【ラブライブ!】真姫「にこちゃん!?何故にこちゃんがここに?アイドルは?」
- 2020.03.29
- SS

真姫「ん~……」ゴソゴソ
ピンポーン
真姫「朝っぱらから何なのよもう……無視無視……」モゾモゾ
ピンポピンポピンポーン
真姫「あああああ!分かったわよ出ればいいんでしょ!?」ガバッ
真姫「はーい……どちらさまで……」イライラガチャッ
真姫パパ「お、やっと出たか」
真姫「パ、パパ!?」
真姫「久しぶり……まあ、普通に元気だけど」
真姫パパ「大学生活はどうだ?友達は出来たか?勉強はきちんとやっているか?」
真姫「もう!心配しすぎよ!普通に全部大丈夫だから!」
真姫パパ「べっ、別にお前が心配で無理して休みを取ってここに来たわけじゃないからな!///」
真姫「はいはい」
真姫パパ「まあ、立ち話もなんだ。お土産も買ってきたことだし、部屋の中でゆっくり……」
真姫「だ、大丈夫よ!元気だし問題ないから!お土産ありがとね!ありがたく受け取っておくわ!」ガシッ
真姫パパ「何!?部屋の中に入れさせてくれるのではないのか!?」
真姫「だ、だってその……」ダラダラ
真姫パパ「まさか……男か!?男がいるのか!?」
真姫「い、いやそういうわけじゃ」
真姫パパ「ええい!!私の愛しい娘を誑かすとは!!許さん!!」ドスドス
真姫「ちょ!?だ、ダメよパパ!勝手に……」アタフタ
真姫パパ「なんだこれはぁ!?」
真姫「はぁ……だから部屋に入れさせたくなかったのよ……」
真姫パパ「どうしたら……どうしたこんなゴミ屋敷になるんだ!真姫ィ!」
真姫「ゔぇぇ……」
真姫パパ「足場すらないじゃないか!しかもなんだ……カップ麺やその類のゴミが多い!まともな食生活も出来ていないな!?医者が不健康でどうする!」
真姫「ま……まだ医者じゃないし……」ダラダラ
真姫パパ「いずれ医者になるんだろう!自覚が足らんぞ!真姫!」
真姫「そ、そんなことないわよ!」
真姫パパ「だったらなんなんだ!この有様は!」
真姫「ゔぇぇっとそれはその……」ダラダラ
真姫パパ「悪いことは言わん。自宅通いにした方がいいぞ、真姫。別に自宅から通えないような距離じゃないだろう」
真姫「確かにそうかもしれないけど!それでも地味に遠いのよ!」
真姫パパ「朝早く起きればいいだけじゃないか。電車はある。それともなんだ?朝早く起きたくないだけなんじゃないか?」
真姫「ギクッ……」
真姫「も、もし1週間経って何も変わらなかったら……?」
真姫パパ「その時は無論!一人暮らしをやめて自宅通いにさせるに決まってるだろう!」
真姫「ゔぇぇ!?」
真姫パパ「当然だ!こんな汚い部屋に真姫を住まわせる訳にはいかんだろう!」
真姫パパ「それに、こんな汚い部屋じゃサンタさんも来ないぞ!」
真姫「サンタさんが……来ない!?」
真姫「ま、まさか!去年サンタさんが来なかったのって……」
真姫パパ「おそらく、この部屋が原因だろうな」
真姫「そ、そんなぁ……」ズーン
真姫パパ「せっかく土産を持ってきたが……こんな汚い部屋では渡すに渡せんな。とにかく、まずは部屋の掃除をしろ。私はこれから用があるから行かせてもらう。1週間後、楽しみに待っているぞ。真姫」ガチャッ
真姫「自宅通いって、早起きしなきゃだし、満員電車に乗らなきゃだし……絶対にいや」
真姫「そして何より……サンタさんが来ないのはもっとイヤ!」
真姫「掃除するわ!このゴミ屋敷を!」
真姫「そうね……まずは……」
真姫「まずは……」
真姫「まず……は…………?」
真姫「……」
真姫(どうしよう……何からやればいいのか、さっぱり分からない)ダラダラ
これすごいわかるわ
脳の問題らしいからね
真姫「ソダ!スタバでコーヒーでも飲んで目を覚ませばいいんダワ!」
真姫「そうと決まったらら早速支度しなきゃネー」ガサゴソ
真姫「コーヒー飲んで目を覚ませばきっと掃除が捗るに違いないワ!絶対にそうヨ!」
○○してから掃除しようで○○が続くやつや
分かる
ちょっとこっちにどけてっと→忘れる
そして汚部屋へ…
真姫(今になって頭がすごく冴えてきた……)
真姫(よく考えたら私、一度も自分の部屋の掃除をしたことないのよね……)
真姫(そんな私にあの部屋の掃除なんて無理に決まってるじゃない!)
真姫(ていうか、栄養バランスって何?トマトじゃダメなの?)
真姫(……もうこれ、詰んでる気がするんだけど)
真姫(これ絶対にあれよね。なんやかんや理由つけて自宅通いにしたいだけだわ。パパ、ああ見えてかなり寂しがり屋だし)
真姫(パパったら、いつになったら娘離れ–––––)ドンッ
「いたっ」ドシン
真姫「きゃっ!」ドシン
「ちょっと!あんたどこ見て……っ!?」
真姫「ご、ごめんなさ……いっ!?」
「ま、真姫……ちゃん……?」
真姫「に……にこちゃん!?」
真姫「何故にこちゃんがここに?アイドルは?自力で就職を?」
にこ「(無言)」
にこ「(無言の立ち上がり)」スクッ
真姫「ちょっと!何か言いなさいよ!無視しないで!」
にこ「(無言の立ち去り)」テクテク
真姫「待ちなさいよ!」ガシッ
にこ「」ビクッ
真姫「そんなに黙ってて!何かあるのはバレバレよ!」
にこ「(無言の無言)」
真姫「とにかく!話してくれるまでこの手は離さないわよ!」
真姫「とりあえず……天下の往来で話すのは無理だろうから、近くの喫茶店に行くわよ!ほら早く!」グイグイ
にこ「(無言の引っ張られ)」ズルズル
にこ「……」
真姫「卒業してからずっと連絡が取れなくて……すっっごく心配したんだけど」ジー
にこ「……」
真姫「アイドルとしてうまくやってると思いきや、テレビに出てる姿も見ないしインターネットで名前を見かけたりもしない」
真姫「いったい何をやって……」
にこ「うぅ……」ウルウル
真姫「ゔぇぇ!?ちょ、ちょっとなんで急に泣いて……」アタフタ
にこ「私だってねぇ!好きでこんなところにいるわけじゃないのよ!」グスッ
真姫「に、にこちゃ」
にこ「テレビに出たいわよ!インターネットでよく名前を見かけられるくらいになりたいわよ!みんなのまえで……グスッ、うだって、おどりたいわよぉ!うぇぇえええええええん!!」
真姫「お、落ち着いて!ほら!ハンカチ!ハンカチ貸すからぁ!」アタフタ
にこ「グスッ……うん」
真姫「えっと……何があったのか、話してほしい。話せば楽になるかもしれないし、私が力になれるかもしれないし」
真姫「まあ、無理には言わなくていいわ。誰にだって言いたくないことはあるだろうし。ただ……」
真姫「私は、にこちゃんの力になりたい。だから、何があったのか話してもらいたい。……それが私の本心、とだけは伝えておくわ」
にこ「真姫ちゃん……」
にこ「……卒業してから、私はアイドルになるために、まずアイドルの研修生になったの」
真姫「うん。そこまでは知ってるわ」
にこ「真姫ちゃん、研修生っていうのがどんなものか……知ってる?」
真姫「まあ、なんとなく。野球でいうところの2軍みたいな感じでしょ?」
真姫「大体って……どういう意味よ?」
にこ「真姫ちゃん、野球が何人でやるかくらい知ってるわよね?」
真姫「それぐらい知ってるわよ。9人でしょ?」
にこ「じゃあ一チーム15人のチームが野球をする時はどうする?」
真姫「そんなの、残りの6人はベンチ……あっ」
にこ「……そうよベンチ、いわば補欠よ」
にこ「にこはね……研修生の、その補欠……なのよ」
真姫「雑用って……」
にこ「にこは万年補欠。いつまで経っても研修生のレギュラーにすらなれない」
にこ「そんな万年補欠が、アイドルで食べていけるわげがないから……こうして、日夜バイトで稼いで……」ウルウル
にこ「こんな情けない姿、見せられないわよ……!家族にも、友達にも……!だからみんなとはいっさい連絡を取らないでいた!取らないでいたのに……っ!」
にこ「うぅぅ……!」
真姫「情けなくなんかないわよ。にこちゃん」ギュッ
にこ「グスッ、真姫、ちゃん」
真姫「にこちゃんは頑張ってるわ。全力で頑張ってる。全力で頑張ることは、決して情けないことではないわ」
真姫「辛い時は泣いていいのよ。今日は特別に、真姫ちゃんの胸を貸してあげる。だから、涙が枯れるまで……ね?」
にこ「なによ、それっ、まるで、グスッ、私が泣くの、我慢してるみたい、じゃない」
にこ「真姫ちゃんの、真姫ちゃんのばか……うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」ギュッ
真姫「はいはい。馬鹿で結構よ」ナデナデ
真姫「そう。なら良かったわ」ニコッ
真姫「ところで……」
にこ「?」
真姫「いい加減、視線が痛いからこの店出ましょ」
にこ「あ」
にこ(そう言えばここ、喫茶店の中……)
にこ(なのににこはあんな泣き喚いて)カァァ
真姫「ほら。さっさと行くわよ」ギュッ
にこ「う、うん///」
真姫「店員さん、これお代ね。急いでるからお釣りとかいらないから」スッ
真姫「どこって、うーん……そうね、とりあえず私の部屋ああああああああああ!?」ガビーン
にこ「うぇ!?ど、どうしたのよ急に!?」
真姫(どどどどどうしよう……今になって思い出したわあの汚部屋のこと)
真姫(そもそもあんな汚部屋ににこちゃん呼べるわけ無いし、あの汚部屋片付けないと自宅通いになっちゃうし!)
真姫(ん?待って……にこちゃんって、おそらくだけどお金に困ってるのよね?)
真姫(……にこちゃんを雇う、とかどうかしら)
真姫(いやいやいや!流石にそれはダメよマッキー!!私がやらなきゃいけないことをお金で他人にやらせるなんて!)
にこ「真姫ちゃーん?」
真姫(くっ!私はどうすればいいの!?)ウーンウーン
にこ(なんか唸りだしたし……)
真姫(そうかもしれないけど……お金ですべて解決っていうのは何か汚い気がするのよね……)
天使マキエル「その通りよ!自分で解決してこそ意味があるの!お金で解決だなんて薄汚い富豪がやることだわ!」
真姫(まあ、そうよね。やっぱり自分で解決するべき……)
悪魔ッキー「ふん!馬鹿ねあんたたち!お金を払うことが汚いことですって?笑わせてくれるわね!」
天使マキエル「何ですって!」
悪魔ッキー「いい?にこちゃんはお金に困ってるのよ?そのにこちゃんにお金を払って仕事をしてもらう、そうすれば問題解決して真姫ちゃんハッピー!お金がもらえてにこちゃんもハッピー!つまりウィンウィンなのよ!」
真姫(……はっ!)
天使マキエル「言われてみれば確かに……」
悪魔ッキー「でっしょー!だから絶対に雇うべきよ!」
天使マキエル「そうね。みんながハッピーなら、そうするべきよ!」
にこ(あ、やっと反応した)
真姫「私、結構お金持ってるのよね」キリッ
にこ「……は?」
にこ「知ってるわよそんなこと。何?自慢したくなったの?唐突に?」
真姫「いや、自慢したいわけじゃなくて……」
にこ「じゃあなによ?馬鹿にしてるの?」
真姫「違うわよ!そうじゃなくってえと……」
真姫「にこちゃんって、今お金に困ってるわよね?」
にこ「やっぱり馬鹿にしてるんじゃない!」ムキー!
真姫「違うの!馬鹿にしてるわけじゃないの!とにかく話を聞いて!」
真姫「私に雇われてみない?」
にこ「イヤよ」
真姫「なんで!?」
にこ「なんでって……確かにお金に困ってないわけじゃないけど、今のままでも生活できないことはないし」
にこ「何より、同情とかで雇われるのは、にこのプライドが許さないのよ!」
真姫「同情なんかじゃないわよ!」
にこ「たとえそうだとしても、私はやらな」
真姫「お願い!一生のお願い!!雇われて!!ほんとにダメなの!このままじゃ!」ドゲザッ
にこ「えええええ!?何で真姫ちゃんがそんなに必死なのよ!?ていうか、土下座なんてやめなさいよ!あんたそんなガラじゃないでしょ!顔上げなさいよ!」
真姫「お願い!にこちゃん!」ガバッ
にこ「ひっ!?なんなのよ!?」ビクッ
にこ「ていうか何が真姫ちゃんをそんなに切羽詰らせてるわけ!?まずは理由を話して見せなさいよ!」
真姫「理由……」
真姫「実は……」
真姫「そーなのよ……」
にこ「ぷっ」
真姫「何よ!?なんで笑ってるの!?」
にこ「だって、あの真姫ちゃんが部屋をそんなに散らかしてたなんて思いもしなかったから……ぷぷぷ」
真姫「もう!こっちは深刻な問題なのよ!?」プイッ
にこ「はいはい、怒らないのー♪」ニコニコ
真姫「それで?やってくれるの?やってくれないの?」
にこ「んー、そうね~」
にこ「とりあえず、まずは真姫ちゃんの部屋に行くわ」
真姫「やってくれるの!?」パァァ
にこ「違うわよ。下見よ下見!部屋の様子を見てから決めるわ。ついでに、真姫ちゃんがどこに住んでるのか知りたいし」
真姫「なるほどね。善は急げ!さあ行くわよにこちゃん!」
にこ「へぇ。ここがマッキーのルームね……」
真姫「開けるわよ」
にこ「どんとこい!」フンス
にこ(なんか緊張してきた)ドキドキ
にこ(真姫ちゃんの部屋、いったいどんな感じなんだろう……)ドキドキ
真姫「どうぞ」ガチャッ
にこ「お邪魔しまー」ニコニコ
にこ「せん!失礼しましたー!」クルッ
真姫「ちょっと!どこ行くのよ!」ガシッ
にこ「いやあああ!離してえええ!」ジタバタ
にこ「だって真姫の部屋!あれ人が住むような部屋じゃないでしょあれ!魔界よ魔界よ!」
真姫「私は普通に寝泊まりしてるけど」
にこ「ほんとだー!じゃあ真姫ちゃんは魔王の手下ね!勇者にこにーが成敗してくれるわー!」
真姫「もう!ふざけないでよ!」
真姫「結局のところどうなの?やるの?やらないの?」
にこ「え~と、やっぱり無理かな~」メソラシ
真姫「なんで!?」
にこ「なんでって理由は遠回しにだけどさっきから言ってたわよ!?」
真姫「にこちゃん!」ガシッ
にこ「ひっ!?」
にこ(か、顔近っ!///)
真姫「お願い!にこちゃんしかいないの!にこちゃんにしか、出来ないことなの!」
にこ「わ、分かったわよもう!///仕方ないわね!」
真姫「ほんと!?ほんとのほんとに!?」
にこ「ええ。本気と書いてマジと読むわよ。ただし、明日からね!今日は準備とかしなきゃいけないから!」
真姫「ええ!大丈夫よ!楽しみに待ってるわ!」ニッ
にこ(あーあー。結局引き受けちゃった)
にこ(何やってんだろ、にこったら)
真姫『にこちゃん』ニコッ
にこ(でもまあ、あの子の笑顔が見れるなら、別にいいかな……なんて)
にこ(来ちゃった……)ドキドキ
にこ「すぅー、はぁー……」ドキドキ
にこ(なーに緊張してんのよにこ!いつも通りでいいのよいつも通りで!)ドキドキ
にこ「よしっ!」パチン!
にこ「いざ!」
ガチャッ
真姫「あ。もう来てたんだ」
にこ「」
真姫「ごめん。実はちょっと野暮用で外に 出ることになっちゃって。これ、私の部屋の鍵だから。多分帰るのは夕方頃かしら。じゃ、よろしく頼むわ」ヒョイッスタスタ
にこ「えええええ!?ちょ、ちょっとぉ!?」
にこ「行っちゃったし……」
にこ「なんなのよあいつ~!!」プルプル
にこ「私だけこんなに緊張してたのがバカみたいじゃない!」プンスカ
にこ「こうなったら!このゴミ部屋、今日中に終わすなんて無理だと思ったけど……」
にこ「やってやろうじゃない!このゴミ屋敷を真姫ちゃんが帰ってくるまでに片付けて、真姫ちゃんをぎゃふんと言わせてやるんだから!」フンス
真姫「あれ?もう開いてる……って」ガチャガチャ
真姫「そういえばにこちゃんが来たから鍵かけずに出ていったんだったわね」ガチャッ
キラキラキラキラ
真姫「ゔぇぇ!?」
真姫(ま、眩しっ!?)
真姫「ご、ごめんなさい!部屋間違えました!!失礼します!!」バタン!
真姫(疲れてて部屋間違えちゃった……!ていうかなんで鍵閉めてな……)
真姫「……あれ?」チラッ
にこ「まーきちゃん♪」ガチャッ
真姫「にこちゃん……?ってことは……」
にこ「部屋、間違ってないわよ~?」ニヤニヤ
真姫「ゔぇっ……」
真姫「ゔぇえええええええ!?」
にこ「ふふん♪ま、にこの手にかかればこれくらいヨユーよ♪」
にこ「あ、それともう一つ。真姫ちゃん、食生活も直せって言われてるんでしょ?」
真姫「え?まあ、言われてるわね」
にこ「そこで!このにこにーが!これから一週間の真姫ちゃんの食事を管理させてもらうわ!」ビシッ
真姫「管理って……冷蔵庫の中には何もないじゃない」
にこ「ええそうね。真姫ちゃんの冷蔵庫の中に何もなくてびっくりよ。それでいてカップ麺のゴミが散らばってるんだから、食生活を直せと言いたくもなるわよ。ていうかよく今までぶっ倒れなかったわね……」
真姫「うっ……」
にこ「ちなみに、食材はもう買ってあるから」
真姫「買ってあるって……お金は?」
にこ「とりあえずにこが出したけど、真姫ちゃん後で返してね~。はい、レシート♪」スッ
真姫「抜かりないわね……」
にこ「じゃ、私はこれから夕飯の支度するから~。お風呂は一応沸かしといたから入りたければどうぞ~」パタパタ
真姫「……ほんとに抜かりないわね。パーフェクト家政婦かしら」
にこ「真姫ちゃんいいタイミングにお風呂上がったわね♪今出来上がったところよ♪」
真姫「カレー?」
にこ「ちっちっちっ。ただのカレーじゃないわよ」
真姫「え?じゃあなによ?」
にこ「これはぁ、にこにーの愛情がたっぷり篭ったスペシャ」
真姫「はいはい。そーいうのいいから、早くご飯にしましょ」
にこ「ちょっとー!最後まで聞きなさいよー!」プンスカ
真姫「……いただきますなんて言ったの、いつ振りかしら?」
にこ「いつ振りって……ご飯を食べる時は必ず『いただきます』と『ごちそうさま』を忘れちゃダメよ?真姫ちゃん」
真姫「はいはい。あむ」パクッ
真姫「これは……!!」ピクッ
にこ「ふふふ♪どう?にこにー特製ラブにこカレーのお味は?」ニコニコ
真姫「」パクッ、モグモグ……パクッ、モグモグ……
にこ「あ、あのう、感想が聞きたいにこー?」
真姫「」パクッ、モグモグ……
にこ「ま、真姫ちゃーん?いくらにこにーの特製カレーが美味しいからって、そんなに急いで食べたら喉に詰まらせて……」
真姫「……ぐすっ」ポロッ
にこ「えええっ!?な、なんで!?」ビクッ
真姫「ううん。違うの」ウルウル
真姫「美味しい。凄く美味しい」
にこ「えっ!?そ、そーなの!?じゃあなんで泣いて……」
真姫「だって、大学入って、一人暮らしを始めて……ずっと、食事は適当に過ごしてたから……こんなにも美味しいものを食べたのは、久しぶりすぎて……感極まっちゃって……グスッ」
にこ「そ、そんな大袈裟な……びっくりしたわよ、急に泣き出すもんだから……」ホッ
真姫「ごめんねにこちゃん。でも、ほんとににこちゃんのカレー、美味しくって……」
にこ「ま、まあ当然よね!にこの料理の腕前を見くびってもらっては困るわ!」フフン
にこ「よよよよよよよ嫁!?」
真姫「そうね……私がもし男だったら、にこちゃんみたいな人がお嫁さんに欲しいわねー」
にこ「うぇぇぇ!?///」
にこ(な、なんで突然こんなこと言い出すのよこの子は!///)グルグル
真姫(ぷぷぷ……顔真っ赤にして、照れてるわね)
真姫(高校生の時はよくにこちゃんに赤面させられてたっけ……)
真姫(だけど今日は、私がにこちゃんを赤くする番なんだから!)
真姫「ねぇ、にこちゃん」
にこ「へ!?」ビクッ
真姫「私がにこちゃんをお嫁さんにもらってあげよっか?」
にこ「」
真姫「なーんちゃっt」
にこ「(無言のカレーダイブ)」ブクブク
真姫「にこちゃあああああああああああん!?」ビクゥ
にこ「ご……ごめんごめん……ツインテールが滑ったにこ……」グチャア
真姫「滑ってるのはにこちゃんの頭のでしょ!あーもう!顔中カレーまみれじゃない!」フキフキ
にこ「ごめん……」シュン
真姫「もう……しっかりしなさいよね。ところで、火傷とかしてない?大丈夫?」
にこ「そこまでがっつり埋まったわけじゃないし、火傷はないわ」
真姫「ほっ……なら良かった」
真姫「でも拭いただけじゃ完璧に汚れが落ちないわね……匂いもするし。何よりにこちゃん自身、拭いただけじゃ気持ち悪いと思うだろうし、とりあえずお風呂に入ってきなさいよ」
にこ「うん。そうさせてもらうわ……」
真姫「いいわよ別に。ていうか、最初から貸してあげる予定だったし」
にこ「へ?貸してあげる予定?何よそれ!まさか私が顔面カレーまみれになることを予想してたっていうの!?」
真姫「違うわよ!そうじゃなくって、にこちゃんにはここに泊まってもらおうと思ってたのよ!」
にこ「えええええ!?」
にこ「いやいや!いいわよそんなの!きっと迷惑だし!帰らせてもらうわよ!失礼いたしました!」
にこ(泊まるって、心の準備とか出来てないんだけど!)
真姫「ダメよ」ガシッ
にこ「なんでー!?」ステン
真姫「にこちゃん、実は……」
にこ「な、なによ!?(何を言われるのー!?)」ドキドキ
真姫「最近、ここらへんで不審者が出没するらしいの」
にこ「……はい?不審者……?」
真姫「そーいうこと」
にこ「心配しすぎよ真姫ちゃん。不審者なんて……」
真姫「ところがそうは言ってられないのよ。実は、既に私の友人2人が不審者に遭遇しているわ。2人とも別々のタイミングに、同じ不審者にね」
にこ「え……?ま、マジ?」
真姫「2人の証言によると……不審者は青紫のハリガネでも入ったかのように形の崩れないコートを着て、おかしな髪型をしている……たとえるならほっかむりみたいな髪型」
にこ「ほ、ほっかむり?」
真姫「不審者は『瑠璃』という女性の名前を口にしながら、私の友人に詰め寄ってきたらしいわ」
にこ「な、何よそれ!ただのストーカーじゃないの?ていうか、私は瑠璃って人じゃないから問題な」
真姫「私の友人も、2人とも瑠璃という名前ではないわよ」
にこ「」
真姫「ええ。不審者よ」
にこ「何なのよその不審者!危なすぎでしょ!警察は何やってるのよ!?」
真姫「噂によると……警察はその不審者を捕まえようとして、返り討ちにあったなんて話も……」
にこ「危ないってレベルじゃないでしょ!って、そんな危ない不審者に詰め寄られた真姫ちゃんの友だちはどうなったの!?」
真姫「ああ。その話の続きはあるわよ」
真姫「私の友人は、その不審者から必死に逃げてて、そして……」
にこ「そして……?」
真姫「もう一人の不審者が現れてその不審者が追いかけてきた不審者を止めたらしいわ」
にこ「なんで増えてんのよ不審者!」
真姫「でもその不審者が助けてくれなければ相当危なかったらしいわ。いい不審者だとか」
にこ「不審者に良いも悪いもないでしょうが!」
真姫「まあ、これでわかったでしょ?相当危ない不審者が出没するって」
にこ「ええ……多少納得いかないところもあるけど。だいたい分かったわ……」
真姫「にこちゃんを危険な目に合わせるのは、なんかイヤなの!!」
にこ「真姫ちゃん……」
にこ「つまり真姫ちゃんはにこのことが心配で心配で仕方がないと?」
真姫「ちちち違うわよ!///べ、別に心配とかじゃなくて!///不審者の危険性を考えた上で……」
にこ「もー真姫ちゃんったら、にこが可愛すぎて傷つけることができないくらい心配だなんて……」ポッ
真姫「誰もそこまでは言ってないわよ!」
にこ「同じようなものでしょ?」
真姫「全然違う!」
にこ「まあ、真姫ちゃんがらそこまで言うなら……真姫ちゃんの優しさに甘えて、今日は泊めさせてもらおうかな♪」ニコッ
真姫「うっ……」ドキッ
真姫「別に優しさとかそんなんじゃないし……///」カミノケクルクル
真姫「な、何よ今度は?」
にこ「……私はどこで寝ればいいの?」
真姫「私のベッドで寝ればいいじゃない」
にこ「じゃあ真姫ちゃんはどうするのよ?」
真姫「私はソファで寝るから大丈夫よ」
にこ「ソファって……」
真姫「心配は要らないわ。ぶっちゃけ、ソファで寝てることの方が多いのよ私」
にこ「どうりでソファの上にゴミが置いてないわけね……呆れた……」ハァ
真姫「う、うるさいわね!寝る準備するわよ!」
にこ「はいはい」
真姫「そう。なら良かった。電気消すわね」パチッ
真姫「お休み、にこちゃん」ポフッ
にこ「お休み、真姫ちゃん」
にこ「……」
にこ(……あれ?ちょっと待って)
にこ「」クンクン
にこ「……」
にこ(これ……真姫ちゃんの匂い……よね……?)ドキドキ
にこ(やば……なんか、意識した途端に体が熱くなってきた)ドキドキドキドキ
にこ(いやでも、多いってだけで別に使ってないわけじゃないから……)クンクン
にこ(って、ああああ゙あ゙あ゙!!なに匂いなんて嗅いでんのよにこ!!)ブンブン
にこ(落ちつけにこ!これはただの、真姫ちゃんの匂いがついただけのただのベッドだから!真姫ちゃんに抱きしめられてるみたいな感覚は無いから!)
にこ(そうだ!アルパカを数えましょ!アルパカを数えてれば寝れるってむかし誰かが言ってたもの!)
にこ(え~、アルパカが1匹、アルパカが2匹、アルパカが……)
真姫『にーこちゃんっ』
にこ(あ、真姫ちゃんだ)
にこ(真姫ちゃんが一人……)
真姫『にこちゃん♪』
にこ(真姫ちゃんがもう一人……)
真姫『にこちゃん♡』
にこ(照れてる真姫ちゃん……)
真姫『にこ……ちゃん……///』
にこ「って、なんでそうなるのよぉ!?」ガバッ
にこ「最後に至っては数えてすらいないし!なんで!?」
真姫「んん……」ムクッ
にこ「!?」
にこ(まさか……起こしちゃった……!あんだけ一人で喚いてたから……!)
にこ(って……ただのトイレだったのね。にこのせいじゃなかったみたい)
ガチャッ
真姫「……」スタスタスタ
にこ(あ、あれ?気のせいかしら?真姫ちゃんがこっちに向かって歩いている気がするんですけど?目を瞑ってるから分からないんですけど!?)
真姫「んー……」ゴソゴソ
にこ「」
真姫「おやすみzzz……」スヤァ
にこ(真姫ちゃんの匂いで悶々としてたら本物の真姫ちゃんががががが)ドキドキドキドキドキドキ
にこ(くぅぅ……!ベッドについた真姫ちゃんの匂いのせいで寝れなかったっていうのに、本体が来たんじゃ寝れるわけないじゃない!)ドキドキ
にこ(不幸中の幸いは、真姫ちゃんがにこにことくらい……)
真姫「んぅ……」ゴロン
にこ(寝返りうってきたぁあああ!?)ドキーン
真姫「zzz…」スヤァ
にこ(まままま真姫ちゃんの顔が目の前☆\$※〆%!?)グルグル
にこ(落ち着くのよにこ!!目を瞑ればなんともないから!!)スッ
真姫「zzz……」スヤァ
にこ「……」ドキドキドキドキドキドキ
真姫「ん……にこちゃん……むにゃむにゃ……」スヤァ
にこ「」
にこ(あばばばばばばばばばばばば)ドドドドドドドドド
にこ(くぅぅ……!ベッドについた真姫ちゃんの匂いのせいで寝れなかったっていうのに、本体が来たんじゃ寝れるわけないじゃない!)ドキドキ
にこ(不幸中の幸いは、真姫ちゃんがにこに背を向けていることくらい……)
真姫「んぅ……」ゴロン
にこ(寝返りうってきたぁあああ!?)ドキーン
真姫「zzz…」スヤァ
にこ(まままま真姫ちゃんの顔が目の前☆\$※〆%!?)グルグル
にこ(落ち着くのよにこ!!目を瞑ればなんともないから!!)スッ
真姫「zzz……」スヤァ
にこ「……」ドキドキドキドキドキドキ
真姫「ん……にこちゃん……むにゃむにゃ……」スヤァ
にこ「」
にこ(あばばばばばばばばばばばば)ドドドドドドドドド
にこ(こうなったらもうにこにー可愛いかのゴリ押しで無心になってやる!)
にこ(にこにー可愛いにこにー可愛いにこにー可愛いにこにー可愛いにこにー可愛いにこにー世界一可愛いにこにー宇宙一可愛いにこn)
真姫「んー……zzz……」ダキッ
にこ(ひょえあああああ!?)ビクッ
にこ(真姫ちゃんが、真姫ちゃんがなんかめっちゃ近いって言うか密着してるって言うかこれもう抱きしめられてるんですけどぉぉぉお!!)
真姫「ふふ……」ギュッ
にこ(もー!なんなのよ!私はこんなにドキドキしてるのにアンタは幸せそうにスヤスヤ寝ちゃってさ!)
にこ(……こんな幸せそうな顔されたら、動けなくなっちゃうじゃない)
にこ(今夜だけよ?今夜だけ特別に、にこが真姫ちゃんの抱き枕になってあげる)
にこ「……おやすみ、真姫ちゃん。いい夢見なさいよね?」
真姫「うん……zzz」ギュー
にこ(うわ……朝が来た)
にこ(結局一睡もできなかった……まあ当たり前よね)
ピピピピピピピピ
にこ(目覚まし鳴ってるし……)
にこ「真姫ちゃーん。起きなさーい。目覚まし鳴ってるわよーー」ペチペチ
真姫「んっ……」パチ
にこ「おはよ。真姫ちゃん」
真姫「にこちゃん……おはよー……」ボーッ
にこ「真姫ちゃん、いい加減離してくれないと朝ごはん作れないんだけど」
真姫「んー……後5分だけ……」ギュッ
真姫「……」
真姫「ゔぇええええ!?ににににこちゃん!?なんでにこちゃんがここにいるのよ!?」
にこ「」カチン
にこ「それは……」プルプル
にこ「こっちのセリフじゃーーい!!」ガバッ
真姫「ゔぇぇ!?」ビクッ
にこ「なんで?じゃないわよ!元はと言えば寝ぼけたあんたがにこの寝床に潜り込んだんでしょーが!」プンスカ
真姫「寝床って……ここ、私のベッドなんだk……あ」
真姫「そ、そう言えば私、にこちゃんにはここで寝てって言ってたわね……」
にこ「そうよ!真姫ちゃんはソファで寝るって言ってたのに、寝ぼけてにこが寝ているベッドに潜り込んできたのよ!」
真姫「にこちゃん、さっき思い出したんだけどさ……」
にこ「ん?何よ?」
真姫「私、ソファで寝てたはずなのにいつの間にかベッドで寝てるってことがよくあるのよね……」
にこ「なんでそれをあの時思い出さなかったのよぉ!」
にこ「まったく……おかげで一睡もできなかったのよ!?」プイッ
真姫「そんなこと言われても……ていうか、一睡もできなかったって、そんなに私の寝相が悪かったの……?にこちゃんの睡眠を阻害する程に……?」
にこ「別に寝相が悪かったってわけじゃないけど……」
真姫「けど?」
にこ「うっ……と、とにかく寝れなかったの!///にこ、朝ごはんの支度するから!」バタバタ
真姫「……?」キョトン
真姫「わぁ……美味しそう」ゴクリ
にこ「真姫ちゃん朝ごはん食べるのなんて久しぶりでしょ?」
真姫「言われてみれば確かに……すっごく久しぶり」
にこ「真姫ちゃん、朝ごはんは重要なのよ?抜いたりしたらダメなんだから!」
真姫「でも時間もないし……」
にこ「だからこうしてにこがここにいるんでしょ?」
真姫「にこちゃん……」キュン
にこ「今日だけじゃないわ。この一週間はにこが真姫ちゃんの食事を管理してあげるんだから!」
真姫「そこまで私のことを考えてくれて……」ジーン
にこ「雇われた身だからね」
真姫「そ、そうよね……」シュン
にこ「……ま、まあ、あんな荒んだ食生活を見たら別に雇われなくても心配くらいはするけどね!」
真姫「にこちゃん……!」パァァ
真姫「ええそうよ。そういうにこちゃんは今日の予定は?」
にこ「今日はにこも午前中からレッスンがある予定だったんだけどねー」
真姫「だった?」
にこ「なんか急に予定変更して、午後からになって。午後はバイト入れてたんだけど……どうしようかなーって」
にこ「……ま、どちらにせよ。寝不足のにこにとっては、午前中が暇になったてちょっと寝れるからラッキーなんだけどね」
真姫「ごめん……」
にこ「別に、謝る必要なんてないわよ」
真姫「……にこちゃん」
にこ「ん?」
真姫「頑張ってね。私は応援してるから、にこちゃんのこと。……時間だし、行ってくる」スクッ
にこ「う、うん。行ってらっしゃい」
ガチャッ
バタン
にこ「頑張ってね、か……」
にこ「実は今日、予定が……」
にこ「はい……はい」
にこ「……分かりました」
にこ「……はい。よろしくお願いします」ピッ
にこ「……はぁ」
にこ「やっぱり辛いなぁ……辛いよ……」ジワッ
にこ「真姫ちゃんが、羨ましいよ……」
ガチャッ
真姫「ただいまー。にこちゃー……ん?」
真姫「置き手紙……なになに、今日の晩ご飯は作り置きしておいたから食べてね、にこにーは今日夜遅くなるけどちゃんと真姫ちゃんのところへ帰ってくるからねはぁと……」
真姫「夜遅くなるって、そんなに過酷なレッスンでも–––––」
真姫「……元々、アルバイトの予定があるって言ってたわよね」
真姫「レッスンの後、アルバイトに?あるいは–––––」
真姫「……」
真姫「にこちゃん、まさか……」
にこ「ただいまー…真姫ちゃーん…」ガチャッ
真姫「やっと帰ってきたわね。この大バカにこちゃん」
にこ「……へ?な、何?どうしたのいきなり?」
真姫「いいから早く来なさいよ!」グイッ
にこ「ちょ!?ちょっと!なんなのよ!?」
真姫「はい!さっさと座る!」
にこ「は、はい……って、だから一体なんなのよ~!」
真姫「にこちゃん。私はまどろっこしい真似は嫌いなの」
にこ「は、はぁ……」
真姫「だから単刀直入に聞くわ」
真姫「にこちゃん。今日のレッスン、サボったんでしょ?」
にこ「っ……!」
真姫「……図星ね」
真姫「私の知ってるにこちゃんなら–––––たとえ予定があったとしても、アイドルを優先する筈だけど」
にこ「な、何よそれ!まるで知った風な口を」
真姫「にこちゃんは誰よりもアイドルが好きで、アイドルに一途で、アイドルに対して、とことんバカだった。知った風な口、ですって?今のあなたの方がよっぽど知った風な口をしてるわよ!」
にこ「なっ!」
真姫「ハッキリ言わせてもらうわ。にこちゃん……実はもう、アイドルを諦めたがってるんじゃない?」
にこ「っ!」
真姫「いつまで経っても、下っ端の下っ端で……どれだけ頑張っても日の目を見れなくて。もうアイドルなんて、嫌に–––––」
にこ「あんたに……」
にこ「あんたににこの何が分かるっていうのよ!!」
にこ「どれだけ頑張っても、報われなくて……もう頑張ることさえ辛いのよ……!苦しいのよ!アイドルって何?アイドルって、こんなに苦しいものなの?って、毎日毎日、ずっとそんなことを考えて……もう、もう……」ポロポロ
真姫「ねぇ、にこちゃん。にこちゃんはなんでアイドルになりたいの?」
真姫「一流のアイドルになって、ステージで歌って踊りたいから?有名になって、チヤホヤされたいから?」
真姫「周りと比べて自分はすごく可愛い人間だと思われたいから?それとも……」
にこ「ち、違う!そんなんじゃない!」
真姫「じゃあ、何なのよ?」
にこ「それは……」
真姫「……昔ね、1人になってもアイドルを続けていた小さくて小生意気な先輩に、聞いたことがあるの。なんでアイドルになりたいのか?って」
にこ「え……?」
『そ!笑顔よ!』
『私は、世界中のみんなを笑顔にしたい!だからアイドルを目指すのよ!』
『アイドルっていうのはね、笑顔を届けるのがお仕事なのよ!例えばこんな風に……』
『にっこにっこにー♪』
真姫『ぷ。またそれ?ほんと飽きないわね』
『とかなんとか言っちゃってー!真姫ちゃん笑ってるじゃない!』
真姫『ゔぇぇ!?違うわよ!これは苦笑い!』
『苦笑いも同じようなものでしょー!笑ってるじゃない!』
真姫『違うわわよ!全然!』
『同じよ!』
真姫『ちーがーうー!』
『おーなーじー!』
真姫『違う!』
『同じ!』
真姫『『あはははははは!』』
真姫『まったく、なんでこんなくだらないことで言い合ってたんだろ』クスクス
『ほんとほんと。なんでこんなことで……ってほら!こんどこそ笑った!』
真姫『あ……ほんとだ……』
『ふふふ。笑顔って素晴らしいわよね』
真姫『え?』
『だって、笑顔の真姫ちゃん、とっても可愛いかったわよ?』ニヤニヤ
真姫『ゔぇぇ!?///突然なによ!?』
『真姫ちゃんだけじゃないわ。人間っていうのはね、笑顔の時が一番輝いて見えるの。だから私は、みんなを笑顔にして、この世界をキラキラ輝かせたいの!だから私は……アイドルになりたいの!』
真姫「あの時………夢を語っていたあの人は、すごく輝いて見えたわ。どんなに高い宝石よりも、ずっとキラキラしていた」
にこ「真姫ちゃん……」
にこ「にこにとって、アイドル……」
にこ「……」
にこ「すぅー……」
にこ「にっこにっこにー♪笑顔を届ける矢澤にこにこー♪」
にこ「……なんか久しぶりにやったわね。にっこにっこにー、って……」
にこ「ずっと忘れてた。研修生になってからは、みんなに負けたくないって気持ちばかりで。なんでアイドルになりたいのかなんてこと、すっかり忘れてた」
にこ「でも、今やっと思い出した」
にこ「にこは……にこがなりたいのは!この世界に笑顔を届けて、みんなをニコニコの笑顔にするスーパーアイドル!」
真姫「ふふ……そうよ。ようやく目が覚めたみたいね。矢澤センパイ」ニッ
にこ「グスッ……ばーか!センパイ禁止よ!バカマキっ!」ウルウル
真姫「別に、感謝されるようなことはしてないわよ。私はただ、昔にこちゃんに言われたことをそっくりそのまま返しただけで、むしろ感謝したいのはこっちのほうなんだから」
にこ「え?」
真姫「覚えてない?昔、にこちゃんが私に言ったこと」
にこ「えっと……」
真姫「……あんたは何で医者になるの?」
にこ「……あ!」
真姫「思い出したみたいね」
真姫「あの時は……まだ答えが出なかったけど」
真姫「にこちゃんと出会って、にこちゃんの夢を知って……やっと答えを見つけ出せた」
真姫「今なら、答えることが出来る」
にこ「笑顔を……思い出させる……?」
真姫「患者さんを見ててね……色々分かったことがあるの。重い病気、軽い病気……いろんな病がある」
真姫「病は、人の体も、心も蝕んでいく。そして、笑顔を忘れさせちゃうの」
真姫「だから、私がその人たちの病を治して、笑顔を取り戻させたい。もう一度、飛びっきりの笑顔が出来る、元気な体に治してあげたい。それが……私の夢」
真姫「親の意思とか、跡継ぎとか関係ない。私自身が、医者になりたいと思っている」
真姫「……にこちゃん出会わなかったら、人の”笑顔”なんて、きっと気にも留めなかった。医者になることが、夢になることもなかった」
真姫「だから、感謝してるの。にこちゃんに」
にこ「……素敵な夢ね。きっと叶うわ。にこが保証する」
真姫「そううまくいくかしら?」
にこ「大丈夫よ。だって現に、にこの笑顔を取り戻させてくれたじゃない」ニコッ
真姫「ふふ。カウンセリングは専門外なんだけどね?」
にこ「あら、そこいらのカウンセラーよりよっぽどセンスがあるのに。もったいなーい」
にこまき「ぷっ」
にこまき「あはははははは!」
真姫「私だって、一流の医者になってみんなに笑顔を思い出させてみせるんだから」
にこ「じゃあ、約束しよ!絶対に夢を叶えるって」ギュッ
真姫「ええ」ギュッ
にこまき「ゆびきりげんまん嘘ついたらはりせんぼんのーます!」
にこまき「ゆーびきった!」
真姫「ふー……」
真姫「……一週間、かぁ」
真姫「……」ブクブクブクブク……
真姫(短すぎでしょ……)
真姫(もっと一緒に居られたらなー……)
真姫(いっそ、2人で暮らしましょう?)
真姫(なーんて言えるわけないし……)
真姫(あーあー……にこちゃんが、お金で買えたらなー)
真姫(……そんな馬鹿なこと考えても仕方ないわよね。ここは日本だし)
真姫(せめて、この一週間だけは……にこちゃんと居られる時間を、大切にしていきましょう……)
真姫(そして……願わくば、高校時代に伝えられなかった気持ちを–––––)
真姫(一週間という短い時間はあっという間に過ぎていって、いつの間にか最後の日が訪れた)
真姫(明日にはパパが来る。その時にはもう、にこちゃんは帰っているだろう)
真姫「はぁー……」
にこ「なーに溜め息なんかついちゃってんのよ。幸せが逃げていくわよ~?」
真姫「幸せが逃げていく、ねぇ……あながち間違ってなかも」
真姫「にこちゃん、今日だけは泊まっていくのよね?」
にこ「まあ、そうね。明日の朝にはここを出ていくわ」
真姫「そっか……」シュン
にこ「なによー?にこにーと離れ離れになるのが寂しいのー?」ニヤニヤ
真姫「べ、別にそういうわけじゃ……」
真姫「……ねぇ、にこちゃん。最後の日だし……私のワガママ、聞いてくれる?」
真姫「い……いらっしゃい」
にこ「……」ドキドキ
真姫「……」ドキドキ
にこ「……お」
にこ「お風呂に一緒に入ってだなんて、真姫ちゃんってやっぱり寂しがりやなのね」
真姫「……」
にこ「な、なんか言ったらどうなの!?」
真姫「……だって、否定は出来ないもの」
にこ「そ、そっか……」
にこ(なんか、妙にしおらしくて調子狂うんですけど……)
にこ「そ、そうね」
真姫「狭いけど、居心地はわるくないわ」
にこ「……真姫ちゃん、なんで急に、一緒にお風呂に入ってなんて言ったの?」
真姫「最後の日だし……にこちゃんと一緒にいられる時間を増やしたかったから」
にこ「や、やけに素直ね……」
真姫「努力しているからね。言っておくけど、寝るのも今日は一緒だからね」
にこ「はいはい。真姫ちゃんってばほんと寂しがり屋さんね~」
真姫「……あのさ、にこちゃん」
にこ「ん?」
真姫「どうせなら、今やってるバイトやめて……私のところにずっといなさいよ」
にこ「うぇ!?そ、それは……」
真姫「給料も断然いいし、寝床もお風呂もぜんぶ無料で提供する。時間に余裕が出来るから、アイドルにも専念出来るし。そこら辺のアルバイトなんか目じゃないほどの好待遇よ?」
にこ「う……で、でも……」
真姫「……なーんてね。冗談よ。言ってみただけ」
真姫「分かってる。私たちはこれから、1人で自分の夢に向かって歩いていかなくちゃならないってことくらい」
真姫「ただ……」
真姫「最後に、ちょっとだけ……甘えてみたかっただけよ」
にこ「真姫ちゃん……」
真姫「私は全然窮屈じゃないけど」ギュー
にこ「そりゃ真姫ちゃんは抱きしめる側でにこは抱きしめられる側だからね」
真姫「にこちゃん、私、お話しがしたい」
にこ「何を話すのよ?」
真姫「昔話。ていうか、μ’sの話。みんなの話とか。とにかく色々」
にこ「μ’sの話、かぁ。ふふ。いろいろありすぎて……なんかすっごく長くなりそう。もしかしたら真姫ちゃん、今夜は眠れないかもよ?」
真姫「いいわよ。むしろ今夜は、寝かせないつもりなんだから」ギュッ
にこ「とことん甘えたいってわけね」
真姫「悪い?」
にこ「全然。むしろ嬉しい」
真姫「じゃあ、何から話そっか?」
にこ「そうね……じゃあ、まずは–––––」
にこ「ふわぁぁ……すっごく話したわね……昔話でこれだけ語れるってすごいわね」
にこ「って、寝かせないって言ってた割には真姫ちゃんもう寝ちゃいそうじゃない」
真姫「眠くなんかないし……」ウトウト
にこ「ウトウトしてるくせによく言うわね」
真姫「にこちゃん……」
にこ「なぁに?」
真姫「にこちゃんが卒業してから、にこちゃんにずっと会えなくて、連絡もとれなくて……ずっと寂しかった……」
真姫「だから…久しぶりににこちゃんに会えた時、すっごく嬉しかった……」
真姫「にこちゃんが少しの間、私と一緒に居てくれることになって……また嬉しくなって……」
真姫「にこちゃんと一緒にいる時間は……本当に幸せだった……」
真姫「この幸せは手放したくない……私はにこちゃんとずっと一緒にいたい……だけど……それは私のワガママ……」
真姫「私はもう……子どもじゃないから……ワガママは卒業しなきゃいけないの…」
真姫「だから……」
真姫「頑張って……ね……にこちゃ……応援……してる……から…………」
真姫「……」スー…スー…
にこ「……ありがと。真姫ちゃん」
にこ「私も真姫ちゃんのこと、応援してるからね……」ナデナデ
にこ「おやすみなさい。真姫ちゃん」チュッ
真姫「zzz……」スヤスヤ
にこ「zzz……」スヤァ
ピンポーン
真姫「ん……」ゴソゴソ
ピンポピンポーン
真姫「うるさいわね……」モゾモゾ
ピンポピンポピンポーン
真姫「無視無視……」ゴロン
「真姫ー!開けなさーい!!」ドンドン
真姫「ゔぇぇ!?ぱ、パパぁ!?」ガバッ
真姫「今何時だと思ってるのよ!いくらなんでも早すぎでしょ!」
真姫「にこちゃん!起きて!」ユサユサ
にこ「ふぇぇ?なによぉ?」ゴシゴシ
真姫「パパが来たの!悪いけど……ちょっとの間だけ隠れてて!」
真姫パパ「おお!やっと空いたか!」
真姫「パパ!今何時だと思ってるのよ!?早すぎよ!」
真姫パパ「いやー、すまんな。少し予定が入ってしまって……こんな時間にしか来れなくなってしまってな」
真姫「だったら無理して来なくても……」
真姫パパ「そうはいかんさ。この目できちんと確かめなくてはならないからな。真姫の生活がきちんと正されているかどうかを……」
真姫パパ「な、なんだこれはぁ!?」
真姫「どう?」ドヤァ
真姫パパ「部屋が……一週間前とは全然違う!輝いて見えるではないか!」
真姫パパ「凄いぞ!真姫!よくここまで綺麗にした!」ジーン
真姫「ふっ。当然よ。私の手にかかればちょろいもんよ」ドドドヤァ
にこ(潜伏中)(堂々と胸張って嘘ついたわね。誰が掃除してあげたと思ってるのよ誰が)
にこ(しかし……あれが真姫ちゃんのパパね。初めて見たけど……)
にこ(真姫ちゃんにそっくりね。雰囲気が)
真姫「昨日(にこちゃんが)作ったやつのあまりがあるけど、食べる?」
真姫パパ「なんだと!?食べる!食べるぞ!」
真姫「はい」
真姫パパ「」パクッ
真姫パパ「」モグモグ……
真姫パパ「……うまい」
真姫パパ「美味しいぞ!真姫!」
真姫「ふふ。口にあって何よりだわ」
にこ(ありがとうございまーす)
真姫パパ「真姫……何時の間にか、料理も出来るように……成長したんだな……!」ジーン
真姫「まあね」ドヤッ
にこ(だまされちゃダメよパパさん。その子本当は料理も掃除も出来ないから)
真姫パパ「うむ。そうだな。これだけ出来ていれば、一人暮らしを継続させてもいいな」
真姫パパ「だぁが!これで終わりではないぞ!真姫!」
真姫「終わりじゃないって……どういう意味よ?」
真姫パパ「そのままの意味だ。今はこうして、私の警告があったから部屋を綺麗にし、食生活を正したが……」
真姫パパ「これから先、また部屋が散らかり、食生活が乱れるかもしれん。つまりだ、今の正しい食生活と部屋の清潔さを保っていかなければならないということだ!」
真姫「ゔぇぇ!?」
真姫パパ「とりあえず、今日は合格だ!いずれまたここに来るぞ!しかも今度は何時来るかの予告は無しだ!もし次来た時に部屋が汚なかったり食生活が乱れていた場合は……即自宅通いになってもらう!」
真姫「ゔぇぇ……」
真姫パパ「おっと。そろそろ時間だ。私はもう行かねばならん。次会える日を楽しみに待っているぞ!真姫!」
ガチャッ
バタン
にこ「まーきちゃん♪」ヒョコッ
真姫「にこちゃん!」
にこ「隠れながら聞いてたわよ~?真姫ちゃんのパパ、またチェックしに来るらしいわね~」
真姫「ま、まあ……」
にこ「真姫ちゃんのことだし、すぐに部屋を散らかすだろうし、カップ麺ばっかり食べるようになっちゃうわよね~間違いなく」
真姫「うっ……」
にこ「でも、にこがいればそんなこと無いわよね?」
真姫「え……?それって……」
にこ「延長……してあげてもいいけど?」
真姫「にこちゃん……!」パァァ
真姫「じゃ、じゃあ延長!延長しちゃうんだから!」
にこ「まったくー!仕方ないわねー!」
真姫「にこちゃん!」
真姫「これからも……よろしくね!」ニコッ
にこ「うん♪よろしくっ♪真姫ちゃん♪」ニコッ
だけどやりたいことやり残したことがあるから暇があれば書きたい
このニヤニヤな気持ちが一生続けばいいのに
しかし普通に楽しめた
続き待ってるよ>>
素敵なにこまきをありがとう
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