【ラブライブ!】海未「…眠れませんね。」
- 2020.03.29
- SS

海未「…」
海未(やっぱりダメですね。夕方、穂乃果達と喫茶店に行って、慣れないコーヒーなど飲んだからでしょうか。)
海未(しかし、コーヒーとはいえ、ほとんどデザートのような甘ったるい飲み物だったのに…)
海未(…しかし、ことりのおすすめだけあって、なかなかに美味しかったですね。たっぷりとのっかった生クリームはそれだけでもう…)
海未(今度、凛を連れて行ってあげましょうか。近頃、頑張っていますしね。)
海未(『すっご~い!海未ちゃんありがと~!』…なんて、ふふ。いいんですよ。たまには先輩風を吹かさせてください。)
海未(そうなると希も誘わないといけませんね。来週辺りに誘ってみましょうか。)
海未(それにしても、穂乃果は注意したのにまたあんなに食べて…ダイエットが必要ですね。)
海未(よし、心苦しいですが、明日は3割、いや5割増しで特訓を…)
ガタガタ
海未(…ずいぶんと風が強いですね。)
海未「あ…雲があんなに速く…」
ヒュウ ヒュウ
海未「…」
海未(…月が綺麗ですね。)
スッ
海未(―こうして、一人縁側に腰掛けて月を眺めていると、なんとも言えない気分になりますね。)
海未(昼間はあんなにも賑やかだったのに、不思議な感じです。)
海未(今夜は闇が一段と濃い気がします。時折、煌々とした月影が庭を照らし、聞こえるのは虫の声と風の音だけ。)
海未「…よい夜ですね。」
海未「…」
~♪
海未「…なんでしょう、この音。」
ギッ ギッ
海未「…テレビ、でしょうか?」
海未「…」
スゥ
海未「…お母様?」
海未ママ「う、海未さん!?んっ!んぐっ!」
海未「あっ、だ、大丈夫ですか?」
トントン
海未ママ「んっ、んっ…ふう…大事ありません。ありがとう、海未さん。」
海未「そうですか…あの、それで、どうしてこんな時間におまんじゅうなんて―」
海未ママ「ああ、いえ…その…海未さんこそどうしたのですか?」
海未「私はただなんとなく寝付けなくて…それより、お母様こそこんな時間に…どこか具合でも悪いのでは―」
~♪
海未ママ「!」 バッ
『 冬のアナタと雪の女王 』
海未ママ「…」 ジーッ
海未「あの…」
海未ママ「…しっ!」
海未「あの、これは…」
海未ママ「お茶なら、ご自分でとってらっしゃい。」
海未(聞いていませんね…)
海未「―――あの、新しいお茶を…」
海未ママ「ああ、ありがとう。――ズズ…」
海未ママ「はあ…」 ウットリ
海未(なんなんですか、これは…)
海未「あの、これは一体…」
海未ママ「え?ああ…その、実は、穂むらのきぃちゃんに教えてもらって、見てみたら意外とこれが―」
海未「はあ…」
海未ママ「本当に、昔から面白い遊びや何かを教えてくれるのはいつもきぃちゃんで、私はいつも一緒に…」
海未「はあ…」
~♪
海未ママ「!」
海未(…どうやら、メロドラマのようですが…お母様、なんだか可愛らしいですね。)
ズズ…
穂乃果「…あーあ、この漫画まだ続き出ないのかな。」ゴロゴロ
穂乃果「ふぁぁ…寝よっかな…」
穂乃果「…」
トットット
ジャー ガチャン
穂乃果「…ん?」
ガラッ
穂乃果「雪穂?まだ起きてんの?」
雪穂「なに?今忙しいんだけど。」
穂乃果「こっちくらい向いてよー。…勉強?」ヒョイ
雪穂「わっ!ちょっと!いきなりくっついてこないでよ!」
雪穂「当たり前でしょ…2年前に習ったんだから…」
穂乃果「こっちはねー…えっと…ウ……と見せかけて オ!」
雪穂「ア だよ。」
穂乃果「え?」
雪穂「アが正解!もう、これ基礎だよ?そんなんで大丈夫なの?」
穂乃果「あ、ああ、ああ!今のは雪穂を試したんだよ~。」
雪穂「まったくもう…邪魔しないで。」
穂乃果「はいはい。」
雪穂「…」カリカリ
穂乃果「…」
穂乃果「雪穂。」
雪穂「ん?」カリカリ
穂乃果「頑張ってるね。」
ことり「…」ダダダダダ
ことり「んしょ…っと…」ダダダダダ
ことり「よし…」ダダダダダ
コンコン
ことり「あっ…」
ことりママ「――ことり?もう遅いし、あまり無理しないほうがいいんじゃない?」
ことり「ごめんなさい…ミシン、うるさかった?」
ことりママ「ううん、いいのよ。ただね、最近毎晩だから…」
ことり「私なら大丈夫だよお母さん。心配かけてごめんね?」
ことりママ「…そう?無理してない?」
ことり「うん…平気。みんなに留学のことで迷惑かけちゃったから、頑張らないと…」
ことりママ「…」
ことり「…」
ことりママ「…ねえ、私にも何かお手伝いさせて?」
ことりママ「平気平気、これでも随分と楽になったのよ。あなた達のおかげで、ね。」
ことり「お母さん…」
ことりママ「それに、理事長として少しは協力させてよ。学校を守ってくれたのに、私だけ何もしないわけにはいかないでしょ?」
ことり「そんなことないよ!お母さんは一生懸命…」
ことりママ「これとこれを縫い合わせればいいの?」
ことり「あっ、うん…えっと…そう…」
ことりママ「…」チクチク
ことり「…」ダダダダ
ことりママ「さすがに上手ね。プロが作ったみたい。」
ことり「…」ダダダダ
ことりママ「…あなたには本当に才能があったのね。お母さん鼻が高いわ。」
ことり「…」
ことり「お母さん…」
ことりママ「ん?」
ことり「ごめんなさい―」
<ずっと言いたかったんだ…
海未ママ「…」 ウットリ
海未(え…あっ、これって…) ドキドキ
< 愛してる…
< 私も…
海未(ああっ!あああっ!!) ハラハラ
海未ママ「…」 ポーッ
< んっ…
海未「なっ!破廉恥です!」
バッ
海未ママ「はっ!」
スパァン!
海未ママ「…今、いいところなんです。」
海未(くっ…さすがはお母様…音すら立てずに私の動きを完封するとは…)
海未(いえ、それよりもこの状況…)
海未ママ「はぁぁ…///」
海未(強制破廉恥です!!)
海未「お母様、その…そろそろ…」
海未ママ「ああ、ごめんなさい。」
海未「いえ、参りました。」
海未ママ「…殺気が前に出過ぎです。もっと精進なさい。」
海未「はい…・…ではなくて!」
海未「なんですか今のは!破廉恥です!」
海未ママ「何を取り乱しているんですか。」ズズ…
海未「ああいったことは人前でするものではないでしょう!それを…」
海未ママ「誰もいない岬でしてたじゃありませんか。」
海未「うっ…」
海未ママ「見苦しいですよ、海未さん。たかが、せっ、接吻くらいで取り乱すなんて///」
海未(お母様だって照れてるじゃないですか…)
海未ママ「あなたもそろそろそういった事に免疫を付けないと…せめて絵空事の恋愛くらい…海未さんもどうぞ。」
海未「はあ…お母様は…モグモグ。」
海未ママ「?」モグモグ
海未「…お母様もそうだったのですか?」モグモグ
海未ママ「え?」
海未「お母様もお父様とあのような恋愛をされたのですか?」
海未ママ「えっ、なっ…ななななな…そ、それは…」
海未「お父様はお祖父様のお知り合いの方のご子息だったのですよね?そこからどうやって―」
海未ママ「破廉恥ですよ!海未さん!」
海未(えっ)
穂乃果「――頑張ってるね。」
雪穂「んー?まあねー。」
穂乃果「えへへ。」
雪穂「何?気持ち悪いなあ。」
穂乃果「だってね、雪穂が勉強してるのって、音ノ木坂に入るためでしょ?」
雪穂「まあ…そうだけどさ。」
穂乃果「穂乃果達のやってきたことは無駄じゃなかったって、μ’sやっててよかった、音ノ木坂学院を守れてよかったって思って…えへへ」
雪穂「もー…そんなこと言われたら私落ちれないじゃん。」
穂乃果「うん!来年は穂乃果と一緒の制服だよ!」
雪穂「もう…///」
穂乃果「え?なにが?」
雪穂「なんでもない!さ、もうひと頑張り!…えっと…ん?」
穂乃果「ん?」
雪穂「お姉ちゃん、ちょっとこれ、わかる?」
穂乃果「んーどれどれ?穂乃果に任せなさい!」
雪穂「ここなんだけど…」
穂乃果「…」
雪穂「お姉ちゃん?」
穂乃果「んー…」
雪穂「ひょっとして…わからない?」
穂乃果「失礼な!わかるよ!…これはほら!あれだよ!」
雪穂「あれって?」
穂乃果「ほら、だから、これを、その…代入、とかして…」
雪穂「これ古文なんだけど。」
ことり「――ごめんなさい。」
ことりママ「んー?何が?」
ことり「だって、私、留学のこととか…色々、迷惑かけて…」
ことりママ「もう謝ってくれたじゃない。」
ことり「でも!」
ことりママ「じゃあ、いつまで謝れば気が済むの?」
ことり「…それは…」
ことりママ「…お母さんはね。これでよかったって思ってるわよ。」
ことり「お母さん…」
ことりママ「謝らなければならないのはこっちだわ。…あなたの本当の気持ちなんてとっくに気がついていたのにね。」
ことり「ううん。わかってたのに、ちゃんと言葉にしなかった私のせい。お母さんは…」
ことりママ「ほら。」
ことり「え?」
ことり「…うん。」
ことりママ「ふふ。もう謝ったらダメよ。」
ことり「うん!」
ことりママ「――それにしても、かわいい衣装ね。…今度私にも作ってくれない?」
ことり「うん!いいよ!お母さんだったら…そうだなあ、シスターさんとかどうかな?」
ことりママ「あら、じゃあマラカス持って踊っちゃおうかしら?楽しみね。」
ことり「あっ、でもその前に…新しいエプロンを作ってあげるね!お母さんまだ小学生の時にことりがあげた…」
ことりママ「いいのよ、あれで。」
ことり「でも、もう…」
ことりママ「ふふ…ねえ、明日、たまには一緒に学校に行きましょうか。」
ことり「え?」
ことりママ「明日は朝何もないし、噂のμ’sの朝練を見学しないといけないしね、理事長として。」
ことり「うん!」
海未ママ「まったくもう、そんなことに興味を持つだなんて―」
海未「ごめんなさい、ふと、気になったものですから。」
海未ママ「まあ、話せと言われれば隠すようなこともないですからお話しますけれども、あれはちょうど桜が満開になった頃のある春のことでした。私は『祖父の知人が道場に出稽古にやってくからおもてなしするように』と言われてその方をお待ちしていたのです。
指定された場所で今か今かと待っていると、向こうから背の高い、いかにも無骨で、それでいてどこか優しげな殿方が歩いてきたのです。ああ、それはまるで銀幕のワンシーンのようでした。
私とあの人は、桜の下で向かい合いお互いに挨拶を交わし、ぎこちなくあの人を道場へと案内いたしました。
私はこのようなところを誰かに見られやしまいか、特にきぃちゃんに見られたらどうなってしまうのかなどと考えながらもあの人の視線を感じる背中が一番熱かったことを覚えています。
それからあの人ったら私の作った昼餉を『うまいうまい』と3杯もお代わりしてくださって、『海未ママさんはよいお嫁さんになりますね』だなんて。もぅ!(バシバシ)
それからというもの寝ても覚めても脳裏に浮かぶのはあの人のことばかり。お稽古にも身が入らずにお祖母様には叱られ、大好きな穂むらのまんじゅうでさえ喉を通らなくなってしまい…
ああ、海未さんご存じですか?よく恋わずらいなどと言いますが恋をすると本当に病気のようになってしまい―
ある日、私を見かねたきぃちゃんが私のために一計を案じてくれて、きぃちゃんきぃちゃんきぃちゃんきぃちゃんもひとつおまけにきぃちゃんきぃちゃん―」
海未(あ、これ長くなるやつですね。)
ガラ
穂乃果ママ「――どう、はかどってる?」
雪穂「だから!違うって言ってるじゃん!どうしてそうなるの!」
穂乃果「え~?穂乃果の時と教え方が違うのかなあ…?」
雪穂「そんな簡単に物理法則が変わったら世の中大変でしょ!ほら次!」
穂乃果「あっ!これわかる!」
雪穂「違う!さっき言ったこともう忘れてるじゃん!」
穂乃果ママ「…私が先に産んだのは穂乃果よね、うん。」
海未ママ「それで、とうとうきぃちゃんの『おまんじゅう作戦』で―でもあの人鈍いから…」
海未(正直、眠いのですが…)
―― 穂むら
穂乃果ママ「だから!そうじゃないって言ってるでしょ!」
穂乃果「なんでおかーさんまで!」
穂乃果ママ「腐っても元生徒会長よ!このくらいはまだできるわよ!」
穂乃果「じゃあ現生徒会長の穂乃果のほうが偉いじゃん!」
穂乃果ママ「は?」ギロ
穂乃果「いえ…」
雪穂「あっ、また間違えてる!」
―― 南家
ことり「お母さん、寒くなってきたからこれ着て?」
ことりママ「あら、ありがとう。ふふ。」
ことり「えへへ♪」
海未「ああ、穂乃果…おはようございます…」
穂乃果「海未ちゃん、眠そうだね…」
海未「穂乃果こそ…すごいクマですよ…」
穂乃果「そう…?昨日ちょっと大変でさ…」
海未「ああ、奇遇ですね…私も…」
ことり「――おはよう♪穂乃果ちゃん、海未ちゃんっ!」
穂乃果「ああ、おはよう、ことりちゃん…」
海未「おはようございます…ことり…えっ、おばさま?」
ことりママ「ボンジュール♪元気ないわね二人とも!」
穂乃果「え、ええ…?」
ことり「さっ、今日も元気に頑張ろ!」
穂乃果・海未 「「お、おー…」
~ おしまい ~
たまにはこんな朝もいいな
和んだ!
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