた。梨子ちゃんに嫌われた。梨子ちゃんに嫌われた。
梨子ちゃんに私は関係ないって言われた。梨子ちゃんに私は関係ないって言われた。梨子ちゃんに私は関係ないって言われた。
梨子ちゃんに私はおかしいって言われた。梨子ちゃんに私はおかしいって言われた。梨子ちゃんに私はおかしいって言われた。
梨子ちゃんに邪魔するなって言われた。梨子ちゃんに邪魔するなって言われた。梨子ちゃんに邪魔するなって言われた。
私は頭のおかしいお邪魔虫なんだ。
出会って数ヶ月しか梨子ちゃんのことを知らないくせに、梨子ちゃんのことなら何でも知ってる気になって、梨子ちゃんの一番になった気になって。
そのくせそれが勘違いだと気付いたら嫉妬に狂って、私なんかよりよっぽど仲の深い友達と”いろんなこと”をして楽しんでる梨子ちゃんの邪魔をして。
…いろんなこと?いろんなことって何?やだやだやだやだやだその子と何してるの!?梨子ちゃん今何してるの!?やめて…やめて…!!
―――――
友達A「そろそろ梨子の家行こうか?」
梨子「そうね!本番は明日なんだし、家で色々備えなきゃ!」
友達B「うん!」
―――――
梨子「ここが私の家よ」
友達B「へぇ?海の前なんだ!」
梨子(友達を家に泊めるのって何か緊張するな?)
梨子「ただいま」ガラッ
友達A・B「「おじゃまします!」」
梨子ママ「!…いらっしゃい」
友達A・B「「今晩はお世話になります!」」ペコリ
梨子ママ「ええ、よろしくね」
梨子ママ「…梨子、ちょっと来て」
梨子「?」
梨子ママ「…」
梨子「…千歌ちゃんが…自傷行為…?」
梨子ママ「ええ…リストカットなんだけど…かなりザックリやったみたいで…美渡さんが救急車呼んで大変だったのよ。幸い入院沙汰にはならなかったから今は家にいるらしいけど…」
梨子(千歌ちゃん…!!)
梨子「…私のせいだ…!!」
梨子ママ「え?」
梨子「電話で様子が変だったのに…!!気付けなかった…!!!」
梨子「千歌ちゃんっ!!!!」ダッ
梨子ママ「梨子!!」
梨子(馬鹿だ…最低だ…私…!!)
梨子(世界で一番大切な親友が助けを求めてたのに…気付かないなんて…!!)
志満「…何かしら?」
梨子「千歌ちゃんに会わせてください!」
志満「…千歌は今デリケートな状態なのよ。ごめんなさい」
梨子「千歌ちゃんは今日の昼、私に電話してたんです!きっと私に…相談したくて…だから…!!」
志満「…」
志満「…なんとなくそんな気はしてたわ。やっぱり梨子ちゃん絡みだったのね」
梨子(私絡み?)
志満「千歌は自分の部屋にいるわ」
梨子「…」
―――――
「…」
梨子「…駄目?」
「…」
梨子「…入るよ」
襖を開けると千歌ちゃんは、ベッドの中で静かに眠っていた。
一瞬…その姿がまるで安らかに息を引き取った後のように見えて不安になった。千歌ちゃんの?を手で撫でて、その暖かさに安堵する。
千歌ちゃん…私をスクールアイドルの世界に引き込んだ人。私のピアノの夢を大切にしてくれた人。私の人生を変えてくれた人。いつも私を引っ張ってくれる、優しい太陽みたいな女の子。今の私の…一番大切な人。
彼女の弱いところも沢山知ってるけれど…今回の出来事は流石に驚いたわ。どうして自傷行為なんか…昨日の学校ではそんな素振り全く見せかったのに。
もしかして…千歌ちゃんの悩みは今日になってから生まれたの?
<志満「やっぱり梨子ちゃん絡みだったのね」>
今朝私は千歌ちゃんに遊びに誘われた…私は友達が来るからと断った。あの電話の時点の千歌ちゃんには別に違和感は無かったような気がするんだけど…
<『梨子ちゃん…東京に友達いるの?』>
<『…友達と何してるの…?どんな子なの…?』>
<『…っ…私には…関係ないの…?』>
梨子「あ…」
千歌ちゃんを自傷行為にまで追い込んだのは…他でもない私だった…?
私があの電話で…千歌ちゃんを酷く傷つけた…!!
梨子「千歌ちゃん!!!」
千歌ちゃんの上半身を起こして力の限り強く抱きしめる。
梨子「千歌ちゃん…ごめんなさい…!!」ギュッ
千歌「…あ…れ…?梨子ちゃんがいる…?なんで…?」
千歌「東京の…友達は…?」
梨子「そんなのどうだっていいよ…!!」
梨子「千歌ちゃんより大事な友達なんて…いるわけない…!!」
千歌「…」
千歌「えへへ…良かった…やっぱり私…バカチカだ…」
―――――
志満さんにだけは全ての事情を説明した。私は千歌ちゃんを傷付けたことを謝ったけど、志満さんには妹が迷惑をかけたと逆に謝られた。
美渡さんはどこまで事情を知っているのか分からないが、一度千歌ちゃんの部屋に彼女が来た時なぜか睨まれた。
そして今、私と千歌ちゃんは同じベッドの中で向かい合って寝ている。
梨子「千歌ちゃんの部屋に泊まるのは合宿以来だけど…二人きりで…しかも同じベットで寝るのは初めてだね」
千歌「嫌だった?ごめん…わがまま言って」
梨子「ううん…私も…こうしたかった…」
千歌「…」
梨子「…」
千歌「ごめんね…梨子ちゃん…私の中に…あんなに弱い私がいるなんて…思わなかった…」
千歌「私の知らない梨子ちゃんがいるのが怖い…私以外の誰かがそれを知ってるのも…嫌だよ」
梨子「…これから私の全部を知っていけばいいでしょ。ま、今でも千歌ちゃんより私に詳しい私の友達なんて絶対にいないと思うけど…これからは今まで以上に何も隠さないわ、千歌ちゃんにだけは。東京の頃の話だって何でも話すし…私の趣味…壁ドンのことだって…」
千歌「かべどん?」
梨子(い、いや…壁ドンは追い追いでいいか…)
梨子「とにかく!千歌ちゃんは私にとって世界で一番の友達だってことよ!今までも!これからも!」
千歌「…私が梨子ちゃんの一番…えへへ…嬉しいな…」
千歌「…」
千歌「…でもやっぱり…ちょっぴり不安だよ」
千歌「証が欲しいな…」
梨子「証?」
千歌「うん…言葉だけじゃなくて…何か…」
梨子「…」
梨子「千歌ちゃん」
梨子「証が欲しいなら…目を閉じて…」
千歌「え…うん…」
梨子「…」
チュッ
千歌「…え?/// 」
梨子「…どう?証だよ」
千歌「え!?え!?///」
梨子「ただの友達なら…口づけなんてできるわけないでしょ?///」
千歌「わ、私たち…女同士…///」
梨子「だ、だから…一番の友達でもないとできないでしょ!!///」
千歌「…一番の友達でも…『ただの』一番の友達なら…普通しないんじゃ…///」
梨子「千歌ちゃんが証が欲しいって言うからでしょ!///」
千歌「う、ごめん…ありがとう…///」
梨子「…///」
千歌「…///」
梨子「…もう寝るから!///」
FIN
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