【ラブライブ!】真姫「巡る季節」
- 2020.03.26
- SS

中学生ながらなかなかオトナな行動だと私は思う。
テラスから見える星空は暗闇に包まれている。
その中で太陽に負けず劣らず輝く一番星。
星空の笑顔みたいで素敵…なんて考えちゃったり。
考え方はまだまだ子供だ。
外の空気は冬らしく乾いた冷たさを持っている。
木々の揺れる音は海の小波に似て心地良い。
ただその心地よさも冬の寒さにはかなわない…。
私は部屋に戻り暖炉の前にしゃがみこむ。
冬にしか見れない星達。
これが夏の涼しい夜に見れたらどれだけ嬉しいか…
まぁ、そんな希望は叶わないんだけどね。
今と変わらない冬、ただあっちの方が気温としてはとても暖かかった印象がある。
稲穂のような尻尾のとても陽気な小犬が横に座る。
天文台の看板犬みたいね。
するとすぐに目当てのものは見つかった、南十字星。
サザンクロスなんてカッコイイ名前してるけど私としてはもっと…そうね、可愛らしい名前の方が良かったかも。
キラキラとしてるけどどこかふわふわしてて、色鮮やかで…女の子っぽい星達だと私はその時思った事を今でも覚えている。
冬の寒さを感じさせない陽の心地よさ。
にっこりとした太陽、冬の間は眠かったのかあんまり顔を出さなかった太陽。
これから更ににこにことした陽からギラギラとした陽へ変わると思うと、少し億劫になる。
別に遅刻ってわけではないのよ?
ただ少し遅く家を出ただけ。
普段なら話したことの無い同級生や後輩とかがそれぞれの話をそれぞれでしている。
けど今日はいつもとは違う新鮮な光景。
私は何故か元気が出てきた。
若さを吸収したのかな?…なんちゃって。
そして出会いの季節。
もちろん私は中学校を卒業して、4月には音ノ木坂学院の生徒。
不安や緊張、そんな感情のせいでずっと胸が高ぶっていた。
どんな人に会うのだろうか?
どんな生活を送るのだろうか?
なんて悩みは何の意味もない。
結局はパパに言われたまま過ごすだけなんだ。
習ってきたピアノは話に華を持たせるだけのちょっとしたアクセント。
その程度で終わってしまうとは我ながら情けない。
…生かせる場面が出来るといいな。
今の私が実現するにはいろーんな壁を乗り越えないといけない。
私の夢は…医者になることなんて言っているけど昔は違ったの。
昔は昔、今は今…
なんていうけどそう簡単に小さい頃から望んでいた夢なんて忘れられる訳ないのよ、無理無理。
今の私はそういう私。
でも2本以上の手が伸びてきたら…
私の手は足りない、つまり弾けない。
あーあ…たくさんの神様が手を伸ばしてきたりしないかな!!
これが私が残す中学生最後の日記、未来の私はこの私の思い出と愚痴を見てどう思うのかしら?
…教えなさいよ。
「そうですか?私は結構好きですが…」
「だって海未は昔からこういうのを書いてた…あっ」
「誰から訊いたんですか?それ」
「えっーと…あはは」
「改めて過去の自分を見てみてどう思いました?」
「…あんまり変わらないわね」
「ただ、昔は2本しかなかった腕がい今は8倍に増えたような…そんな感じね」
「阿修羅か何かでしょうか…」
「違うわよ」
「そうですね…真姫だけではなく私にも壁はありましたから」
「………」
「なぜ胸を見る必要があるのでしょうか?」
「見てないわよ」
「もちろん書くわよ、ただなんて書こうかなって思って」
「普通に今の自分の気持ちを書けば良いのでは…?」
「なんかそれだと少しつまらないじゃない?」
「過去の自分へのメッセージに面白いとかつまらないってあります?」
「私の中ではあるのよ!」
「幼い頃の真姫ってとても可愛いですね」
「……そうね」
「今ももちろん可愛いですよ」
「わかってるわよ」
「やっぱり昔の方が可愛いですね」
「今は美しいでしょ?」
「はい」
「はいってなによはいって」
「ようやく書けたんですか?」
「どこかのおバカさんみたいな事を書いてしまってなんだか悔しい気分よ」
「見せてください」
「…確かにそうですね、でもこれが一番正しい答えのような気もします」
「…正しい答えなんてないわよ」
「人生まだまだこれからだもの」
「お祖母さんみたいなこと言いますね」
「海未よか私は若いわよ?」
「そろそろ思い出話もオシマイにして作曲に戻りましょ?」
「それもそうですね、今度は私の昔話をしてあげますよ」
「……楽しみにしてるわ」
私の手は2本どころか18本に増えたわよ、もちろん足もよ。
その手足は壁を乗り越える為にも打ち壊すためにも使えるけど壁を作るためにも使えるのよ、変よね。
この手足は切っても切れない、切れてもまた再生してくっつくと思うわ。
けど私はこの病が大好き。
この病がないと生きていけないと言っても過言ではないわ。
この病と一生寄り添って行きたい、行けるといいな。
夢は見るだけじゃ叶わない、なら見るだけじゃなくて叶えるために捕まえなきゃね。
せっかくこんなにも手があるんだから誰か一人…いやどれか一本くらい掴んでくれるはずよ。
なんだかバカバカしい文になっちゃった。
きっとこれも最初に伸びてきた手のせいね。
18本の手足ってまるでムカデじゃない…やだやだ。
とりあえず本題ね。
今、過去の自分へ伝えたいメッセージ
それは
『やり遂げよう、最後まで』よ。
そして、未来の私へ。
こんな逞しくなった私になんてメッセージをくれるのかしら?
待ってるわよ。
-
前の記事
【ラブライブ!】イベント報酬『SR 南ことり[おせち編]』のスキル&ステータスが判明!! 2020.03.26
-
次の記事
【ラブライブ!】スクフェス限定勧誘に日替わり『属性限定』登場!1/8(木)24時まで!! 2020.03.26