【ラブライブ!】ヨハネ「もうこれ以上、カゼはひかないんだから!」
- 2020.04.14
- SS

花丸「どうしたの?渋いお茶を飲んだ後みたいな顔だよ……?」
ヨハネ「そろそろ期末試験の二週間前になるわね……」
ルビィ「う、うん。そうだね……また、点が低いとおねえちゃんに怒られちゃうよぉ……」
ヨハネ「ヨハネも心配だわ…………」
ルビィ「……心配?試験が?でも、ヨハネちゃん、中間はすっごくいい点数で……」
ヨハネ「そう、いい点数。中間はがんばらないといけなかったのよ……保険として!」
花丸「ほ、保険?」
ヨハネ「悪魔のヨハネは天から見放されて――とっても運の悪い薄幸の美少女……」
ヨハネ「だから……だから、期末前は必ずカゼをひくのよ!」
ヨハネ「冬はインフル!霜が降りはじめ、空気が冷えて乾燥しだし……間もなくダウン」
ルビィ「その枕草子みたいな説明はなんなの……?」
ヨハネ「……それもいつも試験直前よ?試験直前!」
花丸「大変なんだね……」
ヨハネ「今年もきっと、病に侵される運命なの……だから、中間で出来るだけ点数を稼いで――」
ヨハネ「こうして、期末が万全に受けられない時の保険にしておくわけ」
――ガララララッ
「話は聞かせてもらったのだ!」
千歌「大丈夫だよ、よしこちゃん。チカが、ヒケツを教えてあげる!」
ルビィ「ヒケツ?
千歌「うん!なにを隠そう、チカはね――産まれてこの方、病気知らず!」
ヨハネ「病気知らず!?」
ルビィ「すごい……」
千歌「よしこちゃんが病気になりやすくて困ってるみたいだからね」
千歌「チカが、病気にならないためのヒケツを教えてあげる!」
ヨハネ「ホ、ホントに!?……あっ、私はヨハネよ!」
千歌「もちろんだよ、よしこちゃん!」
――ガララララッ
「「話は聞かせてもらったよ!」」
曜「病気知らずといえば、この曜ちゃんもだよ!」
果南「そして、私も!」
ヨハネ「二人とも…………」
千歌「よぅし、果南ちゃん、曜ちゃん、そしてチカの三人で――」
千歌「よしこちゃんをカゼに負けない子にするよ!」
ヨハネ「だけど、ヨハネはものすっごく運が悪くて……」
ヨハネ「あっ!でもでも、それがアイデンティティっていうか……」
果南「大丈夫。カゼは運の良し悪しじゃないよ。しっかり対策しよ?」
曜「さぁ!ヨハネちゃん!泥船に乗った気持ちでヨーソロー!」
――――――
千歌「というわけで、今日から放課後に『カゼにさよなら講習会』を実施したいと思います」
ヨハネ(結局流れで、病気にならないためのヒケツを教わることになったけど――)
ヨハネ(悪魔的な勘かしら、なんだか胸騒ぎがするわ……)
千歌「三人の考えたメニューを毎日ローテーションで、こなしてもらうよ」
ヨハネ「……ええ」
千歌「今日はチカの当番!っていうことで、まずはうちに来てね」
ヨハネ「それはいいけど……結局、ヨハネは何をすればいいの?魔法陣でも描く?」
千歌「今日行う、チカの健康優良児のヒケツは――チカんちで教えるね」
ヨハネ「魔法陣が必要になったら言ってね!最近、コンパスなしできれいな円、作れるようになったから!」
千歌「まほーじん?は必要ないよ。カゼ対策はとっても、とーっても簡単なのだ!」
千歌「はいっ!ここがチカのうちです」
ヨハネ「いい感じの旅館ね…………それで、そのヒケツは?」
千歌「まあまあ慌てない慌てない。とりあえずあがって?」
ヨハネ(チカちゃんの部屋に案内されたはいいけど……)
ヨハネ(ヒケツをもってくるから待ってて、って………………)
ヨハネ(もう、30分くらい経ってる……一体全体、何もってくるつもりなの!?)
千歌「よしこちゃん、お待たせ!」
ヨハネ「遅いわ!この悪魔を待たせるなんて……」
千歌「ほらっ!いっぱいもらってきたよ!」
ヨハネ「…………ひっ!……な、なによそれ!」
千歌「なにって――みかんだよ、みかん!健康のヒケツはこれ!みーかーん!」
ヨハネ「い、え、遠慮しておくわ…………」
千歌「遠慮なんてしないでよー!ほうらぁ、おいしそうだよ?」
ヨハネ「ひぃ!近づけなくていいから!みかんいらないから!」
千歌「なんでなんで?みかんおいしいよ?」モグモグ
ヨハネ「なんでって…………そ、その前に、なんでみかんを食べなきゃいけないの?」
ヨハネ「そこを説明しなさいよ!」
千歌「ふっふっふ……チカはね、その言葉を待ってたんだよ!」
千歌「みかんには…………みかんには――――」
「ビタミンがたっぷり含まれているのだ!」
千歌「それでねー、ビタミンが病気の予防にはいいんだって。チカよくわかんないけど」
千歌「だから、たんとお食べ!」
ヨハネ「………………いやいや、それって栄養をとれって言ってるだけじゃない?」
ヨハネ「別にみかんじゃなくても……」
千歌「でも、みかんはおいしいもん」
ヨハネ「悪魔はね、みかんなんて食べないの。悪魔が食べるのは、イチゴって昔から決まってるのよ!」
千歌「それなら、今日から悪魔もみかんを食べよう!はい、みかん!」
ヨハネ「だからいらないって!し、正直に言うから!私は実はみかんが苦手で――」
千歌「みーかーん!みーかーん!」
ヨハネ「ち、ちょっと!口の中に入れようとしないで!やっ…………んんー!!」
――――――
ヨハネ「………………はぁ」
ルビィ「どうしたの?ため息つくと、幸運が逃げちゃうよ?」
ヨハネ「……昨日チカちゃん家に、カゼをひかないヒケツを聞きに行ったんだけど――」
ヨハネ「ひたすらみかんを口に…………うう、まだ感触が……」
ルビィ「みかんを口に?みかん食べるのがヒケツだったの?」
花丸「いいなぁ……オラも一緒にみかん食べたかったずら」
ヨハネ「食べるぅ?そんな生やさしいものじゃなくて!」
ヨハネ「まるで――フォアグラのために、胃にエサを流し込まれるガチョウのようだったわ……」
花丸「それはそれは……ご愁傷様……」
ヨハネ「今日の曜ちゃんのヒケツも、不安しかないんだけど……」
曜「まずは、番号!いっち!」
ヨハネ「に…………」
曜「…………声が小さい!」
ヨハネ「……にぃ!」
曜「よし!ちゃんといるね!」
ヨハネ「二人しかいないんだから、点呼とる意味ないよね?ないよね!?」
ヨハネ「持ってきてるけど…………」
曜「よし、それでは――本日の訓練を始める!」
ヨハネ「は、はい…………」
ヨハネ(訓練……?)
曜「まずは海に移動!ぜんたーい、右へ倣え!」
ヨハネ「だから、二人しかいないんだから、全体も何も……」
曜「カゼをひかないヒケツを教えるよ。そのヒケツはなんと……」
ヨハネ「泳ぐ」
曜「おお鋭いね!だけどハズレ」
曜「正解は――――あっちを見て!」
ヨハネ「……?」
ヨハネ「…………って、まさか……?」
曜「そう!健康と言えば、飛び込み!」
曜「あの崖は、いい感じの飛込みスポットだよ!」
曜「大丈夫。まずは低い、そうだなぁ……あの辺の崖から練習して――」
曜「何十何百飛び込んで慣れれば、息するように飛び込めるようになるから」
ヨハネ「別に息するように飛び込みたくないから!」
ヨハネ「そもそも、飛び込みがカゼにどう効くの!?」
曜「大声を出して海に飛び込めば、気分爽快」
曜「万病の素と呼ばれるストレスを弾き飛ばすよ!」
ヨハネ「それ、早い話がただのストレス発散!」
曜「さあ、ヨハネちゃん!」ガシッ
ヨハネ「ひっ!」
曜「まずは低目のあの岩から、ヨーソロー!」
曜「いや――ヨハネちゃんだから、ヨーハネーだね!!」
――――――
ヨハネ「………………」
ルビィ「どうしたの?死にそうな顔してるよ……?」
ヨハネ「……昨日、曜ちゃんとカゼをひかないヒケツをしたんだけど――」
ヨハネ「ひたすら海で…………ああ、ざっぱーんって音が耳から離れない!」
ルビィ「海で?海で遊ぶのがヒケツだったの?」
花丸「いいなぁ……オラも一緒に海辺で遊びたかったなあ」
ヨハネ「遊ぶぅ?そんな生やさしいものじゃなくて!」
ヨハネ「まるで――幾度もキャッチアンドリリースされる小魚のようだったわ……」
ルビィ「ど、どういうことなの…………?」
ヨハネ「…………ええ」
果南「聞いた話だと、チカや曜がいろいろ振り回してたみたいだし……」
果南「軽めにしよっか?」
ヨハネ「……そう!ちょっと、疲れ気味だから猛烈に軽いのでお願い!」
ヨハネ「あ、違うのよ?ヨハネは悪魔だから、人間と違って無尽蔵の体力があるけど、だけど人の世だから――」
果南「そっかそっか!それじゃ、軽くするよ」
ヨハネ「さすが果南ちゃん!」
果南「さて、じゃあまずは練習着に着替えてね」
ヨハネ「えっ……軽め……よね?」
果南「軽めも軽め、天使の羽のように軽いから安心して!」
果南「それは身体を鍛え、体力をつけること――かな」
ヨハネ「………………」
果南「カンタンでしょ?」
ヨハネ「その……悪魔はムッキムキなのとかは、性に合わないって言うか……」
果南「筋肉つけるのは、少しでで大丈夫だよ?」
果南「それでね。今日は軽めに腹筋背筋、腕たて伏せにランニング。それから――」
ヨハネ「はぁ……はぁ……むり……もうむりぃ…………」
果南「いけるいける!私、ヨハネと初めて会ったときから、スゴイなって思ってたんだよ?」
果南「どう見ても人間なのに、あくまでも悪魔だって貫き通すその根性と気合!」
果南「できるできる!ヨハネならまだ走れるって信じてるよ!」
ヨハネ「はぁ……はぁ……あくまでもって……はぁ……あくまでもじゃなくて、ヨハネはホントに悪魔で……」
果南「ほら、やっぱり元気だね!よし、このまま沼津駅まで行くよ!」
ヨハネ「ぬ、沼津駅って……こっから20km近くあるんで……すけ……ど……」
――――――
ヨハネ「………………」
ルビィ「机に突っ伏して動かないよぉ…………」
花丸「きっと毎日のカゼ対策で、ダウンしてるずら……」
ヨハネ「………………」ガバッ
ルビィ「あっ、ヨハネちゃん……だ、大丈夫?」
ヨハネ「…………今日は九時までチカちゃん家で……みかんを……」
ヨハネ「みかんやだ……でもせっかくヒケツを……行かないと……」ブツブツ
ルビィ「………………」
花丸「いやなら行かなければいいのに……」
ルビィ「ヨハネちゃん、いっつも変なこと言ってるけど、根はマジメだから……」
「みかんをたべれば、あたまもよくなるっておねーちゃんがいってた!」
「はい!次は更に高いところから一回まわって飛び込みだよ!」
「かけ声大きく、おなかからすべてを出し切って!はいっ、ヨーソロー!」
「まだできる、まだまだできるでしょ?私は騙されないぞー!」
「お!いいよ、いいファイト!今日は御殿場まで行っちゃお!」
曜「よくぞ、厳しい訓練に耐えきった!毎日毎日夜遅くまでお疲れさま」
果南「成果は出てるはずだよ。ほら、カゼの兆候なんてみじんもないでしょ?」
ヨハネ「ないわ。いまのところ微熱も胸のドキドキも、耳のズキズキもないし」
ヨハネ「喉が痛くなって鼻水が出てきたりだってないんだから!」
千歌「あれだけ頑張ってきたんだから、絶対大丈夫!」
曜「私たちを信じて!」
果南「ヨハネの頑張りを見てれば、運だって味方につけられるよ!」
ヨハネ「ええ!」
―翌日
ヨハネ「ん、んん…………」
ヨハネ「……今何時…………あれ、もう朝じゃない…………あ!」
ヨハネ「今日は試験の日!」
ヨハネ「喉は……痛くない!鼻水もないしだるさもないわ!」
ヨハネ「ふふふっ!やっとこのヨハネにも、運が向いてきたようね!」
――――――
ヨハネ「……………………」
数学1 55
漢文 32
生物 45
地理 37
―― ××
ヨハネ「………………テスト勉強……してなかった」
ヨハネ「……………………」
ヨハネ「……あっ……あの三人がカゼをひかない理由って……」
おわり
乙面白かった
面白かった
よかったよ
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