【ラブライブ!】ことり「・・・なんて」
- 2020.03.30
- SS

結局バレてしまったけど、私がミナリンスキーだった事も言え無かったし。
留学の件も中々言い出せず、みんなに迷惑をかけてしまった。
それに、今朝お皿を割った事もまだお母さんに言ってないし。
コンビニの店員さんにお釣りが少なかった事も言ってない。
臆病なんだ私は。
けど、今日の私は違う。
スマートフォンがプルプルと震えて画面を見る。
海未ちゃんからだ。
内容はもうすぐ着きます。
それを見終わると同時に喫茶店の音楽が変わる。
さっきの曲はジャズが流れていたけど、今はラブソングだ。
それに出だしの歌詞があなたが好きだ。愛してる。
海未ちゃんに告白しようとする私を応援しているかのような。
シンプルでストレートな歌詞だ。
告白が成功するんだよって。
そういえば今日の占いもそうだ。
新しい恋の発展有り。
それに、ラッキーアイテムはカフェオレだ。
今、思い出したけど運良く喫茶店にいる。
偶然に偶然が重なった。
今度ははっきりと神様が今日は成功すると言ってるの感じた。
海未「あっ!ことりー!」
海未「すみません。バスが遅れてました。待ちましたか?」
ことり「う、ううん。そんなことないよ!」
あぁ、今日はやめとこう。
また今度告白しよう。
海未ちゃんを見たらやっぱりこうなってしまう。
人一倍臆病な私はまた先延ばしにしてしまう。
海未「ことり、何か頼みましたか?」
ことり「オレンジジュースだけ」
ここで、しまったと思った。
私が頼んだのオレンジジュースって!
ことり「あ、ううん。カフェオレじゃないなぁって思って」
海未「・・・?また頼みます?」
ことり「うん、そだね!」
海未ちゃんは店員さんを呼んでカフェオレとウーロン茶を頼む。
今日は告白しないけどもしかしたらカフェオレを飲むと何か発展があるかもしれない。
海未「はぁ、暑くなりましたね」
ことり「だねー。練習辛くなりそうだね」
ことり「蒸し暑くなるの嫌だねー」
海未「あ、ことりそのヘアゴム。新しいの付けてます?」
ことり「あっ、うん!この前買ったばっかりで今日付けるの始めて」
海未「かわいいですね!よく似合ってますよ!」
ことり「ほ、本当?」
海未「えぇ、本当です!かわいいです!」
ことり「ありがとう!」
ちょっとでもなく少しでもなく。
凄く照れる。
海未「あ、来ましたよー」
海未「喉渇きましたー」
ことり「私もー」
海未「オレンジジュース飲んだばかりなのにですか?」
ことり「うん」
海未ちゃんと二人きりの時限定で、今みたいに会話が少し適当になることがよくある。
海未ちゃんと二人きりの時はどうしても緊張してしまって、何も返す言葉が見つからない時、つい同意をしてしまい私もーと言ってしまう。
緊張していないように見えて。
意外と緊張しているんだ。
海未ちゃんが笑うと頭があぁんもう可愛い!で埋め尽くされてしまう。
その言葉を掘り返す沈黙の時間よりも早く返さなきゃって思ってつい同意をしてしまう。
海未「最近のことりの口癖ですね」
指摘されてしまったのは何回もある。
ことり「あはは・・・そうかな?」
その度にごまかしてしまうけど。
ことり「えっ?・・・うん!」
音ノ木坂 オシャレな喫茶店でネットで検索したのは内緒にしておこう。
それに始めて来た。
海未「流石、ことりですねー。私お店探すのあまり得意じゃないですから」
ことり「あ、ありがとう!あのね海未ちゃん」
海未「はい?」
ことり「海未ちゃんも。その。かわいいよっ!」
海未「な、何でか急に照れますぅ」
海未「そ、そうですか。ありがとうございます」
これじゃあ仕方無しに可愛いって言われたから海未ちゃんにも可愛いって言い返さないと、言ってるように聞こえるんじゃないかなぁと少し不安になる。
ことり「あはは・・・」
海未「あはは・・・」
海未「そ、それにしても暑くなりましたねー」
二回目だ。
海未ちゃんは明らかに照れている様子で可愛いかった。
でも、これは好きな人から可愛いって言われて照れるんじゃなくて。
友達から可愛いって言われて照れてるんだと知っている。
思えば私達は女の子同士で私自身が告白する事自体が普通じゃないわけで。
海未ちゃんが私の事を好きになるわけが無かった。
女の子同士。
考えないようにしてたんだけど、やっぱり同じ性別だと言うことが私を鎖で縛ったままだ。
だからなんだと開き直った事もあるけど、長くは続かない。
告白して友達と言う関係は崩れると言うより普段のように仲良くは出来ないと思う。
それを壊してもいいのかと聞かれるとそれも無理だ。
まるで、磁力の弱い磁石みたいで。
あっちに引き寄せられたと思ったら次はこっちに引き寄せられる。
普通でない私を知った時。
姿を表した私を知った時。
海未ちゃんは私の事を嫌いにならないでくれるのだろうか?
海未ちゃんの心が読めたならどれだけ良い事か。
海未「お砂糖入ってないですよ」
ことり「にがぁー」
海未「もう、はい。入れてあげます。二杯で良かったですよね?」
ことり「う、うん」
海未「どうしたんですか?何だか急に元気がなくなったように見えますが」
ことり「だ、大丈夫だよ!あ、苦かったからそのせいだよぉ~」
海未「そうですか、それなら安心です」
差し出されたカフェオレを全部飲み干し口の中の苦味を消す。
海未ちゃんはいつの間にかもう全部飲み干してしまっていた。
ことり「ふぅー」
海未「どうですか?二杯で良かったです?」
ことり「うん!ありがとう」
海未「あの、ことり。寒くないですか?」
ことり「えっ?寒くないよ?」
海未「なんだかここ、クーラー効きすぎていて、少し寒いですねー」
ことり「外出よう?」
海未「すみません。あんまり体を冷やすと明日の練習に響くので」
ことり「ううん。大丈夫だよ。今の時間なら外涼しいと思うし」
海未「やっぱりことりは優しいですね」
ことり「そ、そうかなぁ?」
海未「はい。じゃあ行きましょうか」
ことり「うん!」
会計を済ませて喫茶店をでる。
外は少し暗くなっていて、私が言ったとおり涼しかった。
ことり「いいよー」
本来ならばもう帰る時間何だけど、海未ちゃんが折角誘ってくれたんだから行く。
ここから少し歩いた所にすべり台とベンチが二個置いてある小さな公園があって、私と穂乃果ちゃん海未ちゃんの三人はよくここで話していた。
海未「昼間の暑さはどこ行ったんですかねー」
ことり「だねー」
カップルとすれ違う。
私達もあぁ見えるのかなぁと考えたけど、女の子二人だ。
ただの友達でしか見られない。
・・・ただの友達だけど。
海未「ですね。でもたまにはいいと思いますよ」
ことり「うん、そうだね」
海未「あっ、着きましたー」
ことり「今日は誰もいないね」
海未「えぇ、良かったです。じゃああそこに座りましょう」
ことり「うん!」
私と海未ちゃん二人共ベンチに座る。
三人の時は二人しか座れないベンチに三人無理矢理座るのでギュウギュウだけど、今はゆったりくつろげる広さだ。
ことり「うん、いつもは真ん中に穂乃果ちゃんが座るもんね」
海未「ですね・・・ねぇことり」
ことり「うん、何?」
海未「私達の学校でカップルいるんですって」
ことり「えぇっ!?先生と生徒?」
海未「女の子同士です」
ことり「そっかぁ・・・」
海未「どう・・・思いますか?」
海未「ですよね!私もそう思います!」
ことり「うん!」
海未「でも、私達の学校で女の子同士のカップルだなんて凄いですねー」
二組目になろう!だなんて当然言えない。
海未「私とことりが付き合っても不思議じゃないって事ですよね。これって」
ことり「うん・・・うん?」
海未「不思議じゃないって事ですよね?普通って事なんですよね。好きになってしまったんですから」
遠回しだけど確かな告白。
海未ちゃんの方を見れない。
顔が赤くなっていると鏡もないのにわかる。
ひょっとしたらこれは日常的な会話で私が身近にいるから海未ちゃんと私が付き合ってもおかしくないと言っただけなのかもしれない。
海未「ですよね・・・」
ことり「・・・うん?」
海未「あのぅ。ことり」
ことり「ひゃい!」
海未「これから言う事を聞いても私を嫌わずにいてくれますか?」
ことり「き、嫌わないよ!」
もちろん心の準備はまだだ。
それに申し訳ないなと思った。
海未ちゃんにこんな勇気がいる事を言わせてしまう自分が情けなかった。
心臓の音が聞こえる。
私のか海未ちゃんのかそれとも二人のか。
海未「あの。これから言う事を聞いて。私の事を嫌わずにいてくれますか?友達のままでいてくれますか?」
ことり「・・・うん」
ぴちょんと雨が降ってもいないのに雫が落ちる音。
海未ちゃんは泣いているのだとすぐに分かった。
同じ異性が好きになって、今までの関係を壊したく無いけど気持ちは収まらない。
水のように押さえつけると溢れ出してしまう。
海未ちゃんごめんなさい。
ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
海未ちゃんにこんな大事な事言わせてしまって。
私から言って海未ちゃんを喜ばせてあげたいけれど今の私は緊張で何も言う事は出来ない。
海未「ことり・・・。私、ことりの事が好きになってしまいました。ごめんなさい」
まるで自分が悪いかのように言う海未ちゃんの声は震えていた。
私は言葉を探したけれど海未ちゃんを安心させる言葉が見つからなくて、でも黙ったままだと海未ちゃんに申し訳なくて反射的に出た言葉が。
ことか「私もー」
しまった。
何でこんな間抜けな返事をしてしまったのだろうか。
ことり「わ、私も海未ちゃんの事が好きだよ!!!」
さっきの返事を煙に巻いて強く言う。
海未「ほ、本当ですか?」
ことり「うん!・・・好き」
海未「ありがとうございます・・・ことり好きです。大好き」
ことり「私も・・・」
ここで海未ちゃんの顔を始めて見た。
目に涙を浮かべて、愛おしくてしばらく見つめあった。
本来ならばここでキスをすると思うけど、私達は違くて何もせずに立ち上がった。
ことり「私達、二組目のカップルだね!」
海未「ことりも私の事・・・」
ことり「うん!好きだったよ!」
ことり「私も驚いちゃった」
海未「良かった・・・。良かった~」
海未ちゃんはまた泣き出した。
ことり「海未ちゃん泣かないでっ。さぁ帰ろ?」
いつの間にか暗くなっていて、お母さんが心配してしまう。
海未「うぅ・・・すずっ。はい!」
私達は二人並んで歩いていて、お互い恥ずかしくて特に会話は無いけどいい時間だ。そう思った。
あんなに勇気を振り絞って告白してくれた海未には本当に申し訳なく思ってる。
泣いて告白してくれた海未ちゃんは私よりも何倍も強くて私と同じように悩みながら過ごしていた。
小指に優しい圧迫を感じる。
ことり「・・・!」
握られてるんだ海未ちゃんに。
子供みたいな繋ぎ方だけど、とても心地良い。
緊張しているのだろう。
だから私は海未ちゃん手をしっかりと握りしめた。
これからは私が海未ちゃんを支えなきゃ。
でも、私は海未ちゃんより強くはない。
ことり「海未ちゃん。ありがとう。私の事を好きになってくれて」
海未「いえ、私の方こそ・・・」
ことり「これからよろしくね!」
海未「・・・はい!」
まだ手は震えていた。
卑屈で臆病な私でも海未ちゃんの震えるその手をほんの少しだけ止める事が出来るのだろうか。
・・・なんて。
おわり
穂乃果「汚れた世界」
花陽「無我夢中」
凛「MagicAppleLoop」
自作です読んでくれると嬉しいです
乙
まだ1年前だけどすごく懐かしく感じる
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