【ラブライブ!】絵里「これから怖い話をします…」
- 2020.03.30
- SS

ひと仕事を終え、時計を見てみると、19時近く。
絵里「いけない…もうこんな時間」
急いで学校から出ると、妹の亜里沙を呼び出して、外で食事をすることにした。
住んでるマンションからお店までは歩いてもそう掛からない。
絵里「ごめんね。生徒会の仕事が長引いちゃって。」
亜里沙「ううん。外で食べられるから嬉しい!」
久しぶりの外食に亜里沙も喜んでいた。
期待
亜里沙「わたしハンバーグがいいな」
絵里「それじゃ私も同じものを」
しばらくすると注文した料理が運ばれ、二人で食べ始める。
少し食べたところで一息入れようと飲み物に手を伸ばす。
周囲に目をやったその時、斜め向かいの席になんだか陰気な女がいた。
その女は何かを食べているわけでもなく、うつむいてテーブルの一点だけを見ていた。
亜里沙「お姉ちゃんどうかしたの?」
絵里「いえ…なんでもないわ」
特に気にせず残りの料理も食べ終えた。
相変わらず、注文もせずにテーブルの一点を見つめている。
店員もそれを気に掛けることなく、他のテーブルの接客をしていた。
女はもっさりした髪を腰ぐらいまで伸ばしている。
顔は長い髪が邪魔してよく見えなかったが、口元を見るとブツブツ呟いている様だった。
お腹もいっぱいになり、私は会計をする為、席を立ちレジに向かった。
その時、まさに私と同じタイミングで女が立ち上がった。
なんか妙に薄気味悪くて私は急いで会計を済ませてお店を出た。
コンビニに着いて、牛乳だけ買うとすぐに外に出た。
コンビニの中では気付かなかったが、なんと本棚の前にさっきの薄気味悪い女がいた。
髪の長さといい、格好といい確かにあの女だった。
何より気持ち悪かったのは、女は本棚の前に直立不動で立っているが、本棚の方ではなく、トイレの方に向いている事だった。
絵里「あの女、絶対頭おかしいわね…」
亜里沙「お姉ちゃん?」
もしドアが開いて、さっきの女がいたらと一瞬よぎったが、誰もいなかった。
心配した私がバカだったなと思いながら、部屋に戻ると念入りに戸締まりをした。
怖がりな事に自己嫌悪しつつ、その日はお風呂に入ってからすぐに眠ってしまった。
翌朝、朝食と洗面を済ませ、制服に着替え、部屋を出る。
昨日立ち寄ったコンビニの前を通ると、あの女がいた。
それも昨夜と全く同じ位置、同じ向きで。
その時、はじめて私はその女が人間じゃないと理解した。
店内には店員やお客さんがいたが誰も女に気付いていないみたい。
もう見ないようにしようと思ったけど、なんか気になって見てしまった。
女は後ろ歩きで、入口の方に進んできた。
私はその光景があまりに恐ろしすぎて全速力で逃げ出した。
学校に着くまでの間、女が付いて来てないか何度も後ろを振り返った。
嬉しい事に女は付いて来ていない様だった。
学校の中に入って、同級生の顔を見たら何故か安心した。
にこ「はぁ?そんなのあるわけないじゃない。疲れてたんじゃないの?」
真姫「絵里ったらほんと怖がりなんだから」
絵里「でも確かに私は…」
にこも真姫も私の話を信じてはくれなかった。
その日の放課後は生徒会の仕事も無く、スクールアイドルの練習もお休みだった。
早めに帰っても亜里沙がいなかったら心細いので、凛と花陽を喫茶店に誘う。
パフェを食べながら2人にあの女の話をした。
すると、
花陽「絵里ちゃんの言ってる女の人ってこの店に入る時入口にいたよね?」
絵里「ちょっと、変なこと言わないでよ」
凛「入る時?凛は誰も見てないにゃ」
私も店の前で女を見ていなかったけど、花陽はそんな冗談を言う子ではないので嘘をついてるとは思えなかった。
その後は軽く談笑などをして解散となった。
あの女がマンションの入り口に立っていたの。
今度はあきらかに私の方を向いていた。
そして、肩から下は一切動かさず、頭だけをゆっくり前後に揺らしていた。
恐怖のあまり、立ち尽くす事しか出来なかった。
恐怖の絶頂だったが、女から目を離したら間合いを詰めて来そうで、視線を外せなかった。
どのくらい、そうしていたかしら…
「プップー 邪魔だよ!」
道のど真ん中で私が立ち尽くしていたから車の邪魔だったらしい。
絵里「すみません…。」
と、運転手に謝り、女が立っていた方を見たらすでに女は消えていた。
そこからはあまり覚えていない。
気が付くと自分の部屋に着いていた。
その夜は、亜里沙に体調が悪いと告げ、すぐにベッドに潜り込んだ。
ベッドの中で震えながらあの女の事を考えていた。
何故あの女が私の前に現れたか。
私の行く先々にあの女が先回りしているのは何故か。
考えても答えは出なかったし、思い当たる節も全くなかった。
結局、ほとんど眠れずに学校へ行く時間になってしまった。
そのおかげか何事もなく学校に着いた。
放課後、メンバーのみんなとダンスの練習をしていたが、上の空で思うように体が動かなかった。
そんな私に気付いたのか、休憩時間に穂乃果が声を掛けてきた。
穂乃果「絵里ちゃん、最近元気ないね」
海未「はい、なんだか絵里らしくありません」
ことり「何か困ったことがあったらなんでも言ってね?」
絵里「あぁ、ありがとう…。」
と気のない返事をして練習を続けた。
途中でトイレに行きたくなり、ひとり練習を抜け出した。
屋上の階段を下り、廊下を少し歩くとトイレがある。
トイレに入るとすぐに洗面台があり、左右両側に個室といった造りになっている。
左側の1番奥の個室の扉の前に、あの女が…いた。
肩から下は微動だにしていなかったが、頭だけを前後に揺らし、個室の扉に打ちつけている。
「ドッドッドッ」
という、鈍い音が響き渡っていた。
私はなるべく音を立てないように、後ずさりしながらトイレから出た。
そして廊下に出ると全速力でみんなのいる屋上に戻った。
私の慌てた姿に他のみんなは驚いていたが、体調が悪いとだけ伝え早退した。
私は一目散にマンションに戻り、全ての明かりをつけ、音楽も掛けた。
受験生の亜里沙は、この日は塾があるので帰りが遅い。
夕食は友達とファーストフードで済ますとの連絡も入っていた。
気分を紛らわすため、自分たちのレッスンの様子を撮影した動画を見ていた。
しばらくパソコンの画面に向かっていると、
「ピンポーン」
部屋のチャイムが鳴った。
安心して玄関のドアを開ける。
おばさん「はい、回覧板。」
絵里「ありがとうございます。」
おばさんと軽い世間話をしている間、おばさんが私の背中越しに部屋の中を気にしている様子だった。
私は一人分の軽い食事だけ作り、再びパソコン画面に向かった。
軽食をつまみながら動画の編集作業に夢中になっていると、一連の恐怖体験を忘れる事が出来た。
ある程度お腹も満たされ、私はお風呂を沸かした。
20分程すると沸いてきたので、いい香りの入浴剤を入れてお風呂に浸かった。
昨日は入れなかったので、気分もスッキリした。
一旦湯船から上がり、頭と体を洗い、再び湯船に浸かった。
湯船に浸かりながら、何気なく排水溝を見た時だ。
そこには、明らかに私や亜里沙のものではない、紫色の長い髪の毛があった。
私は愕然とした。
この部屋に【あいつ】が来ていたの!?
どう考えてもあの女しかいなかった。
1番安全だと思っていた自分の部屋に、あいつがいる事を想像すると鳥肌が立った。
次の瞬間、期待を裏切らないと言わんばかりに、部屋の中から
「ドッドッドッ」
という音がした。
ここからでは分からないが、あの女が部屋の壁に頭を打ちつけている姿が頭に浮かんだ。
「ドッドッドッ」
という音は時間の経過と共に、
「ドドドドドッ!」
という音に変わった。
逃げる術を失った私は案外、冷静だった。
連日の体験に恐怖に対する免疫が出来ていたのかも知れない。
こうなれば我慢比べだと思った。
「ドドドドドッ!」
という音は尚も続いている。
おそらく、1時間くらいは経ったと思う。
突然、音が止んだ。
しかし次の瞬間、女は風呂場の磨りガラスの前に立っていた。
そして今度は、磨りガラスに頭を打ちつけ始めた。
磨りガラス越しに、腰まで伸びた長いおさげのシルエットが確認できた
それでも女は磨りガラスに頭を打ちつけてくる。
お湯じゃダメだと思った私は、冷水に切り替えた。
すると、
「や゛ぁ゛ぁ゛」と苦しむような声が聞こえた。
冷たい水が有効と思った私はシャワーで磨りガラスに向かってかけ続けた。
「や゛ぁ゛、あ゛っ、ぁ゛~」
女は明らかに苦しそうだった。
「ドンッ!」
今までで1番激しく女が頭を打ちつけてきた。
今度は顔を磨りガラスに押し付けてきた。
そして…
「や゛~」
と叫び声を上げたかと思うと、女は消えた。
私は安堵のため息をつき、風呂場を出た。
脱衣所の足元には、あの女の持ち物なのか大量のタロットカードが落ちていた。
直接触るのは嫌だったので、ゴム手袋をはめて、ゴミ袋にゴム手袋ごと捨てた。
私は着替えて、ゴミ袋を持つと少し離れたゴミ捨て場に置いてきた。
それ以来、あの女の姿は見ていない。
おわり
俺「」ホッ
次のターゲットは花陽というケース
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