【ラブライブ!】穂乃果「恋のお呪い」究明編前編
- 2020.05.02
- SS

穂乃果「ただいま~」
シーン
海未(……穂乃果の挨拶に対し返事がありません)
海未(穂乃果は、誰に話しかけたのでしょうか…?)
海未「はい。……っ!?」
海未(な、何ですか!このおどろおどろしい部屋は…!?)
海未(息が苦しい…。この部屋には途轍もない圧迫感があります)
海未(私たちの他に数人いるようですが…、暗くて顔がよく見えません)
海未(……この人たちは、この禍々しい部屋で、一体何を行なっているのでしょうか…?)
海未「穂乃果…?何をしてるんですか?」
穂乃果「買ってきたカントリーマアムをお供えしてるんだよ」
海未「カントリー、マアム…!?」
穂乃果「……バニラだよっ」
海未「バニラ…!?」
海未(そう言うと穂乃果は、カーテンの前にある祭壇にカントリーマアムを並べ始めました)
海未(……よく見ると、部屋は途中でカーテンに仕切られ、奥が見えないようになっています)
穂乃果「あそこは、チカチカ様の居間だよ」
海未「チカチカ様…」
海未(穂乃果が帰ろうとしない理由。それはチカチカ様に会えばわかると言っていました)
海未(そして、その当人が、カーテンを挟んだすぐそこにいます)
海未(チカチカ様…。得体の知れない存在ですが、私がそのベールを破ってみせます…!)
海未(私は、床に座っている人たちを掻き分け、カーテンの所へと進んでいきます)
海未「………え…?」
ワレヲスクイタマエ……
海未「北村先生…?」
海未「……こんな所で、何をしているんですか…?」
カミヨ…ワレニチカラヲ……
海未「……何故、行方不明になっていた先生が、こんな所にいるんですか!?」
海未「っ!?」
海未(何ですか!?足に伝わってくる、この感触は…!)
海未(……ゆ、床が溶けて、沼みたいに!?)
海未(か、身体が、呑み込まれる…!!)
海未「た、助けて、穂乃果…!」
穂乃果「………」
海未「穂乃果…うぅっ!助けてください…!!」
穂乃果「………」
海未「ほのk……………ゴボボボッ!!?」
海未(呑まれる…)
海未(闇に、呑み込まれるっ!!)
海未(いやだ…、いやだいやだいやだいやだいやだいやだ!!!)
海未「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
海未「………………え?……こと、り…?」
ことり「そうだよ、ことりだよ!海未ちゃん大丈夫!?」
海未「………ここは…?」
にこ「アイドル研究部部室前よ」
海未「な、なんで…」
真姫「……海未。自分の名前を言ってみなさい」
海未「園田海未…」
真姫「私の名前は?」
海未「まきちゃん…」
真姫「……うん。頭には問題ないようね」
海未「さっきまで、オカルト研究部の部室にいたはずなのに…!」
ことり「オカルト研究部?どうしてそんなところにいたの?」
海未「それは、穂乃果を迎えに…」
海未「………………」
海未「……うぅ!!私は、最低です…!ようやく穂乃果を見つけたのに、連れて帰ることができませんでした…!」
凛「えっ!穂乃果ちゃんを見つけたの!?」
海未「私は最低です…!うぅ…穂乃果の親友失格です…!」
希「海未ちゃん!落ち着いて!」
海未「うぅ…。穂乃果ぁ…穂乃果ぁ………」
真姫「そこに、穂乃果がいるのね…」
にこ「なんで穂乃果がそんな所にいるのかは知らないけど、今すぐ殴り込みに行くわよ!」
一年組「オー!」
ことり「わ、私も…」
希「ことりちゃん。穂乃果ちゃんが心配なのはわかるけど、それよりもまず、海未ちゃんを家まで送ってあげよう」
ことり「……うん、わかった」
絵里「私も一緒に送るわ」
希「……ほな、行こか」
海未「………すみません…。混乱して皆さんに迷惑をかけてしまい…」
ことり「迷惑なんかじゃないよ。海未ちゃんは穂乃果ちゃんの為に頑張ってるって、みんな知ってるよ」
希「そうそう。今日はゆっくり休んでな。海未ちゃんが頑張りすぎて倒れたら元も子もないからね」
海未「すみません…」
絵里「もう、謝らなくていいわよ。それじゃ、私たちはもう帰るわね」
海未「はい…。家まで送っていただき、ありがとうございました」
絵里「ええ、また明日」
絵里「え!な、何…!?」
海未「………」
絢瀬家
ガチャ
亜里沙「行ってきまーす!」
絵里「行ってらっしゃい」
亜里沙「お姉ちゃんも早くしないと遅刻しちゃうよ~?」
絵里「ふふ、私は大丈夫よ。亜里沙こそ、早く行った方がいいわ」
亜里沙「うん!」
キイイイイイイイイイイイイイイン!!
海未「………おはようございます」
絵里「おはよう。さ、入って」
絵里「海未は炭酸飲料が苦手だったわよね」
海未「はい、そうですけど…?」
絵里「炭酸以外ならバヤリース、ポンジュース、Qoo、果汁100%があるけど、何飲む?」
海未「……バヤリースで」
絵里「奇遇ね。私もバヤリース好きなのよ」
絵里「お菓子はカントリーマアムしかないんだけど、バニラとココア、どっちがいい?」
海未「……バニラで」
絵里「またまた奇遇ね。私もバニラの方が好きよ」
海未「………」
絵里「わざわざ学校をサボってまで訊かなきゃいけないような話、なのよね?」
海未「はい。……穂乃果の件なんですが…」
海未(絵里に、昨日オカ研の部室で起きたことを話しました)
絵里「………」
海未「チカチカ様は、前に絵里が話していた神様ですよね?」
絵里「……そうよ。私が考えた最強の神よ」
絵里「でも、まさか…。実在しているなんて…」
海未「私もその姿を見たわけではないのですが、確かに、あの部屋の中にいました」
絵里「………」
絵里「ちょっと待ってて。いま持ってくるわ」
海未「?」
海未「…」
『100』
海未「……何ですか、この100点の数々は」
絵里「私の答案用紙よ」
海未「くっ!」
絵里「……その紙の裏、見てみなさい」
海未「裏、ですか…?」
海未(答案用紙の裏、右下の隅に、それはいました)
海未(仮面のようなものを被り、黒いローブを纏ったそれは、仰々しく『チカチカ様』と名前が書かれています)
海未「これが、チカチカ様…」
絵里「そう、私の神様よ。『テストで良い点を取らせてくれる神様』」
絵里「……いや、違うわね」
絵里「チカチカ様は、『願いを叶えてくれる神様』なのよ」
海未「願いを、叶える…」
絵里「ええ。まあ、飽くまで設定なんだけど」
『チカチカ様。』
『わたしがかんがえたさいつよのゴッド。』
海未「………」
『牛のスカルを頭にかぶり、黒いローブをまとっている。』
『人の願いを叶えてくれる。』
海未「段々と設定が増えていきますね…」
『チカチカ様の好物はカントリーマアムのバニラ。』
海未「………え?」
『人の心も好物である。』
海未「チカチカ様は、人の心を食べているのですか!?」
絵里「……そうかもしれないわね」
海未「なっ…!?ちょっと無責任過ぎませんか?この神様は、あなたが産み出したものでしょう!!」
絵里「た、確かに、産み出したのは私よ」
絵里「……でも、それを創り出したのは、私じゃないのよ」
海未「どういうことですか?」
絵里「………その紙の表側を見て」
海未「……数学のテストですね」
絵里「ええ、去年の数IIの答案よ」
絵里「昨年私のクラスの数IIを担当していた教師は、北村先生なのよ」
絵里「そして、北村先生はオカルト研究部の顧問でもあるわ」
海未「それが、どうかしたんですか?」
絵里「……チカチカ様の話は、今まで誰にも話したことはなかったの。もちろん希にもね」
絵里「だから、チカチカ様の名称や設定を知っているのは、私のテストを採点した先生方だけなのよ」
絵里「つまり、チカチカ様という偶像を現実に創り上げたのは…」
海未「ま、まさか…!」
絵里「……北村先生よ」
海未「……なるほど。辻褄は合っているような気もしますね」
絵里「チカチカ様は願いを叶える神様。その部屋に集まった人たちには、どうしても叶えたい願い事があったんでしょうね」
海未「穂乃果も前々から、叶えたい願い事があると言っていました。チカチカ様はそこに漬け込んだのですね」
絵里「……それは違うわ」
海未「え…?」
絵里「チカチカ様は、能動的には願いを叶えてくれないはずよ」
絵里「仏や他の神に頼らず、生け贄を払うことで、初めて願いを叶えてくれるのよ」
海未「……穂乃果は、自ら望んでチカチカ様の元に下った、ということですか…?」
絵里「……そうなるわね」
海未「………」
絵里「どうかしら…?それは穂乃果が何を願ったかによるわ」
絵里「チカチカ様が好きなのは、欲深い人間の心なのよ。だから可愛らしいお願い事なら問題ないと思うけど…」
海未「可愛らしい願いとは?」
絵里「穂乃果のことだから…『パンをいっぱい食べたい』とか?」
海未「……そんな願いなら、神ではなく親に頼みますよ」
絵里「………」
絵里「穂乃果が今、どこまで蝕まれているか…。それを調べるためにも、もう一度オカ研の部室に行く必要があるわね」
海未「もう一度…」
絵里「……何してるのよ?早く行きましょう」
海未「え…?」
絵里「今から学校に行って、オカ研に突入するわよ!」
海未「ええ!今からですか!?」
絵里「当然よ♪」
頑張ってください
絵里「着いたわ!」
海未「ここまで堂々と遅刻するのは初めてですよ…」
絵里「海未はμ’sの部室で待っててちょうだい」
絵里「私は少し調べ物をしてから行くわ」
海未「はい。わかりました」
絵里「着いたわ!」
海未「ここまで堂々と遅刻するのは初めてですよ…」
絵里「海未はμ’sの部室で待っててちょうだい」
絵里「私は少し調べ物をしてから行くわ」
海未「はい。わかりました」
ガチャ
海未「………」
真姫「海未!?」
海未「え…?皆さん、何やってるんですか!?」
にこ「それはこっちのセリフよ」
凛「海未ちゃん、今日は学校休んでたんじゃなかったの?」
海未「……それは、色々とありまして…というより何で知ってるんですか」
花陽「ことりちゃんが教えてくれたの」
海未「ことりが…?」
にこ「……あんたも穂乃果のことが心配なんでしょうけど、ことりにも気を配ってやりなさいよ?」
海未「はい…。気をつけます」
凛「サボりにゃ」
海未「そこまで堂々と言われるとは思いませんでしたよ」
真姫「………」
花陽「………」
海未「……どうしたんですか?」
にこ「……昨日、私たちもオカルト研究部の部室に行ったのよ」
海未「!?」
にこ「……そこで、私たちは恐ろしいものを見たわ…」
海未「まさか…、チカチカ様を…!」
凛「それも全部、カントリーマアムのバニラの空袋…!」
真姫「……怖くない?」
海未「あなたたちの方が怖いですよ。早く授業に出てください」
一年組「きゃー」
にこ「……オカ研の部室には、誰もいなかったわ」
にこ「希曰く、私たちじゃ今の穂乃果には会えないんですって」
海未「……そうですか」
にこ「……私たちも、穂乃果を助けたい思いは同じなのに…」
海未「にこ…」
凛「凛たちが全力でお供するよ!」
花陽「迷惑かけないよう、頑張ります!」
真姫「……ちょっとくらいなら手伝ってあげてもいいわ」
海未「ありがとうございます…!」
ガチャ
絵里「海未ー!おまたせ………って、何やってるのよ!」
にこ「げっ!絵里!!」
一年組「逃げろー!」
ビューン
絵里「こらー!ちゃんと授業を受けなさーい!」
海未「……今の私たちが言えた口ではないですよ」
絵里「……確かにね」
絵里「うん。生徒会室に行って、この学校で行方不明になった人たちについて調べてたのよ」
絵里「そしたらなんと、北村先生が失踪してから7人もの行方不明者が出てるのよ」
海未「7人も!?」
絵里「今回の穂乃果を含めると、行方不明者は計9人」
海未「……そんなに人がいなくなっていたのに、理事長や教職員は何をしてるんですか!」
絵里「……いや、誰も気づけなくて当然だったのよ」
絵里「行方不明者本人がチカチカ様に願えば、この日常から自然にフェイドアウトすることは容易だもの」
海未「…!」
絵里「海未は、穂乃果を見つけることができた」
海未「……それは、つまり」
絵里「穂乃果は、『海未に自分を見つけて欲しい』と願ったのよ」
絵里「穂乃果が求めるのなら、今日も、穂乃果に会えるはずよ」
海未「………」
絵里「行方不明者に関する情報よ。顔写真付きでまとめておいたから」
絵里「もしチカチカ様がいるオカ研に辿り着けたら、そこにいる人たちが行方不明者の人かどうか、調べてほしいのよ」
海未「いいですけど、どうしてこの資料を私に渡すんですか?絵里が持っていれば…」
絵里「……私は、向こう側に行けないわ」
海未「どうしてですか?」
絵里「………」
絵里「白馬の王子様は、2人も必要ないのよ」
絵里「ここが、オカルト研究部…」
海未「……準備はいいですか?中に入りますよ」
絵里「ええ、私はいつでもだいじょ
海未「絵里…?」
海未「え…。どこに消えたんですか…?」
海未「つまらない悪戯はやめましょうよ!絵里?」
海未「………」
ガチャ…ギィィィィィ……
海未(……ドアが、勝手に開いた…)
海未(中に入れ、ということですか…)
海未「うっ…」
海未(やはりこの空気には慣れませんね…)
シュヨ…ネガイヲ……
海未「………」
海未(絵里の読みが当たりましたね)
海未(行方不明者は全員、ここにいます…!)
海未「あなたの産みの親から話は聞きましたよ」
海未「人の心を食べて、逃げ出さないように捕えているそうですね」
海未「私があなたを成敗します!さあ、覚悟してください!」
穂乃果「……海未ちゃん」
海未「!?」
穂乃果「うん。小さい頃からずっと仲良しで…」
海未「……何ですか?」
海未「穂乃果は、誰に話かけているんですか…!?」
穂乃果「うん。ことりちゃんも幼馴染なんだ」
海未「穂乃果…?」
穂乃果「私とことりちゃんと海未ちゃんと三人で…」
海未「穂乃果ぁ!」
「もー!私と穂乃果が話しているのに、横槍を刺さないでよ」
海未「………誰、ですか…?」
「この部屋の主、と言えばわかるかな?」
海未「……あなたが、チカチカ様…!」
「うんっ!ようやく話せたね、海未ちゃん♪」
「こんなことってどんなこと?」
海未「とぼけないでください!」
海未「あなたが、願いを叶えると言って誘惑し洗脳し、ここにいる行方不明者たちを監禁しているんでしょう!!」
「いやだなー。人聞き悪いよ、海未ちゃん」
「私はただ願いを叶えてあげてるだけだよ。そして、それを望んだのは他でもない、彼女たちなんだ」
海未「しかし!だからと言って心を食べる必要はないはずですよ!」
「いやいや、それはできないよ。代償無しには願いを叶えられない」
「おまじないなんかでもそうだよ。無償でお願い事が叶うなんて、そんな夢物語あるわけないじゃん」
海未「………」
海未「穂乃果…」
「そんなに穂乃果のことが可愛い?」
海未「……はい。穂乃果は私の、大切な人なんです」
海未「………」
「……ん?」
海未「チカチカ様…。穂乃果を、返してください…」
海未「穂乃果には、μ’sのセンターという大事な役割があるんです」
海未「穂乃果は、私たちに必要な存在なんです」
海未「どうかお願いします。穂乃果を、返してください…!」
「………」
「いいよ。返してあげる」
海未「!?」
「うんうん。ほんとほんと」
海未「……これでようやく、元の生活に戻れます…!」
「でもさ、無駄だと思うよ」
海未「……何がですか」
「断言するよ。いま連れ戻したとしても、穂乃果はまたすぐここに戻ってくる」
海未「そ、そんなこと、ありません…」
「根本的に解決しない限り、穂乃果は私から抜け出せないよ」
海未「根本的に…?」
「穂乃果の願いが叶わない限り、呪いから逃れられないってこと」
海未「!」
「ぷぷぷ、残念!穂乃果の願いを知らない海未ちゃんは、絶対に穂乃果を連れて帰ることはできないのだー!」
海未「………」
海未(私は、カーテンの元へと歩み寄ります)
「え…。なんでこっちに近づいてくるの…?ちょっと!暴力禁止だよ!?」
海未「安心してください。すぐに済みます」
「無事じゃ済まないんでしょ!?ま、待った!タイムー!」
海未「……観念しなさい!!」
海未「………あなたがチカチカ様…。絵里が書いた絵にそっくりですね」
「くっ…!」
海未(チカチカ様は、萎縮しているのか、とても小さく見えます)
海未(その場にしゃがみ込み、頭に被った骨をプルプルと震わせ、怯えています)
海未(もしや、チカチカ様の中に入っているのは子どもなのですか…?)
海未「……ですが、相手が子どもだろうと、容赦しませんよ!」
「………」
海未「覚悟っ…!」
「……ぷぷっ」
「うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ」
海未「何故、笑うのですか…!?」
「まったく海未ちゃんは、おめでたい人だなぁ、って」
海未「!?」
海未(チカチカ様の予想外の様相に、私は動揺を隠せませんでした)
海未「うわあああああ!!!その顔を見せなさーい!!!」
海未(そして私は、チカチカ様が被っている牛の頭蓋骨を、取りました)
海未(そこには、何もありませんでした)
海未(チカチカ様の中身は、空っぽでした)
海未(チカチカ様と思われた”それ”は、しわくちゃに萎れています)
海未「………どういう、ことですか…」
海未「私はさっきまで、誰と話をしていたのですか…!?」
海未「っ!?」
海未「この声は、どこから聞こえるんですか…?!」
「ここだよ、ここ」
海未「どこですか!!」
「………」
「海未ちゃんの、心の中だよ」
海未「なっ…!?」
「何かを決断する時、天の神様に祈ったりするでしょ?実はその時、心の中にいる神様が天の神様に代わって働いているんだ」
「そんな心の中の神様を具現化したものが、チカチカの正体なんだよ」
「つまり、チカチカ様はみんなの心の中にいるんだ」
海未「………何ですか、それ…」
「えー、こちら、海未ちゃんの心の中から中継を繋いでおります」
「現在、海未ちゃんの心の中は大荒れです!まさにストーム!」
「海未ちゃんは、突然の展開に動揺している模様!色んなものが飛び交っていて、とても危険な状態です!」
海未「………」
「……あれ?放送席の海未ちゃん、聴こえてますかー?おーい、海未ちゃん~?」
海未「」
海未(私はわけもわからず走りました)
海未(兎にも角にもその場から逃げ出したかったのです)
海未「うううああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
海未(ああ、そうです。思い出しました)
海未(初めてオカ研の部室に来た時も、私はこうやって逃げ出したんです)
海未(大切な穂乃果を置いて、一人逃げたんです)
海未(私は、本当に最低な人間なんです)
海未「……うぅっ!おぇ…」
海未「はぁ…はぁ…はぁ………」
海未(気づけば、私は学校近くの公園にまで来ていました)
海未「うぅ…ううぅぅうっ………」
チリリリリリン
海未「………」
チリリリリリン
海未「電話…?」
海未(その音は、公衆電話から聴こえてきました)
海未(誰かがこの公衆電話に、電話をかけているみたいです)
チリリリリリン
海未「………」
海未(私は電話ボックスに押し入り、受話器を取りました)
ガチャ
『もしもし?うちや、うち』
海未「……この声…。希、ですか…?」
『そうそう、希や。実は車で事故起こしちゃって、示談金に500万必要になんよ。何とか工面してくれへんかな?』
海未「………」
海未「………」
『もしもし?海未ちゃん?』
海未「………」
海未「ううぅ……ひぐっ…。のぞみぃ………」
『海未ちゃん…。もしかして泣いてるん?』
海未「うぅ…泣いてませんよ…!」
『……そっか』
『いいんよ。泣きたいなら好きなだけ泣いたらいい。うちが慰めてあげるから』
海未「ありがとうございます…」
『……海未ちゃんもスッキリしたことだし、そろそろ本題に入ろうか』
『海未ちゃんはさっき、オカルト研究部に行ってきたんよね?』
海未「え…何故それを知ってるんですか?」
『エリチから話は聞いてるよ。チカチカ様に関する話や、オカ研で海未ちゃんが見たものについて』
『で、さっきも行ってきたんでしょ?』
海未「………」
『また辛いことを思い出させてしまうかもしれへんけど、話してくれる?』
海未「……はい」
海未(希に、今日のオカ研での出来事を話しました)
海未「……どうですか?何かわかりましたか?」
『そうやね。解決の糸口がつかめそうやと思ったんだけど、糸はかなり複雑に絡み合ってるみたいや…』
海未「そうですか…」
海未「……恥ずかしい話なのですが、私にはもう、何をすればいいのかわからないんです」
海未「こうやって、他人に頼る他、できることがないんです…」
『……それでいいんよ』
海未「え…?」
『一人で何でも解決しようと思わず、みんなに頼ればええやん!』
『みんなで協力すれば、穂乃果ちゃんは助けられる!』
海未「希…。はい、そうですね。ありがとうございます」
海未「……確か、思い込みで風邪が治った…という話ですよね」
『そうそう。それ』
『うちの推理では、チカチカ様の本当の正体は、プラシーボ効果だと思うんよ』
海未「え…どういうことですか!?」
『思い込みや。海未ちゃんや行方不明の人たちは、みんな思い込みでチカチカ様を創り出したんや』
『そして、自分で創り出したチカチカ様によって苦しめられ…』
海未「ちょ、ちょっと待ってください!それはおかしいですよ!」
海未「チカチカ様は、確かに存在していたんです!」
『……強く思い込めば、”存在しないもの”でもそこにいるような気がする、存在していると錯覚する』
『それこそが、プラシーボ効果』
『海未ちゃんは穂乃果ちゃんに、チカチカ様に会うように言われオカ研の部室に入った。だから海未ちゃんはチカチカ様がいると思い込み、そして存在を錯覚したんや』
海未「………」
『海未ちゃんが恐怖を感じることにより、現実に恐ろしいことが起きたような錯覚に襲われたんや。つまり、すべては幻ってことやね』
海未「………」
『どう?うちの推理に異論はある?』
海未「……いえ、ありません」
海未「希の言う通り、あの部屋で恐ろしいことが起きたのは、私が恐怖を感じた後でした」
海未「私がチカチカ様を攻め立てた時は、私の中で勝ち誇った気持ちが高まっていたので、チカチカ様がとても小さく弱々しく見えたのでしょう」
海未「……しかし、心の中には常に恐怖や不安が渦巻いており、その気持ちに煽られ、自ら悪い想像を膨らましていたのでしょうね」
『まあ、仕方ないよ。うちがその場にいても、たぶん怖くておかしくなってたと思うし』
海未「希もですか?」
『うん。海未ちゃんはすごいと思うよ。うちだったらすぐにチカチカ様の配下に就いてるだろうから』
海未「ふふふ…。これ以上、行方不明者を増やさないでくださいね?」
『はい、気を付けます』
海未「えっと、穂乃果が思い込むチカチカ様という妄想を、消し去ればいいんですよね?」
『うん、そうやね。それ自体はそんなに難しいことじゃないと思う』
海未「そうですか!これで穂乃果を助けられるんですね!」
『………』
海未「……希?どうかしましたか?」
『……なあ、海未ちゃん。うちからのお願い、聞いてもらってもいいかな?』
海未「はい、何ですか…?」
『……穂乃果ちゃん以外の行方不明者の人たちも、助けてあげて欲しい』
海未「……穂乃果以外の人も…?」
『これはうちの偽善であり、我儘なんだけど…』
『……でも、これ以上被害を増やさないためにも、こうするべきなんや』
『うん、一つだけね』
『一見複雑そうに見える問題でも、根本を正せば、うまく解決できると思うんよ』
海未「……一体、何をするつもりなんですか…?」
『………』
『神殺しや』
乙
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