【ラブライブ!】ことり「最後は……ロボット研究部、諸事情により辞退」穂乃果「それだ!」
- 2020.04.13
- SS

穂乃果「学校をアピールして入学希望者を増やせばいいんだよー!」
海未「アピールと言っても……何かありますか?」
穂乃果「家から近い!」
海未「それは私たちが近所というだけです」
穂乃果「歴史がある!」
海未「それは音ノ木坂に限った話ではないでしょう」
穂乃果「伝統がある!」
海未「言い方を変えただけです!」
穂乃果「古い!」
海未「それは褒めているのですか……?」
穂乃果「うぇ~んことりちゅぁああん……」
ことり「うーん、強いて言えば……古くからあるってことかなぁ?」
海未「あの……話聞いてました……?」
ことり「あ、でもっ!部活動では少し良いところ見つけたよ!」
穂乃果「ホント!?」
ことり「と言ってもあんまり目立つようなものじゃないけど……。ロシアンバレエコンクール6位」
穂乃果「ろ、6位かぁ……」
海未「農業クラブ全国大会、地区予選出場」
海未「そんな部活があったのですね」
ことり「最後は……ロボット研究部、諸事情により辞退……」
穂乃果「それだっ!!」
穂乃果「ロボだよロボ!」
海未「えぇ!?やりたいんですか!?」
穂乃果「だってロボだよ!すんごいインパクトだよ!もの凄い目立つよ!?」
ことり「た、確かに夏にやってるロボットの大会は見たことあるけど……」
海未「危ないです!そもそも乗れるんですか!?」
穂乃果「なんとかなるって!」
海未「第一、機体なんてどこに……」
穂乃果「ロボット部に行けばいいんだよー!れっつごー!!」
――ガレージ
穂乃果「活動停止……?」
ことり「目立った成績もなかったからスポンサー切れだって」
穂乃果「そんなーっ!!」
穂乃果「そーだよ!悲しーよ!結果出さなきゃ廃部だなんて横暴だよ!!」
ことり「と言っても、ロボットはお金がかかるから……スポンサーが居なくなっちゃったら活動出来ないんだって」
海未「そこにあるのは捨てられた機体でしょうか。……悲しそうな目をしています」
ことり「なんだか寂しそう……」
穂乃果「……あ!!」
海未「今度はなんですか!」
穂乃果「部活が無くなっちゃったなら作ればいいんだよ!」
海未「えっ!?そもそも私やるなんて言ってませんよ!?」
――生徒会室
絵里「……これは?」
穂乃果「ロボット部、設立の申請書です!」
絵里「それは見れば分かります」
穂乃果「では認めて頂けますね!」
絵里「にぇっと」
穂乃果「???」
穂乃果「わ、分かりました……行こ」
絵里「待ちなさい」
穂乃果「ふぇ?」
絵里「どうしてロボット部を始めようと思ったの?」
穂乃果「廃校を阻止する為です!ロボットの大会に出場すればかなり目立つと思って!」
絵里「……確かに目立つわ。どかんどかんうるさいもの。それに加盟校も少ないから出るだけで目に留まりやすい」
穂乃果「はい!だから――」
絵里「だったら何故、加盟校が少ないのか。どうして現在活動をしていないのか。それをヒントに考えてみなさい」
穂乃果「うぐっ……」
絵里「たとえ5人集めてきても、現状では無理ね……」
ことり「そんな……」
――校門前
ことり「穂乃果ちゃんが悪い訳じゃないよ?」
海未「ですが生徒会長の言い分ももっともです。そもそも、部活と認められたところでお金がありませんけど……」
ことり「あぁっ……これからいったいどうすれb――」
穂乃果「スポンサーを探そう!!」
海未「切り替え早いですね」
――生徒会室
絵里「……朝から何?」
穂乃果「射爆場の使用許可を頂きたいと思いまして」
海未「部活動に関係なく生徒は射爆場を使用して良いと生徒手帳に書いてあったので」
希「今日の放課後から毎日……?」
絵里「何をする気?」
穂乃果「起動試験や練習です!3人でパイロットをすると決めたので、その練習をするんです!」
ことり「スポンサーまだ決まってないし……」
海未「まだ機体を動かす燃料すらないのに大丈夫なのですか……」
絵里「できるの?」
穂乃果「超余裕です!」
希「3人は射爆場の使用許可を取りに来ただけやろ?それにケチつける権利はないはずやで」
穂乃果「ありがとうございましたー!!」
絵里「また、あれが動くのね……」
希「ええやん、絵里ちのロシアンバレエより可能性に溢れとるよ?」
絵里「うぐっ……」
ことり「こう、かなぁ……うん、こんなもんかなっ!」
海未「ことり?」
ことり「見て!ロボット部に残されてたパーツから機体のアセンブル考えてみたの!」
穂乃果「おぉ!?何かそれっぽい!!ことりちゃんの意外な才能……!!」
ことり「本当?でもほとんどパーツが残ってなかったから武器が全然……海未ちゃんはどう?」
穂乃果「強そうだよね!強そうだよね!?」
海未「あの、この肩にくっ付いてる棒みたいなものは……」
ことり「ブローニングM2よ?」
海未「ぶ、ぶろ……?」
穂乃果「マシンガンだよマシンガン!」
海未「ま、ましんがん……実弾、ですか……?」
穂乃果「実弾を使うみたいなんだけど、コックピットはなんかメチャクチャ凄いカーボンで覆われてるから安全なんだって!」
穂乃果「海未ちゃんは本番に強いから放っておいていいとして、まだ1機だけ?」
ことり「うん。というより、あんまりパーツの種類が無いからこのままだと同じのが3機になっちゃうかなぁ」
穂乃果「そっかぁ……色んなの作りたいよねぇ……でもその前に決めなきゃいけないこといっぱいあるなぁ……」
穂乃果「機体構成でしょ!武装でしょ!あーあと機体の名前!それに戦術……」
ことり「その前にスポンサー決まってないし……」
海未「でも、どうやって探せばいいのですか?」
穂乃果「簡単だよ~お金持ちを探せばいいんだよ!」
ことり「それって簡単かなぁ……????」
穂乃果「っというわけで海未ちゃん!スポンサーに――」
海未「無理です!」
穂乃果「海未ちゃんの家って結構お金あるじゃん!?」
海未「あれは後援会の方々から頂いた大切なものです!道場と無関係な事に使うわけにはいきません!」
ことり「後援会……海未ちゃんのファンクラブ!?」
海未「違います!!そ、そんな事より探しに行きますよ!!」
ことり「どうかしたの?」
海未「……車が停まっているようですね」
穂乃果「車での送迎!しかもなんか高級車っぽい雰囲気!これはお金持ちに決定!!」
ことり「あはは……意外とすぐに見つかったね……お金持ち」
穂乃果「明日早速声かけてみる!!」
海未「そんなにうまくいくでしょうか」
――翌日
真姫「お断りします!」
穂乃果「だって」
海未「当たり前です。いきなり金を出せと言われてOKする人なんて居るわけないでしょう」
『練習試合のお知らせ!それとチーム名募集!!ついでに部員募集!!!それとスポンサー企業!!!!』
花陽「……」
凛「か~よちん!」
花陽「凛ちゃん!?」
凛「何見てるのー?ん?ロボ部?」
花陽「正式な部じゃないみたいだけどチームを結成したみたいなの」
凛「かよちんロボット好きだもんね~。それで入るの?
花陽「ううん、まだ分からないけど……お祖父ちゃんにスポンサーになれないか聞いてみようかなって」
凛「お爺ちゃん?」
花陽「練習試合を見てから決めるけどね。もし可能性を感じられるなら……」
真姫(……そんなにいいものなのかしら?あんなもの子供のおもちゃにしか見えないけど)
穂乃果「あ、皆居たー!ねぇねぇ聞いて!練習試合の相手決まったよー!」
海未「相手が決まった!?ま、まだ機体もスポンサーも……」
ことり「本当なの!?」
穂乃果「うん!UTX?っていう近所の高校が練習試合に付き合ってくれることになったよ!」
海未「駅前にある学校ですね」
ヒデコ「そりゃまた……凄いとこに話持ちかけたね」
穂乃果「凄いって何が?」
ミカ「UTXって言ったら凄い強豪だよ?」
ヒデコ「夏の全国高校機動兵器でこれまで負けた事が1度もないんだ」
海未「よ、よくそんな相手が私達に付き合ってくれましたね」
フミコ「全国で加盟校が50校くらいしかないから、向こうにとってもご近所の練習相手は都合がいいんじゃないかな?」
ヒデコ「試合の度に運搬車何台も引き連れてゾロゾロと行くの大変だろうしねぇ」
――ガレージ
真姫「……」
真姫(ちょっとカッコいいかも。あれをニシキノの力で動かせる……?)
真姫(パパに頼んでみようかしら)
ヒデコ「とりあえずことりの設計で組んでる途中~」
ミカ「もうちょっとかな~」
ことり「皆ありがとね」
フミコ「いいっていいて。こういう機械弄り大好きだし――」
ヒデコ「あ、そういやなんか色々送られてきたよー?お金とか武器弾薬に燃料まで!スポンサー見つかったんだね!」
穂乃果「え、スポンサー?」
フミコ「送り主は……NST?に、ニシキノ・サイエンス・テクノロジー社!?よくこんな大企業から……」
穂乃果「え、知らない会社だけど……に、にしきの?」
海未「まさか……」
ミカ「終わったよー!ちょっと起動してみてー!」
ことり「凄い!本当に出来たんだ!!」
海未「これが……私達の……機体……」
穂乃果「ちょっと乗ってくる!!」
ヒデコ「私達の初仕事……さて、どんなもんかな」
穂乃果「いいよー!」
ヒデコ「メインジェネレータ、始動シーケンス開始!主燃料供給異常なし、スターターアシスト問題なし……始動シーケンスクリア!!」
ミカ「メインコンデンサ電荷上昇、ヴェトロニクス起動、アクチュエータ接続……全て異常なし!全関節ロックを解除!」
キィィイイイイイイイイ…!!!
ことり「ガスタービンの甲高い音……素敵……♪」
海未「そ、そうですか……???」
穂乃果「よぉーっし!……って機体の名前考えてなかった!!」
ことり「穂乃果ちゃんが決めていいよ!」
海未「そうですね、それは穂乃果の機体ですし」
穂乃果「じゃあ……音ノ木坂試作一号機、起動!!」
穂乃果(あれからヒフミの3人に海未ちゃんとことりちゃんの機体も組んでもらいました!)
穂乃果(燃料もあるし、最低限の武器や弾薬も送ってもらったのでそれなりの機体になったと思います!)
穂乃果(と言っても機体はそれなりだし、それ以外にも問題は山積みで……)
穂乃果『海未ちゃん!倒れる倒れる!!』
海未『わわわ!!』
ことり『危ない!!』
穂乃果『よっと!』がしゃん!!
海未『た、助かりました……支えてもらわなければ転倒していました……』
穂乃果『まだ上手く立てないかぁ……」
海未『なんで穂乃果はそんなに操縦が上手いのですか!?』
こより「も、もう1回頑張ろ?」
穂乃果(意外と海未ちゃんは不器用でした……。でも射撃は――)
穂乃果『これ難し……煙で見えない!!』ドンッ!ドンッ!
ことり『ふぇえええ……当たんない……』バババババババッ!
海未『手振れというものが全くないのですね!とてもやりやすいです!』ドォン…!
穂乃果(射撃に関しては私もことりちゃんも敵わず……)
・・・・・
・・
海未「疲れました……」
穂乃果「整備と補給が終わったらもう1回移動の練習だよ?」
ことり「頭がぐわんぐわんする~……」
穂乃果「海未ちゃんまともに歩けないくせに撃つの上手だよねぇ」
海未「あなたこそあんなに得意げだったのになんで撃つのは下手なんですか!?」
穂乃果「当たり前だよ!?銃なんて初めて撃ったもん!?」
ことり「まぁまぁ二人とも……」
ヒデコ「はいはいそのくらいで」
海未「おやヒデコ。もう調整はいいのですか?」
ヒデコ「うん、だいたいね。本当はもっと弄りたいんだけど部品がなぁ……」
ミカ「送られてきた物資があれだけだから……まだ弄り甲斐はないって感じかな」
ヒデコ「まぁ35mmに40mmっつったら標準的なライフルだし、とりあえず送っとけって感じで送られてきたって感じだね」
フミコ「あれはライフルじゃなくて滑空砲!。それより57mmの散弾砲どうする?」
ミカ「どう考えても穂乃果でしょ!当てる腕が無いなら当たる距離まで詰めればいいんだって!」
ヒデコ「んな無茶な話があるかー!まともなFCS導入するのが先!電子装備が脆弱過ぎ!」
フミコ「その前に電子戦装備でしょ?現代戦は電子戦だって!」
穂乃果「話に付いて行けなーい!!」
真姫「……」
穂乃果「あ、西木野さ~ん!!真姫ちゃ~ん!!」
穂乃果「なんで?」
真姫「恥ずかしいからよ!!」
穂乃果「そうだ!見てよこの機体!!3機できたし、武装もそこそこついたんだよ!」
真姫「……そう」
穂乃果「これ、真姫ちゃんがくれたんでしょ!?」
真姫「違うわよ」
ミカ「送り主ニシキノ・サイエンス・テクノロジー社って書いてあったよ?」
ヒデコ「あんたのとこの会社だろ?」
真姫「ヴェエエエエエエエエエ!?」
真姫(こっそりって言ったじゃないパパ!!)
穂乃果「ねぇねぇ!まだ練習するからここで見てってよ!2人とも結構歩けるようになったんだ~!」
ことり「射撃はまだ全然なんだけど、頑張ってるんだっ」
海未「少々危ないので離れてくださいね」
穂乃果「それじゃいくよ~。試作一号機!」
ことり「二号機!」
海未「三号機!」
「「「機関始動!」」」
生徒A「部活なににする~」
生徒B「どうしよっかな~」
生徒A「じゃあロボットのパイロットは?」
生徒「私には無理だよ~」
花陽「……」
掲示板『練習試合の詳細が決定!対戦相手:UTX校! 日時:新入生歓迎会のすぐ後! 場所:音ノ木坂演習場!』
花陽(ゆっ……UTX!?まさかUTXの本物の戦いを生で見る機会があるなんて夢みたいです!!)
花陽(極限まで装甲を落とし、武装はレーザーブレードのみ。究極の軽量化から生み出される究極の運動性で敵を両断する史上最速のブレーダー、綺羅ツバサ)
花陽(積載量に余裕のある重量ニ脚にギリギリまでガン積みされる6門のガトリング砲。圧倒的火力で敵を粉砕するガトリングモンスター、優木あんじゅ)
花陽(持ち合わせる武器は狙撃砲ただ1つ。クールな冷静さと、たまにドジるお茶目さや機体のネーミングセンスの可愛らしさのギャップ萌が最強のスナイパー、統堂英玲奈)
花陽(そしてチーム名の由来になった、全く異なる3機を統括し戦場の管理者となるべく生み出された戦術支援システム……<A-RISE>の存在)
花陽(その圧倒的な強さからもはや試合などではなく、もはや『民間戦争』!)
花陽(このエースパイロット達相手に素人の寄せ集めなんて到底敵うわけがありません。こんなものは戦いですら……一方的な虐殺、良くて鎮圧です)
真姫「~♪」
花陽(西木野、さん?そういえばニシキノグループがスポンサーについたんだっけ)
花陽(……いや、それでも無理だよね。でも、あるいは――)
穂乃果「明日!練習試合がありまーす!」
ことり「ちょっとだけでもいいので見に来てくださ~い!」
海未「お、お願いします……」
にこ「……ほぅ?」
凛「あんまり興味ないです」
真姫「気が向いたらね」
海未「あんまり興味持ってもらえませんね……」
穂乃果「どーして!?男のロマンだよ!?」
ことり「ここ女子高だから……」
花陽「あの……試合、観に行きます……」
穂乃果「本当!?」
花陽「こういうの……好きなの、で」
穂乃果「やっぱ分かる人には分かるんだよ~!」
花陽(こんなのただの様子見です……。勝てるなんて思ってませんけど、可能性があれば……その時は)
ヒデコ「最終調整終わったよ~!」
穂乃果「ありがとー!」
ヒデコ「しっかし本当に大丈夫?学校じゃ実弾演習できないから、これ撃つの初めてなんだろ?ペイント弾とはわけが違うよ?」
穂乃果「なんとかなるってー」
海未「あれから3人で作戦を考えたのですが、これが最良だと」
穂乃果「穂乃果は撃つのがちょっと苦手だけど、動くのには自信があるからとにかく前へ出て敵を誘導!」
穂乃果「そんで、海未ちゃんは歩くのがやっとだけど撃つのが上手だから遠くから狙撃!」
穂乃果「ことりちゃんにはその間電子攻撃に徹して貰って、敵がキルゾーンに来た所で3人でフルボッコ!!どうかな?」
海未「素人の考えた付け焼刃なものだとは思っていますが、これくらいしか……」
ことり「じゃ、じゃみんぐ?っていうのを頑張ればいいんだよね?」
ミカ「私達はサポートしか出来ないから、穂乃果達のやりたい事をやらせてあげるだけ」
フミコ「私達は頑張った、後は3人が頑張る番だよ」
ことり「3人とも、本当にありがとう」
海未「では行ってきます」
穂乃果「よぉーっし!初めての実戦だぁー!!」
ヒデコ(せっかく3機もあるのにほぼ同じような機体構成。ジェネレータの馬力も足りない。武器は間に合わせ。作戦も付け焼刃……勝てる要素が1つもない)
ミカ「どう頑張っても勝てっこないって顔してるよ?」
ヒデコ「どう考えたって無謀だよ、こんなの」
ヒデコ「あの散弾砲は確かに威力は高いよ?重量機相手でも至近距離でなら装甲を抜ける。でも初見であんな反動の大きい散弾砲なんか使っても振り回されて戦うどころじゃない」
ヒデコ「ニ脚機で狙撃?火器管制もなしに?確かに40mmなら中量機相手でも装甲は抜けるだろうけど、それは精々1km未満での話。そもそも長距離狙撃には使えない」
ヒデコ「データリンクも整ってないのに電子戦機を用意して何になる?それにレーダーを潰したところで遠距離武器が無いんじゃ結局接近するしかない」
ミカ「それでも信じて送り出してやるのが整備士ってものだよ」
ヒデコ「そんな無責任な!」
フミコ「……ヒデコ、無謀だなんて穂乃果達が一番よく分ってる事だよ。それでもあの3人はやるって決めたんだから」
ミカ「音ノ木坂を廃校から救うんだー!って。私達は今出来る事をやった。後は穂乃果達を信じるだけ」
ヒデコ「あんた達、歴戦の猛者かっての」
ミカ「それあんたが言う~?」
ヒデコ「なんだよ~!?」
全高:7.9m
乾燥重量:16.5t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:7m
作戦行動時間:18時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン(2,300馬力)
右手:ボフォース 57mm散弾砲
左手:ボフォース 57mm散弾砲
格納:---
右背部:---
左背部:---
肩部:ブローニングM2 12.7mm重機関銃×2
搭乗者:高坂穂乃果
全高:7.9m
乾燥重量:16.5t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:7m
作戦行動時間:18時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン(2,300馬力)
右手:エリコンKD 35mm機関砲
左手:---
格納:---
右背部:---
左背部:---
肩部:AN/ALQ-99 電波妨害装置
搭乗者:南ことり
全高:7.9m
乾燥重量:16.5t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:7m
作戦行動時間:18時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン(2,300馬力)
右手:ボフォース 40mm機関砲
左手:---
格納:---
右背部:---
左背部:---
肩部:ブローニングM2 12.7mm重機関銃×2
搭乗者:園田海未
穂乃果「今日は宜しくお願いします!」
ツバサ「こちらこそ宜しくね。復活したばかりなのにいきなり試合だなんてビックリしたわ」
穂乃果「あ、まだ正式な部活として認められているわけではないので勝手にやっているだけなんです」
ツバサ「そうなの?でもま、私達としても続いてもらって嬉しいわ。やっぱり競技人口が減るのはやっぱり寂しいもの」
あんじゅ「今日はあくまで武器の性能試験を兼ねた親善試合ってくらいの感覚だから、お互い楽しみましょ?」
英玲奈「こちらとしても新興チーム相手に本気は出さないさ」
ツバサ「じゃ、そろそろ準備しましょ?」
穂乃果「はい!」
穂乃果「結構感じ良さそうな人達だったね」
ことり「うん!ちょっと手加減もしてくれるみたいだし」
海未「初心者としてはありがたいですね。もちろん、勝つ気で挑みますが」
穂乃果「海未ちゃん、嫌がってたのが嘘みたい」
海未「勝負事ですから」
全高:8.0m
乾燥重量:5.5t
最高自走速度:280km/h
最大跳躍高:50m
最大作戦行動時間:7時間
動力源:ゼネラル・エレクトリック社 ガスタービンエンジン 7,100馬力
右手:ターオン CT-220レーザーブレード
左手:ターオン CT-220レーザーブレード
格納:---
右背部:---
左背部:---
肩部:---
備考:
搭乗者:綺羅ツバサ
機体:A-RISE2<パーフェクトフルハウス> 重量二脚
全高:8.0m
乾燥重量:35.0t
最高自走速度:70km/h
最大跳躍高:10m
最大作戦行動時間:10時間
動力源:川崎重工 ガスタービンエンジン 4,800馬力
右手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲
左手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲
格納:---
右背部:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲
左背部:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲
肩部:SGE-30 ゴールキーパー 近接防御火器システム×2
備考:
搭乗者:優木あんじゅ
機体:A-RISE3<ハイパーメガえれなちゃん> 重量四脚
全高:5.5m
乾燥重量:44.5t
最高自走速度:35km/h
最大跳躍高:1m
最大作戦行動時間:8時間
動力源:プラグパワー 水素燃料電池 1,320kW(1,800馬力)
右手武器:ラインメタル 44口径120mm狙撃砲
左手武器:---
右手格納:---
左手格納:---
右背部:Metsman 環境センサー
左背部:Mk.46 OSS 光学照準システム
肩部:発煙弾発射機×2
備考:
搭乗者:統堂英玲奈
穂乃果『一番機から各機。2人とも、準備できた?』
ことり『準備できたよー』
海未『こちらも問題ありません』
ことり『いーしーえむ?っていうのを作動させたよっ!』
穂乃果『よぉーっし!!音ノ木坂の夜明け作戦、開始だぁー!!』
ことり『おーっ!』
海未『お、おー……』
穂乃果『それじゃ敵に突っ込んでくる!!』
海未『だ、大丈夫でしょうか……』
ことり『穂乃果ちゃんなら大丈夫!海未ちゃんも頑張って!』
海未『やれるだけやってみます』
ツバサ『A-RISE1より各機。初心者相手に本気は出さない。だけど手を抜くつもりもない。いい?』
英玲奈『分かっている』
ツバサ『ところであんじゅ……その両手の武器は何』
あんじゅ『何って、アヴェンジャーよ?』
ツバサ『背中に背負ってるのは?』
あんじゅ『アヴェンジャー』
ツバサ『肩』
あんじゅ『ゴールキーパー』
ツバサ『全部アヴェンジャーになってるじゃない!!昨日までバルカンだったじゃない!?』
あんじゅ『何を言っているのぉ?アヴェンジャーは最高よ?この圧倒的な破壊力……やっと買い揃えたわぁ……』
ツバサ『飽きないわねぇ……このガトリングモンスターさんは……』
英玲奈『そんな事は今どうでもいい。それより聞いてくれ、センサーがおかしい。無線にもノイズが入る。敵の電子攻撃だ』
ツバサ『困ったわね……初心者は電子戦なんて考えしてこないと思ってたから、そこら辺オミットしてきちゃったわ』
英玲奈『何故A-RISEシステムをオミットしてきた?』
ツバサ『初心者相手にそんなもの使うなんて大人げないじゃない』
あんじゅ『そんな事はどうだっていいの!見てこの大きな砲身!7砲身30mmから繰り出される徹甲焼夷――』
英玲奈『っ!レーダー照射!推定1機3時方向!あんじゅ後ろ!!』
あんじゅ『今大事な話を……ふぇ?』
穂乃果「ったぁあああああああ!!」ドンッ!!
<撃破判定>
穂乃果「わわわっ!?」ずでーん!
ツバサ『この馬鹿!英玲奈!』
英玲奈『分かってい……なぜこのオレンジ色の機体はすっ転んでいるんだ?』
ツバサ『反動が予想以上に大きかったのかしら……まぁいいわ。英玲奈』
英玲奈『うむ』ドンッ!
穂乃果「しまっ――」
<破壊判定>
英玲奈(やった、倒した)
ツバサ『確認したわ、私が突っ込んでくる。英玲奈は射撃可能な範囲まで前進して援護』
英玲奈『援護が必要な状況になるとは思えんがな。了解だ』
ツバサ『じゃ』サッ
英玲奈(よくもまぁあんな高機動な機体を動かせるものだ……極限まで装甲を落としてまであの運動性を求める神経が私には解らんが)
英玲奈(あんな12.7mmを防ぐのがやっとの鉄板……もはや装甲などではない。そんなことしなくとも敵など接近される前に撃破してしまえばよい)
英玲奈(っと、一応前に出ておかないとな……)
キィイイイイイイ……
英玲奈(……ガスタービン音?何故だ、さっきのオレンジ色の機体なら撃破したはz――)
<撃破判定>
――
ことり『二番機から三番機へ。穂乃果ちゃん、大丈夫かな?さっきから返事がないけど……』
海未『きっと大丈夫です。それより1機が正面から接近……撃ちます!』ドンッ!
海未『これだけ距離があると当てるのが難しいです……ねっ!』ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ことり『何で1機だけなの……?穂乃果ちゃんは……??』
海未『きっと他の2機を相手にしているのでしょう!!あ、当たらない!?』ドンッ!ドンッ!ドンッ!
ことり『なんで真っ直ぐこっちに来てるの!?じゃみんぐっ!効いてないの!?』
ツバサ(レーダー照射のアラートがない。照準修正の誤差が激しい。つまりこれはFCSではなく、手動で狙いをつけている……だとすれば驚異の腕)
ツバサ(まだ結成されて間もない新興チームだって話だし、訓練なんてあまりしていないハズ……まさに天性の才能ね)
海未(遠い……ですが見えます!!)
ツバサ「見えたっ!に、ニ脚機!?危なっ……肩に被弾!?この距離を四脚以外で!?この私に!?」
ツバサ(さっきのオレンジ色の機体といい、案外いい素材ね……けど、ね!)
海未「速いっ!?しまっ……接近されては――」
ツバサ「終わりっ!!」スバッ!
海未『わわわっ!』ザシュッ!
<撃破判定>
ことり「海未ちゃっ……!!え、ええええい!!」ババババババババッ!
ツバサ「遅いっ!」ガシッ
ことり「ひっ……」
ツバサ「えぇっと外部スピーカー外部スピーカー……これね」ぽちっ
ツバサ『あなたは戦いと言うものに慣れていないようね。まぁいいわ、その白い機体には傷をつけないであげる』
ことり「……」
ツバサ『こうやって……刀身がコックピットブロックに当たった時点で撃破判定が出るわ。今日のところはこれでおしまい』
ツバサ(何故この期に及んでジャミングを解除しない……?)
<撃破判定>
ツバサ「これで試合終了……終了のアナウンスが流れないっ!?後ろ!?」
穂乃果「そぉおおおおおい!!!」ドンッ!
・・・・・・
・・・
穂乃果「ったぁあああああああ!!」ドンドンッ!!
<撃破判定>
穂乃果「わわわっ!?」ずでーん!
ツバサ『この馬鹿!英玲奈!』
英玲奈『分かってい……なぜこのオレンジ色の機体はすっ転んでいるんだ?』
ツバサ『反動が予想以上に大きかったのかしら……まぁいいわ。英玲奈』
英玲奈『うむ』ドンッ!
穂乃果「しまっ――」
<破壊判定>
穂乃果(痛ってって……そんな事より損害確認!片腕が無くなっちゃってる!武器も片方壊れちゃったし!?)
英玲奈『残り2機だ。おそらくジャミングの発信源に居るのだろう。方向はほぼ特定できた』
穂乃果(あれ?なんか私の事無視されてる?もしかして撃破されたと勘違いされているんじゃ……?)
穂乃果(むふふふふ……これなら隙を突いてさっきの四脚の人を倒せる!!)
穂乃果(片腕はないけど……右腕と武器がまだ生きてる……行ける!!)
<撃破判定>
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・
穂乃果「そぉおおおおおい!!!」
ツバサ(まさか……また撃破と破壊を見間違えたのね英玲奈ぁあああ!?)
穂乃果「ぅ……早い……けど!なんとか目で追える!」
ツバサ『意外といい動きをするわねっ!それにその武器にもちょっと慣れたのかしら!?』ブンッ
穂乃果「危なっ!あとそっちの周波数分かんないから話しかけられても困るよぅ!?」サッ
ツバサ(たぶん外部スピーカーつけてないだけだと思うけど無視されている気分ね……)
ツバサ「その無理な回避に隙が出来る!!」ブォン!
穂乃果「うわああっとぉおおおおお!!?」ドォン!
ツバサ「反動を利用して避けたっ!?器用なっ――」
穂乃果「そのまま体当たりぃいいいい!!」ガッシャアアアアア!!!
ツバサ「なっ!?この子……出来るっ……!」
穂乃果「貰ったぁあああああああああああ!!!」
ツバサ『けど残念。はい』ぽん
穂乃果「ふぇ?」
<撃破判定>
ツバサ『相手の武器の位置もちゃんと見ておきなさい。自分からブレードに突っ込まないの』
穂乃果「結構あっさり負けちゃったね」
海未「不甲斐ないです……」
ことり「でも、結構楽しかったかも♪」
ツバサ「お疲れ様。結構いい試合だったわ。まさか2機も落ちるとは思わなかった」
あんじゅ「うぅ……1発も撃てなかった……」
英玲奈「またしてもドジを踏んでしまった……」
穂乃果「あ、お疲れ様です!これはたまたまでして……」
ツバサ「あんな動きをたまたまでされたら困るわ。いい腕よ、あなた。それにあなた達2人も」
海未「え?」
ことり「私達も?」
ツバサ「14kmにも及ぶ超長距離狙撃……しかも射撃管制なしで当ててくるなんて普通じゃない、異常よ。しかも二脚機ですって?」
海未「でも、結局当たりませんでした」
ツバサ「肩に当たってたわよ。こんな距離じゃ、40mm砲弾のパワーでさえ風や重力、気温、湿度、コリオリ等の影響を無視できない」
ツバサ「それをあなたは無意識で補正しているの。知識ではなく感覚で狙撃と言うものを理解した。装備が整えばもっといいスナイパーになるわ」
ツバサ「それにそこのあなた。あなたの電子攻撃がなければ撃破していないとすぐに気が付いたはず。もっと言えばあの機体の接近にもっと早く気が付けたはずよ」
ツバサ「あなたは敵を眼前にしても最後まで役目を果たそうと努めたわ。あの自然なタイミングで機関砲を撃つことで接近音を誤魔化してまでみせた。いいガッツよ」
ことり「あれはただどうしていいか分かんなくなっちゃって……」
ツバサ「そう?まぁけど」
英玲奈「そうだな。本当にいい動きをしていた。『初心者としては』ではなく、普通にいい動きだ」
穂乃果「は、はい!頑張りますっ!」
ツバサ「真っ先に撃破された2人に言われてねぇ……とにかく頑張ってね。頑張らないとスポンサーに逃げられるわよ。じゃ」
あんじゅ「それじゃあねぇ」
英玲奈「む」コクッ
穂乃果「褒められちゃった……意外といい動きだって!」
海未「お世辞でも嬉しいものですね。これを励みにもう少し頑張ってみましょう」
ことり「そうだね、頑張らないとスポンサーさんに逃げられちゃうみたいだし……」
穂乃果「それだけまずい!スポンサーの為にももっと頑張ろうね!2人とも!」
海未「学校の為ではないのですか……」
――
花陽(な、何ですか今の試合は……!?明らかに手加減された試合だったとは言え、2機も落とした?)
花陽(あの素人3人の作戦が奇跡的に機能していました……としか言いようがありませんが、その原因はいったい?)
花陽(本来であればUTXの3人に敵うハズがありません。機体の構成ミス?整備不良?それとも単なる油断……?)
花陽「それともあの3人が意外とやる……?まさか……」
にこ「そこのメガネ」
花陽「は、はいっ!?」
にこ「その制服、音ノ木坂の生徒ね。応援にでも来たの?」
花陽「い、いえ……目当てはUTXです……けど」
にこ「けど?」
花陽「あの3人には確かな可能性を感じました」
にこ「それは同感ね、それじゃ。今日のは良い収穫だったわ」
花陽「収穫、ですか?」
にこ「音ノ木坂ロボット研究部の再建よ。じゃあね」
花陽「!!」
花陽(まさか今の小さいのが……ヤザワ?)
――数日後 ガレージ
ヒデコ「修理終わったよー」
海未「もう治ったのですか?」
ヒデコ「海未とことりは大した損害なかったしね。穂乃果のは左腕がもうダメだったから新品に取っ替えた」
穂乃果「そんな簡単に交換できるものなんだ。結構やっちゃった感があったんだけど……」
ミカ「全てのパーツが共通規格でモジュール化されてるからね。自由性が最大の売りなんだから」
ことり「ことりがアセンブルを考えられるのも自由に組み替えられるからなんだぁ。部品間の相性とか専門的な事は分からないし……」
穂乃果「じゃあ腕4本とか脚4本とかにも出来るの!?」
ことり「腕4本は無理かなぁ……」
フミコ「四脚ならあるけど、あれは海未向きかな。狙撃に適しているから」
海未「安定性が高い、みたいですね」
ヒデコ「2本足と違ってグラつきにくいし、四脚には反動を抑える為の専用のアウトリガーが装備されているからまさに狙撃特化って感じ」
ヒデコ「まぁ用意できるかはスポンサー次第だけど……どうなの?スポンサーさん」
真姫「心配しなくていいわ」
穂乃果「ま、まきちゃん!?」
海未「いつから居たのですか!?」
真姫「さっきから居たわ」
真姫「えぇ、先日の試合面白かったもの。西木野のお金でロボが動くっていうのが中々にいいわね」
ヒデコ「おおぅ……すっげぇブルジョア発言……」
穂乃果「ありがとー真姫ちゃん!!」
真姫「抱き着かないで!」
ミカ「でもいいの?ニシキノグループにとって防衛産業はあくまでオマケだし、内容は航空機関連やレーダー類。機動兵器はあんまりうま味がないような」
真姫「まぁその件でパパにちょっと嫌がられはしたけど……ある条件でOKしてくれたわ」
穂乃果「条件?」
真姫「というわけで……私もパイロットに加えてもらえるかしら?」
穂乃果「お!?」
真姫「パパにこう言われたわ、『お前がやるわけでもないのに』って。だったらやってやろうじゃない?」
穂乃果「なんか意外!こういうのあんまり興味なさそうだったし……」
真姫「金だけせびっといてその言い方?別にいいじゃない。それに……私だけじゃないみたいよ?」
穂乃果「?」
花陽「あ、あのっ!」
穂乃果「あ、あの時の!」
穂乃果「もちろん!ね、いいよね皆!」
海未「もちろんです!」
ことり「人数が増えれば部活申請も出来るし!」
花陽「と言うわけで凛ちゃんもだよ!」
凛「Σ(・ω・;)!?」
海未「部員はまだまだ募集中ですからね。凛さん?ですね、よろしくお願いします」
凛「凛もやるなんて聞いてないよ……?」
穂乃果「そんなわけで凛ちゃん!宜しくね!」
ことり「宜しく~」
凛(……あ、断れない雰囲気だにゃ)
ヒデコ「増えるのは構わないけど、予算が厳しくなる事は覚悟してよ?」
凛「よ、予算?お金が厳しいなら凛は別に――」
花陽「大丈夫です!お爺ちゃんに話を付けてきました!小泉重工もスポンサーになる用意があります!」
真姫「小泉重工……あなた、そうだったの?」
花陽「お爺ちゃんが会長で……」
ヒデコ「凄いな、小泉重工って言ったら日本の防衛産業を担う大企業さんだよ……?まさか新人2人がスポンサー引っ提げてくるとは」
凛(あ、断る理由が完全に潰された……)
ミカ「小泉って言えば日本の戦車開発に欠かせない重要な企業だよ!?」
ことり「確かロボットの装甲とかのメーカーもだいたい小泉さんだったような……」
ヒデコ「武装で言えば杭打ち機を兵器に転用したパイルバンカーみたいな特殊兵器とか、最近は大砲とかも得意になってきた印象があるね」
穂乃果「へぇ……なんか凄い会社って事は分かったよ!」
ことり「それで3人はどういう機体にしたい?ことりがアセンブル考えてあげる!」
真姫「私は……そうね、任せるわ。なんかよく分からないし」
凛「凛はその、意味わかんないというか」
フミコ「あれ~?なんか運搬車が来たよ~?機体の搬入予定なんかあったっけ?」
花陽「あ、私の機体です!お爺ちゃんが組んでくれましたんです!」
海未「用意がいいですね」
機体:水電 タンク
全高:3.5m
乾燥重量:150t
最高自走速度:30km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:32時間
動力源:三菱重工 水冷2ストロークV型10気筒ターボチャージド・ディーゼルエンジン 最高出力1,500馬力
右手:小泉重工 55口径120mm滑腔砲
左手:小泉重工 55口径120mm滑腔砲
格納:日本製鋼所 44口径120mm滑腔砲
右背部:オート・メラーラ 64口径127mm速射砲
左背部:オート・メラーラ 64口径127mm速射砲
肩部:発煙弾発射機×2
穂乃果「こ、これは……戦車?」
ヒデコ「なんだこれは……」
フミコ「積み過ぎ……」
穂乃果「なんか強そう!」
ことり「火力は圧倒的だし、150tってことは装甲も凄い事になってるんじゃ……」
花陽「はい!120mmAPFSDSの直撃を20発受けても自走可能な装甲だと聞いてます!」
ヒデコ「40mm防げりゃ上等の機動兵器にゃ大した装甲だ。ただ……その、なんだ。ロマンには溢れてるけど、砲は積めばいいってもんじゃないって」
花陽「?」
ヒデコ「まず、これは艦砲だ。そしてこれは機動兵器だ。弾を置くスペースに大きな差がある。言いたい事は分かるな?弾そんなに積めない。OK?」
ミカ「速射するとしてどうやって砲身の冷却するの?冷却水どうすんのこれ?」
フミコ「その前に重すぎて自走できるのかなこれ」
花陽「うぅ……完全否定です……」
ことり「その辺はことりが後でいろいろ考えておくから……」
真姫「そんな事よりあなた達……部活申請しに行かなくていいの?5人以上集まったわよ?」
穂乃果「そうだった!よし、生徒会長に会いにいこう!!」
絵里「――というわけで、残念だけど認めてあげるわけにもいかないのよ」
穂乃果「ロボット研究部?」
花陽(あの日……ヤザワが言っていたやつですね……。再建、という言い方からもうないのかと思っていましたけど……)
絵里「そう、既にこの学校にはロボット研究部というロボットに関する部活があるの。まぁ、部員は1人だけどね」
穂乃果「え、でも廃部になったって……」
希「スポンサー切れで活動ができないってだけで、書類上はまだ存続しとるんよ?最近も地味に書類選考くらいは出してるみたいやし」
絵里「そういうこと。そういうわけだから、生徒数が少なくて部費に余裕がない現状では、部活を増やすわけにもいかないの。残念だけど、ね」
希「どうしてもって言うんやったら、ロボット研究部さんと話しをつけてくることやな」
花陽「ヤザワと……話を……」
絵里「ん?知っているの?」
花陽「あ、いえ……し、失礼します……」
絵里「これでいいのかしら。内心では凄く嫌がっているのに、あの子達を止める事ができない……」
希「間違ってないとうちは思うよ?だってただのスポーツやし」
絵里「とは言ってもね……」
凛「かよちん、さっき言っていた『ヤザワ』って何なの?」
花陽「音ノ木坂ロボット研究部の部長さんだよ」
真姫「知り合い?」
花陽「知り合いだなんてそんな……!この業界で知らぬ者は居ない、かつて存在した伝説のエースパイロット……ヤザワ」
海未「そんなに凄い人なのですか?」
花陽「凄いなんてもんじゃないです!あれは2年前の夏の全国高校機動兵器……ヤザワは1年生にして決勝戦まで勝ち上ったんです。それも単機で」
穂乃果「た、単機!?」
ことり「他の部員さんはどうしたの?」
花陽「ヤザワの厳しい訓練について行けずに次々と辞めてしまったんです。部員が減るにつれ、スポンサーにも逃げられ……機体を整備するお金すらありませんでした」
凛「なんか可哀相……」
花陽「弾薬と燃料は大会が出してくれますが、整備はそうもいきません。当然ながら武装も買えません。持ち合わせていた武器は40mmライフル1丁とブレードのみ……」
花陽「途中でライフルが破損しちゃって、20機もの敵機を全てブレードで撃破する快挙を成し遂げた程で……そっか、あれが2年前だから生きていれば3年生なんですね」
海未「それで決勝戦はどうなったのですか?」
花陽「負けちゃいました。あと1歩のところで……整備不良でした。足回りにガタがきてしまったんです」
海未「整備不良、ですか……なんともやるせない終わり方ですね」
にこ「……ふん、随分と詳しいじゃない。あの時のメガネ。あれ、メガネ辞めたの?」
花陽「や、ヤザワ……!」
にこ「まぁ立ち話もなんだし部室入りなさいよ」
真姫「あなたがエースパイロットのヤザワさん?」
にこ「過去の栄光にすがるつもりはないわ。それよりも、ここへ来たって事は希に何か言われてきたんでしょ」
穂乃果「そ、そうなんです!実は私達、ロボットのパイロットをやっておりまして……」
にこ「知ってる。試合ならこの間観に行ったわ」
穂乃果「ヤザワさん観に来てくれたんですか!?」
にこ「にこ」
穂乃果「にこ?」
にこ「ヤザワヤザワ呼ばれるのもなんか鬱陶しいし、にこでいいわ」
穂乃果「にこ先輩!それで希先輩に部にしたいなら話を付けて来いと言われまして」
にこ「ま、そんな事だろうと思ったわ。似たような部を作るわけにもいかないとかそんな理由でしょ」
穂乃果「で、では!」
にこ「まぁいいけど、1つだけ条件があるわ。私はこのロボット研究部を最期まで守りたい。だから廃部も統合もごめんよ」
穂乃果「と、言うと?」
にこ「私の部員になりなさい。それなら歓迎するわよ、盛大に」
穂乃果「もちろんです!いいよね皆!」
海未「私は構いません。私はただ、今度こそ撃破してみたい……それだけです」
ことり「私は穂乃果ちゃんのやりたいように」
真姫「このちんちくりんの下って言うのが何かあれだけど、出資するからには勝ちに行きたいもの」
花陽「ヤザワの下で戦えるなんて光栄ですっ!」
凛「あ、えっと……宜しく、です」
にこ「それじゃ行くわよ!」
穂乃果「えっと、どこへ」
にこ「決まってるじゃない、入部申請と……大会申請!」
穂乃果「大……会……!!」
穂乃果「と言うわけで私達6人、ロボット研究部へ入部する事になりました!」
海未「現在部員は7名、スポンサーは2社、保有する機体は4機」
ことり「3人の機体もパーツが届き次第組み上げる予定です」
にこ「出場資格、問題ないわよね?」
絵里「えぇ、問題ないわ」
にこ「じゃあ今度こそ出してもらうわよ」
絵里「分かった、書類送っておくわね」
海未「案外すんなりと認めて貰えるのですね」
絵里「今まで嫌で反対していたわけじゃないもの。認めることができなかった、それだけよ」
希「絵里ち、結構期待してるんよ?自分もなろうかなーってたまに言うくらいには」
絵里「ちょっと希!」
穂乃果「生徒会長も入ってくれるんですか!?」
絵里「気が向いたらその内、ね。それじゃ、頑張って」
ヒデコ「全機ロールアウト!お疲れ~!全機組み直しはマジで疲れるわ……」
穂乃果「おぉ~!できたできた!!」
海未「3人ともお疲れ様です」
フミコ「いいっていいって」
ミカ「私達自身楽しんでるし。」
凛「これが凛の機体?なんか何か凄い速そう!」
ことり「凛ちゃんはバランス感覚がいいのか、凄く柔軟に動けていたから軽量ニ脚機で組んでみたの」
ことり「速度を活かしてとにかく敵へ突っ込むの!パイルバンカーとブレードでぐいぐい行く感じ!ですっ」
凛「ブレード?」
真姫「ニシキノ・サイエンス・テクノロジーの試作レーザーブレード、<X10-3-PL13 ラブライブレード>よ。結構な自信作なんだから」
ヒデコ「何が自信作だ。ルイファン社製のをベースに魔改造しただけじゃん」
真姫「うっ……」
ヒデコ「まぁ、いいけどさ。刀身は1mしかないから8mもある機動兵器にとってはナイフみたいなもんだな。懐に突っ込んでスパッとやってこい」
花陽「うぅ……私のは武器が減らされちゃいました……」
ことり「花陽ちゃんは武器を少し取っ払って、射撃管制装置を積んでみたの。せっかく射程が10km以上もあるのに手動照準じゃもったいなさ過ぎますっ」
真姫「私のは……よく分らないけどいいんじゃない?」
ことり「真姫ちゃんは射撃が安定していたから、バランスのいい中量ニ脚に仕上げてみました」
ことり「ダブルライフルとミサイルで前衛の穂乃果ちゃんや凛ちゃんが撃ち漏らした敵機が後方へ来ないよう抑えて貰う係です」
にこ「さり気なくミサイルを積むことでブルジョア感を醸し出しているのがポイントね」
真姫「誰がブルジョアよ!」
にこ「あんたよ!」
ことり「皆に機体に乗ってみてもらって、その動きからそれぞれを機体を考えてみたんだぁ」
にこ「私のも要求を大体はクリアしているわ。ぴょんぴょこ可愛い奴……うん、いい感じ。ことり、だっけ?名前。いいアーキテクトよあなた」
にこ「それに応えるメカニックも優秀……と言いたいけど、あんたミカだっけ?ここの締め付けトルクは110Nよ。トルク管理はしっかりなさい」
ミカ「ついカンカンッ!ってやっちゃうんだよねぇ~ごめんごめん」
ことり「それ以外にも、矢澤先輩のアドバイスで海未ちゃんの機体だけジェネレータを燃料電池にしてみたよ」
海未「燃料電池?」
にこ「あんたスナイパーでしょ?馬力や稼働時間を落としてでも隠密性を確保したいの。燃料電池は騒音や廃熱が少ないのが特徴よ」
海未「なるほど、ガスタービンは確かにうるさいですしね」
ことり「本当はECS(Electromagnetic Camouflage System:電磁迷彩システム)を載せたいんだけど、そこまで予算に余裕がなかったから……」
にこ「全部の機体をほぼ組み直しだから、さすがにスポンサー2社でも予算はカツカツね。あんたのレーダー買うの早すぎたかしら」
穂乃果「ことりちゃんの機体のあれ何なの?背中のでっかいの」
ことり「レーダーだよぉ。ことりは戦闘はちょっと苦手だから皆のサポートをするの。本当はレドームがいいんだけどなぁ……」
凛「れどーむ?」
花陽「おっきな円盤みたいなレーダーだよ凛ちゃん。円盤から電波を飛ばすの」
にこ「レドーム積んで早期警戒やらせたかったけど、あれは高度取らないと機能しないからねぇ」
真姫「何でそんなにレドームに拘るのよ。別にあのレーダーでもいいじゃない。ミニ・イージスと呼ばれるほどのレーダーよ?」
にこ「ロマンよロマン!!管制機と言えばレドームでしょうが!!」
ことり「レドームはロマンです!」
花陽「です!」
真姫「何なのよこの人達……でもあれ、機動兵器に載せて意味あるのかしら。元々防空用に開発されたものでしょ?」
ヒデコ「あれは低高度にも強いから対水上捜索レーダーとしても使われてる。地上で使っても機動兵器デカければ十分探知可能だよ」
にこ「むしろオーバースペックなくらいよ。よく手配できたわね?これならことりを早期警戒に専念させられるわ。となると電子戦機はにこね」
海未「電子戦機と早期警戒機はどう違うのですか?どちらも電波で戦うやつではないのですか?」
にこ「んー……電子戦機が爆音鳴らしながら敵に突っ込んでいく感じで、早期警戒機は遠くから静かに敵の声を聞くって感じかしら」
海未「なるほど……爆音を出しては耳を澄ます事が出来ないのですね」
ことり「穂乃果ちゃんは凛ちゃんと同じように前へ出るタイプだから軽量機にしたかったんだけど……無理って言われちゃって」
ヒデコ「穂乃果の主武装ってあの散弾砲だろ?ありゃあちょっと反動が強過ぎてさ、これ以上機体を軽くできないんだ」
にこ「最低限の重量がないと撃つたびに反動でぶっ飛ばされるわよ」
穂乃果「確かに……あの時凄かったもんね。うぉおお!?ってなっちゃったよ」
ことり「その代わりにそれ以外の余計な武装は付けずにギリギリまで軽量化してあるから、軽量寄りの中量くらいには仕上がってると思うよ!」
穂乃果「軽量とか中量とかよく分んないんだけど……そこそこ速いって事でいいんだよね?」
ことり「ま、まぁそういうことかな?」
にこ「分かってなかったの?本来は脚部によるけれど、一般的に10tを切るようなら軽量機、30tを超えるようなら重量機、その間が中量機って言われてるわ」
花陽「花陽のは100t超えですっ!」
にこ「まぁガチタンはね……。ま、全員分の機体はこんな感じでいいと思うわ。ことり、よくやったわ」
ことり「えへへ~」
穂乃果「よぉ~っし、じゃあ各機で練習だ!」
にこ「各自、自分の機体に慣れたら模擬戦に移るわよ!さっさと慣れなさい!初戦まであんまり時間がないわよ!」
花陽「はぁああん!!ヤザワが吠えていますっ!ヤザワがぁ!!」
凛「せ、先輩の呼び捨てはまずいと思うな……」
にこ「あーそれと!」
真姫「なによ」
にこ「ちゃんと自分の機体名を考えておきなさい!いつまでも試作何号機ってわけにもいかないわ!じゃあ練習開始!」
穂乃果「はいっ!」
穂乃果(――こうして、3人でなんとなく始めたものがそれっぽくなっていきました!)
にこ「まっきー、ちょっと」
真姫「何よその呼び方。で、何?」
にこ「実家、西木野総合病院よね?ちょっと頼みがあるんだけど」
真姫「衛生兵にでもなれって?」
にこ「そんなんじゃなくて、パイロット全員のメディカルチェックをお願いできる?ちょっと調べて欲しい項目があるんだけど」
真姫「項目?γ-GTPでも調べるの?」
にこ「なんでよ!そうじゃくて……その」
真姫「はっきり言いなさいよ」
にこ「……SDS適性の持ち主が居るかどうか」
真姫「っ!」
にこ「あれって元々あんたんとこが研究してた医療技術でしょ?一応検査できるわよね?」
真姫「出来るけど……居るとは思えないわ。1万人に1人くらいの確率よ?それで欠陥技術って事になったんじゃない……」
にこ「あたしはその1人よ」
真姫「!」
にこ「そうでなかったら2年前あんなに戦えなかったわ」
真姫「そう……だったの。いいわ、全員検査をしてみる」
穂乃果「い、いよいよ第1試合だね」
海未「声震えてますよ」
凛「いきなり本戦だなんてびっくりだにゃ。地方予選とかないの?」
花陽「加盟校があんまり多くないから予選でふるいにかける必要がないんです」
にこ「今大会の参加校は全部で42校。都道府県より少ないのに予選なんてやる必要ないでしょ?」
凛「少なっ!?」
花陽「お金もかかるし……スポンサー側としても実戦データが欲しいだけだから、数を増やし過ぎるメリットもあんまりないの」
海未「さて、時間もありませんしブリーフィングです。では、まず大会の規定についておさらいです」
海未「まず1つ目。勝利条件は敵機の全撃破です。最大30機までの出撃が認められています。出撃数は試合前に公表する義務があります」
海未「2つ目。時間制限はありません。ただし、試合時間が10時間を超えた時点で一時中断し、翌日に同じ状態から再開となります」
海未「3つ目。持ち込める弾薬は大会指定のものに限ります。また、弾数は各チーム10,000発までです。なお、チャフやIRデコイ、発煙弾などはカウントされません」
海未「4つ目。馬力と稼働時間についてです。最高出力(PS)×最大作戦行動時間(h)が50,000以下である必要があります」
海未「5つ目。武装についてです。NBC兵器の使用は全面的に禁止です。また、ECSの搭載は各チーム1機までとなります」
海未「6つ目。試合中は安全の為、原則コックピットから出る事は出来ません。撃破された場合は試合終了まで待機となります。軽食を持ち込むように」
海未「以上です」
真姫「で、何か具体的な案あるの?何も聞いてないけど」
にこ「そうね……その前に、敵について知る必要があるわ。花陽!説明」
花陽「は、はいっ!で、では私から説明を……。会場は太平洋上に建設されたメガフロート式洋上演習場。対戦相手は浦の星女学院です」
花陽「相手チームの最大の特徴は相手の機体が30機全てタンク型であること。さながら重戦車大隊です」
穂乃果「タンク30機!?」
花陽「タンク型は知っての通り、余裕のある積載量から大口径の火砲を積んでくる事が想定されます。また、装甲も多脚機と比較にならないほどに強力です」
穂乃果「花陽ちゃんの機体も装甲すんごいもんね……近付かないと弾かれちゃうし、近付けたとしても後ろからえいっ!っていかないと効かないし……」
花陽「この為、火力や射程、装甲は相手に分があります。真正面から撃ち合っても勝ち目はほとんどありません。そこで地形を活用します」
花陽「演習場は平原、砂漠、市街地、森林、山岳の5つのエリアに分けられています」
花陽「平原や砂漠での戦闘は避けます。障害物が少なく、交戦距離が長距離になりがちな地形はタンク型に有利に働きます。特に砂漠は砂に脚を取られる危険性があります」
花陽「なので市街地戦に持ち込んでの各個撃破が理想です。市街地の複雑で高低差のある地形は、3次元機動を得意とする多脚機のホームステージです」
真姫「でもそれは相手も分かっていることでしょ?わざわざ出向いてくれるかしら」
凛「それ凛も思った!相手が動かなかったらどうするの?」
にこ「それならそれで遠方で構えているスナイパーのいい的よ。私達が敵を引き連れつつ市街地へ移動。敵がやってきてくれるならそのまま市街地戦」
にこ「足を止めるようならあたし達が市街地から対戦車ミサイルでちょっかい出しながら海未が狙撃で撃破。ある程度数を減らしたら全員で突撃。質問は?」
真姫「そもそもの疑問なんだけど、相手が全部タンクだっていう根拠はなんなの?お互い出撃数しか知らないハズでしょ?」
花陽「この学校は昔からタンクのみを伝統的に使ってきた学校なんです。過去の大会記録を見れば分かると思います」
花陽「まずは地形の配置を見てください。だいたいこんな感じです。こちらの初期配置は南の平原、相手は北の平原です」
北
森平市
西 山砂市 東
森平市
南
花陽「ことりちゃんは山岳地帯がベストです。敵から距離を取れるうえに、高所を取れるので索敵に適していると思います」
ことり「目立たないかなぁ?」
にこ「遠いから平気よ。それにどうせ履帯じゃ山岳地帯に進入できないから接近される心配はないわ。でも狙われるようなら索敵を放棄していいから退避」
花陽「海未ちゃんは南の森林地帯で身を潜めてください。スナイパーの存在は隠しておきたいので、無線封鎖のうえ合図があるまで発砲は厳禁です」
真姫「随分と遠そうだけど弾は届くの?」
にこ「このフィールドは端から端までおよそ30km。つまり狙撃距離は20~25kmくらい。まぁ海未ならいけるでしょ」
海未「か、簡単に言わないでください!それにそんなに距離があっては威力も落ちてしまうのではないですか?」
にこ「まぁなんとかなるでしょ」
海未「そんなっ!?」
にこ「っていうのは冗談で。海未の新武装はカタログスペックで有効射程20km。正面装甲は無理でも側面とか背面なら充分通用するわ」
花陽「海未ちゃんの腕なら20kmでも当てられます!装甲を抜けそうになければ武器の破壊でも大丈夫です。前衛部隊が接近しやすくなるので」
穂乃果「武器が無くなっちゃえば安心して近付けるもんね」
にこ「他に質問は?……ないようね。じゃあ穂乃果、号令」
穂乃果「え、私!?」
にこ「部長は私だけど一応のリーダーはあんたって事になってるでしょ?」
穂乃果「じゃ、じゃあ各自で機体の最終調整後、速やかに搭乗!これより、『音ノ木坂の嵐』作戦を開始します!」
全高:7.9m
乾燥重量:13.0t
最高自走速度:130km/h
最大跳躍高:20m
作戦行動時間:11時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力4,500馬力
右手:ボフォース 57mm散弾砲 (装弾数30発)
左手:ボフォース 57mm散弾砲 (装弾数30発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:AGM-114Aヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
左背部:AGM-114Aヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
肩部:AN/ASQ-170 レーザー誘導装置
機体色:オレンジ
搭乗者:高坂穂乃果
備考:強力なスラッグ弾を使用し接近戦に長けるが、装甲貫徹力は低いため対タンク戦では効果を発揮しにくい
そのため、今作戦のみ対タンク用にミサイルを計8発搭載した
レーザーブレードと言っても当たった箇所の機能が停止するだけであり、実際に金属を切断するようなレーザーが出ているわけではない
また、刀身同士が接触するとそれ以上腕が稼働しなり、鍔迫り合いのような状態になる
機体名に変更がないのは名前の響きを本人が気に入ってしまったため
機体:二番機<ナイチンゲール> 中量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:28.5t
最高自走速度:45km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:エリコンKD 35mm機関砲 (装弾数600発)
左手:---
格納:---
右背部:FCS-3 アクティブ式フェーズドアレイレーダー
左背部:---
肩部:NOLQ-3 電波探知妨害装置
機体色:白
搭乗者:南ことり
備考:索敵担当。データリンクが整っていないため管制機能は限定的
レーダーに電力の大半を持っていかれ、また発電量がギリギリのために移動の際はレーダーを停止させる必要がある
機体:三番機<マークミュートス> 重量四脚
全高:6.5m
乾燥重量:40.0t
最高自走速度:30km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:8時間
動力源:東芝 水素燃料電池 最高出力1,470kW(2,000馬力)
右手:日本製鋼所 70口径120mm滑腔狙撃砲 (装弾数60発)
左手:---
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:Metsman 環境センサー
左背部:---
肩部:NOLR-9 電波探知装置
機体色:ダークブルー
搭乗者:園田海未
備考:超長距離狙撃特化の四脚機。ジェネレータを燃料電池に変更した結果、出力や稼働時間が犠牲になっている
超長距離狙撃を行うが射撃管制装置を積む気はないらしい。マニュアル照準のほうがよく当たるからとのこと
ミュートスとはドイツ語で神話という意味らしい。機体色とかけて蒼の神話だと説明したところ、凛に爆笑された
全高:7.9m
乾燥重量:18.5t
最高自走速度:90km/h
最大跳躍高:12m
作戦行動時間:11時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力4,500馬力
右手:ボフォース 40mm機関砲 (装弾数450発)
左手:エリコンKD 35mm機関砲 (装弾数600発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:AGM-114Aヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
左背部:AGM-114Aヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
肩部:AN/ASQ-170 レーザー誘導装置
機体色:赤
搭乗者:西木野真姫
備考:中距離を得意とするオーソドックスな中量ニ脚
そこそこの装甲防御と運動性を兼ね備え、正面からの削り合いを得意とする
ミサイルの標準搭載はお金持ちの証
機体:五番機<スターゲイザー> 軽量ニ脚
全高:7.4m
乾燥重量:6.5t
最高自走速度:260km/h
最大跳躍高:45m
最大作戦行動時間:9時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,500馬力
右手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
左手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:---
左背部:---
肩部:AN/ASQ-170 レーザー誘導装置
機体色:黄
搭乗者:星空凛
備考:圧倒的な運動性を生かし接近戦を仕掛ける
両手に持ったパイルバンカーはどこに当てても一撃で撃破判定を取れる強力な武器であるが、1回限りの使い捨て
基本的にはブレードがメイン武器
今作戦のみ対タンク用にレーザー照準器を搭載
機体:六番機<水電> タンク
全高:3.5m
乾燥重量:100t
最高自走速度:60km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:32時間
動力源:三菱重工 水冷2ストロークV型10気筒ターボチャージド・ディーゼルエンジン 最高出力1,500馬力
右手:小泉重工 44口径120mm滑腔砲 (装弾数40発)
左手:小泉重工 44口径120mm滑腔砲 (装弾数40発)
格納:---
右背部:オート・メラーラ 64口径127mm速射砲 (装弾数30発)
左背部:81式射撃指揮装置2型-21
肩部:追加弾倉 (127mm砲弾70発)
機体色:OD色
搭乗者:小泉花陽
備考:ガチガチの重装タンク。ちなみに重量の約40%は速射砲によるものなのでパージすれば70km/hは出る
長射程・高火力・重装甲とタンクの長所を最大限に引き延ばした結果こうなってしまった
何故かご飯を作る機能が搭載されており、ご飯に限れば600人分、ご飯おかず汁物の同時調理でも200人分を用意できる謎仕様
全高:7.2m
乾燥重量:7.0t
最高自走速度:240km/h
最大跳躍高:65m
最大作戦行動時間:9時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,200馬力
右手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
左手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:AN/ALQ-218(V) 2無線周波受信システム
左背部:AN/ALQ-99F 電波妨害装置
肩部:AN/ASQ-170 レーザー誘導装置
機体色:ピンク
搭乗者:矢澤にこ
備考:電子戦機。ぴょんぴょこぴょんぴょんと妨害電波を撒き散らしながら敵へ突っ込んでいく。
これは自分を囮にするという目的もあり、釣れた敵へ一気に詰め寄り接近戦を仕掛ける。
一瞬の隙を突いてパイルバンカーを叩き込む姿には貫禄さが窺える。
穂乃果『一番機より各機へ。では作戦通りに移動を開始します!』
ことり『二番機了解です!移動を開始するね!』
海未『三番機了解です。今から無線封鎖で移動を開始します』
真姫『えぇーっと、四番機了解よ。一番機に着いていけばいいのよね?』
凛『五番機了解!一気に飛ばすにゃあ!』
花陽『六番機了解ですっ。移動中の砲撃頑張りますっ』
にこ『七番機了解。それじゃ行くわよ野郎共!!』
穂乃果『それでー……方向どっち?』
にこ『あーもうっ!あたしが先導するわよ!!ついて来なさい!』
穂乃果『ごめんごめん~』
にこ『まずは軽く敵に近付く必要があるわ、こっち』
穂乃果『結構移動したと思うんだけどまだかな?』
凛『何でこんなゆっくり移動なの?凛ならもっとびゅんびゅん行けるよ?』
にこ『六番機の速度に合わせてんの。それに敵に発見されないと引き付けられないじゃない』
花陽『これでも飛ばしているんです……』
真姫『時間的にはそろそろ接触する頃合いだと思うけど……』
<ヒュゥウウン…..ッドォオオン!!
穂乃果『うわぁああ!?』
花陽『じゅ、10時方向より砲撃です!』
にこ『やっと来たわね……全機、速度進路維持!六番機左砲戦用意!速射砲、撃ち方始め!』
花陽『は、はいぃいい!!』ドオオオン!!…ッドオオオン!!…ッドオオオン!!…ッドオオオン!!
凛『すっごい音!?』
穂乃果『ちょちょちょ花陽ちゃん反動でこっち迫ってきてる!!』
真姫『重量100t越えでこの反動ってどうなってんのよこれ!?』
にこ『そりゃ本来は艦砲なんだから、むしろこんなもんで済んでるってくらいよ。 本来は機動兵器に積むようなシロモノじゃないし』
真姫『じゃあ何で積んじゃったのよ!?』
にこ『だって花陽もノリノリだし!何故かことりもノリノリだし!メカニックも止めないし!』
穂乃果『ことりちゃあああああんん!!!』
花陽『さすが小泉重工のアクティブ・サスペンション、あんまり揺れないです!』
にこ『ちゃんと狙いなさいよ!何のための照準レーダーよ!』
花陽『こ、これでも狙っているんです……!あ、1機撃破しました!』
穂乃果『おぉ!花陽ちゃんナイス!』
花陽『2機目撃破です!』
凛『このまま一気に皆ごr――』
花陽『あっ、砲身の冷却に入りますね』
凛『えぅ……』
にこ『六番機撃ち方止め。よし着いたわね……全員このまま市街地へ入るわよ!』
穂乃果『ことりちゃ……一番機から二番機、そっちはどんな感じ?』
ことり『こちら二番機です!そろそろ到着するよー!海未ちゃ……三番機もそろそろ狙撃ポジションに着くよ!』
穂乃果『分かったー!こっちもそろそろだよ!』
真姫『やっと着いたのね。いい加減移動にも飽きてきたところよ』
凛『やっと暴れられるにゃあ!!』
にこ『さて、こっからが勝負よ!』
――市街地エリア
穂乃果『よし、皆着いた!』
真姫『やっぱり敵はこっちへは来ないわね。足を止めたわ』
にこ『じゃあ予定通りに。一番機・四番機は砲撃を受けないよう建物の陰に隠れつつ、あたし等の指示でミサイルによる攻撃を頼むわ』
穂乃果『了解です!』
真姫『四番機了解よ』
にこ『五番機はあたしと一緒に敵に突っ込みつつミサイルの誘導。無理に接近する必要はないわ、ミサイル誘導だけを考えなさい』
凛『了解にゃ!』
にこ『六番機はこっから砲撃支援。間違ってもあたし等に当てんじゃないわよ!』
花陽『六番機、頑張ります!』
穂乃果『それじゃハンター・キラー作戦へ移行します!』
凛『カチコミカチコミィ~!!』
花陽『気を付けてね』
凛『平気平気!』
にこ『こら動きを止めない!あの砲弾はマッハ3で飛んでくるのよ!見てから避けようなんて考えない!』
凛『大丈夫!凛ね、中学の陸上部で音速の星空って呼ばれてたんだよ!』
にこ『マッハ3は音速の3倍!』
凛『勝てるわけねえにゃあああ!?』
にこ『いいからやる事やりなさい!七番機から一番機へ、目標マーク!撃って!』
穂乃果『こちら一番機!撃つよー!』バシュゥウウウ!!
にこ『撃破確認!このまま爆風に突っ込んで……』
ガツンッ…ドガァアア!!
にこ『さらにもう1機!パイルバンカー決まると気持ちいわね!小泉重工も良い武器作るわ!』
凛『凄いにゃぁ……凛もやるよ!五番機から四番機!レーザー当ててるよ!』
真姫『撃つわよ!』バシュ!!
凛『やった!撃破したよ!』
ッドォオオン!!
凛『あぶにゃああああああ!??』
花陽『ご、ごめんなさい……』
ことり『こちら二番機です!予定通りの場所に着いたよ!レーダー稼働します!』
穂乃果『ことりちゃん!』
ことり『敵機24機を補足!全機が市街地を囲むように展開しているみたい!』
にこ『……ん?確認するわ、レーダーに映っているのは全部で24機で間違いない!?』
ことり『うん、そうだよ?』
にこ「全部で30機、最初に花陽が2機、穂乃果のミサイルで1機、私のパイルで1機、真姫のミサイルで1機……数が合わない!」
にこ『七番機より三番機!無線封鎖を解かなくていいから一方的に聞きなさい!周囲の敵に警戒!もし二番機へ近付く敵機が居たら容赦なく撃って!』
にこ『七番機より一・四・五・六番機!敵が1機見当たらないわ!隠れている奴が居る!』
穂乃果『って言われても物陰から出たら撃たれちゃうし!?』
凛『っていうかどれがレーダーに映ってる奴でどれが映ってない奴なのか分かんないよ!』
にこ(データリンク整っていないのが痛いわね……!)
真姫『そんなに問題なの?このまま勝てそ――』
にこ『四番機どうしたの?途中で通信が途切れたわ。四番機返事を!ママ怒るわよ!……ちょっとまっきー!!』
花陽『げ、撃破されてます!四番機背後から撃たれてます!!』
穂乃果『う、後ろ!穂乃果じゃないよ!?』
にこ『背後に敵スナイパー!五番機撤退急いで!各機背後からの狙撃に注意!遮蔽物に隠れなさい!』
花陽『そうみたい……。今まで初戦敗退していた理由をようやく理解したのか、それとも優秀なスナイパーが育ったのかは分かんないけど……』
穂乃果『なんで真姫ちゃんが……』
にこ『たぶんこっちの戦い方を見ていたのよ。私と凛が前に出てミサイルの誘導、穂乃果と真姫がミサイルの発射。つまりミサイルを潰せば勝てるって』
穂乃果『じゃあ穂乃果も危なかったって事?』
にこ『そういう事ね』
花陽『どうするの?』
凛『やっぱ凛が前に出て……』
にこ『スナイパーが居る状態で出るのは危険よ。前にも後ろにも気を付けながらおちおち誘導なんかしてられないわ』
花陽『それに真姫ちゃんが撃破された事で7発もミサイルを失いました……。このままじゃ数を減らすどころじゃないです……』
穂乃果『じゃあスナイパーをやっつければいいんだよ!なんか敵の砲撃も止んだみたいだし!』
にこ『砲撃が止んだのは砲撃しなくても勝てるからよ。このままジリ貧で負けるのはあたし等。相手は無駄弾撃つ必要がなくなったの』
凛『どういう事?』
にこ『こっちの位置は敵スナイパーに完全にバレてる。つまりちょっとでも動けばやられるわ。試しに一瞬だけ手を外に出してみなさい。一瞬よ』
穂乃果『そいっ!』
ドンッ!
穂乃果『うひぃいい!?』
にこ『こんな状態じゃ身動き取れないってのは分かるわね?』
にこ『稼働時間の差よ』
穂乃果『稼働時間?』
にこ『穂乃果、あんたの機体の重量と最高速度、馬力は?』
穂乃果『えっと、重さが13tくらいで、130kmくらい出て……4,500馬力だったような』
にこ『花陽、あんたのは』
花陽『は、はい!花陽のは重量100t、最高速60km/h、馬力は1,500馬力です!』
凛『それがどうかしたの?』
にこ『圧倒的に花陽のタンクの方がエネルギー効率がいいって思わない?重さは7~8倍、馬力は1/3なのよ?』
にこ『ちなみに、撃破されたまっきーの機体は重量18.5t、最高速度は90km/h、馬力は4,500。花陽と最高速が30kmしか変わらないわ』
花陽『履帯で動くタンクは言わば車両……脚で歩くという非効率な移動方法に比べて燃費がいいんです!』
にこ『つまり、タンク型はあたし等より馬力を低く設定できるって事。分かった?』
凛『う……うん。それは分かったけど……』
にこ『ここで重要なのは大会の馬力規定と呼べる規定よ』
にこ『最高出力と稼働時間をかけた数字が50,000以下であること。憶えてないの?』
穂乃果『海未ちゃんが言っていたような……』
にこ『これは元々、一律に何馬力以下何時間以下って決めちゃうと全員そうするから面白みがないって決められたものなんだけど……』
にこ『要するに馬力が低ければ稼働時間を長く設定できる。馬力が高ければ稼働時間を短く設定しなくちゃいけない。さて、このままだとどうなるかしら』
穂乃果『穂乃果達のほうが先に燃料切れって事!?』
にこ『そういうこと。あたし等は10時間前後、花陽は30時間もある。このままだと花陽以外全員リタイアになるわ。当然、花陽1機で勝てる数じゃない』
にこ「まったく……タンクとか言う正面から殴り合うような機体使っていて小賢しいやり方してくるわね。初っ端からこんな躓き方するとは思ってなかったわ」
花陽「それは……その、相手も必死なので……。実は浦の星女学院も廃校の危機にある学校なんです」
穂乃果「えっ……それじゃ、穂乃果達が勝っちゃったら……」
にこ「それは音ノ木坂もお互い様よ。手抜くんじゃないわ。手加減されて勝った勝利に意味なんてないの」
にこ「本気でぶつかり合って、最後の一滴まで力を絞り出して勝ち取るからこそ価値があんのよ」
穂乃果「……そうだね」
凛『でもどうするの?このままじゃ……』
花陽『海未ちゃんは?もうポジションについているみたいですし……周囲のタンクが居なくなればスナイパーへ全機で特攻を――』
にこ『この状態で海未にやらせたらどうなると思う?敵が海未のほうへ群がるわ。後ろからならともかく、タンクの正面装甲は狙撃砲でも抜くのは簡単じゃないわよ』
穂乃果『そんなぁ!』
にこ『でもこのまま負けるってのも面白くないわね』
穂乃果『そうだよ!勝って……音ノ木坂の廃校をなんとかするんだもん!』
花陽『でも敵スナイパーを排除しないと何も……』
にこ『簡単よ。と言っても本人にとっては簡単じゃないけど……三番機!無線封鎖のまま返事しなくていいから聴きなさい!』
にこ『敵スナイパーを排除しなさい!!排除したら喋ってよし!!』
にこ『敵スナイパーを排除しなさい!!排除したら喋ってよし!!』
海未(そんな事だろうとは思っていましたが……)
海未(ここから穂乃果達までの距離はレーザー測定で21,315m……21kmも離れているじゃないですか)
海未(しかも場所の分からない相手を撃てと。こんな無茶な要求があってたまりますか)
にこ『あーそれと、着弾と砲撃音の差からたぶん2km離れてるわ。あたし等の位置から見て方位は0-4-5から0-9-0くらい!』
海未(そんなアバウトなヒントでやれと!?)
海未(ですが……ここで撃たなければ音ノ木坂が……あーもう!やってやりますよ!!)
穂乃果『頑張って―!!』
海未「……」
海未「……」
海未「さて」
海未「穂乃果達の位置からさらに2kmほど後方……そして穂乃果達を狙える位置……」
海未「先ほどの穂乃果が手を出した時の敵スナイパーの発砲……弾着地点から見る発砲位置の方向……」
海未「敵スナイパーの位置は……この5カ所のいずれか。少なくとも私ならそうしますね」
海未「ビルの屋上が3カ所、立体駐車場、電波塔。どこ、ですか……。」
海未「仮に敵スナイパー機が燃料電池だとしても、冷却措置から最低限の廃熱があるはず……」
海未「熱源は……微かですが5カ所とも同じくらいの熱量がある?いったい何故……最大望遠……さすがに見えませんか」
海未「敵スナイパーさんに発砲して貰えば分かりやすくなるのですが……勝手に無線を使うわけにもいきません」
穂乃果『海未ちゃーん!まだー!?』
海未「くっ……分からない……!どこに……!!」
にこ『あたしが囮になるわ!敵の位置をなんとか割り出して!二番機、戦闘エリア全域に最大出力で全周波へ通信妨害!あんたのほうがレーダー出力が大きい!』
にこ『三番機!撃破したら二番機の足元に撃って合図!今から無線が使えなくなるわ!』
海未「……さすがですね。言わなくても言いたいことが伝わっているようです」
にこ『ジャミングで敵の通信を妨害してみるから数発は撃っても平気なはずよ!』
海未「なるほど……スナイパーの注意をにこ先輩へ向かせれば、私が撃ったとしても最初の数発は発砲位置を見ていないはず」
海未「そしてスナイパーが私の存在に気が付いてもそれを周囲のタンクに連絡が出来ない。そしてタンクはこちらを見ていない……さすが先輩です」
にこ『出るわ!』
海未(まず1発目……あのビルではない)
海未(2発目……あのビルでもない……3発目も違う……!!今っ!立体駐車場から微かに光が!なるほど、あれならレーダーに映らないわけです)
ことり『敵4機が市街地から移動を開始!』
海未(最大望遠……見えた!ついに見つけましたよ……!レーザー測定……距離24,628m)
にこ『こっちの2機が居ない事に気が付いたっぽいわ!あいつらどうやって連携を……!?』
海未(このくらいの距離……私には……!)
にこ『三番機!』
穂乃果『海未ちゃん!!』
海未(私の環境センサーが気温や湿度を教えてくれる。風の強さや向きを教えてくれる)
ビリッ…
海未(んっ……何ですか今の電気が流れたような感覚は……って今は無視)
ことり『敵機がこっちに来るまであと20分くらい!まだ大丈夫!』
海未(空気の状態を肌で感じる……カメラアイの映像を肉眼で見ているような感覚……自分の手で武器を握っているような感覚……)
ビリッ…
海未(距離24,628m、気温25.8℃、湿度62%、風速2m、風向方位2-5-2、高低差+10.4m……砲身の先まで神経を通わせて……これなら)
ビリッ…
海未(先輩は数発は撃っていいと言っていましたが……1発で十分です)
にこ『うわっ!弾カスった!?』
ビリッ…
海未(私がこれから放つ砲弾は確実に敵スナイパーを撃破する……!)
ビリッ..
海未「撃ち抜くぞぉ……ばぁん……」ドンッ!!
<撃破判定>
???(あーやられちゃった……。終わるまでみかんでも食べてよっと……)
にこ『よくやったわ!!』
穂乃果『凄いよ海未ちゃん!こんな距離で当てるなんて!!』
凛『もはや人間じゃないにゃ……』
花陽『わ、私なんて3km先の相手にも当たらないのに……』
にこ『そのまま敵機への狙撃を開始して!』
海未『三番機了解』
にこ『一番機はミサイル攻撃の用意!二番機は誘導お願い!三番機は二番機の護衛を最優先!五番機出るわよ!六番機砲撃支援!』
ことり『こちら二番機です!こっちに来てる敵機のうち1機が5kmまで接近!発見されちゃいましたぁ!!』
海未『大丈夫です』ドンッ!
海未『ことりに群がる敵は私が何とかします』
花陽『お、おりゃああ……』ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!
にこ『目標マーク!撃って!』
凛『こっちも撃っていいよー!』
穂乃果『撃つよー!!』バシュッ!!バシュッ!!
にこ『あたしの前で動きを止めるったぁいい度胸ね!!』ガンッ…ドガァアア!!
にこ『両パイル弾切れ!ブレードに持ち替えるわ!』
にこ『こら!そんなに真っ直ぐ突っ込んだらいい的よ!?』
凛『ひぃいいいい!?』
<ッドンッ!!
凛『ひぅ!?……あ、あれ?やられてない』
海未『気を付けてくださいね』
凛『助かったぁ……』
にこ『あんたどんな腕よ!?敵じゃなくて良かったわ……』
ことり『敵機残り12機!バラバラになって市街地付近から撤退を開始!』
にこ『敵機も減ってきたし一・六番機も突撃を開始!二番機、誘導頼むわ!三番機、端からじゃんじゃんから撃って!』
穂乃果『一番機了解!いっくぞぉー!!』
ことり『二番機了解ですー!一番機へ、そこから方位3-4-8、距離2,874m地点に2機!』
海未『三番機了解です……4機撃破』
凛『そろそろ終わらせてあげないと真姫ちゃんがコックピットの中でいじけてそうだし……すぐに終わらせるにゃああ!!』
にこ『一気に蹴散らすわよ!!』
――生徒会室
希「あの子達、頑張ってるみたいやね」
絵里「まさかここまでやるとは思ってなかったわ」
希「既に3回戦まで突破……にこっちが居るとは言っても凄い事やね。聖隷ミモリアン学園、三森ヶ丘高校……どっちも有力校や」
絵里「にこ以外の6人は素人同然だったんでしょ?にこの育て方が上手いのか、センスが良い子が揃ったのか……」
希「絵里ち、そろそろええんやない?入ってあげても。元”本職”だった絵里ちなら――」
絵里「その話はもうしないって約束でしょ?それになんというか……こう言っちゃあれだけど」
希「やっぱり素人の遊びにしか見えへん?」
絵里「それもあるけど……やっぱり、あれは兵器なの。どうしても嫌なもの思い出しちゃうわ」
希「やっぱり簡単には受け入れられない?」
絵里「えぇ……」
希「それなら無理矢理にとは言わんけど、どんな目的で開発されようとあれはタダの機械や。それをどう使うかは人間次第」
希「平和利用だって出来るはずや。だって現に実戦で人型兵器は役に立たないからって、今や高校生の競技用ロボットとして利用されてるんよ?」
絵里「それは分かってる。けど……ね。結局はそれだって軍需産業の兵器開発の実戦データの為じゃない……」
希「それは……そうやけど」
ヒデコ「おらー!さっさと仕上げるよー!」
ミカ「あいよー!」
フミコ「やっぱり速射砲は下ろさないとダメかも……反動が強すぎて骨格の歪みが毎回酷いよ」
ことり「速射砲を外すなんてあり得ません!」
花陽「それがなくちゃ花陽は戦えなくなっちゃいます!」
ヒデコ「まーた始まった……」
穂乃果「あ、3人ともー!お疲れーい!」
海未「首尾はどうですか?」
ヒデコ「んーもうちょい。あんた等毎回激しい戦闘のくせに意外と損傷少ないから助かるよ」
凛「えへへー」
ヒデコ「特にあんた、にこ先輩と違ってあんだけ高機動なくせにフレームが曲がんないって凄いよ?自分の体みたいに自然に動かせてるって事だよ」
にこ「何よ。無茶な機動取ってもこの程度じゃ壊れないっていうあんた達を信頼しての行動よ」
真姫「……ぐすん」
ヒデコ「あー被弾王の事を言ってるわけじゃないんだ」
真姫「どうせ被弾王よー!!」
凛「真姫ちゃん泣かせちゃダメー!」
真姫「泣いてなんかないわよ!」
真姫「だって……」
にこ「ある程度の被弾を想定しているからモジュラー装甲を追加してるんじゃない。凛やあたしとは戦い方も機体構成も根本的に違うのよ」
真姫「でも花陽より被弾多いのよ……?」
にこ「花陽は後ろからの砲撃が主だから前に出ないってだけよ。真姫が敵を抑えてくれるから花陽が砲撃に集中できるんじゃない」
にこ「あんたの被弾はそんだけ味方を守ったっていう名誉の被弾よ。誇りに思いなさい」
真姫「にこちゃん……」
にこ「先輩を付けなさい」
海未「相変わらず後輩を褒めるのが上手いですね」
にこ「事実を言っているだけよ。それにあんたもよくやってるわ。照準レーダー積んだ花陽より命中精度高いってどうなってんのよ」
海未「あれは武器の性能がいいのです」
にこ「あんたはあんたで謙虚よねぇ……」
ヒデコ「わーったわーったから!速射砲は外さないって……」
ことり「やったね花陽ちゃん♪」
花陽「はい!」
海未「結局あれも載せっぱなしのようですね」
にこ「ことりとデータリンクが出来ればもっと運用効果が上がるのよねぇ……」
穂乃果「そーなの?」
フミコ「お金で買えるのはあくまでパーツまで。ソフトウェアは独自に開発するしかないの」
にこ「ニシキノも小泉重工もそっち関係は弱いからねぇ」
穂乃果「その、でーたりんく?ってのはそんなに凄いの?」
にこ「いつもことりがレーダーの情報を教えてくれるでしょ?」
穂乃果「敵がどっちにどれくらい居るよーって奴だね」
にこ「その情報がリアルタイムであんたの機体にも表示されるの。逆にあんたからことりにもリアルタイムで情報が飛ぶようになるのよ」
穂乃果「おぉ!それは便利……」
にこ「さらに言えばことりが発見した敵に向かって、花陽の速射砲の狙いをことりが付けて、その発射ボタンもことりが押すことだって出来るようになるわ」
穂乃果「そんな事まで!?」
にこ「海未がもし狙撃を外した場合に、ことりのレーダー情報を使って目標と弾着のズレを測定して修正、それを元に穂乃果がすぐに発砲なんてことだって可能よ」
海未「それは確かに……導入したくもなりますね」
穂乃果「そうだね!もう3回戦まで行ったんだよ!後は4回戦に準決勝に決勝戦!」
海未「まだまだ先は長いです。最後まで気を抜かずに戦いましょう!」
にこ「とは言っても、あたし等がここまでやってこれたのは部員のほとんどが初参加だから、戦術が読まれなかったって点が大きいわ」
海未「ここからは今までのようにはいかないと?」
にこ「えぇ、普通のチームはお互いの戦闘ドクトリン……戦い方ね。それを十分に理解しあっている。作戦の読み合い、対策の練り合いなの」
にこ「でもあたし達は全くの新興チーム。前例がない。だからこれまでやってこれた。けどこっからはそうはいかないわ。そろそろ作戦もネタ切れ感あるし」
にこ「次からは真っ先にことりが狙われるわ。目を奪われては戦いにくいったらありゃしない。護衛機が必要ね」
海未「ECSの導入はどうでしょう?あれなら敵のレーダーに捕捉されなくなりますし、そう発見されなくなるのでは」
にこ「導入するにしても大会規定で1機のみ。その場合は海未の機体に積むことになるわ。ことりじゃない」
穂乃果「ことりちゃんじゃダメなの?海未ちゃんなら自分で戦えるけどことりちゃんはそういうわけにもいかないよ?」
にこ「ことりは大型のレーダーから常に電波飛ばしてるでしょ?ECSなんか積んでもあんまり効果ないわ」
海未「どういう事ですか?」
にこ「レーダーってのは電波飛ばして跳ね返ってきた電波から敵の位置や距離を調べる機械なの。暗闇の中でライトを付けて敵を探すような行為よ」
海未「暗闇の中でライト……確かに目立ちますね」
にこ「だから海未にことりの護衛を任せてるんだけど……正直言って、もう少し戦力が欲しいわねぇ。重量機が2機くらい」
穂乃果「ありがとー!じゃあ皆、もうひと練習行くよ!」
凛「やっと出られるにゃ!」
花陽「ふふっ!最初嫌がってたのが嘘みたい」
凛「だってあんなに速く動けるって楽しいよ!」
にこ「じゃあ実戦を想定した模擬戦で行くわよ。あたしに一発でも当ててみなさい!一発でも当てたらラーメン奢ってやるわよ!」
にこ「ことりはあたしと電子戦よ。レーダージャミング仕掛けるから、レーダー出力に頼らずに掻い潜ってみなさい!」
穂乃果「今日こそ当ててやるー!」
ことり「ECCM難しいけど……今度はレーダーを確保してやるもんっ!」
海未「ふふっ、1発当てるだけでいいんですか?」
真姫「み、ミサイルなら当てられるから……」
凛「パイルぶち当ててやるにゃー!!」
花陽「榴弾による破片効果を狙えばあるいは……!」
ヒデコ「演習すんのは良いけどあんま汚すなよなー!」
にこ「行くわよ野郎共ー!!」
ヒデコ「あ、にこ先輩。ちょっと話が。あと真姫ちゃんも」
にこ「……分かった。じゃああんた等だけで暫くやってなさい!すぐに行くから!」
ヒデコ「何の話だか分かってるくせに。……海未の機体のLTMH装置(Link To Mind Hierarchy:脳波検出装置)に何度か反応の痕跡がある」
真姫「やっぱり……」
にこ「やっぱりって事は結果が出たって事ね」
真姫「えぇ。驚くことに4人も居たわ。どうなってんのよ……。穂乃果、海未、凛、にこちゃんの4人にSDS適性が認められたわ。ただし海未の適性値は低めよ」
にこ「先輩をつけなさい」
ヒデコ「SDS接続(Subconscious Dedication System:神経接続システム)……やっぱあれを使うのかい?メカニックとしてはあんまりお勧めはしないけど……」
にこ「あら、にこは散々使ってるけどぴんぴんしてるわよ?」
真姫「だってにこちゃん先輩の適性値は抜群じゃない。にこちゃん先輩に次いで高いのが穂乃果よ」
ヒデコ「適性の低い海未にSDS接続なんて使ったら精神的負担が大きすぎる。いくらあんまり動かない狙撃手って言ったって……」
真姫「でもLTMH装置は反応したのよね?それって海未が機体からの情報を欲したって事じゃない?」
にこ「狙撃は様々なデータを必要とする超精密な作業。機体からの情報を”直接”感じたかったのかも知れないわね」
にこ「穂乃果や凛が初めてにしては最初から高機動に動けたのも、もしかしたら機体からの声を聞いているのかも」
ヒデコ「だったらで現状でも問題ないじゃないか。SDS導入の根拠にはならない。情報取得だけならまだいいけど、機体の操縦となると電気信号は莫大になる……」
にこ「それを脳で処理出来る才能がSDS適性じゃない。それを行える一種の天才が4人も居る。1万人に1人居るか居ないかの確率の天才が、4人」
ヒデコ「……分かった。SDS接続も導入するけど……本人が必要と感じた時だけ任意に起動できるようにする。それでいい?」
にこ「それでいいわ。実験いつ頃にしようかしら」
絵里(とは言ったものの、つい練習を見に来ちゃたわ……)
絵里(あのオレンジの中二と黄色の軽二、ピンクの軽逆が敵に突っ込む。赤い中二が中距離から援護。あの4機が直接敵機と対峙するって感じね)
絵里(オレンジに黄色に……機体の色も前衛に敵の注意を引くための工夫ね。後衛は目立たないように暗い色にしてあるし)
絵里(後ろに居る緑色のタンクが後方から火力支援、青い四脚が狙撃、白い中二はでっかいレーダーに……両肩にくっ付いてるのはECMにESM。早期警戒?)
絵里(綺麗に前衛後衛別れているけど、この編成じゃラインの維持が難しいわ。抑えが1機しか居ないじゃない。もし軽量機が後方まで突っ込んで来たらどうするのよ)
絵里(おそらくあの狙撃手がなんとかしているんでしょうけど無理があるわ。もっと……そうね、重量ニ脚があと2機くらいは欲しいわ……)
絵里「私と希が入れば丁度いい……って何考えてるの私は……」
希「お、こんな所に居ったんやね」
絵里「の、希!?」
希「ふむふむ、うちと絵里ちが入れば丁度いいとプロの専門家が仰っていると……」
絵里「そんなことないわよ……そんな事!」ダッ
希「あっ……逃げちゃった」
穂乃果「あれ、希先輩?こんなとこに居たら危ないですよ?」
希「あ、穂乃果ちゃん」
にこ「何してんのよあんた」
希「いや~ちょっとな?実は絵里ちが――」
穂乃果「えー!?生徒会長がプロのパイロットだった!?」
海未「ど、どういう意味ですか!?自衛隊というには若すぎますし……」
花陽「そもそも現在機動兵器を運用している軍隊はないはずです。人型兵器は戦場で役に立たなかったんです」
希「……絵里ちがロシアで生まれ育ったのは知っとるやろ?と言っても3/4は日本の血やけど」
花陽「その頃のロシアと言えば……確かソ連崩壊直後ですね」
希「そう。うちらが生まれたのはソ連崩壊からまだ1年も経ってないくらい。その頃のロシアと言えば急速な軍縮による防衛力の低下が深刻化……」
希「その結果として、安く徴用できる少年兵が日の目を見るようになったんや。表向きには公表されていない、裏事情やね」
にこ「絵里がその少年兵だったって言うの!?」
真姫「うっそ……?」
凛「しょーねんへいっていうのがよく分んないけど、兵隊さんってこと?」
花陽「子供に武器を持たせて戦争に行かせるの」
希「そう、絵里ちは戦争へ行くための訓練を施された。そして特に優秀だった絵里ちは、当時試験運用中だった機動兵器のパイロットの1人に選ばれたんや」
希「機動兵器は従来の兵器に比べて柔軟性や汎用性に優れ、様々な作戦に投入できると期待されていた。兵器の数を減らさざるを得ない状況にはうってつけだったんや」
花陽「機動兵器があれば、砲と装甲を施せば戦車として、対空兵器を持たせれば移動式防空陣地、レーダーを積めば移動式レーダーにもなります」
にこ「大抵の地形を走破するニ脚、三次元機動に長ける逆関節、長距離砲撃に特化した四脚、従来の技術による信頼性や構造的強度に長けるタンク……」
海未「兵器の数を減らす分、1つの兵器に色んな兵器の肩代わりをさせようとしたのですね」
希「でも当時の機動兵器技術はまだ未発達……いつ故障してもおかしくない。そんな危ない兵器に正規の軍人を乗せるわけにも居なかったんや」
真姫「少年兵は安い命って事ね……」
希「絵里ちって本当はええとこのお嬢さんなのにな……。当時はそれだけひっ迫していたんやね」
真姫「ええとこのお嬢さん……?」
希「第二次チェチェン紛争。それがまだ当時7歳だった絵里ちの、最初で最後の実戦やった」
海未「な、7歳……!?」
にこ「……撃ったの?人を」
希「撃てなかったんよ。例え相手がテロリストであっても、絵里ちにはそれが撃てなかった……」
希「戦場で死亡した事に見せかけて逃亡。そしてお婆ちゃんのツテで日本へ逃げてきたんや。平和な国へね」
真姫「そう、だったの」
花陽「でも機動兵器は的になる、スコパが悪すぎる、故障率が高い、性能が中途半端と散々言われ……今ではもう戦争の道具ではないはずです」
にこ「そりゃそうよ。機動兵器を戦車代わりにしたって戦車には敵わない。こんなん工事現場の重機か競技用が精々よ」
希「それでも、今でもこれを見ると戦争を思い出しちゃうみたいなんよ。絵里ちの戦争はまだ終わってないんや」
穂乃果「そんなぁ……穂乃果達は学校を守る為に戦っているのに……」
海未「ですが、仕方のないことです。確かに生徒会長が入ってくれればさらに心強いですが、無理強いはできません」
ことり「嫌な事を思い出しちゃうなら無理にお願いは出来ないね……」
穂乃果「でも本当に嫌がっているのかなあ?」
凛「穂乃果ちゃん?」
穂乃果「だって穂乃果達の練習を見に来てたんでしょ?そんなに嫌なら見に来るかなーって」
真姫「話聞いてたの!?やりたいわけないじゃない」
希「んふっ、意外と鋭い子やねぇ穂乃果ちゃんは……」
にこ「どういう意味よ」
希「さっき絵里ちこう呟いとったよ。『私と希が入れば丁度いい……』って。絵里ちにも何か考えがあるって事やない?」
にこ「確かに私もあと2~3機居れば戦力として不足ないとは考えては居たわ。戦線維持が結構危ういのよね」
凛「生徒会長が凛達の戦い方をしっかり見てくれていたってこと?」
にこ「まぁさっきの演習だけで弱点を看破されたとも言えるけど。確かに良い目をしているわ」
穂乃果「穂乃果思うんだ。背中を押して貰いたいんじゃないかなって」
希「絵里ちのこと、よう分かっとるんやね穂乃果ちゃん」
穂乃果「あ、いえ、何となくそう思っただけで」
希「……絵里ちなら教室に居ると思うから。いっぺんくらいお願いしてもええんやない?」
穂乃果「うん、ちょっと行ってくる」
海未「何を言っているのですか」
穂乃果「え、だから一回だけでも頼むだけ頼んでみようって……」
にこ「そうじゃないわよ。行くなら全員。当たり前でしょ?希、あんたもよ」
希「え、うちも?」
にこ「あんたが絵里の話をしたんでしょうが。あんたも連帯責任よ」
絵里(結局逃げてきちゃったわ……)
絵里(確かに私だって学校を存続させたい。その為にまたあれに乗るのが最も有効だって分かってる)
絵里(かつてのエースパイロットが新しい仲間と共にあんなに勝ち抜いて……いまや優勝候補とまで言われている)
絵里(それに私は……あれに乗って、学校の為に戦いたい。戦ってみたい。人殺しではなく、学校の為に)
絵里(このまま行けば学校は救える。私にはそれだけの力がある。……でも)
絵里(私の戦争はまだ終わっていない)
絵里(あれに乗れば……また……)
スッ…
絵里(……!)
穂乃果「生徒会長……いや、絵里先輩。一緒に戦ってください!音ノ木坂学院のパイロットとして!」
絵里「何言ってるの……?私がそんな事するわけないでしょ?興味もない……」
海未「さっき希先輩から聞きました。あなたの過去の事……そして、私達の戦いを見ていたこと」
にこ「興味がないからそんな事するわけないわよねぇ?」
絵里「希っ!」
希「絵里ち。もう戦争は終わったんよ。それなのに絵里ちはまだ戦争に取り残されている……このままじゃ、絵里ちはいつまでたっても戦争の被害者や」
絵里「私の戦争は終わっていない!終わってないの……」
花陽「絵里先輩。もう戦争は終わりました。戦争の道具として開発された機動兵器ももう……戦争では使われていません」
にこ「ここであんたが乗らなきゃ、あんたにとっての機動兵器はいつまでたっても戦争の道具のまま。けどね」
海未「ここで変われば、機動兵器は戦争の道具ではなく、ボールやバットと同じ平和なスポーツの道具になるのです。あなたにとっても」
凛「凛もね、最初は正直やる気なかったけど……乗ってみるとすっごい楽しいだ!だから一緒にやりたいなって!」
穂乃果「それでも嫌なら無理は言いません……けど」
穂乃果「私達は人殺しの為に戦っているんじゃないんです。学校を守る為に戦っているんです!その為に……絵里先輩の力を貸してください!」
絵里「皆……。はぁ、こう来られると弱いよね……。まったくもう……。いいわ、付き合ってあげる」
穂乃果「絵里先輩……!!」
ことり「これで8人!」
絵里「9人よ。まさか希、こんだけ言っといて自分はやりませんとか言い出さないでしょうね?」
希「うふふっ、絵里ちがやるって言うならうちも付いていくだけやん?」
にこ「これで戦力は十分……!」
希「いいや、まだや」
真姫「え、まだ入部希望者が居るの?」
希「そうやなくて……これ」スッ
ことり「これは……何ですか?」
希「人数が増えれば増えるほど意志疎通が大変になる……だからみんなが欲しがってた奴」
海未「まさかそれは……?」
にこ「データリンク……?いったいどこから」
希「ちょーっと絵里ちのお婆ちゃんに連絡を取ってな?」
絵里「ま、まさか!?ってあなたなんでお婆様の連絡先を……?まだ紹介もしてないじゃない……」
希「ええやんええやん♪」
にこ「あんたの婆ちゃんがどうかしたの?」
絵里「アヤセ設計局の……創設者よ」
真姫「あ、アヤセ設計局……!?確かにええとこのお嬢さんね……少年兵に徴用されるのが不思議なくらいの」
にこ「それで、なんていうシステムなの、それ」
希「戦術支援システム……<M.U.S.E.S>」
穂乃果「みゅーず……石鹸?」
真姫「バンドじゃないの?」
希「まぁ、うちが勝手に名前つけたんやけどね」
穂乃果「みゅーず……みゅーず……それだ!」
ことり「それって何が?」
穂乃果「チーム名だよチーム名!何だかんだでまだ考えてなかったでしょ!」
ことり「そう言えば試合の準備に必死で考えてなかったね」
希「チーム名にするとは思ってなかったなぁ……M.U.S.E.Sじゃ何か無骨やし……うむ!μ’s!ど、どう……?」
真姫「結構いいんじゃない?」
花陽「A-RISEにも引けを取らない良い名前だと思いますっ!」
凛「なんかカッコいいにゃ!」
海未「ミューズと言えば9人の歌の女神……人数もぴったりですね。歌の要素はあんまりないですが」
ことり「きっとガスタービンのいい音の事だよ~♪」
花陽「ディーゼルの音に決まってます!」
海未「随分と泥臭い女神ですね……」
穂乃果「よし、今日からあたし達9人は!μ’sだ!」
絵里「さて、チーム名も決まった所で行きましょうか」
穂乃果「行くってどこへですか?」
絵里「決まってるじゃない。私達2人の機体を用意しなくちゃいけないわ」
穂乃果「絵里先輩……!」
絵里「さぁて、最強のエースパイロット部隊<μ’s>のお披露目よ。みんな、派手にいきましょ?」
――平原エリア
穂乃果『こちらμ’s‐1!ごめん、1機そっち行っちゃった!』
ことり『μ’s-4、座標を転送したよっ!!抑えて!』
真姫『μ’s‐4、了解!カバー入るわ!』
ことり『μ’s‐2よりμ’s-5へ!敵機2機が回り込もうとしてる!データ転送!μ’s‐3、援護!』
凛『ちょっと突っ込んでくる!!』
海未『μ’s‐3了解』
絵里『こちらμ’s‐9、敵の規模が予想以上、合流して援護できる機はあるかしら?』
ことり『μ’s‐8、μ’s‐9の援護に行ってあげて。こっちからルートを送ります!』
希『μ’s‐8、了解や!うちのガトリングが火ぃ吹くでぇ!!』
にこ『ミサイルシーカー波探知!』
ことり『μ’s‐2了解、ECM照射します。μ’s-6、速射砲の火器管制ちょっとお借りますね♪』
花陽『あ!まだ砲身冷却が済んで――』
ことり『えい♪』
花陽『あぁっ!!焼ける!砲身焼けちゃいますぅうう!!』ッドン!!…ッドンッ!!…ッドンッ!!…ッドンッ!!
・・・・・・・・・・
・・・・・
・・・
穂乃果「4回戦突破ぁ!!」
海未「はい!これで準決勝出場です!」
にこ「まさかここまで来られるとはね」
絵里「1人で決勝まで勝ちあがった人のセリフとは思えないわねぇ?」
にこ「あれはちょっとした工夫があっただけよ」
海未「工夫?」
凛「簡単に勝てる裏ワザ!?」
穂乃果「そんなものがあるんですか!?にこ先輩!」
にこ「ま、まぁあるわ……。食い付きのいいあんた達にはね」
真姫「適性者同士引かれるものがあるのかしら」
希「適性者?」
花陽「まさか胸に聖詠を……?」
にこ「それは適合者」
希「この2人結構気が合うなぁ……」
穂乃果「アレ……?」
真姫「そこの射爆場じゃだめなの?」
にこ「初めて”アレ”使う時は色々と慣れてないから、思いっきり暴れる可能性があるわよ」
真姫「まぁ確かに……。試験場に使ってる無人島があるわ。そこでやりましょう」
穂乃果「ほうほう、無人島……となると合宿!?」
凛「凛も合宿行きたーい!!」
花陽「ニシキノグループの兵器開発の現場に……踏み入る……!」
絵里「ま、たまにはいいんじゃないかしら?あんまりココでドンパチ練習するのも近隣住民から色々言われるし……」
穂乃果「そ、そんなに苦情凄いんですか!?」
絵里「まぁ、学校存続の為に戦っているってみんな分かってくれているから、ハッキリとは言わないけど……ドカドカうるさいのは正直イヤでしょ?」
希「この辺の人達はみんな音ノ木坂に思い入れがある人達ばかりだから理解してくれるけど、普通だったら抗議デモ物やで?」
穂乃果「そ、そんなに……」
絵里「普通は学校の敷地内じゃなくてちゃんとした演習場を借りて練習するのよ?射爆場がある学校だなんて恵まれてるんだから」
凛「そう言えば何であるんだろう?」
絵里「昔、軍事学校だったっていう歴史があるのよ。大戦時まではね」
絵里「それは戦後になってから」
花陽「解体されなかったの?GHQあたりが目を付けそう……」
絵里「大戦末期にはあの広大な土地を使ってジャガイモ作ってたの。それを見たアメリカが農業学校だと勘違いしたらしいわ」
希「意外とドジっ子さんやね」
海未「話が脱線してしまいました」
真姫「そうそう、合宿の話。日時を決めないとどうにもならないわ。あんまり時間もないし明後日明々後日くらいになると思うけど」
海未「機体の搬入はどうするのですか?無人島となるとトランスポーターで運ぶわけにもいきませんし」
真姫「うちが輸送機出すから安心して」
にこ「あんたの家なんなのよ」
絵里「……そう言えば、前から気になっていたことがあるの。いいかしら?」
穂乃果「どうかしたんですか?絵里先輩」
絵里「その……『先輩』っていうの禁止しようと思うの」
海未「先輩禁止、ですか?」
絵里「戦っている最中には上下関係なんて関係ない。みんな等しく戦友よ。9人で1つのチーム、違う?」
海未「それは……そうかもしれませんが」
にこ「ん~それもそうかもね。命令系統が決まってるわけでもないし」
絵里「そう。上下関係ももちろん大事だとは思うけど、いざって時に上の人に指示を迷いなく出せないと困るの」
凛「確かに凛も先輩に合わせちゃうとこあるかも」
にこ「そんな気遣い知らないんだけど……」
絵里「じゃあ今から!ねっ、穂乃果」
穂乃果「えっと……ぅ絵里ちゃん!」
絵里「はい、宜しくね穂乃果」
真姫「矢澤」
にこ「何よ」
真姫「パン買ってこい」
にこ「ぬぁんでよ!?」
穂乃果「え!にこちゃんパン買ってくれるの!?」
にこ「何で絵里のときと違ってちゃん付けに躊躇いがないのよ!?」
フミコ「私達も行っていいの?」
ミカ「邪魔じゃない?」
にこ「あんた等が居なかったら誰が機体を見んのよ。いいから来なさい!チームでしょ?」
ヒデコ「了解であります!」
絵里「ねえにこ。あなた結構丸くなったわよね」
にこ「太ったっていいたいの」
絵里「そうじゃなくて。何か1年生のときと違って他人に優しいというか」
にこ「背中預けられる仲間だからねぇ」
絵里「さらっとカッコいい事言うじゃない」
にこ「世の中には2種類の人間が居んのよ。背中を預けられる奴とそうでない奴」
真姫「そんな事より早く行きましょ?矢澤。時間がもったいないわ」
にこ「その呼び方止めなさいよ!」
穂乃果「ひ、広すぎる……」
凛「これ全部真姫ちゃんの!?」
真姫「私のじゃなくてグループのよ」
にこ「あんたの家どうなってんのよ」
絵里「それじゃ機体の搬入を始めちゃいましょう。それで、何も聞いてないんだけど……いったいどういう実験なの?」
海未「強くなるための工夫と言っていましたが」
凛「まさか改造手術!?」
花陽「強化人間にされちゃうますぅう!?」
真姫「強化人間にもサイボーグにもしないわよ」
ことり「じゃあどういう?」
真姫「SDS接続……神経接続による操縦よ」
穂乃果「神経接続?機体とシンクロする奴みたいな?」
花陽「あれはロボじゃありません!」
海未「機体と同化する奴みたいな感じですか?」
真姫「あんな危なっかしいもんじゃないわよ」
絵里「上半身裸で鼻血出す感じかしら?」
真姫「変な手術はしないって言ったでしょ」
凛「撃たれても痛くない?」
真姫「機体の腕吹っ飛んでも痛みとかそういうのないから安心して」
希「そんな凄いものが……」
絵里「にこの言っていた工夫ってこの事だったのね。私の時にはこんな凄いのなかったわ」
真姫「ただし、これを扱うには特殊な才能を必要とするわ。1万人に1の確率で存在する天才でなければ使えないの」
凛「そんなー!それじゃ凛達じゃ無理なんじゃ……」
真姫「私も思ったわ……けど居たの。穂乃果、海未、凛、にこちゃんの4人にはそのSDS適性が認められた」
穂乃果「わ、私!?」
海未「私にそんな才能が?よく分りませんが……」
凛「凛天才なの!?」
にこ「えぇ、今日はその実験をしてもらうわ。じゃあ真姫ちゃん案内して」
真姫「こっちよ」
真姫「じゃあ3人は機体に搭乗して」
凛「にこちゃんは?」
にこ「あたしはいつも使ってるからいいのよ」
海未「機体を弄ったりする必要はないのですか?機材を積み込んだり」
ヒデコ「ああ、それならもうやってある。結構前から機材そのものは積んでたんだ。システムはさっき入れたけど」
穂乃果「そうなの!?」
凛「気が付かなかった……」
ヒデコ「戦闘中になんかこう、電気が流れるような感じっていうの?よく分んないけど……そういうの」
凛「あ、ある!ビリリッ!!って!!」
海未「そうですね……遠くの敵を狙おうとするとたまに」
穂乃果「あ、あれそうだったんだ。派手に動きすぎて痺れちゃってるのかと思ってた」
ヒデコ「それがLTMH装置っていう脳波を読み取る装置が反応しているっていう事。SDS接続はそれを操縦に使うんだ」
にこ「よし、全員乗ったわね。はいこれ」
海未「……これは?」
にこ「エチケット袋」
海未「それは見れば分かります……何故」
にこ「優しさ」
穂乃果「……え」
にこ「じゃ、頑張って」
凛「凛、凄く嫌な予感がするよ……?」
穂乃果『聞こえてまーす』
海未『問題ありません』
凛『大丈夫だよー』
真姫「じゃあこれからSDS接続の実験を開始するわ。最初はリミッターの適性値が分からないからきついかも」
穂乃果『え、ちょ――』
真姫「じゃあお願いできる?」
ミカ「ほいほい。じゃあSDS接続、起動」
穂乃果『ん゛!?……お、おぉ!?凄い凄い!本当に自分の手みたいに動く!!』
凛『ん゛ん゛んにゃああああああああああああああ!?うっ……おぇええええええええええ!!』
海未『んぐっ……んああああああ!!』
真姫「停止!」
穂乃果『あ、あれ?切れちゃった』
凛『死ぬかと思ったにゃ……』
海未『頭が割れそうでした……』
真姫「……ホントに吐いたわ」
にこ「まぁあたしも最初はゲロまみれだったし」
真姫「じゃあ少し休憩した後もう1回やるわ。リミッターの調整をするから今度は少しマシになるわ」
花陽「凛ちゃん……大丈夫かな……」
にこ「最初は吐くのが普通。むしろ穂乃果が異常よ。適性の低い海未が吐かなかったのは意外ね。スナイパーとしての忍耐力の問題かしら」
ことり「海未ちゃん……後で褒めてあげないと……」
ヒデコ「ん~……そこら辺の事はメカニックにもよく分んないな。経験者は語って」
にこ「穂乃果がすんなり成功したのはニ脚機だからね。自分の脚とだいたい似てるでしょ?」
絵里「凛の場合は?凛もニ脚機よ?」
にこ「初めてだから脳が混乱しちゃったんじゃない?。ま、凛はSDS適性高いみたいだしなんとかなるでしょ」
にこ「問題は海未ね……あの子はSDS適性が低いの」
希「その適性の高い低いってどういうあれなん?」
真姫「機体からの電気信号を脳でどれだけ上手く処理出来るかという才能ね。そして自分の意志を電気信号に変換する才能」
にこ「機体の操縦をするには色んな情報が頭に流れ込んでくる。エンジン制御、姿勢制御、火器管制その他いろいろ」
にこ「それらを全て頭で処理するの。自分の手足を動かすようにね。その処理の上手さ、どれだけ意のままに動かせるかって問題」
にこ「機体のLTMH装置の反応から、既にあの3人はセンサー程度の情報なら既に目や肌で感じ取るように処理できちゃってんだけどね」
ことり「んー……分かるような、分からないような……」
真姫「つまりにこちゃんや穂乃果、凛はバカだから体で感じたけど、海未は頭で考えてしまうから上手くいかないって感じね」
にこ「違うわよ!!あんたには適性そのものがないでしょうがっ!まぁ海未の場合は……その後も大変だと思うけどね」
希「その後……?」
真姫「じゃ2回目の実験に入るわ。凛と海未はリミッターを強くしたわ。穂乃果は逆にリミッターを落として同調率を上げてみるわね」
穂乃果『ほいほーい』
凛『今度は大丈夫……今度は大丈夫……』
海未『強くなるために……耐えてみせます……』
真姫「始めて」
ミカ「SDS接続、起動」
穂乃果『んっ……さっきより頭が重いかも……でもこのくらいまだ大丈夫!』
凛『あにゃぁああ……っ!!にゃ?にゃにゃにゃ???こ、こう?あ、動いた!動いたよー!!』
海未『くっ……!!』
真姫「海未だけ停止!」
ミカ「ほいっ!」
ことり「海未ちゃん……」
にこ「やっぱり難しいわね……」
にこ「電気信号を処理する能力は高いんだから、後はあれを自分の体だとすんなり受け入れればそんなに難しいもんじゃないわ」
絵里「自分の体?」
ことり「海未ちゃんはやっぱり難しいの?」
にこ「例え機体からの情報を理解できたとしても、アレを自分の体だと認識するのは難しいのよね。にこもそうだったし」
希「にこっちも?」
にこ「あたしの場合は逆関節だから膝が逆でしょ?朝起きたら膝が変な方向に曲がってましたーみたいなもんよ」
にこ「海未は四脚機。4本足を自分の意志で動かすって点がまず……ね。人間には脚が2本しかないもの。拒絶反応は大きいわ」
絵里「……つまり、『俺がガンダムだ!』ってならないといけないのに『俺はガンダムになれない……』ってなっちゃってるって感じかしら?」
にこ「ま、まぁ大体あってるけど……あんたそういうの好きなの?」
希「これは意外な趣味……」
真姫「ロボ嫌いだったくせに」
絵里「べ、別にいいじゃない少しくらい!!私だって好きなように戦って!それで戦争を根絶できるならそうしたかったわよ!!」
ことり「あ、あはは……」
ミカ「どうする?続ける?」
にこ「……穂乃果と凛はその辺を自由に走ってみてもらって。海未はこのまま」
ミカ「うん」
希「ね、ねぇ。そんなにこれに拘らなくても……海未ちゃん狙撃は凄いんやし」
ことり「そうだね……なんか可哀相だよ」
ヒデコ「私も反対。今まで問題なかったんだ。それに穂乃果と凛がSDS接続で動けるだけでも戦力としては――」
海未『いえ、もう一度お願いします……』
ことり「海未ちゃん……」
ヒデコ「大丈夫?もうかなり実験を繰り返したけど……」
海未「えぇ、少し休めば大丈夫です」
ことり「お疲れ様♪」
海未「はい」
ミカ「なんとかリミッターがんがんかけて、5分くらいなら動かせるようにはなったよ」
真姫「そう。海未、平気?」
海未「こんなに難しいとは思ってもいませんでしたけど、何とか」
にこ「腕だけでもって思ったけど、そう簡単にもいかないのよね……」
海未「ですが、これなら接近されても戦えそうです。自分の意志で動かせるなら剣道や柔道などの技術を応用できると思いますので」
絵里「ことりの護衛を任せている以上、近接戦闘もこなせるのは大きなメリットね。……デメリットが大きいのが難点だけど」
海未「あの2人は凄いですね。もう走り回っています」
真姫「SDS適性は先天的……生まれつきの才能よ。羨ましがってもしょうがないわ」
ことり「私や絵里ちゃんは適性が全くないんだよ?それに比べたら海未ちゃんだって十分凄い!」
真姫「そうね。人間の脳で電気信号を処理するって意味が分からないもの」
にこ「あんたんとこの技術でしょうが!」
真姫「元々は義手や義足の為に研究されてたのよ!」
絵里「何となくの疑問なんだけど、適性のない人があれやったらどうなるのかしら」
にこ「ゲロどころじゃないけどやってみれば?」
絵里「……やめとく」
海未「なんでしょう?」
ことり「どうしてあれに拘ったの?あんなに辛そうだったのに……」
海未「それは……音ノ木坂学園を守りたいからです」
絵里「海未……」
海未「私達はこの大会に優勝して、廃校をなんとかする。その為に今まで戦ってきたのです。こんなところで負けてられません」
海未「あれがあればもっと強くなる。もっと戦えるようになる。そうすれば学校を守れる。そう思ったので」
真姫「……そう」
にこ「実験を勧めたあたしが言えたセリフじゃないけど、戦ってんのはあんた1人じゃないって事だけは覚えておきなさいよ」
希「そうやね。うちらはチームなんやし」
海未「……はい」
絵里「じゃあそろそろ9人で演習といきましょうか。試合も近いし」
ことり「海未ちゃん、平気?」
海未「もう大丈夫です。それに必要なとき以外はアレを使いませんので」
真姫「えぇ、もう無理強いはしないわ」
にこ「じゃ、演習内容はいつも通りに。ことり、今日はレーダージャミングよ。あたしが掻い潜るから周波数を解析してみなさい」
ことり「出力頼みのバーンスルーじゃなくてもやってやるもんっ!」
穂乃果「いよいよ準決勝だぁ!」
海未「大丈夫、いつも通りにやれば上手くいきます」
絵里「ほーら、さっさとブリーフィングに入る!」
にこ「それじゃ、穂乃果。やって」
穂乃果「や、やってみる……。えっと、準決勝の相手はインターナショナル・ジョルメディア学院。東京都ではUTXに次いで実力のある学校です」
穂乃果「出撃数は12機。編成は作戦の度にコロコロ変えるので何とも言えないけど、最大の特徴は電子戦やアウトレンジ攻撃に力を入れているという点です」
凛「あうとれんじ攻撃?」
にこ「こっちの射程外から撃ってくるってこと。つまり遠距離機体が主力ってこと。準決勝からフィールドがちょっと広くなるからね」
海未「どの程度でしょうか?」
にこ「端から端まで50kmくらい。地形の配置は特に変わんないけど」
にこ「このチームは1回戦では電子戦機2、狙撃機3。2回戦では電子戦機3、狙撃機5、長距離榴弾砲1と出してきてるわ」
絵里「こっちのレーダーや通信を潰して、その間に遠方から撃ってくるって事ね」
にこ「そう、先制発見・先制攻撃・先制撃破を戦術コンセプトに仕掛けてくるわ」
にこ「一応軽量機や中量機も出してくるけど、あくまで戦線維持ってだけで攻め込んではこない」
にこ「あ、ごめん。中断しちゃったわ。続けて」
穂乃果「まず、ことりちゃんが作戦領域全域にレーダージャミングを仕掛けます。力任せで大丈夫です」
穂乃果「敵レーダーが麻痺している間に、にこちゃんと凛ちゃんが正面から強行突破。敵電子戦機を撃破してください。この2人なら約8分で到達可能です」
穂乃果「その後は味方が到着するまで、出来るだけ時間を稼いでください」
穂乃果「その間に穂乃果、真姫ちゃん、絵里ちゃん、希ちゃんが進行を開始。花陽ちゃんは敵を射程圏に捉えた時点で砲撃を開始してください」
穂乃果「海未ちゃんはことりちゃんが電子戦に集中できるよう、護衛を頼みます」
穂乃果「それと、巡航ミサイルの使用が確認されているので、各自対空装備を整えて下さい」
穂乃果「い、以上です。……どう?」
海未「リーダーが様になってきましたね」
穂乃果「絵里ちゃんやにこちゃんが考えた作戦をそのまま言っただけなんだけど……」
にこ「リーダーってのは別に優秀である必要はないのよ。周りが優秀ならね」
凛「それ自分が優秀って言いたいだけにゃ」
にこ「うっさい!……リーダーにとって大事なのは皆をまとめて引っ張る事よ。あんたにはそれができてる」
穂乃果「えへへ~」
にこ「あんたって素直に喜ぶわよね~、どっかの真姫ちゃんと違って」
真姫「悪かったわね」
絵里「えぇ……敵の電子戦機が何機来るのか予想できないけど、ほぼ間違いなく複数の電子戦機を相手に電子戦を仕掛けることになるわ」
にこ「その上、電子戦で確実に勝たなければ成り立たない作戦よ。敵のレーダーを潰さないとあたしと凛の存在がバレれるわ」
絵里「相手も相手でレーダーが非常に重要なはず。必死にECCMを仕掛けてくるわね……」
穂乃果「ことりちゃん、出来る?」
ことり「やれるだけやってみる!だってそうしないと勝てないんでしょ?だったらことり頑張る!」
海未「ことりが電子戦に集中できるよう、ハエ1匹たりとも近づけさせません」
凛「むせんふーさってのはしなくていいの?」
にこ「あたしらの正確な位置さえバレなければ問題ないからいいの。それより接敵後に死なない工夫を考えなさい」
穂乃果「じゃあ皆、機体の最終調整が終わったら速やかに搭乗!これより、『ワイルド・カッティングボード』作戦を開始します!」
穂乃果「穂乃果はいつも通りだね」
ヒデコ「というか穂乃果が変えたがらないんじゃないか。いろいろ弄らせろ」
海未「ECS導入……ですか?」
ミカ「うん!ちょっと予算に都合がついたからやっと導入出来たよ!これでわざわざ森の中とかに隠れなくても大丈夫!」
ミカ「ただ、ECS稼働中は電力消費が大きくなるから移動が出来なくなっちゃう。注意して」
海未「分かりました。ことりの側に居ればよいのですね」
花陽「榴弾砲……上手く使えるかなぁ……」
凛「かよちんなら大丈夫だよ~」
フミコ「曲射って言っても花陽ちゃんの機体にもFCSは付いてるし、ことりちゃんの支援もあるし……」
真姫「私達にぶち当てないでよ……?」
絵里「しかしCIWS積むと弾数きついわね」
希「うちのガトリング1門降ろす?」
絵里「いえ、大丈夫。そのガトリングで弾幕張ってくれないときついわ」
希「しっかしおっきなミサイルとは……ふむふむ。なるほど……」
絵里「積もうとか思わないでね……?」
ことり「ん?なぁに?」
にこ「ま、なんとかなるから。そんなに気負いすぎない」
ことり「そんなことないよ?」
にこ「あんたがそう言うならいいけどね。しっかし敵も敵よねぇ。電子戦なんてまぁ小賢しい……」
ことり「それ、にこちゃんが言う?」
にこ「あによ。あたしのどこが小賢しいのよ」
ことり「最初に『あんたの思う小賢しい機体を組んでみなさい』って言われてにこちゃんの機体を考えたんだよ?」
にこ「そんな事もあったわねぇ」
ことり「あったんですっ!」
にこ「ねぇ、ことり。普段あたしが電子戦の練習相手やってるけど、あれを難しいと思う?」
ことり「正直に言えばすっごくやりにくいけど……慣れましたっ」
にこ「……なら平気ね」
ことり「ふぇ?」
にこ「さっさと行くわよ」
全高:7.9m
乾燥重量:12.5t
最高自走速度:130km/h
最大跳躍高:20m
作戦行動時間:11時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力4,500馬力
右手:ボフォース 57mm散弾砲 (装弾数30発)
左手:ボフォース 57mm散弾砲 (装弾数30発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:---
左背部:---
肩部:---
機体色:オレンジ
搭乗者:高坂穂乃果
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
特に変更がないのは穂乃果が変えたがらないため。整備士から苦情が上がっている
機体:μ’s‐2<ナイチンゲール> 中量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:28.0t
最高自走速度:45km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:---
左手:---
格納:---
右背部:FCS-3 アクティブ式フェーズドアレイレーダー
左背部:FCS-3 アクティブ式フェイズドアレイイルミネーター
肩部:NOLQ-3 電波探知妨害装置
機体色:白
搭乗者:南ことり
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
データリンクの導入により管制能力を獲得
敵巡航ミサイルへ対抗する為、イルミネーターレーダーを追加
機体:μ’s‐3<マークミュートス> 重量四脚
全高:6.5m
乾燥重量:46.0t
最高自走速度:30km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:8時間
動力源:東芝 水素燃料電池 最高出力1,470kW(2,000馬力)
右手:日本製鋼所 70口径120mm滑腔狙撃砲 (装弾数60発)
左手:ボフォース 40mm機関砲 (装弾数450発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:Mk.15ファランクス 近接防御火器システム (装弾数1,550発)
左背部:RIM-162 ESSM 対空ミサイル (装弾数6発)
肩部:Metsman 環境センサー
機体色:ダークブルー
搭乗者:園田海未
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
・ECS(Electromagnetic Camouflage System:電磁迷彩システム)搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
ECSの搭載により敵レーダーからの探知がほぼ不可能となった
ことりを迫り来る敵機やミサイルから守る為、機関砲やCIWSを装備した
また巡航ミサイル迎撃の為対空ミサイルを装備。ことりのイルミネーターによって誘導される
SDS接続は可能であるがSDS適性が低いため5分程度が限度
全高:7.9m
乾燥重量:20.0t
最高自走速度:80km/h
最大跳躍高:12m
作戦行動時間:11時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力4,500馬力
右手:ボフォース 40mm機関砲 (装弾数450発)
左手:エリコンKD 35mm機関砲 (装弾数600発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:AGM-114Aヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
左背部:AGM-114Aヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
肩部:AN/ASQ-170 レーザー誘導装置
機体色:赤
搭乗者:西木野真姫
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
被弾率が高いため、モジュラー装甲を追加。40mmクラスの防弾性を実現
機体:μ’s‐5<スターゲイザー> 軽量ニ脚
全高:7.4m
乾燥重量:6.5t
最高自走速度:270km/h
最大跳躍高:45m
最大作戦行動時間:9時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,500馬力
右手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
左手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:---
左背部:---
肩部:---
機体色:黄
搭乗者:星空凛
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
SDS接続による操縦のお陰で本人の運動神経がそのまま反映されるようになった
驚異的な機動性を獲得
機体:μ’s‐6<水電> タンク
全高:3.5m
乾燥重量:100t
最高自走速度:60km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:32時間
動力源:三菱重工 水冷2ストロークV型10気筒ターボチャージド・ディーゼルエンジン 最高出力1,500馬力
右手:M777 155mm榴弾砲 (装弾数40発)
左手:M777 155mm榴弾砲 (装弾数40発)
格納:---
右背部:オート・メラーラ 64口径127mm速射砲 (装弾数30発)
左背部:81式射撃指揮装置2型-21
肩部:追加弾倉 (127mm砲弾70発)
機体色:OD色
搭乗者:小泉花陽
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
長距離砲撃に対応する為、榴弾砲へ変更された
この榴弾砲は有効射程24kmを誇り、遠方からの火力支援がより強化される
速射砲は敵巡航ミサイルに対応する為、砲弾を対空用VT信管へ変更
全高:7.2m
乾燥重量:7.0t
最高自走速度:240km/h
最大跳躍高:65m
最大作戦行動時間:9時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,200馬力
右手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
左手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:AN/ALQ-218(V)2 戦術妨害受信機
左背部:AN/ALQ-99 電波妨害装置
肩部:通信対抗手段セットCSS
機体色:ピンク
搭乗者:矢澤にこ
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
特に変更なし。速度重視の為に電子戦装備を降ろす案もあったが、不測の事態に対応するため載せたままにした
機体:μ’s‐8<スピリチュアル・オブ・マザーウィル> 重量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:35.0t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1,350発)
左手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1,350発)
格納:---
右背部:Mk.15ファランクス 近接防御火器システム (装弾数1,550発)
左背部:M247弾頭ハイドラ70ロケット弾 (装弾数76発)
肩部:ALQ-131 電波妨害装置
機体色:パープル
搭乗者:東條希
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
装甲と弾幕を活かし戦線を維持する
中量機以下が運用する60mmクラスの砲弾を無効とするほどの装甲を持ち、最低限の運動性と相まって堅牢な盾となる
制圧射撃によって敵をけん制し、味方の攻撃機会を作る
重量機なのは操縦にまだ不安の残る初心者のため、高機動な動きがまだ出来ないのだ
機体:μ’s‐9<アイス・グリント> 重量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:35.0t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:GSh-30K 30mm連装機銃 (装弾数250発)
左手:S-5K 57mmロケット弾 (装弾数32発)
格納:---
右背部:AK-630M1-2 近接防御火器システム (装弾数2,000発)
左背部:S-13D サーモバリックロケット弾 (装弾数5発)
肩部:S-24 240mmロケット弾 (装弾数2発)
機体色:ライトブルー
搭乗者:絢瀬絵里
備考:・<M.U.S.E.S.>戦術支援システム搭載
武装以外はほぼ希と同じ機体構成
ロケット弾をたくさん積み込むのはロシアの伝統
本人には軽量機で敵機をズバズバとしたいという願望があるのだが、当時のロボット技術では高機動なものがなかったため
このくらいのスピードが丁度いいらしいのだ
穂乃果『開始時間まで、5、4、3、2、1、作戦開始!』
ことり『こちらμ’s‐2!レーダージャミング開始!』
にこ『確認したわ。μ’s‐5、出るわよ!』
凛『了解にゃ!』
穂乃果『μ’s‐1よりμ’s‐4、6、8、9へ。こちらも移動を開始します!』
真姫『μ’s‐4、了解』
花陽『μ’s‐6、了解です』
希『μ’s‐8、了解や!』
絵里『μ’s‐9、了解よ。行きましょう』
ことり『こちらμ’s‐2、何か飛んできてる!たぶんミサイル……ミサイルシーカー探知!3発!μ’s‐3にイルミネーター管制権を委譲します!』
海未『確認しました。イルミネーターリンク、1番から3番諸元入力完了……発射!』バシュ!!
ことり『迎撃、今……1発撃ち漏らしました!』
花陽『速射砲、撃ちます!』ドンッ!!…ドンッ!!…ドンッ!!…ドンッ!!
真姫『迎撃を確認したわ!』
絵里『もう撃ってきたわね……μ’s‐9からμ’s‐8へ、敵がもう撃ってきてるわ。CIWSコントロールオープン』
希『あいよ!』
絵里『ちょっと!?また!?』
真姫『対レーダーミサイルじゃないの!?』
にこ『それならシーカー波は出ないわよ!』
ことり『レーダーでも補足。対空目標2発、距離35,000。ECM照射……ソフトキル!』
花陽『こちらμ’s‐6。データリンク途切れました!』
ことり『通信を回復しました!』
にこ『こちらμ’s‐7!敵ジャミング発信源まで後2分!μ’s‐5、戦闘用意!』
凛『了解ですにゃ!……今敵とすれ違ったよ!?1機!速い奴!』
絵里『敵も似たような事考えてたって事ね!μ’s‐5、7はそのまま直進!各機、迎撃用意!』
希『一応敵さんの通信へジャミングかけておくで!』
花陽『こちらμ’s‐6、射程圏到達。いつでも撃てます!』
穂乃果『こちらμ’s‐1、北側の平原まであと10分。敵の接近に注意――うわっ!?すれ違った!?』
真姫『目標マーク……ヘルファイア撃つわ!』バシュッ!!
ババババッ….バァン!!
真姫『うっそ……撃ち落とされた!?μ’s‐3!!』
海未『……』ドンッ!!
海未『撃破しました』
穂乃果『さっすがぁ!!』
真姫『まさか……撃破された!?』
絵里『敵レーダーが生きている!?』
ことり『そんなはずない!敵レーダー波の周波数変更やパルス変調なんてなかったよ!?』
穂乃果『μ’s‐1よりμ’s‐6!北側の平原へ砲撃を開始!敵の大部隊が居るかも!!』
花陽『座標確認、撃ちますぅ!』ッドォオオオン…..
にこ『こちらμ’s‐7!北側の平原に到達……今敵機1を撃破!1機しか居ないわ!』
凛『あ、あれ?他に誰も居ないよ?』
ことり『えっ、ちょっと待って!?2人とも無事なの!?あれ!?レーダー再補足!?』
絵里『なんですって!?』
希『2人とも危ない!そっちに今砲撃を開始したところ!!』
にこ『え、どういう事!?』
花陽『砲撃を中止します!!凛ちゃん避けて!!』
にこ『うぉおおおぅおおお!?』
ことり『な、なにこれ!?』
海未『どうしたのですか?』
ことり『レーダー情報を各機へ転送……』
希『敵機……256機を補足……???』
にこ『敵の欺瞞妨害!!何やってんのしっかりしなさい!』
ことり『う、うん!アルゴリズム変更……6機補足!μ’s‐1へ!座標88B60w地点に6機!そこから方位0-4-2、2km!』
穂乃果『μ’s‐1了解!μ’s‐8援護!』
希『おっけぃ!!』
ことり『μ’s‐5!敵機急速接近!方位1-6-3!!」
真姫『こちらμ’s‐4、私も確認できないわ!』
希『こちらμ’s‐8、レーダーには映っとるのに……これは??』
ことり『6機居るハズです!』
真姫『だから居ないわよ!』
絵里『っ!即刻退避!いいから下がって!砲撃が来てる!』
真姫『何よこれ爆撃!?』
絵里『キルゾーンへ誘導されちゃってるわ!急いで!』
ことり『レーダーに感!敵砲撃地点確認!花陽ちゃん、座標送ります!』
花陽『敵砲撃地点確認。応戦します!発砲!!』
花陽『だんちゃ~~~く!今っ!!』
<ッドォオオオオン…..
凛『うぉおおいえええああああ!?』
真姫『ちょっと!?μ’s‐5応答!!』
凛『死ぬかと思ったにゃ……』
花陽『あれ!?さっきの凛ちゃんの座標!?』
凛『ここは座標10M216だよ!』
真姫『どこに行けばいいのよ!?』
ことり『座標が間違ってる!11M1dだよね!?確認して!』
穂乃果『うわあああ!?なんか弾がいっぱい降ってくる!?』
凛『今の座標は10M26d!』
ことり(また欺瞞……!!)
にこ『データリンクが混乱してるわ!回復できる!?』
ことり(さっきから欺瞞欺瞞欺瞞……!!これじゃ皆を誘導できない……!!)
海未『μ’s‐2、落ち着いてください』
ことり『でもっ!』
海未『あの人は出来ると言いました。あなたなら出来るはずです』
ことり(そう……にこちゃんとの電子戦を思い出すの。確かにこの敵さんも凄いけど……にこちゃんのほうがもっと鬱陶しいもん!!)
穂乃果『うあぁああああ!?死ぬ!死んじゃうって!?』
ことり(にこちゃんが敵の電波を提供してくれてる。この機体のESMが解析をしている。あのにこちゃんが今日は味方についてる!やれる!やれるだけやってやる!!)
ことり(敵レーダー波、逆探知開始……解析完了。敵電子戦機へハッキング開始。……ブロック。周波数変更、再試行……ブロック)
絵里『落ち着いて!無誘導よ!ヘタに動くより周りを見て!』
ことり(再試行……ブロック!でもそっちは囮!本命はにこちゃん経由の回線……来た!)
希『被弾!被弾したああ!?左肩損傷!あああああロケット弾誘爆!?あかんって!!』
真姫『ポッドをパージして!!』
ことり(これだ!これが電子戦機……!)
真姫『何なのよこれ!?敵はどこよ!?』
ことり(OSへ侵入開始……パスコード解読……処理能力が足りない。海未ちゃんの機体とリンク。並列処理……パスコード突破!)
ことり(敵暗号化通信解読……突破!敵データリンク受信!こ、これは……!?)
花陽『だんちゃ~く!今!!……1機撃破したみたいです!』
ことり(こっちでも確認できた……このデータ信頼性ある!)
ことり『μ’s‐2よりμ’s‐5!引き返して!!敵データリンク情報を送ります!』
凛『……不幸なことに、敵の本隊のど真ん中に突入してしまったにゃ』
花陽『凛ちゃん!?』
真姫『こっちでも確認したわ……何よこれ!?』
希『敵機が1機もこっちに来てない……!?』
海未『山岳地帯!?いつの間に!?』
穂乃果『うっそ!?』
絵里『山岳地帯に中二の電子戦機3、重四狙撃機1、重二2、軽量2。市街地に榴弾砲を積んだタンクが2……見事に挟まれてるわ』
ことり『凛ちゃん逃げて!このまま突っ込んじゃったら敵本隊に袋叩きです!体制を立て直して――』
にこ『μ’s‐7よりμ’s‐5へ!そのまま敵電子戦機を撃破!最優先!!思いっきり暴れなさい!すぐに行くわ!!』
凛『了解にゃ!』
ことり『9機相手に1機じゃダメっ!1回戻って皆と合流して――』
にこ『引き返してる間に敵が逃げる!そのまま突っ込んで!!』
凛『やってやるにゃあああ!!SDS起動!!』
にこ『こっちもやってやるわ!!SDS起動!』
ことり『μ’s‐3へ!護衛を放棄!山岳地帯への射線を確保して!飛んでくる榴弾をっ!全部撃ち落として!』
海未『随分と無茶を言うようになりましたね……μ’s‐3了解!』
ことり『μ’s‐6、正確な座標を送りました!砲撃お願い!』
花陽『こちらμ’s‐6、分かりましたぁ!!撃ちます!』ドンッ!!
にこ『こちらμ’s‐7、敵タンク2機撃破!榴弾止まるわ!待ってなさい!!』
花陽『だんちゃ~~~く!!今っ!!』
<ッドォオオオオオオオオン!!
凛『あっぶにゃああ!?あっ!しまっ――敵がミサイルを発射!なんか凄い数!!』
ことり『レーダー探知!対空目標8発!ECM照射!μ’s‐3のECCMと同期!イルミネーターリンク……4番から6番まで諸元入力完了!斉射!!』
凛『敵電子戦機を全部撃破!うにゃあああやばいにゃああ!?フルボッコにゃあああ!?』
ことり『レーダー復旧しました!データリンク回復します!』
穂乃果『こちらμ’s‐1!あと5分で付くよ!頑張って!!』
にこ『うぉっそぃ!!こちらμ’s‐7!そっちまで後2分!!』
ことり『ソフトキル失敗!迎撃、今……3発撃ち漏らしちゃった!μ’s‐6の速射砲発射管制と同期!撃ちます!!』
花陽『わっわわわ!?勝手に!?』ッドォン!!…ッドォン!!…ッドォン!!…ッドォン!!…ッドォン!!
ことり『ごめん、1発迎撃失敗しいちゃいました!』
絵里『CIWS迎撃成功!』
ことり『敵機が散開を開始!μ’s‐1、4!方位3-4-9へ転進!敵2機急速接近!μ’s‐8、9!座標B76w58地点へ制圧射撃!』
凛『ん?どしt――』
<ッドォオオオオオオン!!!
にこ『敵四脚と一緒に凛がやられた!!』
花陽『あああああああああ!??ごめんなさひぃいいいい!?』
穂乃果『こちらμ’s‐1!敵機2機と交戦開始!SDS起動!!μ’s‐3援護できる!?』
海未『射線を確保しました。今狙ってます……1機撃破』
穂乃果『撃破!続けてもう1機――』
海未『撃破』
穂乃果『ちょっと横取り!?』
海未『援護を頼んだのはあなたでしょう!?』
絵里『こちらもついたわ!突撃支援射撃開始!!ハラッショォオオオオオオオ!!!!』ドシャドシャドシャブシャブシャブシャバシュバシュバシュ!!
希『奇声上げながらロケット乱射するの止めて!?』
絵里『KKEプログラム、起動完了……』
真姫『んなプログラムないわよ!!目標マーク……発射!』バシュ!!バシュ!!
ことり『全ての目標の撃破を確認しました!!』
穂乃果「いやぁ……死ぬかと思ったよ」
真姫「榴弾がドカドカ降ってきた時は絶望的だったわね……」
海未「多少は撃ち落としましたが焼け石に水でした……」
希「撃ち落としてたん!?」
絵里「どんな腕……???」
花陽「凛ちゃんごめんね……」
凛「別にいいにゃ……敵にやられるくらいならかよちんの手で……」
にこ「お疲れ様」
ことり「あ、にこちゃん」
にこ「やれるだけやってみろとは言ったけど、まさか敵機のOSにハッキング仕掛けるとは思わなかったわ」
ことり「ECMとECCMのイタチごっこで全然進展しなかったから……大元を叩いちゃえ!って思って」
にこ「M.U.S.E.Sの支援があったとはいえ、よくやったわ」
ことり「そうなの?いっつもにこちゃんはああやって――」
にこ「あたしの電子攻撃を突破出来た人間はあんたで2人目よ。いい腕してるわねまったく」
ことり「2人目……?」
にこ「作戦前に言ったでしょ。わたしのECMを突破できるなら平気だって」
ことり「1つ質問してもいい?」
にこ「ん?」
ことり「にこちゃんの電子攻撃を突破できたもう1人って誰なの?」
にこ「綺羅ツバサ。UTXのエースパイロットよ」
――理事長室
穂乃果「――本当ですか!?」
理事長「えぇ。このままの調子なら来年の生徒数は安心できそうよ?」
ことり「本当!?」
穂乃果「やった!穂乃果達の戦いは無駄になってないよ!」
海未「そのようですね!」
理事長「正直に言えば、ここまでとは思ってもいなかったわ。全てあなた達のお陰ね」
穂乃果「はいっ!」
理事長「次の決勝戦、頑張ってね」
穂乃果「頑張りますっ!失礼しました!っ!」バタン
理事長「えぇ、本当にここまでとは思ってもいなかったわ……」
理事長「……」
理事長「次はUTX。さて……届くかしらね」
花陽「見てください!ネット上でもこんなに話題に……」
希「かつてのエースパイロットが2年振りの快進撃……ほうほう」
絵里「世界を牽引するニシキノグループのお嬢様に日本の防衛産業を支える小泉重工の孫娘……色んな方面からも注目を浴びているみたい」
にこ「廃校阻止の為に生徒が立ち上がるなんてマスコミも食い付くわよねぇ」
海未「今まで夏の機動兵器の大会なんてあまり興味なかったのですが、こうしてみるとかなりの注目を集めているのですね」
凛「ここまで注目されちゃうとなんか緊張しちゃうね」
穂乃果「大丈夫だよー。次も勝てるってー」
にこ「次はそう簡単にはいかないわよ」
海未「えぇ……次の決勝戦の相手は……UTX」
穂乃果「そんなに強いの?練習試合の時は穂乃果達が慣れてなかっただけで……」
花陽「あれはA-RISEシステムすら使っていなかったと思います……、完全に手加減されていました」
にこ「加減をし過ぎて足元すくわれたって感じだったわね」
海未「それで、どうでした?何か弱点などは――」
にこ「それがなーんにも分かんなかったわ」
真姫「はぁ?」
花陽「そうなんです。何も分かりませんでした……」
絵里「というより、何が何だか分からないまま試合が終わっていたっていう感じね」
ことり「どういう事?」
にこ「試合がたったの12分で終わったわ」
穂乃果「じゅっ、12分!?」
希「相手の数が少なかったん?」
絵里「それが相手は26機、それに対してUTXは3機だけ……何がなんだか」
にこ「さて、こっから何が考えられるかを考えましょ」
穂乃果「それって相手が弱すぎたってこと?」
にこ「んなわけないでしょ」
花陽「1回戦からUTXは短期決戦で終わらせているようです。どれも15分程度で戦闘が終了。もっとも長かった試合で3回戦の17分44秒です」
真姫「戦闘時間を短くせざるを得ない。とか」
凛「どういうこと?」
真姫「馬力規定よ馬力規定」
希「馬力規定?馬力と稼働時間ってやつ?」
真姫「そう。最高出力と稼働時間をかけた数字が50,000以下じゃないといけない。つまり1時間に限定すれば5万馬力使っていい」
真姫「それってつまり30分にすれば10万馬力まで平気よね?」
花陽「そ、そんなエンジンあるはず……いや、あるにはありますけど……それは艦艇に載せるようなエンジンの出力です!機動兵器には大きすぎます!」
真姫「戦闘機のエンジンとかは?ガスタービンと同じジェットエンジンの一種よ?載せようと思えば載るんじゃない?」
海未「戦闘機のエンジン、ですか?」
真姫「例えばF-15に使われてるF100-PW-220 ターボファンエンジンは、馬力に換算すれば最高出力10万馬力。まぁ推力を無理矢理変換したものだけど」
海未「つまり、専用のエンジンを開発することは不可能ではない。と?」
真姫「そこまでする意味は分からないけどね。あるいはその推力をブースター代わりに使っているとか」
にこ「まぁさすがにそれはないでしょ」
真姫「考え過ぎかしら……?」
穂乃果「問題?」
にこ「いい?UTXの3人は綺羅ツバサ、優木あんじゅ、統堂英玲奈の3人。花陽、各パイロットの機体は知ってるわよね?」
花陽「は、はい。ブレード主体の軽量ニ脚、ガトリングのみの重量ニ脚、狙撃四脚です」
にこ「レーダー担いだ機体は存在しない」
ことり「!?じゃ、じゃあどうやって索敵を……?」
にこ「それが分からないのよ」
凛「敵の場所が分からないのに早く終わっちゃうの?」
海未「いくら狙撃手の目が良くても、こんな短時間に全機を見つけ出すのはさすがに不可能です」
希「A-RISEシステム……やっけ?それのなんか凄い機能だとか」
花陽「あれに関しては詳しい情報は何も分からないんです。ただ、戦場を管理する為に生み出されたシステムだと……」
希「そっか……残念」
穂乃果「分からない事を悩んでもしょうがないよ!この3機を相手にどう戦うのか、それを考えるんだよ!」
にこ「さっき花陽が言ったでしょ。ブレードのみの軽量ニ脚、ガトリングのみの重量ニ脚、狙撃砲のみの四脚」
海未「いや、ですから作戦やどういった連携を取るのかと――」
花陽「そんなものはないんです」
希「作戦がない?」
花陽「あの3人に作戦というものはないんです。それぞれが勝手に戦えばそれだけで勝利するんです」
真姫「無茶苦茶だわ」
にこ「えぇ。ホント無茶苦茶な強さよ……特ににツバサ」
穂乃果「ブレードの人だよね?」
にこ「あんじゅと英玲奈はまぁ普通に強いってくらい。ツバサは別格と言うか、あれは異常ね」
真姫「さっきから戦った事があるような言い方ね」
にこ「まぁ、ちょっと2年前にね。んな事は今はどうでもいいのよ」
海未「2年前……そうですか」
穂乃果「何か弱点とかないの?」
にこ「んなもんないわよ。強いて言うなら……話が長いって事くらいかしら」
ことり「確かに……あの時も外部スピーカーで話しかけてきたよね」
絵里「あら、もうこんな時間?」
ことり「あんまり、作戦会議進展しなかったね」
希「情報が少ないからなぁ……」
花陽「それに打てる手も限られていますし」
真姫「打てる手……なにかないかしら」
海未「決勝戦まではもう少し時間があります。また追々考えましょう」
絵里「そうね、今日のところは帰りましょっか」
凛「よぉーっし、かよちん!今からラーメン食べにいこっ!」
花陽「今日は小麦の気分じゃないの……ごめんね」
凛「今日はライス大盛り無料!おかわり自由だよ!」
花陽「ちょっと話聞かせて」
穂乃果「ねぇその前に、ガレージ寄って行っていい?」
ヒデコ「おー!どーした!?」
穂乃果「ううん!何となく来ただけ!今何してるの?」
ヒデコ「今ベンダーで骨格の歪みを直してるトコ」
ミカ「にこちゃんの機体、いっつもフレームひん曲がってくるからね」
にこ「あんた達を信頼している証拠だって言ったわよね?」
ヒデコ「はいはいそりゃどーも」
にこ「あによ!?」
フミコ「真姫ちゃんの機体も毎回モジュラー装甲が割れた状態で帰ってくるから心配だよ?」
真姫「名誉の被弾よ、名誉の」
フミコ「??」
ミカ「海未のはあんまり動かないからかえってクセが付いちゃってるのが気になるね。たまに動かさないと動かなくなるよ?」
海未「そういうものなのですか?」
ヒデコ「花陽のは重い分足回りが毎回アレだ。なんというかアレだ。やっぱ速射砲降ろさない?」
花陽「でもあれが無いと……」
ヒデコ「あれがないとなんなんだ……」
フミコ「え、そうかな?」
絵里「ちゃんとパイロットの事を考えて整備をしているわ。仕方なくやってますではなくて、きちんと理解をして整備をしてくれている」
希「これだから安心して乗れるんやね」
ヒデコ「いや違う違う」
絵里「?」
ヒデコ「機体ってのは整備士の物なの。いい?出撃の度にあんた達パイロットに”貸して”やっているんだ」
絵里「あら、それはごめんなさい」
ヒデコ「だから、大事に扱ってくれよ?」
絵里「えぇ、無事に持って帰ってくるわ」
穂乃果「この機体と、ずっと一緒に戦ってきたんだね」
海未「そういえば、最初に組んだのは穂乃果の機体でしたね」
ことり「あの時は3人で。パーツも全然なくて……3人とも同じような機体になっちゃってたよね」
穂乃果「名前にかっこ仮とか付いてたり」
海未「あなたはカッコを外しただけじゃないですか」
穂乃果「だってカッコいいじゃん!試作一号機!」
ヒデコ「おいおい、いつまで試作なんだ」
穂乃果「だって気に入っちゃったんだもん」
海未「そうですね、私もこの子に愛着がわいてしまいました」
凛「凛も結構好きだよ!この機体!」
にこ「あんたはこいつにゲロ吐かされたけどねー」
凛「思い出したくないにゃあああ!!」
絵里「……泣いても笑っても、次が最後の戦い。そしたらこの子達ともお別れね」
花陽「なんか寂しいね」
穂乃果「持って帰っちゃダメかな?」
海未「捕まりますよ」
穂乃果「えーなんでー!」
ことり「武器が付いてるから……」
にこ「悔いが残らない戦いをするしかない。そうしなきゃお別れに納得できなくなる」
穂乃果「そうだね。悔いが残らないように絶対勝つ!じゃないとせっかくここまできたのが無駄になっちゃう!」
海未「この戦いの向こうに答えがあるのか。それは分かりませんが……今までの戦いは無駄ではありませんでした」
ことり「絶対に勝って!廃校をなんとかするんだもんね!」
絵里「私達が戦ったと言う証を、学校存続という形で残しましょ?」
穂乃果「うん!」
――ガレージ
にこ「――やっぱり、この編成が一番可能性あるわね」
花陽「ですね」
穂乃果「んー?なになに?」
希「作戦会議しとるん?」
にこ「まーそんなとこ。一応、ガチの3人と戦った経験から考えてみたんだけど、こんくらいしか思いつかないのよね」
絵里「あら、どんな作戦かしら?」
にこ「作戦ってものじゃないわ。ただ、こいつにはこいつをぶつけるしかないってだけ」
にこ「まず優木あんじゅ。こいつはかなり硬い重量ニ脚にアヴェンジャーっていう30mmのガトリングを6門」
希「あ、うちが使っとるガトリング砲やね」
にこ「そ。だから威力はだいたい分かるでしょ?並大抵の機体を木端微塵にする威力よ」
花陽「さすがにアヴェンジャー相手では花陽の水電でも……」
凛「そうなの?耐えそうな感じがするけど……」
花陽「確かに水電の小泉重工製コンポジットアーマーは、1mの鉄板を貫通する威力を持った120mmAPFSDS弾を20発受けてもなんとかなっちゃう」
花陽「でも装甲っていうのは同じ部分に何度も受ければその分劣化しちゃうの。例え30mm弾でもあの数、あの連射性となると……」
凛「さすがにもたないんだ……」
にこ「つまり、あんじゅ機と戦うには1発も被弾しない覚悟で行くしかない。つまりあたしと凛以外はあり得ない」
にこ「つまり運動性を奪えばなんとかなる。かも知れない」
真姫「どうやって奪うつもりよ。速すぎて狙えないんでしょ?」
希「そこら中に撃ちまくるとか?」
にこ「そう、辺り一面に弾幕を張って逃げ場を潰す。狙って当てるんじゃなくて確率論で当てるの」
にこ「つまり中~遠距離から弾幕を張れる真姫、絵里、希。後は花陽の榴弾砲も効果があるはず」
花陽「ツバサさんの機体は軽量化の為に装甲を極限までつけません。ソフトスキンも同然。そうなれば破片効果を狙うのは有効だと思います」
にこ「で、動きを封じたところで海未が狙撃するなり、穂乃果が突っ込む。もしくはミサイルを撃ち込む」
ことり「あれ?英玲奈さんはどうするの?」
にこ「あいつはスナイパー機。つまり当然のようにECSを搭載してくるはず。つまりレーダーによる索敵は不可能。撃たれてから初めて居場所が分かる」
海未「つまり、撃たれるまで放置……と?」
にこ「そうするしかないもの。誰かが撃たれたらすぐに発砲位置を特定して海未が狙撃。それ以外ないわ」
海未「もし初弾で私が撃たれたら?」
にこ「終わり」
凛「えぇー!?」
穂乃果「き、厳し過ぎるよ!?」
絵里「でも……他に有効な手があるかしら?」
花陽「よくにこちゃん……こんな相手と1機で……。確か英玲奈さんとあんじゅさんは撃破してたような……」
にこ「ほとんど偶然よあんなもん」
花陽「そんな風には全然――」
にこ「今は昔話をしている場合じゃない」
絵里「そうね、今は目の前の戦いを考えましょう」
真姫「有効な手……そういえば」
絵里「?」
真姫「なんかうちのほうで面白そうな武装が試作されたけど、持ってくる?」
凛「?」
花陽「どういう装備?」
真姫「もうちょっと早く動けるようになる……のかしら」
海未「はっきりしませんね」
真姫「使えるかどうか分からないもの。一応、手配しておくわね」
ヒデコ「とりあえず載せてみたけど……結構無理矢理だったよ?」
穂乃果「これが前に言ってた奴?」
希「ブースター?」
真姫「えぇ。ニシキノ・サイエンス・テクノロジー社の試作品。<F755-NST-980 アークジェットブースター>。いわゆる電気推進器ね」
海未「電気推進……というと、はやぶさのエンジンで有名なやつですね。でもあれはそよ風程度の力しかないのではないですか?」
真姫「んなもんニシキノ脅威のメカニズムでどうにでもなるのよ」
海未「そんなバカな……」
希「これエンジンなん?馬力規定には引っ掛からんの?」
にこ「まぁ、電気を消費して駆動するなら引っ掛からないわ。発電したらアウトだけど」
絵里「それでわざわざ電気推進を選んだのね」
凛「これどのくらい凄いのかな?」
真姫「凛の機体の重量で考えれば、重量推力比は15.1ね」
花陽「ジュ゙ヴゴォ゙デン゙イ゙ヂィ゙イ゙イ゙!?」
凛「じゅーりょー……って何?」
花陽「重さに対してのパワー……1を超えればエンジンのパワーだけで空中に浮けるって意味……」
凛「え!?凛飛べるの!?」
真姫「ロボットが空飛べるわけないじゃない」
ヒデコ「飛べはしないけど、こいつを使えば最高速は400km/hオーバーまで出るハズ。ジャンプ力に関しては地面から150m程度上がれる計算になる」
にこ「!?」
穂乃果「!?」
凛「よ……400km……!?」
絵里「脚で地面を蹴って移動する以上、どれだけ性能が上がっても300km程度が限界って言われていたけど……それを軽く超えてきたのね」
真姫「ただ、これにはいくつか欠点があるわ」
ヒデコ「いや”いくつか”どころじゃないだろ……」
絵里「それじゃ動かないじゃない」
ヒデコ「ってことで、凛の機体だけガスタービンを2基積んだ。これで最高出力は8,400馬力を実現」
絵里「ツインドライヴ!?」
穂乃果「な、何か主人公機っぽい響き!?」
真姫「2つ目。実はそれでも電力が足りてないわ」
花陽「!?」
真姫「と、いう事で肩に積んだアレというわけ」
凛「あのおっきいドラム缶みたいな奴?」
真姫「リチウムイオン電池をベースにした<NST-Pi502Le 大容量リチウムイオンキャパシタ>。要するにコンデンサね」
凛「こ、こんでん……??」
海未「電気を一時的に貯めておける電池のようなものですね」
ヒデコ「使い捨てカメラ使った事ある?あれのフラッシュ炊く前にチュイーンってチャージ音鳴るだろ?あれ」
凛「え!これちゅいーんっていうの!?」
ことり「ちゅいーん!!」
穂乃果「ま、ますます主人公機みたい……」
凛「え、一瞬……?」
真姫「フルチャージの状態から5秒は吹かせるわ。その後10秒の再チャージが必要になっちゃうけど」
絵里「つまり2秒のチャージで1秒吹かせるのね」
凛「短か!?」
希「そんな短時間で一気に加速……乗り心地最悪やね……」
真姫「で、3つ目だけど……」
希「まだあるん!?」
真姫「これ、電気溜まってる状態で被弾すると大爆発するから気を付けて。フルチャージされてるとタンクが一撃で戦闘不能になると思って」
真姫「2~3秒でも重量機くらいなら致命傷になるかも」
凛「あっぶな!?」
ことり「肩への被弾率って高いんじゃ……??」
にこ「まぁ軽量機はどこ当たっても致命傷だからそれは問題ないわね」
花陽「そういう問題なの!?」
凛「……」
ヒデコ「これはあたしから言うよ。まずエンジンを無理矢理2基積んだ。つまりスペースがかなりヤバい」
ことり「どうやって載せたのか分からないもん……」
ヒデコ「そこで、大半のヴェトロニクスを取っ払っちまった」
凛「なにそれ」
ヒデコ「電子装備。火器管制……はパイルとブレードだから問題ないとして、最低限のミリ波レーダーや赤外線センサもない」
穂乃果「敵の接近に気が付けないよ!?カメラとマイクくらいしかないじゃん!」
ヒデコ「それはまだいいんだ。問題は姿勢制御も電子的に行えない。つまり……SDSによる操縦が必須になる。機械的サポートもリミッターもない」
凛「……」
ことり「ほとんど生身同然で戦うってこと?」
ヒデコ「そう。目と耳で敵見つけて殴りに行く。データリンクはあるから味方の援護があれば多少はマシになるけど」
凛「……」
にこ「生身の体にはブースターなんてないわ。上手くできるのか――」
凛「それ使う!」
ことり「え?」
ヒデコ「楽しい、ときたか……」
ミカ「大丈夫?特にブースター周り……」
凛「自分の体でお空飛んでる気分になれるんでしょ?だったら凛やるよ!」
真姫「そう。持ってきた甲斐があったわね」
にこ「1発も被弾しない覚悟であんじゅに挑むんだから速度は重要だし……しょうがないわね」
凛「うん!」
穂乃果「……」
――帰り際
穂乃果(皆帰るの早いなー。すこーしくらい待ってくれてても――)
ヒデコ「穂乃果」
穂乃果「あ、ヒデコ。まだ残ってたんだ」
ヒデコ「まぁ、ちょっとね」
穂乃果「そうなんだ」
ヒデコ「……」
穂乃果「……」
ヒデコ「なぁ、穂乃果」
穂乃果「ん?」
ヒデコ「実はさ、あのブースター……真姫は最初、あんたの機体に載せるつもりで持ってきたんだ」
穂乃果「そ、そうなんだ」
ヒデコ「でもあたしが断った。凛の機体に載せなって」
穂乃果「……どうして?」
穂乃果「……」
ヒデコ「宇宙でビーム撃ち合うようなロボよりも、砂煙と硝煙に塗れながら実弾撃ち合うような泥臭いロボな好きなタイプ。だろ?」
穂乃果「えへへ、ばれちゃった?」
ヒデコ「そりゃこの機体をずっと見てきたんだ。分かるよ」
穂乃果「そうなの?他のとそんなに変わらない気がするけど……」
ヒデコ「他の奴の機体にはある程度のコンセプトがある。ことりは管制機能を持った艦、にこは電子戦機、絵里は戦闘ヘリ、希は攻撃機……」
ヒデコ「海未だって最近はゴチャゴチャ付けてるけど、基本は環境センサーの補佐を受けつつ滑腔砲を撃つ。射程がおかしいけどやり方は戦車みたいなもん」
ヒデコ「花陽は分かりやすいね。基本的には戦車。ただ艦砲やら榴弾砲やら、でっかい大砲を積みたがる」
ヒデコ「だけど穂乃果、真姫、凛は違う。純粋に機動兵器っていう『ロボット』を楽しんでいる。既存の兵器じゃなくてね」
ヒデコ「真姫はなんていうのかな。堅実というかオーソドックスというか。基本に忠実な感じ。一般兵Aみたいな?」
ヒデコ「で、穂乃果と凛はロボットアニメの主人公みたいな方向性なんだ。凛はスタイリッシュでヒロイックなザ・主人公機」
ヒデコ「穂乃果は量産機で戦うような主人公……そんな印象かな」
穂乃果「そ、そこまでお見通しとは……」
ヒデコ「当たり前」
穂乃果「かっこいいじゃん!」
ヒデコ「そのセンスが泥臭いって言ってんの」
穂乃果「なんでよー!海未ちゃんみたいな感じにすればよかったの!?」
ヒデコ「いやー……あれは分からん。海未って結構あれなの?」
穂乃果「ポエマーというか変なスイッチ入っちゃうっていうか」
ヒデコ「デスポエムだけは止めてくれよ?」
穂乃果「あはは……言っておく」
ヒデコ「……ねぇ、この機体はこれで完成?」
穂乃果「う~ん……あんまり弄りたくないなぁ」
ヒデコ「って言うとは思ってたけどさ」
穂乃果「あ、そうだ!肩にあれ付けてよ!」
ヒデコ「あれって何?」
穂乃果「マシンガンだよマシンガン!えーっと、名前何だっけ?」
ヒデコ「ブローニングM2?なんでまた?」
穂乃果「えへへー、何となく」
ヒデコ「ふっ……あいよ」
――ブリーフィング
穂乃果「では、ブリーフィングを始めます」
穂乃果「対戦相手はUTX校。編成はブレード主体の機体、ガトリング主体の機体、狙撃主体の機体の計3機。過去、優勝を逃した事は一度もありません」
穂乃果「まず、試合開始と同時にことりちゃんがレーダーによる索敵を開始します」
穂乃果「敵スナイパーは当然ECSを搭載していると考えられるので、この時点で探知可能な2機はそれぞれツバサ機、あんじゅ機です」
穂乃果「高速で移動する目標をツバサ機と断定し、穂乃果、真姫ちゃん、希ちゃん、絵里ちゃんの4人が迎えに行きます」
穂乃果「低速で移動する目標をあんじゅ機と断定し、凛ちゃん、にこちゃんが迎撃に当たってください」
穂乃果「花陽ちゃんは射程を活かし、お互いの戦闘区域の間に位置取っての支援をお願いします」
穂乃果「海未ちゃんはことりちゃんの護衛、並びに敵スナイパーの排除をお願いします」
穂乃果「敵スナイパーの位置は実際に撃たれるまで分かりません。誰かが撃たれた際、すぐに情報を共有し合うようにしてください」
穂乃果「以上です。何か質問は……では。これが最後の作戦です。泣いても笑っても、これが最後です」
穂乃果「今までの戦いの中で、最も短く、そしてもっとも厳しい戦いになります。気を引き締めて戦ってください」
穂乃果「それではこれより、『不朽の音ノ木坂作戦』を開始します!各自、機体の最終調整にあたってください!」
ヒデコ「おう!いいぞー!」
穂乃果『了解!各機!機関始動!』
<メインジェネレータ、点火。メインコンデンサ、電荷上昇中。ヴェトロニクス、起動>
キュイイイイイイイイイイイ…..
Mobile-weapons
Unspiritual
Scientific
Electronic-support
System
海未(機動兵器のスピリチュアルではない科学的な電子支援システム……)
凛(スピリチュアルどころか科学技術の結晶だにゃ)
真姫(これ突っ込むタイミング完全に逃しちゃったのよね……)
希(ツッコミ待ちだったんやけどなぁ……これ。まぁいっか。<M.U.S.E.S>起動)
Mechanized-goddess
Unify
School
Eternal
Story
希(機械化されし女神が1つとなり、学校を永遠のものとする物語。結構気に入っとるんやけどなぁ)
<アクチュエータ、接続。全関節ロックを解除。コンバットマニューバ、オープン>
穂乃果『それじゃ皆出るよ!1!』
ことり『2!』
海未『3!』
真姫『4!』
凛『5!』
花陽『6!』
にこ『7!』
希『8!』
絵里『9!』
穂乃果『μ’s!!』
「「「「「「「「「オペレーション!スタート!!」」」」」」」」」
全高:7.9m
乾燥重量:12.5t
最高自走速度:130km/h
最大跳躍高:20m
作戦行動時間:11時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力4,500馬力
右手:ボフォース 57mm散弾砲 (装弾数30発)
左手:ボフォース 57mm散弾砲 (装弾数30発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:---
左背部:---
肩部:ブローニングM2 12.7mm重機関銃×2 (装弾数1,500発×2)
機体色:オレンジ
搭乗者:高坂穂乃果
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
機体:μ’s‐2<ナイチンゲール> 中量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:28.0t
最高自走速度:45km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:---
左手:---
格納:---
右背部:FCS-3 アクティブ式フェーズドアレイレーダー
左背部:UYQ-70 第5世代コンピュータ
肩部:NOLQ-3 電波探知妨害装置
機体色:白
搭乗者:南ことり
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
機体:μ’s‐3<マークミュートス> 重量四脚
全高:6.5m
乾燥重量:46.0t
最高自走速度:30km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:8時間
動力源:東芝 水素燃料電池 最高出力1,470kW(2,000馬力)
右手:日本製鋼所 70口径120mm滑腔狙撃砲 (装弾数60発)
左手:---
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:---
左背部:---
肩部:Metsman 環境センサー
機体色:ダークブルー
搭乗者:園田海未
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
・ECS(Electromagnetic Camouflage System:電磁迷彩システム)搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
全高:7.9m
乾燥重量:20.0t
最高自走速度:80km/h
最大跳躍高:12m
作戦行動時間:11時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力4,500馬力
右手:ボフォース 40mm機関砲 (装弾数450発)
左手:エリコンKD 35mm機関砲 (装弾数600発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:AGM-114L ロングボウ・ヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
左背部:AGM-114L ロングボウ・ヘルファイア 対戦車ミサイル (装弾数4発)
肩部:---
機体色:赤
搭乗者:西木野真姫
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
機体:μ’s‐5<スターゲイザー> 軽量ニ脚
全高:7.4m
乾燥重量:6.5t
最高自走速度:270km/h(ブースター使用時 420km/h)
最大跳躍高:45m(ブースター使用時 150m)
最大作戦行動時間:5時間
動力源:川崎重工 ガスタービンエンジン×2基 最高出力8,400馬力
右手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
左手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:NST社 F755-NST-980 アークジェットブースター
左背部:NST社 F755-NST-980 アークジェットブースター
肩部:NST社 NST-Pi502Le 大容量リチウムイオンキャパシタ×2
機体色:黄
搭乗者:星空凛
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
機体:μ’s‐6<水電> タンク
全高:3.5m
乾燥重量:52t
最高自走速度:70km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:32時間
動力源:三菱重工 水冷4サイクルV型8気筒ディーゼルエンジン 最高出力1,200馬力
右手:日本製鋼所 44口径120mm滑腔砲 (装弾数30発)
左手:日本製鋼所 44口径120mm滑腔砲 (装弾数30発)
格納:---
右背部:M777 155mm榴弾砲 (装弾数40発)
左背部:M777 155mm榴弾砲 (装弾数40発)
肩部:発煙弾発射機
機体色:OD色
搭乗者:小泉花陽
備考:M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
全高:7.2m
乾燥重量:5.5t
最高自走速度:240km/h
最大跳躍高:65m
最大作戦行動時間:9時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,200馬力
右手:小泉重工 装甲用杭打機 (装弾数1発)
左手:M61バルカン 20mmガトリング砲 (装弾数2,000発)
格納:NST社 X10-3-PL13ラブライブレード
右背部:---
左背部:---
肩部:発煙弾発射機
機体色:ピンク
搭乗者:矢澤にこ
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
・SDS(Subconscious Dedication System)接続
機体:μ’s‐8<スピリチュアル・オブ・マザーウィル> 重量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:35.0t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1,350発)
左手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1,350発)
格納:---
右背部:SSM-1シーバスター 88式地対艦誘導弾 (装弾数6発)
左背部:M261MPSM弾頭 ハイドラ70ロケット弾 (装弾数76発)
肩部:ALQ-131 電波妨害装置
機体色:パープル
搭乗者:東條希
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
機体:μ’s‐9<アイス・グリント> 重量ニ脚
全高:7.9m
乾燥重量:35.0t
最高自走速度:40km/h
最大跳躍高:---
最大作戦行動時間:10時間
動力源:三菱重工 ガスタービンエンジン 最高出力5,000馬力
右手:S-5M 57mmロケット弾 (装弾数32発)
左手:S-5M 57mmロケット弾 (装弾数32発)
格納:---
右背部:S-5M 57mmロケット弾 (装弾数32発)
左背部:S-5M 57mmロケット弾 (装弾数32発)
肩部:S-13D サーモバリックロケット弾 (装弾数5発)
機体色:ライトブルー
搭乗者:絢瀬絵里
備考:・M.U.S.E.S戦術支援システム搭載
計9,236発
ツバサ『そろそろね……<A-RISE>システム、起動』
Artificial-intelligence
Reconnaissance
Interoperability
Surveillance
Electronic-warfare
ツバサ『データリンクのテストをするわ』
あんじゅ『問題なし』
英玲奈『異常無い』
ツバサ『セカンダリも』
あんじゅ『大丈夫』
英玲奈『こちらも問題ない』
ツバサ『それじゃ、行きましょっか』
あんじゅ『はぁーい』
英玲奈『うむ』
穂乃果『戦闘開始っ!』
ことり『レーダーに感!2機!1機急速接近!1機は東へ移動を開始!』
ことり『μ’s‐1、4、8、9は中央をそのまま北上!μ’s‐5、7は北部市街地エリアへ向かってください!』
ことり『μ’s‐6は座標87H86b地点で待機。両戦闘領域を射程圏に捉えて下さい!』
ことり『μ’s‐3はいつ敵スナイパーが発砲してもいいよう細心の注意を払ってください!』
穂乃果『μ’s‐1、了解!出るよ!』
海未『μ’s‐3、了解』
真姫『μ’s‐4、了解。パーティーの時間よ!!』
凛『μ’s‐5、行っくにゃあああ!』
花陽『μ’s‐6、了解ですっ!』
にこ『μ’s‐7、了解。さぁて、蹴散らすわよ!』
希『μ’s‐8、行くでぇー!!』
絵里『μ’s‐9、了解。最後の戦い……悔いの残らない結果にしましょう』
穂乃果『こちらμ’s‐1。後5分で敵にぶつかるよ』
ことり『こちらμ’s‐2。ルートは問題ないよ、そのまま直進――れ、レーダーよりロスト!!……あ、すぐに再補足できました!』
真姫『砂煙の影響かしら?』
絵里『さぁね……照準レーダー!!全員回避行動!何でもいいわ!丘陵に伏せて!!』
ヒュン…
穂乃果『何何!?』
希『撃ってきた!?』
真姫『ツバサはブレードしか持ってないんじゃないの!?』
英玲奈『簡単だ、私がツバサではないという事だ』
穂乃果『こ、この声英玲奈さん!?』
絵里『なんですって!?μ’s‐2!通信読まれてるわ!すぐに対策を!!』
ことり『きてる……こっちに来てる!!』
穂乃果『どうしたのμ’s‐2!?何が来てるの!?』
海未『こちらμ’s‐3!こちらへツバサ機が急速接近!!ECSを搭載しているようです!!』
真姫『ちょっと待ってよ!!ECSを作動させながらこんなに早く移動できるはずが……!!』
ッドン!!
英玲奈『行かせると思うか?』
にこ『μ’s‐7からμ’s‐6!こっちは2人で何とかするからそっちの援護に専念しなさい!!』
花陽『分かりましたぁ!!こちらμ’s‐6、タイミング合わせて下さい!』
希『タイミング……?OKわかった!』
花陽『だんちゃ~~~くっ!!今っ!!』
ッドォオオオオオオン!!
英玲奈『くっ……』
絵里『今っ!各機制圧射撃!!』バシュバシュバシュバシュドシュドシュドシュッ!!!
真姫『とにかく撃ちまくって!!』ドンッ!ババババッドンッ!バババババッ!!
希『穂乃果ちゃん!今!行って!!』ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
穂乃果『ここは任せるよっ!!』ダッ
英玲奈『行かせるかと言ったハズだ』
ッドオオオオオオオオオオオオオオ!!!
英玲奈(これは……サーモバリック!?くっそっ!だが例え砂煙で姿が見えなくとも……音と振動でお前の位置は見えているっ!)ドンッ!!
穂乃果(……来るっ!)サッ
英玲奈(今のをかわされた……?今の反応……まさか)
穂乃果『こちらμ’s‐1。後5分で敵にぶつかるよ』
ことり『こちらμ’s‐2。ルートは問題ないよ、そのまま直進――れ、レーダーよりロスト!!……あ、すぐに再補足できました!』
海未『μ’s‐3よりμ’s‐2へ。……何か変な音がしませんか?』
ことり『うん。何か戦闘機?みたいな……ね、ねぇ……あれ……』
海未『あれ……?っ!?』
絵里『μ’s‐2!通信読まれてるわ!すぐに対策を!!』
ことり『きてる……こっちに来てる!!』
穂乃果『どうしたのμ’s‐2!?何が来てるの!?』
海未『こちらμ’s‐3!こちらへツバサ機が急速接近!!ECSを搭載しているようです!!』
ツバサ『見ぃ付けたぁ!!』
海未『μ’s‐2、下がってください。私が』ドンッ!!ドンッ!!ドンッ!!
ツバサ『遅い遅い!!』
海未『くっ……異常な速さです。何ですかあれは……まさか。真姫の読みが当たった?だとすればこの運動性とECSの併用も納得が……!!』
海未(こうなったら”アレ”を使うしか……!!)
<SDS ブートアップウィザード実行中 システム解放まで10秒>
<システム解放まで6…5…4…>
ツバサ『狙撃手が剣士の真似事っ!?』
<3…2…1….SDS起動>
ガキンッ!!
ツバサ『防いだ……?』
海未『狙撃手相手なら楽勝だと思いましたか?』
ツバサ『何っ!?』
海未『残念ですが、私に苦手な距離はありませんよ』
絵里『μ’s‐9よりμ’s‐3へ!!今そっちにμ’s‐1が行ったわ!何とか持ちこたえて!!』
海未『μ’s‐3了解。μ’s‐2へ、敵に通信が読まれています。なんとかしてください。これは私が何とかしますので』
ことり『μ’s‐2……分かった!!』
ツバサ『ふふっ……随分と……ナメられたものね!!』ブンッ!!
海未『……』ガキンッ!!ガキンッ!!
海未(SDS接続……やはり慣れませんね!頭が割れるように痛い……!気持ち悪いっ……!!私に脚が2本も生えてきたような感覚……!!)
ツバサ(何……この動きは!?)
海未(ですがっ!こう考えるんです!もし私が4本足だったのならどう戦うのかと!!)
ツバサ(こいつ殆ど動かないのに構えに隙がない!?機動性ではこちらが圧倒的に上なのに……どうなっているの!?)
海未『……いざ、尋常に』
あんじゅ『あらあらどうしたのぉ~?』ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
にこ『うひぃいい!?相変わらず弾バラまくだけが取り柄ね!!』
凛『うにゃああうぉおおいうぉぉおおお!?』
あんじゅ『ちょこまかと……鬱陶しいのよ!!』ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
凛『フルブーストッ!!!』ドッ!!
あんじゅ『こいつっ……!!』
凛『これが無かったら死んでたにゃ……あっぶっ!?』
にこ『動きを止めない!』ババババババッ!!
あんじゅ『何その豆鉄砲みたいなガトリングはっ!?ガトリングっていうのはねっ!こう使うのよっ!!』ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
にこ(頭抑えんのに持ってきたけど全く意味が無かったわね……!!)
凛『どーすんのにこちゃん!近付けないよぅ!?』
あんじゅ『それだったら私から行ってあげる!!』
凛『こっちきたあああ!?』
にこ『どうすりゃいいのよこれ!?』
全高:7.6m
乾燥重量:5.5t
最高自走速度:580km/h
最大跳躍高:120m
最大作戦行動時間:0.5時間
動力源:プラット・アンド・ホイットニー ターボファンエンジン 最高出力100,000馬力
右手:ターオン MPT-24bレーザーブレード
左手:ターオン MPT-24bレーザーブレード
格納:---
右背部:---
左背部:---
肩部:---
備考:<A-RISE>戦術支援システム
搭乗者:綺羅ツバサ
機体:A-RISE2<パーフェクトフルハウス> 重量二脚
全高:8.0m
乾燥重量:35.0t
最高自走速度:70km/h
最大跳躍高:10m
最大作戦行動時間:10時間
動力源:川崎重工 ガスタービンエンジン 4,800馬力
右手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1350発)
左手:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1350発)
格納:---
右背部:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1350発)
左背部:GAU-8アヴェンジャー 30mmガトリング砲 (装弾数1350発)
肩部:SGE-30 ゴールキーパー 近接防御火器システム×2 (装弾数1350発×2)
備考:<A-RISE>戦術支援システム
搭乗者:優木あんじゅ
機体:A-RISE3<ハイパーメガえれなちゃん> 重量四脚
全高:5.5m
乾燥重量:44.5t
最高自走速度:35km/h
最大跳躍高:1m
最大作戦行動時間:8時間
動力源:プラグパワー 水素燃料電池 3,100kW(4,200馬力)
右手:ラインメタル 44口径120mm狙撃砲 (装弾数120発)
左手:---
格納:---
右背部:Metsman 環境センサー
左背部:Mk.46 OSS 光学照準システム
肩部:発煙弾発射機
備考:<A-RISE>戦術支援システム
搭乗者:統堂英玲奈
計8,220発
ことり(海未ちゃんがあの人を引き離してくれてる!今のうちに通信をどうにかしないと……!!)
ことり(でもなんとやってもうまくいかない!!どうなっているの!?)
ことり(3人とも戦っているはずなのにこんなに早く反応してくるなんて……!)
ことり(コンピュータが自動的に対応しているだけならフェイントにも素直に引っ掛かってくれなきゃおかしい!!)
英玲奈『A-RISE3よりμ’s‐2へ。聞こえているかな?何やら必死に頑張っているようだが無意味だ』
ことり『……こちらμ’s‐2です。そんなことやってみなくちゃ分かんないです』
英玲奈『そうか。では1つ良い事を教えてあげよう。我々3人は何もしていない。ただA-RISEシステムのAIが勝手にやっといてくれるのだ。以上』
ことり(AI……人工知能!?それは確かに苦労するよね……にこちゃんみたいに鬱陶しい手を売ってくる上ににこちゃんより頭がいいんだもん)
ことり(でもね、AIさん……。人間にはね、機械にはない意地汚さがあるって事を教えてあげる!!)
ことり(やるったらやる!……あれ、穂乃果ちゃんがうつっちゃったかな?)
絵里『ハラッショォオオオオオオオオ!!!」バシュバシュバシュバシュドシュドシュドシュッ!!!
真姫『このままじゃ埒が明かないわ!』ドンッババババババドンッバババババ!!!
希『このままじゃ弾がもたな……最後のミサイル撃とうか!?』ヴヴヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
絵里『そのミサイルはこの勝敗を分かつ重要なものになるはず……残しておいて』
花陽『そろそろ榴弾の弾が無くなりますぅうう!!』
絵里『あと何発!?』
花陽『10発です!』
英玲奈『こちらA-RISE3。残り10発だな、了解』
絵里『その前にあなたが倒れるのよ』
英玲奈『随分と威勢だけはいいが、いつまでも――』
真姫『ん?途切れた?』
ことり『こちらμ’s‐2……通信を……回復しました……!!』
絵里『ことり!!』
ことり『ただ、敵さんのAI凄いから長くはもたないかも……』
真姫『平気よ、元々短期決戦だもの』
花陽『残り8!』
真姫『で、どうするの?相手はそれなりに重装甲。榴弾の直撃ならまだしも、破片じゃ効かないわよ?』
絵里『何度も撃ち合ってて気が付いたんだけどね、あのスナイパーは1発撃ってから次を撃つまでに10秒はかかるの』
絵里『一瞬頭を出して1発撃たせる。そして花陽の榴弾に合わせて私達3機が飛び出す』
希『飛び出す……?』
絵里『そして10秒手前くらいで私がサーモバリック弾を相手の足元に全弾撃ち込む。これで数秒は狙いを付けられない』
絵里『その隙に花陽が次弾を装填し、発砲。さらに数秒稼げるわ』
真姫『それでもたかが数10秒しか……あいつまで2kmくらいあるのよ!?』
絵里『そして私と希が盾になる。2機居れば20秒は稼げる』
希『……』
真姫『な、何言って……』
絵里『それで何とか敵に詰め寄って、真姫がブレードでぶった切る。どうかしら』
真姫『何言ってんのよ!?』
希『うちは賛成』
真姫『希まで!?』
絵里『私達は勝ちに来たのよ。何機やられても、最後に1機立っているほうが勝ちなの』
花陽『残り6発!』
絵里『時間がないわ』
真姫『ブレードなんて使った事ないわよ!?』
絵里『なんとかして。時間がないわ』
真姫『や……やればいいんでしょやれば!!』
花陽『残り4!』
絵里『次に合わせるわ。準備』
希『あいよ』
花陽『だんちゃ~~~く!!』
絵里『』ヒョイ
ドンッ!!
花陽『今っ!!』
ッドォオオオオオオオオオオン!!
絵里『今!突撃!!』
ガキンッ!!ガキンッ!!
ツバサ(この動き……まさか?SDS……?)
海未(くっ……戦闘を初めて既に3分……そろそろきついですね……っ!!)
海未(穂乃果到着まで後2分ほど……それまでは……!!)
ツバサ『あなた剣道でもやっているのかしら!?』ブンッ!!
海未『えぇ。剣道に弓道、柔道合気道色々と嗜んでいますよ』ガキンッ!!
ツバサ『どうりでいい動きをするわね!でもそんな短い刀身じゃ少し距離を取るだけで』サッ
ガツンッ!!
ツバサ『っ!?』
海未『言ったはずです。苦手な距離はないと。長砲身もたまには役に立ちますね』
ツバサ『狙撃砲は鈍器じゃないっ!!』ブンッ!!
海未『武器をどう使うかは使い手次第です』ガキンッ!!
海未(しかしそろそろ……このままでは……!)
ツバサ(だんだんと動きが鈍くなってきている。つけ入る隙はある!)
ガキンッ!!ガガガガガッガガッ!!
ツバサ『全部防ぐ……さすがね!でもっ!ね!』ブンッ!!
海未(しまっ……脚の制御が甘くなっ――)
スバッ!!
海未『っ!!』
ツバサ『四脚機って3本脚になっちゃうとバランス取れないのかしら?』
海未『くっ……!!』
ツバサ『そろそろ終わりn――』
ことり『こちらμ’s‐2……通信を……回復しました……!!』
海未(やっと敵の声が聞こえなくなったのですね……)
海未(しかしもう、私は頭がパンパンになってしまいました……)
海未(穂乃果到着まで残り30秒……後は、頼みま――)
<μ’s‐3 マークミュートス 撃破判定>
にこ『さすがに6門も積まれちゃうと弾切れも狙えないわね』
あんじゅ『そんなもの狙ってたのぉ?』ヴヴヴヴッ!!
にこ『そういうあんたも撃つ時間が短くなってきたじゃない』
あんじゅ『これは砲身が温まっちゃったの!!』
凛『かよちんは焼けるまで撃つよ?』
あんじゅ『もっと大切に扱いな――』
ことり『こちらμ’s‐2……通信を……回復しました……!!』
にこ『はぁ……やっとあいつの声から解放されたわ』
凛『っていうことはやっとあれが出来るにゃ!!』
にこ『秘策!?なんかあんの!?』
凛『うんっ!煙出す奴まだある?』
にこ『発煙弾ならまだ2発くらいあるけど……』
凛『今から凛がそっちに行くから、合図でぼんっ!ってやって!!』
にこ『何する気?』
凛『ちょっと飛んでくるにゃ!』
にこ『あんま無茶すんじゃ……いや、この際思いっきり無茶してきなさい!』
凛『うん!』
あんじゅ(飛び出した?)
にこ『ちょちょちょぶつかる!ぶつかるから!!』
凛『今っ!!』
にこ『っ!』ドンッ!!ババッババババ……
あんじゅ(発煙弾?でもそんな目晦ましじゃ……黄色いのが居ない!?どこっ!?)
凛(レブリミッター解除……コンデンサ安全装置……解除!!)
あんじゅ(影……上っ!?)
凛『フルブーストッ!!いっけぇええええええええええ!!』ドッ!!
あんじゅ(速いっ!?なんて速さ……けどね)
凛(1…2…3…コンデンサパージッ!!)
あんじゅ(今さら身軽になろうと……そんな真っ直ぐじゃいい的よっ!!)
凛『にこちゃん!!』
にこ『どうなっても知らないわよっ!!』バババババッ!!
あんじゅ(どこを撃って――)
ッドォオオオオオオオオオオオオオオオンン!!!
あんじゅ(何の爆発よ!?はっ、しま――)
凛『やっと……捕まえたよ』ガツン….
ドガァッ!!
<A-RISE2 パーフェクトフルハウス 撃破判定>
凛『あんたも無茶するわよねぇ。コンデンサ爆弾代わりにすんじゃないわよ……動ける?』
凛『ちょっと……エンジンが焼けちゃったみたい。そろそろ電源が――』
<μ’s‐5 スターゲイザー 戦闘不能>
にこ『ま、そこで終わるまで休んでなさい。片付けてくるから』
絵里『今!突撃!!』
希『真姫ちゃんはうちらの後ろに!!』
真姫『っ!!』
英玲奈(突撃?ヤケにでもなったか?)
絵里(今……サーモバリック全弾発射!!)バシュバシュ!!
<ッドォオオオン….
英玲奈(まだ持ってたのか……!)
花陽『だんちゃ~~~く!今!これで最後です!!』
<ッドォオオオオオオン…!!
英玲奈(揺れと煙でまともに狙えん……だがっ!!)
絵里『今っ!希!弾を惜しむ必要はないわ!!』バシュバシュバシュバシュ!!!!
希『いっくでぇええええええええええ!!!』ヴヴヴヴヴヴヴヴッ!!
絵里『全弾弾切れ……でもっ!』
絵里(相手は確実にコックピットを狙ってくる!それなら!)
ドンッ!! バゴンッ!!
絵里(両腕を盾にすれば私だけで30秒は稼げる!!)
ドンッ!! ドゴォオ!!
絵里(しまっ!?駆動系を狙っ――)
<μ’s‐9 アイス・グリント 撃破判定>
希『絵里ち!!』
穂乃果『μ’s‐1よりμ’s‐8へ!希ちゃん!こっちにミサイル撃って!でっかい奴!!』
希『……了解や!』
ことり『諸元入力完了!撃って!』
希『ほな行くで!!』ドォオオオオオオ…
希『これでうちの役目も終わり。後は真姫ちゃん、頑張ってn――』
ドンッ!
<μ’s‐8 スピリチュアル・オブ・マザーウィル 撃破判定>
真姫『希っ!!』
真姫『まずいわ……このままじゃ間に合わない……!!それなら……全武装、全装甲パージ!!』バンッ!!
真姫『どうせ1発で終わるならこんなものっ!!』
英玲奈(今さら軽くしたところで……遅い)
<ドンッ!! バキンッ!!
英玲奈(狙撃砲が……撃たれた!?どこから!?)
花陽『私だって、狙えばちゃんと当たるんです。だってお爺ちゃんが作ってくれた滑腔砲ですから』
真姫『やぁぁぁってやるわよ!!』スバッ!!
英玲奈(終わりか……。うむ、いい相手だった)
<A-RISE3 ハイパーメガえれなちゃん 撃破判定>
ツバサ(やっと倒せたわ……。何だったのこの青い四脚は……)
ツバサ(後はあの子を待つだけ。あのオレンジ色の……)
穂乃果『うわあ!?海未ちゃんがやられてる!?』
ツバサ(来たっ!!)
穂乃果(……うん、後は穂乃果が頑張るから、そこで休んでてね)
ツバサ(えぇーっと、外部スピーカーのボタンは……あ、あった。ボタン多くて分かりにくいのよねこれ)
ツバサ『あの時以来ね。また戦えて嬉し――』
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『うわっと。いきなり撃ってくるなんて酷いわ』
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『そっちがその気ならいいわよっ!!』ブンッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『何かうちのAIも相手の通信読むのに手こずってるみたいだし……っ!』ブンッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『なーんか無視されてる気分!!』ブン!!
穂乃果(避ける)サッ
穂乃果(散弾砲を撃つ)ドンッ!!
穂乃果(マシンガンを撃つ)バババババババッ!!
穂乃果(これをパターン化する!)
ツバサ(まぁ、あの武装じゃこの戦い方しかできないけど)
ツバサ『ワンパターン戦法は減点ねっ!!って人の事言えないか』ブンッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『で、さっきから気になってるのだけど、そのマシンガンは何?』ブンッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『確かに軽量化の為に装甲はあんまり付けていないのは事実。でも、ね?12.7mmくらいは最低限防ぐの。分かる?』ブンッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
ツバサ『それもカメラばかり狙ってくるけど……破壊したいなら意味なんてない。せいぜい焦げ跡付けるのがやっと』ブンッ!!
穂乃果『……』サッ
ドンッ!! バババババババッ!!
穂乃果(マシンガンの弾数は残り542発……)
ドンッ!! バババババババッ!!
穂乃果(残り412発……)
ドンッ!! バババババババッ!!
穂乃果(残り342発…そろそろかな?)
穂乃果『μ’s‐1よりμ’s‐8へ!希ちゃん!こっちにミサイル撃って!でっかい奴!!』
ツバサ『なんか戦い方が単調で飽きてきたわね。あの時と違ってあんまり新鮮味もないし……』ブンッ!!
穂乃果(今っ!わざと姿勢を崩して……)グラッ
ツバサ『あら?集中力が切れちゃったのかしら!?』ブンッ!!
穂乃果(散弾砲を盾にして……)バァアン!!
ツバサ『あら?武器が壊れちゃったわよ!?もうおしまい!?』グッ
穂乃果(苦し紛れにマシンガンを全弾撃ち込む!!)
バババババババッ!!
カンカンカンカンカンカン…..
ツバサ『もう少し出来る子だと思ってたけど……残念ね』
ツバサ(べちゃ?)
ベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャベチャ
ツバサ(!?)
穂乃果『最後の100発はペイント弾だよっ!!』
ツバサ『なっ!?あなた外部スピーカーつけてたの!?』
穂乃果『マシンガンが効かない事くらい知ってるよ……でもこれなら効くでしょ!?』
ツバサ(してやられたわ!何も見えなっ――何この音……!?)
穂乃果(そして……ってヤバい逃げなきゃ!!!)ダッ
ことり『巡航ミサイル着弾まで、5…4…3…弾着、今っ!』
ッドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
穂乃果『うぉおおおすっごい爆発!?』
ことり『レーダーロスト……は、破片でレーダー壊れちゃいましたぁ!!』
穂乃果『いや、でもさすがにこれじゃ倒せたでしょ――』
ツバサ『はぁ、ナメられたものね』
穂乃果『っ!?』
ツバサ『目潰しされてからターボジェットの音が聞こえてピンと来たわ。まさか対艦ミサイルだとは思わなかったけどね』
穂乃果『ど、どうやって……』
ツバサ『UTXの強さってのはね、パイロットに依存しているわけじゃないの。もちろん、パイロットも優秀じゃないと選ばれないけどね』
ツバサ『たくさんの時間やお金、人材……それらを駆使して勝てるシステムを組み上げてきた。勝てる機体を組んできた』
ツバサ『たとえパイロットに問題が出ても、機体が何とかしてくれる。機体にトラブルが発生しても、パイロットがどうにかできるの』
ツバサ『確かに見えなくなってもね、機体のAIがミサイルを発見してくれたわ。そしてどのタイミングでどこへ行けとも言ってくれる』
ツバサ『ただそれに従っただけ。どんな状況でも機体の声に従えるよう訓練されているの』
穂乃果『そ、そんな……』
ツバサ『でも、まぁよく頑張ったわ。その健闘っぷりを称えて――』
ガツン
ツバサ『?』
にこ『この間とは立場が逆ね、綺羅ツバサ』ドガァアア!!
<A-RISE1 ブレードレイヴン 撃破判定>
穂乃果『に、にこちゃん!?』
にこ『言ったでしょ?こいつの弱点を強いて言えば話が長いって。ま、ここまで長引かせたあんたのお陰だけど』
穂乃果『いやそうじゃなくて!なんでここに居るの!?』
にこ『そんなもんぶっ飛ばしてきたからに決まってるじゃない。あの程度で倒せるほどヤワな相手じゃないくらい知ってるの』
にこ『それより見なさい。敵は倒したわ』
ことり『それじゃこれで……』
穂乃果『うん!私達の勝利だ!!』
理事長「音ノ木坂学院は入学希望者が予想を上回る結果となったため、来年度も生徒を募集することに――」
――ガレージ
にこ「だからここの締め付けトルクは110Nって言ったでしょ!?トルクレンチもまともに使えないの!?」
ミカ「つい癖でカカカンッ!ってやっちゃって……」
ヒデコ「おいタービンオイル足りねえぞ!!発注どうなってる!?」
フミコ「ちょっと向こうのトラブルで中々こっちに来ないの!」
絵里「あら、自分でレーダーの整備?」
ことり「うんっ!ちょっとレーダー整備士の資格取ったの~♪」
ヒデコ「ロシア製ばっか使いやがって!西側と東側じゃ勝手が違うからやりにくいの!西にできない!?」
絵里「でもこれじゃないとKKEプログラムを起動できないのよ」
真姫「だからそんなもの無いわよ!」
海未「狙撃砲の先にブレードを取り付けられるように出来ないでしょうか?銃剣のような感じで」
ミカ「いやぁ……狙撃砲を接近戦に使わないでって……。ひん曲がっちゃったから結局新品買い直しだよ?」
穂乃果「みんな頑張ってるねぇ」
希「忙しないなぁ」
にこ「当たり前でしょ!?もう次の大会が始まるの!」
花陽「次も勝ちに行こうね!」
凛「うん!」
花陽「今度は127mmと言わずにもっとおっきな大砲積んでもいいですか?」
ヒデコ「載らねえから安心して!あー!!凛ちゃんそこ危ないから!!クレーンの下入らない!!」
凛「??」
穂乃果「分かってるってー。次も勝てばいいんでしょー!」
にこ「あんたも戦う楽しさが分かってきたみたいじゃない」
穂乃果「うん!最初は廃校阻止のために頑張ってきたけど……今はそうじゃない。戦って勝ちたい!って思うようになってきたの」
穂乃果「海未ちゃんは戦いの向こうに答えがあるのか……って言ってたけど、穂乃果は答え見つけたよ。戦うって楽しい!」
にこ「あんたにも戦い続ける歓びが分かってきたみたいじゃない」
穂乃果「うん!」
にこ「それじゃさっさと機体を仕上げて練習よ!みんな損傷が大きくて人手が足りてないから、あんたも手伝いなさい!」
穂乃果「ほいほいーい!!」
花陽「れ、レールガン積んでもいいですか!?155mmの!!」
ヒデコ「載らねえっつってんだろ!?」
――ここは、健気な少女達の戦場。
完
装備に関してミリオタに怒られないか非常に心配です
ガンダムシリーズとフルメタとガルパンしか知らないけどとても楽しめました
Aqoursの外伝も読んでみたいし続編書けるなら読んでみたい
めっちゃ楽しめた
存分に海未ちゃんしてこい
楽しめたぞ!
どこまでロボット詳しいのか語りたくなる
楽しかった!本当に良いSSだと思うよ!
面白かった
やはりロボットには滾るものがある……
久しぶりにいいものを見た
ロボットとかまったく知らなかったけど凄く引き込まれて一気に読んじゃった
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