【ラブライブ!】男「ほ、星空ッ…!」凛「!?」
- 2020.04.03
- SS

凛「…!」
男「あ…あぁ、えっと…俺は…」
花陽「あのっ!」
男「!」クルッ
花陽「凛ちゃんに…何か用ですか?」
男(小泉…か)
男「あ、いや特に用って事は…」
花陽「…」キッ
花陽「…帰ってください!」
男「え…?」
花陽「いいから!帰ってください!」
――――――
――――
――
―
小学生の頃、俺は悪ガキだった
イタズラや意地悪と言えば可愛く聞こえもするが
善悪の判別が難しい小学生の場合、それを容易く乗り越えるときがある
当時の俺はそんな事も分からず
イタズラと言う名の迷惑行為を行い
意地悪と言う名の暴言を吐いていた
された相手の気持ちなんて考えもせずに
足が早かったり
運動が出来たり
面白かったり
声の大きいものが幅をきかせるというか
ものすごくシンプルな理由でクラスの中心人物になったりする
自分勝手に振る舞い、声が大きかった俺は例に漏れずクラスの中心的な存在だった
よくある親の仕事の都合ってやつだ
新しい環境、新しい人間関係になるのにも関わらず
またクラスの中心になれるだろう、と
何の根拠も無く当時の俺はそう思ってた
孤立した
それもそのはずだ
小学校の時のノリのまま勝手気ままにやってれば
次第に周りは距離を取りはじめる
俺は何故そうなるのか分からずそのノリを続けた
結果、同級生の集団に呼び出された
お前の行動ズレてるよ
いつまで小学生やってんだよ
少しは他人の事考えろ
拳よりその言葉が痛かった
自分の行動を客観的に見る、考えると言う事を覚えた
しかし同時に、人にどう接すれば良いのか分からなくなってしまった
まるで自分は孤独なやつではなく自ら選んでいるだけだ、と
自分に予防線を張るかのように
そして、高校1年の秋――
担任「よぉーし!今日は席替えするぞー!」
「やったー!」
「絶対後ろの席になってやる!」
男(…盛り上がってるな)
男(…それもそうか。席替えと言えば仲の良い友達と隣になれたり好きなあの娘の隣になれるかもしれないワクワクイベントだ)
男(俺も昔は席替え楽しみだったなぁ…)
男(まあ、今の俺には何の面白味も無いイベントだ)
男(やった、1番後ろの窓際だ。隣と後ろに人がいないと気持ちが楽で良い)
メガネ「ややっ!後ろの席は男君か!」ガタッ
男「!」
男「…う、うん…」
男「こ、こちらこそ…よろしく…」
メガネ「ん?君の携帯についているそれ…」
メガネ「μ’sのロゴキーホルダーじゃないかい!?」
男「え…」
このキーホルダーは親が買って来たものだ
なんでもこれから有名になるスクールアイドルのグッズだから持ってて損はないぞ、とか言ってたかな
スクールアイドルにさして興味は無かったけど、せっかく買って来たし何気無く携帯に付けていた
メガネ「そう!そうだよ!」
メガネ「うわー!こんな所にもμ’sが好きな人がいたのかぁ!」
男「いや…えっと…俺は…」
メガネ「いや~クラスの皆はA-RISEが好きだし男君がμ’s好きで嬉しいよ!」
でも、これはある意味チャンスではないのか?
高校に入学して5ヶ月、友達言える人がいない俺にとって、友達が…出来る…
男「…うん」
メガネ「うんうん!ちなみに何の曲が1番好きなんだい?」
男「え…」
男「そう…ぼ、ぼららら?が好き…かな」
メガネ「おぉ!好きな曲まで一緒なんて!僕達気が合うんじゃないか!?」
男(ほっ…良かった…何とかなった…)
男「うん…今日は空いてるよ」
メガネ「今ラブライブ出場をするためにμ’sがライブを頻繁に開催していてね!」
メガネ「今日もライブをするみたいなんだ!」
メガネ「良かったら一緒に見に行かないかい!?」
でも、そんな事は言ってられない
せっかくのチャンスなんだ
男「えっと…うん…行こう」
メガネ「よぉし!決まりだね!」
男「…うん」
ピロピロリン
男(親以外で初めての連絡先…)
メガネ「これでよし!それじゃあ放課後!」
メガネ「いよしっ!終わったぞ!」クルッ
メガネ「では男君!早速行こうか!」
男「そうだね」
――
―
ガタンゴトン
メガネ「ところで男君はライブに行くのは初めてかい?」
男「う、うん…行ったこと無い」
男「チケット…とか無くても大丈夫なのかな…?」
メガネ「チケット?あぁ、要らない要らない!」
メガネ「今から行くのは路上ライブだからね!」
メガネ「だから必要ないかな」
男「…そうなんだ」ホッ
秋葉原~秋葉原~
メガネ「おっ、着いたみたいだね!ここで降りるよ!」
男(秋葉原か…)
男(しかし、あの頃と比べると随分と変わったもんだなぁ)
男(より活気に溢れてて…俺とは違って良い変わり方をしてる…)
男「!」
メガネ「どうしたんだい?急に立ち止まって」
男「あ、あぁ…ごめん…ちょっと考え事をしてて」
メガネ「急がないと始まってしまうよ!ダッシュだ!ダッシュ!」ダッ
男「…うん」ダッ
メガネ「ふぅ…!どうやら間に合ったようだな」
男「そうだね」
男(…あまり人はいないみたいだな)
男(路上ライブだからかな…)
メガネ「そうそう男君!」
男「…ん?」
メガネ「ライブと言っても今回は路上だからね!」
メガネ「軽くサイリウムを振るくらいならOKだけど、あまり騒ぎ過ぎないようにね!」
男「…わかった」
メガネ「今回は僕のを使いなよ!一応メンバー全色分持ってるんだけど、何色が良い?」
男「え、えっと…」
男(メンバー全色…?人によって色が違うって事なのか…?)
男(…)
男「君は…何色を使うのかな…?」
男(青…という事は…赤もありそうだな)
男「あ、赤…とか、あるかな…?」
メガネ「赤か!モチロンあるよ!」パッ
メガネ「はい」スッ
男「ありがとう…」ホッ
メガネ「ふふふ…男君ってああいう娘が好みなんだな…」
男「?」
メガネ「あぁ、いやいやコッチの話だ!」
メガネ「お!もうそろそろライブが始まるようだ!向こうを向いた向いた!」
男「う、うん…」
「皆っ!今日は来てくれてありがとうっ!」
男(へぇ…μ’sって結構メンバー多いんだ…)
男「!」
男(あれは…!)
男(小泉と…星空ッ…!?)
小泉とはそんなに話した事はないのだが、星空とはよく話していた
いや…話していた、と言うと語弊があるな
男(…)
男(いや…見間違いだろう…)
男(俺の知っている星空はズボンばかり履いてたからアイドルには興味はなかっただろうし…)
男(小泉は小学校の頃からずっとメガネを掛けていたし…)
男(それに、なにしろ何年も会ってないんだ…)
男(ただ似てる人ってだけかもしれない…)
男(…)
「本日はありがとうございましたっ!」
パチパチパチパチ
メガネ「いや~!今日のライブも良かったな~」
メガネ「初めてのライブはどうだった?男君?」
男「…」
メガネ「男君…?」
男「…!あ、あぁ…楽しかったよ」
メガネ「おぉ!それは良かった!それじゃ帰ろうか!」
男「う、うん…そうだね」
男(結局、彼女達の名前はなんと言うのだろうか…)
メガネ「…」スタスタ
男(彼に聞くか…?)
男(いや…今更聞けないだろ…)
男(…ん?あれは…スクールアイドルショップ…?)
男(…)
男(あそこなら…あるいは…!)
メガネ「ん?どうしたんだい?」
男「この後、この辺でちょっと…用事があって…」
メガネ「あぁーそうなのかい?」
メガネ「それじゃあ僕は先に帰ろうかな!」
メガネ「では男君!また明日!」タッタッタ
男「うん…また…明日」
男(また明日か…ちょっと嬉しいな…)
男(って浮かれてる場合じゃない、スクールアイドルショップに行こう)
イラッシャイマセー
男(うお…すごいなココ…)
男(思った以上になんかこう…すごいな…)
男(あ、これは彼が学校で言ってたA-RISEってグループかな)
男(へぇ…確かにキレイな人達だ)
男(隣の棚が…おっ、μ’sみたいだな…)
男(えーっと…μ’sはメンバーごとに色が違うみたいだったよな)
男(俺が振ってた赤色は…西木野さん…?の事を指していたのか…)
男(…!)
男(黄色…星空凛…緑…小泉花陽…!)
男(と言う事は…やはり…)
――
―
スクールアイドルショップ前
アリガトウゴザイマシター
男(しかし…意外だったな…)
男(小泉はまだ分かるが、星空がスクールアイドルをやっていたなんて)
男(なんでスクールアイドルをしてるんだろう…気になるな…)
凛「かよちんはやく来るにゃ~!」タッタッタ
男「!」
男(まさかまた会う事が出来るとは…)
男(どこかに向かっているようだが…)
男(このままだと…行ってしまう…!)
男(…)
凛「!?」
男「ひ、久しぶり…だな…」
凛「…!」
男「あ…あぁ、えっと…俺は…」
花陽「あのっ!」
男「!」クルッ
花陽「凛ちゃんに…何か用ですか?」
男(小泉…か)
男「あ、いや特に用って事は…」
花陽「…」キッ
花陽「…帰ってください!」
男「え…?」
花陽「いいから!帰ってください!」
そりゃそうだ…
小学校の同級生とたまたま会って昔を懐かしみながら仲良くお話…?
何を都合の良い事を考えてるんだ俺は
こんなのどう考えたって不審者のそれだ
数年も会ってないんだ
俺は分かってても、向こうが分かる訳がない
あの頃の俺と今の俺は…似ても似つかないんだから
ダッダッダッダ
男(恥ずかしい…穴があったら入りたい…!)
男(あの頃と変わったのに)
男(嫌な所は全く変わってない…!)
男(くそ…)
ダッダッダッダ
花陽「…」
――
―
タッタッタ
男(ここまで来れば…大丈夫…かな…)
男(ふう…)
男(…)
男(帰ってください…か…)
男(ライブに来てたって気付かれてたのかな…)
男(ここらじゃあまり見ない制服だし、目立っちゃったか…)
男(…当分ライブには行きづらいな…)
男(はあ…)
男(帰ろう)
結局あの日の出来事があった後から今まで俺はライブに行けずにいた
キーンコーンカーンコーン
メガネ「ん~!今日もやっと学校が終わった…!」クルッ
メガネ「なあ男君!明日の放課後、空いてるかい?」
メガネ「またμ’sが路上ライブをするみたいなんだけど、一緒に行かないかい!?」
男「あ…ご、ごめん…明日は用事があって…」
メガネ「そうかい…最近なかなか予定が合わないねぇー…」
男「つ、次は行けるように空けておくから…」
メガネ「まあ予定があるなら仕方ないからね!また今度声を掛けるとするよ!それじゃ!」タッタッタ
男「うん…バイバイ」
スタスタスタ
男(何回目だよ…彼の誘いを断るのは…)
男(声を掛けてもらったのに…心苦しい…)
男(…)
男(せっかく出来た友達を自分の都合で遠ざける…)
男(ほんと何がしたいだろうな…俺…)
花陽「男君!」
男「こ、小泉…?」
男(どうして小泉が…ここに…?)
花陽「話が…あるの…!」
花陽「うん…男君に…!」
男(…十中八九、この前の事…だよな…)
男「近くに…公園があるんだ」
男「ここじゃあ何だし…そこで話をしないか…?」
花陽「…」コクン
男「そ、それじゃあ…こっちだから、付いて来てくれ…」スタスタ
花陽「…」
花陽「…」トッタッタッタ
――
―
公園付近
男(ん…?そう言えばさっき俺の事名前で呼んでたよな…?)
男(俺の事…誰かから聞いたのか…?)トコトコ
花陽「…」トコトコ
男(いや…今はそんな事考えてる場合じゃない…)
男(ちゃんと…謝らないと…)トコトコ
男「そこの角を曲がったら公園だから…」
花陽「…うん」
男「着いたよ」
花陽「…」
男(こうなったらもう腹を括るしかない…!)
男(深呼吸…)
男(深呼吸だ…)
男(…)
男(よし…!)クルッ
男「「この前はごめんなさいっ…!」」花陽
男「「えっ…?」」花陽
花陽「男君の方こそ…」
男「…」
花陽「…」
男「俺は…ほら…いきなり話しかけて怖がらせたと言うか…」
男「完全に…不審者だったし…」
花陽「…!」
花陽「ち、違うよ!私…男君って気付いてたから…」
男「えっ…?」
花陽「話を…聞いて…!」
――
―
花陽「あの日、路上ライブに来てたでしょ…?」
男「…うん」
花陽「あのときから私…男君って気付いてたの…」
男「…!」
花陽「あのときは人も多くなかったし…あんまり見ない制服だったから」
男「…そうだったんだ」
花陽「うん」
花陽「…」
花陽「あの日のライブが終わった後にね、凛ちゃんと一緒にラーメン屋さんに行こうってなったの」
花陽「凛ちゃん久しぶりのラーメンだー!って言って走っていっちゃって」
花陽「私は凛ちゃんの後を追いかけてたの」
花陽「そのときに…また男君に…会ったの」
男(俺が丁度スクールアイドルショップを出たときか…)
男「なのに…俺はいきなり話かけた訳だし…」
花陽「ううん!…凛ちゃんもね…気付いてたよ」
花陽「…男君のこと」
男「えっ…?」
男(星空が俺だと気付いていた…?)
男(あの時、話しかけたときの焦りようを見る限り気付いているようには見えなかったが…)
男「なら…どうして…あんなに…?」
男「小泉…?」
花陽「…!」
花陽「…」
花陽「男君…あのねっ…!」
花陽「…男君、小学校の時に凛ちゃんとよくお話してたよね…?」
よく話していた…いや違うな
正確には俺の方から一方的に絡んでいた、と言った方が適切だろう
だって…俺は…
男「…」
男(良く…覚えている…)
花陽「そのとき男君がスカートを履いてるのを珍しがってたでしょ…?」
男(…覚えている)
花陽「それをね…凛ちゃん、最近まですごく気にしてて…」
花陽「スカートは似合わない…私は女の子っぽくないって…」
男(…!)
花陽「凛ちゃんがあの日の事をまた思い出すんじゃないかって思って…」
男(どこまで…)
花陽「私…男君にひどい事…言っちゃったの…」
男(一体どこまで…ひどい奴なんだ…俺は…!)
×俺君
○男君
自分で自分が心底嫌になるっ…!
最低だっ!とんだ下衆野郎だっ…!
自分の気持ちを分かって欲しかった?
自分自身をなにも分かってない癖にっ…
客観的に自分を見るとか
それっぽい事言って悟ったフリをしておいて
結局、今の今まで女の子1人の気持ちすら理解できてないじゃないかっ…!
花陽「でもね…!凛ちゃんもスクールアイドル活動を通して」
花陽「変わってきてるの…」
花陽「まだスクールアイドルの凛ちゃんとしてでしか…スカートは履けないけど…」
花陽「少しずつ…自分に自信を持ち始めてる…」
花陽「だからね…男君もあまり自分を責め過ぎないで」
花陽「せっかくμ’sのライブにも来てくれたんだし…真姫ちゃんにも…会いたいでしょ…?」
男「…謝りたい」
花陽「えっ…?」
男(危ない…また都合の良い事を考えていた…)
男(謝罪がしたいなんて完全に俺の自己満足じゃないか)
男(少しでも自分の罪の意識を軽くしたい、って言う…)
男(星空はそんな事望んじゃいないだろうし、あの日の事を乗り越えようとしてるんだ)
男(このまま会わない方が…お互い良いだろう…)
男「わざわざこんな所まで来て貰って」
男「…もう暗くなってきてるし、そろそろ帰ろう」
男「駅まで送ってくよ…!」
花陽「…うん」
――
―
駅
男(結局あの後、何の会話もないまま駅についちゃったな)
~マモナク、デンシャガマイリマス~
男「この電車じゃないのか…?小泉」
花陽「…うん」トコトコ
花陽「…」
花陽「…」クルッ
花陽「男君!」
男「ん…?」
花陽「明日…また秋葉原で路上ライブがあるの…!」
花陽「私…待ってるから…!」
男「…」
花陽「じゃあ…また明日…」タッタッタッタ
いや、行ってくれたのかもしれない…
さっきの話を聞いた後で言えるはずがない
「行く」なんて…
男(また明日…か…)
――
―
翌日 学校
キーンコーンカーンコーン
メガネ「それじゃあ、僕はライブに行くけど」
メガネ「男君…本当に行かなくて良いのかい?」
男「えっ…う、うん…ごめん…」
メガネ「いやいや!用事があるって言ってたもんね!」
メガネ「…今度また一緒に行こう!それじゃ!」タッタッタ
男「うん」
男「…」
男(行けるはずが無い…少なくとも今は…)
男(そんな資格…俺には…)
『私…待ってるから…!』
男「!」
男「…」
――
―
秋葉原
男(…)
男(まったく…来てどうするって言うんだ)スタスタ
男(…もうすぐ始まる頃…か)
男(いやいや、なにを考えてるんだ俺は…!)スタスタ
男(…!)
男(スクーアイドルショップ…)
男(…)
イラッシャイマセー
男(まさかまたここに来るとはな…)
男(内装…というか商品の陳列が変わってるな…)
男(ん…?PICK UPスクールアイドル「μ’s」…?)
男(前に来たときにはこんなコーナー無かったよな…)
男(ちょっと…覗いてみるか)
そんな学校の危機に立ち上がった9人の生徒達…それが「μ’s」だっ!
男(へぇ…μ’sの結成にはそんな理由があったのか…)
男(なんか…すごいな…)
男(俺とほとんど変わらない年の女の子達が、学校の為に頑張ってるのか…)
男(俺なんて…自分の事で精一杯なのに…)
各メンバーのイメージカラーサイリウムが今なら20%OFF!
男(…!)
男(メンバーの…サイリウム…)
男(…)
アリガトウゴザイマシター
男(…)
男(まあ…これぐらいは良いだろ)
男(買ったからってライブに行くわけでなないんだし…)
男(…)
男(バッグにしまっておこう)ガサゴソ
男(よし…そろそろ路上ライブも終っただろう)
タッタッタッタ…
男(帰ろ…)
ドンッ
「はぁ…はぁ…こ、こちらこそ…すいません…」
男「!」
男「小泉…!」
花陽「!…男君…」
花陽「うん…大丈夫だよ」
男「手、貸すよ…」スッ
花陽「…」
花陽「ありがとう…」
花陽「えっ?と、特に…何でもないよ…」
男「そっか…」
花陽「うん」
男「…」
花陽「…」
男「せっかく小泉が誘ってくれたのに…」
花陽「…ううん、気にしないで」
花陽「あの話を聞いた後だと…やっぱり来にくいと思うから…」
花陽「私の方こそ、変な事言ってゴメンね…」
男「…!」
花陽「もし…もしね…男君の気持ちの整理がついたら…その時にはライブに来てね…!」
花陽「私達の大切な…ファン…だから」
男「…」
男「分かった…!」
本当にそんな日が来るとは到底思えない
でも、そんな日が来る事を
そんな夢のような日が来る事を
望む事だけは…悪い事じゃない気がした
男「またな…!」スタスタ
花陽「あっ…」
花陽「…」
花陽「…」トッタッタッタ
男「…!」
花陽「私も帰る方向…こっちだから…!」
男「そ、そうか…」
花陽「…うん」
――
―
男「…」スタスタ
花陽「…」トコトコ
男(会話が…無い…)
男(…)
男「そう言えば…小泉達って廃校を救う為にスクールアイドル活動をしてるんだよな…?」
花陽「…うん、男君も知ってたんだ」
男「さっき寄ったスクールアイドルショップで結成理由が書いてあってさ…」
男「本当すごいよな…俺なんて自分の事で精一杯だから…尊敬するよ」
花陽「すごくないよ…私は…みんなの後をついて行ってるだけだから…」
花陽「私も自分の事でいっぱいいっぱいだよ…」
男「そう…なのか」
花陽「うん…」
花陽「…」トコトコ
男(会話が止まってしまった…)
男「…」スタスタ
花陽「…」トコトコ
男(なんか…気まずいな…)
~♪
男(ん?携帯か…)ガサガサ
男(メールかな)
Rock54: Caution(BBR-MD5:0be15ced7fbdb9fdb4d0ce1929c1b82f)
sub:無題
—————————–
凛ちゃんに謝りたい・・・?
—————————–
男(…!)
男(いったい…誰からだ…?)
花陽「…」トコトコ
男「…!」
男(もしかして…)
To:no-rice-no-life@・・・
sub:Re:
—————————–
謝ったとしても、それは結局俺
の自己満足でしかないんだ。
だから、謝らないでこのまま会
わない方がお互い良いと思う。
—————————–
男(そう…これが今の俺の気持ちだ)
男(きっと…)
花陽「…」スッ
男(…!)
男(やはり、小泉だったのか…)
男(しかし…だとしたら何故小泉は俺の連絡先を知ってるんだ…?)
男(だって俺の…)
~♪
男(おっと…もう返信か…)
sub:Re:
—————————–
本当にそう思うの?
—————————–
男(…!)
男(…)
男(…そうだ…そうに決まってる…!)
男(二文字だ…たった二文字…)
男(「うん」と打てば…それで良いんだ…!)
以下の内容でメールを送信しますか?
はい いいえ
男(…)
男(何を躊躇っているんだ…)
男(はいを押せば終わりじゃないか…)
男(押せ…押すんだッ…!)
男(早くッ…)
心臓の鼓動が聞こえる
ちゃんと歩いているのも分かる
脚にしっかりと振動も伝わる
左腕だって動いている
でも、右手の親指だけは
時が止まったかのように固まったままだった
~♪
男(!)
男(新着…メール…?)
sub:無題
—————————–
私はね、そう思わない。
例え自己満足だとしても
男君が心から謝りたいって気持ち
に嘘はないんでしょ?
だったらその気持ちを蔑ろにする
べきじゃないと思う。
もし、このまま会わないままだと
男君は前に進めない気がするの
それは、凛ちゃんもきっと同じ
だからね、男君の本当の気持ちを
本当はどうしたいのかを教えて
—————————–
男(…!)
男(俺の…本当の気持ち…)
花陽「はっ、はい…!」
男「今から行きたい場所があるんだ」
男「少しだけ、付き合ってくれないか…?」
花陽「うん…!」
――
―
小学校
男「着いたよ」
花陽「ここって…」
男「あぁ…」
花陽「私…卒業してから行った事無かったから…ここに来るのすごい久しぶり…」
男「じゃあ2人共、4年ぶり位か…俺も転校してから来てなかったし」
男(いや、来れなかった…か)
男(あの頃の馬鹿な自分を思い出したくなくて…)
男(…)
男「そうだな…」
男「危険だからって撤去されちゃったんだろうな」
男「残ってるのはブランコと…鉄棒ぐらいか」
花陽「ちょっと…寂しいな…」
男「たった4年で…変わるもんだな…」
男(遊具が無くなって広くなってるはずなのに…)
男(あの時と比べて、グラウンドも…何もかも小さく見える)
男(この鉄棒なんて、小学生の時にいくら手を伸ばしても届かなかったのに…)スッ
男(今なら…こんなに簡単に…)
男「…」
花陽「男君…?」
やっぱりその答えは、今までの歩んできた自分の人生の中にあった
そう、いつかは必ず過去と向き合わなければならないんだ
例え、それが思い出したくも無いような出来事であっても
過去に目を背けたままじゃ…
男(見えないものが…あるんだ…!)
男「小泉!」
花陽「はいっ…!」
男「俺…星空に…謝りたいッ!」
花陽「!」
男「自己満足かもしれないッ…!」
男「でも…俺はッ…!」
花陽「やっと…」
男「!」
花陽「やっと…聞こえたよ…!」
花陽「男君の…本当の気持ち…!」
男「…」
男「あぁ…!」
男(もう迷わない、もう目を背けない)
男(ただ…真っ直ぐ向き合うんだ…!)
――
―
男「悪かったな小泉、小学校までついて来てもらって」
男「どうしても…あの場所をもう一度見ておきたかったんだ」
花陽「ううん…私も久しぶりに来て懐かしい気持ちになれたし…」
花陽「男君の気持ちも…聞けたから…」
男「それなら良かったよ…」
花陽「…」
花陽「ねぇ…男君はどうやって凛ちゃんに謝るつもりなの…?」
男「それは…」
男「やっぱり、この前みたいに声を掛けて…」
花陽「凛ちゃん…あんなに怖がってたのに…?」
男「それは…そうだけど、他に方法なんて…」
花陽「私…手伝うよ…!」
男「…!」
花陽「凛ちゃんも怖がらずに男君とお話できると思う…!」
男(…確かにそれならちゃんと話せる…)
男(でも…)
男「なんで…小泉が…そこまでしてくれるんだ…?」
花陽「それは…」
花陽「…凛ちゃんは私の大切な友達だから…!」
花陽「友達が悩んでる姿を見るのは…やっぱり辛いの…」
男「そうか…」
男(大切な友達…か…)
花陽「真姫ちゃんを応援できないのも辛いと思うから…」
男(ん…?)
男(真姫って確か…μ’sの西木野さんの名前だよな…)
男(なんでその人の名前が今ここで…?)
男(…!)
男(まさか…)
男「なぁ小泉…」
花陽「?」
男「俺が路上ライブに行ったとき赤色のサイリウムを振ってたの…見てたのか?」
花陽「そ、そうだけど…」
男(やっぱり…)
男「あ、あのな…小泉、実はだな…」
――
―
花陽「えぇーっ!?」
男「まあ…その…あの時が俺も初めてのライブだったし…勝手が全然わかんなくてな…」
男「そもそも西木野さんもあの時初めて見たし…」
花陽「…」
男「小泉…?」
花陽「…!」
花陽「あ、あぁー…!そうだったんだ…!」
男「そういう事になるな…」
男「まあ…勘違いさせるような事をした俺にも…」
花陽「…」
男「…?」
花陽「あっ…!えっと…そ、そう言えば私、急用があったんだ…!」
花陽「い、今すぐ行かないと」タッ
男「お、おい…小泉…?」
花陽「凛ちゃんに話したら…すぐにメールするから…!」
花陽「…またね、男君…!」
タッタッタッタッタ
男「…」
男(行ってしまった…)
しかし、それから何日経っても小泉からの連絡は…来なかった
――
―
学校
新着メールはありません
男(やっぱり…来てないか…)
男(そりゃ小泉も話しにくいだろうな…)
男(…)
男(…このまま連絡が来るのを待っていた方が良いのか)
男(それとも…もう俺が直接行った方が良いのか)
男(どうすれば…)
メガネ「どうしたんだい?そんな浮かない顔をして」
男「あっ…いや、なんでもないよ」
メガネ「うむ、ここ最近ずっとそんな感じだよ!」
メガネ「何か…あったのかい?」
男「いや、特に…何も…」
メガネ「ふーん…例えば、花陽ちゃんと何かあった…とか」
男「!」
男「なんでそれを…?」
男「…」
メガネ「…」
メガネ「この前学校に来てたんだよ。花陽ちゃんが」
メガネ「で、その時に男君のアドレスを聞かれたんだよ」
メガネ「同級生の事で男君に聞きたい事があるから教えてくれないかって」
男「そう…だったんだ」
メガネ「そんな調子じゃライブでしっかり応援できないよっ!」
メガネ「μ’sがラブライブ出場できるかも知れないんだから、ファンである僕達が盛り上げないとっ!」
メガネ「だから…元気だしなよ!」
男「そうだね…ありがとうっ…!」
男(友達って…こう言う関係の事を言うのかな…?)
男(だとしたら…やはり小泉は言いにくいだろうな…)
男(大切な友達なんだし…尚更…)
男(…)
男(やっぱり俺が…)
男「ん?あぁ、同級生と言っても小学生の時だけだけどね」
男「小学校卒業してすぐに…俺、引っ越したからさ」
メガネ「それでも良いじゃないか…!あ~…羨ましいなぁ!」
男「そうなのかな…」
メガネ「そうだよ!かつての同級生が今や人気急上昇中のスクールアイドルをやってるなんて…!」
メガネ「考えただけでもウキウキものだよ!」
男「うーん…案外…複雑なもんだよ」
男「なんか、近いと思っていた距離が遠く感じると言うか…」
メガネ「そんなものなのかい…?」
男「…いや、俺の考え過ぎかもしれない…今の話しは…忘れてくれ」
メガネ「別々の高校に進学し、疎遠になったと思っていたら」
メガネ「ライブでの運命の再会!」
メガネ「そこからお互いを意識しはじめ…」
メガネ「な~んて、考えただけでも最高じゃないか!」
男「ははは…」
男(良い人…だよな…?)
~♪
男(…!)
男(小泉からか…?)
sub:無題
—————————–
あの事、凛に話したわよ
明日、学校が終わった後で
あの日、アキバで路上ライブをし
た場所で待ってくれるって
でも、その前にあなたに話したい
事があるの
明日の放課後、凛に会いに行く前
に秋葉原駅近くの喫茶店に来て
待ってるから
—————————–
男(本当に小泉なのか…?これ)
男(いやいや、何を疑っているんだ…)
男(…)
男(明日か…)
メガネ「せめてっ…!せめて同じ年齢ならっ…!…って男君?」
男「あ、あぁ…そうだね」
メガネ「おっ…どことなく顔つきが変わったようだね!」
男「そ、そうかな…」
メガネ「そうさ!」
メガネ「次のライブも近いし、その意気だよ!男君!」
男(そうか、次のライブもあるのか…)
男(…)
男「そうだね…!」
メガネ「次のライブに向けての準備をしようじゃないか!」
男「き、今日!?」
メガネ「ダメかい…?」
男「あ、いや、ダメじゃないよ…」
男「…そうだね…」
男「行こう…スクールアイドルショップに…!」
メガネ「うん!」
分からない
でも…
ただ、1つだけ分かるのは
分からないのを恐れてちゃ
前に進めないって事だけだ…!
――
―
翌日
秋葉原駅 喫茶店付近
男「えっと…駅の近くって事はこの辺りで良いんだよな…」
花陽「男君!」
男「おぉ、小泉」
男「もしかして…待ってたのか?」
花陽「ううん、私も今来たところ…」
男「そっか…」
男「それじゃあ、入ろうか」
花陽「うん…」
イラッシャイマセー
男(うお…なんかオシャレな雰囲気な場所だな…)
男(やっぱり学校帰りとかに、友達とこういう所に寄るものなのかな…)
男(どうすれば良いか全然分からん…)
花陽「ライススムージーを1つお願いします」
「はい、お連れのお客様は何になさいますか?」
男「あっ…えっと…オススメって何ですか…?」
「今のオススメはノンファットミルクノンホイップチョコチップバニラクリームフラペチーノになります」
男(ノン…は…?)
男「えっと…じゃあ、それで」
「ありがとうございます~」
――
―
男(ふう…注文するだけでどっと疲れた…)
男(しかし…どうにも落ち着かない空間だ…)ソワソワ
花陽「男君…?どうしたの…?」
男「あ、いや…あんまりこう言う場所に来たことなくてさ」
男「緊張してるって言うか何というか…」
花陽「あはは…」
花陽「実は…私も緊張してるの…」
男「注文もスムーズだったし、結構来てるもんかと…」
花陽「…」
男「まあ…その話は良いか…」
男「…」
男「それで…話って…?」
花陽「…!」
男(やっぱり…星空に関係する話…だよな)
花陽「それで、凛ちゃんの所に行く前に私と少しでもお話してリラックスしてもらえたらな良いな…って」
男(転校した後の…俺の事…?)
男「…」
男「なるほどな…」
花陽「余計なお節介…だったかな…?」
男「ううん、そんな事ないよ」
男「ただ…あまり面白い話じゃないかもしれない」
男「それでも…いいか…?」
花陽「…うん」
男「転校してから…」
男「楽しくは…無かったかな…」
男「一緒に遊ぶ人もいなけりゃ、ロクに話す人もいない」
男「同級生には目の敵にされてたっけ…」
男「まあ、早い話がハブられてたんだよ、俺」
花陽「…!」
花陽「ごめん…変な事…聞いちゃって…」
男「ん?小泉はなにも悪くないだろ」
男「悪いのは俺だよ、小学校の頃のまま他人の迷惑も省みずに好き勝手やってりゃ…」
男「そりゃ…こうなるさ」
男「!」
男「よく…見てたんだな…小泉…」
花陽「それはっ…」
男「まあ…でもそれはヤンキー子犬理論ってやつだよ」
男「そんな事で俺のやってきた事が帳消しになる訳じゃないし…そもそも、悪行が多すぎる」
男「ま、因果応報ってやつだ」
花陽「…」
花陽「…」
男「でもな…今は違う」
男「確かに俺がやってきた事は無かった事にはできない」
男「でも、大切なのは過去に囚われたまま生きる事じゃなくて」
男「過去を認めて、過去と向き合って」
男「今をどう生きるのかって事に…気付いたんだ」
花陽「…!」
男「…そう気付かせてくれたのは、お前だよ…小泉…!」
男「だから…ありがとうな…!」
花陽「男君…」
男「おっと…もうこんな時間か…そろそろ出ようか」
花陽「…うん」
――
―
喫茶店 前
ザーザー
男「うおっ、雨降ってたのか…全然気付かなかった…」
花陽「…」
男「小泉、傘持って来てるか?」
花陽「あっ…ゴメン、持ってきてない…」
男「あぁ、そう言う意味じゃなくて…」
男「持って来て無かったなら俺の折りたたみ傘を貸そうと思ってさ」
花陽「そんなっ…悪いよ…」
男「良いって良いって、それぐらいの事はさせてくれ」ガサゴゾ
花陽「…!」
男「うーんと…お、あったあった」
男「はい、小泉」
花陽「…」
男「小泉…?」
花陽「あ、ありがとう…」
男「良いって良いって…」
男「それじゃあ…行ってくるよ」
花陽「…ねぇ、男君…」
男「ん?」
花陽「男君は凛ちゃんの事…どう思ってるの?」
男「どうって…」
花陽「…好き…なの…?」
——–
—–
きっかけは、なんだったんだろう
気がついたら走り去っていきながら
遠く、小さくなっていく背中を目で追っている私がいた
憧れ…だったのかな
引っ込み思案な私とは違って
自由で、自分の気持ちに正直な姿は
私が持ってないものをすべて持っているようで
ちょっぴり…羨ましかった
でも、いつかは…お話ができる時が来るかもしれない、と
淡い期待をしながら見つめていた背中は
いつしか…本当に遠くへ行ってしまった
だから…もしまた会う事があったら
今度は、待ってるままじゃなく…
花陽(と、思ってたのに…)
花陽(なんであんな事、言っちゃったんだろう…)
花陽(でも、そうだとしても言い方ってものがあるよ…)
花陽「…はぁ」
にこ「どうしたのよ?花陽」
にこ「ため息なんてついちゃって」
花陽「に、にこちゃんっ!?」
にこ「ひっ!」ビクッ
にこ「…な、なにびっくりしてるのよ!こっちまでびっくりしちゃったじゃない!」
にこ「今からライブするんだから、にこ達がここに居るのは当たり前でしょ!」
花陽「そ、そうだね…ごめん…」
にこ「ラブライブ出場が懸かってるんだから、路上ライブの1つだって気を抜いてちゃダメよ」
花陽「うん…」
にこ「…それじゃあ皆!今日も気合入れて行くわよ!」
「おーっ!」
――
―
穂乃果「皆っ!今日は来てくれてありがとうっ!」
にこ「にっこにっこに~♪」
にこ「あなたのハートににこにこにー♪」
にこ「笑顔届ける矢澤にこにこ~♪」
花陽(今日も…来てない…)
花陽(でも、少しだけホッとしてる私がいる…)
花陽(やっぱり…あんな事言っちゃったからかな…?)
花陽(…)
にこ「にこにーって覚えてラブにこっ♪」
真姫「やっと夏が終わったって言うのに…暑苦しいわ」
にこ「なっ…!…えー…」
にこ「な、何言ってるのぉ~真姫ちゃ~ん?」
にこ「夏は終わってもぉ~μ’sのライブは熱いままだんだぞぉ~♪」
真姫「意味分かんない」
希「まぁまぁ、真姫ちゃん落ち着いて」
希「確かに夏は暑いけど、なんとなく夏ってだけで気分が上がるし」
希「終わってみればそれはそれで良かったなぁって思うもんやん?」
真姫「それは…そうかも…」
にこ「今日のライブはぁ~そんな夏の気分をもう一度味わえちゃう!」
にこ「そんな曲を歌いたいな~と思いますっ!」
にこ「ではでは~聞いて下さいっ♪」
「夏色えがおで1,2,Jump!」
――
―
穂乃果「本日はありがとうございましたっ!」
μ’s「ありがとうございましたっ!」
タッタッタッタ…
穂乃果「ふぅ~今日のライブも終わったね!」
海未「凛がステップを間違えた時はヒヤヒヤしましたが…」
海未「なんとか無事に終わり良かったです」ホッ
凛「ご、ごめんね…」
穂乃果「気にしない気にしない!失敗の1度や2度、誰にでもあるもんだよっ!」
海未「穂乃果は気にしなさ過ぎです!」
海未「大体、この前のライブの時だって…」
穂乃果「ははは…」
穂乃果「まあ…そんな感じだから、あんまり気にしちゃダメだよ?」
凛「…ありがとう…穂乃果ちゃん…」
海未「聞いているのですか!穂乃果っ!」
穂乃果「聞いてるってばぁ~!」
真姫「…」
凛「ん…?」
真姫「さっきのライブでもそうだったけど…ここ最近ずっと上の空よ」
真姫「練習中もボーっとしてる事が多いし…」
凛「それは…」
真姫「なにか…悩み事でも…あるの…?」クルクル
真姫「…もしそうだったら…相談くらい…のるわよ…?」
凛「…!」
凛「ち、違うよ~!凛、まだ夏休みボケが抜けてないのかもしれないにゃ!」
真姫「そうなの…?だったら私が良い解消法を教えてあげるわよ」
凛「ありがとう!…真姫ちゃんは優しいにゃ~!」
花陽(…)
花陽(凛ちゃん…やっぱりこの間の事…)
にこ「…」
――
―
音ノ木坂学院 1年教室
先生「よーし、じゃあ最後にこの問題を…星空、解いてみてくれ」
凛「…」
先生「おーい、星空ー?」
凛「は、はいっ…!」ガタッ
凛「えーっと…」
先生「どうしたー?さっき説明した公式使うだけだぞー」
キーンコーンカーンコーン
先生「っと、もう時間か」
先生「それじゃあ、この問題は次の授業までの宿題にしとくからなー」スタスタスタ
凛「はい…」
花陽(…)
凛「かよちん…」
花陽「この前、真姫ちゃんも気にしてたけど…最近凛ちゃん元気ないよ…?」
凛「…」
花陽「もしかして…」
凛「…!」
凛「り、凛、さっきの公式分からなかったから…ちょっと先生に聞いてくるねっ…!」タッタッタ
花陽「あっ…」
花陽(…)
花陽(どう見たって無理してる…)
花陽(…誰かに相談した方が良いのかな)
花陽(それは分かってる…でも…)
花陽(なんだろう…このモヤモヤした気持ち…)
花陽(…)
にこ「ちょっと失礼するわよ」ガララッ
花陽「にこちゃん…?」
にこ「…凛は?」キョロキョロ
花陽「凛ちゃんなら、ついさっき先生に聞きたい事があるって出て行っちゃった…」
にこ「そう…丁度良いわ」
にこ「花陽…お昼ご飯は食べたの?」
花陽「まだ…だけど…」
にこ「なら一緒に食べるわよ」
にこ「付き合いなさい」
花陽「…」
花陽「…うん」
真姫「…」
――
―
アイドル研究部 部室
にこ「ふぅ~…1年生の教室から部室って意外と距離あるのよね~…」
にこ「さ、早く食べましょ」スタスタ
花陽「…」
花陽「にこちゃん…!」
にこ「…」ピタッ
にこ「…なに?」
花陽「相談したい事があるの…!」
にこ「…話してみなさい」
――
―
花陽「って事があって…」
にこ「ふーん…なるほどねぇ…」
花陽「凛ちゃんに直接聞いた訳じゃないんだけど」
花陽「それで、最近…元気が無いのかなって…」
にこ「まぁ大方…それが原因でしょうね」
花陽「やっぱり…そうかな…」
にこ「時期的に考えてそうじゃない」
にこ「大体、夏休みボケって…夏休みが終わってからどんだけ経ってると思ってるのよ」
花陽「聞いてたんだ、あの会話」
にこ「うっ…」
にこ「わざわざ私に相談したって事は、花陽はどうしたら良いのか悩んでるって事でしょ!?」
花陽「そうだね…」
花陽「どうやったら凛ちゃん…元気になってくれるのかな…」
にこ「…」
にこ「方法は…2つあるわ…!」
花陽「!」
にこ「もう1つは…凛が自分自身でその件に関して乗り越えるって方法…ね」
花陽「凛ちゃんが…自分自身で…」
にこ「そう…要はそっとしておくって事よ」
にこ「でも、その方法は凛に依存する割合が高い上に…時間がかかりすぎるのよ」
にこ「ラブライブ出場が懸かっている今、良い選択とは言えないわね」
花陽「じゃあ…」
にこ「そう、あんたが手伝ってあげるのよ」
にこ「そうね…まずは、この前会ったって言ってた…」
にこ「凛がこうなる原因を作ったそいつに…事情を話してみたら?」
花陽「え…?」
にこ「少なくとも花陽の話を聞いてる限りじゃ、完全に悪意を持って言ったようには思えないし」
にこ「本人も凛がここまで気にしてるって知らないんじゃないの?」
にこ「だったら、まず事情を話してみる」
にこ「具体的にどうするかは…それからでも遅くは無いはずよ」
『…帰ってください!』
『いいから!帰ってください!』
花陽(…!)
花陽(でも、どんな顔して…会えば良いの…)
花陽「…」
にこ「?」
にこ「…どうしたのよ?」
花陽「…この前その人と再会した時にね…」
花陽「凛ちゃんが昔の事を思い出すんじゃないかって思って…」
花陽「私、その人にね…ひどい事言っちゃったの…」
花陽「だから…会いにくいな…って」
にこ「えっ、悩んでる所そこだったの…?」
花陽「うん…事情は話した方が良いと私も思うけど…」
にこ「…」
にこ「…だったら花陽、まずちゃんと謝んなさい」
花陽「…!」
にこ「事情を話せば…そいつも分かってくれると思うわよ…」
花陽「でも…」
にこ「…あのねぇ!こう言うのは下手に時間を空けると余計に言いにくくなるものなの」
にこ「それにラブライブに出場できるかもしれないって大事な時期なのに、あんた達がこんな調子じゃ出れるものにも出れないわよ!」
花陽「…!」
花陽「ラブライブ…出場…」
にこ「そうよ!…皆に迷惑掛けたくなかったら…早く謝りなさい…!」
花陽「…」
花陽「うん…」
にこ「よし、それじゃあご飯食べるわよ」
にこ「早く食べないと昼休み終わっちゃうわ」
花陽「そうだね…!」
花陽(ありがとう…にこちゃん…!)
――
―
学校付近
トコトコトコ
花陽(まずは…きちんと謝る…)
花陽(話しは…それから…)
花陽(でも、どうやって謝るの…?)
花陽(あんな事言っちゃったんだし…)
花陽(話しかけても、謝る前にどっかに行っちゃうかも…)
花陽(…)
ピタッ
――
―
学校 校門
花陽(着いちゃった…)
花陽(多分…ここだと思うんだけど…)
花陽「…」キョロキョロ
花陽(いない…)
花陽(もう…帰っちゃったのかな…)
「ややっ!?」
花陽「!」
花陽「え、えぇっと…」
まさか…バレてしまうとは…
確かにここ最近ランクも上がってきて、知名度が上がってきているのは分かるけど
ここに来るまで誰にも気付かれなかったので、大丈夫なんだと勝手に思い込んでた…
花陽「はい…そうです…」
花陽「!」
花陽(この人…もしかして…)
花陽(…)
メガネ「僕、ファンなんです!」
メガネ「ラ、ライブでお忙しいとは思いますが、よろしければサインを頂いてもよろしいでしょうか…!?」
花陽「は、はいっ…」
花陽「…どうぞ」
メガネ「おぉ!ありがとうございます!」
メガネ「ラブライブ…出場して下さいね!応援してます!」
花陽「あ、ありがとうございます…!」
メガネ「それでは僕は…」
花陽「あのっ…」
メガネ「…?」
メガネ「…はい!憶えてくれてるなんて光栄だなぁ…!」
メガネ「そのライブもちゃんと行きましたよ!」
メガネ「あのライブは海未ちゃんと穂乃果ちゃんの掛け合いが…」
花陽「そ、その時、誰かと…一緒に来てませんでしたか…?」
メガネ「一緒に…?」
メガネ「あぁ…確かにその時は友達と一緒に来てましたよ」
メガネ「と、言ってもその1回きりで、それ以降は中々都合が合わなくて一緒に行けてないですが…」
花陽(やっぱり…)
花陽(…)
メガネ「…?」
花陽「あっ、いやっ、そのっ、変な意味じゃなくて…」
花陽「そ、その人…私の小学校の頃の同級生で…」
花陽「その人に別の同級生の事について、どうしても聞きたい事があるというか…」
メガネ「そうなのかい…?」
花陽「は、はい…」
メガネ「…」
メガネ「よし、そう言う事なら教えても問題ないかな!」
花陽「い、良いんですか…?」
メガネ「うん!花陽ちゃんみたいな良い娘が悪用なんてする訳ないからねっ!」
花陽「あ、ありがとうございます」
花陽(…)
花陽(良い娘…)
花陽(私は本当に良い人…なの…?)
――
―
ピロピロリン
メガネ「よし、多分それで送れてると思うよ」
花陽「…あっ…はい、ありがとうございます」
メガネ「ははは…僕はそんなに大した事はしてないから」
メガネ「…それでは僕はこれでっ!μ’s、応援してますんでっ!」タッタッタ
花陽「ありがとうございます」ペコリ
花陽(…これで…もし会えなくても…どうにか連絡はとれる…)
花陽(だったらもう今日は…)クルッ
花陽(…!)
花陽(…どうする…?)
花陽(話し…掛ける…?)
花陽(いや、連絡先は知れたんだし、今で無くとも…)
『こう言うのは下手に時間を空けると余計に言いにくくなるものなの』
花陽(…!)
花陽(…)
花陽「男君!」
花陽「話が…あるの…!」
男「お…俺に…?」
花陽「うん…男君に…!」
男「…」
男「近くに…公園があるんだ」
男「ここじゃあ何だし…そこで話をしないか…?」
花陽「…」コクン
男「そ、それじゃあ…こっちだから、付いて来てくれ…」スタスタ
花陽(…!)
花陽「…」
花陽「…」トッタッタッタ
――
―
駅
花陽「私…待ってるから…!」
男「…」
花陽「じゃあ…また明日…」タッタッタッタ
返事は…貰えなかった
それもそのはずだ
あの時、彼は明らかに自分を責めていた
そんな状態でじゃあ行きますなんて言える訳がない…
それは分かってる
でも、言わずにはいられなかった
彼が言ったあの言葉を…有耶無耶にしたくなくて
彼が言ったあの本音を…もう一度、ちゃんと聞きたくて
じゃないと…また、遠くに行ってしまう…
そんな気がしたから…
花陽(…)
花陽「…」タッタッタッタ
――
―
翌日
花陽(来て…くれるかな…)
花陽(もし来なかったら…)
花陽「…」
にこ「…」
にこ「花陽」
花陽「に、にこちゃんっ!?」
にこ「…!」ビクッ
にこ「お、同じ手は食わないわよ…!」
花陽「?」
にこ「あの事、ちゃんと謝れたの?」
花陽「うん…それはちゃんと謝って…分かってもらえたの…」
花陽「それに…事情を話したら謝りたいって言ってた…」
にこ「だったら良いじゃない、何をそんなに…」
花陽「…」
花陽「えっとね…謝りたいって言ったのは口をついて出た言葉だと思うの…」
にこ「?」
にこ「どう言う意味よ…?」
――
―
にこ「…じゃあ、花陽はそいつの真意を確かめる為に今日のライブに誘ったって訳…?」
花陽「そういう事になるかな…」
にこ「それで来るかどうか不安…と」
花陽「…」
にこ「…」
にこ「まあ、アンタの気持ちも分かるけど…」
にこ「もうすぐライブも始まるんだし…今はそっちに集中しなさい」
にこ「考えるのは来たかどうか分かってからで良いじゃない…」
にこ「ね?」
花陽「そうだね…ごめん、にこちゃん…」
にこ「分かれば良いのよ」
「…じゃあ皆!今日も頑張りましょう!」
にこ「ほら、さっさと行くわよ」
花陽「うん…!」
――
―
穂乃果「皆っ!今日は来てくれてありがとうっ!」
穂乃果「…あーっ!穂乃果達がよく行くハンバーガー屋さんがここにもあるっ!」
ことり「そぉ言えば絵里ちゃんはこの前、初めてハンバーガーを食べたんだっけ~?」
花陽(男君は…)
花陽(まだ、来てない…)
花陽(…)
絵里「そうなのよ…!私、今まで変な先入観があってハンバーガーを食べた事が無かったのだけれど…」
絵里「この前、μ’sの皆と行った時に初めて食べて…ハラショー…!とっても美味しかったわ!」
ことり「でも、そう言うのってあると思うの!」
ことり「例えば…私達μ’sは秋葉原で良く活動してるんですけど」
ことり「秋葉原って行くには少しハードルが高いなぁ~って思ってたりしません?」
穂乃果「あ~…確かに!秋葉原って少し特殊な感じがするもんね~」
ことり「うんうん、でもね、秋葉原って本当はすっごく楽しい所なのっ♪」
ことり「今日のライブはそんな秋葉原に対する先入観を吹き飛ばして」
ことり「秋葉原に行ってみたいっ!って気持ちになる」
ことり「そんな曲を歌いたいと思いますっ♪」
ことり「それではっ、聞いて下さいっ♪」
「Wonder zone」
――
―
穂乃果「本日はありがとうございましたっ!」
μ’s「ありがとうございましたっ!」
タッタッタッタ…
花陽(…)
にこ「…来てたの?」
花陽「…!」
花陽「ううん…」
にこ「…そう」
にこ「…どうするつもり?」
花陽「…」
にこ「…」
凛「え…?」
海未「今日もステップを間違えていました…」
海未「終わった事をとやかく言うのも詮無きことですが…」
海未「ここ最近、精彩を欠いております」
海未「何か…あったのですか…?」
凛「それは…」
花陽「…!」
花陽(凛ちゃん…!)
花陽(…)
花陽「もしかしたら…見落としてるだけかもしれない…」
花陽「私、男君を探してくる…!」
にこ「ちょっと…!」
タッタッタッタ
にこ「…」
真姫「…」
真姫「ねぇ、にこちゃん…」
――
―
来てないのは分かってる
頭ではそう分かっていても…体が勝手に動いてる
でも、立っているだけじゃ…
立ち止まっているだけじゃ…
凛ちゃんは…
そう…
タッタッタッタ
花陽(凛ちゃんの為にも…!)
花陽「はぁ…はぁ…」
花陽(もう1度…真意を確かめる為にも…!)
花陽「はぁ…はぁ…はぁ…」
花陽(立ち止まってる訳にはっ…!)
タッタッタッタ
花陽「!」
ドンッ
「…す、すいません!大丈夫ですか…?」
花陽「はぁ…はぁ…こ、こちらこそ…すいません…」
やってしまった…
一つの事に集中しすぎて周りが見えなくなってしまう
私のそそっかしさが…こんな所で出てしまった
でも…今は落ち込んでる場合じゃ…
花陽「…!」
男「小泉…!」
花陽「!…男君…」
花陽(どうして…ここに…?)
男「ゴメンッ…!ケガとか…ないか?」
花陽「うん…大丈夫だよ」
男「手、貸すよ…」スッ
花陽(…!)
花陽「…」
花陽「ありがとう…」
男「にしても、どうしたんだ…?そんなに息を切らして」
花陽「えっ?と、特に…何でもないよ…」
男「そっか…」
花陽「うん」
花陽(ううん…ホントは何でもなくない…)
花陽(…)
男「…」
花陽「…」
男「えっと…今日は、その…ゴメン!」
男「せっかく小泉が誘ってくれたのに…」
花陽「…ううん、気にしないで」
花陽「あの話を聞いた後だと…やっぱり来にくいと思うから…」
花陽「私の方こそ、変な事言ってゴメンね…」
男「…!」
花陽「だから…」
花陽「もし…もしね…男君の気持ちの整理がついたら…その時にはライブに来てね…!」
花陽「私達の大切な…ファン…だから」
花陽(そう…ファンだから…)
男「…」
男「分かった…!」
男「…」
男「それじゃあ、小泉も急いでたみたいだし俺は帰るよ」
男「またな…!」スタスタ
花陽「あっ…」
花陽(ちゃんと…聞かないと…!)
花陽「…」
花陽「…」トッタッタッタ
男「…!」
花陽「私も帰る方向…こっちだから…!」
男「そ、そうか…」
花陽「…うん」
花陽(あなたの本心を…聞かせて…!)
――
―
結果から言うと「良い」結果…だったんだろう
彼は自分と向き合って本心を聞かせてくれた
私もその気持ちに応えたいと思ったし
何より凛ちゃんの為だ、協力は惜しまないつもりだ
なのに…
タッタッタッタッタ
花陽(…この胸の高鳴りは何なんだろう…)
花陽(心臓の音が…周りに聞こえそうなくらい…大きいよ…)
花陽(…)
タッタッタッタッタ
それから数日間、私は凛ちゃんにその事を伝えられないでいた
――
―
音ノ木坂学院 アルパカ小屋
花陽「ほら…お食べ」
アルパカ「…」ムシャムシャ
花陽「…」
花陽「ねぇ…アルパカさん…私、どうしたら良いのかな…?」
アルパカ「…」
アルパカ「…」ムシャムシャムシャ
花陽「なんて、答えてくれるはず無いよね…」
花陽「…あっ、お水が無くなっちゃってる…」
花陽「入れてこなくちゃ…」ガチャガチャ
「何をどうしたら良いのか悩んでるのよ」
花陽(…!)
花陽(にこ…ちゃん…)
花陽「…」
にこ「花陽、もうすぐ練習が始まるってのに何してるのよ」
花陽「…アルパカさんの様子が…気になって…」
にこ「最近いつもそうやってるけど…」
にこ「飼育委員って言ったって花陽1人じゃないでしょ?」
にこ「なにも花陽がつきっきりで世話する必要ないじゃない」
花陽「えっと…」
にこ「…」
にこ「…この前、ライブが終わった後、何があったの…?」
花陽「…!」
花陽「…!」
にこ「練習にも身が入ってないし、心ここにあらずって感じ」
花陽「…」
花陽「私にも、分からないの…」
にこ「え…?」
花陽「…」
花陽「あの日ね…偶然かどうか分からないけど…」
花陽「男君…秋葉原に来てたの…」
にこ「…じゃあ、会えたのね」
花陽「…うん」
花陽「それでね…どんな形であれ…ちゃんと謝りたいって」
花陽「本心をね…聞かせてくれたの…」
にこ「だったら…」
花陽「…」
花陽「そうだよね…」
花陽「だったら、後は凛ちゃんにそう伝えれば良いだけ…だよね」
にこ「…」
花陽「でも…」
にこ「言えてない…と」
花陽「…」コクン
にこ「…」
にこ「真姫は…関係ないの…?」
花陽(…!)
花陽「なんで…真姫ちゃんが…?」
にこ「べ、別に特に理由はないわよ…」
にこ「ただ…何と無く…」
花陽「…」
花陽「最初に男君と再会したとき…赤色のサイリウムを振っててね…」
花陽「真姫ちゃんが好きなのかなって…勘違いしてた事は…ある…かな…」
にこ「してた…って事は…違ったの?」
花陽「うん…」
花陽「初めてライブだったらしくて…色の意味とか…良く分かってなかったみたい」
にこ「…」
にこ「それは…いつ勘違いって気付いたの…」
花陽「…」
花陽「この前の…ライブが終わったあと…」
にこ「…!」
花陽「…」
にこ「もしかして…花陽…」
花陽「…!」
花陽「違うっ…!」
花陽(だって…)
花陽「違うよっ…!」
花陽(それを認めてしまうと…)
花陽「絶対にっ…」
花陽(今までの私は…凛ちゃんの為じゃなくて…)
花陽(自分の為に動いてた事になるから…!)
花陽「そんなんじゃ…無い…!」
にこ「じゃあ、なんで真姫を避けてるの?」
にこ「凛の事だけを考えれば、真姫にも話した方が良いじゃない」
花陽「…!」
花陽「そ、それは…」
にこ「…ハァ」
にこ「真姫…!出てきなさい…!」
花陽「!」
スッ
真姫「…」クルクル
花陽「真姫…ちゃん…」
真姫「花陽…実は…」
にこ「…相談を受けたのよ…真姫から」
にこ「最近、凛も花陽も元気が無い」
にこ「特に花陽とは…距離を感じる…ってね」
花陽「…!」
にこ「で、どうしてなの…?」
花陽「…」
にこ「…」
にこ「あんたはあいつから…一度は否定した本心を聞いたんでしょ…?」
にこ「だったらあんたも本心も…聞かせて…!」
花陽(私の…!)
ガチャガチャ
「チェーンが壊れちゃったのかな…どうしよう…」
「よっ、どうしたんだ?」
「わっ!あの、えっと…自転車の…チェーンが…」
「んー?どれどれ俺に見せてみ」スッ
「あっ…うん」
ガチャガチャ
「あー…コレ俺じゃ直せないみたいだ。ゴメンなぁ」
「いや…私の方こそゴメン…」
「ん?何で小泉が謝ってんだ?」
「…」
「…よし!自転車屋さんに持っていこう!」バッ
「えっ…?」
「俺達じゃどうしようも無いし、一回見てもらうだけ見てもらおうぜ」
「でも…」
「ほら、手貸すよ…」スッ
「…!あ、ありがとう…」
「気にすんな!じゃあ自転車は俺が押してくからついて来いよー」カラカラカラ
「…うん」
————–
花陽(本心…!)
花陽「私は…」
花陽「…男君の事が…好き…!」」
にこ・真姫「…!」
花陽「だからね…真姫ちゃんに…話し掛けにくいなって思ってたの…」
花陽「…真姫ちゃん…今まで私の勘違いで…辛い思いをさせて…ごめんね…」
真姫「花陽…」
にこ「まったく…素直じゃないわね…」
花陽「にこちゃんも…色々迷惑掛けて…ごめんね…そして、ありがとう…!」ニコッ
にこ「っ…!」
にこ「…」
にこ「は、花陽…!」
花陽「ん?」
にこ「ちょっと携帯貸しなさい」
花陽「?」スッ
にこ「…」
にこ「よし…返すわ」スッ
花陽「?」
花陽「何をしたの?」
にこ「そいつにメール送ったのよ」
にこ「凛に話して…明日、秋葉原で路上ライブをした場所で待ってるように言ったって」
花陽「えっ!?」
にこ「そして、凛に会う前に私と会って…ってね」
花陽「えぇーっ!?」
にこ「花陽、アンタの本心は分かったわ…」
にこ「これ以上ないくらい…しっかりとね…」
にこ「でも、分かっただけじゃ根本的な解決になんないでしょ」
花陽「それは…」
にこ「花陽…前にも言ったでしょ!」
にこ「あんた達がこんな調子じゃ出れるものにも出れないって!」
花陽「…!」
にこ「あんた達は大事なメンバーなの…!」
にこ「ラブライブに出場する為にも…あんた達が欠ける事は絶対に許されないわ…!」
花陽「にこちゃん…」
にこ「だから…あんたなりの答えを出して…ちゃんと心のわだかまりを解きなさい…!」
花陽「…!」
花陽(私なりの…答え…)
花陽「…」コクン
花陽「…?」
にこ「私達は『スクールアイドル』…なのよ」
にこ「それだけは…忘れちゃダメよ」
花陽「…うん…分かった…!」
にこ「…じゃあ、早く凛の所に行ってきなさい」
花陽「うん…!」
タッタッタッタ
花陽「…」ピタッ
花陽「にこちゃん…」
花陽「ありがとう」
にこ「…そういう言葉は…全部終わってから言いなさい…」
花陽「…」
花陽「そうだね…!」
タッタッタ…
…
真姫「行ったわね」
にこ「そうね…」
真姫「…」
にこ「…」
真姫「まったく、素直じゃないんだから…」
にこ「っ…!」
にこ「う、うるさいっ」
真姫「…ねぇ、にこちゃん」
にこ「?」
真姫「耳、貸して」
にこ「…?」スッ
真姫「……」
真姫「ありがとう」
――
―
屋上
花陽「…」タッタッタ
ガチャ
凛「あ…かよちん」
凛「今日もアルパカのお世話…?」
花陽「うん」
凛「お疲れ様にゃ」
凛「にこちゃんと真姫ちゃんがまだ来てないみたいなんだけど…」
凛「どこに居るか分かる…?」
花陽「2人共、もうすぐ来ると思うよ」
凛「そっかーそれじゃあ練習は…」
花陽「凛ちゃん…!」
凛「!」
花陽「練習の前に…話しがあるの…!」
花陽「ちょっと…来て…!」
凛「…」
凛「…うん」
――
―
1年教室
ガラッ
花陽「…」キョロキョロ
花陽「…誰もいないみたい」
凛「そうだね…」
花陽「それもそうだよね、もう学校終わって結構経ってるし」
凛「…」
花陽「…」
花陽「あのね…」
花陽「…男君…謝りたいって」
凛「!」
花陽「この前、スクールアイドルショップの前で会った男君だよ」
凛「!」
花陽「小学校の頃、同級生だった…男君」
凛「…」
花陽「…」
花陽「私ね、凛ちゃんの事が大好き」
凛「か、かよちん…?」
花陽(そう、これは本当の気持ち…)
凛「…」
花陽「…」
花陽「…余計なお世話かもしれないけど」
花陽「私…男君に会いに行ったの…」
凛「!」
花陽「小学校の時の…あの日の事を…話しに…」
凛「…!」
凛「…」
花陽「自分の軽率な発言で凛ちゃんを深く傷付けてしまった事を…」
花陽「その発言で…凛ちゃんをずっと苦しめていた事を…」
花陽「真剣に悩んで…自分と葛藤してた…」
花陽「…」
花陽「でも…」
花陽「凛ちゃんに…謝りたいって…そう言ったの…!」
凛「…!」
花陽「明日ね、学校が終わった後…あの日、秋葉原で路上ライブをした場所に…男君が来るの…」
花陽「凛ちゃんに…ちゃんと謝りに…!」
凛「凛…に…?」
花陽「凛ちゃん…!」
花陽「明日、その場所に…行って…!」
凛「…!」
花陽「凛ちゃんの為にも…男君の為にも…」
花陽「そして…私の為…にも…!」
花陽(そう、そしてこれも私の本当の…気持ち…!)
凛「…」
凛「あの日の事を…凛が気にしすぎてるって事…」
花陽「…!」
凛「凛、バカだから…頭では分かってても中々整理が出来なくて…」
花陽「…!凛ちゃんは…」
凛「でもねっ…!」
凛「いつかは向き合わないといけないって…ずっと思ってたんだ…」
凛「…かよちん…今までずっと心配掛けてごめんね…」
凛「…凛、行くよっ…!」
花陽「凛ちゃん…!」
凛「…」
凛「ああっ!早く練習に行かないと海未ちゃんに叱られちゃうにゃ!」
凛「…行こう?かよちん」
花陽「うん…!そうだね、凛ちゃん…!」
分からない
でも…
ただ、1つだけ分かったのは
凛ちゃんだって
悩みながらも必死に
前に進もうとしてるって事…!
――
―
翌日
秋葉原駅 喫茶店付近
花陽「えっと…駅の近くってこのお店でいいのかな…」
花陽(にこちゃんが勝手にこのお店に決めちゃってたけど…)
花陽(このお店…私、行った事ないよぉ…)
花陽(…)
男「…」キョロキョロ
花陽「!」
花陽「男君!」
男「おぉ、小泉」
男「もしかして…待ってたのか?」
花陽「ううん、私も今来たところ…」
男「そっか…」
男「それじゃあ、入ろうか」
花陽「うん…」
イラッシャイマセー
花陽(うわぁー…やっぱりすごくオシャレなお店…)
花陽(あんまり…こう言う場所に来た事無いから緊張するなぁ…)
「ご注文は何になさいますか?」
花陽(えっと…)
花陽(どうしよう…長い名前ばっかりで…よく分かんない…)
花陽(…!)
花陽「ライススムージーを1つお願いします」
「はい、お連れのお客様は何になさいますか?」
男「あっ…えっと…」
――
―
花陽(よかった…知ってる飲み物があって…)
男「…」ソワソワ
花陽「男君…?どうしたの…?」
男「あ、いや…あんまりこう言う場所に来たことなくてさ」
男「緊張してるって言うか何というか…」
花陽「あはは…」
花陽「実は…私も緊張してるの…」
花陽(…)
男「注文もスムーズだったし、結構来てるもんかと…」
花陽「…」
男「まあ…その話は良いか…」
男「…」
男「それで…話って…?」
花陽「…!」
花陽(今…話す…?)
花陽(いや…)
花陽「それで、凛ちゃんの所に行く前に私と少しでもお話してリラックスしてもらえたらな良いな…って」
花陽(今は…まだ…)
男「…」
花陽(ちょっと…苦しかった…かな…)
男「なるほどな…」
花陽「余計なお節介…だったかな…?」
男「ううん、そんな事ないよ」
男「ただ…あまり面白い話じゃないかもしれない」
男「それでも…いいか…?」
花陽「…うん」
男「転校してから…」
男「楽しくは…無かったかな…」
男「一緒に遊ぶ人もいなけりゃ、ロクに話す人もいない」
男「同級生には目の敵にされてたっけ…」
男「まあ、早い話がハブられてたんだよ、俺」
花陽「…!」
花陽「ごめん…変な事…聞いちゃって…」
男「ん?小泉はなにも悪くないだろ」
男「悪いのは俺だよ、小学校の頃のまま他人の迷惑も省みずに好き勝手やってりゃ…」
男「そりゃ…こうなるさ」
花陽(…!)
男「!」
男「よく…見てたんだな…小泉…」
花陽「それはっ…」
花陽(だって…)
男「まあ…でもそれはヤンキー子犬理論ってやつだよ」
男「そんな事で俺のやってきた事が帳消しになる訳じゃないし…そもそも、悪行が多すぎる」
男「ま、因果応報ってやつだ」
花陽「…」
花陽「…」
男「でもな…今は違う」
男「確かに俺がやってきた事は無かった事にはできない」
男「でも、大切なのは過去に囚われたまま生きる事じゃなくて」
男「過去を認めて、過去と向き合って」
男「今をどう生きるのかって事に…気付いたんだ」
花陽「…!」
男「…そう気付かせてくれたのは、お前だよ…小泉…!」
男「だから…ありがとうな…!」
花陽「男君…」
花陽(あぁ…やっぱり…)
花陽(私、この人の事…)
花陽(…)
男「おっと…もうこんな時間か…そろそろ出ようか」
花陽「…うん」
――
―
喫茶店 前
ザーザー
男「うおっ、雨降ってたのか…全然気付かなかった…」
花陽(早く…答えを出さないと…)
花陽「…」
男「小泉、傘持って来てるか?」
花陽「あっ…ゴメン、持ってきてない…」
男「あぁ、そう言う意味じゃなくて…」
男「持って来て無かったなら俺の折りたたみ傘を貸そうと思ってさ」
花陽「そんなっ…悪いよ…」
男「良いって良いって、それぐらいの事はさせてくれ」ガサゴゾ
男「えーっと、コレ…じゃなくて…」
花陽「…!」
花陽(黄色の…サイリウム…!)
花陽(…)
いや、気付かないようにしていた
じゃあ、気付いてなかった…?
ううん…気付かないふりをして、ずっと考えないようにしてただけ
…色々な事があって
…色々な事が…たくさんあって
そんな言い訳を自分にして…目を背けていた
本当は…
最初から気付いていたはずなのに…
…
そう…
この人は…
男「はい、小泉」
花陽「…」
男「小泉…?」
花陽「あ、ありがとう…」
男「良いって良いって…」
男「それじゃあ…行ってくるよ」
花陽「…ねぇ、男君…」
男「ん?」
花陽「男君は凛ちゃんの事…どう思ってるの?」
男「どうって…」
花陽「…好き…なの…?」
男「…」
男「好き…なのかもな…」
花陽(…!)
男「正直、良く分からない…」
男「でも、少なくとも小学校の頃は…好きだった…と思う」
花陽「…」
男「小泉…?」
『あんたなりの答えを出して』
花陽(…)
花陽「それって凛ちゃんの事が好きって事だよ…!」
男「そうなのかな…」
花陽「そうだよ…!」
花陽「私、小学校のとき男君が凛ちゃんの事が好きって知ってたよ」
花陽(にこちゃん…真姫ちゃん…ありがとう…)
男「え…?」
花陽「あんなにあからさまに話しかけてたんだから…誰だって…分かるよ」
花陽(そして…ごめんね…)
男「そうだったのか…」
花陽「うん!だから絶対凛ちゃんと仲直りして…」
花陽(これが…)
花陽「いつか…その気持ちを伝えないとね…!」
花陽(私なりの…答え…!)
男「…でも…星空ってスクールアイドルだろ…?」
男「そう言うのって…」
花陽「だったら…」
花陽(だから…)
花陽「まずは友達からでも…いいんじゃないかな…」
花陽(いいの…)
男「友達から…」
花陽「そう、友達から…!」
花陽(そう、私の恋は…)
花陽「まずは…そこから始めて…」
花陽「いつか、その思いを伝えるべき時に…改めて伝えれば…」
花陽(片思いで…)
花陽「いいと思う…!」
花陽(いいの…!)
花陽「そのためにも…」
花陽「まずは…ちゃんと謝らないとね…!」
男「…」
男「そうだな…」
男「…色々ありがとうな…小泉…」
花陽(…!)
花陽(まだ…)
花陽「…」
花陽(まだ…耐えて…)
花陽「…だ…だったら感謝料!」
花陽「…今度、GOHAN-YAで黄金米奢りねっ…♪」
男「えっ…?黄金米って結構高くないか…?」
花陽「凛ちゃんと仲直り出来るなら安いもんだよ!」
男「…!」
男「…それもそうか」
男「あぁ…!今度、絶対…奢るよ…!」
花陽(…!)
花陽「…約束だよ」
花陽「…呼び止めてごめんね、凛ちゃん…そろそろ待ちくたびれてると思うから…」
男「…そうだな…」
花陽「…頑張ってね」
男「うん…行って来る…!」タッタッタ
花陽「…」
タッタッタッタ
タッタッタ…
…
花陽「っ……うっ…」
滲んでいく視界の中、少女は遠く、小さくなっていく背中をただただ見つめる
この日、一人の少女の小さな恋が終わりを告げた
その雨粒は、頬を伝う涙と混じり
その雨音は、少女の嗚咽をかき消し
まるで、小さな恋の行方を誰にも悟られぬよう
優しく、見守るかのように
雨はしとしとと降り続ける…
――
―
ザーザー
男「はぁ…はぁ…」タッタッタ
男(早く…急がないと…)
男「はぁ…はぁ…」タッタッタ
男(あぁ…心臓の音がうるさい…)
男(走ってるからか…?)
男(いや…違うだろ…)
男(これは…)
男「!」ピタッ
凛「…」
男(星空…!)
男「ほ、ほし…」
男「…」
男「星空ッ…!」
凛「!?」
凛「…」
凛「濡れてるよ…?」
男「…か、傘…持ってなくて…」
凛「じゃあ、雨宿り出来る場所に行こっか」
男「そ、そうだね…」
――
―
ザーザー
凛「ここなら濡れないかな…」
男「うん、大丈夫と思う…」
男(第一声は失敗したけど今度は…)
男(深呼吸だ…)
男(…)
男(よし…!)
男「あのっ…」
凛「…はい、ハンカチ…今これしか持ってないけど…」
凛「良かったら…使って…?」
男「あ、あぁ…ありがとう…」
凛「…」
男「…」
凛「久しぶりだね…」
男「あぁ…小学校以来…だよな…」
凛「凛の事、覚えててくれたんだね」
男「まあ、その…あの頃は、良く…話してたし…」
男「μ’sも…有名だから…」
男(…忘れる訳がない)
凛「そうなんだ…」
凛「…凛も男君の事、覚えてたよ」
凛「あのライブの時は夢中で気付けなかったけど…」
凛「スクールアイドルショップの前で会った時は一目で気付いた…」
男(…星空が俺の事を覚えているのは当然だ…)
男(だって俺は…)
男(…)
凛「…?」
男「本当に…すいませんでしたっ…!」
凛「…!」
男「俺、小学校の時の事…今頃になってすごく反省してる…」
男「俺の心無い一言で…どれだけ星空を傷つけたのかも知らず…今までのうのうと生きてた」
男「今更こんな事言うのがどれだけ虫の良い話かって事も分かってる…!」
男「…許して欲しい訳じゃない…」
男「ただ…どうしても謝りたかったんだ…」
男「本当に…ごめんっ…!」
凛「…」
凛「凛…すごく胸が痛かったの…」
男「…」
凛「凛がいつまでもあの事を引きずっているせいで…」
凛「男君も悩ませてしまったんだって思って…痛かった…」
男「…それは違う…!」
男「そもそもの原因は俺が…」
凛「ううん、違わない…!」
男「えっ…?」
凛「凛もね、引きずりすぎだったんだよ…」
凛「別に悪口って訳でも無かったのにね」
凛「かよちんとか…他の人に心配ばかり掛けて…本当、なにしてるんだろうって思ってた…」
凛「でもね…」
凛「頭では分かってても、中々整理出来なくて…」
凛「今も、男君がせっかく謝ってくれてるのに、すぐには乗り越えれそうにないの…」
男「…そう…だよな…」
凛「…だからね…!」
凛「凛が乗り越えれるように…」
凛「μ’sを…凛を…」
凛「応援してくれると…うれしいな…!」ニコッ
男「…!」
男「星空…!」
色んな人に助けられてここまで来た
…結果として、俺は前に進めたのだろうか
その答えは未だはっきりしていない
でも…
この笑顔を二度と曇らせちゃいけない
それだけは…
はっきりと…そう思えたんだ…!
――
―
~♪
「本日はありがとうございましたっ!」
パチパチパチパチ
メガネ「いや~!今日のライブも最高だったね!」
男「そうだね、まさかアンコールもあるなんてびっくりだったよ」
メガネ「やっぱラブライブも間近だから気合が入ってるんだろうね~」
男「今日、初めて生でこれsome見たけど…あれが1番好きかもしれないな」
メガネ「むむっ!男君は、ぼらららが1番好きなんじゃないのかい…!?」
男「ぼらららも好きだけど…今はこれsomeかな」
メガネ「むぅ…確かにあのドロワーズも中々どうして捨てがたい…」
男「ふふっ…そろそろ帰ろうか」
メガネ「そ、そうだね…」
――
―
男「もう夜だね」
メガネ「ライブに集中してたからね~気付いたらもうこんな時間だ!」
メガネ「でも、今日は夜なのに明るいね!」
男「あぁ、それはだね…上を見てごらん」
メガネ「?」
男「今日は空に雲一つ無い夜なんだ」
男「だから、星の光で明るく見えてるんだと思うよ」
メガネ「おぉ、本当だ…」
メガネ「キレイだね…」
男「…」
男「あぁ…そうだね…」
男「今日も…星空がキレイだ」
おわり
ありがとうございました
BGM掛けて読んでたら丁度なわとびが流れて思わず目頭が熱く・・・
完結してくれてありがとう
最後まで書いてくれてありがとう
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