【ラブライブ!】花丸「月が綺麗ですね」
- 2020.04.22
- SS

―――鞠莉の提案で
―――Aqoursの皆は、千歌の旅館の庭にてお月見をしています
千歌「はぁーん! お月見団子おいしっ! おいしっ!」モグモグ
曜「千歌ちゃん、さっきからお団子食べすぎだよ! 一体何個目なの!?」
千歌「わかんない、けどたくさん食べてるのは確か」モグモグ
曜「うわっ、お月見団子の富士山が……すっかり天保山に
!」
千歌「崩落の危険があったので、この私が、身を挺して防いだのであります!」ビシッ
曜「敬礼すなーっ!」
梨子「え、あのお団子の山を、千歌ちゃんが……」
千歌「しょうがないじゃん、崩落の危険があったんだから」モグモグ
梨子「これは……曜ちゃん。トレーニングの量を、千歌ちゃんだけ倍にしないといけないね……」
曜「そうですなぁ。なんたって、お団子は炭水化物だから、体重にダイレクトに響くもんね」
千歌「んがっ! そ、そんなぁ!」
果南「まぁ、色気より食い気、ってタイプだからね、あの子」
ダイヤ「風情、といえば。鞠莉さんもよくこんなこと、思いつきましたわね」
鞠莉「その言い方だと、私が風情とは無縁、って感じに聞こえるけど?」
鞠莉「そういうのを、Aqoursのみんなで、楽しみたいな、って思ったの」
鞠莉「だから、こうやってお月見会を提案した、ってわけ」
果南「そうだね。季節毎の行事をみんなで楽しんで、絆を深める、ってのもいいかもね」
鞠莉「それに、Full Moonをサカナに、ジュースで乾杯する、っていうのも、オツなものでしょ?」
ダイヤ「なんだか、じじ臭い風情ですわね……」
鞠莉「Oh! It’s マリージョークよ!」
果南「マリー、ジョーク……」
ダイヤ「マリージョーク、とは一体なんですの……」
ルビィ「って、あれ? 花丸ちゃんがいない」
ルビィ「ねぇ、善子ちゃん、はなm……」
善子『満月の輝きよ……我が内に秘めたる魔力を覚醒させよ……』
善子『くくく、漲る、漲ってくるわ……今宵は、アヴァドンを召喚するにふさわしい日』
善子『さあ、これより召喚の儀を始めましょう……』
ルビィ「ピッ……ピギャアーッ!」
善子「うげっ!」
果南「何、黒装束着てやってんの」
ルビィ「はわわわ……」
ダイヤ「ルビィが怖がってるじゃありませんの!」
善子「だって、この満月よ! 召喚の儀を執り行うにはピッタリだもん!」
ダイヤ「全く、あなたも風情というものがないですわね!」
千歌「よ、善子ちゃんダメだよ! そんな黒魔術的なこと、此処でしたら!」
善子「な、なんでよ!」
千歌「ほら、感じない? 悪魔より怖い気配を……」
善子「え? ……気配?」
美渡「……」
善子「……ハッ、殺気が……確かに殺気が……」
千歌「このままアバドン召喚してたら、それ以上の魔物も呼び出すとこだったよ」
善子「はわわわ……」
鞠莉「オミゴト!果南、ZABUTON1枚ね!」
ダイヤ「……ちょっと寒いですわ……」
鞠莉「えー、そう? Nice Jokeだと思うけど?」
ダイヤ「いや、果南さんのことじゃなく……」
曜「そういえば、少し風が出てきたね」
曜「お団子は千歌ちゃんが平らげたんでしょ……」
千歌「あはは、まあ、気にしない、気にしない……。さて、みんな冷えた体を温泉であたたm……」
ルビィ「あ、あの、花丸ちゃん、見てませんか?」
曜「花丸ちゃん? そういえば、姿が見えないような……」
ルビィ「さっき話しかけようとしたら、いなくなってて……」
梨子「そういえば、さっき海岸の方に向かうのを、見たような……。私、呼んでくるね」
千歌「それじゃ、よろしくね、梨子ちゃん。先に中に入ってるから」
―――夏場は海水浴客などで賑わうこの小さな海岸も、今は寄せて返す波の小さな音だけが響くだけ
―――砂浜の上に立った梨子は、辺りを見まわしました
―――するとすぐに、砂浜に腰をかけているような
―――小さなシルエットを見つけることができました
梨子「花丸ちゃん」
花丸「……」
梨子「……花丸ちゃん」ムニュ
花丸「ひゃっ、……り、梨子さん! もう、いきなりほっぺを突かれてびっくりしたよ!」
梨子「ごめんなさい、だって、ジーっと海を眺めていたようだったから……」
梨子「……今日は、あんまり楽しくなかった?」
花丸「そんなんじゃないよ。……ただ、お月様が綺麗で、海が静かだったから、1人で砂浜に座って見てただけ」
花丸「もしかして、みんな心配してたずら? マル1人勝手にどっか行っちゃったから……。マルもそろそろ……」
梨子「そうだね。確かに綺麗だね。水面に映るお月様」
梨子「花丸ちゃんが、この景色を見ていたい気持ちも、わかるよ」
梨子「だから、私も少し、いいかな? 相席しても」
花丸「へ? は、はい! もちろん!」
梨子「じゃあ、お隣、失礼します」
―――聴こえるのは、さざ波の音と、風に吹かれて揺れる木々の騒めきと
―――時折通り過ぎていく、車の走行音だけで
―――小さな海岸は、静寂に包まれていました
花丸「お空に浮かぶお月様が、鏡写しにみたいに、水面に映ってるのを見ていると」
花丸「なんだか、まるで別の世界にいるような気がしてくるんだ」
梨子「別の……世界?」
花丸「逆さまの世界、っていうのかな?」
花丸「天地がひっくり返って、全部あべこべになっちゃうような世界」
花丸「海が空になって、空が海みたいになって……マルたちが体育で習うのも、空の泳ぎ方になっちゃって」
花丸「空を飛ぶ旅客機だって、曜さんのお父さんが船長しているフェリーになっちゃって……」
花丸「食卓に上がるお魚の料理も、鶏肉がお魚として出てくる世界……」
花丸「上手く、表現できないけど……。そんな感じ、ずら?」
梨子「……鳥が展示されるのは、ただの動物園なんじゃないかな、って思うけど……」
梨子「……でも、なんとなく、わかるよ」
梨子「静かな砂浜に座って、お月様の優しい光を浴びて、水面の満月を眺めていたら……、幻想の世界にいるように感じるもの」
梨子「もしかしたら、あの水面のお月様が、幻想世界への扉になってたり……、とか、ね?」
花丸「と、飛び込んじゃあ駄目だよ! 洒落じゃすまされないと思うから……」
梨子「……私も流石に飛び込まないよ」
梨子「ビルのネオンの光が眩しくて、かき消されそうなくらいの淡い光に感じたっけ……」
梨子「まさかこうやって、砂浜からお月様を眺めるなんて、ね」
梨子「それこそ、幻想の世界……、夢みたいだよ」
―――月明かりに照らされ
―――花丸が息を呑むほどに、美しく見え
―――思わず、赤面してしまいました
花丸「あ、あの……」
梨子「どうしたの?」
花丸「えっと、その……」
花丸「今日は……月が、綺麗ですね……」
花丸「……そろそろ、戻りませんか? 少し肌寒くなってきたし、それにマル、月見お団子あんまり食べてないし……」
梨子「……花丸ちゃん」
花丸「ずらっ!?」
花丸「そ、そうだよね。ごめん、なさい……」
梨子「……しんでも、いいわよ」
花丸「……へっ?」
花丸「……はいっ!」
ーーーその後旅館に戻った花丸は
ーーーお月見団子の山が無くなった皿を見て
ーーー呆然と立ち尽くすのでした
とりあえず短いながらも初サンシャインSS。何を伝えたかったのか、と聞かれたら、りこまるの文学的やりとりなだけなんだよなあ……
乙ずら
こういう珍しい組み合わせもっと増えてほしい
癒されるね
乙です
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