【ラブライブ!】にこ「友達の記憶」 希「仲間への追憶」 【世奇妙】
- 2020.04.11
- SS

…この物語の主人公の矢澤にこは、1人荷物をまとめ、帰る準備をしていた。
にこ 「さてと…特にやることもないし、帰ろ。」
美咲 「おーいっ! 今日一緒にカラオケ行こうよ!」ガシッ
にこ 「うわぁっ!? み、美咲? 急に何よ…。」
美咲 「最近にこ付き合い悪いじゃん? だから今日こそ、一緒に遊ぼうと思って。」
にこ 「まぁ…そういうことなら…。」
美咲 「やりぃっ! じゃあ早速行こうぜ!」
由依 「なになに、カラオケ行くの!? 私も混ぜて!」
美咲 「おー、ユイっち! いーよ、一緒に行こ!」
にこ 「あっ、ちょっ! 待ちなさいよ!」
美咲 「そうかなぁ? じゃ、次はにこね。」
にこ 「よーし、任せなさいっ!」
美咲 「…おぉ、なかなかやるじゃん!」
由依 「声も綺麗だし、アイドル並だよ!」
にこ 「当たり前でしょ! 私を誰だと思ってるの!?」
美咲 「よっ! 世界一!」
由依 「アハハハ! 何それ、おっかしー!」
美咲 「アハハハ……」
にこ 「はは……」
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希 「どうやった? にこっち。」
にこ 「……まぁまぁ、ね。」
希 「そう。」
にこは部室で、目にバーチャルボーイのような機械を付けて、椅子にもたれ掛かっていた。
にこ 「そもそも何なの? この機械。」
希 「それはFED。簡単に言うと、人の体験を、五感で自分も体験できる機械。今にこっちは、仮想の現実を見てたんよ。」
にこ 「仮想の現実…。」
希 「元々は、肉体的ハンディを負った人のヒーリング用に開発されたんよ。…寝たきりの人が、自由に歩き回る体験をしたり。」
希 「そう。それはある中学二年生の女の子の記憶。名前を呼ぶところは、不自然がないように、全部“にこ”に変えておいたで。」
にこ 「そういうことだったのね…。で、どうしてこれを私に?」
希 「それは……。」
にこ 「…ま、言わなくてもわかるわよ。」
にこ 「高校に入学してから10ヶ月。早くも仲間に裏切られた私の心を、コレで紛らわせようとしたんでしょ。」
希 「にこっち…。」
にこ 「昔からそうよね、希は。いつも余計なお世話ばっかり。」
希 「えへへ、それほどでも。」
にこ 「褒めてないわよ。」
希 「あっ、返さんでええよそれ。」
にこ 「えっ?」
希 「アイドル研究部の備品にでもしとき。元々、そのつもりで持ってきたし。」
にこ 「そう…。ま、とっておくわ。」
希 「…くれぐれも、使いすぎには気をつけるんよ。」
にこ 「そんなに使わないわよ。ほら、用が済んだなら早く出ていって。」
女生徒B 『あなたの気持ちもわかる。でも私達には…重すぎるの。』
何を言ってるの…? 言ったじゃない、「私達で、大銀河宇宙No.1アイドルを目指そう!」って!
女生徒A 『じゃ…応援してるから。』
女生徒B 『頑張ってね…。にこ…。』
待って……。待ってよ! お願い…私を1人にしないでっ! 私には仲間が必要なのっ!
お願い…お願いよっ!
待って…
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にこ 「待ってぇっ!!」ガバッ!
にこ 「はぁ…はぁっ…。夢…。」
にこ 「何が仲間よ…。仲間なんて、信じられないのに…。」
にこ 「はぁ、今日も疲れた…。特に何もしてないけど。」
「ねぇ今日どこ行くぅ?」
「パフェ食べに行こ!」
「いぃなぁ! 私も行く!」
にこ 「…ふんっ。」
にこ 「…部室にでも、行こうかな。」
にこ 「いっ…! 何この荷物…。」
にこ 「これ、昨日希がくれた…。」
にこ 「…もう一度だけ、やってみようかな。」
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美咲 「すごいすごい。にこ、リズムゲーム上手いね!」
由依 「店内ランキングトップじゃん!」
にこ 「えっへへ、まぁね。」
美咲 「ふぅ…ゲームしてたらお腹空いちゃったね。食事にでも行く?」
由依 「いいねぇ。にこ、甘いもん好きだったよね? 美味しいパフェあるとこ知ってるんだ!」
にこ 「本当!? 行く行く!」
由依 「さ、行こ行こ!」
美咲 「ちょっとユイっち、はやいってぇ!」
由依 「ね!ね! 美味しいでしょココ。」
にこ 「でも私だけこんなもの食べてるなんてこころ達に知られたら、怒られちゃうわね。」
美咲 「こころって誰だ? 知り合いか?」
にこ 「…! あっ、いや、何でもない!」
にこ (そっか、これは他の娘の記憶だった…。)
由依 「ほらにこ! 早く食べないと私が食べちゃうよ!」
にこ 「あっ、ちょっとコラ! もう既に食べてるじゃない!」
美咲 「ハハハ、ユイっちは欲張りだなぁ。」
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警備員 「……あのー、学校しまる時間なんですが。」
にこ 「ふぇ……?」
にこ 「……。」
警備員 「……。」
にこ 「…どわぁぁぁっ!?」ガタタッ
警備員 「うわぁっ!? ち、ちょっと、大丈夫ですか!?」
にこ 「いってて…。す、すいません。大丈夫です。…すぐに帰ります。」
にこ 「うぅ…まだ打ったところ痛むわね。」
にこ 「…私、すっかりあの機械の虜になってたのね。」
にこ 「美咲、由依…。あの娘達こそ、私の理想の友達。」
にこ 「例え他人の記憶でも、理想の友達と過ごすことが出来るなら…。」
にこ 「明日も…もう一度だけ…。」
にこ 「ふふん、まぁね。」
由依 「いいなぁにこは。可愛いし頭もいいし料理もできるし…。オマケに、胸も大きいし。」
にこ 「なっ…! ま、まぁね!」
美咲 「安心しろって。ユイっちもいつか大きくなるって!」
由依 「…それ、1年の頃から言われてる気がするけど。」
美咲 「あっはは!」
にこ 「あはは…。」
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キーンコーンカーンコーン
にこ 「……!」ダッ
「なんか最近、矢澤さんすぐどっか行くよね。」
「部活じゃない?」
「まさか! だって今部員ひとりだけなんでしょ?」
「あっ…もしかして、男!?」
「それヤッバーイ! アハハハ!」
希 「にこっち……。」
にこ 「私には…理想の友達が…いえ、仲間がいるんだもの!」
にこ 「今日も遊ぼうね…美咲、由依。」
希 「にこっち!」 バタンッ!
にこ 「…!? の、希?」
希 「また“ソレ”…?」
にこ 「何よ。渡してきたのはアンタでしょ。」
希 「そうやけど…。」
にこ 「私は使いたいようにこの機械を使ってるの! 文句を言われる筋合いはないわ。」
希 「でも、使いすぎるといつか…!」
にこ 「うるさいっ! 待っててね…美咲、由依。」スチャッ
希 「にこっち!」
希 「にこっち…」
希 「にk…」
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由依 「えー、私絶叫系無理ぃ…。」
美咲 「何ユイっち? ビビってんの?」
由依 「ち、違うしっ! こんなの余裕だから!」
にこ 「ほらほら、早く行くわよ!」
美咲 「にこ! ちゃんと前向かないと…。」
にこ 「えっ? ……痛っ!」ドンッ
由依 「あー…言わんこっちゃない。」
美咲 「ごめんなさい…ウチのにこが…。」
由依 「母親かよ。」
女生徒A 『……。』
女生徒B 『……。』
にこ 「あ、あんた達……。」
女生徒A 『…楽しそうだね、にこ。』
にこ 「う、うん…。」
女生徒B 『アイドルの夢は…? もう、諦めたの?』
にこ 「えっ…!?」
にこ (ど、どうして…。これは他人の記憶のはず…! なのにこの2人は、確実に“矢澤にこ”に話しかけている…?)
女生徒B 『友達じゃないよ。仲間、でしょ? にこ。』
にこ 「あ、あぁぁ……。」
美咲 「ねぇにこ…? どうしたのさっきから…。」
にこ 「あぁぁぁぁ…。」
由依 「おーい! にこー! ぶつかった人、行っちゃったよー!」
女生徒A 『ほら、ふたりが呼んでるよ。』
にこ 「あぁぁぁ…。」
女生徒B 『私たちのことなんて忘れて、ね?』
にこ 「あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
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にこ 「な…なんなのよ今のっ!」
希 「おかえり、にこっち。」
にこ 「の、希…!」
希 「相当うなされてたよ。…はい、お茶。」
にこ 「…ありがと。」
希 「何かあったん? そんなに悪い記憶は入れてない筈やけど…。」
にこ 「出てきたの…2人が。スクールアイドルやってた時の2人が。」
希 「なるほど…やっぱりか。」
にこ 「やっぱり…?」
にこ 「未練…?」
希 「その機械、使いすぎると、他人の記憶と自分の記憶が混ざってしまう時があるんよ。」
にこ 「どういうこと…?」
希 「つまりにこっちの記憶、その中でも特に強い未練が、その機械にインプットされてる記憶に影響を与えたんよ。」
にこ 「…別に私、あの2人に未練なんて…。」
希 「でも、現に幻になって出てきたんやろ?」
にこ 「…っ! 本当に…何の未練もないからっ!」ダッ!
希 「あぁっ! ちょっと!」
にこ (未練…? 私が、あの2人に?)
にこ (そんな訳…ない。)
にこ (でも…私…。)
にこ 「あぁぁもう! 考えるのやめっ!」
虎太郎 「うーん…。」
にこ 「あっ、ごめんね虎太郎。起こしちゃった?」
虎太郎 「えへへぇ…。」
にこ 「おやすみ。」
キーンコーンカーンコーン
にこ 「……。」
「今日矢澤さんどこにも行かないねー。」
「ふられたとかー?」
「アンタまだそれ言ってんのー?」
「うけるー!」
にこ 「……ふんっ。」
美咲 『にこ! 何やってんだよっ!』
にこ 「…!?」
由依 『なんで会いに来てくれないのー? 寂しいよー。』
にこ 「アンタ達…どうして!?」
美咲 『待ってるからな。』
由依 『じゃ、また。』
にこ 「あぁっ! ちょっと待って!」
にこ 「き、消えた…。」
「やだ、こわーい。」
にこ 「……。」ダッ!
希 「にこっち…。」
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にこ 「…引っ越すことになったの。遠くに。」
由依 「まじで……?」
にこ 「ごめんね、本当。」
美咲 「寂しくなるな……。まぁでも、その日まで悔いの残らない位遊び倒そうぜ!」
にこ 「……うんっ!」
にこ 「離れ離れになるのは寂しいけど…あの2人だもん。大丈夫よね、きっと。」
にこ 「……あっ、おーい! 美咲ー由依ー!」
美咲 「……でもさぁ、正直ウザくなかったー?」
にこ 「えっ……。」ササッ
由依 「分かるー! なんかぁ、ちょっと重いよね。」
美咲 「それそれ。友達に対しての思いが重すぎて、なんか疲れるんだよねぇ。」
由依 「引っ越してくれてラッキー的な?」
美咲 「ちょっと由依酷すぎ!」
由依 「アハハハ!」
にこ 「嘘……嘘でしょ……?」
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「…こっち!」
希 「にこっち!」
にこ 「……っ!?」
希 「様子がおかしかったから来てみれば…またそれ使ってたん…?」
にこ 「希……希ぃっ!」ダキッ
希 「に…にこっち…?」
にこ 「また…また友達に…仲間に嫌われちゃった…。」
にこ 「やっぱりダメだ…仲間なんて信じられない…。」
希 「……。」
にこ 「そもそも、私にそんなの向いてないのよ。」
希 「……にこっち。」
にこ 「…?」
パシーンッ!
希 「……っ!」
にこ 「なに……すんのよ……。」
にこ 「何すんのよっ!? なんで…なんで私が叩かれなくちゃいけないのっ!?」
希 「にこっち、そうやって逃げてるだけなんちゃうん!?」
にこ 「……っ!?」
希 「そうやって嫌われることを恐れて…友達を、仲間をつくることから逃げてるんちゃうん!?」
にこ 「そんなこと……。大体…アンタに私の何がわかるのよっ!?」
希 「分かるよ……。」
にこ 「はぁ……?」
にこ 「はぁ?」
希 「由依ちゃんだって仲間思いで…。とてもいい娘やったよ。」
にこ 「アンタ……。」
希 「…でも、嫌われちゃった。3人で仲良くしてたのに……。」
にこ 「じゃあ…これって……。」
希 「……うん。」
にこ 「どうして…どうしてこんな辛い記憶、私に体験させたのっ!? 何の嫌がらせよ!」
にこ 「はぁ?」
希 「楽しかったやろ? あの2人と過ごした時間。」
にこ 「…まぁね。ま、私にはそんな仲間はもう出来ないでしょうけど。」
希 「…そうやってすぐ逃げる。」
にこ 「……。」
希 「大丈夫。カードがウチに告げるんや。にこっちには、いつか素晴らしい仲間ができるって。」
にこ 「そんな占い、私が信じると思う?」
希 「それはにこっち次第や。」
にこ 「なによ…それ。」
希 「ご自由に。」
にこ 「…意地悪。」
希 「でも少なくとも、ウチがいるやろ? にこっちには。」
にこ 「…ふんっ。私は別にそうは思わないけど。」
希 「厳しいなぁ。」
にこ 「……信じるわ、アンタの言葉。」
にこ 「…私の唯一の仲間の言葉、信じてあげる。」
希 「…ありがと。」
にこ 「なに泣いてんのよ…もう。」
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希 「……終わった?」
穂乃果 「これがにこちゃんの…記憶?」
希 「うん。1年の時の、な。」
穂乃果 「にこちゃん…こんな…ことが…。」
にこ 「おはよー。さ、今日も練習…」ガチャ
穂乃果 「にぃごぢゃぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!」
にこ 「うわぁぁっ!? な、何事!?」
穂乃果 「にごぢゃん! 穂乃果達、いつまでも友達だからねっ!? ずっとずっと、仲間だからねっ!?」
にこ 「な、何よいきなり!? は、離れなさいよぉっ…!」
穂乃果 「うぇぇぇぇぇんん……。」ズビー
にこ 「うわぁ!? ちょっと鼻水!」
希 「さぁ…?」ニヤニヤ
にこ 「何よその顔…。…って、その機械!」
希 「あぁ、これ? 懐かしいやろ?」
にこ 「…なるほど、見せたのね。私の記憶、勝手に。」
希 「えへへ。にこっちもまた使う?」
にこ 「もういいわよ。」
にこ 「今の私にはもう、必要ないものだから。」
希 「…そっか。」
希 「えっ? なんか言ったー?」
にこ 「…っ! 何でもないわよ!」
希 「えー! 教えてよにこっちー。」ニヤニヤ
にこ 「アンタ絶対聞こえてたでしょ!?」
希 「えー? 何のことかわからんよー。」
にこ 「あっ、コラ! 待ちなさいよ! 全く…。」
ありがとう…これだけじゃ足りないもの。こんな言葉じゃ、この感謝は伝えきれないし。
ーーアンタには「ありがとう」なんて、何度言っても足りないもの。
にこ 「…でも本当に……。」
にこ 「ありがとう……希。」
~終わり~
最後までお付き合い、ありがとうございました。
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