【ラブライブ!】穂乃果「Dメール?」真姫「そうよ」
- 2020.03.28
- SS

真姫「なによ、本当のことよ?」
絵里「で、それが何だって言うの?」
にこ「それを送れば過去を変えられるってことでしょ?」
穂乃果「うーん、なんかズルみたいだね」
真姫「たとえば宝くじの当選番号をあらかじめ知れば億万長者になれるわ」
にこ「私がやるニコ!」
にこ「……うっ、いいじゃない、ちょっとくらい」
海未「確かに何か大変なことになる気もしますね」
真姫「まぁ試しに1回くらいやってもいいんじゃない?」
穂乃果「実際送れても当たらないかも知れないしね」
真姫「そうね。メールが来ても信じるとは限らないわ」
絵里「でも、成功すれば過去が変わるのよね……」
にこ「……過去が変わる」
穂乃果「じゃあ1回だけやってみようよ!それでおしまい!」
真姫「そうね。メンバーみんなでご飯くらいのクジでいいんじゃない?」
海未「私たちにはすぎたものですからね」
にこ「……じゃあ私が送るわ」
絵里「調べたら1万円ってのがあるわ」
穂乃果「じゃあそれだね!番号は……」
にこ「いれたわ。ほら見て」
海未「確かに……」
真姫「いいんじゃない?」
にこ「じゃあ送るわよ」
絵里「ええ」
にこ「……」チラッ
にこ「……」カチカチカチカチ
穂乃果「にこちゃんまだぁ?」
真姫「早くしなさいよー」
にこ「にこ!」ポチッ
穂乃果「うっ……うわああああ!」グニャアアアア
穂乃果「……はっ!」
海未「穂乃果?どうしたのですか?」
ことり「穂乃果ちゃん大丈夫?なんか気分悪そうだけど……」
穂乃果「……大丈夫」
海未「……そうですか。では帰りましょうか」
海未「部室?何を言っているんですか。授業が終わって教室で帰る支度してたじゃないですか」
ことり「やっぱり具合悪いのかな?早く帰ってお薬飲んで休まなきゃ」
穂乃果「……」
海未「そうですね。元気だけが取り柄の穂乃果が病欠だなんて笑われてしまいますよ」
穂乃果「……うん。もう大丈夫だよ。そういえばもう家に帰るの?」
ことり「あれ?どっか寄ってく?」
穂乃果「いや今日練習あったよね?」
海未「練習?」
ことり「?」
穂乃果「ほらμ’sの練習だよ!部室いかないでいいの?」
海未「……穂乃果」
穂乃果「なに?」
海未「μ’sってなんですか?」
穂乃果「……えっ」
ことり「さぁ……石鹸?」
海未「石鹸の練習ってなんですか……どうやったら上手く手を洗えるかですか?」
ことり「あはは、そんなわけないよね。穂乃果ちゃんのボケ……かな?」
海未「そうなのですか?」
穂乃果「……なんで」
海未「穂乃果?」
穂乃果「私たちスクールアイドルやってたでしょ!ほら廃校を救うために結成いたじゃん!」
海未「廃校!?そうなんですか!?ことりは何か聞いてます?」
ことり「ううん。お母さんそんなこと言ってなかったと思うよ。今年も定員以上の受験生来たって喜んでたし」
海未「穂乃果……また冗談ですか?」
穂乃果「そんな……スクールアイドルも知らないの?」
海未「それは当然知っていますよ。私たちには関係ないですけど」
ことり「今すごいブームだよね~。私たちの学校のグループもすごい人気だし」
海未「受験生増加もそれの影響が大きいかもしれないですね」
穂乃果「……過去が変わっちゃった」
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「……私たちの思い出がなくなっちゃった」
ことり「ええっと、矢澤先輩とか絢瀬先輩とかがやってるね」
海未「ラブライブ本戦に出れるかも知れないから応援よろしくと新歓でやっていましたね」
ことり「でもギリギリなんだってー。やっぱり全国は大変なんだね」
穂乃果「にこちゃんと絵里ちゃんが……」
海未「穂乃果そんな親しい仲でしたっけ?」
穂乃果「あっ、えっと……」
ことり「穂乃果ちゃんファンだからって先輩を『ちゃん』付けは怒られちゃうよぉ」
穂乃果「あ、あはは、そうだね……」
海未「穂乃果?また顔色が悪くなりましたけど大丈夫ですか?」
穂乃果「……うん。大丈夫。ちょっと保健室よるから先帰ってて」
海未「穂乃果!?」
ことり「いっちゃった……」
にこ「じゃあ今日もがんばりましょ!ラブライブ絶対出るわよ!」
モブ’s「おー!」
絵里「順位もあと少しで圏内だわ。気合い入れましょ」
にこ「じゃあ屋上いくにこ!」
穂乃果「あ……まずっ」
絵里「……あら?」ガチャ
穂乃果(もしかしたらこの二人は穂乃果みたいに記憶が)
にこ「どうしたの絵里?あら、何この子?」
穂乃果「っ!」
穂乃果(やっぱり記憶が……)
絵里「部室の前で立ってたのよ。ええと、2年生ね。何か用かしら?」
にこ「サインなら書いてあげるわよ!」
モブ「にこ先輩そんな練習もしてたんですかぁ」ハハハ
にこ「ファンは大事にするにこよ!」
絵里「どうやら違うみたいよ。顔色悪いし、ボーっとしてたのかしら」
にこ「保健室まで行ける?無理して倒れたら友達が心配するわよ」
穂乃果「だ、大丈夫です。みなさん練習頑張ってください」
にこ「あら希。そうよ、これからが正念場だから気は抜けないのよ」
絵里「にこ、張り切りすぎて周りを巻き込まないでよね」
にこ「わ、わかってるわよ。ちゃんとみんなのこと考えて行動してるわ。リーダーなんだし」
希「うんうん、がんばってなぁ。って、あれその子」
穂乃果(希ちゃん!)
希「にこっちたちのファンの子?さすが全国区のスクールアイドルやね」
穂乃果「……ごめんなさい!」
絵里「ちょっとあなた!?大丈夫なの!?
希「いっちゃった」
にこ「さ!私たちもいくわよ!ラブライブ絶対出るんだからね!」
凛「かーよちん!帰ろー」
花陽「うん」
先生「星空!このプリント西木野に渡しておいてくれ。席も近いだろ?」
花陽「西木野さんですか……」
凛「もういないにゃー」
先生「まだ学校にいると思うんだが、これから会議で渡せないんだ」
花陽「は、はい……」
先生「頼んだぞー」
花陽「だって……どうする凛ちゃん?」
凛「凛ちょっと西木野さん苦手だにゃー。近寄りがたい雰囲気出てて」
花陽「頼まれちゃったし探そうか?」
凛「わかったにゃー」
穂乃果「……」
海未「穂乃果!探しましたよ!」
ことり「保健室にいないから探しちゃったよー。中庭でなにしてるの?」
穂乃果「……何もしてないんだよ私」
海未「?」
穂乃果「あんなすごいことやってたのに……この私は何もないんだよ」
ことり「何もないことないよ。私は穂乃果ちゃんが大好きだよ?」
海未「そうですよ。穂乃果は宿題忘れたり寝坊したり迷惑もかけられますが、そこを含めて私たちは大好きですよ」
穂乃果「違うの!そうじゃないの!ここは違うの!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん?」
海未「ど、どうしました?」
穂乃果「頑張ってメンバー集めて、頑張ってライブして、頑張って廃校阻止して」
穂乃果「頑張ってラブライブ目指したんだよ!」
海未「ラブライブ?」
穂乃果「みんなとの絆があって、私も強くなって……!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「それが今の私だったの!」
海未「少し疲れているんですよ穂乃果。さぁ、早く帰りましょう。そうだ今日はお泊まり会でもしましょうか」
ことり「い、いいね!そうだよ!穂乃果ちゃん一緒に遊ぼうよ!」
穂乃果「ごめん。もう帰るね……」
海未「穂乃果!?」
ことり「待ってー」
穂乃果(過去が変わってμ’sがなくて、私たちの絆もなくなっちゃった……)
穂乃果「この学校には人気のスクールアイドルがいる……もう私の居場所はそこにはない」
穂乃果「……どうしよう」
海未「昨日は大丈夫でしたか?穂乃果」
穂乃果「うん。もう平気!今日も張り切っていこう!」
ことり「穂乃果ちゃんが元気になってよかったぁ」
穂乃果(どうしよう)
穂乃果(もう放課後になっちゃった……何も解決策が思い浮かばない)
海未「穂乃果?また暗い顔してどうしたんですか?」
穂乃果「海未ちゃん……」
穂乃果(ちょっと聞いてみよう)
穂乃果「あのね、ある機械を使ったら変になっちゃったの……」
海未「はい?なんですかそれ」
穂乃果「それで元に戻らなくて……」
海未「また冗談ですか?」
ことり「海未ちゃん、穂乃果ちゃん真面目だよ?」
海未「真面目なのは伝わりましたけど……要領がえませんね」
穂乃果「ごめん。うまく言えないんだ……」
海未「大変なことなのはわかるのですが……」
ことり「つまり、今穂乃果ちゃんはその機械を使ってピンチってことでしょ?」
穂乃果「……まぁ」
ことり「なら、試したかわからないけど、もう一回その機械使って元に戻せないの?」
穂乃果「あっ!」
海未「できるんですか?」
ことり「さ、さぁ……可能性の話で」
海未「例えば機械を使ってコナゴナになった物はその機械じゃ戻らないでしょう」
ことり「そ、そうだね。どんな機械かもわからないし、いいアドバイスにならなかったね」
穂乃果「そうだ、真姫ちゃんだ!」
ことり海未「?」
海未「穂乃果!?」
ことり「昨日と今日こんなんばっかだね、ははは」
海未「でも解決しそうな顔をしていましたね」
ことり「そうだね。私たちに言えないってことはあんま深入りしない方がいいのかな?」
海未「かもしれませんね。なら穂乃果の言うとおり先に帰りましょうか」
ことり「うん。穂乃果ちゃん上手くいくといいねー」
真姫「~♪」
穂乃果「真姫ちゃん!」ガラッ
真姫「ヴェエ!?」
穂乃果「真姫ちゃん!」
真姫「な、なんなのよあなた!いきなりもう!」
穂乃果「あのね!相談があって!」
真姫「相談?……というか、あなた誰よ。2年生?どこかで私と会った?」
穂乃果「あ……えっと」
真姫「いきなり名前呼びなんて馴れ馴れしい人ね。何?危ない人なの?」
穂乃果「ち、違うよ……穂乃果は真姫ちゃんと友達で……いや、友達だったの?」
真姫「はぁ?さらにわけがわからないんだけど」
穂乃果「今すごく困ってるの!助けてほしいの!」
真姫「なんで私が見ず知らずの人を助けなきゃならないのよ……」
穂乃果「見ず知らず……」
真姫「ちょ、ちょっと!何あなたストーカーか何かなの!本当に危ない人だったのね」
穂乃果「違うよ……穂乃果は真姫ちゃんのこと知ってるっていいたくて」
真姫「私の個人情報握ってる時点でストーカーみたいなものでしょ!何?女子高だからそっちの人なの?」
穂乃果「そうじゃなくて!」
真姫「な、何かしたら大声あげるわ!これでも私声大きいんだからね!」
穂乃果(ど、どうしよう……)
穂乃果「あ!そう!Dメール!これ知ってるでしょ!?」
真姫「なっ」
穂乃果「このことを真姫ちゃんに聞きた――」
真姫「あなた……どこでその情報を……もしかしてそれが狙い?脅して手に入れようっての?」
穂乃果(Dメールのことを言えば信じてもらえると思ったのに……)
穂乃果「ち、違う!」
真姫「犯罪者!今通報してあげるわ!」
穂乃果(真姫ちゃんに何言っても信じてもらえない!?)
穂乃果「わ、私はそのDメールを使って他の世界から来たの!」
真姫「は?そんなの信じられるわけないでしょ!」
穂乃果「本当だよ!」
真姫「もう話にならないわね。先生呼んでくるわ。名前は穂乃果って言ったわね」
穂乃果「待って!」ダキッ
真姫「ちょ!離しなさいよ!」
穂乃果(信じてもらうには……どうすれば)チラッ
真姫「このっ」
穂乃果(ピアノ……そういえばここに入ってくる時)
穂乃果「!!」
真姫「いい加減に――」
穂乃果「愛してるばんざーい!ここでよかった。私たちの今がここにあるー♪」
真姫「!?」
穂乃果「大好きだばんざーい!頑張れるからー昨日に手をふってほらー前向いてー♪」
穂乃果「……ふぅ」
真姫「あ、あなたなんで……それ」
穂乃果「愛してるばんざーい。真姫ちゃんが作った歌。私の好きな歌」
穂乃果(つい目に入って歌っちゃったけど……これまたストーカーとか言われるのかな……)
真姫「ほ、ほんとに違う世界線からき、きたの?」
穂乃果「えっ、信じてくれるの?」
真姫「べ、別に完全に信じたわけじゃないけど、もう少し話を聞いてもいいかなって思っただけよ!」
穂乃果「今の歌のおかげ?」
真姫「……その歌は私が作ったのは間違ないないわ。でもまだ完成してなかった。それをあなたは完璧に歌った」
真姫「それも私が頭に思い浮かべた通りの構成で。これはまだ譜面にもおこしてない」
穂乃果「つまり?」
真姫「あなたが違う世界線から来たかどうか知らないけど、妙な力があるのは間違いないってことよ」
穂乃果「だから違う世界から来たの!」
真姫「だからそれがわからないからもう少し話を聞かせなさいって言ってるの!」
穂乃果「あ、そうか。えへへ……」ヘナッ
真姫「ちょ、ちょっと!いきなりしゃがみこんでどうしたのよ!」
穂乃果「な、なんか気がぬけちゃって……ようやく私の現状を誰かと話せると思ったら」
真姫「ほらっ!肩かしてあげるから。そこの椅子にでも座りなさい」
穂乃果「あ、ありがとう」
穂乃果「穂乃果でいいよ」
真姫「あなた一応先輩でしょ?いいの?そんなんで」
穂乃果「一応じゃなくてちゃんとした先輩だよぉ。でもいいの。真姫ちゃんにはそう呼んでもらいたい」
真姫「……はぁ、わかったわよ。で?何があったのよ穂乃果」
穂乃果「う、うん」
穂乃果(それからこれまであったことを真姫ちゃんに説明してみた)
真姫「なるほどね。そのにこって人がDメール送ったら全然違う世界になったと」
穂乃果「そうなんだぁ……でもそんな世界が変わるほどの重大なメールじゃなかったのに」
真姫「ちょっとした過去改変でも世界全体には大きな影響を与えるってのは通説じゃない」
穂乃果「……」
真姫「それよりも私はあなたの記憶が持続していることが不思議よ」
穂乃果「そうなの?」
真姫「難しい説明は省くけど、そうなの。だからあなたは何か特殊な力があるのかもしれないわね」
穂乃果「ほ、ほんと!?穂乃果元の世界に戻れるの!?」
真姫「その解決策にたどりつけるかはあなた次第だけどね」
穂乃果「どういうこと?」
真姫「Dメールで世界が変わったなら、そのDメールを取り消せばいいのよ」
穂乃果「そうか!じゃあ、当選番号を別のにして送れば」
真姫「まぁなんとかなるかもしれないわね」
穂乃果「じゃあさっそく!」
真姫「いや、ここでできるわけないでしょ!今から私の家に行くからそこでやるわよ」
穂乃果「ありがとう真姫ちゃん!」ダキッ
真姫「ダキツカナイデ!」
穂乃果「あ、いつものくせでぇ」テヘヘ
真姫「ふん、まぁいい実験データがとれるかもしれないし、さっさと行くわよ!」
穂乃果「はぁぁ。やっぱり真姫ちゃんのお家大きいねぇ」
真姫「……今日初めて話した人に『やっぱり』とか言われると不気味ね」
穂乃果「ス、ストーカーじゃないよ!」
真姫「わかってるわよ。ただ慣れないだけ。ほら接続終わったわ」
穂乃果「うん。ええっと当選したから変わっちゃったなら違う番号を送れば……」
真姫「……」
穂乃果「よし!いくよ!」ポチッ
穂乃果「……どうかな?」
真姫「はぁ。どうかなって聞いてる時点で失敗だと思うけど。さっきと同じ世界ってことでしょ」
穂乃果「ええ!?なんでー!」
真姫「まぁそうなると思ったわ」フゥ
穂乃果「どういうこと?失敗するってわかってたの?」
穂乃果「?」
真姫「でもあなたの話では少なくとも今年の4月から変化が現れている。これはおかしいわ」
穂乃果「全然わからないよぉ」
真姫「つまりそのにこって人は1週間前じゃなくて、今年の4月より前にメール送ったのよ」
穂乃果「ええー!?」
真姫「しかも、たぶん、メールの内容も当選番号でなく別のものよ」
穂乃果「そ、そんな……どうしよう」
真姫「解決策に辿り着けるかはあなた次第って言ったでしょ。あなたはそのにこって人が
どんなメールをいつ送ったのか調べなきゃならないのよ」
穂乃果「それを調べてそれを否定するメールを送る?」
真姫「ま、それしか今のところ方法はないわね」
これ突っ込まないでそっとしておいてくれ
見切り発車でスタートしたからそこミスった
穂乃果「えー真姫ちゃん来てくれないの?」
真姫「私そのにこって人知らないもの。それにあなたみたいに強い気持ちもないし」
穂乃果「そっか」
真姫「ま、内容わかったらまた来なさい。たいてい音楽室にいるから」
穂乃果「うん!ありがとう真姫ちゃん!」
真姫「……大変だと思うけどがんばりなさい」
穂乃果(やっぱりこっちの真姫ちゃんお友達いないのかな……)
穂乃果「そうだ!真姫ちゃん!」
真姫「なに?まだ何かあるの?」
穂乃果「そうじゃなくて、ええと、穂乃果とお友達になってよ!」
真姫「は、はぁ!?な、なにそれ意味わかんない!」
穂乃果「これかも仲良くしようってことだよ!一人よりも楽しいし!」
真姫「べ、別に一人でも楽しいからいいのよ!……ま、まぁあなたがそこまで言うならなってあげてもいいけど///」
穂乃果「うん!これからよろしくね!じゃあまたね!」タッタッタッ
真姫「まったく、嵐みたいな人ね。……友達……か」
穂乃果「よし、にこちゃんに会おう。部室にいるかな?」チラッ
にこ「……」カチカチ
穂乃果「お、ちょうど一人でパソコンいじってる。タイミングばっちりだね」ガチャ
穂乃果「失礼しまーす!」
にこ「ん?」クルッ
穂乃果「あの矢澤先輩、少しお時間よろしいですか?」
穂乃果(馴れ馴れしいのはまずいって真姫ちゃんで学んだからね!)
にこ「別に大丈夫だけど……あんた昨日の」
穂乃果「あ、昨日は突然すみませんでした!」
にこ「別にいいわよ。体調は大丈夫だったの?」
穂乃果「はい」
にこ「で?なにか用?」
穂乃果「えっと」
穂乃果(し、しまったー!どうやって話すか考えてない)アセダラダラ
にこ「どうしたのよ」
穂乃果「ええと、結構前に変なメール届きませんでした?」
にこ「……なによ、いきなり」
穂乃果「内容が3つに分かれてるメールなんですけど」
にこ「ああ、なに?あれあんたの?」
穂乃果「え……違いますけど」
にこ「いたずらメールよ。昨日の夜メールボックス見てたら変なメールがあったのよ」
穂乃果(それかな?)
穂乃果「ええと、それにはなんて?」
にこ「なんか、たくさんの数字と『こっち』って内容」
穂乃果(それ穂乃果が昨日送ったやつじゃん!違うそれじゃない!)
穂乃果「えっと、それよりもっと前に何かありませんでした?」
にこ「あんた、なんか怪しいわね。何?なにか隠してるの?」ジト
穂乃果「あ、えーと」
穂乃果(どうしよう!これ正直に言った方がいいのかな……)
にこ「は?」
穂乃果「だから、こことは似てるけど違う世界から来たんです」
にこ「……え?なにこれ突っ込むところ?」
穂乃果「それで、元に戻るために色々やってて」
にこ「中二病乙!……あ、つい突っ込んじゃったわ」
穂乃果「本当なんですよぉ」
にこ「あのね、にこたちは今大事な時期なの!ここの生徒なら知ってるでしょ。もうすぐ予選なのよ」
穂乃果「ラブライブ……」
にこ「そ。だからあんたの妄想中二病小説には付き合ってらんないのよ。チラ裏にでも書いてなさい」
穂乃果「も、妄想じゃないのに……」
穂乃果「あ、そう前の世界では私もスクールアイドルで!ラブライブの本戦に出場が決まって!」
にこ「……」
穂乃果「そこでは私とにこちゃんと絵里ちゃん、希ちゃんとかがグループで!」
にこ「……」
にこ「……!」バンッ
穂乃果「ひっ」
にこ「あんたね……ファンの子だから甘く見てたけど」
にこ「にこたちのグループ馬鹿にしたら許さないんだからね」
穂乃果「べ、別にしてな――」
にこ「あんたの考えた最強のグループ(笑)が私たちのグループより優秀って言いたいんでしょ!」
穂乃果「ちがっ」
にこ「にこたちのグループはダメダメで笑っちゃうってことでしょ!」
穂乃果「にこちゃ――」
にこ「あんたに何がわかるのよ!私たちはね、あんたたちファンが思っている以上に努力してるのよ!」
にこ「想像を絶する努力をよ!確かに今ラブライブに出れるか崖っぷちよ!でもね」
にこ「私の大切な仲間を馬鹿にするのは絶対に許さないんだから!」
穂乃果「そんなつもりじゃ」
にこ「出てって!今日のことは忘れてあげる。だから、もう来るんじゃないわよ!」バタン
穂乃果「……大切な仲間か」
穂乃果「私もそうだったのに……」グスッ
穂乃果「どうしよう……」
真姫「はぁ、あなた馬鹿じゃないの?そんな剣幕で迫ったらそうなるでしょ普通」
穂乃果「ごめん」
真姫「メールの内容を知らなきゃ帰れないのよ?もう少し冷静に行動したら?」
穂乃果「……」
真姫「ま、最終手段として携帯を盗んでメールを見るって手もあるけど」
穂乃果「そ、それは……」
真姫「私もおススメはしないわ。そもそも1年とか2年も前のメールが残ってるかもわからないし」
穂乃果「はぁ……」
真姫「あとは矢澤先輩に話を聞いてもらえる状況をつくることね」
穂乃果「あんな後にそんなの無理だよ……」
真姫「でも考えなきゃ進まないわ」
穂乃果「ありがとう真姫ちゃん。……優しいね」
真姫「ふ、ふん。友達なら普通なんでしょ、こういうの!」
穂乃果「あはは、そうだね。ありがと」グスッ
真姫「がんばりなさい」
「おっ、さっきにこっちと言い争ってた子やん」
穂乃果「えっ?」
希「やーやー」
穂乃果「希ちゃん……」
希「ん?うちの名前しっとるん?」
穂乃果「あ……ごめんなさい、東條先輩」
希「ええよええよ、希ちゃんで。んでー……あー、ごめん名前なんやっけ?」
穂乃果「あっ、すみません。高坂穂乃果です」
希「穂乃果ちゃんね。あー敬語もええで別に」
穂乃果「え、でも……」
希「穂乃果ちゃんがいた世界だとそうやったんやろ?」
穂乃果「えっ!?」
穂乃果(希ちゃん信じてくれて――)
希「そういう設定というかキャラ付けって友達作りに大事やもんなー。うちもなんかわかるわ」
穂乃果「あ、うん、そうだね……」
穂乃果(そりゃそうだよね)
穂乃果「別にそんなつもりじゃ……」
希「自分が思ってることが相手に100%伝わるわけはない。相手のことを考えて伝えなきゃならのよ」
穂乃果「相手のことを考えて……」
希「って、これにこっちの受け売りなんやけどね」アハハ
穂乃果「にこちゃんが?」
希「にこっちは優しいでー。いつもみんなのこと考えてくれるし、仲間想いやな」
穂乃果(自分のことで夢中になりすぎちゃったってことかぁ……)
穂乃果(これじゃあ文化祭の時と何も変わってないじゃないか私)
希「でも、結構おもしろい設定やん。ちょっと外まで聞こえてきたけど」
穂乃果「……」
希「ウチもアイドルなんておもろいやん?妄想でも楽しくなるなぁ」
希「ん?」
穂乃果「私の妄想聞いてもらってもいい?」
希「……」
穂乃果「えと……そう!ちょっと設定に悩んでて、そ、相談に乗ってもらえないかな?」
希「……んー、ええで」
穂乃果「ほんと!?」
希「どうせ今暇やし。生徒会室あいてるからそこで聞くよ」
穂乃果「あ、ありがとう!」グスッ
希「ちょ、穂乃果ちゃん。……ふふふ、大げさなやぁ」ナデナデ
穂乃果「ありがとうありがとう」グスッ
穂乃果(こうやってみんなと話せるって幸せなことだったんだなぁ)
穂乃果(はじめは3人ではじめて、9人になって、文化祭でライブして)
穂乃果(合宿して、はじめてみんなで曲を作って)
穂乃果(雪の中みんなが道を作ってくれて、A-RISEに勝って)
穂乃果(ラブライブ本戦出場の夢を)
穂乃果(みんなと叶えて……)
希「ほー、ものすごい凝っとるなぁ」
穂乃果「……だから私はみんなとラブライブ優勝したいの」
穂乃果「私の大切な仲間たちと」
希「……穂乃果ちゃんはどうやったらラブライブ優勝できるかっていう設定に悩んでるん?」
穂乃果「……違うね。私はどうやったらみんなとまた幸せに過ごせるか悩んでるの」
穂乃果「ラブライブよりも大切なものがあるの」
希「そのためにはこの話をにこっちに信じてもらわなきゃならんってことやろ」
穂乃果「希ちゃん?」
穂乃果「……妄想だけどね」
希「……いんや、妄想や設定やないんやろ?」
穂乃果「!?」
希「にこっちは当事者やし、頭に血が上ってたのかもわからんし」
希「怒るのは無理ない。でも、外で客観的に聞いたら穂乃果ちゃんの必死さが伝わってきたんよ」
穂乃果「希ちゃん……」
希「まぁ半信半疑やったけどな、ははは。でも、今の話でこれが真実ってのはわかったよ」
希「穂乃果ちゃんの目、すごい想いがこもってたもん。これが嘘なんてアカデミー賞もんやん」
穂乃果「うわああああん!希ちゃん!」ダキッ
希「大変やったろうね。そっちの世界のうちならもっと上手に慰めてあげられるのにな」ナデナデ
穂乃果「ううん。希ちゃん、あったかいよ……」
穂乃果「うん……」
希「ほらほら、そんな暗くならないで」ナデナデ
穂乃果「えへへ……」
希「あんま後輩に知り合いおらんけど、こういうのもええなぁ」
穂乃果「ここの世界じゃ軽く聞こえて全然伝わらないかもしれないけど」
穂乃果「穂乃果は希ちゃんのこと大好きだよっ!」
希「……伝わるよ。向こうの私が羨ましいかも」
穂乃果「希ちゃん、関西弁が――」
希「そう!にこっちな!うちに考えがないこともないで!」
穂乃果「えっ!?ほんと?希ちゃんが聞いてくれるとか?」
希「こらこら、ここまで来たら他力本願はいかんで」
穂乃果「そうだね。ごめん」
希「これは穂乃果ちゃんの力で解決すべきことなんよ」
希「向こうの世界の素晴らしさは穂乃果ちゃんしかわからないんだから」
穂乃果「ラ、ライブ?」
希「せや。にこっちは自分のグループが馬鹿にされて怒っとるんや」
希「なら、にこっちたちに認められるライブをすれば少しは冷静になるんとちゃう?」
穂乃果「そう、かな?」
希「にこっちはあー見えてアイドルに目がないし、興味を持つのは間違いないよ」
穂乃果「できるかな……今の穂乃果に」
希「穂乃果ちゃんはA-RISEに勝ったんやろ?この世界じゃA-RISEは全国1位や。
それを超えるライブなら納得するに決まっとるよ」
穂乃果「でもA-RISEに勝てたのはみんながいたおかげで……」
希「穂乃果ちゃんははじめ3人だったんやろ?それを見てうちらが入った」
穂乃果「うん」
希「なら大丈夫や。別に大会優勝せえ言っとるわけやない」
希「ただ、うちらの気持ちを動かすライブをすればいいんよ」
穂乃果「……気持ち」
希「大会では技術も大事だけど、想いを伝えるには情熱やん?」
希「それなら9人いなくても伝えられるやろ?」
希「その意気や!じゃあ行くでー!」ガシッ
穂乃果「って、ええー!希ちゃんどこに!?いきなり引っ張らないでー!」
希「屋上に決まっとるやん!善は急げって言うやろー!」
にこ「じゃあ、10分休憩にするわよー」
モブ’s「はーい」
絵里「みんな上手くなってきてるわね」
にこ「そうね。もう予選はすぐそこよ。悔いのないようやるわよ」
絵里「ええ」
希「たのもぉー!」ガチャ
穂乃果「うああああああああああ」
絵里「!?」ビクッ
にこ「な、なに!?」
希「お疲れ―、えりちににこっち」ニコッ
絵里「の、希……」
にこ「な、なんなのよ、いきなり」
絵里「ん?あら昨日の子じゃない」
穂乃果「ど、どうも」
にこ「なに?またやろうっての?こっちは時間ないって言ったでしょ」
希「ストップや!にこっち落ち着きー」
にこ「なによ希」
希「別に喧嘩売りに来たわけやないよ。にこっちたちにお願いがあるんよ」
絵里「お願い?」
にこ「なによ」
希「ここにいる穂乃果ちゃんはなんと……!あの!A-RISEに勝ったことのあるスーパーアイドルなんや!」
穂乃果「ちょおおお、希ちゃん!?」
希「うちに任せとき」コソッ
穂乃果「う」
絵里「A-RISEに勝った?この子が?ラブライブに出てたかしら?」
にこ「絵里、相手にしなくていいわ。そいつの妄言だから」
希「ところがどっこい……妄言ではありません……!現実です!これは現実です!」
にこ「なら証拠見せてみなさいよ。トロフィーとかあるんでしょ。まさか喧嘩で勝ったなんてオチはないわよね」
絵里「とても喧嘩が強そうには見えないけど」
希「焦ったらいかんでーにこっち。そやな2週間後にライブを見せるってのでどうや?」
にこ「はぁ?なんでよ、今やりなさいよ」
希「しっかりとした舞台で見た方がわかるやろー」
絵里「まぁ確かに音源も衣装もなしじゃよくわからないかも」
穂乃果(なんかすごい勢いで話がすすんでるよお)アワワ
絵里「そうね。私たちの最終リハって名目で借りれるでしょうし」
希「ふふふ、腰抜かしたらあかんでー」
にこ「抜かさないわよ。ただ、あんた!逃げるんじゃないわよ」
穂乃果「えっ!?」
にこ「私だけじゃ飽き足らず、メンバー、希まで巻き込んだのよ。やっぱりやめますなんて通じないからね」
希「大丈夫や!」
にこ「希じゃない。そこのあんたに聞いてるのよ」
絵里「あ、名前聞いてなかったわね」
希「穂乃果ちゃんや。高坂穂乃果ちゃん」
にこ「穂乃果。もしくだらないもの見せたら罰として私たちの手伝いとしてこき使ってあげるわ」
絵里「ごめんなさいね穂乃果。私たちも時間がないの。あまり他にかまけてる場合じゃないの」
にこ「どうせ、小学生のお遊戯レベルでしょ。まぁ期待して待ってるわ」
穂乃果「……っ!くだらないものなんかじゃありません!」
にこ「……」
穂乃果「矢澤先輩たちの努力がどのくらいかはわかりません。でも!」
穂乃果「矢澤先輩がグループを馬鹿にされたと思ったなら謝ります」
穂乃果「でも、私たちのグループも馬鹿にはしてほしくないです!」
穂乃果「私は音ノ木坂学院スクールアイドルμ’sの高坂穂乃果です!」
穂乃果「私の……ううん、私たちの想いを絶対に伝えて見せます」
絵里「……」
希「……穂乃果ちゃん」
にこ「せいぜい2週間練習することね。希!もういい?こっちも練習があるのよ」
希「……え、うん」
穂乃果「ありがとうございました!」ガチャ
希「穂乃果ちゃんー、待ってーな」
絵里「希、すごい楽しそうだったわね。なんかあの子のあんな姿久しぶりに見たわ」
にこ「……」
絵里「にこ?」
にこ(吸い込まれそうな瞳の力だったわ。あの子……本当に)
絵里「どうしたのよ?」
にこ「なんでもないわ。さ、練習よ!」
穂乃果「一人用のライブの振り付けってないんだよなぁ」
穂乃果「うーん、9人用のを一人でやるのは……」
穂乃果「なーんか、ダイナミックさが欠けると思うんだよなぁ」
穂乃果「……」
穂乃果「うん。やっぱりあれしかないね」
穂乃果「あのね、聞いてほしいことがあるの」
海未「?」
ことり「どーしたの?」
ことり「全然実感ないね……」
穂乃果「突拍子もないことだけ、信じてくれる?」
海未「正直なところ私はよくわかっていません。あまりにも現実離れしすぎてます」
穂乃果「……うん」
海未「ですが、穂乃果が困っていて、私たちに助けを求めているのはわかりました」
ことり「うん!前も言ったけど、どんな穂乃果ちゃんも穂乃果ちゃんだよ!」
海未「ええ。私たちはいつもあなたの味方ですよ」ニコ
穂乃果「海未ちゃん……ことりちゃん……」
ことり「それに違う世界って言ってもことりたちの知ってる穂乃果ちゃんとほとんど一緒でしょ?」
海未「そうです。多少の記憶違いあるかもしれません」
海未「ですが、内気だった私を遊びに誘ってくれた元気で優しい穂乃果はあなたでしょう」
ことり「どんな状況でも、私たちは最高の親友だよ!」
ことり「それで、ライブをすることになったんだね」
穂乃果「うん」
海未「それで私たちはどうしたらいいんですか?照明とかの手伝いとか?」
穂乃果「ううん、海未ちゃんとことりちゃんには私と一緒に踊ってほしいの!」
ことり「えっ!?」
海未「わ、私たちもですか!?」
穂乃果「うん、ほらさっきも話したけどμ’sってはじめは私たち3人で始めたんだよ」
海未「それはわかりますが……ですが、あと2週間で矢澤先輩を納得させるものができるでしょうか」
ことり「海未ちゃん……本音は恥ずかしいからでしょ?」
海未「う。ア、アイドルなんて無理です!ヒラヒラのスカートなんてき、着れません///」
ことり「まだ衣装決まってないけどね」アハハ
海未「な、なんですか!穂乃果まで笑って!」
穂乃果「い、いや。スクールアイドル始めた時もこんなんだったなぁって」
ことり「やっぱり海未ちゃんこんな感じだったの?」
穂乃果「うん。でも今では何千人って人の前で堂々と歌って踊れてるんだぁ」
海未「わ、私がですか……信じられません」
穂乃果「だから、お願い海未ちゃん!」
海未「う……」
ことり「海未ちゃん、別にアイドルになってって言われてるわけじゃないよ?」
ことり「1回だけ、穂乃果ちゃんのために踊ろうよ!」
海未「穂乃果のため……」
ことり「今まで私たちたくさん穂乃果ちゃんに救われてきたでしょ?恩返ししなきゃ!」
穂乃果「穂乃果が救った?二人にはいつも穂乃果が助けてもらってばっかりだけだと思うけど」ハハハ
穂乃果「な、なんか恥ずかしいなぁ」
ことり「じゃあ3人でがんばろー!」
海未「と、その前に!穂乃果、μ’sは本来9人なのでしょう?ならば他のメンバーも誘った方がいいのでは?」
穂乃果「うん。それは私も考えてた。でも歌もダンスもお互いの呼吸が大事なんだ」
穂乃果「この世界の凛ちゃんも花陽ちゃんも真姫ちゃんも希ちゃんも私のことあまり知らない」
穂乃果「でも海未ちゃんとことりちゃんはずっと一緒だった。この世界も向こうの世界も」
穂乃果「だから3人でいいの。3人ではじめて、みんなの心を動かしたんだから」
海未「その気持ちを再びメンバーに伝えたいと」
穂乃果「うん。あの時の必死さが今回必要なのかなって」
ことり「私たちなら大丈夫だよ!ずーっと一緒だったんだから」
海未「そうですね。なぜだかわかりませんが、3人ならできる気がします」
穂乃果「これから2週間よろしくお願いします!」
ことり「でも、練習以外にもやることたくさんあるよね」
海未「まず楽曲は必須ですね。衣装は最低ジャージでも大丈夫でしょうが」
穂乃果「歌は私が用意するから大丈夫。衣装は」
ことり「私に任せて♪」
穂乃果「うん!μ’sの衣装と言えばことりちゃんの可愛いやつ!」
海未「大丈夫なのですか?練習と並行してやるには大変かと」
ことり「大丈夫だよ。それに見たいんだ。私の作った衣装を二人が来てる姿を」
穂乃果「ことりちゃんはデザイナーが夢だもんねぇ。穂乃果も手伝うから!」
海未「穂乃果が!?あなた裁縫なんてできないでしょう?」
穂乃果「それは前の穂乃果!今の穂乃果はことりちゃんの手伝いして少しはできるんだからね!」
ことり「うん!衣装も3人で頑張ろうね!」
海未「私だけ何もしてないようで気がひけますね」
穂乃果「海未ちゃんはμ’sに大切なものをいつもくれてるよ。それを胸に私はがんばってるの」
穂乃果「うん。なんとか認めてもらってにこちゃんに話を聞いてもらわなきゃ」
真姫「じゃあ、忙しいんじゃない。こんなとこに来てていいの?」
穂乃果「それは、真姫ちゃんにお願いしたいことがあって」
真姫「?」
穂乃果「あのね、曲を作ってほしいの」
真姫「はぁ?あなた曲作りなめてるの?そんな短期間でできるわけないじゃない」
穂乃果「ううん。一から作ってってことじゃないの。穂乃果が歌うからそれをえっと編曲?してほしいの」
真姫「メロディーはできてるのね。それならできると思うけど」
穂乃果「ほんと!?ならお願い!」
真姫「じゃあ、今からでいい?」
穂乃果「うん。それじゃ歌うね」
穂乃果「~~~♪」
穂乃果「どう?」
真姫「……驚いたわ。前聞いた時も思ったけどあなた歌上手いのね」
穂乃果「真姫ちゃんとかに基礎から指導してもらったんだー!」
真姫「……仲よさそうね私」ボソッ
穂乃果「ん?なに?」
真姫「なんでもないわ。歌だけじゃない、曲もいいセンスしてるわね」
穂乃果「そりゃそうだよー。だって真姫ちゃんが作ったんだもん」
真姫「ヴェエエ!私?もう知らないとこで色々進んでて気味悪いわね」
穂乃果「ご、ごめん」
真姫「別に怒ってないわよ。なるほどね、だから曲を聞いててすぐにイメージできたわけね」
穂乃果「これって世界をまたいだナルシストってことになるのかな!?」
真姫「意味わかんない!」
穂乃果「じょ、冗談だよぉ」アセアセ
真姫「ま、とりあえず作っておくわ。その前にあなたの歌を録音してダビングするわね」
穂乃果「ん?真姫ちゃん用の他に何か使うの?」
真姫「……あなた本当にアイドルだったの?歌がなくてどうやって踊りの練習するのよ」
穂乃果「だからそれは真姫ちゃんが」
真姫「私が完成させるまで踊りや歌の練習をしないってことでいいわけ?」
穂乃果「おお!真姫ちゃん天才!」
真姫「……大丈夫かしら」
穂乃果「おーい!」
海未「穂乃果。曲の方はどうでした?」
穂乃果「ばっちりだよ!仮歌は明日届くから踊りと歌の練習は明日からね!」
海未「わかりました。では今日は基礎体力を鍛えましょう」
穂乃果「そうだね!……って、あれ?ことりちゃんは?」
海未「……ことりならあそこです」
穂乃果「ん?」
ことり「ひぃーひぃー……もう動けないよぉ」グッタリ
穂乃果「あらら」
海未「まぁことりはもともと運動するタイプじゃありませんしね」
穂乃果「だ、大丈夫かな?」
海未「運動とはこういうものです。ほらっ、ことり!休憩終わりですよ!」
ことり「ひぃぃぃぃ」
穂乃果「本当に大丈夫かな……ことりちゃーん!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃあーん」グデー
希「がんばりー、穂乃果ちゃん」
穂乃果「仮歌持ってきたよ!」
海未「では聞いてみますね」
ことり「た、楽しみだねぇ」ガクガク
穂乃果「今日ことりちゃん、な、なんかぎこちないね」
海未「筋肉痛です。すぐに慣れますよ」
ことり「海未ちゃんともかく、穂乃果ちゃんともこんな差があったなんてぇー」
海未「そりゃ今の穂乃果は全国区のスクールアイドルですからね。基礎体力も普通にあります」
穂乃果「ご、ごめん。なんかズルしてるみたいで」
ことり「あ、ううん。だって、それって今のことりみたいな状況を超えた結果なんでしょ?」
海未「そうです。あなたも血のにじむような努力をしたんです。決してズルなんかじゃありませんよ」
穂乃果「あはは、もうあの筋肉痛は思い出したくないかも」
ことり「じゃあ、歌聞こうよ!」
海未「そうですね。では、ことりこちらのイヤホンを」スッ
ことり「うん、ありがとう」
穂乃果「なんか、穂乃果仲間はずれだね」
海未「いや、あなたが歌った曲でしょう。なんであなたが優先して聞くんですか」
ことり「それにイヤホン2個しかないし……」ハハハ
海未「……これ穂乃果ですか?」
穂乃果「え?そうだよ、そんなこと嘘つかないし、声もちゃんと穂乃果だったでしょ!」
海未「まぁそうなんですけど」
ことり「穂乃果ちゃんすごい歌上手くなったねぇ。この前カラオケ行った時と全然違うよ」
穂乃果(そのカラオケ行ったことは私知らないんだけどね)
海未「さすがですね。歌のレッスンもしっかりやったのでしょう」
穂乃果「μ’sには歌が上手い子多いからね。海未ちゃんも上手だよ」
海未「え、あ、ありがとうございます///」
ことり「それにしてもいい曲だねぇ」
海未「そうですね。メロディーもさることながら歌詞もまた素晴らしいです」
ことり「なんだが、希望って感じだね」
穂乃果「あ、それ書いたの海未ちゃんだよ」
海未「……は?」
穂乃果「だから、その歌詞書いたの海未ちゃん」
海未「え、えええええええ!?わ、私が、こ、こんな、恥ずかしいことを!?」
ことり「歌詞もまた素晴らしいです」
海未「ことりぃ!」
海未「なっ……向こうの私はなんてことを……」
ことり「でも、なんで海未ちゃんだったの?」
穂乃果「ほら、海未ちゃんよくポエムとか書いてたでしょ?だから歌詞も行けるかなって」
海未「あああああ、やめてください!そんな恥ずかしいこと言わないでください!」
穂乃果「それに穂乃果もことりちゃんも作詞って苦手だったから」ハハ
ことり「でも実際すごいいい歌詞だったし、才能あるんだねぇ」
海未「穴があったら入りたいですぅ」
穂乃果「たまにものすごいのとかあるけど、歌詞ってちょっと大げさな方がいいんだよね!」
海未「……」
ことり「穂乃果ちゃん、海未ちゃんが息してないよ」
穂乃果「もう!だから海未ちゃんはμ’sに大切なものをいつもくれてるって言ったでしょ!」
海未「……大切なもの?」
穂乃果「うん。海未ちゃんの歌詞を歌うと自然と感動できるんだぁ。だからもっと誇っていいんだよ」
海未「……はい」
穂乃果「海未ちゃんの歌詞はいつも私たちを導いてくれるの。えへへ」
海未「……恥ずかしいですが、私も貢献できてるってことですね」
穂乃果「あ、希ちゃん!」
ことり「あれって」コソッ
海未「ええ、元生徒会副会長の東條先輩ですね」コソッ
ことり「ここでバイトしたんだ。というか穂乃果ちゃん先輩だよぉ」コソッ
海未「しかし、相手もあまり気にしていませんね」コソッ
穂乃果「あ、紹介するね。この前も話したど私の親友の海未ちゃんとことりちゃん!」
海未ことり「こんにちわ」
希「おーこの子たちが噂の。結局3人でやることにしたん?」
穂乃果「うん!穂乃果たちはね、3人揃うと無敵なんだよ!」
希「そら楽しみやなー。うちも楽しみにしとるから練習頑張ってなー」ジャアマタナァ
穂乃果「ばいばーい!」
海未「穂乃果、東條先輩とは」
穂乃果「あ、ええと、友達!ちょっと相談にものってもらって」
ことり「へぇー」
穂乃果「希ちゃんはμ’sの頼れる存在なんだ!だからこっちの世界でもちょっと甘えちゃった」ハハ
穂乃果「うん。私のためにいろんな人が協力してくれてる」
ことり「絶対に成功させなきゃね!」
穂乃果「うん!」
海未「それじゃあ振り付けを覚えるところから始めましょうか」
穂乃果「よし、じゃあ穂乃果に任せて!いくよ!」
穂乃果(いつもは海未ちゃんが主導だった練習を穂乃果がやってる)
穂乃果(不思議な世界だな……穂乃果もみんなのために何か貢献できてるのかな)
海未「む、これは結構難しいですね」
ことり「そ、そうだね。さらに3人が合わせなきゃいけないし」
穂乃果「大丈夫!私たちなら!」
海未「できますね!」
ことり「うん!」
ことり「じゃじゃーん!」
穂乃果「おお!」
海未「な……」
ことり「衣装できたんだー。試着してみようよ」
穂乃果(前とは細かいところが少し違うけど、こっちも可愛い衣装だなぁ)
海未「こ、ことり!な、なんですかこの衣装は!」
ことり「え、何ってライブで着る衣装だけど……」
海未「そうじゃありません!こ、こんな丈の短いスカート……は、破廉恥です!」
ことり「いやでも、アイドルってこんな感じだよね」
穂乃果「うんうん、ことりちゃん素晴らしい衣装だよ!」
ことり「えへへ」
海未「アイドルがそんな短いスカートを履く決まりはありません!私たちはもっと清くですね」
ことり「でも、もう作っちゃったし……これから直すのは」
穂乃果「海未ちゃん、ことりちゃんが精一杯作ったんだよ!」
海未「う、わ、わかりました。もうどうにでもなれです……」
ことり「ご、ごめんね海未ちゃん。まさかそこまで嫌がるとは」
海未「あ、いえ」
穂乃果「ほらっ海未ちゃん」コソッ
海未「……ことり」
ことり「なに?」
海未「……えっと、少し恥ずかしいですが、最高の衣装だと思います。ありがとうございます」
ことり「うん♪」
穂乃果「えっと、そこはここをこうして」
海未「なるほど、そうすることでスムーズになるのですね」
ことり「あはは、穂乃果先生だね」
穂乃果「え、照れちゃうなぁー」
海未「授業中熟睡、テスト赤点ギリギリの先生は嫌ですけどね」フフ
穂乃果「もー海未ちゃーん!」
花陽「……」
凛「かーよちん、どうしたの?」
花陽「あ、ううん。なんでもないよ」
凛「うーん?あれウチのジャージだね。スクールアイドル?」
凛「でもあんな人たちいたかなー?」
花陽「たぶん違うと思うけど」
凛「やっぱり、スクールアイドルに興味あったんでしょ?入ればよかったのに」
花陽「いや……私には無理だよ。あんな目標に向かって突き進むのは」
凛「でもすごい見てたにゃー」
花陽「それは……なんだか、すごい楽しそうだなって思って。練習の大変さより仲の良さが伝わるっていうか」
凛「かーよちん!」ダキッ
花陽「凛ちゃん!?」
凛「凛とかよちんも負けないくらい仲良しだにゃー!」
凛「そうにゃそうにゃ!そこらの親友には負けないにゃー!」
花陽「ふふ」
真姫「……」ジィー
希「……」ソロソロ
真姫「ふぅ、帰りましょう」
希「……ワシワシやぁ!」ワシワシ
真姫「ちょ、な、い、いやー!」
希「なーに隠れてみてるん?」
真姫「べ、別にいいでしょ!というか離しなさいよ!」
希「ま、まだまだ成長の余地ありやな」
真姫「なんの話よ!」
希「穂乃果ちゃん見に来たんやろ?」
真姫「あなた」
希「うちは東條希。あなたと一緒で穂乃果ちゃんに協力してるんよ真姫ちゃん」
真姫「……そう」
希「行かないでええん?」
真姫「いいのよ。今穂乃果に必要なのは私じゃなくてあの2人よ」
真姫「別に用があるわけでもないし。ただちゃんと練習してるか監視に来ただけ」
希「素直やないなー」
真姫「それに邪魔しても悪いでしょ。と、友達なんだから相手のこと気にかけて当然でしょ」フン
真姫「じゃ、私は行くわ。あなたも邪魔しないようにね」
希「はいはい」バイバイ
希「まったく不器用やな」
にこ「……」
絵里「にこ?どうしたの?」
穂乃果「じゃあ今度は石段ダッシュいくよ!」
海未「はい!」
ことり「うん!」
絵里「あらあの子たち」
にこ「……」
強くてニューゲームやなw
えぇぞ~
にこ「ふん、死に物狂いで来なきゃ時間の無駄でしょ。当然よ当然」
絵里「にこもあの子たちのこと多少は認めてるんでしょ?」
にこ「多少ね。ほんっとに多少ね。小指の爪くらいね」
絵里「……もう」
にこ「アイドルはそんな甘いものじゃないのよ。2週間練習した程度で私たちと同等なんて無理よ」
絵里「まぁ、そうよね。これですごかったら私たちの立場がないわ」
にこ(でも、本当に違う世界で……ううん、そんな馬鹿なことないわ。B級SFかっての)
絵里「どうしたの?いきなり黙っちゃって」
にこ「なんでもないわよ。ほら行くわよ。帰りマックにでも寄って練習の予定考えるわよ」
絵里「はいはい」
にこ(絶対にラブライブ出てやるんだから)
海未「では、再生しますよ」
ことり「なんかドキドキするね」
穂乃果「ダンスはやっぱり客観的に見ないと上手くならないからね」
海未「それにしてもビデオカメラなんて持っていたんですね穂乃果」
穂乃果「あ、これ希ちゃんに借りたの。希ちゃんと言えばカメラキャラでもあるからね!」
海未ことり「?」
穂乃果「ほら!そんなことよりちゃんと見ないと!」
海未「あ、はい。では――」
映像「~~♪」
ことり「ほぉ……すごい!私たち本当のアイドルみたい!」
海未「確かに。こうして映像で見ると頑張ったかいがあったと言いますか」
ことり「あっほらここ!ちょっと苦戦したとこだけど、上手くいってるね」
海未「重点的に練習しましたからね。たった1週間でこれはすごいことですよ」
ことり「ことりたち才能あるのかな?」ヘヘヘ
海未「一応ラブライブ本戦メンバーですからね。別の世界ですが」
ことり「あはは、そうだね」
穂乃果「……」
ことり「どうかしたの?」
穂乃果「あ、え、えっと」
海未「やはり素人目ではわからないようなダメな点があったでしょうか?」
ことり「え、そうなの?穂乃果ちゃん、ことりたちに遠慮せずはっきり言っていいんだよ?」
海未「そうです。ダメなところを指摘され人は成長するんですよ」
穂乃果「あ、ち、違うの!え、えと、そう!あんまり良かったから言葉を失っちゃったんだよ!」
ことり「ほんと!?穂乃果ちゃんに言われると自信になるね!」
海未「ええ。私たちは本当に努力していますし」
穂乃果「うんうん。これからもがんばろーね!」
海未ことり「はい(うん)!」
穂乃果「じゃあ今日は解散かな。また明日!」
海未「しっかりお風呂でマッサージしてくださいね」
穂乃果「海未ちゃんたちもケア怠らないでね」
海未「それでは」
ことり「また明日~」
穂乃果「……お風呂はいろ」
チャポン
穂乃果「はぁ……」
穂乃果「よかった。二人ともちゃんと踊れてる」
穂乃果「そりゃそうだ。もともと穂乃果より上手いんだもんね」
穂乃果「……でも」
穂乃果「なにかが足りない……」
穂乃果「私の知ってる私たちはもっと……すごかった」
穂乃果「技術じゃない……でも二人はすごい頑張ってる」
穂乃果「あの映像も魅力を感じた。……でも足りない」
穂乃果「ちゃんとわかってる……足りないのは……私だ……」
ことり「穂乃果ちゃーん、おひるごはん食べよー」
穂乃果「あ、うん」
海未「では机を失礼してと」
穂乃果「あ」
海未「どうかしました?」
穂乃果「お昼のパン買い忘れちゃった」
ことり「珍しいね、穂乃果ちゃんがパン忘れるの」
海未「まぁ疲れもありますしね、待ってますから早く買いに行ってください」
穂乃果「うん。あ、でも、先に食べてていいよ。二人はお弁当だし穂乃果より時間かかるでしょ?」
ことり「あー、うん。お言葉に甘えて先に食べてるね」
穂乃果「じゃ、行ってくるね」
穂乃果「はぁ、駄目だなぁ」
「あら、こんなとこでどうしたの?」
穂乃果「え?」
絵里「こんにちわ穂乃果。お昼食べないの?」
穂乃果「絵里ちゃ……絢瀬先輩。あ、と、今からお昼買いに行くんです。ちょっと忘れちゃって」
絵里「そう。練習はどう?順調?」
穂乃果「……」
絵里「……」
穂乃果「じゃあ、友達も待たせてるので行きますね」
絵里「穂乃果」
穂乃果「はい?」
絵里「私とお昼食べない?」
穂乃果(よしことりちゃんたちにメールOK)
絵里「ここでいいかしら」
穂乃果「あ、はい」
穂乃果(中庭。ここではじめて絵里ちゃんと話したんだっけ)
絵里「ん?どうしたの?立ってないで座ったら?」
穂乃果「あ、はい!」
絵里「そんなビクつかないでよ。別ににこみたいに怒鳴ることしないし」
穂乃果「すみません」
絵里「んー」
穂乃果(それにしてもいきなりお昼って何の用なんだろ)
絵里「絵里よ」
穂乃果「え?知ってますけど」
絵里「違うわよ。絵里って呼んでいいって言ってるのよ」
穂乃果「え……でも」
絵里「あなた希とそんな感じで呼び合ってるんでしょ?なら別に私にしてもいいでしょ」
穂乃果「はい」
絵里「敬語もいいわ。希のあんな姿久しぶりに見たわ。よほどあなたがいい子なんでしょうね」
穂乃果「そんなことないよ。希ちゃんには助けてもらってばっかで」
絵里「希は好きで世話を焼いてるのよ。私も昔あったわ。まったくおせっかいよね」
穂乃果「……」
絵里「それで?何を悩んでるの?」
穂乃果「え?」
絵里「練習、上手くいってないんでしょ?」
穂乃果「それは……」
絵里「あなたなかなか顔に出やすいわね。すごくどんよりしてたわよ」
穂乃果「でも絵里ちゃんは矢澤先輩のグループで――」
絵里「別に私たち争ってるわけじゃないでしょ。あなたたちのライブを楽しみにしてるのよ」
穂乃果「楽しみ?」
絵里「ええ。ほら屋上でにこと言い合いした時、あなたすごい真剣だったでしょ」
穂乃果「あの時はいきなりごめん」
絵里「いいのよ。ただあの想いがこもったライブはどんなにすごいかって気になってね」
穂乃果(真姫ちゃんも希ちゃんも海未ちゃんもことりちゃんも絵里ちゃんも)
穂乃果(私の想いをちゃんと受け止めてくれてる)
穂乃果(どんなに離れてもμ’sはμ’sだ)
絵里「それはにこもよ」
穂乃果「え」
絵里「まぁあの子ひねくれたところがあるから分かりにくいけど、あなたのこと少しは認めていたわ」
穂乃果「にこちゃんも……」
絵里「それで?何を悩んでたの?」
穂乃果「あ、ええと、うん、聞いて。自分たちのダンスをビデオでとったの」
絵里「ダンスレッスンで重要なことね」
穂乃果「それを見てて、気付いたの。何かが足りないって」
絵里「あなたは確か結構ダンスも得意なのよね。ならあの二人の動きに何か原因が?」
穂乃果「違うの。足りないのは私だけ。二人はすごかった」
絵里「それは技術的な話?」
穂乃果「ううん、そうじゃない。なんか感覚的な」
穂乃果「ごめんね。こんな抽象的な悩みで」
絵里「いいのよ。成長を求める過程で悩みは必ずでるわ」
穂乃果「うん」
絵里「そうね……その映像を見てどう足りないって思ったの?」
穂乃果「うーんと……私が前に見たのはもっとすごかったの。あ、ごめんまた曖昧」
絵里「すごかったか。ならその時の感情を思い出せばいいんじゃない?どんな状況だったの?」
穂乃果「えっと、ラブライブの最終予選で……あっ」
穂乃果(そうだ。こんなこと言ったらまた変な子扱いだ。こっちじゃアイドルですらないのに)
絵里「それで?」
穂乃果「え?」
絵里「ラブライブの最終予選でどうなったのよ」
穂乃果「絵里ちゃん……」
絵里「ほら、あんまお昼休みも長くないんだから」
穂乃果「あ、うん」
穂乃果(ありがと絵里ちゃん)
絵里「A-RISEかぁ。そりゃA-RISEに勝てる状況ならすごいでしょうね」
穂乃果「……うん」
絵里「その日のこともう少し教えてくれる?」
穂乃果「うん。当日はすごい雪だったんだ。しかも、私たちはオープンキャンパスで別行動。
終わってから集合だったんだけど、大雪で電車がとまっちゃって」
絵里「絶望的な状況ね。でも、あなたたちはライブに出たんでしょ?」
穂乃果「……うん。学院のみんながね、穂乃果たちのために雪かきをしてくれたの」
絵里「ハラショー!それはすごいことね」
穂乃果「それも学院だけじゃなくて、会場までの道を全部!」
絵里「あなたたちになんとしても出てほしかったのね」
穂乃果「うん。それでね間に合ったの!みんなの力で!」
絵里「ふふふ。どれだけ嬉しかったのか穂乃果の顔を見ればわかるわね」
穂乃果「あ、えへへ///」
絵里「それでライブに挑んだのね」
穂乃果「うん。みんなが繋いでくれた道を無駄にしないように」
穂乃果「絶対にライブを成功させて予選を突破するんだ!って」
絵里「……」
穂乃果「絶対に成功させたい。今回だって絶対に成功させたいよ。なのに……違うの」
絵里「穂乃果」
穂乃果「なに?」
絵里「あなたは本当にライブ中、最終予選を突破したいって思ってたの?」
穂乃果「え、そんなの当たり前だよ!だってみんなが必死に作ってくれたんだよ!」
絵里「そう、みんなあなたたちのために頑張った。あなたはこの行為をどう思った?」
穂乃果「だから、すごい感謝してるよ」
絵里「ライブの後、手伝ってくれたみんなはなんて言ってた?」
穂乃果「『絶対に予選突破するって信じてた!手伝ったかいがあったよ』って」
絵里「やっぱり、穂乃果もう一度ライブの前を思い出してみて」
穂乃果「ライブの前……」
絵里「目の前にはあなたたちのために道を作ってあなたたちを応援してくれているみんながいる」
絵里「あなたはどう思った?」
『穂乃果ぁ!がんばれー!』
『μ’s!!』
『海未ちゃーん!』
『ことりー』
『みんながんばれー!』
穂乃果『たくさんのありがとうを込めて、歌にしてみました。応援してくれた人、
助けてくれた人がいてくれたおかげて私たちは今、ここに立っています』
穂乃果『だからこれは、みんなで作った曲です!』
――そして
穂乃果『μ’sが、大好きだったから』
穂乃果「……そうだ。私、みんなにありがとうと幸せを届けたくて」
穂乃果「Snow halationを歌ったんだ」
穂乃果「それ」
絵里「にこがよく言ってることよ」
穂乃果「……うん、知ってる」
絵里「あなたは自分のために今度ライブをする。でも、それって本当のライブなのかしら?」
穂乃果「……」
絵里「本当のアイドルなのかしら?そこを考えればよりいいものになるかもしれないわね」
絵里「私は映像を見てないけど、きっと他の2人はとても輝いてるんでしょうね」
穂乃果「うん。……眩しいくらいに」
絵里「それはあの2人があなたをなんとか笑顔にさせたいって思って必死に踊っているからよ」
穂乃果「うん、うん」
絵里「あなたもライブの意義を見つければ、きっとこの世界で一番の輝けるわ」
穂乃果「……ありがとう絵里ちゃん」グスグス
絵里「がんばりなさい」ナデナデ
海未「穂乃果、行きますよ?」
穂乃果「ごめん!今日は二人で練習してくれない?」
ことり「どうしたの?」
穂乃果「うん。私に足りなかったものを見つけてくるの!」
海未「?」
ことり「ふふ、わかった。がんばってね」
穂乃果「うん!」
海未「張り切っていますね」
ことり「あの顔の穂乃果ちゃんはいつもすごいことをするんだよ」
海未「ですね。何かを得て戻ってくるでしょう。さて、私たちも練習ですね」
ことり「うん!」
穂乃果「凛ちゃん!花陽ちゃん!」
凛「にゃ!」
花陽「ピャア!」
穂乃果「少し時間いい?」
凛「え、いいですけど」
花陽「凛ちゃん知り合い?」
凛「かよちんの知り合いじゃないの?」
花陽「ち、違うよー!」
凛「どういうことにゃー……」
穂乃果「あ、私たちここでは初対面だったね。初めまして高坂穂乃果です」
凛「やっぱりはじめてだったにゃー!」
花陽「り、凛ちゃん!先輩だよ」
凛「あ、ごめんなさい。星空凛です」ペコ
花陽「小泉花陽です」ペコリ
穂乃果「じゃあ、ちょっと行こうか。あ、穂乃果のことは穂乃果でいいよ」
凛「……穂乃果先輩」
穂乃果「穂乃果ちゃんでいいんだよ!凛ちゃん」
凛「きゅ、急には無理だにゃー」
花陽「ダレカタスケテー」
穂乃果「あ、うん。花陽ちゃんってアイドル好きなんでしょ?」
花陽「えっ!?なんで知っているんですかぁ!?」
穂乃果「ま、まぁそれは置いといて。アイドル好きなのになんでアイドル研究部入らなかったの?」
花陽「あ」
穂乃果「うちのスクールアイドルすごい人気なんでしょ?ならいっしょにやればよかったのに」
凛「かよちんは恥ずかしがり屋にゃー」
花陽「それに声も小さいですし、みなさんみたいに目標を強く持てません」
穂乃果「じゃあ、もしライブを楽しいって思ったら入ってよ!」
花陽「え?」
凛「やっぱり穂乃果先輩はアイドル研究部だったにゃー」
穂乃果「あ、ううん。私は違うの。でも、アイドル研究部って楽しい所なんだ」
花陽「は、はぁ……」
穂乃果「でね、もうすぐ私たちライブするの!」
凛「にゃ!?アイドル研究部じゃないのにアイドルのライブするの?」
穂乃果「うん。ちょっと意味わからないかもしれないけど」
凛「だいぶわからないにゃー」
穂乃果「でも、好きなのにやらないなんて悲しいじゃん!」
花陽「……でも勇気が」
穂乃果「だから私たちのライブが楽しかったら、やってみたいって思ったら入部してほしいんだ」
花陽「……」
穂乃果「大丈夫!花陽ちゃんはすっごいアイドルになるから!穂乃果が保証する!」
凛「根拠ないにゃー」
花陽「ラ、ライブはいつ?」
穂乃果「えっと、今週の金曜の4時から!場所は講堂だよ」
花陽「わ、わかりました。必ず行きます」
凛「かよちん?」
花陽「まだわからないけど。私をここまで必要としてくれた人、今まで凛ちゃん以外いなかったから」
穂乃果「それから凛ちゃん!」
凛「にゃ!?」
凛「凛も?」
穂乃果「うん。それでね凛ちゃんも良かったら入ってほしいの」
凛「凛、アイドルってよくわからないから、楽しいって思わないかも」
穂乃果「うん、いいよ!」
花陽「いいの!?」
穂乃果「凛ちゃんは……私たちのライブを見て可愛いなぁって思ったら入って!」
凛「なんにゃそれ!どんな入部動機にゃ!」
穂乃果「そして、想像してほしいの。私たちの可愛い衣装を来て踊ってる自分を」
凛「え……」
穂乃果「絶対に似合うから!」
凛「似合うわけないにゃー。凛どっからどう見ても男っぽいし、アイドルって柄じゃないにゃ」
花陽「え、凛ちゃんは可愛いよ?」
凛「かよちんの方が100倍は可愛いにゃ!あと穂乃果先輩も」
花陽「凛ちゃん……」
凛「二人は似合うよ、アイドルみたいな衣装。でも凛が来ても惨めなだけにゃ」
穂乃果「そんなことない!絶対にない!100%ありえない!」
凛「!」ビクッ
リーダーって感じだ
何よりアニメ各話を拾っていく感じがほんとすき
凛「……」
穂乃果「それにいいじゃん!想像の中くらい自分が可愛くなったって!そりゃみんな自分より誰かが
可愛いって思ってるよ。でも、自分自身の理想が可愛くても別にいいでしょ!」
花陽「……穂乃果先輩」
穂乃果「誰だって成功したり、高評価になったり、そういう自分をイメージするの!そうやって自分を磨くの!」
凛「……」
穂乃果「だから、可愛くなることを恐れないで」
穂乃果「いろんな可能性を見つめて人は成長するんだから」
凛「……うん」
穂乃果「私たちのライブを自分に当てはめて想像して、少しでも可愛いと思ったらチャレンジしてみて」
凛「わかったにゃ」
穂乃果「よーし!ライブ待ってるからね!」
花陽「は、はい!わざわざ私たちのためにありがとうございます!」
凛「ございます!」
穂乃果「やだなぁ、やめてよー。穂乃果はね二人にいつも助けられてるの」
凛花「?」
穂乃果「だから今度は私が助けたかったの。んじゃあ、今日はこれで解散!」
花陽「あ、はい!絶対に行きます!で、では失礼します!」
凛「します!」
穂乃果「ふふ、やっぱり好きだなぁ二人。……いつもありがとう」
穂乃果「あっ!希ちゃーん!」
希「ん?おー穂乃果ちゃんどないしたん?」
穂乃果「あっと、希ちゃんに話があって」
希「なになに?またなんか相談?」
穂乃果「まぁそんなとこ!」
希「じゃあ、また生徒会室でもいこか」
穂乃果「いまさらだけど、希ちゃんもう生徒会じゃないよね?」
希「元副会長は強いんよ」ニコ
希「そーいや、今日お昼えりちと食べたんだって?」
穂乃果「あ、うん。ちょうど絵里ちゃんと会って」
希「絵里ちゃんねぇ。だいぶ仲良くなったみたいやん?」
穂乃果「まぁ、向こうではずっと一緒だったしね」
希「それで何話したん?」
穂乃果「いつも忘れてはいけない感情……」
希「?」
穂乃果「あ、いや、違うね。そんな拘束的な感情じゃない」
穂乃果「そーだね、嬉しい時に自然とあふれる温かい気持ちの話だよ」
穂乃果「えへへ」
希「ほい、お茶」
穂乃果「ありがとう!」
希「さて、でー、うちに相談って?」
穂乃果「うん、えっとね」
希「うん」
穂乃果「穂乃果とお友達になってほしいの!」
希「……は?」
穂乃果「え!も、もしかして嫌だった?」
希「……あ、えーいや、そういうわけやなくて」
穂乃果「じゃあどういう?」
希「いやーうち、てっきりもう穂乃果ちゃんとは友達だと思ってたんやけど」アハハ
穂乃果「あ、うん!もちろん友達だよ!」
希「あ、そう?ふー恥かかんでよかったぁ」
穂乃果「でもたぶん希ちゃんが思ってる友達とは違うかも」
希「?」
穂乃果「でも、それってここだけの関係な気がするの。学校で会った時に話すような関係」
穂乃果「そうじゃなくて、穂乃果も希ちゃんにとっての絵里ちゃんみたいになりたいの!」
希「えりち?」
穂乃果「希ちゃん転勤が多くて、お友達ができてもすぐ別れちゃって、悲しかったんでしょ」
希「……なんでそれ」
穂乃果「この学院で絵里ちゃんとあってはじめて大切な友達ができたんでしょ?」
希「……」
穂乃果「はじめてずっと一緒にいたいって友達ができたんでしょ?」
希「せやな、えりちはうちに似ててな。少し気になったんよ」
穂乃果「大切な友達ができてすごい嬉しかったでしょ?心が温かくなったでしょ?」
希「うん……うん……」
希「簡単だと思ってた夢は子供のころ全然叶わなかった。高校に入って勇気出して、ようやっと友達ができた」
穂乃果「私も希ちゃんの夢になりたい!」
希「……穂乃果ちゃん」
穂乃果「笑顔な希ちゃんが好き。頼りがいのある希ちゃんが好き。優しい希ちゃんが好き」
いや、消されるから
だからこそなかったことにはしてはいけないのだ
そっか、無かったことになるもんな
希「そのせいでうちが恥ずかしい目にあってるってわかってないやろ……」
希「でも……それだけ大切な仲間に巡り合えたってことやろな」
希「聞こえんかもしれんけど、おめでとさん。次はうちの番やな」
穂乃果「希ちゃん?」
希「……」スーハー
希「穂乃果ちゃん」
穂乃果「なに?」
希「うちと友達になってください!」
穂乃果「!」
希「本当の友達に」
穂乃果「えへへ、10年後も20年後も!ずっーと!友達だよ!」
希「もっともっーと先までや!天国まで友達や!」
穂乃果「なにおおお!じゃあ穂乃果は生まれ変わっても友達だー!」
希「ふふ」
『友達が出来てよかったね』
希「!?」
希「……うん!」
少なくとも3年以上前に送って尚且つ音ノ木坂を人気の学校にするような
メールを送ったのか
さすがパイセン有能だな
真姫「あら。なんか久しぶりね」
穂乃果「うん。最近忙しくってね」
真姫「そりゃ素人とライブなんて無謀なことやってるんだもの。そうでしょうね」
穂乃果「むぼーなんかじゃないよー」
真姫「それで?今日はどうしたのよ」
穂乃果「うん、あのねお願いとお礼を言いに来たの」
真姫「……」
穂乃果「曲作ってもらって、またお願いなんてずうずうしいね」ハハ
真姫「別に今生の別れってわけでもないでしょ?そんな辛気臭い顔して」
穂乃果「……そう、だね」
真姫「……」
穂乃果「……」
真姫「それで?お願いとお礼って何よ」
穂乃果「あ、うん、まずはお礼から。真姫ちゃん、曲作ってもらったり穂乃果を助けてくれたり、
私がこっちに来てからずっと支えてくれてありがと」
真姫「……別に曲は私が作ったわけでもないし、助けなんてパパの装置借りただけよ」
穂乃果「ううん、私こっち来てからずっと不安だったの。一人で、一人の思い出を抱えて」
穂乃果「だから、真姫ちゃんが支えてくれて本当に救われたの」
真姫「……ふん、と・も・だ・ち、なんでしょ?」
穂乃果「うん、ありがと」ヘヘ
穂乃果「ライブに、来てほしいんだ」
真姫「金曜にやるってやつ、よね?」
穂乃果「うん。穂乃果と海未ちゃんとことりちゃんが精一杯の気持ちをこめて歌うの」
真姫「はー、そんなの言われなくても、もともと行くつもりだったわよ」
穂乃果「そうなの?」
真姫「この私が作った曲よ?どんな風になるか興味が出るのは当然でしょー」
穂乃果「ふふふ、そうだね」
真姫「なに?そんなくだらないお願いだったの?」
穂乃果「あ、違う違う。それもだけどね、もし、私たちのライブ楽しかったら」
穂乃果「アイドル研究部に入ってほしいの」
真姫「はぁ?なんで私が」
穂乃果「またストーカーみたいって言われるかもしれないけど」
穂乃果「真姫ちゃん、本当は音楽やりたいんでしょ?新しい自分になりたいんでしょ?」
真姫「ほんと、ストーカーね、あなた」
穂乃果「それに、友達も増えてもっと楽しくなるよ!」
真姫「別に友達なんてそんなたくさんいらないわよ。穂乃果、あなただけで十分よ」
穂乃果「真姫ちゃん……」
穂乃果「ううん。でもね、親しい友達の数だけ人間って幸せになれると思うの」
真姫「……」
穂乃果「真姫ちゃんにはもっと、もっーと幸せになってほしいんだ穂乃果」
真姫「……なんでよ」
穂乃果「だって、大切な友達だもん!大切な友達の幸せを願うって普通でしょ?」
真姫「別に幸せなんて……」
穂乃果「ううん、それだけじゃない。真姫ちゃんが幸せだと私も幸せな気分になるの!」
穂乃果「好きな人が幸せだと自分も幸せになれるの」
穂乃果「真姫ちゃんは私を支えてくれた。それで穂乃果は幸せを感じた。真姫ちゃんはどう?」
真姫「……」
真姫「あなたが笑顔になって私も嬉しかったわ」
穂乃果「それが友達だよ」
真姫「私が友達を作って、その子と楽しそうな雰囲気して、あなたは幸せを感じるの?」
穂乃果「幸せだよ。たくさんの真姫ちゃんの笑顔が見れるから」
真姫「……」
真姫「わかったわよ。ライブ楽しかったら入部考えてあげる」フゥ
穂乃果「ほんと!?」
真姫「ただし条件があるわ」
穂乃果「?」
真姫「私の一生の友達でいなさい」
穂乃果「うん!」
穂乃果「わー、いいねいいね!」
ことり「穂乃果ちゃんもとっても似合ってるよー!」
穂乃果「海未ちゃんは準備でき……た?」
海未「……」
穂乃果「……」
海未「スカートの下にジャージは……駄目ですか?」
ことり「う、海未ちゃん」ハハハ
穂乃果「もー!またそのネタ!?2回目はみんな飽きちゃうんだよ!」ガバッ
海未「いやああぁあぁあああ!!」
海未「くっ……というか、穂乃果私にとってははじめてです!」
ことり「海未ちゃん、可愛いよ♪」
海未「うう……」
穂乃果「ほら!海未ちゃんこっちきて!」グッ
海未「あっ」
穂乃果「ことりちゃんも!」
ことり「うん!」
穂乃果「こうやって3人で並べば恥ずかしくないでしょ?」
海未「……そうですね」
穂乃果「前は穂乃果も頭いっぱいいっぱいだった」
ことり「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「でも、今回はあの時よりもさらに幸せな私!」
海未「……穂乃果」
穂乃果「いこう!」
海未「うっ……うっ……」ガクガク
穂乃果「海未ちゃん緊張してる?」
海未「す、すみません。正直なところかなりしています……」
穂乃果「なら!」ギュ
海未「あっ」
ことり「穂乃果ちゃんの左手はことりが」ギュ
穂乃果「大丈夫。私たちは最高の友達だから!」
海未「……はいっ!」
穂乃果「想いをこめて歌うの。自分のためじゃなく、誰かの幸せを祈りながら」
海未「……穂乃果、私はあなたを最高の笑顔にします」
ことり「わたしも♪」
穂乃果「うん!私も……みんなが笑顔になるような想いを歌に」
ことり「そうだ、こういう時ってなんて言えばいいんだろ?」
海未「ファイトオーとかですか?」
穂乃果「違うよ。こういう時は番号を言うの!」
ことり「おもしろそう!」
穂乃果「じゃあ行くよ!」
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
穂乃果(4、5、6、7、8、9)
穂乃果(みんなへの想い届けるよ)
穂乃果(幕が上がる)
穂乃果「さぁ行こう!START:DASH!!」
『うぶ毛の小鳥たちも~♪』
穂乃果(ことりちゃん、いつも優しくしてくれありがとう)
『諦めちゃダメなんだ~♪』
穂乃果(海未ちゃん、いつも叱ってくれてありがとう)
『君も感じてるよね 始まりの鼓動~♪』
穂乃果(真姫ちゃん、わかりにくいけど気遣い伝わってるよ。ありがとう)
『明日よ変われ!』
穂乃果(花陽ちゃん、いつも幸せをありがとう)
『希望に変われ!』
穂乃果(にこちゃん、いつも引っ張ってくれてありがとう)
『Hey,hey,hey,START:DASH!!』
『雨上がりの気分で~♪』
穂乃果(凛ちゃん、いつも元気をくれてありがとう)
『高まる期待のなか~♪』
穂乃果(希ちゃん、μ’sの奇跡をありがとう)
『明日が咲くよ!』
穂乃果(絵里ちゃん、いつも抱きしめてくれてありがとう)
『またひとつ 夢が生まれ……』
穂乃果(本当にありがとう)
凛「かよちん、泣いてるにゃー」グスッ
真姫「伝わるわよ、穂乃果」
希「この瞬間……ちょっとした奇跡かもな」
絵里「穂乃果、あなたの相手を思う気持ち、体中に感じるわ」
にこ「……」
『彼方へと…僕は DASH!!』
にこ「……むかつくくらいに……輝いてるわね」
穂乃果「はぁ……はぁ……はぁ……」
海未「……穂乃果」
ことり「穂乃果ちゃん」
穂乃果「ありがとうございました!!」
花陽「ぐすっ……」パチパチパチパチ
凛「うー……」パチパチパチパチ
真姫「……っ」パチパチパチパチ
希「あ、はは……っ」パチパチパチパチ
絵里「ふふ……」パチパチパチパチ
にこ「……」パチパチパチパチ
穂乃果(一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って)
穂乃果(今、私たちがここにいる、この想いを、みんなに届けられたかな)
穂乃果(私はやっぱりみんなが好きなんだ)
穂乃果(ラブライブとか廃校とか関係ない。μ’sが好きだからここまでやれたんだ)
穂乃果(歌だけじゃ伝えきれない感謝の気持ちがある)
穂乃果(いつか、みんなに伝えたいな)
「ここにいたのね」
穂乃果「うん、少し風に当たりたくて」
にこ「そう。……いい風ね」
穂乃果「そうだね」
にこ「ま、冬だから少し寒いけど」
穂乃果「あはは」
にこ「……」
穂乃果「……」
にこ「穂乃果……いいライブだったわよ」
穂乃果「にこちゃ……矢澤先輩、ありがとうございます」
にこ「にこでいいわよ。いつもそう呼んでるんでしょ」
穂乃果「う、うん!」
にこ「さて、約束は約束よ。あんたのこと聞くわ」
穂乃果「ありがとう、にこちゃん」
にこ「なによそれ!このにこがあんたのポテトなんて取るわけないでしょ!」
穂乃果「とったの!それも大量に!」
穂乃果(丁寧に噛みしめるように)
にこ「あんた馬鹿でしょ!高熱でライブとか!」
穂乃果「うう、あの時は周りが見えなくて」
にこ「体調管理もアイドルの基本よ」
穂乃果(奇跡を当たり前のことだと思わないように)
にこ「A-RISEとお茶!?羨ましすぎるんですけど!」
穂乃果「A-RISEへの反応はどっちも同じだね……」ハハ
穂乃果(かけがえのない思い出を)
にこ「感謝のライブか……結局その想いが一番人を笑顔にさせられるのかもね」
穂乃果「うん」
にこ「先輩禁止かー。その発想はなかったわね。絆ってのが深まるのかしら」
穂乃果「穂乃果はそう感じたよ。みんなをもっと身近に感じれた」
にこ「私も絵里も1年生からアイドル研究部なの」
穂乃果「絵里ちゃんも?」
にこ「そ、私がスカウトしたの。なんかバレエやってるって聞いたから」
にこ「その時少し悩んでたのよ。踊りも歌もなかなか上手くいかなくて」
穂乃果「……」
にこ「困ったら、誰かに頼る。そう思ったの。そっちの方が他のメンバーにも有益だと思って」
穂乃果「それで踊りが上手な絵里ちゃん?」
にこ「そう。そこから2年になって3年になって。私たちがいつも部活内で最上級生だから
みんなをまとめようって気持ちがあったの。いつでも頼れる先輩でいようって」
穂乃果「そっか。じゃあ、先輩禁止なんて思いつかないね」
穂乃果「そういえば、アイドル研究部ってにこちゃんが作ったんだよね」
にこ「そ、だから私たちがいつも最上級生。やりたい放題よ」ニヒヒ
穂乃果「よかったー」
にこ「次が最後の予選ライブだからね。気合い入れていくにこ!」
穂乃果「あはは!」
にこ「でも、そういう可能性もあったんでしょうね」
穂乃果「なにが?」
にこ「私が絵里に頼らなかったら、あんたたちとやってたのかなって」
穂乃果(あ……れ……)
にこ「私はこっちも十二分に楽しいけど、そっちもなかなか興味深いわ」
穂乃果(これ……って)
にこ「あ、そうそう。あんたが初めて来たとき言ってたメールのことだけど」
穂乃果(あ……っ……)
にこ「『一人で悩むな。誰かに相談しろ』ってメールだったわよ」
穂乃果「……あ……あっ!?」
にこ「ちょ、いきなりどうしたのよ」
穂乃果(にこちゃんの願いも幸せも奪うことになるんだ)
穂乃果(にこちゃんはまた……アイドル研究部で2年間1人きりに)
フェイリスのメールを思い出すわ
乙
穂乃果(結局、どうすればいいんだろう……)
海未「穂乃果?どうかしましたか?」
ことり「なんか今日一日元気ないね」
穂乃果「あ、うん……大丈夫」
穂乃果(あの日の夜は今までのこと整理して、にこちゃんの気持ち考えて)
穂乃果(土曜日はどうすればいいか必死に考えて、考えて、考えて次の朝になって)
穂乃果(日曜日は絶望してた)
海未「また何か悩みですか?」
穂乃果「あ、いや、ライブの脱力感ってやつかな。ほら達成感といっしょにくるでしょ?」
ことり「そうなんだ」
海未「体は大事にしてくださいね」
穂乃果「……うん」
ことり「今日は……」
穂乃果「あ、ごめん。先に帰ってていいよ」
ことり「うん、わかった」
海未「では、お先に失礼しますね」
海未「……そうだ、穂乃果」
穂乃果「……なに?」
海未「知っていますか?」
海未「私たちは3人揃うと無敵なんですよ」
ことり「最高の親友だからね」
穂乃果「……」
海未「では」
ことり「またね、穂乃果ちゃん」
穂乃果「うん」
穂乃果「ふぅ……」
「こんなところで何してるのよ」
穂乃果「いろいろ悩んでてさ」
真姫「あなた、いつも悩んでるわね」
穂乃果「ごめん」
真姫「ま、状況が状況だし悩まない人なんていないでしょうけど」
穂乃果「……あのさ」
真姫「なに?」
穂乃果「もし、私が元の世界に戻ったら、この世界、μ’sのみんなってどうなっちゃうの?」
真姫「……」
穂乃果「消えちゃうの?」
真姫「さあね。そんなの誰もわからないわ」
穂乃果「そっか」
真姫「過去を変えたとしても、それを観測する術がないもの」
真姫「この世界だって何度も何度も変わってるのかもしれない。
私も1週間前は違う世界にいたかもしれない」
真姫「過去を変えた瞬間、それは当たり前の過去になっちゃうのよ」
真姫「その結果が世界の移動なのか、世界の再構築なのかは私にはわからない」
穂乃果「……馬鹿だからよくわからないよ」
真姫「そうね、しらなくていいことよ普通は」
穂乃果「みんなの幸せを願ったライブだったのになぁ」
穂乃果「ありがと」
真姫「Dメール……取り消すの悩んでるの?」
穂乃果「なにが正しいのかよくわからないの」
真姫「……」
穂乃果「にこちゃんが願った世界を否定したくない」
真姫「結局、あなたが決めなきゃいけないのよ」
真姫「どちらの世界も知っていて、どちらの世界も幸せにしてきたあなたが」
穂乃果「厳しいね、真姫ちゃん」
真姫「そうかしら、だいぶ優しいわ私」
真姫「私が矢澤先輩にメール内容聞いて、あなたを強制的に元の世界に戻すこともできるのよ?」
真姫「選択肢があるだけマシでしょ」
穂乃果「そっちの方が……いいかも」
真姫「馬鹿ね。そんなことしたら向こうでまたウジウジ悩むでしょ、あなた」
真姫「こっちでちゃんと解決していきなさいよ」
真姫「私としては、このまま一生穂乃果が悩んでても構わないけどね」
穂乃果「あー!ひどい!」
真姫「ずーっと、この真姫ちゃんの隣で悩んでなさい」
穂乃果「そんなことしたら穂乃果の頭がオーバーヒートしちゃうよー」
真姫「なら、早いところ決着をつけるのね。穂乃果の頭が壊れる前に」
穂乃果「穂乃果の頭壊れちゃったらどうしよう!?」
真姫「大丈夫よ。なんていったって私は医者の卵よ?治して一生面倒見てあげるわ」
穂乃果「穂乃果……もうちょっと考えるね。……ちゃんと結論出すから」
真姫「……」
真姫「穂乃果、私はいつでもどの世界でも一生あたなの味方よ」
穂乃果「うん、ありがとう」
あたな→あなた
凛「あっ!穂乃果先輩だー!」
花陽「こんにちわ」
穂乃果「凛ちゃん花陽ちゃん」
凛「なにしてるのー?」
穂乃果「散歩……かな」
凛「学校を散歩ってもの好きにゃー」
花陽「でも意外と面白そうかも。新しい学校を見つけられて」
穂乃果「あれ?花陽ちゃん眼鏡は?」
花陽「あ、私アイドル研究部に入ったんです」
凛「凛もー!」
穂乃果「入ってくれたんだ!」
花陽「それで新しい私を見つけたくてコンタクトにしてみました」
穂乃果「眼鏡もいいけど、こっちの花陽ちゃんも可愛いね!」
凛「同感にゃ!」
花陽「えへへ」
凛「かよちんはこの前の金曜日からずっとこんな感じにゃー」
花陽「これも穂乃果先輩が勇気をくれたおかげです!」
凛「うん!穂乃果先輩は人生アドバイザーにゃー!」
穂乃果「そ、そんな大げさな」
花陽「私も凛ちゃんも今幸せな気持ちでいっぱいなんです」
花陽「今は好きなことを好きって自信を持って言えます」
穂乃果「よかった」
花陽「はい。あ、でも寄り道はしますけど」
凛「今から二人でお洋服見に行くんだー!」
穂乃果「洋服?」
花陽「そうです。凛ちゃんのスカートを買いに行くんです」
凛「恥ずかしい話、凛スカートあんまり持ってないにゃー」
花陽「でも、これから着たいんでしょ?」
凛「うん!おしゃれも楽しいにゃー!」
穂乃果「おぉ!凛ちゃんになら、どんな服でも絶対に似合うよ!」
凛「それは言いすぎにゃ!」
花陽「私も似合うと思うよ」
凛「でも、はじめから決めつけないでいろんな服とかにチャレンジするにゃ!」
穂乃果「今度穂乃果にも見せてね」
凛「もちろん!穂乃果先輩にもたくさんアドバイスもらいたいにゃー!」
穂乃果「あ、実は、あんま私センスないかも……」アハハ
凛「大丈夫だよ!そうだ、今度いっしょに可愛い服たくさん見に行こうね!」
穂乃果「うん!約束!」
穂乃果「帰ろうかな」
「あら?穂乃果じゃない」
穂乃果「ん?」
絵里「今帰るところ?」
希「こんにちは穂乃果ちゃん」
穂乃果「二人とも今帰り?」
絵里「まだよ。これから生徒会室に寄っていこうと思ってて」
穂乃果「練習はいいの?」
希「今日は部活お休みや」
絵里「本当は予選で使う機材とかの準備をしようと思ってたんだけど、
新しく4人も人が増えたから多少の余裕があるの」
穂乃果「4人?」
絵里「花陽と凛、それから真姫」
穂乃果「真姫ちゃんも!?」
穂乃果(さっきそんなこと一言も言ってなかったのに)
希「あとはうちや」
穂乃果「え?希ちゃんも?」
絵里「希は正式な部員じゃなくてお手伝いをしてもらっているのよ」
希「まぁ今から部活に入っても、すぐに卒業やからね」
穂乃果「楽しくなりそうだね」
絵里「あなたもどう?部活入っていないんでしょ?」
穂乃果「私がアイドル研究部に……」
穂乃果「……」
絵里「私たちが卒業した後も、穂乃果なら安心なんだけど」
希「……えりち、強引に誘ったらあかんで」
絵里「別に強引ではないでしょ?」
希「ほら、穂乃果ちゃんの顔見てみー。『言うとおりにしなきゃ!』って顔や」
希「穂乃果ちゃんはええ子やから、そんな言い方断れんて」
穂乃果(私がこっちの世界でアイドル研究部に入る……?)
絵里「んー?まったくそんな顔には見えないけど」
希「えりちはおもちゃのチョコレートを間違って食べそうになるくらいポンコツやから気付かないんや」
絵里「ちょ、それは今関係ないでしょ!」
希「あーそうやなー。かしこいかわいいのがえりちやもんなー」
絵里「希!!」
穂乃果(希ちゃん、穂乃果が違う世界の人だから入れないってわかって……)
穂乃果(ほんとにいつも優しいなぁ)
絵里「もう!からかわないでよ!」
希「えりちはかわええなー」
穂乃果「絵里ちゃん!」
絵里「ん、どうしたの?」
穂乃果「入部の話、少し考えさせて」
希「穂乃果ちゃん……?」
穂乃果「こっちでアイドル研究部かぁ」
穂乃果(真姫ちゃんが言ってた選択肢って)
「穂乃果ちゃーん!」
穂乃果「あれ?どうして」
ことり「買い物の帰りなの。穂乃果ちゃんは……今下校中?」
穂乃果「うん。さっきまで学校にいたの」
ことり「そっかぁ。じゃあ、おかえり!」
穂乃果「あはは、まだ帰ってないよ」
ことり「ほらスーツ姿の旦那さんと買い物途中で偶然会った奥様って感じでしょ?」
穂乃果「そ、そうかな?」ハハ
ことり「そういう場合は家に着く前でも『おかえり』って言うと思うよ!」
穂乃果「じゃあ、ただいま。ことりちゃん」
ことり「おかえり~♪」
穂乃果「なんか、くすぐったいね」
ことり「でも、ずいぶん遅くまで学校にいたんだね」
穂乃果「あ、うん。いろんな人と話してたらいつの間にかこんな時間にね」
ことり「最近の穂乃果ちゃんはいろんなところに行っちゃうから、追いかけるのが大変だよぉ」
穂乃果「ごめんごめん」
ことり「でも、ことりは元気いっぱいの穂乃果ちゃんらしくていいと思うよ!」
穂乃果「あのさ、ことりちゃん」
ことり「なーに?」
穂乃果「もし、アイドル研究部に入るって言ったらいっしょに入ってくれる?」
ことり「穂乃果ちゃんとことりはもう立派なスクールアイドルだよ?あんなすごいライブをしたんだから」
ことり「穂乃果ちゃんが活動を続けたくて部活に入るなら、ことりも喜んで入るよ」
穂乃果「ことりちゃん……じゃあ、いっしょに――」
ことり「……でも」
ことり「穂乃果ちゃんが続けたいのは今のスクールアイドルなの?」
穂乃果「え……」
ことり「穂乃果ちゃんが本当に居たいって思うのは今のアイドル研究部なの?」
穂乃果「それは……」
ことり「私は穂乃果ちゃんが大好き。だから、穂乃果ちゃんが決めたことなら
どこまでもついていきたい」
ことり「でも、大好きだからこそ、後悔するような選択はしてほしくない」
穂乃果「……」
ことり「いつもいっしょだもん、わかるんだよ。本当は何がしたいのか」
穂乃果「ことりちゃん……」
ことり「まぁ、でも、そう簡単に決められることじゃないんだよね、きっと」
穂乃果「……うん」
穂乃果「……」
ことり「でも、もし穂乃果ちゃんとの思い出がなくなっちゃった世界にきたら、ことりは泣いちゃうな」
穂乃果「……うん」
ことり「これから大切な思い出をたくさん作ったら、穂乃果ちゃんは幸せになれると思うの」
ことり「でも今の穂乃果ちゃんを動かしてるのはなくしちゃった大切な思い出でしょ?」
穂乃果「……大切な思い出」
ことり「ことりはそれも大事にしてほしいな。だって、それも穂乃果ちゃんだから」
穂乃果「でも、そんな自分勝手」
ことり「うん、だからこれはことりの勝手な考えなの」
ことり「ことりは穂乃果ちゃんに幸せになってほしいから」
穂乃果「……うん。いつもありがと」
ことり「どういたしまして♪」
穂乃果(また屋上きちゃった)
穂乃果(高いところからの景色、肌に感じる風)
穂乃果(いつもここで練習してたんだよね、私たち)
穂乃果(他の場所を探したけど、ここしか練習する場所がなくて)
穂乃果(それからたくさんの時間を過ごして、大切な場所になった)
穂乃果「ここにもありがとうって言わなきゃね」
「なに一人でにやけてるのよ、気持ち悪いわね」
穂乃果「感謝を伝えてたの。大切なこの場所に」
にこ「ふーん。なら、私もしておくわ。……ありがとうございました」
穂乃果「ふふっ」
にこ「相変わらず寒いわねぇ」
穂乃果「冬だもん。しょうがないよ」
にこ「冬の気配は嫌いじゃないし、いいけどね」
穂乃果「この前もやったね、このやり取り」
にこ「……いい風ね」
穂乃果「そうだね」
にこ「……」
穂乃果「……」
にこ「帰りなさいよ」
穂乃果「え?」
にこ「ちゃんと、元の世界に帰りなさいよ」
穂乃果「にこちゃん……」
穂乃果「もう数えきれないくらい感謝したよ」
にこ「感謝の気持ちは無限大なんだから何回やったっていいのよ」
穂乃果「ん、言っとく」
にこ「……ライブすごかったわね」
穂乃果「穂乃果自分じゃ見えないよ……」
にこ「雰囲気ってもんがあるでしょ!空気読めないやつね」
穂乃果「ご、ごめん」
にこ「次のライブ、にこたちもあんなすごいのがしたいって思ったわ」
穂乃果「できるよ、にこちゃんたちなら」
にこ「あんたも!やるんでしょ?」
穂乃果「え?」
にこ「ラブライブ本戦よ。しっかり優勝しなさいよね」
にこ「まっ、あーんなオーラ出せるグループなら余裕でしょうけどね」
にこ「それになんて言ってもこのにこちゃんが認めたアイドルなんだし!」
穂乃果「でも、穂乃果……」
にこ「帰らないなんて言ったらひっぱたくからね」
穂乃果「……にこちゃん」
にこ「ラブライブの本戦よ?一生に一度ってレベルよ?そんな権利あるのに
出ないなんて言ったら私は怒るわよ」
にこかにこにーだと思うぞ
この世界線のにこはスクールアイドル暦が長いから何とも
たくさんの人を笑顔にするために頑張るって決めてたの」
穂乃果「でもこれじゃあ、自分勝手だし、にこちゃんも悲しむ――」
にこ「はん!悲しむ?知らないわよ、そんなもん」
穂乃果「……」
にこ「いい?そんなのね、悲しませておけばいいのよ!自分勝手な願いをした報いよ」
にこ「それにこれは全部あっちの馬鹿にこのせいよ!あんたは関係ない」
穂乃果「でも……」
にこ「さっさと帰ってにこの頬でもはたいてやりなさい!」
にこ「にこである私が許可するわ!」
にこ「だから、さっさと――」
穂乃果「ううん!それだけじゃないの!穂乃果はこの世界が好きなの!」
穂乃果「にこちゃんもアイドル研究部も全部消えちゃうかもしれないんだよ!?」
にこ「……っ!」
穂乃果「ラブライブ目指せないかもしれないんだよ!?」
穂乃果「そんなの嫌だよ……穂乃果みんなが幸せになってほしくて」
にこ「消えないわよ!」
穂乃果「……えっ」
にこ「安心しなさい穂乃果。絶対に世界は消えないわ」
穂乃果「で、でも!真姫ちゃんがそういう可能性も――」
にこ「ない!」
にこ「可能性とか!理論とか!そんなのね、クソ食らえってのよ!」
穂乃果「にこちゃん」
にこ「私は今ここにいるの!絶対に本戦に出るの!観客を笑顔にするの!」
にこ「だから、あんたなんて居ても居なくても関係ないの!」
穂乃果「……っ」
にこ「この強い気持ちが……世界を作るんだから!」
穂乃果「世界……」
にこ「自分の存在が世界を左右?」
にこ「はん!いつまでも主人公面してんじゃないわよ!」
にこ「私のこの想いがある限り、この世界は私が主人公なのよ!」
にこ「主人公がいる限り世界はずっと続くのよ!」
穂乃果「……」
にこ「だから、あんたも早く自分が主役の世界に戻って、みんなを導きなさい」
にこ「あっちの世界の主人公はあんたでしょ」
穂乃果「……」
にこ「それにあっちの私も早くあんたが戻ってくるの待ってると思うわ」
にこ「主人公のあんたが居なかったら夢のラブライブでれないもん」
穂乃果「……うん」
にこ「ああもう!こんだけにこが悪者に徹してやってんのにまだウジウジと」ボソッ
にこ「穂乃果」
穂乃果「?」
にこ「ラブライブ優勝できなくてもいいわ。……でも幸せにはなりなさい」
穂乃果「幸せ……」
にこ「あんたには大切な思い出がたくさんあるでしょ。それを共有する仲間も」
穂乃果「うん」
にこ「一生大切にしなさい。そして、これからもっと作っていくの」
にこ「向こうのメンバーはあんたが大好きよ絶対。もちろんにこもね」
穂乃果「私も大好きだよ」
にこ「なら、そのメンバーをもっと幸せにしてきなさい!」
にこ「過去の悲しさなんて忘れるくらい幸せにしてあげて」
穂乃果「でも、にこちゃんとは……」
にこ「私たちメンバーの絆は深く結ばれているのよ。こっちではグループじゃなかったけど」
にこ「でも、今こうして絆を感じている。穂乃果がμ’sを作ってくれたおかげ」
にこ「それにさっき言ったでしょ?にこが主人公のこの世界は消えないって」
にこ「だから、あんたが帰ってもここには高坂穂乃果がいるのよ」
穂乃果「この世界の私……」
にこ「どんな穂乃果だって穂乃果なのよ。なら絆を感じることができる」
にこ「真姫や花陽、凛なんて初めて会ったとは思えないほど仲も良くなった」
にこ「これも絆のおかげ」
穂乃果「μ’sがこっちの世界でも……」
にこ「ほら、どう?こっちの世界も幸せになりそうでしょ?」
にこ「この絆はすごいのよ?なんと他の世界にまで影響するんだから」
穂乃果「うん」
にこ「だから、例え穂乃果が向こうに帰ってもずっといっしょよ」
にこ「世界なんて関係ない。どこでもいつまでも私たちは繋がっているわ」
穂乃果「うん!」
にこ「さて、寒くなってきたし、そろそろ帰るわよ」
穂乃果「うん。じゃあ、帰りクレープでも食べて帰ろうよ!」
にこ「おっ、いいわね。行きましょ」
穂乃果(ありがとう、にこちゃん)
穂乃果「あっ!この世界の穂乃果にもちゃんと優しくしてあげてよね!」
にこ「はぁ?なんで優しく接しなきゃならないのよ!」
穂乃果「そっちの方が楽しいでしょ!」
にこ「そんなの知らないわ!……ま、でも、この先ずーっといっしょには居てやるわ」
穂乃果「クレープおいしかったなぁ」
海未「おや、穂乃果」
穂乃果「海未ちゃん!弓道部の帰り?」
海未「はい。穂乃果は……一人ですか?」
穂乃果「さっきまでにこちゃんといたんだけど、解散したから帰るところだよ」
海未「そうですか。なら、いっしょに帰りましょう」
穂乃果「うん!」
海未「すっきりとした顔になりましたね」
穂乃果「えっ!?穂乃果顔丸かった!?」
海未「違います!どうして私があなたの顔の形を気にしなくてはならないんですか!」
穂乃果「いやー……向こうの海未ちゃんにいっつも体重のこと言われてたから、つい」
海未「向こうの私ですか……」
海未「いえ、そうではなく、元気になったのですねと言いたかったんです」
穂乃果「あー、うん。なんとか考えがまとまったからね」
海未「そうですか。笑顔の穂乃果が戻ってきてよかったです」
海未「まったくです。そろそろ宿題は自分でやってください」
穂乃果「ちょっとはやってるよー!」
海未「全部やってください」
穂乃果「穂乃果はμ’sも生徒会もあって大変なんだよぉ!」
海未「あなたの話では私も同条件かと。さらに私は弓道部にも出ています」
海未「向こうの私は宿題忘れていますか?」
穂乃果「ぐっ……でもぉ……」
海未「……はぁ、わかりました」
海未「なら、これからは宿題が出たら家でいっしょにやりましょう」
海未「これなら宿題を忘れず、勉強もでき、答えもわかって一石三鳥です」
穂乃果「うー。勉強は嫌だけど……うん、がんばるよ……」
海未「その意気ですよ」
穂乃果「じゃあなにかお返ししないと!」
海未「別にいりませんよ。穂乃果は知らずうちに誰かの支えになっているような人と言ったでしょう?」
海未「あえてお返しをと言うなら、これからも私といっしょにいてください」
穂乃果「海未ちゃん!」ギュー
海未「ちょ、ちょっと穂乃果!こ、こんな街中でやめてください!」
穂乃果「えへへ……」
海未「……穂乃果」
穂乃果「なに?」
海未「もし帰って困ったことがあったら隣を見てください」
穂乃果「海未ちゃん?」
海未「そこには必ず私やことり、みんながいます」
海未「悩みも不安もいっしょに解決していきましょう。友達なんですから」
穂乃果「……うん!」
海未「向こうの私も困ったら隣を見るかもしれません。ですから」
海未「私の隣には穂乃果がいてくださいね」
穂乃果「うん、もちろん!ずっと、ずーっといるよ!」
穂乃果(ありがとう、海未ちゃん)
穂乃果「よし、じゃあ最後の仕上げだね」
穂乃果(穂乃果が戻った時、こっちの穂乃果が混乱しないようにしなきゃね)
穂乃果(それから私はいままで起きたことをノートに書き綴っていった)
穂乃果(私とみんなの絆の深さが伝わるように)
穂乃果(私の感謝の想いが伝わるように)
穂乃果「よーし、だいぶできたかな」
穂乃果「あとは……そうそう、これも書いておかなきゃ!」
凛ちゃんと花陽ちゃんとショッピングに行こう!
そこで凛ちゃんに似合うスカートを花陽ちゃんと相談して買ってあげよう!
真姫ちゃんに友達の話を聞いてみよう!
そこで真姫ちゃんの笑顔を見よう!
希ちゃんの家に絵里ちゃんと泊まりに行こう!
そして、みんなで仲良くいっしょにお風呂に入ろう!
海未ちゃんとことりちゃんを誘ってアイドル研究部に入ろう!
私たち無敵の3人組でアイドル研究部を引っ張ろう!
にこちゃんとクレープを食べに行こう!
そして、みんなとの絆の話をたくさんしよう!
思い出をたくさん作って穂乃果もみんなも幸せにしよう!
穂乃果「気合い入れたら結構な量になっちゃったよ」アハハ
穂乃果「でも、まだまだページは続く」
穂乃果「あとは、こっちの穂乃果が埋めていくんだ」
穂乃果「楽しい思い出も、辛い思い出も、悔しい思い出も」
穂乃果「その全てが幸せを作るエピソードになるんだ」
穂乃果「だから、がんばってね穂乃果」
穂乃果「さて、もう寝よう」
穂乃果「……表紙がさみしいなぁ。なんか題名つけようかな……」
穂乃果「うーん」
穂乃果「これかな!」
穂乃果(μ’sのみんな)
穂乃果(ありがとう)
にこ「ほら、これにこの携帯。文ももううってある」
穂乃果「うん」
にこ「これを見たら私は前に送られてきたメールを無視すると思うわ」
穂乃果「ありがとう」
真姫「日時はこれでいいのよね?」
にこ「ええ、問題ないわ」
穂乃果「……」
花陽「真姫ちゃんから話を聞いて本当にびっくりしました」
凛「うん。物語の中の世界だね」
絵里「……穂乃果。私たちはあなたからたくさん大切なものをもらったわ」
穂乃果「絵里ちゃん……」
絵里「それは友達であったり、想いであったり、勇気であったり、絆であったり」
絵里「いつまでもなくならないものばかりよ」
希「心の奥にあり続ける。穂乃果ちゃんといっしょに、ずっとね」
海未「そして、これからも増えていきます。穂乃果と、みんなといっしょに」
ことり「私たちみんな穂乃果ちゃんが大好きだから」
穂乃果「私もみんなが」
穂乃果「μ’sが大好き!」
真姫「穂乃果。メールを送ったら、この機械の問題点をパパに言ってみるわ」
穂乃果「うん」
真姫「私たちはこれから過去だけじゃなくて、未来を見ていくわ」
にこ「だからあんたも未来を見続けなさい」
穂乃果「うん」
凛「にゃー!すごいビリビリしてるー!」
花陽「あわわわわ」
絵里「凛、花陽落ち着きなさい」
希「大丈夫。別に怪我とかせんよ。でしょ?」
真姫「ええ」
にこ「すっご!なにこれ!アニメの世界みたい!」
海未「うかれすぎです!」
ことり「最後の最後までしまんないなぁ」アハハ
穂乃果「……」
穂乃果(指にそえた送信ボタンを押したらお別れ)
穂乃果(でも、心までお別れじゃない)
穂乃果(離れててもいつでもいっしょだ)
穂乃果(よし、押そ――)
絵里「穂乃果!」
穂乃果「!」
穂乃果「うん」
花陽「穂乃果先……ううん!穂乃果ちゃん!私に勇気をくれてありがとう!」
穂乃果「うん」
凛「穂乃果ちゃん!自分自身に大事なことを教えてくれてありがとう!」
穂乃果「……うん」
希「穂乃果ちゃん。私の夢になってくれてありがとう!」
穂乃果「……うんっ」
海未「穂乃果。いつも私を傍で支えてくれてありがとうございます!」
穂乃果「……っ」
ことり「穂乃果ちゃん!いつもことりを引っ張ってくれてありがとう!」
穂乃果「……ううっ」
真姫「穂乃果!友達の……幸せの大切さを教えてくれてありがとう!」
穂乃果「……うっ、ううっ」
にこ「穂乃果!ラブライブの会場にいる全員を、その日一番の笑顔にしてみせなさい!」
にこ「……強い絆をありがとう!」
穂乃果「うぁぁあああああああああああ」ポチッ
「穂……!」
「……乃果!!」
「穂乃果!!」
穂乃果「あっ……!」
海未「いったいどうしたんですか?いきなりボーっとして」
穂乃果「……え」
絵里「10秒くらいボーっとしてたけど、体調でも悪いの?」
海未「そうなのですか?保健室いきますか?」
穂乃果(これは……私は)
にこ「なに?体調悪いの?」
穂乃果「あ、いや、ちょっとボーっとしちゃって」
にこ「アイドルとして見てらんない顔してたわよ。自覚を持ちなさいよ自覚を」
穂乃果(穂乃果が……スクールアイドル)
真姫「ま、いいけど。で?どうするの?」
にこ「あ!だからにこが送るにこ!」
絵里「にこー」
穂乃果(送る……!?)
穂乃果「だめええええ!」
穂乃果「実験は中止!!なしなの!!」
絵里「どうしたの?いきなり」
穂乃果「いいからなし!!」
真姫「……まぁ確かに遊びでやるものでもないわね」
真姫「ごめんなさい、私が軽率だったわ」
にこ「え、やめるの?……まあ、別ににこはいいけど」
にこ「というか、にこにーの絶対的なアイドル力でスターになれば
宝くじの賞金程度は余裕だしぃ」
穂乃果「ほらっ!そんなことよりもう昼休み終わっちゃうよ!
早く教室にもどらなきゃ!ほらほら!」
にこ「そんなことって何よ!」
海未「ちょ、穂乃果。押さないでください!」
絵里「そ、そんな4人もいっぺんにドアの近くに押したら狭いでしょ!」
真姫「なんなのよ!もう!」
穂乃果(穂乃果戻ってきたんだ……この世界に……!)
穂乃果「……ただいま」
海未「?」
穂乃果「えへへ……ぎゅー!!」
にこ「ば、馬鹿!こんな狭い状況で抱きつくな!つ、つぶれる!」
穂乃果「えへへ」
穂乃果「……さ、行こう!」
音楽室
穂乃果「真姫ちゃん!」ガラッ!
真姫「ヴェエ!?もう!ドアを乱暴に開けないでっていつも言ってるでしょ!」
穂乃果「あ、ごめーん」
真姫「はぁ……で、なんの用?」
穂乃果「真姫ちゃんにね、お礼を言いに来たの!」
真姫「はあ?なにに対してよ」
穂乃果「うーん、なんだろね」
真姫「意味わかんないんですけど」
穂乃果「へへっ」
真姫「そういえば、Dメールどうだったのよ?」
穂乃果「うん、それがすごい大変……って、えっ!?なんで!?」
真姫「やっぱり……あの時のあなたの態度どうみてもおかしかったし」
真姫「送るってうきうきしてたのに、急にボーっとしたら、今度はやめるって」
真姫「なにかあったと考えるわよ普通。んで、何が怪しいってどう考えてもDメールよ」
穂乃果「……真姫ちゃん、名探偵みたいだね」
真姫「ふん、このくらい私にかかれば余裕よ!」
真姫「で、どうだったの?あの態度的にいいものではなかったのでしょうけど」
穂乃果「ううん、悪いものではなかったよ。どっちかと言えばいい思い出になった」
穂乃果「でも、もう使ってほしくはないかな。他の世界のことはその世界に任せたいの」
真姫「……」
真姫「わかったわ」
真姫「いいのよ、誰かが幸せになるかわりに誰かが不幸になるんなら意味ないわ」
穂乃果「不幸になったのかはわからないけど、あの世界の人たちは精一杯生きてた」
穂乃果「そこにこれ以上干渉しないほうがいいのかなって」
真姫「……あの装置もともと地震や台風、雪崩なんかの災害用なの」
穂乃果「災害用?」
真姫「そう。死傷者が少しでも減るように。あらかじめ何が起こるかわかれば避難できるでしょ?」
真姫「でも結局それって神様の真似事なのよね」
真姫「人間がそんなことしたら、いつか痛いしっぺ返しが来るかもしれない」
真姫「だから、やめさせる。私たちは世界に身を任せるしかないのよね」
穂乃果「……ありがと」
真姫「べ、別に穂乃果のためじゃないけどね」
穂乃果「ほら、そうやっていつもみんなを陰で支えてくれてる。だからありがとう」
真姫「……」
真姫「……私たち、一生の友達なんでしょ」
穂乃果「……あっ」
真姫「あ!ち、違う!今のなし!……もう、何でこんな恥ずかしいこといきなり口に出るのよ」
穂乃果(そうだ、世界は繋がっているんだ)
真姫「///」
真姫「もう!からかわないで!」
穂乃果「からかってないよ。本当にずっといっしょなの」
真姫「……最後までその言葉責任持ちなさいよ!」
穂乃果「ふふっ」
穂乃果「あ、そうそう、これあげるよ」
真姫「ん?なにこれ……えっと、バッチ?」
穂乃果「そう穂乃果が作ったの!μ’sバッチ!」
真姫「なに、いきなりどうしたのよ、これ」
穂乃果「うーん、作りたかったんだよ。形としてさ」
穂乃果「μ’sの想いを」
真姫「は、恥ずかしい人!……ま、一応もらっておいてあげるわ」
穂乃果(真姫ちゃん、いつも穂乃果を気遣ってくれてありがとう)
真姫「♪」
穂乃果「あ、花陽ちゃーん!」
花陽「穂乃果ちゃん、こんにちは!」
穂乃果「ちょうどよかった。探してたんだ!」
花陽「私を?」
穂乃果「そう!」
花陽「なにかなぁ?」
穂乃果「えっとね、これ!」
花陽「これ……」
穂乃果「μ’sのバッチだよ!オリジナルで作ったの!」
穂乃果「デザインは穂乃果がしたからセンスないかもしれないけど……」
穂乃果「でも、何にも負けない想いはこめたの」
穂乃果「花陽ちゃんにもらってほしいんだ」
花陽「こ、これ……」
花陽「す、す、すすすすす」
穂乃果「す?」
花陽「すごいです!!うわぁ!!かっこいい!」
花陽「本当のアイドルみたいです!」
花陽「本当にありがとう穂乃果ちゃん!絶対に、ずーっと大切にするね!」
穂乃果「うん」
花陽「へ?お礼?」
穂乃果「そうそう」
花陽「花陽がするのはわかるけど、穂乃果ちゃんからお礼されることした?」
穂乃果「したっていうか、いつもしてること。花陽ちゃん、いつもありがとう!」
花陽「?」
穂乃果「なんていうのか、日ごろの感謝かな」
花陽「日ごろの感謝かぁ。じゃあ、花陽もしなきゃだね」
花陽「穂乃果ちゃん、いつもありがとう!」
花陽「今の私は好きなことを好きって自信を持って言えるよ!」
穂乃果(花陽ちゃん、いつも私に、私たちに幸せをありがとう)
凛「穂乃果ちゃんだー」
穂乃果「あ、凛ちゃん」
凛「今日はいい天気だねー」
穂乃果「そうだねー」
穂乃果「あ、凛ちゃんに言うことあるの」
凛「ん?なーに?」
穂乃果「いつもありがとう」
凛「えーと、どういたしましてにゃー!」
凛「穂乃果ちゃん、いつもありがとう!」
穂乃果「どういたしまして」
穂乃果凛「あはは」
凛「凛はね、穂乃果ちゃんやみんなと出会ってたくさん変身できたの」
凛「凛は自分の可能性を見つめ成長できた。だからありがと!」
穂乃果「うん!」
穂乃果「あ、あとこれ!」
凛「バッチ?」
穂乃果「そう、μ’sの」
凛「おー今日の穂乃果ちゃんはなんかすごいにゃー!」
穂乃果「もらってくれる?」
凛「もっちろん!肌身離さず持ってるよ!」
穂乃果「ふふ」
凛「ほんとうにありがとー!」
穂乃果(凛ちゃん、いつも元気をありがとう)
海未「穂乃果?どこ行ってたんですか?」
穂乃果「あ、海未ちゃん。うーんとね、みんなのところ!」
海未「みんな?集まっているのですか?」
穂乃果「ううん。一人ずつ会ってるの!」
海未「はあ」
穂乃果「だから海未ちゃんにも会えてよかった」
海未「なにをしているんですか?」
穂乃果「えっと、海未ちゃん!いつもありがとう!」
海未「え、いきなりどうしたんですか?」
穂乃果「こうやって日ごろの感謝の気持ちを伝えてまわってるの」
海未「そうですか。それはとても大事なことですね」
穂乃果「うん。誰かを幸せに出来る気持ちだよ」
海未「ふふ、穂乃果もいつも私の隣にいてくれてありがとうございます」
穂乃果「これからもね!」
海未「ええ!」
穂乃果「あとこれを海未ちゃんに渡すね」
海未「これは……μ’sって書いてあるバッチですか?」
穂乃果「そう、名付けてμ’sバッチ!」
海未「そのままですね」
穂乃果「気持ちはこめたよ!」
海未「ええ、伝わってきますよ。穂乃果がみんなを大事に思っていることが」
海未「ありがとうございます。一生の宝にします!」
穂乃果(海未ちゃん、いつも穂乃果のために叱ってくれてありがとう)
ことり「あ、穂乃果ちゃん戻ってきたー」
穂乃果「やっほー」
ことり「海未ちゃんもどっか行っちゃったし……」
穂乃果「海未ちゃんとならさっき会ったよ。たぶん、もう少しで戻ってくるんじゃないかな?」
ことり「そうなんだ、じゃあ教室にいようかな」
穂乃果「そういう私はことりちゃんを捜してたの」
ことり「私?」
穂乃果「そうだよー」
ことり「どうしたの?」
穂乃果「えっと、ことりちゃん!いつもありがとう!」
ことり「うん、こちらこそいつもありがとう」
ことり「穂乃果ちゃんにはいつも助けられっぱなしだし」
ことり「だからありがとう!ことりはいつも穂乃果ちゃんの幸せを願ってるね!」
穂乃果「穂乃果もいつもことりちゃんの幸せを願うよ!」
ことり「えへ」
穂乃果「あと、これも」
ことり「なに?」
ことり「うわぁぁ、μ’sのバッチだぁ」
ことり「これ穂乃果ちゃんが作ったの?」
穂乃果「デザインだけね、全部作るのはさすがにプロに任せちゃったよ」
ことり「でも、すごく可愛い!大切にするね!穂乃果ちゃんの気持ち」
ことり「大好きだよ!穂乃果ちゃん!」
穂乃果(ことりちゃん、いつも優しくしてくれてありがとう)
穂乃果「絵里ちゃん!」
絵里「穂乃果、どうかしたの?」
穂乃果「絵里ちゃんを捜してたの!っていうか生徒会室で何してるの?」
絵里「え、ああ。少し書類の整理をね」
穂乃果「絵里ちゃんは元会長なんだから別にやらなくていいんだよ?」
穂乃果「あ、やっぱり穂乃果たち全然ダメダメかなぁ?」
絵里「ふふ、そんなことないわ」ナデナデ
絵里「あなたたちは立派に生徒会をやっていると思う。この元会長が保証するわ」
穂乃果「なら、どうして?せめて穂乃果たちにも声掛けてくれればいいのに」
絵里「ううん、一人でやりたかったの」
絵里「感謝の気持ちを伝えたかったのよ、あなたたちに。いつもありがとうって」
穂乃果「穂乃果も!絵里ちゃん、いつもありがとう!」
絵里「やっぱりいいものね、感謝するって」
穂乃果「でも、なんか急だね」
絵里「そうね。でも、伝えなきゃいけない、大事にしなきゃいけない感情だって」
絵里「私の心が訴えてきたのよ」
穂乃果「……そっか」
穂乃果「じゃあ、私からは感謝の形も渡しちゃうね!」
絵里「あら?これは」
穂乃果「μ’sのバッチだよ」
絵里「これはとってもハラショーだわ!死ぬまで身につけるわ!」
穂乃果「大げさだよぉ」ハハハ
絵里「いつか私もみんなに何か送ることにしましょ。感謝の気持ちを」
穂乃果(絵里ちゃん、いつも抱きしめてくれてありがとう)
希「穂乃果ちゃんが来る……カードがそう告げるんや!」
穂乃果「希ちゃーん!」ガチャ
希「おっ、当たった」
穂乃果「どうしたの?」
希「なんでもないで。それでどうしたん?」
穂乃果「えへへ、いつもありがとうって言いに来たの!」
希「えらい唐突やなぁ。まぁうちもいつもみんなに感謝しとるけど」
穂乃果「うん!μ’sは感謝で溢れたグループなんだ!」
希「おっ、ええこというやん」
穂乃果「μ’sが、みんなが大好きだからね!」
希「……うちも本当に大好きやμ’sが」
穂乃果「そんな感謝と永遠の友情の証であるこのバッチを希ちゃんに!」
希「これ……」
穂乃果「穂乃果が作ったの!みんなに感謝といつまでも一緒だよって伝えたくて」
希「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「ただのメンバーじゃない、大切な友達に!」
希「……せやな、うちらはただのメンバーでも、ただの友達でもない」
希「友達の中の友達、本当の友達や!」
穂乃果「うん!」
希「じゃあ、またお泊まり会でもしよか!」
穂乃果「いいね!絶対しよう!」
希「……見とる?うち、たくさんの友達が、本当の友達が出来たよ」ボソッ
穂乃果(希ちゃん、μ’sの奇跡をありがとう)
穂乃果「これでよかったんだよね」
にこ「あ!やっと見つけたわ!」
穂乃果「にこちゃん」
にこ「みんなあんたのこと探してるわよ!さっき会ったのにどこにもいないって」
穂乃果「うん、ごめん」
にこ「もうミーティングの時間よ、行くわよ」
穂乃果「ねぇ、にこちゃん」
にこ「ん?なによ」
穂乃果「にこちゃんはさ、3年間楽しく過ごしたかった?」
にこ「急にどうしたのよ」
穂乃果「にこちゃんは1年生と2年生の時に1人でアイドル研究部を頑張ってた」
穂乃果「もし過去に戻れて、やり直せるならどうする?3年間楽しい日々に変えられたとしたら」
にこ「前に過去にメールを送れるって騒いでた時、実は私1年生の私に向けたメールを送ろうとしたの」
穂乃果「一人で悩むな。誰かに相談しろ?」
にこ「な、なんでわかるのよ!そうよ、そんな感じの内容よ」
穂乃果(やっぱり後悔してたんだ)
にこ「そんな性格にあの時なれてたらもっと早く、あんたたちと一緒に活動できたのにってね」
穂乃果「え?」
にこ「ほら私こんな性格でしょ。だから、1年の時失敗して、でもそれを直さなくて」
にこ「なかなか素直になれなくて」
にこ「もっと誰かを思って行動する性格ならよかったのにって過去に願ったのよ」
穂乃果「1年生からアイドル研究部を成功させるためじゃ……」
にこ「はぁ?違うわよ。私は今が好きなの。だから別にあの時の成功とかもう気にしてないわ」
穂乃果「私たちのために送ろうとしたの?」
にこ「でも今思うと送らなくて本当によかったわ」
にこ「一人だった2年間での悔しさ、あんたたちを見たときの妬み」
にこ「そういういろんな感情を経験してたからこそ、今の私、今のμ’sがあると思うもの」
穂乃果「……」
にこ「それにもし送っちゃってたら、こんな楽しいμ’sを知らない私ができちゃいそうだし」
にこ「そんなのにこがかわいそうじゃない」
穂乃果「そうだね、μ’sの楽しさを知らないのはもったいないね」
にこ「おそらく他にないわ。こんなに絆の深いグループ」
にこ「どんな時もどんな場所でもそれを感じれる」
にこ「だから、私は今が最高に楽しいわ。それこそ悔しい過去を忘れるほどに」
穂乃果(にこちゃん、私はみんなを過去の悲しさを忘れさせるくらい幸せにできてるかな)
にこ「なによ急に」
穂乃果「あ、今日ね、みんなに日ごろのお礼を伝えてまわってるの」
にこ「ちょ、じゃあなんで私のとこには来ないで屋上でたそがれてんのよ!」
穂乃果「いやーそれは。まぁいいじゃん」
にこ「よくないわよ!」
穂乃果「あとこれ」
にこ「バッチ?」
穂乃果「うん。オリジナルバッチ」
にこ「μ’sの文字と上下に番号と名前」
穂乃果「一人ずつ違うだよ、ちゃんと」
にこ「へぇ、なかなか凝ってるわね」
穂乃果「でしょ?一生懸命がんばって作ったの」
穂乃果「これを見たら離れていてもみんなを思い出せるの」
穂乃果「μ’sがいつまでもμ’sだって証」
にこ「……また大切な思い出が増えていくわね」
穂乃果「これからもずっと増えていくよ!」
にこ「そうね」
穂乃果「だから」
穂乃果「ずっと、ずーっと一緒にいてね!」
にこ「……」
にこ「ふん、あんたが嫌って言ったってずっと付きまとってやるわ」ニヒヒ
穂乃果(にこちゃん、いつも引っ張ってくれてありがとう)
穂乃果「そうだね、ラブライブも近いし」
にこ「そうよ!絶対に会場にいる全員を、その日一番の笑顔にしてみせるんだから!」
にこ「そのためにはまだまだ改善の余地があるわよ!ほら、部室いくわよ!」ガチャ
穂乃果「うん!」
穂乃果「……」
『穂乃果ちゃん、今日お菓子作ってきたんだぁ。食べよう?』
『穂乃果!あんまり食べ過ぎるとまた後悔しますよ!』
『ちょ、ちょっと凛ちゃん!?穂乃果ちゃん、たすけてー』
『あー、じゃあ穂乃果ちゃんも捕まえるにゃー!』
『うちも混ざるでー。穂乃果ちゃん!わしわししたるー!」
『穂乃果ー、ここの振り付けのことなんだけどちょっといいかしら?』
『穂乃果、私はいつでもどの世界でも一生あたなの味方よ』
『穂乃果、幸せになりなさい』
穂乃果(私たちは繋がってる。強くて深い絆で)
穂乃果(場所も、時間も、世界さえも越えて繋がり続ける)
穂乃果(ラブライブは通過点。μ’sのゴールはもっと先にある)
穂乃果(ずっと一緒でたくさん大切な思い出を作っていく)
穂乃果(苦しいことも、悲しいこともずっと一緒に乗り越えていく)
穂乃果(そうやって幸せを感じられる人生を、みんなと一緒に)
穂乃果(お母さんになっても、おばさんになっても、おばあちゃんになっても)
穂乃果(歩んでいくんだ)
穂乃果(みんなを幸せにする。そして……私も幸せになる)
穂乃果(そんなお互いを思いやる関係をいつまでも)
穂乃果「やり遂げるよ 最後まで」
おわり
たくさんコメントありがと
おつかれさまでした
いくつもの輝ける日々仲間との約束
なかった事にはしてはいけない
今読み終わったけどやべぇわ
めっちゃのめり込んでしまった
素晴らしいSSを
すごく面白かったです
向こうの世界線の後日談も読みたいです
凄い引き込まれた
メンバーの描写が上手いな
また何か書いて下さい
主のラブライブ愛が伝わってきたよ
素晴らしいSSを書いてくれてありがとう
さっき読み終わった
凄い感動した。ありがとう
SS読んで涙が出たのは初めてかもしれん
元の世界に戻ったあとで、シュタゲの細かな設定がスパイスとして効いてて凄く感動した
ああ、またシュタゲやりたくなってきたわ
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