【ラブライブ!】善子 「恋をした。あなたのすべてに」

【ラブライブ!】善子 「恋をした。あなたのすべてに」
1: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:40:48.69 ID:Z5IvKVfh.net

彼女の亡骸に、恋をした。

2: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:41:44.84 ID:Z5IvKVfh.net

綺麗な死に顔だった

まるで今にも目を覚まして、いつもの訛り癖のある喋り方で、おはようの挨拶をしてきそうな、そんな顔。

だが、彼女が目覚めることは、もう無い。

咽び泣く両親の嗚咽が、頭の中を掻き乱す。
後ろからは、友達の泣き叫ぶ声。

みんなが涙を流す中私は--

あなたの死に顔に、みとれていた。

3: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:41:54.18 ID:pDooPzhB.net

no title
4: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:43:06.13 ID:Z5IvKVfh.net

不謹慎かもしれない
それでも私は、胸の高鳴りを抑えることが出来なかった。

あなたの顔が、あまりにも綺麗すぎたから

だがこの気持ちを、もうあなたに伝えることは出来ない。
今この場で、彼女の亡骸に向かって言っても、“本当のあなた” に伝えたことにはならないから。

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5: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:43:17.60 ID:ioIs4tKz.net

no title
7: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:44:47.60 ID:Z5IvKVfh.net

棺桶の、檜の香りに恋をした。

列を作り、皆、彼女の遺影の前で焼香を行う。
その煙の匂いに紛れて、棺桶の檜の匂いが、時折鼻をくすぐる。

焼香を済ませると、私の足は自然と棺桶の元へと向かった。
ガラス部分から、彼女の顔がちらりと覗く
相変わらずの、綺麗な顔。

8: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:46:26.95 ID:Z5IvKVfh.net

私はその場で膝をつき、頬をガラス部分に当てた。

ヒソヒソと、親戚の人達であろう声が聞こえてくる。私の行動を不審がり、嘲笑うかのような声

--構わない。
あなたに近づくには、こうするしかないから。

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9: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:48:52.96 ID:Z5IvKVfh.net

夢の中のあなたに、恋をした。

皆、彼女の死を乗り越え、新たな道へと進み出した。
私はただ立ち止まって、足踏みをするだけ

時々、あなたの夢を見る
目をつぶっているのに、見たくないのに、あなたの笑顔が、眩しく私の視界を支配する

昨日、ついあなたを叩いてしまった
あなたは何も悪くないのに。悪いのはあなたのことを忘れられない私なのに。

それでもあなたは、次の日になると、変わらない笑顔で私の夢に現れる。

そんなあなたに、私はまた恋をする

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10: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:51:51.06 ID:Z5IvKVfh.net

記憶の片隅のあなたに、恋をした。

喫茶店で本を読んでいる人を見かけた時
なんとなく、図書館に立ち寄った時
本から、栞を取り外す時

ふと、あなたのことを思い出す

決して、いつもは忘れている訳では無い
その瞬間に、強くあなたのことを思い出す、それだけのこと。

引き出しの奥から、昔無くしたおもちゃが出てきたりすると、つい歳も忘れて熱中して遊んでしまうことがある。
今、まさにそんな気分だ。

11: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:54:16.37 ID:Z5IvKVfh.net

あなたのことを強く思い出したその時、あなたとのやり取りを妄想して、遊ぶ。

…少し、訛りが強すぎるだろうか。
いや、確かこのくらいだった。

あなたの笑顔は、どんな感じだったかな
…眩しすぎて、よく覚えていないや

あなたの手は、暖かかったっけ
それとも、冷たかった…?

12: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:55:19.95 ID:Z5IvKVfh.net

…細かいことが、徐々に思い出せなくなる
記憶の片隅に追いやられたあなたは、いつも寂しそうな顔をする。
眩しかったあの笑顔を、もう見せてくれない

…私はいつ、“本当のあなた” に、好きと伝えられるのだろう

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14: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:56:35.52 ID:Z5IvKVfh.net

走馬灯の中のあなたに、恋をした。

薄れゆく意識の中、あなたの姿が鮮明に思い浮かぶ。
思い出せなくなっていたあなたの笑顔、手の暖かさ、声、香り…

今、やっと思い出せた

あなたはいつも笑顔だった。
私が落ち込んだ時、あなたはその暖かい手で、私の手を包み込んでくれた。
優しい声で、私を幸せにしてくれた。
その香りで、私を安心させてくれていた。

…声が、聞こえる。

私が今まで頭の中で一緒に過ごした、“偽物のあなた” の声。

15: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 00:59:03.33 ID:Z5IvKVfh.net

「…もう、さよならだね。」

私は無言で頷く。

「もう、偽物とはお別れ。今度こそ本当に…」

言い終わる前に、私は彼女を抱きしめた。
偽物なんかじゃない。あなたは立派な、もうひとりのあなた。

…優しくキスをした。
嬉しそうに微笑み、あなたは次第に消えていった。

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16: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:00:28.56 ID:Z5IvKVfh.net

再開したあなたに、恋をした。

“本当のあなた” に、恋をした。

あなたは私を、そっと抱きしめる。
長い旅路で疲れ果てた私の体を、あなたはその柔らかい体で包み込む。

「お疲れさま」 と、声をかけてくれた。
優しい声、香り。

自然と涙がこぼれた。
あなたの背中に手を回し、ぎゅっと抱きしめる。

……今度こそ私は、本当の恋ができる。

17: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:01:26.07 ID:Z5IvKVfh.net

「久しぶり……ずら丸。」

「久しぶりずら、善子ちゃん。」

18: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:03:03.86 ID:Z5IvKVfh.net

たまにはこんなSSもいいと思うんです

最後まで読んでいただきありがとうございました
過去作も是非お願いします

ことり 「私の来世!?」

穂乃果 「もし世界から、ラブライブ!が消えたら」

千歌 「私目覚めたんだ…超能力に!」

曜 「幽霊は、輝けないですか?」

19: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:04:12.02 ID:HonSsqNd.net

おつー
20: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:04:41.29 ID:NolPuXKv.net

いいと思うぞ
21: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:07:55.22 ID:a9BuCoiA.net

おつ!
22: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:09:01.55 ID:icOWjldD.net

おつ
23: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:09:29.50 ID:iEPr09Bh.net

言葉にできないアツいものが込み上げてくる……、良かったです。
24: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:10:57.65 ID:LGiNCjOb.net

よしこはズラ丸の後追い自殺エンドってこと?
アホだからわからん
28: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:21:44.89 ID:iEPr09Bh.net

>>24
長い旅路ってことは寿命が来るまでずっと生きてたんだと思うよ。
26: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:19:04.79 ID:HMJXvAjL.net

人生を全うしたんじゃない?
結構長い間あってなさそうだし
27: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:20:07.34 ID:qLdOAS6z.net


いい雰囲気
31: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:48:45.55 ID:F94RhmR8.net

今回は短かったな
お疲れ
29: 名無しで叶える物語@\(^o^)/ 2016/12/12(月) 01:24:45.07 ID:lY3CMB3Q.net

ああなるほど、走馬灯から自殺を考えてしまったけど短絡だったわ
長い旅路もそうだし記憶が薄れる描写もあったしな