【ラブライブ!】希父「えっ?休みですか?」
- 2020.03.26
- SS

希父「いえ、まあ、いいですけど」
上司「たまには羽を伸ばしたまえ。久々の長い休みじゃないか?じゃ、お疲れ」
希父「あ、お疲れ様です」
希父(やっべー……希に「今年も帰れねえ」って言ったばかりだよ……)
希父「帰ってきたのはいいけど、お土産買うの忘れてしまった……」
希父「仕方ない、あそこのお店で何か買うか」
ガラガラ
穂乃果「いらっしゃいませー!」
穂乃果「わかりました。これと、これですね」
希父(この子、希と同じぐらいだな。店番してて立派だなぁ……希もこういう風にしっかりした子に育ってんのかな。本当に俺、父親失格だなあ……ううっ……)
希父「うっ……ぐすっ……ううっ!」
穂乃果「ええっ!?お客さん、大丈夫ですか!?」
希父「いや……グスッ……なんでもない」
穂乃果(このお客さん……涙と鼻水すごいよ……なにかあったのかな……)
希父「ん?」
穂乃果「ふ、ファイトだよ!」
希父「ああ……君は立派な子だな……ありがとう。また寄らせてもらうよ」
穂乃果「ありがとうございましたー!」
穂乃果「えへへ、誉められちゃった」
海未「よかったですね穂乃果。さあ、溜まりに溜まった冬休みの宿題と生徒会の仕事、終わらせますよ?」
穂乃果「ひぃ!?」
雪穂「店番は私がやっとくよー」
希父「あれ……希のやつ和菓子好きだったっけ……?」
希父「……いや、まあ大丈夫か。大丈夫だよな、うん」
希父「さて、そろそろ向かうか……」
こたろう「…………」
希父「ん?」
こたろう「…………」
希父「あの、僕……お母さんは?」
こたろう「まいごー……」
希父「そっか、お母さんは迷子か。じゃあ、一緒に探そうか」
こたろう「まいごー……」
希父「うん、そうだね君が迷子なんだよね」
こたろう「そう」
希父(まあ、まだ時間あるしいいか……交番に行きながら探そう)
希父(あっ、よかった……お母さん見つかった……えっ、あれお母さん?)
にこ「もう!ダメでしょ、1人でうろうろしちゃ」
こたろう「ごめんなさい」
希父(えっ、マジで。この子見た目希よりも歳下なのに子供いるのかよ……)
希父(えっ、まさか希はこんなことないよな……?)
希baby『だー!』
希父「そんなのいややああああ!!」
にこ「!?」
希父「あかん、あかんやろそれ!父親は誰や!お父さんは認めへんで!」
にこ「な、何この人……行くわよこたろう……」
こたろう「ばいばーい」
希父「もうさっさと家に行ってお年玉やろう。おせち食べよう。グルーポンじゃないやつ」
花陽「あの……」
希父「はい?」
花陽「お財布落としましたよ」
希父「おお、すまん。ありがとう」
希父(今日はよく女の子に絡まれるな)
希父「あ、待ちたまえ、何かお礼を……」
花陽「えっ、い、いいですよそんな……」
希父「しかし……」
花陽「大丈夫です。お礼なんて……」
ポロッ
希父(あっ、なんか落ちた。ああ、知り合いから貰ったチケットか)
花陽「それええええ!!?」
希父「はぁい!?」
希父「え?へー……」
花陽「ど、どこでこれを!?」
希父(すげえ、目が輝いてる……光線でも出しそうな勢い)
希父「それ、欲しいの?」
花陽「はうっ!?えっ……その……」
希父(あ、悩んでるこの子)
花陽「で、できたら……」
希父「まあ、見にいく時間ないからあげるよ」
希父「いえいえ、お礼ができてよかった」
花陽「本当にありがとうございます!」
希父「喜んでもらえてよかった。それじゃ」
花陽「はい!!」
花陽(にこ先輩には内緒にしよう……)
希父「ちょっと休むか。腰痛い……運動しなきゃな……明日から」
希父「メイドカフェか……入ったことないし行ってみるか」
希父「まあ、メイドって言っても当たり外れがあるだろうし期待はせずに……」
ことり「いらっしゃいませー♪」
希父(当たりやったー、わーい)
希父「あ、はい」
ことり「わかりました。奥の席へどうぞ♪」
希父「はい」
希父(メイドカフェ……ええなあ!)
希父「えっと、コーヒーで」
ことり「かしこまりました」
希父「お願いします」
希父(まさかあんな可愛い子がいるとは、メイドカフェ……恐ろしい子!)
希父(希はバイトとかしてんのかなあ……一応家賃と生活費とかは十分に与えてるけど)
希父(しかし、こうも帰ってこないと向こうも慣れたんだろうか……今年だって……)
希『帰ってこれへんのん?わかったー、ほな、良いお年をー♪』
希父(…………)
希父(そんな帰ってこれないのが当たり前になってるからって、ぶっきらぼう気味じゃなくてもいいじゃないか!いや、全部俺が悪いんだけど、あと母さんも!)
希父(小学校の頃から転勤続きで迷惑かけ、家にも帰らず迷惑かけ、幼少期はキャラメル好きだったからあげまくったら吐いてそれ以来キャラメル嫌いになって……あれ?もっといい思い出ないの?)
希父(はぁ……またネガティヴになる……自己嫌悪や……)
ことり「お待たせしました」
希父「あ、ありがとう」
ことり「それでは、美味しくなるように、ことりが魔法の呪文をかけてあげますねー!」
希父「魔法?」
ことり「ことりの魔法で、おいしくな~れ♪ちゅん♪」
ことり「はいっ、これで美味しくなりましたー♪」
希父「よっしゃぁ!元気出たで!!」
希父(いいな、メイドカフェ、また来よう)
希父「さて、今度こそマジで希の家に……」
チャリンチャリーン
希父「はい?」
凛「ああっ!凛の500円が!」
希父「へ?」コツン
チャリンチャリーン……ポチャッ
凛「ああああっー!!おじさんが凛の500円玉蹴ったおかげで見事に排水溝の中にシュゥゥゥトして凛のお昼ごはんのラーメンが食べれなくなったにゃー!!」
希父「な、なんだってー!?」
希父(な、なんてことだ……俺はいたいけな少女の未来を奪っちまった……)
凛「お腹へったにゃー、凛はもうだめにゃー、かよちんサヨナラにゃー」
希父(ちきしょう……俺は父親失格じゃなく、男としてもダメな道を進んじまったのか……!)
凛「凛はもうだめにゃー、お腹と背中がくっつくにゃー、ラーメンの幻覚が見えるにゃー」
希父「お嬢ちゃん、俺にラーメン奢らせてくれい!」
凛「本当!?やったー!!ラッキー!」
希父「おうよ、好きなの選びな!」
希父「やめて!」
凛「冗談にゃ、そうだ、おじさんもラーメン食べる!?」
希父「は?」
凛「凛がこの辺でオススメのこってりドロドロ油増し増しを案内するにゃ!もちろんおじさんの奢りで!」
希父「いやあの、俺さすがにこの歳でラーメンはキツイっていうか……無理入らないから」
凛「いいからいくにゃー!奢るにゃー!」
希父「Nooooooooo!!」
希父(胃が死ぬ……胃が痛い……吐きそう……全身の穴からラーメンが出てきそう……今は身体がラーメンで出来ている……)
凛「ありがとうねおじさん」
希父「ウン、イイヨ……ソレジャ」
希父(急いで希の家に……あっ、無理、止まろ、動いたら吐くわこれ)
凛「お、おじさん!危ない!トラックにゃ!」
希父「ゑ?」
ドンガラガッシャーン!!
なんだー!?
事故だー!!
救急車ー!!
希父(やべえ、寸前で止まってくれて助かった……倒れちまって気持ち悪くて立てない……うっ……!?うっぷっ!?)
希父(お、オエェ[見せられません]!!!!!)
やべえぞあの人!
おぞましいもの吐いてる!?
重傷じゃねえか!
隊員「しっかり!息してください!」
希父(してますぅー!酸素マスク邪魔ですぅー!)
トラック運転手「すまねえ!!俺のせいだ!本当にすまねえ!!なんでもするから許してくれ!!」
希父(ん?……じゃなくて生きてるから!生きてるからいいよ!ドンマイ!仕事に戻っていいよ!ちなみに俺休み!!数年振りに娘に会いに行くの!)
隊員「外傷はないが異物を吐き出したそうだ!一応西木野病院に運ぼう」
希父(ダレカタスケテー!!)
希父「……ご迷惑かけました」
希父「なにも異常ないですよね?」
真姫パパ「ええ、検査も終えましたが、打ち身程度ですので」
希父「それじゃあすいません……」
真姫パパ「またなにかありましたら連絡してくださいね」
希父(さて、予定を大幅にオーバーしてる……早めに行かなきゃ)
希父(お土産はバッグの中に入れて……)
受付「東條さーん」
希父「あ、はい」
希父、バッグ置く
受付付近
真姫ママ「ところで今日はなにするの?大きな荷物持ってたけど」
真姫「友達の家で新年会よ」
真姫ママ「あまり遅くならないようにね」
真姫「わかってる。じゃあね」
真姫、バッグ持つ
希父「よしっ……あれ?俺の荷物は?」
真姫バッグ「…………」
希父「あれ……?」
希父「まさか置き引きにあうなんて……どこの鬼畜の仕業だ……」
希父「はぁ……せっかく希に買った和菓子のお土産が……幸い希の家の鍵と財布は無事だし、顔だけ見せるか」
同時刻
真姫「なによこれ!?なんで穂乃果の家の和菓子!?意味わかんない!」
希父「やべえな……久々に帰ると緊張感MAXだな……」
希父「いきなり帰るとびっくりするだろうな……ちょっと希の驚いた顔見てみたいな」
希『えっ!?お父さん、なにしとん!?今年は無理なはずじゃ……』
希父『HAHAHA、トリックだよ』
希『な、なんやてぇぇ!?』
希父「……みたいな感じで驚く顔が見たい」
希父「よっしゃ、無限の彼方へさあ行こう!」
ピンポーン
ピンポーン
希父「………………………」
ピンポーン
希父「……………」
ガチャ
希父「お邪魔します」
スタスタスタスタ……
希父「おーい、希。お父さんだよ。パパだよ、ダディだよー」
希父「……………」
希父「留守かよ!!!」
希父「…………」
希父「えー!!やだやだー!希ちゃんに会いたい!会いたくて会いたくて震えるぅ!会いたいから恋しくて希を思うほどuhーuhだったのになに?なんなのこれ!?」
希父「俺の苦労は!?ゲロ吐いてメイドに癒されて宇宙の彼方からはるばるやってきた俺の苦労は!?」
希父「えー!やだやだー!勘弁してくださいよー!のーぞーみーちゃーん!?」
希父「……………」
希父「鬱だ、寝よう」
穂乃果「いやあ、なんで真姫ちゃん海未ちゃんちの鍋パーティーで穂乃果の家の和菓子持ってきたの?」
真姫「知らないわよ!本当は蟹とか入ってたんだから!病院で誰かに置き引きされたに決まってるわ!信じられない!」
凛「お菓子なんて事故でも鍋に入れられても困るにゃ」
ことり「……凛ちゃん?」
凛「ひいっ!?」
絵里「そうね、また来年もやりたいわ」
希「せやな……みんなでワイワイするのウチ大好きやで」
にこ「それより花陽。あんた今日1日中ご機嫌ね、いいことあった?」
花陽「な、ナンデモナイデスヨ?」
花陽(まだだ……まだ笑うな……アイドルの限定ライブのチケットが手に入ったなんて……まだだ……今は笑いをこらえるんだ……)
凛「二次会にゃー!」
希「ほな、鍵渡すからえりち先に行っといて。うちは飲み物の他に食料とか買わなあかんし」
絵里「わかったわ」
穂乃果「穂乃果も買い物行くー!」
凛「凛もー!」
海未「では私たちは先に行きますね」
絵里 真姫 海未 にこ ことり
絵里「あら?」
海未「どうかしたんですか絵里?」
絵里「?おかしいわね……鍵が開いてる……」
ことり「閉め忘れちゃったのかな?」
絵里「いえ、鍵を渡したってことは閉めてるはずよ……それにそんな不用心なこと希はしないわ」
真姫「ま、まさか……泥棒……!?」
にこ「ええっ!?」
絵里「……いえ、私が様子を見てくるわ」
にこ「ちょ、危なくない!?」
真姫「そうよ!警察呼ぶか希達が帰ってくるまで待ちましょ」
絵里「……いえ、入って安全を確かめるわ」
絵里(希の家に押し入る変態め……カラシニコフがあったら撃ち殺してサメのエサにしてやる……)
ことり(絵里ちゃんの顔が怖い……)
ことり「ええっ!?」
絵里「海未……」
海未「大丈夫ですよ、希の家の傘を拝借します。いざとなったら一撃お見舞いします」
真姫「さすが、頼もしいわね」
にこ「私たちはここで待っとくわ、なにかあったら大声で呼びなさいよ」
海未「はい」
絵里「なるべく生かすように努力するわ」
絵里「クリア」
海未「……はい?」
絵里「玄関は異常無しよ」
絵里「希の部屋以外は一通り調べたわ軍曹、あとは希の部屋だけね」
海未(軍曹って誰ですか……)
希父「うーん、加齢臭大丈夫だよな……?臭い!パパのバカ!もう知らない!……とか言われたらパパショックだぞ」
希父「っと、喉乾いたわ……水飲も」
ガチャ
希父「水……水……あったあった」
希父「コップ借りますよー」
希父「ゴクゴク……ふう……ん?」
そこだ……
希父「えっ!?」
ガッ!!
希父「なに!?なんすか!?泥棒すか!?」
絵里「ちっ、仕留め損ねたか!」
海未「ちょっと絵里!傘の先っぽで突くのは危ないですよ!」
希父(Anotherなら死んでたぁぁぁぁ!!!)
絵里「動かないで!殺せない!」
海未「ちょっとやめなさい絵里!危ないですよ!」
希父「ちょっと落ち着きなさい!ね?その傘しまって!」
絵里「黙りなさい泥棒!よくも……よくも希のコップに口を付けたわね……豚のような悲鳴をあげなさい……!」
希父(ブヒィ!?)
海未「絵里!いい加減にしてください!」
絵里「あ?」
海未「絵里!もうキャラがめちゃくちゃです!」
真姫「どうしたの!?」
にこ「すごい音したわよ!?」
ことり「海未ちゃん絵里ちゃん大丈夫!?」
希父「ちょ、増えた……!?」
希父「あっ……」
希父(あれはまさか昼間のメイドの……!?)
にこ「出た!こいつ不審者よ!」
ことり「ええっ!?」
にこ「道でぶつくさ呟いてた変態よ!」
希父「oh……」
真姫「うぇぇ!?気持ち悪……」
海未「と、とりあえず警察に……」
絵里「その前に仕留めないと……」
希「どうしたん!?なんか騒がしいけど?」
穂乃果「なにかあったの?」
希父「あっ!」
花陽「あっ……」
希父「ああっ!」
凛「あー!」
希父「………」
絵里「待ってて希、今この変態を……」
希「……お父さん、なにしとん?」
絵里「ええ、そうよ、お父さんに引導を……お父さん?」
海未「え?」
にこ「はっ?」
真姫「?」
ことり「お父さん……?」
希父「……き、来ちゃった(テヘペロ)」
真姫「すいませんでしたぁぁぁぁ!」←真姫ちゃんだけ荷物の件
希父「いや、いいんだ。誤解が解けたなら……」
海未「申し訳ありません……本当に申し訳ないです」
希父「いや、いいんだよ。俺も悪かったし……」
にこ「ごめんなさい……変なこと言ってごめんなさい……」
希父「あー、もう、顔を上げていいから」
絵里「本当に申し訳ありません、お義父様」
希父「うん……うん?」
希父「その節はお世話になりました」
花陽「まさか……希ちゃんのお父さんだったなんて……チケットありがとうございました!」
希父「いえいえ」
にこ「チケット?」
花陽「はっ!」
にこ「花陽……チケットってなに?」
花陽「えっと……お米券のことです!」
にこ「ふうん、そっ」
希父「ああ、いいよ。君のバッグは病院の人に預けてるから」
真姫「ありがとうございます……」
凛「いやあ、びっくりしたにゃ!まさか希ちゃんのお父さんだったなんて」
希父「ヤア……ラーメンノオンナノコジャナイカ」
凛「また凛とラーメン巡りするにゃ!」
希父「いやああああああ!!!」
希父「あっ、君は確かメイドの……」
ことり「あれは従姉妹です!」
希父「はい?」
ことり「あれは従姉妹の音無小鳥ちゃんです!」
希父「は、はぁ……わかりました」
絵里「お義父さん、申し訳ありません……」
希父「いえいえ……というか他に言いたいことあるけどいいや」
絵里「ですが……」
希父「いいよ、なにもかも許すからははは」
絵里「はい。では希さんを私にください」
希父「だめです」
希父「いやあ、サプライズしたくて」
希「……アホなお父さん持つと苦労するわ」
希父「ほら、」
希「ん?なにこれ?」
希父「お年玉だ」
希「えっ、いいよ。毎月お金振り込んでくれるやん」
希父「バカ、そういう問題じゃねえ。ほら、受け取れ」
希「うん……ありがとう」
希父「それと、」
希「うん?」
希父「あけましておめでとう、希」
希「……うん!」
終わり
面白かった
乙です
ウイグル先生の次回作にご期待下さい
お父さん出てくるSS面白いの多い気がする
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