【ラブライブ!】にこ「えりぎつね」
- 2020.04.03
- SS

えりは、ひとりぼっちの小ぎつねで、いつも村にやって来ては、いたずらばかりしていました。
穂乃果「あー! また、お店のおまんじゅうとられたー!」
えり「しめしめ。穂乃果の家のおまんじゅうはおいしいな~♪」
海未「畑のいもが掘り返されています! えりのしわざですね!」
えり「うふふ、海未、ガードが甘いわね~」
ことり「マケミちゃん人形にヒゲが書いてあるよぉ・・・・・・うぇーん」
えり「やっぱりいたずらは楽しいチカ♪」
いたずら好きのえりのいたずらに、村の人たちは、いつも手を焼いていました。
えり「あら、にこじゃない」
川の中にいたのは、村の百姓のにこでした。
にこは着物をまくしあげ、川の中で、魚をとる「はりきり」というあみを動かしています。
えり「魚でもとってるのかしら。隠れて見てるチカ」
にこは、はりきりあみの一番後ろの、ふくろになった部分を川から上げ、中身をびくの中へ入れました。
それから、びくを土手に置き、なにかを探しにか、川上の方へとかけていきました。
えり「にこ、行っちゃった。よーし、びくの中になにが入ってるのか、のぞいてみるチカ」ソロリソロリ
えり「なにかななにかな・・・・・・?」ノゾキ
えり「わ、ひっくりかえっちゃった!」
ニュルニュル
えり「きゃっ、なにか巻きついてきた!? ・・・・・・うなぎだわ!」
えり「いやーん、にゅるにゅるして気持ち悪い・・・・・・」
タタタタ
にこ「こらー! そこのあんた、なにやってんのよ!!」
えり「まずいわ、にこがもどってきた! 逃げなきゃ!」
えり「ああん、うなぎがはなれてくれない・・・・・・このまま逃げるチカ!」
にこ「この、どろぼうぎつねー!!」
えりは、うなぎを体に巻きつけたまま、いっしょうけんめいに逃げました。
しばらく走って、後ろをふりかえってみましたが、にこはもう追いかけてはきませんでした。
えり「なにかしら? お祭りでもなさそうだし。みんな、暗い顔をして・・・・・・」
えり「もしかして・・・・・・お葬式かしら?」
えり「にこの家のだれかが、死んじゃったの・・・・・・?」
えりが、そっと家をのぞくと、だれかが横になっているふとんの前で、にこが元気なく座りこんでいました。
にこの両どなりには、小さな双子のにこの妹たちが、にこにしがみついて、わんわん泣いています。
にこは、必死に涙をこらえているようでしたが、体が小さくふるえていました。
えり「そうか・・・・・・死んじゃったのは、にこのお母さんね・・・・・・」
真姫「ほんとよ。にこちゃんが、かわいそう・・・・・・」
にこの家にあつまった友人たちがなにかを話していて、えりは聞き耳をたてました。
凛「にこちゃん、お母さんのために、うなぎをとりに行ったらしいにゃ」
真姫「でも、あのいたずら好きのえりぎつねが、うなぎをとっちゃったんでしょ?」
花陽「にこちゃんと、にこちゃんのお母さんの気持ちを思うと・・・・・・」グスッ
えり「・・・・・・・・・・・・」
えり「病気でとこについていた、にこのお母さんは、うなぎを食べたいと言ったにちがいないわ」
えり「だけど、私がいたずらをして、うなぎをとっちゃったから、にこはお母さんに、うなぎを食べさせてあげられなかった」
えり「お母さんの、さいごの望みをかなえてあげられなかったにこは・・・・・・やっぱり、悲しくてくやしい気持ちなのかな」
えり「あんないたずら・・・・・・しなきゃ、よかった」
えりは、ごろり、と体を丸くして、思いました。
えり「そういえば、おばあさまや、ありさも、私が「あわ」の粉をねって作ったペリメニが、好きだったな」
えり「でも、にんげんの狩りで、もうおばあさまも、ありさも・・・・・・」
えり「にんげんなんて、大きらいだけど・・・・・・でも・・・・・・」
えり「今のにこも・・・・・・私と、同じ気持ちなのかな・・・・・・」
ここあ「お姉ちゃん、ごはんー」
こころ「おなかすいた・・・・・・」
にこ「待っててね。今、用意するからね」
えり「お母さんがいなくなって・・・・・・にこは、ひとりで、小さな妹たちのめんどうを見ないといけないのね」
物置のかげから見ていたえりは、そう思いました。
そのとき、外の通りから、おにぎりを売る声が聞こえてきます。
花陽「おいしいおにぎりですよ~。とってもおいしいですよ~、ひとついかがですか~」
花陽「凛ちゃん! いいよ、具はなにがいい?」
花陽は、おにぎりが入ったかごを道ばたに置いて、大きなおにぎりを持って凛のうちの中へ入っていきました。
えりは、そのすきに、かごの中からおにぎりを2、3こつかみ出して、もと来たほうへかけだしました。
そして、にこの家のうら口から、家の中へおにぎりを投げこんで、住みかに向かってかけもどりました。
えり「うなぎのつぐないに、まずひとつ、いいことができたわね」
えり「あのおにぎりで、にこと妹たちが、少しでも喜んでくれるといいけれど」
えり「たまには、いいことするのも、悪くないわね」
うら口からのぞいてみると、にことふたりの妹は、茶わんを持ってお昼ご飯を食べているところです。
えり「にこ、あのおにぎり、食べてくれたかしら」
にこ「・・・・・・それにしても、いったいだれが、おにぎりをうちへほうりこんでいったのかしら」
こころ「わるいいたずらをする人がいるんですね」
ここあ「お姉ちゃん、うたがわれちゃって、かわいそう・・・・・・」
にこ「そうね。どろぼうと思われて、あやうく花陽と仲がわるくなっちゃいそうだったわ」
にこ「希がちゅうさいしてくれたおかげで、なんとかなったけど・・・・・・」
えり「にこ、どろぼうとまちがわれちゃったのね。わるいことをしたわ」
えりはそう思いながら、そっと物置の方へ回って、その入り口に、くりを置いて帰りました。
次の日も、その次の日も、えりは、くりを拾っては、にこの家へ持っていきました。
ときには、くりばかりでなく、大切にとっておいた、大こうぶつのチョコレートも持っていきました。
えり「月もお星さまも、とってもきれいね。こんな夜は、なんだか歌いだしたくなっちゃうわね」
そんな、いい気持ちでくるくるまわっていると、なにやら細い道の向こうから、だれかが来るようです。
話し声が聞こえてきて、えりは、道のかた側にかくれました。
話し声はだんだん近くなり、見ると、それはにこと、にこの友だちの希という占い師でした。
希「どうしたん? にこっち」
にこ「このごろ、にこのまわりで、とてもふしぎなことがあるのよ」
希「なにが?」
にこ「ママが亡くなってから、だれだか知らないけど、くりやチョコレートなんかを、毎日、毎日、くれるのよ」
希「ふうん、だれが?」
にこ「それがわかれば苦労しないわよ。にこの知らないうちに置いていくんだもの」
希「ほんまに?」
にこ「ほんとだって。うそだと思うなら、あした見に来てみなさいよ。そのチョコを見せてあげるわよ」
希「へえ、ふしぎなこともあるもんやね」
えり「なんだか、私のくりやチョコレートのことを話してるみたいね」
えり「にこ、うれしがってくれてるのかな?」ワクワク
えりは、ふたりの後を、そっとついていきました。
希「にこっち、ウチ、思うんやけど・・・・・・さっきの話は、ひょっとして神様のしわざやない?」
にこ「えっ? 神様?」
希「ウチ、考えてたんやけど、きっとそれは、人間やない。きっと神様なんよ」
希「神様が、にこっちのお母さんが亡くなったのを、あわれに思って、いろんなものをめぐんでくださるんよ」
希「なんだか、すごくスピリチュアルやね」
にこ「そうなのかしら・・・・・・」
希「きっとそうやん。だから、毎日、神様にお礼を言うんよ、にこっち」
にこ「そうしてみるわ」
えりは、ちょっとがっかりして、思いました。
えり「私がくりやチョコを持っていってあげてるのに、神様にお礼を言われたんじゃ、なんだかがっかり」
えり「そんなの、みとめられないわあ」
えり「神様は、ペリメニなんて作らないだろうからね。今日は、これを持っていってあげましょう」
えり「にこ、よろこんでくれるかしら・・・・・・?」ワクワク
えりは、いっぱいのペリメニと、チョコやくりを持って、にこの家に出かけました。
にこは、物置でないしょくのボールペンを作っていました。
それで、えりは、家のうら口から、こっそり中へ入りました。
と、きつねが、うちの中へ入ったではありませんか。
にこ「あいつ・・・・・・! このあいだ、うなぎをぬすんだえりぎつねが、またいたずらをしに来たのね・・・・・・!」
にこ「ようし、見てなさい・・・・・・!」
にこは立ち上がって、なやにかけてある火なわじゅうを取って、火薬をつめました。
えり「こんどこそ、よろこんでくれるといいな、にこ」
にこ「ばれないように、そっと近づいて・・・・・・」
にこ「・・・・・・今よ!」
ドンッ
えりは、ばたりとたおれました。
にこは、かけよってきました。
にこ「よーし! とうとう、あのいたずらぎつねを・・・・・・あら?」
と、土間に、ペリメニがかためて置いてあるのが目につきました。
ほかにも、チョコや、くりがたくさん置いてあります。
にこ「え・・・・・・これ、なんで・・・・・・まさか」
にこは、たおれているえりに、目を落としました。
えりは、ぐったりと目をつぶったまま、うなずきました。
にこは、火なわじゅうをばたりと、取り落としました。
青いけむりが、まだ、つつ口から細く出ていました。
穂乃果「・・・・・・って感じの劇をやりたいんだけど、どうかなっ!?」
絵里「穂乃果・・・・・・」
絵里「このキャスティング、インスピレーションだけで選んだでしょ。いたずら好きなら、凛か希じゃないの?」
希「まあ、ウチだったらたぬきに」
凛「凛だったら、きっと猫になっちゃうにゃー」
にこ「にこの扱いも結構ひどいわよ。ママ死んじゃってるし・・・・・・」
花陽「おにぎり売り歩いてる人って、なんなんでしょう・・・・・・」
真姫「私のせりふ、ちょこっとしかないし」
ことり「ことりは、せりふ1コしかなかったね」アハハ
穂乃果「う~ん、いいと思ったんだけどなぁ・・・・・・ねえ、海未ちゃんはどう思う?」
海未「・・・・・・う・・・・・・」
絵里「・・・・・・海未?」
海未「う・・・・・・うぐぅ・・・・・・うう・・・・・・!」グスグス
穂乃果「どどど、どうしたの、海未ちゃん!?」
海未「だめなんでずう・・・・・・小学生の時、教科書で読んで以来・・・・・・ごの話だげは・・・・・・」ウルウル
海未「子ぎつねががわいぞうで・・・・・・ううう・・・・・・え゛り゛ぃ~~、なぜ死んでじまうのでずがぁ~~!!」オーイオイオイ
絵里「私は死んでないって! いい子だから、泣き止んで、海未~!」
おしまい
ご○ぎつねは泣けるわ
最後にホノカチャンが落としてくれたわ
俺の涙を返せ
久しぶりにいいスレに出会ったわ
最近、バカなシモネタスレばかりでな
懐かしすぎて
良かった
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