【ラブライブ!】にこ「にっこにっこにー♪」
- 2020.03.31
- SS

にこ「後もう少しでにこの誕生日……!」
にこ「今まではママとこころ達にしか祝ってもらえない、ささやかな日だったけど…」
にこ「今年はμ’sとしてメディアの露出も増えたし!!Twitterにはお祝いリプが殺到するわね!」
にこ「…μ’sの皆も祝ってくれる、かしら?」
にこ「なんかやけに今日はソワソワしてて誕生日のこと言えなかったし……」
にこ「もう…忘れてたら承知しないんだから!」
にこ「カウント…5、4、3、2……」
────ドーーーンッ!!!!
にこ「きゃぁ!??」ドサッ
にこ「な、何!?今、凄い家が揺れたけど……」
こころ「お姉さま!!」バタンッ
にこ「こ、こころ!?そんなに急いでどうしたの!?」
こころ「て、テレビを!テレビを見てください!」
にこ「テレビ……?」
『原因は宇宙から史上観測最速で飛来してくる隕石と見られ、これについてNYASAから緊急発表があります』
『────えー、今回の隕石は稀に見る程の超スピードで地球に向かい、飛来している』
『計測の結果、威力は地球を余裕で吹き飛ばすほどだと判明した』
ここあ「ち、地球を……!??」
にこ「静かに!!」
『残念なことだが、地球は、人類は本日をもって滅亡してしまうだろう────』
にこ「滅亡…?」
にこ「な、なんで…?」
────ピロンッ♪
にこ「ひゃっ!?…ぐ、グループ通話??」
穂乃果 『地球終わっちゃうってほんとー!?穂乃果、まだ死にたくないよー!!』
海未『お、落ち着きなさい!!ま、まだ本当に滅亡すると決まったわけでは……』
絵里『でもあのNYASAよ?あそこまで切羽詰まった発表ってことは相当だと思うわ』
花陽『ど、どうしよう…!!とりあえず今の内にお米を……!!』
凛『かよちんダメーー!また太ってダイエットが大変だよーー!?』
ことり『死んじゃうんだからダイエットは必要ないんじゃ……』
にこ「な、なかなかカオスね……ってか!!今日が何の日だか、あんた達忘れてない!?」
穂乃果『あーー!そういえばそうだったね!おめでとう!!にこちゃん!!』
にこ「なによそれ!!もう…生まれてから今までで最悪の誕生日じゃない……!!」
凛『ほんと、ツイてないにゃー。折角今日部室の準備を────』
花陽『凛ちゃん!!』
凛『あ、ごめん…。これ内緒だった……』
にこ「準備……?」
絵里『そうよ!なんでもないのよ!……あ、それより希と真姫はどうしたのかしら?』
ことり『さっき、少し考えたいことがあるからってLINEがあったよ~』
花陽『そっか…。そうだよね。私達もこれからのこと、考えなきゃいけないのかな』
海未『くっ…まだ死ぬ前にやりたいことが沢山あったのですが……』
にこ(なんか話をはぐらかされた気がする……)
『『……』』
絵里『…理事長の言う通りよ。残された時間を有意義に過ごしてちょうだい』
穂乃果『…うん』
凛『…はぁ』
にこ「……」
────ポスッ
にこ「はー…最悪。最悪中の最悪だわ」
にこ「Twitterも……やっぱり。みんな隕石ばっかりでリプどころか話題すら無いわ……」
にこ「なんなのよ……っ!神様のばかっ!!」
にこ(……残された時間、かぁ)
にこ「…んっ……朝、ね」
にこ「とりあえず朝食を……って、あら?なんかいい匂いが…」
────ガチャ
にこママ「あら、にこおはよう。早いわね」
にこ「ま、ママ!?どうして??今日は泊まり込みだって……」
にこママ「こんな状態ですもの。仕事も無いから夜のうちに帰れたの」
にこ「あ……そ、そうよね……」
にこ「や、やめてよママ!これはにこがやりたくてやってることなんだから!!」
にこママ「でも…でも、こんな日だからかしら……キチンと母親らしく仕事をしてあげれてたら…なんて考えちゃうの……」
にこママ「そしたら…今日の最後の日までにもっと、もっとやりたいことをさせてあげられたのかしらって……っ!」
にこ「……」
にこママ「…ごめんなさい……」グスッ
(……なんでだろう)
にこ「こ、虎太郎……」
こころ「あ、あの…お姉さま…」
ここあ「お姉ちゃん…」
にこママ「二人とも…!?聞いてたの?」
こころ「す、すみません…!でも、聞こえてきてしまって……」
ここあ「…ごめんなさい」
こころ「…私達も、もう少しお手伝いできていれば……っ!」グスッ
ここあ「お姉ちゃんにばっか迷惑かけちゃって……ぅ」グスッ
(今日は私にとって凄く大切な日な筈なのに)
にこ「にこは家族みんなの役に立てたことが嬉しいニコっ!♡」
にこ「それより、今日はにこの誕生日!盛大にお祝いして欲しいなぁ~!☆」
(心が、痛い)
『放送休止中』
────プツンッ
ここあ「どこのチャンネルもやってないよー」
虎太郎「つまんなーいー」
にこママ「仕方ないわよ。みんなお仕事より家族や生活の方が大事だもの……」
にこママ「最後の日なんだし、悔いの残らないようにしないとね……」
にこ(悔いの、残らないように……)
『残された時間を有意義に過ごしてちょうだい』
にこ(…学校、最後に行きたいわね……)
にこ(なんだかんだ言って、μ’sとして活躍できたあの学校が…にこにとっては最高の宝物だから……)
にこ「な、なに!?ママ」
にこママ「行ってきなさい」
にこ「…へ?」
にこママ「学校、行きたいんでしょう?」
にこ「で、でも……っ!」
こころ「お姉さま!行ってください!!」
ここあ「私達のことは大丈夫!それより、お姉ちゃんが後悔する方が嫌だよ!!」
虎太郎「おねーちゃんー」
虎太郎「いってらっしゃーいー」
にこママ「…ね?」
にこ「…わかった。絶対、絶対帰ってくるから!!」
にこ「行ってくる…!!」
にこ(せめて最悪なら…!最後くらい自分の手で変えてみせるわ…!!)
にこ「とは行って、来てみたものの……」
にこ(休校なんだから門が開いてるわけ……)ギィッ
にこ「か、鍵が外れてる…。もしかして……!」
「おーーい!!!にこちゃーーーん!!!」
にこ「この声は…!」
穂乃果「にこちゃーん!!こっちこっち!!みんな屋上にいるよーー!!」
にこ「やっぱり!おっけー…今から行くわ!!」
────ガチャッ
にこ「…あんた達、やっぱりここなのね」
穂乃果「あはは…やっぱり、最後くらいはここに来たくて……」
海未「私も。別に約束などしていたわけではないのですが…自然とここへ……」
ことり「ことりも…。思い出の場所だから、かな?」
凛「凛はかよちんの家に行ってたんだけど、二人で行きたくなっちゃったんだよねー!」
花陽「うん…。やっぱり、花陽の運命を大きく変えてくれた場所だから……」
絵里「そうね…。私達μ’sはここで始まり、ここで大きく成長した。それは私の大切な宝物ですもの」
海未「…仕方ありません。人にとって、大切ものは違いますから……」
にこ「別に責めてるわけじゃないわ。ただ、最後くらい会っておきたかったなぁって思っただけよ」
凛「…ねぇ。凛達、ほんとにこのまま死んじゃうのかなぁ」
穂乃果「っ!り、凛ちゃん……」
絵里「…そうね。予告通りなら今日中には隕石が地球に衝突するわ」
絵里「…見て。あの太陽の横……」
ことり「もう目視できるところまで来ちゃってるんだ……」
海未「不謹慎かもしれませんが……なんとなく、神秘的な感じがしますね……」
にこ「神秘、か」
にこ「ほんとにそうなんだとしたら……」
にこ「神様ってやつは、ホントにどうしようもない奴ね……」
海未「え?」
穂乃果「やっぱり、死にたくない!穂乃果、こんなところで諦めたくないよ!!」
穂乃果「やっと廃校を阻止して!ラブライブにも優勝できて!!叶わない、夢物語だと思ってたこと、全部形にしてきたのに!!」
穂乃果「こんなところで!全部消えちゃうなんて…そんなの嫌だ!!」
ことり「穂乃果ちゃん……」
穂乃果「にこちゃんだって、そう思うでしょ!?」
穂乃果「誰よりもラブライブに情熱を注いできた…にこちゃんなら!!!」
にこ(ずっと、ずっと憧れだった…。スクールアイドルとして、頂点に立つこと……)
にこ(独りぼっちだったあの時、一筋の光が差し込んで……私は、夢を形にした)
にこ(過去の自分を…認めることが出来た……っ)
にこ(…そうよ、私はここに何をしに来たの?)
にこ(不幸続きだった運命にケリを付けるため。バカみたいな神様の脚本に、文句を言いに来たんでしょ?)
にこ(だったら……!!)
にこ「今までの自分を…一瞬で否定されるなんて、そんなの絶対に許さない!!」
にこ「変えてみせる…!どんなことをしても、この運命から逃れて見せる……!!」
「よう言うたね、にこっち」
「にこちゃんなら、そう言うと思ってたわ」
にこ「!?」クルッ
希「やっぱりみんなここにおったんやね。まぁ、探す暇と説明する暇が省けてよかったやん?」
真姫「そうね。あんまりゆっくりしてる時間は……無いみたいだし」
真姫「希、さっそく準備に取り掛かるわよ」
希「りょーかい」
真姫「……あのニュースを聞いてから、いてもたってもいられなくなって。なんとかして隕石を防ぐ方法を考えてたの」カチャカチャ
真姫「とにかく巨大な隕石だわ。威力も、スピードも、これまでとは比べ物にならないくらい……」
真姫「あれほどの大きいものを吹き飛ばすには通常じゃ考えられないくらいの力が必要になるの」カチッ
希「……でも、それって言い換えれば「通常じゃ考えられないくらいの力」があればええってことやん?」スッスッ
希「そこで、うちのスピリチュアルと、真姫ちゃんの西木野家の科学力を駆使してその方法を確立した……」ピラッ
希「…うん。星も運命も、バッチシ計算通りに事が運んどるよ、真姫ちゃん」
真姫「こっちも準備完了したわ。説明も、そこそこできたしね」
凛「見たところ、小型のスピーカーに見えるよ?」
真姫「近いけど、ハズレね。これはみんなの力を集めて巨大なエネルギーにする装置よ」
海未「私達の……力?」
希「あの隕石を吹き飛ばすには巨大な力が必要なん。その威力を出すことが出来るのは……」
真姫「アイドルで、決め技があり、そして、今日が誕生日の人……」
穂乃果「そ、それって……!」
真姫「にこちゃん。貴女があの隕石を止めるのよ」
にこ「…え?えぇーーー!!??」
真姫「一人じゃないわ」
希「確かににこっちにはあの隕石を止める素質がある……でも、勿論にこっちだけの力じゃ絶対に無理や」
希「でも、そこにウチら8人の生命力が重なれば……とてつもないパワーを生み出せる」
希「その生命力を、にこっちに渡すのが、その装置なんよ」
ことり「でも、どうやって渡すの?」
真姫「やり方は簡単よ。この装置に向かって『にっこにっこにー♪』ってやればいいの」
凛「なーんだ、簡単だね!それならさっそく凛からやるよ!せーの!にっこ────」
真姫「待って!!」
凛「えぇ!?ど、どうしたの?はやくしないと隕石が……」
真姫「それがどういう意味だか……わかる?」
花陽「…まさか……っ!」
海未「っ!!つまり、そういうこと、ですか?」
穂乃果「ど、どういうこと!?何か、大変なことでも起きちゃうの!?」
絵里「そうね。凄く、大変なことになるわ」
凛「ど、どうなっちゃうの……?」
希「すなわち、それこそがこの世界に存在することの出来るパワーなんや」
真姫「その力を全て失ってしまう、ということは……」
絵里「…消えてしまうのね、この世から……」
凛「凛達、消えちゃうの!?せっかく世界を救うのに!?」
真姫「正確にはにこちゃんの魂と融合するということね。私達の力が一つとなり、にこちゃんの爆発的な潜在能力を引き出すの」
真姫「でも一度融合した魂は、また分かれることは無いわ……だから、深く考えて────」
にこ「…ふっざけんじゃないわよ!!!」
にこ「あんた、他人の命をなんだと思ってるの!?そんなんじゃ、なにもしなくても変わりないじゃない!!」
にこ「にこはねぇ!!この9人で助かりたいの!!μ’sは、この9人じゃなきゃダメなのよ!!」
にこ「そんなの、認められない…他に方法を────」
真姫「…そんなの、無いわ」
にこ「!!」
希「でも…これ以外に助かる道は無かった。世界のスーパーコンピュータが、全世界の科学者が総力を上げて計算しても……」
真姫「私だって、こんなことしたくない。でも、こんなつまらないもので、世界が滅んで欲しくない」
真姫「それに…にこちゃんだけは、助かるから……」
海未「……くっ!」ダンッ
海未「なんと…なんと重い選択なんですか…!どちらを選択しても……にこが……っ!」
花陽「にこちゃん……」
にこ「今まで、誕生日なんてささやかに終わっていくものだった」
にこ「1年365日。ほかの子にとっては大事な日でも、私にとってはそうでもなかった……」
にこ「…最低よ!!こんな誕生日!!!失って、失って……最後の最後に手に入れたと思ったら、また捨てろと言うの!??」
にこ「なんなのよ…なんなのよ一体!!」
────グラッ!!
真姫「みんな気をつけて!!隕石が近づいて…塵が降ってきたんだわ!!」
────ズドンッ!!
ことり「こ、校庭に……穴が……っ!」
希「しっかり掴まってないと……振り降ろされそうや……!」
絵里「もう、時間が無いわね……」
絵里「…にこ、決断して。やるか、やらないか……全ては貴女次第よ」
にこ「そ、そんな!これをやったらアンタ達が消えちゃうのよ!?私にそんなの…決める権利があると思う!?」
にこ「嫌よ!だったら一緒にここで終わりにした方が……っ。一緒に……このまま……」
穂乃果「────やる」
にこ「…え?」
にこ「や、やめなさいよ!!もういいのよ…仕方なかったの!やっぱり…やっぱり……っ」
穂乃果「…そんな事ない!!」
穂乃果「にこちゃんは、ずっと夢を叶えてきた。私も、夢を追いかけてきた」
穂乃果「それは、全部μ’sがあったから……。この音ノ木坂学院を、何が何でも守りたいと思ったから!」
穂乃果「その音ノ木坂も、街のみんなも、ファンのみんなも、地球も。全部、全部壊されようとしてる」
穂乃果「そんなの、絶対やだ!!」
穂乃果「絶対に…救ってみせる……」
にこ「穂乃果ぁあああ!!!!」
穂乃果「……にっこにっこにー♪」
────スゥ-ッ…パァッ
にこ(一瞬だった)
にこ(光に包まれた穂乃果を止めようとしたけど)
にこ(伸ばした腕は、虚空を通り過ぎ、バランスを崩して前から倒れた)
にこ(最後に…穂乃果は、笑いながら泣いていた……)
ことり「……」スタスタ
にこ「ま、待ちなさい!アンタまで────」
ことり「…にこちゃん。宇宙No.1アイドルの……。最後まで服を作ってあげられなくてゴメンね?」
ことり「それだけが、ことりの悔しい所です」
ことり「…音ノ木坂学院を、お母さんを、よろしくお願いします……」
ことり「…にっこにっこにー♪」
────スゥ-ッ…パァッ
にこ「ことりぃぃいいいい!!!」
にこ(無力だった)
にこ(目の前で繰り返される惨状に)
にこ(ただ、声を張り上げることしかできなかった────)
にこ「…ねぇ、海未。もう、止められないの…?」
海未「…身勝手な願いで申し訳ありませんが……」
海未「私は、にこだけでも助かって欲しいと思います」
海未「にこがμ’sを、私達9人を大切なように。私達9人も、にこのことを大切に思っています」
海未「……これからの世界を、これからの音ノ木を。よろしくお願いします」
にこ「……くっ!!!」
海未「…穂乃果、ことり。今からそちらへ向かいます。まったく、貴女達二人は私がいなくちゃダメなんですから……」
海未「……にっこにっこにー♪」
────バシュッ
────スゥ-ッ…パァッ
凛「…ねぇ、にこちゃん」
凛「にこちゃんは…ずっと、凛達の事。覚えててくれるよね?」
凛「もう、顔も、声も、何もわからなくなっても……いつまでも…お婆ちゃんになっても……」
凛「覚えてて、くれるよね?」
にこ「…当たり前でしょ」
にこ「忘れたくても…アンタみたいなお転婆娘、忘れられるわけないわ……っ」
凛「…えへへっ。よかった……じゃあ、凛はもういいかな……」
凛「かよちんは…?一緒に、行く?」
花陽「にこちゃん…。短い間だったけど、ありがとうございました」ペコリ
花陽「初めて会った時から憧れで…。体は小さくても、知識も、心も、花陽とは比べ物にならないにこちゃんに会えたことが……」
花陽「…花陽、一生の勲章です……っ」グスッ
にこ「…一言多いのよ……ばか……っ」
花陽「えへへ…。たまには、花陽のことも思い出してください……ね?」
にこ「…約束するわ」
花陽「…うん。じゃあ、行くね……」
花陽「凛ちゃんだって……右手…」
凛「あはは…じゃあ、手、繋ごっか?」
花陽「うん…。…あったかい……」
凛「小さい時を思い出すね……」
花陽「……初恋、でした。凛ちゃんのこと、誰よりも大好きだよ……っ」
凛「っ!!り、凛も……かよちんのこと、世界で一番……好きっ!!」
「「えへへ…。じゃあ、せーのっ」」
「「…にっこにっこにー♪」」
────バシュッ
────スゥ-ッ…パァッ
にこ「……バカっ…」
にこ「最後の最後まで…バカばっかりよあの子達は……っ!!」
にこ「後悔、するんじゃないわよ」
絵里「そんな事無いわ…。ただ、亜里沙のことが少し心配ね」
絵里「後のこと、お願いしてもいいかしら」
絵里「あの子、μ’sに入りたい。スクールアイドルになりたいって、言ってたから……」
にこ「…安心しなさい。にこが責任をもって、何処に出しても恥ずかしくない、宇宙No.2のアイドルにしてあげるわ」
希「…えりち。ウチも、後から行くな?」
絵里「…えぇ。少しの間、お別れね」
希「ウチがいなくても…みんなと仲良くやるんやで……?」
絵里「大丈夫よ…。あの子達の前なら、私」
希「……おやすみ、えりち」
絵里「……おやすみ、希」
絵里「にっこにっこにー♪」
────バシュッ
────スゥ-ッ…パァッ
にこ「次は……あんたが行くの?」
希「うん。ウチが入って、機械の中から補強せなアカンからなぁ」
にこ「…あんたって、いっつもそういう役回りよね」
希「ふふっ…。もう慣れてもうたよ……」
にこ「この装置でエネルギーとなった皆は、私の中で永遠に生き続ける。そうよね?」
希「そうや。どこにいても、ウチらはにこっちの魂と共にある」ペラッ
希「……正位置の星。大丈夫。にこっちの未来は絶対にいい風周りになるよ」
希「…ウチらμ’sは凄まじい程の因果で結ばれとる。だからこそ今回の計画は成功するんや」
希「また、会えるよ。そしたらまた、μ’sとしてやり直そ?」
にこ「そのときは、また9人の歌を歌いたいわね」
希「もう…っ。最後の最後に泣かせんといて……っ」グスッ
にこ「……行ってらっしゃい、希」
希「……行ってきます、にこっち」
希「真姫ちゃん、後は頼んだで」
真姫「…誰に向かって言ってるのよ…っそれ……」
希「…泣き虫で、意地っ張りな真姫ちゃんに」
真姫「っ!も、もう!!」
希「……にっこにっこにー♪」
────バシュッ
────スゥ-ッ…パァッ
真姫「…終わった、わね…」
にこ「真姫ももう行くの?」
真姫「いえ。私はにこちゃんをある場所へ連れていなくちゃいけない」
にこ「ある場所?」
真姫「着いてきて」
にこ「…ここって……」
真姫「そう、神田明神。計算によるとここが隕石の最終落下地点となってるわ」
にこ「つくづく私達に縁のある隕石ね。μ’sの大ファンなのかしら?」
真姫「……いい?私が入った瞬間。自動的に、にこちゃんの体に私達のエネルギーが充電される」
真姫「そしたらそのエネルギーを体で感じつつ、隕石に向かって最高のにっこにっこにー♪をかましてやって」
真姫「そうすれば、絶対に成功するわ」
にこ「……わかった」
にこ「…何も言い残さないの?」
真姫「…この研究を始めた時から、パパとママにはもう別れを済ませてあるの」
真姫「そして、これからのにこちゃんへの支援も頼んであるわ」
真姫「何かあったらいつでも頼って」
にこ「なによ…。可愛くないわね……」
真姫「…じゃあ、もう2度と会わないだろうし。これから言うのは独り言ね」
真姫「……お誕生日、おめでとう…ふ、普段は少し突っ張っちゃうけど……私の曲を褒めてくれて、私の曲を歌ってくれて…感謝してる……///」
にこ「もう…最初からそう言えばいいのに」
真姫「い、今のは独り言!!気にしないで!!」
にこ「はいはい。そういうことにしておくわよ」
真姫「だーかーらー────」
────ドンッ!!!
真姫「あんまりお喋りしてる余裕はなかったみたいね……」スタスタ
真姫「それじゃ、後はよろしく頼むわ。……健闘を祈る」
にこ「…宇宙No.1アイドルに任せときなさい」
真姫「…そうだ。この隕石の事が終わったら、今日中に部室に行ってみて」
にこ「部室?」
真姫「いい?今日中よ?……約束ね」
にこ「わかった。約束するわ」
真姫「…にっこにっこにー♪」
────バシュッ
────スゥ-ッ…パァッ
にこ(真姫ちゃんが入った途端、機械が8色に光りだし、包まれる)
にこ(……そして、オレンジの光が私の中に入る)
穂乃果『にこちゃん!ファイトだよ!』
にこ(二つ目は水色……)
絵里『にこ。頼りにしてるからね?』
にこ(三つ目は白色……)
ことり『絶対に、成功させようね?』
にこ(四つ目は青色……)
海未『最後まで、気を抜いてはいけませんよ?』
にこ(五つ目は黄色……)
凛『よーし…いっくにゃ~!!』
にこ(六つ目は赤色……)
真姫『失敗なんて、許さないんだからね?』
にこ(七つ目は紫色……)
希『にこっち。いつまでも見守ってるよ』
にこ(八つ目は緑色……)
花陽『ファイト、です!!応援してます!』
にこ(みんなの力が。みんなの思いが私の体の中を駆け巡る……)
にこ(いける…これなら……いけるっ!!)
にこ「……」ゴクリ
にこ(その圧倒的な大きさと速さに、後ろへ脚が引きそうになる)
にこ(肩は震え、涙は止まらず、頭も、うまく回らなくなってきている)
にこ(でも……なぜか。凄く暖かい)
にこ「目を閉じて……」
にこ「イメージするのは…9人で一緒に成功させたラブライブ……!!」
にこ「いくわよ…隕石……!!」
にこ「これが、宇宙No.1アイドル。μ’sが生み出した────」
にこ「世界最強の技!!!」
にこ「やったわ…!隕石を…破壊できた!!」
にこ「つ、つっかれた……」バタンッ
にこ「……見てたかしら?穂乃果、絵里、海未、ことり、花陽、凛、真姫、希……」
にこ「にこ…やったわよ。世界を、アンタたちが守りたかった物、全部守ったわよ」
『今日中に部室に行ってみて────約束よ』
にこ「……っと、そうだったわね。とりあえず行ってみましょうか」
にこ(それにしても、いったい何が……)
────ガチャ
【にこちゃん!お誕生日おめでとう!!】
にこ「な、なにこれ…。ポスター?」
にこ「電気電気……っと」カチッ
にこ(そこで、にこが見たものは。綺麗に飾り付けられた部室だった。)
にこ(折り紙で作った花飾り。クレヨンや絵の具で綺麗に描かれたμ’sの絵)
にこ(机の上にはパーティー用のグッズが所せましと並んでいた。)
にこ(昨日は突然の部活が休みだった。つまり、これは────)
にこ「っ!!」ハッ
にこ「……バカねっ…。ほんと、バカ……」
にこ「一人で祝ったって…つまんないでしょうが……っ!」
にこ「バカ……バカ、バカ、バカぁ……っ!!」グスッ
絵里「ひゃぁ!?な、何?急に大声出して……」
にこ「…へ?絵里?なんでここに……?」
穂乃果「ど、どうしたの?何か悪い夢でも見た?」
にこ「ほ、穂乃果……?」
海未「もう……だから寝ない方がいいと言ったんです。そんな寝辛い所では悪夢を見るに決まってます」
ことり「まぁでも徹夜したっていうなら仕方ないよ……」
凛「にこちゃんも笑っちゃうにゃー!自分の誕生日を1日間違えてずーーっとお誕生日リプを待ってたなんて!」
花陽「り、凛ちゃん、その辺にしておいて……」
にこ(な、なに?ど、どうなって……)
希「お待たせーー!ケーキ買ってきたよ!!」
真姫「もう…そんな急がなくても……」
にこ「ふ、二人とも!?あれ?隕石は?あの機械は??」
希「隕石?なにゆーてるの?にこっち」
真姫「夢でも見てたんでしょ…ほっぺにヨダレが────きゃっ!??」
にこ「よかった…!夢、夢で……!!よかった……よかった……!!」
真姫「ちょっ///だ、抱きつかないで……って!制服!!制服にヨダレが……っ!!」
にこ「みんな、みんな無事で良かったぁ…!!一人ぼっちなんてもう嫌……!!お願いだからもう1人にしないで……っ!!」
にこ「大好きなみんな…もう2度と離れないで……っ!!」
海未「余程辛い悪夢を見たのでしょう…。あのにこにここまで言わせるなんて……」
希「ふふっ。いっつもこうやって甘えん坊なら可愛いんやけどなぁ~?」
凛「あははっ!にこちゃん赤ちゃんみたいー!」
花陽「ふ、普段は弱みを見せない子が突然の涙で弱い子アピール…!流石はにこちゃん!アピールポイントとして最強です!」
穂乃果「……ふーん。そうだ!なら、ちょっと早いけどもうアレ、やっちゃわない?」
ことり「あ、賛成~!そしたらきっと、にこちゃんも喜んでくれるよ~」
────ズラッ
にこ「…な、なにを……?」
穂乃果「では皆さん、ご一緒に!」
「「にっこにっこにー♪」」
(史上最悪の誕生日)
にこ「……んもぅ、なってないわね!」
(そんなものは何処にもなかった)
にこ「いい!?こうなったらにこが世界で一番最強のを見せてあげるわ!!」
(きっと昔は悪くても)
穂乃果「おぉっ!にこちゃん、もう立ち直った!」
真姫「ほんと、単純なのね……」
にこ「凄いのよ!?にこのはね、隕石すら粉々にしちゃうんだから!!」
(だからこそ、辛い時でも前を向いて)
絵里「だから隕石ってなんなの……?」
希「にこっち、いつになく張り切っとるなぁ」
(常に全力で生きていけば……)
にこ「いっくわよー……?せーのっ!!」
にこ「にっこにっこにー♪」
(また、笑い会える仲間に出会える)
おわり。
にっこにっこにー♪ ありがとうございました。
乙
素晴らしかった
今日一だったわ
乙
-
前の記事
【ラブライブ!】ブシロードから新商品「トレーディングミニ色紙vol2」「A2タペストリーVer.4」が登場!! 2020.03.31
-
次の記事
【ラブライブ!】7/27(月)までスクフェス限定勧誘に「lily white限定」が登場!今回の対象はこちら!! 2020.03.31