【ラブライブ!】絵里「春炬燵」
- 2020.04.13
- SS

希「ほな~」
絵里「…」
絵里「亜里沙はもう帰ってるかしら…」
今日は春、とは言えないような暑い日だった。
風が強くて。花粉の季節も通り越して外にいるとじわりと汗が出る。
期待
生徒会の仕事が終わって、それから帰宅。
仕事と言っても、しょうじき特にやることなんてない。
生徒会室で希とたわいもない話をして、ただただ時間が過ぎるのを待つ日々。
絵里「ただいま」
亜里沙「おかえりなさい」
絵里「帰ってたのね」
雪穂「こんばんは。お邪魔してます」
絵里「あら。雪穂ちゃん、いらっしゃい」
雪穂「あ、そろそろ帰るので大丈夫です。ありがとうございます」
亜里沙「…食べていけば?」
雪穂「ううん、お母さんが心配するからね」
絵里「送っていこうか?」
亜里沙「え!じゃあ、帰りにご飯食べてこようよ!」
雪穂「あ。いえいえ大丈夫ですよ?」
絵里「あんまり外食ばっかりだともったいないからまた来週ね」
絵里「夜も遅いし送って行くわ。亜里沙、帰りにスーパー寄るからお財布持って来てくれる?」
絵里「ふふ。気にしないでいいのよ?」
この子……誰かに似てる…。一瞬そう思った。
でもすぐに忘れた。思い出そうとしても思い出せない。
あれ…何考えてたんだっけ…?
亜里沙「………ぇちゃん………おねえちゃん!!」
絵里「………あ、ごめん。それじゃあ行きましょうか」
本当に陽が長くなったな…。
相変わらず強い風。でも心地いい風…。
少し前を歩く2人の姿を見て誰かの後ろ姿がおもむろに重なった。
絵里「今日は何を作ろうかな…」
絵里「亜里沙。今日は何が食べたい?」
亜里沙「んー……やっぱり外で食べたい…」
雪穂「駄目だよ亜里沙。家で食べるほうがゆっくり食べれていいじゃない」
亜里沙「そうだけどー…片付けるの面倒だから…」
絵里「あら?雪穂ちゃんのお姉さんもそうなの?」
雪穂「はい。食べたら食器も片付けないし、すぐに横になっちゃうし…」
亜里沙「亜里沙はそんなんじゃないよ!」
絵里「分かったから。で、何食べる?」
そんな会話をしながら歩いて、雪穂ちゃん家の近くまで来た。
雪穂「あ、もうすぐそこなのでここで大丈夫ですよ」
絵里「そう?」
雪穂「あ。わっすれてたよ」
亜里沙「もう…」
雪穂「ごめんごめん」
絵里「あとどのくらいなの?」
雪穂「もう着きますよ。あそこです」
指差す先には…趣のある家。
穂…むら。
絵里「…お店なの?」
雪穂「そうです。和菓子屋なんですよ」
雪穂「正確に言うと和菓子、です」
雪穂「ただいまー」
穂乃果「いらっしゃ………雪穂か。おかえり」
雪穂「お姉ちゃんが店番なんて珍しい…」
亜里沙「こんばんは!!!」
穂乃果「亜里沙ちゃんいらっしゃい。送ってきてくれたの?」
雪穂「うん。お姉さんも一緒だよ」
穂乃果「………あ……」
彼女は…確か、この前。
無理矢理部活の申請書を持って来た………高坂さん…。
……
そうか。高坂……。
穂乃果「 …あ、あの。雪穂送ってくれてありがとうございます」
絵里「あ、い、いいのよ」
亜里沙「あれ?お姉ちゃん穂乃果さんのこと知ってたの?」
絵里「……ええ。生徒会だし、この前少し話したのよ」
雪穂「亜里沙のお姉さん」
絵里「こんばんは。いつも妹がお邪魔してるようで…お世話になってます」
穂乃果母「いいのよいいのよ。こちらこそ雪穂がいつもお世話になってます」
絵里「いえ…」
亜里沙「お姉ちゃん!ここのお菓子、すっごく美味しいの!亜里沙食べたい…」
絵里「ええ?……今からご飯食べるのに?」
穂乃果「あ、あのよかったらお土産にこれ…持って行きますか??…」
絵里「え?」
雪穂「そうだね。どうぞどうぞ。せっかく来てくれたんですから」
絵里「あ、ありがとう」
雪穂「じゃあ、また明日ね」
亜里沙「うん!ばいばい!!!」
雪穂「お姉さん、今日はありがとうございました」
絵里「こちらこそ、こんなお土産まで貰っちゃって」
穂乃果「いいんですいいんです。あんまり売れないし…」
雪穂「お姉ちゃん」
穂乃果「…へへ……」
絵里「じゃあ」
~
和菓子…ね。初めて見る。
ご飯前とはいえ、正直中身が気になって仕方がない。
それより…妙な出会いだった。
まさかの出会い。
今日まさに、一悶着あった生徒に会うなんて。
絵里「…」
亜里沙「……お姉ちゃん?」
絵里「…何?」
亜里沙「………怖い顔して、どうしたの?」
絵里「……なんでもないわ」
絵里「早く帰りましょう」
亜里沙「ごちそうさま!」
絵里「少し休んだら、お風呂入っちゃいなさい」
亜里沙「ううん、雪穂に言われたし、今日は私が片付けるよ!」
絵里「そう。……じゃあよろしくね」
まだ腹八分目……といったとこかしら…。
さっき貰ったお土産が気になる。
とはいえ…複雑な気分。
もめた生徒から貰った和菓子……いや。
和菓子に罪はない……。
春の風……。この前まで肌寒かった夜もすっかり気持ちのいい夜風に変わっていた。
網戸越しにの風を浴びながら和菓子に手をつける。
絵里「まん……じゅう」
絵里「はむ……」
絵里「…………」
絵里「……美味しい」
絵里「スクールアイドルが今までなかったこの学校で」
絵里「…やってみたけどやっぱり駄目でした、となったらみんなどう思うかしら…」
穂乃果「…」
絵里「私もこの学校がなくなって欲しくない……」
絵里「本当にそう思っているから、簡単に考えて欲しくないの」
穂乃果「…」
絵里「ふう…」
希「………どうしたん?」
絵里「…いや、何でもないわ」
希「……あ…そう」
絵里「…」
希「それより。この間申請書持って来た子達、毎日神社の階段で練習してるみたいよ」
絵里「…」
希「見たのは放課後やったけども、朝もやってるみたい」
絵里「…」
希「1年生の子も練習見に来てたし、案外5人以上集めてくるかもなぁ…」
絵里「………そう」
アイドル??
笑わせないでよ。たかだか部活の一つ作ったくらいで廃校が何とかなるなら。
こんなに苦労しない。
…例え部員が集まったとしても…。
無理よ…。
希「これで、新入生歓迎会の段取りはオッケーかな」
絵里「ええ。そうね」
希「…あ。あとは部活動のプラカードだけ忘れてたね。先生に聞いて探してくるわ」
絵里「お願いね」
まだ今日はやらなきゃいけない事が残ってる。
それぞれの部活の案内表を作って…。
絵里「えっと……」
絵里「陸上部…吹奏楽部…ソフトボール部……ロボット部………?」
絵里「………こんなのもあるのね」
絵里「…」
絵里「……そういえば」
『お願いしまーす!!!』
『ファーストライブやりまーす!お願いしまーす!!』
絵里「…」
絵里「…?」
『………あの』
『ライブ………見に行きます……』
絵里「…」
絵里「アイドル部…」
絵里「私が認知している以上、案内に記載しないわけにはいかないか……」
絵里「戻って書かなきゃ…」
絵里「……はぁ」
絵里「………アイドル部…と」
絵里「…」
絵里「…あと3日…」
希「ただいまー」
絵里「おかえり。あった?」
希「あったよ。………何してるん?」
絵里「これ、作ってたのよ」
希「おお、案内表のプリント?」
希「…」
希「…ふーん。アイドル部も入れたんやね」
絵里「……私は部の申請を認めたわけじゃないわ」
絵里「でもビラ配ったり校内の掲示板にポスター貼ったりされてる以上はこうして入れておかないと」
絵里「生徒会の評判が悪くなってもいけないから」
希「…認めてないなら」
希「ポスターも剥がしたらいい」
希「ウチはそう思うけど?」
絵里「…」
希「……本当は」
希「本当は、認めてあげたいんと違う?」
絵里「……だから私は!」「
希「……」
希「これ。部活のプラカード。エリチが分かるようにしまっておいてな」
希「ウチは今日も神社のお手伝いあるから先帰るね」
絵里「何よ……私は私のやるべきことをやっているだけ」
絵里「……」
絵里「帰りましょう…」
ジリジリとした部屋。
西日で暑い。
今すぐこの部屋から出たかった。
1人…。
希のいない帰り道、今日だけじゃなくてたまに1人で帰ることもある。
それなのに、今日の帰り道はやけに孤独感を感じた。
まるで私だけおいていかれたような感覚。
特別何も無い。
帰り際の希の一言が突き放すような…。
私が…廃校を阻止するために出来ることは…?
分からない。
絵里「分からない…」
帰り道、公園に寄った。ベンチに座って夕暮れ時の街の音を聞いた。
おそらく昼間は子供達が遊んでいた公園、おもちゃのバケツが忘れられてる。
しばらくぼーっとして、何を考えていたのか覚えていない。
虚無感。
特別何も無い。
でも、みんなが遊んでいるのに私だけ仲間に入れない、
そんな私を客観的に見ている、そんな感じの気持ちだった。
~
絵里「ただいま」
亜里沙「おかえりなさい」
絵里「……」
亜里沙「お姉ちゃんこれみて!」
絵里「……なに?」
亜里沙「今この、スクールアイドルっていうのが流行ってるんだよ!」
亜里沙「UTXのスクールアイドル!すごい人気みたいなの」
絵里「……へぇ…そうなの」
アイドルアイドルアイドルアイドル…………。
亜里沙「……怒ってるの?」
絵里「……え?」
亜里沙「……何か悪いことした?」
絵里「…違うわ、亜里沙は関係無いのよ」
亜里沙「…」
亜里沙「お姉ちゃん」
絵里「…」
亜里沙「私、音ノ木坂に行きたいの」
絵里「そう…」
亜里沙「……だから無くなってほしくない」
絵里「……私だってそうなのよ?何か」
絵里「何か廃校を阻止するために出来ないか、毎日探してる」
絵里「きっとこのまま何もしないまま夏になったら廃校は確実になる」
絵里「でも…もう時間がないのよ」
絵里「……私にはどうすればいいのか……分からないから」
絵里「…」
絵里「音ノ木坂にも……この、スクールアイドルをやってる子達がいるわ…」
亜里沙「そうなの?!」
絵里「…」
亜里沙「本当に??」
絵里「……今度の新入生歓迎会でライブをするみたい」
亜里沙「そうなんだ…」
絵里「…見たい?」
亜里沙「見たい!……けど、私はまだ音ノ木坂の生徒じゃないから…」
絵里「いいわ。……私が撮ってきてあげる」
何を言ってるんだろう…。
でももう疲れた…。
アイドルアイドルアイドル。
絵里「でも、まだ始めたばっかりみたいだからあんまり期待しないでね」
亜里沙「………うん」
亜里沙「アイドル…」
絵里「……」
~
絵里「これで、新入生歓迎会を終わります。各部活共」
絵里「体験入部を行っているので興味があったら、どんどん覗いてみてください」
希「気になる?」
絵里「希…」
希「ウチは帰ろうかな」
絵里「…」
気になるわよ。
でもどんな顔して見に行けばいいのよ…。
絵里「…やっぱり、無理よ」
絵里「私も…帰りましょう」
絵里「…」
そうだ。ライブを撮るために行く。
それでいいのよ……。
絵里「…」
~
『悲しみに閉ざされて 泣くだけじゃつまらない』
『きっと 君の 夢の チカラ 今を 動かすチカラ』
『信じてるよ だからスタート』
…。
『迷い道 やっと外へ抜け出した筈さ』
『喜びを受け止めて 君と僕進むだろう』
…なんなのよ。
絵里「何故?これ以上続けても意味があるとは思えないけど」
絵里「…」
………。
答えて…みなさ
穂乃果「やりたいからです!!」
…。
穂乃果「ここを満員にしてみせます!!」
講堂ライブまでの絵里の気持ち的な部分を書きたかったんですが
完全に俺主観の印象の綴りなので気分害したらすみません
視点変えるとまた違った感じになっていいね
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