【ラブライブ!】ダイヤ「学校の紙パック自販機が、缶コーヒー自販機になってますわ!」
- 2020.04.24
- SS

鞠莉「そんな怖い顔してどうしたの?もしかして硬度でも下がってた?」
ダイヤ「どうしたもこうしたもありませんわ!」
ダイヤ「学校の唯一の自販機が、缶コーヒー専門自販機になってますけど!?」
鞠莉「うん」
ダイヤ「うん……ではなくて!どういうつもり!?」
鞠莉「知ってる?あの紙パックの自販機の中では、コーヒー牛乳が一番人気なのよ?」
ダイヤ「それがなんだっていうんですの?」
鞠莉「私はね、生徒が欲しがるものをそろえる義務があるの!」
鞠莉「リジチョーとして!」
鞠莉「つまりね、人気のコーヒーをたっぷりストック☆したってわけなの」
ダイヤ「………………」
鞠莉「おや?あまりの理事長の仕事っぷりに、感動しちゃった?」
ダイヤ「わたくしのどこをどう見たら、そう解釈できますの…………」
鞠莉「えー?だって、凄いことだと思わない?」
鞠莉「人気商品を、とってもお買い求めやすくしたんだよ?」
ダイヤ「全く思いませんわ!そもそも、コーヒー牛乳と缶コーヒーは別物!!」
鞠莉「どっちもコーヒーだよ?」
ダイヤ「ゼンッゼン違いますわぁ!!」
――――――――
――――――
ダイヤ「はぁ…………突然自販機を入れ替え?」
ダイヤ「まったく、鞠莉さんの考えていることがわかりませんわ…………」
――ドンドンッ
ダイヤ「どうぞ」
「失礼します!」ガラガラッ
善子「ちょっとどういうことなの!?」
ダイヤ「なんです、いきなり」
善子「あの自販機、コーヒーしか売らなくなってるじゃない!」
ダイヤ「…………ええ」
善子「なんでなの!?このヨハネを、干からびさせようって言うの!?」
ダイヤ「そんなこと考えてませんけど」
ダイヤ「そもそも、コーヒー自販機にしたのはマリさんですし……」
善子「そうなの!?」
――――――
善子「マリー!どういうことなのよぉ!!」
鞠莉「Oh、善子!どうしましたか?」
善子「自販機よ自販機!あと私はヨハネ!」
鞠莉「自販機?ああ、アレね」
善子「そう、アレよアレ!なんで缶コーヒーしか売ってないの!?」
善子「イチゴ牛乳!楽しみにしてたのにぃ!」
善子「どうしてくれるのよ!」
鞠莉「………………」
善子「好きというか……そうね、学校での楽しみの一つなの」
善子「それをどうして――」
鞠莉「甘い!」
善子「あ、甘い?確かにイチゴ牛乳は甘いけど……」
鞠莉「ちがうちがう」
善子「じ、じゃあ、なんだって言うの!?」
鞠莉「考えてみて?アクマたるヨハネが?イチゴ牛乳?」
鞠莉「ヘソデ チャヲ ワカスとはこのことね!!」
鞠莉「だってそうでしょう?あんなピンクでカワイらしい色」
鞠莉「脳をとろけさせるような、甘い香り」
鞠莉「とてもアクマが飲むものじゃあないわ!」
善子「それは…………」
鞠莉「しかも、ストローでおちょぼ口で吸う姿!コッケイ極まりない!」
善子「た、確かに…………」
鞠莉「もう、カッコウなんて全くつかないわ!」
鞠莉「ああっ!まったく、どこのアクマがこんなもの飲んでるんでしょう?」
善子「う………………そ、そうね、ヨハネにイチゴ牛乳は合わないかも……」
善子「――って、それとコーヒー一色にするのとは、全く関係ないはずよ!?」
鞠莉「………………」コトン
善子「な、なに?突然缶コーヒーを召喚して……」
鞠莉「知ってる?缶コーヒーを飲むにはね――――」
鞠莉「まずは、この悪魔の爪を解放するところから始まるのよ」カプシュ
善子「悪魔の爪を……解放……!?」
善子「ビターな香り……」
鞠莉「それから――ヨハネ、コーヒーの色は黒!すなわち漆黒の闇なの!」
善子「漆黒の闇……」
鞠莉「さらに!ストローなんてヒンジャクなものなしに、飲めるのよ!」ゴクゴク
善子「おおっ!」
鞠莉「さらに――見て、この缶を!いくら飲んでもへこまない、屈強さを!」
善子「すごいわマリー!」
鞠莉「そうでしょうそうでしょう。さあ、ヨハネも始めましょう!」コトン
善子「ええ!」
鞠莉「ちなみにブラックコーヒーはドイツ語で、シュヴァルツァーカフェよ!」
善子「カッ……カッコイイ!!」
ダイヤ「どうでしたか、善子さん」
善子「ええ、バッチリよ!」コトッ
ダイヤ「……?マリさんを説得しに行ったのですわよね?なぜに缶コーヒーを……」
善子「アクマと言えばコーヒー!」
善子「さあ、コーヒーを飲んで一緒に地獄へ堕ちましょう!」
ダイヤ「はぁ!?」
――――――
千歌「マリさん!どういうことなの!?」
鞠莉「どうしたのチカっち?」
千歌「自動販売機だよ、自動販売機!」
千歌「さっきフルーツオレを買おうと思って行ったら、ビックリだよ!」
千歌「缶コーヒーしか置いてないんだもん!」
鞠莉「それで……?どうして私のもとに?」
千歌「ダイヤさんから聞いたよ!マリさんがコーヒーのやつに替えちゃったんだって!」
鞠莉「私、コーヒーが人気だってキキマシタ」
千歌「それはコーヒー牛乳なの!コーヒーじゃないよ!」
鞠莉「先生方には評判いいんだよ?」
千歌「先生がよくても、チカはゼッタイ認めないのだ!」
鞠莉「そっか…………」
鞠莉「まあでも。チカっち一人対、先生複数でしょ?後者が勝ちということで」
千歌「よくない!」
千歌「このチカの右手に握られた、哀れな100円の行き場をどうしてくれるの!?」
鞠莉「………………」コトン
千歌「いらないよ!?缶コーヒーいらないよ!?」
鞠莉「………………」ストッ
千歌「二つでもいらないよ!!?」
千歌「いりません!」
鞠莉「………………」
鞠莉「――ところでチカっち。缶コーヒーは飲んだことはあるの?」
千歌「へ?ええと……家で缶じゃないやつを飲んで、マズってなって……」
鞠莉「それで苦手になっちゃったから、缶のヤツは飲んだことはない。ちがう?」
千歌「それは……うん、その通りです……」
鞠莉「ねえ、チカっち。経験したことないのに認めないのって、おかしいと思わない?」
千歌「えっ?」
鞠莉「それって、やってもいないのにスクールアイドルを諦めるのと、一緒じゃない!!」
千歌「マリさん、それは全然ちがっ――」
鞠莉「だって、そうでしょう?飲んだことないけど、認めない。受け入れない」
鞠莉「どうして、一度試してみないの?」
鞠莉「どうして、缶コーヒーの可能性を感じてみないの!?」
鞠莉「チカっちははじめ、ここ、内浦でアイドルみたいに輝くなんてムリだ――」
鞠莉「そう思っていたのでしょう?」カプシュ
千歌「う、うん……」
千歌「だけど、缶コーヒーは関係ないし、今開けるのは、まちがってると思う……」
鞠莉「それでもスクールアイドルを初めてみて…………ん」ゴクゴクゴク
鞠莉「…………ちがうんだって。私たちでも輝けるって」
千歌「!……そう、普通の私でも輝けるんだ。そう思った!」
鞠莉「……それなら、なんで缶コーヒーも輝ける。そう信じてあげられないの!?」
鞠莉「缶コーヒーはね!自販機界の私たち。そう、缶コーヒーはAquoursなのよ!?」
千歌「…………そうだったんだ……私、気づいてあげられなかった…………」
鞠莉「大丈夫よチカっち!今からでも遅くないわ!」コトッ
千歌「うん!」
ダイヤ「ああ、チカさん。マリさんに話は通じましたか?」
千歌「ダイヤさん、キョウガクの事実だよ!」
ダイヤ「はい?」
千歌「なんと!缶コーヒーは自販機界のチカ達だったのだ!」
ダイヤ「………………」
千歌「はい!ダイヤさんも、缶コーヒーを輝かせてあげましょう!」コトッ
ダイヤ「………………」
ダイヤ(あることないこと、吹き込まれましたわね……)
――――――
果南「マリ!ダイヤから聞いたよ!」
果南「理事長だからって、勝手なことするのはダメでしょ!」
鞠莉「オーゥ!カナーン☆」
果南「かなーん、じゃなくて!」
果南「マリさ、紙パック自販機を缶コーヒーのヤツにしたよね?」
鞠莉「なに?果南もイチャモンつけに来たの?」
果南「イチャモンというか……ええと……とにかく、自販機を突然替えるのはよくないよ」
鞠莉「どうして?」
果南「どうしてって……みんな言ってるよ?ジュースや牛乳が飲めなくなって困るって」
果南「一面、缶コーヒーだったよ!?」
鞠莉「なかなかに壮観だったでしょう?」
果南「いやいやいや!全然だよ!」
鞠莉「人気のコーヒーがずらりよ?」
果南「それはコーヒーじゃなくて、コーヒー牛乳!」
鞠莉「大体一緒じゃない?」
果南「ちがうよ!ワカメとコンブくらい違うよ!?」
鞠莉「だけど、生徒の要求するものを導入するのは、理事長のやくめでしょう?」
果南「だからコーヒーじゃなくて、コーヒー牛乳だって言ってるの!」
果南「だいたい、生徒のためにすることが、自販機の変更っておかしいと思う」
果南「マリには他にもやるべきことがたくさんあるでしょ!」
鞠莉「………………」
鞠莉「わかったわ、果南…………」
鞠莉「聞いてほしいことがあるの」
果南「…………なに?」
鞠莉「いい加減話をつけようと思うの」
鞠莉「生徒の要望なんて今はどうでもいいの……」
鞠莉「先生の好み?全く興味なかった!」
果南「………………」
鞠莉「あたりまえじゃない!」カプシュ
鞠莉「………………」ゴクゴクゴクゴク
鞠莉「だって、私の身体がコーヒーを求めてるんだよ!?」
鞠莉「………………」カンッ!
鞠莉「放っておけるはずない!」
果南「………………っ!」
――――パシンッ
果南「………………」
果南「だったら……素直にそう言ってよ!」
果南「人気商品揃えましたとか、先生にも評判いいとかじゃなく――」
果南「ちゃんと言ってよ!」
鞠莉「…………だよね」
「だから――――」
ダイヤ「果南さん!うまくいきましたか!?」
果南「うん!ちゃんとハグしてきたよ」
ダイヤ「はい?」
果南「ダイヤもマリの気持ち、受け取って!」コトン
ダイヤ「…………」
ダイヤ「果南さん、あなたまで…………」
ダイヤ「なんとしてでも、マリさんを説得しないといけませんわ……」
ダイヤ「でもどうすれば――――」
―――――――――――
――――――――
――――――
―翌日
ダイヤ「…………!?あれ、自販機が撤去されてますわ!」
ダイヤ「いったいなにが……」
鞠莉「なにダイヤ?アサッパラから、赤熱した炭素みたいな顔色して」
ダイヤ「どうしたもこうしたも……自販機が撤去されてますけど!?」
鞠莉「うん」
ダイヤ「うん……ではなくて!どういう風の吹き回しです!?」
鞠莉「え、えっと…………コーヒーが手軽に飲めるようになって――」
鞠莉「調子よく飲んでたんだけど…………」
ダイヤ「だけど?」
鞠莉「一気に飲んだせいで胃が荒れた☆」
ダイヤ「………………あなた、バカですの?」
鞠莉「まあ、そういうことだから。コーヒー自販機は中止にします」
ダイヤ「まったく……好き勝手するのも、いい加減にしてほしいですわ」
ダイヤ「今まで、どれだけ振り回されたことか…………」
ダイヤ「まあ、今回は結局コーヒーはやめて、代わりの自販機を用意するとおっしゃいましたし」
ダイヤ「特に面倒事もなく解決したから、よいですけど……」
――トントン
ダイヤ「どうぞ」
「失礼します」ガラガラッ
ルビィ「あ、あの……お姉ちゃん……自販機が……」
ダイヤ「自販機?ああ、コーヒーしか売ってなかったのね?」
ダイヤ「だけど、それは今朝撤去されて――」
ルビィ「ううん…………そうじゃなくて……」
ダイヤ「……?あっ、自販機がなくなってることですわね?」
ダイヤ「大丈夫。すぐに新しいのを導入すると、マリさんが――」
ルビィ「ち、ちがうの!新しい自販機が、もう来てたみたいなんだけど――――」
ルビィ「胃腸に優しい、ビフィズス菌入り飲料専用の自販機になってたよぉ……」
おわり
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