【ラブライブ!】希「理事長と夕飯」
- 2020.04.04
- SS

希「もうちょっと時間かかりそうやね」
絵里「だけど暗くなって来たから、今日はもう終わりにしましょ」
希「そうやね」
絵里「それじゃあ片付けて……」
コンコン
絵里「ん? はい、どうぞ」
理事長「あら、まだ仕事中?」
絵里「いえ、もう終わって帰ろうとしてたところです」
理事長「別に急がなくてもいいのよ」
希「私達の生徒会の任期も後少しで終わりですし、なるべく綺麗に引き継ぎしたいってのもありますから」
理事長「うふふ、無理しないでね」
絵里「ところで理事長は何か用ですか?」
希「なるほど」
絵里「あぁー!?」
理事長「!」
希「ど、どないしたんえりち!?」
絵里「亜里沙からメール……今日、家族でご飯食べに行く約束してたの!」
理事長「だったら早く行った方がいいと思うわ」
絵里「あっ、でもまだ片付けが」
希「ウチがやっとから心配せんとき」
絵里「ありがとうのぞみぃ~」
理事長「あらあら」
希「また明日なぁ」
理事長「車には気をつけてねぇ」
絵里「はーい」
希「--さて、ウチは書類を片付けて……」
理事長「手伝いましょうか?」
希「これくらいならウチ一人でも」
理事長「そう? でも早く終わって帰らないと親御さんが心配するわよ」
希「ウチは一人暮らしですから、その点の心配はいりません」
理事長「あら、まぁ。なんか、ごめんなさいね」
理事長「そう……」
希「よーし。ちゃっちゃと片付けて帰ろ」
理事長「あっ、そうだわ。ねぇ、東條さん」
希「な、なんですか?」
理事長「今日ことりね。穂乃果ちゃんのお家に泊まりに行くって言ってたのよ」
希「はぁー」
理事長「それでね。お夕飯を一緒にどうって思ったんだけど」
希「えっ、えっ?」
理事長「どうかしら?」
希「えっ?」
希「あ、あの、どうぞ」
理事長「おじゃまします」
希「ちょっと散らかってるかも知れませんが」
理事長「そう? そんな風には見えないけど」
希(なんで理事長がウチの家に……)
理事長「食材は何かあるかしら?」
希「あっ、冷蔵庫に」
希「ハンバーグ、ですか?」
理事長「ハンバーグ嫌い?」
希「い、いえ……好きです、大好きです」
理事長「今から作るから、ちょっと待っててね」
希「あっ、その、理事長」
理事長「何?」
希「い、一緒に……一緒に作りませんか?」
理事長「一緒に?」
希「はい! 一緒にハンバーグ、作りましょ!」
理事長「いいわよ。じゃあ、一緒に作りましょうか」
理事長「なんかこうしてると、ことりと料理した時のことを思い出すわ」
希「小さい時のことりちゃんって、どんなんだったんです?」
理事長「そうね」
ことり『おかーさん。ことりがハンバーグ、こねこねするね』
理事長『はーい。お願いね』
ことり『こ~ねこね♪ こ~ねこね♪』
理事長『上手ね』
ことり『おりょうりたのしぃなぁ』
希「なんか想像したら可愛らしい光景が浮かんできます」
理事長「私の自慢の娘だもの。可愛くて当然よ」
理事長「ちゃんと親御さんとは連絡取ってる?」
希「あっ、はい。それは大丈夫ですよ」
理事長「よかったわ」
希「別にウチ、家庭崩壊とかしてるワケじゃないですよ」
理事長「ですよねー」
希「あっ、理事長。ハンバーグ、こねました」
理事長「じゃあ調理は私がやるから、食器の方をお願いしていいかしら?」
希「はい」
二人「せーの。いっただきまぁーす」
モグモグ
理事長「味の方はどう?」
希「はい、美味しいです」
理事長「ほっ、お口にあって何よりだわ」
希(めっちゃ美味しいわぁ)
理事長「さぁ、どんどん食べなさい」
モグモグ
理事長「それにしても、ことりはこの味を食べられないのが勿体ないわね」
希「この味なら普段でも出してるんじゃ」
理事長「ふふっ、この味は私と東條さん……いえ、希ちゃんと二人で作った味だからね」
希(そういえば、そうやね)
希「どうでしょうね」
希(ほんま、どうなんやろうね)
理事長「ねぇ」
希「はい」
理事長「二人で作った料理はどうだった?」
希「いつもと違う感じがして新鮮味がありました。それに……」
理事長「それに?」
希「ウチと一緒にご飯食べてくれる人がいるから、もーっと美味しく感じました」
希「これが所謂『お袋の味』ってやつなんですかね」
理事長「どうなのかしらね? んー、あんまり意識したことないわ」
希「ことりちゃんに聞くのが一番かも知れませんね」
理事長「それもそうね」
希「いやー。にしても、ことりちゃんは幸せ者ですね」
理事長「幸せ者?」
希「こんないいお母さんを持って」
希「いいんです。何も出なくても、ただ……」
理事長「希ちゃん?」
希「今だけ……今の間だけ『お母さん』と呼ばせてくれたら」
理事長「もぉ、希ちゃんったら」
希「ダメですかね?」
理事長「……なんか、ことりに一つ上のお姉ちゃんが出来た感じね」
希「ふふっ、おかーさん」
理事長「だけど、二人だけの秘密よ」
希「はーい。おかーさん」
理事長「のーぞみ」
絵里「おはよう希」
希「えりち、おはようさん」
絵里「何かご機嫌ね。いいことあった?」
希「まぁ、それなりにね」
絵里「何々、教えて」
希「んふふー。内緒や」
絵里「えー、けちー」
絵里「昨日は散々だったわ。約束の時間に遅れて亜里沙に大目玉--お姉ちゃん失格ね」
希「おやおや」
絵里「あっ、昨日は昨日でごめんなさいね。書類の片付け」
希「ええねん、ええねん」
絵里「今日、何か奢るわね」
希「おっ、気が利くやん」
絵里「理事長。おはようございます」
希「おはようございます。お母さん」
理事長「えっ?」
絵里「え、えっ?」
希「あっ」
希(し、しもたぁー!)
理事長「と、東條さん?」
絵里「の、希……貴女」
希(うぉー。やってもぉーたぁー!)
絵里「ことりなら分かるにしても、希が理事長に対してお母さんはないわぁ。あははは、ひぃひぃひぃ」
希(最悪やぁ)
希(あぁー。終わった)
理事長「あらあら絢瀬さん。彼女のことを笑ってはいけませんよ」
絵里「はひ?」
理事長「人間誰にだって間違いはあります。友人が間違えたことをすれば笑うのではなく、優しくフォローしてあげなさい。貴女は生徒の規範である『生徒会長』なんですからね」
絵里「は、はい……」
希「えりち……」
絵里「希。ごめんなさい」
希「ええよ、ええよ。えりちはウチの大切な友達やから」
絵里「うぅー、のぞみぃー」
絵里「えっ」
理事長「ですよね。東條さん」
希「はい」
絵里(えっ、何これ)
理事長「それでは私はこれで」
希「はーい」
絵里「希!」
希「はい?」
絵里「どういうことか説明して!」
希「何を?」
絵里「理事長とのことよ!」
希「えぇー。ウチのこと笑ったえりちに教えるのは嫌やなぁ」
絵里「ケチくさいこと言わず、気になるから説明してぇー!」
それは無理な相談やな。
だって、ウチとお母さんとの--
二人だけの秘密やからね。
おしまい
乙です
すみませんでした
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