【ラブライブ!】千歌「ポラリスと小さな王子」
- 2020.05.03
- SS

「……なぁに」
「…………夜中に話してる時ってさ」
「うん」
「2人だけ地球に取りのこされたみたいだよね」
「…………そうだね、聞こえるのは私たちの声だけ」
「……………………」
「……………………」
「耳をすませば遠くの物音が聞こえるかも…………」
「風の声は、ちょっとだけ、聞こえる」
「そうかな?」
「聞こえるよ」
「ほら、あっちの方から」
「あっちってどっちぃ……」
「あっちだよ」
「…………あ、聞こえたかも」
「ふふっ」
「風が声を出してるの」
「海の音もそうだけど、梨子ちゃんってたまに変なコト言うよねー」
「あれはもういいでしょっ」
「…………空気も昼間より澄んでる気がする」
「……湧き水みたいな、空気だと思うんだ」
「湧き水かぁー、言われてみたらそんな気もする、でも海の方が近いかな」
「湧き水を飲んだことはないんだけどね」
「わたしも……」
「ごめん、千歌ちゃんは飲んだことあるのかと思ってた」
「日常的に飲むほど田舎じゃないよぉ……」
「え?」
「……2人とも飲んだことないのに、わかるなんて」
「確かにね……」
「私たち、生まれも育ちも違うのに」
「…………東京と内浦、なにがちがうのかなあ」
「あっちはさ、夜が本番だって感じがするよね」
「でも、こっちはみんな眠ってるの…………人も自然も」
「今だってチカと梨子ちゃん以外寝てるんだよ、きっと」
「じゃあ、もう私たちだけの夜だね」
「うん、私たちだけ」
「……………………」
「…………ん」
「星、きれい」
「……綺麗だね」
「あれは何座なのかな、あの……」
「うーん、どれ?」
「あれだよあれ」
「……あれは、そもそも星座なのかなぁ……」
「……あれなら、おおぐま座だよ」
「おおぐま座……」
「有名な北斗七星もあるんだよ」
「……たしかにくまっぽいかも」
「星座にしては、結構似てると思うんだ」
「…………それで、あれがこぐま座」
「って、スルーしないでよぉっ」
「ごめんごめん」
「ごめんは1回でいいのだ」
「……わかんない」
「私もわかんない」
「……途方もない距離と時間をこえてひかってる」
「ながいながい、距離と時間、だよね」
「………………」
「……そうかなぁ」
「……もしかしたら、何千年も前かもしれないね」
「前世で会ったりしてねー、前前前世ってやつだよ」
「時代が違ったら、バルコニーで出会ったかも」
「それだと悲劇になっちゃうからチカは嫌だなぁー」
「うーん…………それはないと思うよ」
「……千歌ちゃんも、案外ロマンチストね」
「そう、かな……?ロマンチストじゃないと作詞役は務まらないのだ…………えへへ」
「照れてる照れてる」
「あーもうやめてよっ」
「ふふふっ」
「………………そうなんだ」
「だって、毎日思い出してるから」
「………………」
「…………うん」
「この前、あの本を読んで思ったんだ…………もしかしたら、梨子ちゃんもあの本に出てくる王子みたいに」
「………………」
「………………」
「ううん、そもそも地球じゃなくて、私は、ただの普通星だったのかも…………」
「…………そんなこと」
「……なんかごめんね、妄想全開DAYだよ…………」
「……………………梨子ちゃん」
「……大丈夫だよ、千歌ちゃん」
「…………ほんと?」
「…………それに、私たちは離れていても、あの星を目指していれば」
「ほら、千歌ちゃんみて、あの星」
「……………………輝いてるね」
「…………迷うことはないよ、きっと」
「…………そうだね、きっと」
「…………ふふっ」
「え、どこ」
「うっそー」
「もう、ちかちゃんっ」
-終-
一応言っておくと叙述トリックとかではないよ
凄い好き
-
前の記事
【ラブライブ!】沼津市公式サイトに渡辺曜ちゃんの誕生日お祝いがwwww 2020.05.03
-
次の記事
【ラブライブ!】台湾版スクフェス終了のお知らせ 2020.05.03