【ラブライブ!】海未「ライフ」
- 2020.03.31
- SS

扉を開け少し進むと、彼女はブルッと震えた
真姫「…さむい」
そう、この部屋は寒すぎた
クーラーの設定温度を間違えたせいである
真姫「消しましょ…」
彼女は暫くの間、クーラーを消すことにした
そして流行りのアプリなどで暇をつぶし、10分程経った頃
真姫「あっつい…」
夏の暑さは一度冷えた部屋を、存分に温めてしまったのだ
そこで彼女は思案する
ここで、もう一度設定温度を上げてクーラーを付けるのもいいが、部屋が冷えるまで時間がある
それまでのつなぎをどうするか…
真姫「!」
彼女は一つ思い立った
「扇風機があるじゃない」
自室から出ると、そのまま物置へと向かい、彼女はサイズも性能も一般的な扇風機を取り出した
そして、よいしょよいしょと自室へ運んでいく
広い部屋に、一つの扇風機が置かれた
コンセントを繋ぎ「強」ボタンを押す
真姫「あー…きもちい…あっ!!ちょっとなんでそっち向くのよ!!」
夏は、些細なことで怒声をあげてしまうものである
彼女は扇風機を、首振りモードから固定モードに切り替えた
そして日本国民恒例の行事が始まった
真姫「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛…」
真姫「わ゛れ゛わ゛れ゛は゛…」
宇宙人ごっこである
彼女は部室の扇風機ではこんなことはしない
自分の部屋だからこそ、出来るのである
しかし飽きがきて、寒さもやってきてしまった
真姫「さて、そろそろしまおうかしら…」
そう言って、扇風機を元の場所に戻そうとした刹那
ピロン♪
彼女の携帯が鳴った
真姫「ん?なにかしら…」
画面を見ると、通知からメールだと分かった
しかしメールとは珍しい
近頃は、全てLINEで済ませるからである
メールを開くと、彼女は怪訝な顔になった
真姫「なにこれ…」
差出人の名前は文字化けしていて、本文だってどこかおかしい
彼女に届いたメールの内容はこうであった
本文:私は地球外であるのですことから。私は、交信によって呼ばれたのある
初の交信となる、含まれている。地球との離れている違う場所で。
宇宙的の橋になることが期待され。
………………………………………………
真姫「…」
彼女に、このメールは無視できなかった
本文まで文字化けしていたならまだしも、全てひらがなと漢字から成された構成
文の構造はおかしいものの、言いたいことが読み取れないでもない…
真姫「これは、まさか…」
普通の人ならこのメールを、どこかのイタズラ好きがやったことに違いないと見るが、彼女は違った
彼女の世界ではクリスマスにはサンタが来、赤ちゃんはコウノトリが運んで来るのである
真姫「宇宙人からのメール!!」
家に帰ればすぐ自室へ行き、扇風機を付け、回る羽に向かって言葉を叫ぶ
その宇宙人とは、ノイズがかった日本語を言うだけで会話が成立した
真姫「わ゛た゛し゛は゛ま゛き゛で゛す゛」
彼女がこう言うと、メールで
「まきさんこんにちは」
などと返ってくるのである
彼女は楽しくて仕方がなかった
それからみんなに自慢したくてたまらなかったが、
「このことは、他人にはだめ」
とのメールが届き、その衝動を抑えていた
世間話だって、わけないのである
他愛ない会話をしていると、不意に宇宙人は切り出してきた
「真姫さん、私と会いませんか?」
彼女には悩む理由がなかった
真姫「いいわね!!」
二つ返事で引き受けると、宇宙人は
「では◯◯の場所で、◯◯日の◯◯時で…」
場所と日時の指定をしてきた
その場所は、家からほんの少しの距離にある公園で、時間は夜遅くであった
真姫「じゃあ、おやすみ」
一通りの話が終わると、彼女は扇風機を切った
もうすぐ宇宙人に会えると思うと、ワクワクして中々眠りにつけなかった
彼女は待ちくたびれていた
彼女はこっそりと家を抜け出し、公園へ向かった
辺りは既に暗闇に包まれていて、携帯と街灯の灯を頼りに歩いた
数分間歩いて、目的の場所にたどり着いた
そして、砂場の側にその姿を見つけた
如何にもな宇宙人
いわゆるグレイというやつ
彼女は歓喜した
真姫「あなたが宇宙人さん!?会いたかったわ!!!」
宇宙人の表情は、暗くてよくわからなかった
宇宙人は手にタブレットを持っていた
どこで手に入れたのだろうか、この世界のものである
その手をササッと動かして文字を入力していく
「私も会いたかったです。そしてすみません、しゃべれないのでこれを使います」
宇宙人の入力は素早かった
会話スピードに支障を来すことはなく、円滑だった
宇宙人は、いずれは地球と交流していきたいと計画していたらしい
そこに、真姫という宇宙と交信しようとする日本人の存在を見つけ、交流の架け橋になってもらおうと考えた
文化、交通、教育、食、他の生命、言語…
彼女と宇宙人の会話は、止まることを知らなかった
花陽:今日の真姫ちゃん独り言ファイルだよ~(url添付)
穂乃果:わーい!!!
海未:さすが花陽です!
花陽:ふふん(^_^)☆
絵里:でも、最近物足らないわね…
花陽:え?
絵里:いや、真姫の独り言はかわいいわよ、そう、ファンシーで…
絵里:けどね、もうちょっと目新しいのが欲しいというか
凛:わかるにゃ(^.^)
花陽:目新しい…
にこ:独り言を加速させるってこと?
絵里:そうねぇ
希:花陽ちゃん、今盗聴器何機設置してあるん?
花陽:4だよ
穂乃果:真姫ちゃんにゲームをやらせるのはどうかな?
海未:中々いいですね…
にこ:あー…でも、リアクションの取れるゲームといったらゾンビ系とかfpsよね
にこ:真姫ちゃんにそんな世界知って欲しくないというかなんというか(._.)
にこ:…いや、やっぱりやって欲しいけど、まだ取っておきたいわね
凛:あー
希:わからんでもない
花陽:うーん…
海未:真姫って、サンタさんとか信じてますよね
絵里:周知の事実ね
海未:その辺りを攻めたいです
花陽:むむ、なにか浮かびそう(´・Д・)
凛:ことりちゃんどうしたの(b_d)
ことり:メール…変なメールとかどうかな
凛:?
ことり:変なメールが届いて…普通の人なら信じないけど、真姫ちゃんなら信じる…とか
にこ:おー
海未:さらにそれに、独り言を加速させるような要素を付け加えると
絵里:いいわねいいわね!!
穂乃果:こういう会話って頭良さそうでかっこいいね
希:みんなが子供のとき信じてた…とか、やってたことってある?
希:あ、季節も考慮したらええやん、かなり狭められる
花陽:スイカ割り、セミ捕り
凛:凛はお化けを信じてたよ…今も怖いけど、小さい頃の夏の夜なんてもっと
穂乃果:へ?
海未:扇風機に、あーーーってやるやつです
穂乃果:今もやるよ!!
凛:凛もよくやるよ(^-^)
海未:それで言うんですよね
海未:われわれはうちゅうじん…
希:wwwwwwwww
花陽:それ!!!
絵里:え?
花陽:真姫ちゃんが家で「あーーー」ってやるでしょ?
花陽:そのときにメールです!
花陽:私は宇宙人
花陽:そうしたら真姫ちゃんはどうなるか?
凛:あー、交信できたと思って…
絵里:扇風機に向かって喋り続けるわね
穂乃果:かわいい
ことり:かわいい
にこ:それいいじゃない
海未:使ったら計画はじめ!でいいんですよ
花陽:そうだね
花陽:じゃあ、具体的なプランを練っていこう
……………………………………………
花陽:こんな感じかな?
海未:完璧ですね
穂乃果:いいね!!
希:待ち遠しい…
彼女は待ちくたびれていた
ポチポチ
花陽:行きます!
穂乃果:いよいよだね…!
凛:宇宙人の着ぐるみはちゃんと着た?
花陽:ばっちし!
絵里:カメラは?
花陽:もちろんあるよ( ´ ▽ ` )ノ
希:ちゃんと報告するんよ
花陽:目と耳とカメラに焼き付けるよ!
にこ:そろそろ時間じゃない?
花陽:うん、そろそろ向かうね
ことり:健闘を。
海未:健闘を。
彼女はこっそりと家を抜け出し、公園へ向かった
辺りは既に暗闇に包まれていて、携帯と街灯の灯を頼りに歩いた
数分間歩いて、目的の場所にたどり着いた
待ち合わせ時間より、10分ほど遅れた到達であった
これは、もちろんわざとである
遅れた登場の方が、真姫の喜びが増すだろうと考えた結果だ
真姫はどこかと、公園に目を配らせる
しかし
花陽「いない?…遅れてるのかな」
真姫の姿は見当たらなかった
花陽「約束を忘れて寝ちゃったのかな…」
彼女の中で、その可能性は0に等しい程だった
今回のような出来事に、ワクワクした真姫が眠れるはずがないのだ
だが現実に、彼女は来ない
なんとも悩ましい
予定の時間より1時間が経過した
それでも真姫が来ることはなく
さすがに彼女は帰ることにした
胸にはモヤモヤが残っていた
花陽「なんでこなかったんだろう…?」
穂乃果:ええぇ!?
海未:そんな…
凛:どういうこと(^∇^)
穂乃果:えええええええ
希:なんで
絵里:おかしいおかしい
穂乃果:あぉあああああああああ
ことり:寝るはずないよね…
花陽:うん…
にこ:でも寝たのよね
花陽:うん
真姫:いや見つけた時普通に歓喜したわ
海未:例の写真は?
真姫:(画像添付)
海未:ああああああああああああああ♡
海未:少々暗いですがわかりますわかりますよ!!!!宇宙人の格好です!!
海未:すばらしいですね!!!!!!!
海未:協力に本当に感謝します!!
真姫:海未の所為で変なものに目覚めちゃったじゃない!
海未:変なものとは失礼な!!
海未:私のこの趣味だって元はと言えば、ことりから伝達したものですよ
真姫:ああ、ことり
真姫:そうそう
真姫:何回も言うけど、宇宙人じゃないって聞いた時、かなりショックだったのよ…
海未:こちらだって何度も言いますが
海未:メンバー全員のコスプレ写真やギャップネタ、仕草ネタを用いたら、すぐに堕ちたじゃないですか
真姫:ギャップとか仕草なんてものが、あそこまで良いものとは知らなかったのよ
海未:知らないものを知るのはいいことです…
海未:今日のために頑張って勉強した彼女が、可愛くて仕方ありません
真姫:難しい話を引き出すために難しい話題を振ったら、ちょっとだけたじろいでたわよ
海未:ああああああああああああああああああああああもっと聞かせてください!!!!!!
真姫:私だって話したいのよ、ええと、そうそう…
公園が偶然二つあったのは感謝だよ!
花陽ちゃんにバレないよう場所を変更するのは緊張したけど
カチッ
「あなたが宇宙人さん!?会いたかったわ!!!」
あ~♡
カチッ
「あなたが宇宙人さん!?会いたかったわ!!!」
本当に可愛いよ!!!!
真姫ちゃんのレア音声は穂乃果だけのもの…!
あと、穂乃果に会った時の表情!!
それから文化に触れた時の輝いた顔!
勉強して良かった…本当に良かった
そろそろ花陽ちゃんがLINEするかな…
ピロン♪
おっ、来たね…驚いた感じで返信をして…よし
…穂乃果だけのものにしたいけど
音声は明日から、にこちゃんに編集してもらおっかな…
もちろん口は封じて…
ふふふ、明日からの生活が楽しみ!!!!!
真姫ちゃん万歳!!!
おわり
親子丼の人かな
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