【ラブライブ!】千歌「黒澤家に嫁入り」
- 2020.04.26
- SS

廊下の雑巾がけも終わって、小さく体を伸ばす。掃除も洗濯も済ませたし、晩ごはんの準備には早すぎるし、とりあえずやることはなくなっちゃった。
千歌「ダイヤさんは……まだ帰ってきてないよね」
ダイヤさんと一緒に暮らし初めてまだ一週間とちょっと、慣れないながらもなんとか毎日お嫁さんやってます!
お母さんに「あなたには許嫁がいます!」なんて言われたのが1ヶ月くらい前かな?いきなりそんなこと言われてびっくりしたけど、相手を聞かされた時はもう、びっくりなんて通り越して理解が追い付かなくて……
本当は『黒澤家と高海家の子で、黒澤家の長女と一番歳の近い異性の子』って話だったみたいだけど、近年同性婚への理解が進んだ結果なのか、両家庭と町の人達で話し合いの末、私とダイヤさんは約束通り許嫁に。ってそんなこと寝耳に水だよ……
実感もないままトントン拍子で話が進んで、気がついたらもう引っ越しの準備まで終わっていて、ダイヤさんが18歳の誕生日を迎えてすぐ、私は黒澤家に嫁ぐことになった。
千歌「この歳で嫁ぐって、ねえ……」
突然の結婚で、しかもよく知った相手となんてびっくりはしたけれど、正直あんまり嫌だとか、不安だとかはなかったの。よく分かってないまま「ああ、私、ダイヤさんと暮らすんだ」って、それくらいの感覚で嫁入りして。そりゃ当日はドキドキしたけどね?
ルビィちゃんもお義父さんもお義母さんもとっても良くしてくれて、黒澤家のみんなに馴染むのはあっという間だった。
ただ、ダイヤさんとだけはどうしてもぎこちないというか……いきなり夫婦ってことになって、お互い距離感が手探りというか……
千歌「……私、ちゃんと出来てるのかなぁ」
私、ダイヤさんの妻、なんだよね……?
妻って、どんな感じでいたらいいんだろ……?
千歌「あっ、ルビィちゃん。ううん、今終わったとこだよー」
ルビィ「そっか、よかった。そろそろおやつ食べようと思ったから、一緒にどうかなって」
千歌「うん!食べる食べる!」
ルビィちゃんは私にとっては義理の妹になって、この家ではまだ新参の私にいつも気を遣ってくれる。いい妹を持ったもので♡
キッチンからおやつのプリンとスプーンを持ってきて、ルビィちゃんと一緒に居間のこたつに入る。
ルビィ「プリン美味しい~」
千歌「今日はちゃんと自分のプリン食べてるよね?」
ルビィ「だ、大丈夫だよ!お姉ちゃんの名前書いてないし!」
千歌「ならよし」
それから、ルビィちゃんとスクールアイドルの話とか学校の話なんかをしながら、昼下がりを過ごす。こうしてかわいいルビィちゃんとお話しながらこたつでぬくぬくなんて、なんだか癒されちゃいます♪
「──ただいま戻りました」
千歌「……!」
慌ててこたつから抜け出し、玄関へ駆け出す。
千歌「お、お、お帰りなさいっ!」
お出迎えは妻としての大事な仕事。でもやっぱりぎこちない感じ……
ダイヤ「もう、廊下を走ると危ないですわよ」
千歌「ご、ごめんなさい……」
しかも怒られちゃった……
ダイヤ「いや、そんなに責めてる訳では……」
千歌「あ、鞄持ちますね!」
ダイヤ「え、大丈夫です……?」
千歌「え……えと、そうですか」
あれ……鞄持つのって妻っぽくない?断られちゃうの?
やっぱり、ぎこちないかな……
「家を継ぐものとしての義務ですわ」って本人は言ってるけど、朝から早起きして仕事行って、帰ってくるのは夕方近くで。
夕食を食べてお風呂に入ったら今度は学校の予習復習。日付が変わっても一向に手を休めずに……
千歌「ダイヤさん、そろそろ寝ないんですか?」
ダイヤ「いえ、まだ大丈夫ですわ」
千歌「え、でも朝早くからお仕事見に行って疲れるだろうし……」
ダイヤ「当然の義務ですから」
千歌「……そう、ですか」
義務義務って、やっぱり無理しすぎじゃないかな……
ダイヤ「先に寝ててもいいですから」
千歌「じゃ、お言葉に甘えて……お休みなさい」
ダイヤ「ええ、お休みなさい」
寝室の畳の上に敷き布団を2つ並べる。これも妻の仕事です。
私とダイヤさんは、他の家族たちの生活する家の隣にある別館で生活しています。ご飯なんかは家族みんなで食べるけど、「夫婦なんだから」って、気を遣ってくれているみたい。
布団を敷いてしまって、灯りを消す。襖の隙間からはダイヤさんの部屋の灯りが漏れていて、シャープペンがノートの上を走る音だけが聞こえてくる。
千歌(頑張りすぎ、だよね……)
よくわからないままでも婚約関係になって、私たちは一応夫婦な訳で。
やっぱり、心配だよ……
こういう時、妻ならどうするべきなのかな……?
目覚まし時計のアラームで目が覚める。
千歌「んん、朝……」
時間は5時半、早起きしてお義母さんと一緒に朝ごはんとお弁当作り。これも妻の役目なのです。
千歌「ダイヤさんは……やっぱりいない」
私だってずいぶん早起きしてるつもりなのに、ダイヤさんはもっと早起き。受験も控えてるからって、勉強ばっかり……
ダイヤ「千歌さん、起きたのですか。おはようございます」
千歌「あっ、えと、おはようございます!」
おはようの挨拶までぎこちないなぁ……
ただ、鏡台は一つしかないから……
ダイヤ「……」スッスッ
千歌「……」ヌリヌリ
私たち夫婦はこうして毎朝並んでお化粧することになるのです……!
ダイヤ「…………」スッスッ
千歌「……」チラッ
やっぱりダイヤさんって美人だよね……前からずっとそう思ってたけど、一緒に暮らし初めてからはもっと意識するようになっちゃった。すっぴんでもすっごく綺麗で、ついつい目で追ってしまう。
ダイヤ「手が止まってますわよ?」
千歌「……えっ、あっはい!」
こんなに綺麗な人が私の婚約者で毎日一緒に生活して、そしてこれからも、なんて……意識したらやっぱりドキドキしちゃうよ……///
バスから降りて学校に着いたら、校門の前の先生に挨拶。
ダイヤ「おはようございます」
千歌「おはようございまーす」
教師「おはよう!今日も仲良く夫婦で登校?」
千歌「な、っ……///」
ダイヤ「せ、先生……///」
教師「あら、だって事実でしょう?もう学校中その話で持ちきりよ?」
教師「『生徒会長の黒澤さんと高海さんが学生結婚した!』って!……いや、もう高海さんじゃなくて黒澤千歌さんね!」
千歌「も、もう、恥ずかしいこと言わないでください~!///」
教師「ま、夫婦仲良しなのは良いことよ!二人ともお幸せに、ね!」
ダイヤ「……///」
千歌「……///」
担任「出席とりますね。じゃあ、○○さん、○○さん──」
担任「──高海さん、じゃなかった黒澤さん!」
千歌「は、はい……!///」
~~~~~
クラスメート「あっ、高海さん!じゃなくて黒澤さん!」
千歌「チカでいいよもう!///」
~~~~~
教師「黒澤さん、このプリントの名前欄『高海千歌』になってますよ」
千歌「な、直します……///」
もう、みんなからかってるんじゃないの……!///
私はダイヤさんとルビィちゃんと一緒にお家に帰ります。
近所のおじさん「お、今帰りかい!」
近所のおばさん「夫婦仲良く下校なんていいわね~」
ダイヤ「え、ええまあ……///」
千歌「……///」
こんな小さな町じゃ、噂なんてあっという間にそこかしこに伝わるから、近所の人にまでからかわれたり……
おばさん「学生でアイドルで女の子同士で夫婦なんて……素敵じゃない?」
千歌「そう、ですかね……?あはは……///」
おばさん「かわいいお姉ちゃんが一人増えて、ルビィちゃんも幸せね!」
ルビィ「えへへぇ、はい!」
おじさん「じゃあお前も今からいい女でも探したらどうだハッハッハ!」
おばさん「ハハハ!じゃああんたは良い男探してきな!男にハゲの需要があるか知らんけど!」
千歌「え、えと……」
ダイヤ「あの、私たちはこれで……」
おじさん「ああ、引き止めて悪かったね!」
明るい熟年夫婦のお二人、ぎこちない私たちとは全然違う……夫婦ってあれくらい、明るく冗談も言い合えるくらいの方がいいんだよね?ちょっと砕けすぎな気もするけれど……
……それにしても、女の子同士での結婚、周りの人も割と受け入れてくれてるんだな~、なんて。
ルビィ「いただきます」
ダイヤ「いただきますわ」
ルビィ「もぐ……もぐ……美味しい!」
千歌「そう?良かった~!」
みんなが食べるご飯だもの、チカ頑張って美味しく作ってます!まあチカがしたのはほとんどお義母さんのお手伝いだけどね。
黒澤父「……あれ」
黒澤母「はいはい、どうぞ」
お義母さんは近くにあった醤油をお義父さんに渡す。『あれ』だけでわかっちゃうなんてもう以心伝心?まさに酸いも甘いも共にしながら長年連れ添った夫婦って感じ。
黒澤父「……ありがとう」
そういえば、まだ嫁入りしてからダイヤさんに『ありがとう』って言われたことないような……
……だったら、ここで妻アピールしとかないと!
ダイヤ「え、何です?」
千歌「ご飯取り分けますね!」
ダイヤ「いや、それくらいの事、別に……」
千歌「やります!妻ですから!」
ダイヤ「……ど、どうも?」
ひょい、ひょいっ、お惣菜をダイヤさんの取り皿に乗せて……
千歌「あ、あ……あーん……っ!」
ダイヤ「…………!?」
ルビィ「わぁ///」
黒澤母「あらあら~」
黒澤父「……」
千歌「つ、妻ですから!あーんっ!」
ダイヤ「えっ、ええ……あ、あ、あーん……?///」
ダイヤさんの小さなお口に、私の作った(と言うほどでもない)お惣菜が入っていく……これ、妻っぽいよね?ね?
ダイヤ「あ、美味しい……」
千歌「そうですか!えへへ~///」
胸の中でガッツポーズ!多分ちょっと顔にも出てるけど。この調子で食べさせれば距離も縮むはず……
千歌「じゃ、じゃあ……私が全部食べさせて……///」
ダイヤ「あ、いや、大丈夫!大丈夫です!自分で食べられますから!」
って、あれ……?
千歌「え、でも……」
ダイヤ「私よりも、自分の分を食べないとせっかくのご飯が冷めてしまいますわよ」
千歌「そう、ですね」
胸の中でしょんぼり。顔に出ちゃってるかな……
千歌「いただきます……」
ダイヤさんだって、私に気を遣ってくれてるのはわかるけど……本当はやっぱり、まだ心が通じ合えてないことが不安で。どうしたらいいのか……
ご飯の味は、よく分からなかった。
ザーザーザーザー……
流し台に水が流れる音だけが台所に響く。私もお義母さんも無言でお皿洗いを進めていた。
千歌「……」ゴシゴシ
黒澤母「……」キュッキュッ
ちなみにお義母さんもとっても美人さん。ダイヤさんってお母さん似なのです。
千歌「……あの」
黒澤母「どうかしました?」
千歌「私って、何が足りないと思いますか……?」
気付いたら本音が、不安が、口から漏れていた。
黒澤母「……人生の相談?」
千歌「あっ、いや違くて……」
千歌「……私本当は、嫁入りって、自分でもよくわかってないままこの家に来たんです」
千歌「それでも私なりに、この家の人として、ダイヤさんの、その……妻として頑張ってきたつもりだったんですけど……」
千歌「全然、噛み合ってないというか、ぎこちなくて」
千歌「ダイヤさん、いっつも頑張ってばっかりだし……私、負担になってないかな、とかっ、ぐす、考えちゃったり……っ、とか……っく」
堰が切れたように、胸に溜まっていたドロドロしたものが溢れて、止まらない
黒澤母「千歌さんは、ダイヤのこと……好きなのですね」
千歌「っ……え、えっ……//」
黒澤母「だって、泣いちゃう位ダイヤのこと心配してくれていたのでしょう?」
黒澤母「私とお父さんは、それだけが心配だったのですよ。いきなり夫婦になれって言われて、愛し合えるかも分からない人と同棲、なんて今時上手く行くのかって」
千歌「あ、その……私は、本当になんとなくで……」
黒澤母「なんとなくでもダイヤの事、心配してくれている、でしょう?」ナデナデ
お義母さんは柔らかい笑顔を向けながら、私の頭を撫でてくれた。その手の温もりが、優しさが伝わって、また涙が出そうになる。
千歌「……でも私、何もしてあげられてなくて、お話してもぎこちなくて」
千歌「やっぱりダイヤさん、私じゃ嫌だったんじゃないかな、って……」
千歌「え、え、何か変なこと言いました?」
突然の可愛らしい笑い声に、少し混乱しかけた。そんな私の目を、お義母さんがじっと見つめる。
黒澤母「……あのね、ダイヤは確かに努力家で、まっすぐな子だけれど、そんなに無茶する子じゃないんですよ?」
黒澤母「……あれ全部照れ隠しなの。千歌さんが嫁入りしてくれたのが嬉しくて嬉しくて、その照れ隠し」
千歌「え、えっ……!?」
て、照れ隠し? どういうこと?
黒澤母「あの子はね、貴女のこと大好きなのよ」
黒澤母「千歌さんが婚約に応じてくれるってダイヤが聞いたとき、跳ねて喜んでた位で……」
黒澤母「それからいつもずっとそわそわしてて、千歌さんが家に来る当日なんて、もう緊張でガチガチだったのですよ?」
千歌「え、知らなかった……」
黒澤母「あの子、格好つけたがりな所あるでしょう?だから千歌さんにビシッとしている自分を見せつけたいのよ」
千歌「……そう、なんだ」
ダイヤさん、そんなに私のこと……
嬉しい……嬉しくてまた泣いちゃいそう……
千歌「は、はい」
黒澤母「だいたいの心配とかぎこちなさは、時間が解決してくれるものだから、あまり心配しないでいいの」
黒澤母「気持ちをきちんと持ち続ければ、だいたいのことはどうとでもなるから」
千歌「……はい!」
黒澤母「ただ、大切なお嫁さんを心配させたのはいただけませんわね。後で私からしっかり言っておきますわね」
お義母さん、本当に優しい人……私もこんな素敵な妻に、なれるのかな
なれたのなら、ダイヤさんは喜んでくれるかな……
「──千歌さん」
ふと、廊下で声をかけられた。
千歌「ダイヤさん?」
ダイヤ「少し、お話できたらと思って」
後について、ダイヤさんの部屋に入っていく。私も、ダイヤさんとお話したいと思っていたし。
部屋の中で、向かい合うように座布団を並べて座る。ダイヤさんはじっと私の顔を見ていた。
ダイヤ「……ごめんなさい」
千歌「……」
ダイヤ「話はお母様から伺いました」
ダイヤ「ずっと心配をかけていて、ずっと夫婦らしいこともなにも出来ずにいて、千歌さんはそれを気にしていて……」
ダイヤ「仮にもわたくしが貴女の主人なのに……」
ダイヤ「そんなことないですわ!」グイ
千歌「わっ」ビクッ
突然大きな声を出して、体を近付けてくるからびっくりしてしまう。
少し顔を動かせば、その……唇がくっついてしまいそうな位に……///
ダイヤ「ご飯やお弁当を作ったり、一人でお掃除をしてしまったり……千歌さんはいつも頑張っているではないですか!」
ダイヤ「毎日毎日、わたくしは千歌さんに支えられて……」
千歌「あ、あの、近い、です///」
ダイヤ「あ、ああっ……///」
スッ、とダイヤさんの綺麗な顔が離れていく。恥ずかしかったけれど、離れたらちょっと寂しいな、なんて……
ダイヤ「わたくしは、そんな千歌さんの事が……」
ダイヤさんの顔がぷるぷると震えて、沸騰したみたいに真っ赤になる。
ダイヤ「わたくしはっ……!///」ギュッ
思いっきり抱き寄せられて……
ダイヤ「千歌さんの事が……好き、です……///」
千歌「……っ~!///」
今になって、初めて気付いたの。
私は、ダイヤさんのことが好きなんだって。
いつの間にか好きになっていて、この人の妻になれて、本当に嬉しいんだって。
ダイヤ「何か、埋め合わせをさせてください」
千歌「え、いいですよ!チカだって全然ダメダメで……」
ダイヤ「このままではわたくしの気が済まないのですわ!」
ダイヤ「だから、遠慮なく、なんなりと……」
私の顔をじっと見つめる。そんなに真剣な眼を向けられたら……照れちゃいますよ///
千歌「……じゃあ、夫婦らしいことがしたい、とか……///」
もう、私まで何言ってるの……恥ずかしい……
ダイヤ「夫婦らしいこと、というと?」
千歌「…………」
どうしよ、言ってもいいのかな。引かれたりしないよね?仮にも夫婦なのに、やっぱりまだ不安は少しだけ残ってる。
私の背中に回している、ダイヤさん腕の力が強くなった。
ダイヤ「遠慮しないでいいの」
ダイヤ「私たちは夫婦なのだから、本音はきちんと伝え合うべきだったのですわ」
ダイヤ「もうすれ違ったりしないよう、これからはきちんと気持ちを伝え合って行きたいのです」
ダイヤ「だから、ね?千歌さん……」
千歌「…………」
そうだよね、私たち夫婦だもん。恥ずかしくても、ちゃんと気持ち伝えないと、だよね!
千歌「…………キス」
千歌「キス!ダイヤさんとキスしたい!です!」
ダイヤ「…………えっ、えっ///」
千歌「だ、だって私たち夫婦ですよ!夫婦だし別におかしい事じゃないでしょ!?」
千歌「私だって、ダイヤさんの事、好きなんです……!好きだって気づいちゃったんですぅ!///」
ダイヤ「……千歌さん、落ち着いて……///」
千歌「……あっ、ご、ごめんなさい……っ///」
千歌「でも、これが私の伝えたい本音ですから……」
ううっ、完全に言い過ぎた……やっぱり引かれちゃったかな……?
ダイヤ「キスして、いいのですね……?」
千歌「え……」
ダイヤ「千歌さん……」
抱きしめられたまま、ダイヤさんの顔が、唇が、近づいてくる……
ダイヤ「キス、しますね……?」
千歌「……、……っ///」
体から伝わる体温と、少しずつ近づいてくるダイヤさんの息遣いで、緊張して、興奮して、心臓がうるさい。
ダイヤ「千歌さん…………好き……っ」ボソッ
千歌「ぅう……///」
耳元で小さく囁かれた声に、心臓は爆発したみたいに高鳴った。
そして……
ダイヤ「ちゅ…………ん、っ……」
千歌「……ん、ん……ぅ……」
唇に温もりと、柔らかさが伝わって……
ダイヤ「…………ん、ぅ……」
どうしようもない位の幸せに包まれて
千歌「……ん、ぅん………………ぷはぁっ……」
この人の妻になれて良かったと、心から思ったのでした
ダイヤさんは無理することは減っても、相変わらず忙しくて。
チカだって、見習い新妻として日々頑張ってます。
でも……
千歌「……お茶、淹れますねっ」
ダイヤ「ええ、お願いしますわ」
休みの日にはこうして、縁側で二人ゆっくりお茶を飲むくらいには関係も近くなって……
ずっとずっと、夫婦らしくなれたと思うの♡
ダイヤ「…………お茶を淹れるの、上手になりましたわね」
千歌「えへへっ、お義母さんから教わりました」
ダイヤ「そうですか……ふぁ……」
小さなあくび、かわいい♡
千歌「眠いですか?」
ダイヤ「昨日も遅くなってしまいましたから……」
あ……ちょっといいこと、思いついちゃった。これはダイヤさんも喜んでくれるかな?
ダイヤさんの隣に、正座で座って。
千歌「ささ、どうぞ!」
ダイヤ「……え、っと」
千歌「膝枕ですよ、膝枕♡」
千歌「これなら、ダイヤさんゆっくり休めるかな、って」
ダイヤさんも休めるし、夫婦の距離も近づくし、一石二鳥だよね♡
ダイヤ「な、なぁ……///」
千歌「……ダメ、ですか?」
ダイヤ「……いえ、させてもらいます!よろしくお願いしますわ!」
千歌「はい、どうぞ」
ダイヤ「では失礼して……」
ダイヤ「……ん、しょ……」
私の太腿にダイヤさんの頭が乗せられる。
千歌「どう、ですか?」
ダイヤ「なんだか、落ち着きますわね……」
千歌「そうですか?なら、良かったです」
太腿から、ダイヤさんの感覚が伝わって……なんだか私まで幸せになる……
千歌「はい、ごゆっくり」
ダイヤ「……」
ダイヤ「……わたくしの妻が、千歌さんで良かった」
千歌「……えっ///」
えっ、今……何、て?
ダイヤ「これが、わたくしの伝えたい本音、ですから///」
どうしよ、嬉しい、今絶対ニヤニヤしてる……だって、ダイヤさんと幸せ夫婦になれたんだもん!こんなの、嬉しくないわけないよ……
千歌「……私も、ダイヤさんの妻になれて、良かったです!」
千歌「これからも、よろしくお願いしますねっ!」
ダイヤ「こちらこそ、よろしくお願いしますわ」
ダイヤ「……では、しばらく寝かせていただきますわね」
千歌「はい、おやすみなさい、ダイヤさん」
千歌「……やっぱり、疲れてたんですね」
手櫛で、ダイヤさんの綺麗な髪を優しく解く。
千歌「寝顔まで綺麗だなんて……」
私はまた、この人の横顔に見とれてる。でも仕方ないと思うの。こんなにまっすぐで、優しくて、ちょっと恥ずかしがり屋だけど……とっても素敵な、私の婚約者さんなんだもん。
私の婚約者は、こんなにも素敵な人なんだ。
私は、こんなにも素敵な人の妻になったんだ……
千歌「……ね、ダイヤさん」
もう一度、そっと髪を解く。
指の隙間から、スルリと髪がこぼれていった。
千歌「私たち、まだまだ新米夫婦だけど……二人ならずっとずっと、幸せ夫婦でいられるって、絶対そうだって、信じられるんです」
千歌「だから、ずっと一緒にいてください」
千歌「……大好きです、ダイヤさん」
おわり
あと地の文って難しいね
素晴らしかった!
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