【ラブライブ!】絵里「こたつを買うわよ!」
- 2020.04.04
- SS

海未「こたつ……ですか?」
絵里「ええ。ほら、これからの季節、寒くなるでしょう?」
絵里「だから、こたつ。こたつを置きましょう」
真姫「まさか、ここに置くつもり?」
絵里「そう!ここ、部室によ!」
真姫「………………」
絵里「どうかしら?」
ことり「どうかしらって言われても……」
絵里「暖房って、この小さい電気ストーブのこと?」
にこ「そうよ。確かにこれからの季節、部室は寒くなるわ」
にこ「だけどね、このストーブがあれば十分なの」
希「どれどれ……」ポチッ
真姫「…………あ、点いたわね」
穂乃果「おー!あったかいよニコちゃん!」
にこ「当然よ!ニコはこの子で二回も冬を越したんだから!」
凛「さすが経験者、説得力が違うニャ」
にこ「ふふんっ!」
海未「そもそも置くところも、買うための資金もありませんし……」
真姫「こたつの導入は見送りね」
希「そうやね」
絵里「………………」
にこ「絵里、扉の前でつっ立ってないでイスに座りなさいよ」
絵里「…………電気ストーブはみんなの絆を壊すわ」
にこ「…………?なによそれ」
絵里「例えば――それはそれは、息も白くなる寒い日」
絵里「ニコが一番乗りで部室にきて、ストーブの前で暖をとる」
にこ「ええ。それで?」
にこ「…………続けて」
絵里「すると何が起こるか――」
『あーニコちゃん、ストーブ独り占めしてるニャ!』
『穂乃果もー!穂乃果もストーブに当たるー!』
『もっと詰めないと、凛に当たらない!』
『もう少しちっちゃくなってよ、ニコちゃーん!』
『ああもう!うっとうしいのよあんたたち!』
にこ「ありえそうだけど、なんだか腹が立つ」
絵里「そう、電気ストーブだと、陣取り合戦が始まるわ」
絵里「一方、こたつはみんな均等に暖まれるのよ?」
真姫「まあ、確かにそうね」
絵里「でしょう?真姫はもう、こたつ買いたくなったわよね!?」
真姫「……別に」
絵里「あれ?……あれ!?」
絵里「あの包まれる感覚、じんわりほぐすような温かさ!」
絵里「寒い寒い雪降る日、こたつに入って寝ころべば――」
海未「………………」
穂乃果「………………」
絵里「ああ、まさに天国!」
穂乃果「まあ、あったかいよね。こたつ」
海未「ええ、私も好きですよ。こたつ」
絵里「そうでしょう、そうでしょう!?」
穂乃果「でも、部室には置かなくてもいいかな……」
海未「私も、部室には必要ないと思います……」
絵里「………………」
にこ「だから、ニコが二冬越えてるって言ってるでしょ!」
絵里「それは…………」
真姫「絵里、諦めなさい」
絵里「………………」シュン
にこ「だいたい、あんた幼少期ロシアにいたんでしょ?」
絵里「……ええ、そうよ」
にこ「日本の冬より、もっと厳しい寒さに耐えてたんじゃないの?」
にこ「それに、寒さに強そうなロシアの血も入ってるし……」
絵里「ろ、ロシアの血って……でも私クォーターよ!?」
絵里「ロシアンはロシアンでも、違うの!」
絵里「あなたもクマだから、ポーラーベアと一緒に氷上で暮らしてね、って!」
にこ「え、ええぇぇ……よ、よくわかんないんだけど……」
絵里「いい?私のいた町、サンクトペテルブルクから少し行った山里は――そう、確かに寒いわ」
絵里「氷点下10度は当たり前の、白銀の世界――」
絵里「空気はまさに刺すような冷たさ」
絵里「アツアツの紅茶にペチカの炎が、その寒さを忘れさせてくれる……」
絵里「そして――――」
ことり「な、なんか……いきなり詩的に語りだしたよ……!?」
真姫「……ほっときましょ」
ことり「う、うん…………」
絵里「だけど――違ったわ。そう、こたつとの出会いが教えてくれた…………」
絵里「はじめてこたつに入ったとき、衝撃を受けたわ」
絵里「感じたのよ。母のぬくもりを……!」
にこ「え、なに言ってんの……」
凛「なんか気持ち悪いニャ」
絵里「気持ち悪い!?こたつに浸かったことがないから言えるのよ!」
絵里「あの、暖かさ……優しさに満ちた感じ――」
絵里「まさに、それは――」
真姫「わかったから!絵里がこたつが大好きなのはわかったから!」
絵里「ええ。一日中でも入っていられるわ」
ことり「ひからびそう……」
希「そうそう。エリちはホントのホントに、こたつにお熱なんよ」
希「昨年の冬はうちの家に、しょっちゅう宿題を持って遊びに来ててね」
希「エリちってば、こたつで勉強しよう。そう言って、こたつに入っては――」
希「寝てた」
真姫「…………………」
海未「絵里…………」
にこ「買わないっつてんでしょ!」
絵里「まあまあ、落ち着いて。アイドルらしからぬ顔になってるわよ?」
にこ「………………そ、そんなことないニコ♪」
絵里「――みんな、聞いて。こたつがあればね」
絵里「中でぬくぬくしながら着替えができるわ!」
穂乃果「それ、穂乃果も家でよくやるよ」
絵里「そうでしょう?やるわよね?便利よね?」ズイッ
穂乃果「う、うん…………絵里ちゃん、顔近いよ……」
絵里「寒い部室で、肌をさらすことも無くなるのよ?画期的ね?ね!?」
凛「は、はい……」
絵里「こたつの中で、丸くなれるわよ!」
凛「え…………いやいや、凛はネコじゃないよ!?」
絵里「そして、真姫!」
真姫「な、なに……」
絵里「こたつで食べれば、苦手なみかんだって一発で克服できるわ!」
真姫「べ、別に克服しようと思わないし……」
絵里「うーん……そうかしら……」
穂乃果「うん。もう、それはそれは十分に伝わったよ?」
絵里「だけどみんな、なかなかこたつのイメージができていない様子よね……」
絵里「そこで――――なんと、今日はね…………」ガサゴソ
ことり「急にブレザーのポケット、あさりだしたね……」
真姫「まさか、どこぞの電器屋のチラシか何かじゃないでしょうね……」
絵里「こたつカタログもってきたの!さあ、どれにする?どれにする!?」
真姫「絵里……それ、ぐっしゃぐしゃなんだけど…………」
海未「演出って……なんですか。演出って」
絵里「こっちの座椅子のやつも、カワイイわね!ね、ことり?」
ことり「うえぇ!?え……うん、カワイイと思うなぁ……」
絵里「でもでも、こっちの正方形の伝統的な奴も良いわね?」
絵里「みんな、どうする?」
海未「あの……買う方向には全くもって、いってはいないのですが……」
絵里「んー?」キョトン
穂乃果「絵里ちゃん、なに言ってるかわからないみたいなポーズ、やめよう?」
絵里「どうして…………どうして、こたつの素晴らしさ、わかってくれないのよ……」
真姫「いや、こたつの素晴らしさはわかったから……」
絵里「それなら、部室におくっていう流れになるじゃない。普通」
穂乃果「それはどうだろう…………」
海未「とりあえず、こたつは無しです」
にこ「そうそう。海未がさっき言ってたとおり、買うお金もないし」
絵里「それは……みんなでバイトすれば――」
にこ「そんなの却下に決まってるでしょ……」
絵里「………………」
海未「……はい?」
絵里「こたつのない部室なんて耐えられない!」
絵里「そんなの、イチゴのないショートケーキ、クリのないモンブランよ!」
海未「なんですかそれ」
絵里「こたつがない部室に来るくらいなら、いっそ死んだ方がましだわ!」
穂乃果「な、なんか、ムチャクチャなこと言いだしたよ!?」
ことり「絵里ちゃんが、ただの駄々っ子に……」
絵里「ほしいほしいぃ!…………」チラッ
真姫「………………」
にこ「いちいちさ……こっちをチラッチラするの、やめなさいよ……」
絵里「ほしい!こたつほしい!」
希「エリち…………駄々こねてどうにかなる歳やないやん?」
絵里「………………そ、そうね」
絵里「………………」シュン
―ガチャ
花陽「アルパカの世話してたら遅くなっちゃった……」
花陽「あ、あれ?絵里ちゃん?どうしたの?」
絵里「花陽は…………こたつは好き?」
花陽「こたつ?うん、好きだよ?」
絵里「そうよね……こたつ、最高よね……」
花陽「うん!……それでなんで棒立ちしたまま、うつむいてるの?」
真姫「絵里がね、部室にこたつを置きたいなんて言い出したのよ」
真姫「それで、みんながやめさせようと――」
花陽「いい!それいいと思います!」
絵里「…………うん?」
花陽「部室にこたつ、私は賛成ですっ!」
絵里「あ…………花陽……花陽ぉ……」グスッ
花陽「え、絵里ちゃん、どうしたの?」
絵里「みんながね、こたつなんていらない、認められないわって……」
絵里「あなたがはじめてよ……こたつを認めてくれたの……」グスッ
花陽「ええっ!?みんなこたつ、欲しくないのぉ!?」
海未「あの、部室に必要かどうかという話で……」
花陽「あの包まれる安心感に、身体の芯まで届くぽかぽか……」
花陽「寒い日にこたつに飛び込めば……そこは、まさに天国なの!」
にこ「それ、どっかで聞いたフレーズね……」
花陽「さらにね?こたつの中でぬくぬく着替えだってできるし――」
花陽「こたつで食べる、ごはんといったら……あぁ……すごいおいしいんだよ!?」
真姫「それは……ごはんがおいしいんじゃないかしら……」
花陽「とにかく、こたつはすごいの!ね、絵里ちゃん!」
絵里「そう……そうなのよ……花陽……花陽おぉ!!」ギュー
花陽「絵里ちゃん!!」ギュー
絵里(………………ん?この暖かで、やわらかく包まれるこの感じ――)
絵里(これは…………もしや――――)
――――――――
――――――
にこ(昨日の絵里のこたつ導入、結局却下になったけど)
にこ(こういう寒さを味わうと、ありなのかもしれないって少し思うわね……)
にこ(ふぅ、やっと部室に到着っと)
にこ(たぶん室内はあのストーブでいい感じに――)
―ガチャ
にこ「はぁ、あったか……って、寒!ストーブ入れてないじゃない!」
花陽「…………あ、ニコちゃん」ギュー
にこ「……え、二人抱き合ってなにやってんの?」
絵里「……気づいたのよ。花陽はこたつに勝ることに!」ギュー
絵里「こうやってギュッとするとね……もうね、ふわふわでぽかぽかで最高よ!」ギュー
にこ「あ、ああそう…………」
にこ「……花陽はそれでいいの?」
花陽「花陽もあったかいし、いいかなって。えへへ!」ギュー
絵里「……ふふっ!」
絵里「やっぱり寒い日は、花陽よね!」
おわり
ぎゅーっ
は?
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