【ラブライブ!】真姫「Wonderful Rushのにこちゃんパート、何か違うのよ……」 にこ「はぁ?」
- 2020.03.31
- SS

にこ「何よ、何か文句ある訳?」
真姫「別に何がって具体的に言えないんだけど……何かこう……」
にこ「あやふや過ぎて何も伝わらないわよ……」
真姫「あーもう! 何て言えばいいかわからないけど、とにかく何かが足りないのよ!」
にこ「わかんないわよそれじゃあ!」
凛「んー、ちょっと真姫ちゃんの言ってることもわかる気がするよ?」
真姫「凛! わかってくれるかしら、このモヤモヤ!」
凛「うん、何となくだけどねー」
花陽「じゃあ、試しにやってみよっか? それでわかるかも知れないし」
にこ「望むところよ、文句を言えないくらい、完璧に歌ってやるんだから!」
真姫「じゃあ、流しましょうか」 ポチッ
真姫 スゥ
真姫「ワーーーーンダッフォーーーー」
花陽「はぁ……♡」
凛「相変わらず歌上手いにゃー」
にこ「……」
にこ(よしっ、ここよ!)
にこ「ワオッ! どーしょーかー!」
真姫「ストップストップ!」
花陽「え!? もう止めちゃうのォ!?」
にこ「はぁ!? 何で止めるのよ!」
真姫「もう既にここが違和感なのよ! フザケナイデ!」
にこ「ふざけてなんてないわよ! いくら真姫ちゃんと言えども許さないわよ!」
凛「……何か、わかったかも」
花陽「凛ちゃん、本当?」
凛「うん! にこちゃん、今のところで足りないもの、あったよね?」
真姫「いえ、たしかに足りなかった……そう、足りなかったのよ!」
にこ「だ・か・ら! 何が足りないって言うのよ!」
花陽「えっと、真姫ちゃんの後でにこちゃんがラップ? をするけど、入る前に止められるとちょっと私も……」
凛「うーん、ほら、何て言うか、たぶんそのラップって部分が肝なんだよ!」
真姫「……驚いた、私のモヤモヤの輪郭がどんどん見えてきているわ」
にこ「にこにはさっぱりわかんないわよ……」
凛「たしかにそうだよね……だから、ちょっと凛がやってみるね? かよちん!」
花陽「は、はい!」
凛「かよちんが真姫ちゃんのパートね! 凛はにこちゃん!」
花陽「え? いや、真姫ちゃんが真姫ちゃんのパートやれば……」
真姫「じゃあ、流すわよ」 ポチッ
花陽 スゥ
花陽「ワ↑ー↑ー↑ー↑ー↑ンダッフォーーーー」
にこ「ぶっ!」
真姫(かわいい……)
凛「……ァー」
にこ・真姫・花陽「!?」
凛「イェアー」
にこ(何!? 何なの!?)
凛「ゥーン、ゥーン、イェー!」
凛「ワオンッ! どーしょっかー!」
花陽「待って待って待って!」
にこ「どうしたじゃないわよ! 何なのよ今のは!」
凛「え、でもラッパーの人たちってよく自分のパートに入る前にやってるよね?」
にこ「……たしかにやってるけど」
花陽「ごめんね、花陽はまずそれがちょっとわかんないかも……」
凛「えー?」
真姫「それだわ!」
にこ・花陽「えー!?」
真姫「そうよ! だから何か物足りなかったのね!」
にこ「ちょっと待ちなさい! アンタ正気なの!?」
花陽「そ、そうだよ? もしかしたら他の要因があるかも知れないし……」
真姫「いいえ、まず最初の違和感はここよ。ありがとう凛、おかげで気付けたわ」
凛「ちょっと照れるにゃー」
にこ「イヤよ! 何でそんな可愛くないことしなくちゃいけないのよ!」
真姫「これもμ’sの為になるのよ!」
にこ「ならないわよ!」
花陽「……でも、花陽聞いたことがあるよ?」
凛「かよちん?」
花陽「あのね、何だかヒップホップの人たちがケンカした時に、それに便乗してるアイドルがいたの」
にこ「あぁ、それなら私も聴いたけど……あんまりよくわからなかったわ」
真姫「つまり、にこちゃんはヒップホップをやるべきってこと?」
にこ「アイドルをやらせてよ!」
花陽「そうじゃないけど……でも、そう言うパートをやるのであれば、少しだけ歩み寄るのも大切なんじゃないかな? って」
にこ「……むぅ」
真姫「そうね、まずは一つ目の違和感を見つけたことだし、続けてみましょう」
凛「次はどのへんに違和感があるの?」
真姫「割と早かった気がするけど……まぁそこに行ったらまた止めるわ」
にこ「ねー……これどうしてもやらなきゃダメ?」
花陽「まぁまぁ、もう少しだけやってみよっ、ね?」
にこ「正直にこには真姫ちゃんが何を言ってるのか、さっっぱりなんだけど」
花陽「うん、花陽もあんまりわかってないから、大丈夫だから……」
にこ「何が大丈夫なのよ……」
真姫「流すわよー」 ポチッ
真姫 スゥ
真姫「ワーーーーンダッフォーーーー」
花陽「うぅ、やっぱり花陽と全然違う……」
凛「でも凛はかよちんの方もかわいくて好きだよ!」
にこ「ァー、イェー、ゥーン、ゥーン!」
花陽(本当にやってる……)
真姫(かわいい……)
凛「……」
にこ「ワオッ! どーしょーかー!」
にこ「ドリームズカムットゥーッルー!」
真姫「はいストップ!」
にこ「全然先に進まないじゃないのよ!」
凛「うん、わかったよ」
真姫「じゃあ、お願いね?」
花陽(何か今日の真姫ちゃん、スゴく雑な気がする……)
凛「にこちゃん!」
にこ「何なのよもぉぉ……」
凛「ちゃんと韻踏んで!」
にこ「韻?」
凛「そうだよ! ちゃんと歌詞の中で韻を踏まないと!」
にこ「それはにこじゃなくて海未に言いなさいよ何なのよぉぉぉおお!!」
凛「でもにこちゃん、リズムに乗るって言うことはヒップホップにおいて非常に大事なことで、韻を組み込んでより気持ちいいリズムにすることが……」
にこ「アンタ絶対にヒップホップ好きでしょ!? 何で中途半端に知らないフリするのよ!」
真姫「それよ!」
花陽「それなんだ!?」
にこ「だからそれは海未に頼みなさいってば!」
真姫「本当にそれでいいの? ここはにこちゃんのパートなのよ!」
にこ「求められてるものがよくわからないからそれでいいのよ!」
凛「にこちゃんは別にオフビートで乗せている訳じゃないっぽいし、そもそもトラックが強すぎるから変化球よりも確実に韻を嵌めて……」
にこ「アンタまだその話終わってなかったの!?」
にこ「なっ……!」
真姫「そうね、ちょっと高望みし過ぎたわ」
花陽「ちょっと、二人とも……」
にこ「何よ! 何よ何よ! 絶対に見返してやるんだから、見てなさい!」
それから矢澤にこは、凛と真姫に焚き付けられた結果、とにかく調べた。
新旧の日本語ラップはもちろん、US HIPHOPをメインに海外のものも漁り続けた。
海未に許可をもらい、曲中にある自分のパートは自分で詩を書き、何度も何度も試行錯誤を繰り返し繰り返し――。
効果的なライミング、声質に合ったフロー、トラックのサンプリング元ネタ、リリックにもミスリードを狙うダブルミーニング。
とにかく、自身のスキルを磨く為に、ひたすら調べ、実践を行うことで、その牙を研ぎ続ける。
そして卒業後、遊びに行ったクラブイベントでのショーケースに何度か参加し、現場でのコネクションを作った。
フリースタイルバトルにも顔を見せ、MCとしての知名度を着実に上げて行く。
また、インターネット上で行われているビートジャック企画などにも積極的に乗っかった。
その中でのセルフボーストは単純なものではなく、バックボーンにあるスクールアイドルを押し出し、他との差別化を狙う。
フリーダウンロードのMIXテープも月に3本と言うペースで上げ続けた。
そして数年後、レーベル入りも果たし、これから1stアルバムのレコーディングを行おうと、社長に誘われた飲みの席。
行きつけのクラブでテキーラを一気に飲み干したMC にこにー。
ふと、共にCREWで活動しているDJ NISHIKINOと社長に、己の心境を口にした――。
にこ「いや、にこはアイドルをやりたかったんだけど……」
しかし二人がそれをよしとはせず、そのまま活動を続け、伝説のフィメールラッパーとして名を残すのは、まだ先の話だった。
↑これ歌ってるところ想像したら可愛い
-
前の記事
【ラブライブ!】スクフェス限定勧誘に『Printemps』登場!6/30(日)15時まで!! 2020.03.31
-
次の記事
【ラブライブ!】サンシャインのグループ名が決定!10/7(水)デビューシングル発売!! 2020.03.31