【ラブライブ!】希「幸せの味」
- 2020.03.27
- SS

話しは短め
お母さんからの仕送りの中に入っていた小さな箱―――キャラメルと。
テーブルの上で、一粒取り出してまじまじと見つめて呟く
「昔はキャラメル大好きやったなぁ・・・」
あの時のように夕焼けで染まった部屋に小さく響いた
別にあの甘さが嫌いとか、食感が苦手とか、歯の詰め物が取れるからとかではないんよ。
キャラメルは一人ぼっちの味がするから―――
お父さんもお母さんも仕事が忙しくて、小さい頃のうちは一人でお留守番してることが多かった。
お母さんは気を利かせてお留守番のときは、大好きやったキャラメルを必ず用意してくれてたんよ。
「今日も帰りが遅くなります。ごめんね、希ちゃん」
いつもこんな書置き付きで。
この書置きを見るたびに、「今日は夜まで一人ぼっちなんだ・・・」って寂しい気持ちになってた。
それを誤魔化そうと甘い甘いキャラメルを一人で頬張っていた。
(今日のキャラメル、変な味)
なんだかしょっぱい―――
ウチは泣いていた。
大好きなキャラメルを食べれば食べるほど、寂しい気持ちが強くなって涙がとまらなかった。
夕焼けに染まった部屋に、小さなすすり泣きだけが響いていた。
だからウチはキャラメルが苦手。
寂しい気持ちが込み上げてくるから―――
もちろんお肉大好きやけど、それ以上に―――
いつも正面にはお父さん。隣にはお母さんがいたから―――
幸せの味がするから。
「あ!帰ってきた!お父さんかな?お母さんかな?」
ドアに駆け寄り寂しさを吹き飛ばすような大きな声で―――
「おかえりなさい!!!」
「ただいま。希ちゃん」
凛「希ちゃーーん!!」
テーブルから身を乗り出して、まんまるな顔がウチを覗いていた。
希「うわっ!?あれっ!?何で凛ちゃんがここに!?」
凛「も~!今日はリリホワの作戦会議をするからウチの家来て~って言ったの希ちゃんだにゃ!」
希「ごめんごめん!すっかり忘れてたわ~」
部屋の明かりがパチリと点いて、凛とした声が響いた。
海未ちゃんはウチの隣に腰掛けてお説教を始める。
希「今後は気をつけるから堪忍して~!!」
希(穂乃果ちゃん!今なら気持ち良くわかるで!)
そんなことを考えていたら、海未ちゃんのお説教を遮るように凛ちゃんが口を開いた
テーブルの上のキャラメルを指差す。
希「これ?お母さんが仕送りで送ってきたんよ」
凛「!なるほどわかったにゃ!キャラメルの処理に悩んでたら寝ちゃったんだね!」
凛「それなら凛にちょうだい!」
凛ちゃんはキャラメルに手を伸ばした―――だけど、
海未「凛!はしたないですよ!」
お説教モードの海未ちゃんに遮られてしもうた。
海未「希がそういうなら・・・」
海未ちゃんは箱から一粒取り出す。
凛「あっー!?海未ちゃんズルイにゃー!!」
希「凛ちゃんには残りの全部あげるでー♪」
これで全部のキャラメルを渡した―――はずだったんやけど
ポケットの中に、にらめっこのお相手が残っとった。
海未「凛・・・!!それはどういう意味ですか」ニコッ
凛「海未ちゃんごめんなさ~い!!」
なんだか、こんなに騒がしいテーブルは久しぶりやん
ウチの正面には凛ちゃんが、隣には海未ちゃんが―――
手の中を開くと一粒のキャラメル。大好きだったはずのキャラメル。
不思議だった。何故かキャラメルの包みを開いて口へと運んでいた。
(キャラメル、やっぱり変な味)
なんだかしょっぱい―――
わたしは泣いていた。
あの時と同じ、涙が混じった甘くてしょっぱいキャラメル―――
だけど、一人ぼっちの味はしない―――
別にあの甘さが嫌いとか、食感が苦手とか、歯の詰め物が取れるからとかじゃない。
キャラメルは一人ぼっちの味がするから―――だけど今は―――
幸せの味がした
なんで希ってキャラメル嫌いなんだろう、からの妄想。
あと、μ`sの皆さんRの法則お疲れ様でした!
寝る前にいい話をありがとう
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