【ラブライブ!】善子「あの日からずっと」
- 2020.04.27
- SS

千歌「なんで三人しかいないのー……?」
梨子「なんでって……曜ちゃんは飛び込みの大会前だし」
善子「ルビィとズラ丸は掃除当番」
千歌「ダイヤさんと鞠莉さんはお仕事で果南ちゃんは補習……そんなことは分かってるよー」
梨子「じゃあなんで聞いたの?」
千歌「別に聞いたわけじゃないもん……。独り言だもん……」
善子「独り言はあんなに大きい声で言うものじゃないわよ」
千歌「はーい」
梨子「今日はみかん持ってないの?」
千歌「梨子ちゃん……千歌をなんだと思ってるの? みかんをいつも持ってると思ってるの?」
梨子「うん」
千歌「まぁ持ってるんだけど」
梨子「それ食べればいいんじゃない?」
千歌「これは練習の後用」
梨子「ふーん……」
善子「……よくそんなもの食べる気になるわね」
梨子「そういえば善子ちゃんはみかん嫌いなんだっけ? どうして?」
善子「だって酸っぱいじゃない」
千歌「甘いよ?」
善子「私にとっては酸っぱいの」
梨子「まぁ、好みは人それぞれだしね……。千歌ちゃんだって堕天使の涙は食べられないでしょ?」
千歌「あれは辛すぎるよー」
善子「私にとっては丁度いい辛さなのよ」
梨子「ねっ?」
千歌「……」
善子「……」ペラ
千歌「何それ」
善子「小説」
千歌「それくらい分かるよ。題名は?」
善子「『苺の罠』……ミステリーよ」
梨子「千歌ちゃん、本読んでる人に絡むのはよくないよ」
千歌「あ、そうだよね……ごめんね善子ちゃん」
善子「別に謝らなくてもいいわ」ペラ
梨子「宿題のプリント」
千歌「そっかぁ……」
梨子「……」カキカキ
千歌「……」
善子「……」ペラ
梨子「……」スラスラ
千歌「梨子ちゃん遊ぼうよ」
梨子「ええー……せっかくすらすら解けてたのに。っていうか千歌ちゃんもやりなよ」
千歌「宿題は家でやるものだよ!」
梨子「今日の朝も学校で千歌ちゃんと曜ちゃんに宿題を見せてあげた気がするんだけど……」
千歌「……」
梨子「置いとかないでよ」
千歌「絵しりとりしようよ」
梨子「なんで絵しりとり……?」
千歌「さっき授業中に一人でやってたんだけど、つまんなくって」
梨子「お願い、勉強して」
千歌「……とにかくやろうよ!」
梨子「……はぁ……。はいはい、わかった、やります。やればいいんでしょ?」
千歌「わーい! 梨子ちゃん大好きー」ダキツキー
梨子「わぁっ! ちょ、ちょっと……いきなり抱きつかないでよ……///」
千歌「えへへー」スリスリ
梨子「すりすりもしないでーっ!!」
善子「……」チラ
善子(いいなぁ……リリー……。千歌さんに抱きつかれて……)
善子(本当に仲良しだなぁあの二人……羨ましい……)
善子(……)
善子(今日も千歌さん可愛いなあ)
善子(あぁ……あの溌剌とした笑顔……あれを至近距離でくらいたい! すりすりとのコンボを決めてもらいたい!!)
善子(そんなことされた日にはもう落ちちゃうわよ! 堕天使だけに!)
善子(……)
善子(死ぬほどつまらないわね今の。意味わかんないし)
善子(私なんか、遠く及ばない)
善子(なんて言うか……そう、女神ね。女神。あの日からずっとあなたは私の女神)
善子(『ヨハネ』を肯定してくれて、あまつさえ、か、可愛いなんて言ってくれて……///)
善子(そんなこと言われたのは、初めてで……)
善子(クラスメートには遠巻きにクスクス笑われた。お母さんには呆れられた。……『ヨハネ』を肯定してくれる人なんて、いなかった)
善子(でも、あなたは)
千歌「あっ、お腹鳴っちゃった」
梨子「もう……」ゴソゴソ
梨子「のど飴ならあるけど、いる?」
千歌「いる!」
梨子「はい」
千歌「あー」
梨子「……どうしろと?」
千歌「口の中入れてよ」
梨子「はいはい……」ピッ ポイ
千歌「ありふぁとー」
善子(ぬあああああああああ可愛いすぎかぁぁあああああああああああ!!!??)
善子(何よこれは! 私は何を見せられているの!? 完っ全にカップルのそれじゃない!)
善子(私も千歌さんにあーんとかしてあげたい……勢い余って指を舐められたい……リリーもそこまではいってないけど)
善子(……)
善子(待って……飴だけじゃお腹は満たされないわよね……何かあったかしら)
善子(……)ゴソゴソ
善子(! あった……って飴ぇぇぇえええええ!!!)
善子(飴二連続はない! チョコとか持っておきなさいよ私!!)
善子(ほんと……私って運がないわね……)
千歌「んー」
梨子「もしもし? 何? ……え。あっ! ごめん忘れてた! すぐ帰るね!」ピッ
千歌「どしたの?」
梨子「今日、お父さんの誕生日だからご飯食べに行くのすっかり忘れてたの!」
千歌「いいなぁ……梨子ちゃんちのことだからきっと素敵なレストランに行くんだろうなぁ」
梨子「そんなことないよ……。じゃ、ごめんね、私帰るね」ガタ
千歌「また明日ねー。宿題よろしく」
梨子「自分でやって。よっちゃんも、ばいばーい」
善子「じゃあねー……」
バタン
善子「……」パラ
善子(……運よくない?)
善子(え、何、この状況……二人きり! 千歌さんと!)
善子(暇でしょう? 絡んできて! さぁ早く!)ワクワク
千歌「……」ボー
善子(え……)
善子(……リリーが……いなくなった途端……抜け殻みたいに……)
善子(どうして……? 私とじゃ、嫌なの……?)ジワ
善子(あ……! そうよ! 千歌さんは私が本を読んでるから邪魔しないだけ)
善子(むしろ私のことを思ってのこと! 優しい……ほんと好き……)
千歌「……」カタン
善子(おもむろに立ち上がってうろうろし始めた……やっぱり暇なのね)
善子(よし)パタン
千歌「あ、本読み終わったの?」
善子「ええ。……それより、暇でしょ? 何かする?」
千歌「えっ! 良いの!?」キラキラ
善子(やっばいこの光属性の笑顔闇属性の私によく効くぅ!!)
善子「私も暇だし」
千歌「じゃあじゃあ、絵しりとりしよ!」
善子「あなたの中で絵しりとりがブームなの?」
千歌「うん」
善子「分かったわ……隣に座った方がやりやすいわね」ガタン
善子(自然な流れで隣へ……流石私ね)
善子「……牛?」
千歌「そう!」
善子「し……」カキカキ
千歌「なにこれ……きのこ? あ、しいたけかぁ!」
善子「えぇ」
千歌「~♪」カキカキ
善子「……」ボー
善子(つんつんしたい……)
善子(ていうよりむしろ)
善子「キスしたい」
千歌「え?」
善子「は?」
善子「……」
善子「……」
善子「……~~~っっ///!!?」
善子「違う! 違うの!! いや、違くない、んだけど……!」アセアセ
千歌「違くないの?」
善子「あ、その……///」
善子「……もう、どうにでもなれ……」ボソ
善子「そうよ……私はあなたが好きなの」
千歌「え……」
善子「そのサラサラでいい匂いのする髪も! その甘ったるい声も! そのあどけない顔には不釣り合いなほどの胸も! 末っ子のくせに包容感のある優しさも!」
善子「適当に見えるけどみんなのこと気遣ってる所も! ちょっとあほっぽい所も! 天真爛漫な性格も! 屈託のない笑顔も!」
善子「私を……『ヨハネ』を、認めてくれたことも」
善子「全部、全部好きなの……!」ポロ
善子「分かってるっ!!」ポロ ポロ
千歌 ビクッ
千歌「善子ちゃん……泣いて……」
善子「分かってるのよ……あなたの気持ちが私に向くことはないって……」
善子「リリーや、曜さんには敵わないって……」
千歌「え……?」
善子「でも……だからこそ、言ってすっきりしたかった……!」
善子「迷惑だよね……自己満足だよね……」
善子「だけどっ、それでも、私は……! あなたのことが好き、なの……!!」
千歌「……善子ちゃん」
善子「っ!」ビクッ
善子(あぁ……私……今から振られるんだ……)
千歌「一つだけ言わせて?」
善子「うん……」
千歌「私も善子ちゃんが好き」
善子「そう、だよね……」
善子(分かってた……つもりだった……でもいざ言われると……)
善子(……)
善子「えぇ!!?」
善子「いいいいま今、なんて」アワアワ
千歌「私は、善子ちゃんが好き」
善子「……は、はは」
善子「千歌さん……あの、そういうのじゃないの……。千歌さんは、Aqoursのみんなが好きで、友達のことが好きで……そうでしょ?」
千歌「ううん。善子ちゃんは特別。大好きだよ?」
善子「」
千歌「へへ……言っちゃった……///」
千歌「うん」
善子「気の迷いとか私が不憫だから同情してとかじゃなく?」
千歌「実は始業式の日から一目惚れです」
善子「なっ……///」
善子(私より前じゃない……!)
善子「な、なんで? 私のどこに好きになる要素が?」
千歌「なんでっていうのは私の方が聞きたいくらいなんだけど……最初は、変な美人だなぁ、っていう第一印象」
善子(変な美人……)
善子(千歌さんが、私のこと美人って……///)
千歌「それで花丸ちゃん達が部室に連れてきて、ちゃんと話したりして……やっぱり可愛くて、いい子だなって」
善子「い、いい子なんかじゃ……ないわ……。だ、堕天使だもん……」ボソボソ
千歌「Aqoursに入ってくれてから一緒に練習したりして、もっと好きになっていったの」
善子「でも……リリー……と曜さん……」
千歌「もー。さっきからなんでそんなこと言うの? 私が善子ちゃん好きだと嫌なの?」プクー
善子「そ、そういうわけじゃ……」
善子「さっきだって……あんなベタベタして……いちゃいちゃして……」
千歌「それは……友達だから」
千歌「よ、善子ちゃん相手には緊張するっていうか……ドキドキしちゃってあんなことできない……よ///」
善子(抱きしめたい)
善子「もう抱きしめちゃっていい?」
千歌「何が『もう』なのか分かんないけど……良いよ///」
善子「……じゃあ」ギュー
善子「ふふ……ドキドキしてるのがバレバレね。心臓の音が聞こえるようだわ」
千歌「……善子ちゃんこそ、強がってるだけで本当はドキドキしてるでしょ」
善子「うん。だって、好きな人にこんなに近づいて……ドキドキしないわけないじゃない」
千歌「それはまさか私の名前とかけて……?」
善子「千歌さん」
千歌「えっなに」
善子「好き。付き合って」
千歌「……」
善子「だめ?」
千歌「そんなわけないじゃん」
善子「……好き」
千歌「私も」
おつ
良かった
乙
心情の文の部分の喜怒哀楽がおもしろかった。また気が向いたらよしちかお願いします
この組合せもっと流行ってくれ
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