【ラブライブ！】善子「白を愛した少女」

あんまりヨハネっぽくないかも
短いです

私、ヨハネは恋をしたわ

雨がやまない梅雨の時期

バスを降りて、学校でなくなった傘の代わりのビニル傘をコンビニで買って

そういえば宿題のプリントを教室に忘れていた事を思い出して

一度学校に戻ろうかどうするかを考えている時だったわね

帰り道にその子はいたの

「にゃぁ～」

建物と建物の間

わずかな隙間に置いてあった段ボールに中にちょこんと入っていた子猫

少し汚れていて痩せてはいるけど、元気な声でにゃーって鳴いてたの

「…………かわいい」

心奪われて

ホント、一目惚れだったわ

気づいた時には、少し湿った段ボールを抱えて家に帰っていたわ

突然子猫を連れて帰ったものだから

絶対怒られちゃったり、飼うのを反対さちゃったりって思っていたのに

「まぁ、可愛い子猫ちゃんじゃない」

って、ママもパパもその子にベタベタ。もう、連れて帰ってきたのヨハネなのにー！

名前間違ってる
ごめんなさい

すぐにお風呂で汚れを落としてみると

薄々気づいていたけど、その子の毛並みは真っ白

リトルデーモンなヨハネのイメージと合わないんだけど

小悪魔って黒って感じだし

でもまぁ、あんまり気にしないわ

飼ってたらそのうちこの子もヨハネ色に染まって黒くなってくるもの

タオルで体を綺麗に拭いてあげると

この子が膝の上に乗っかってきた

頭を撫でると、ぐるる…って鳴いて────

もう、ほんっと可愛いわね！

おもいっきり体中をくしくししてあげたい

そんな衝動に駆られるけど、ぐっと我慢。だってきっと逃げちゃうもの

この子も疲れてるだろうし、今日は遊ぶのは我慢我慢……っと

────

「それじゃあ、ヨハネは帰るわね！」

「あれ？もう帰っちゃうずら？」

ええ。そう言って頷く

だって帰ってヴァイスと遊びたいもの

あ、ヴァイスってのはあの子の名前。ふふふ、ヨハネが考えたの

いい名前でしょ？

帰りにペットショップに寄ってご飯や猫じゃらし買わなきゃ

くしで梳いてあげたいし、また頭を撫でてあげたい

色々と可愛がってあげたいから、部活のない日はまっすぐ家に帰ろうっと

え？ああ、そうね

ヴァイスの事は皆に秘密にしてるわ

だって、堕天使に白の子猫よ？

合わないじゃない。せめて黒ぶちみたいな黒要素があったらよかったのだけど

堕天使のヨハネの使い魔が真っ白な子猫だって全国1000万人のリトルデーモンに知られたら────

…………なんか嫌だし

とにかくっ、今はヴァイスの事は秘密なの

「ただいまっ」

ヨハネの声に反応して、ヴァイスが迎えにきたわ

ふふふ……さすがはヨハネの使い魔。もうすっかりヨハネに夢中ね

そんなあなたに……ヨハネからプレゼントよっ！

ばばっと背中に隠していた猫じゃらしを見せると

ヴァイスの視線は猫じゃらしに釘づけ。右に揺らすと右を向いて、左に揺らすと左へ

ぽいって投げると、ダダダッって走って

連れて帰った時からもそうだったけどヴァイスはとっても元気

うんうん。ヨハネは元気な子が好きよ

──── ちょこっとだけ、ヨハネの部屋の惨状に身が震えたわ

「あああーーーっ！？」

本棚が！？花瓶が！？カーテンがぁーっ！？

ヨハネお気に入りの紺色のクッションも濡れてる！？

ヴァイスを叱らなきゃ

リビングに行くと、まだヨハネの猫じゃらしで遊んでるヴァイスがいたわ

「こらっ！」って叱ろうとしたんだけど、元気いっぱいに遊んでるヴァイスをみてると

なんか──── どうでもよくなってきちゃった

なんだかヴァイスを見てると癒されるの

ううん、違うわ。ヴァイスの魅力にヨハネがちょこっとだけ惑わされてるだけ

少し不本意だけど、ちょこっとだけ付き合ってあげる

────

「あれ？善子ちゃん。衣装に動物の毛がついてるずら」

「えっ！？あ、ああ……あ、ありがとう」

失敗したわ。衣装を家に持ち帰った時についちゃったみたいね

真っ白な毛だから物凄く目立つわ

「結構ついてる……。あ、もしかして猫か犬飼ってるの？」

心臓が止まったわ

本当に3秒くらい止まったわね

「わかるずら。親戚の家におっきな犬がいるんだけど、遊びに行くたびに玩具にされちゃって…」

「体中が毛やよだれまみれになっちゃうけど、でも可愛いからつい許しちゃうずら」

にこにこと屈託のない笑顔で話すマル

もう飼ってる前提で話が進んでく

ここからの流れはすぐにわかったわ

今日、マルがうちに来て、明日ルビィにばれて、放課後にはAqoursの皆にばれる

予想は当たったわ

正確には昼休みにはAqoursの皆は知ってたみたいだけど

夏の間は皆が当たり前のようにヨハネの家に来てたわ

皆子猫用のお菓子やおもちゃを持って来たりもしたけど

でもヴァイスはいつもヨハネの膝の上に座って、ごろごろって

梅雨の時期に比べるとだいぶ大人しくなって、ヴァイスの世話もだいぶ楽になってたわ

本当、大人しくなりすぎてた

ある日、部活もお休みでひとり早めの帰宅をした時だった

玄関の扉を開けてもヴァイスはこなくて

「………寝てるのかしら？」

だったら起こしたらかわいそうね

あまり音を出さないようにと、静かにリビングへ向かうと

血の混じったおう吐物の横で倒れてるヴァイスがいて────

なにも覚えていない

ただ、病院の先生はそんなに長くは持たないとか

訳のわからない事を言ってた気がする

気がついた時には、ヨハネの家からヴァイスはいなくなっていた

その日から、ほぼ毎日病院に行くようになっていた

難しい事はヨハネにはわからない

けど、きっとよくなるから。そう願いながらガラス越しにヴァイスを見つめていた

初めて出会ったときみたいに痩せていた

元気はなくなっていた

薄々感じてはいたわ

数日後

ヴァイスが家に帰ってきた

帰ってきた事実は覚えてる

そのあとの事はよく覚えていない

ただ、とても悲しい事があった気がする

──── 今でも

今でもヴァイスの写真を見ると、涙があふれてしまう時がある

動物に詳しい人に面倒を見てもらっていた方が幸せだったのかも

もっと早くヴァイスの異変に気付いていたら助かっていてかも

そう後悔してばっかり

マルちゃんが「善子ちゃんと一緒にいれて、ヴァイスちゃんは幸せだったと思うよ」

そう言ってくれて少しだけ救われた気がするわ

もう秋になるわ

いつまでも落ち込んでちゃダメね

次のライブはもうすぐなんだから

ヨハネが落ち込んでちゃ全国1000万のリトルデーモンが心配しちゃうわ

机の上の写真立てに目をやる

写真には嬉しそうにヴァイスを抱えてるヨハネと眠たそうな、気持ちよさそうな表情のヴァイスが写ってる

少しだけ見つめて

「よぅし、今日もきっと不幸な事ばっかりだけど、精一杯頑張るわよっ」

これはヨハネが白を愛したおはなし

おしまい

最後まで読んでくれた方いましたらありがとうございました。
次にペットを飼ってる方は後悔しないようにたくさん可愛がってあげてください。

スレタイで笑わせにくるのやめーや
もう内容もスレタイを引き立てる為の布石にしか思えんかったわ

やめろ…それはオレに効く…

ヨハネちゃんの家にはあとシオマネキ2匹と黒猫とカナブンがいるはずだが

乙
よしこってペットに好かれそう