【ラブライブ!】千歌「恋の歌かー」曜「鯉?」
- 2020.04.19
- SS

千歌「そうそう、やねよーりーたーかーいー……って違うよ!恋!ラブ!」
曜「ああそっちかぁ」
千歌「新しい歌詞考えなきゃいけないんだけど、なかなか浮かばなくて」
曜「なんで恋?」
千歌「やっぱりアイドルといえば恋の歌じゃない?」
曜「そう……かな」
曜「うーんあまり詳しくないからなー……でも恋って発想はなかったかも」
千歌「……曜ちゃんの想像ではどういうのを歌ってることになってるの?」
曜「そりゃ例えば海の歌とか」
千歌「えらくざっくりとしてるね」
千歌「うんうん、まぁたしかにアイドルだよね」
曜「人魚のバカンス」
千歌「うんうん」
曜「恋のバカンス」
千歌「うん?」
曜「津軽海峡冬景色」
千歌「えっ」
曜「月月火水木金金」
千歌「ちょ、ちょっと待って途中からアイドルじゃなくなってるよ!」
曜「え?そう?」
曜「前にスケッチブックに描いたじゃん」
千歌「あーそうだったね、職業制服ばっかだったね!そりゃズれてるはずだよ」
曜「……ズれてなんかないよ」
千歌「そんなことより恋の歌だよ恋の歌!」
曜「どうして恋なの?」
千歌「だって何かいいと思わない?共感できるっていうか」
曜「……恋したことあるの?」
千歌「いや、ないけど」
曜「……」
曜「……ううん何でも」
千歌「あっ、今心の中で『他人に影響されやすいなー』とか思ったでしょ!」
曜「思ってない思ってない!」
千歌「ほんとうー?」
曜「『相変わらず考えが浅いなー』なんて思ってないですぞ?」
千歌「思ってるじゃん!」
千歌「思ってるじゃん!!もう怒ったぞー!食らえ普通チョップ!!」
曜「ヨーソローバリアー!」
千歌「普通くすぐり!こちょこちょこちょ!」
曜「うひゃひゃやめっ、このっ、とーりかーじ!もどーせー!こちょこちょこちょ!」
千歌「ひぁちょっ仕返し禁止!やめて降参降参するからやははは!服剥こうとしにゃいへ!」
曜「残念ながら無効にできませーん」コチョコチョ
千歌「あっ今のはもしかして剥こうと無効をかけて
曜「倍増しじゃー!」コチョコチョコチョコチョ
千歌「わわぁきゃはははははやめひゃははっ!!!」
・
・
・
・
・
千歌「はぁ……はぁ……死ぬかと思った……」ハァハァ
曜「相変わらず横腹が弱いですなー」
千歌「そこばかり攻めるとは卑怯な……」
曜「他のところも攻めて欲しかった?」
千歌「よーちゃぁぁん」
曜「あはは、ごめんごめん。千歌ちゃんはあれ以上やったら漏らしちゃうもんね」
千歌「漏らさないよ!昔は漏らしてたみたいに言わないで!」
曜「えっ」
千歌「え?」
千歌「ちょ、やめてよ実際に漏らしてたけど可哀想だから忘れてあげなきゃみたいな空気出すの!」
曜「冗談はさておき」
千歌「……」ジトー
曜「恋の歌だっけ?」
千歌「あっそうだった!考えなきゃ」
曜(単純だなー」
千歌「心の声聞こえてるからね」
曜「いやん聞かれちゃった♡」
千歌「聞かせてるくせに……あ、それいいかも」
千歌「想い人の心の声を聞くことができれば……みたいなのどうかな」
曜「……どうなると思う?」
千歌「んー、告白しやすくなる?とか?」
曜「どうして?」
千歌「え、だって相手の気持ちがわかれば作戦を練ることができるし……」
曜「……」
千歌「どうしたの?」
千歌「うーん……発想はいいと思うんだけど……なかなか湧いてこないもんだねぇ」
曜「そりゃ経験したことないなら難しいんじゃないかなー」
千歌「あ……そういえば曜ちゃんは恋とかしたことあるの?」
曜「……」
曜「どうだったかなぁ」
曜「いや、大人の基準低すぎでしょ」
千歌「てか曜ちゃんたまにラブレターもらってたよね?」
曜「!?……知ってたの?」
千歌「何度か目撃してますからねぇ」
曜「どうして言わなかったの?」
千歌「だってあまり突っ込んだりしたら告白した子が可哀想だし……」
曜「……そっか、そうだよね」
千歌「それで付き合ったことはあるの?」
曜「ないよ!みんな女の子だし!」
千歌「だよねー」
曜「……」
千歌「え?どうって?」
曜「気持ち悪いとか思ったりしないの?」
千歌「んー……」
千歌「別に思わないかな」
曜「えっどうして?」
千歌「へ?いや、どうしてって言われても」
曜「だって同性だよ?生物学的におかしいって思わないの?」
千歌「でも好きなら仕方ないっていうか……子供は作れないだろけど恋心とは別じゃないかな」
千歌「私はそれが誰に向けられたものであってもキラキラしてて素敵だと思うし、応援したいな」
曜「そ……そっかぁ……」
曜「……」
曜「……」
千歌「おーい」ノゾキコミ
曜「……え、わ、わぁっ!////」
千歌「わっ」
曜「な、なに?」ドキドキ
千歌「いやそれ私のセリフだから。どうしたの? ボーッとして」
曜「え……あ……ごめん、ちょっと考え事してた」
千歌「何か悩みでもあるの?」
曜「私が?ないない!」
千歌「本当に……?」ジーッ
千歌「うっ」
曜「まさか……また」
千歌「ううんまだ大丈夫だよ!ロスタイムがあと1日あるから!」
曜「つまり間に合わなかった、と」
千歌「ぐぬぬ……」
千歌「ええっ泊まっていかないのー?」
曜「作詞の邪魔にならないよう泊まりたい心を抑えて帰途につく健気な曜ちゃんなのであった……」ヨヨヨ
千歌「ちょ」
曜「千歌ちゃんがきちんと期日に間に合わせていればこんなことには……しくしく」
千歌「わーんごめんなさーい!」ビエー
曜「嘘だけどね」ケロ
千歌「知ってた」
曜「バレてたか」
千歌「というか本当に大丈夫?」
曜「なにが?」
曜「あー、まぁたしかに大変だったけど」
千歌「じゃあ」
曜「でももう大丈夫、燃料は満タンになったから」
千歌「……?燃料?」
曜「最大戦速30ノットヨーソロー!って感じ!」
千歌「やめてください機関がぶっ壊れます!」
曜「えー、じゃあ強速で!」
千歌「原速で安全運行お願いします船長!」
曜「ちえー」
曜「うーんどうしよっかなぁ」
千歌「そこはいいとも!っていうところでしょー」
曜「……千歌ちゃんが明日までに作詞終えてたら考えるよー」
千歌「ほんと?よーし、そういうことなら頑張らなきゃ!」
曜「そういうことなくても頑張りなよー、じゃあもうすぐバスくるし行くね」
千歌「じゃあバス停まで送ってくよ」
曜「いいからいいから!それじゃ千歌ちゃんまた明日ね!」バタン トントントン…
千歌「あ……」
千歌「むぅ……曜ちゃんやっぱり何か悩んでるっぽいなぁ……」
千歌「私には話せないようなことなのかな……」
千歌「……」
千歌「……だめだだめだ!作詞に集中しなきゃ!」
千歌「明日までに仕上げて曜ちゃんと遊ぶぞー!」
~バス内~
曜「……」
曜「……好きなら仕方ない、か」
曜「分かっちゃいるんだけどなぁ」
曜「……」
曜「今日お泊まりグッズ持ってきた意味なかったな……」
曜「あんなこと言われたら気持ち抑える自信ないってば……」
曜「……」
曜「もし私が……」
曜「……////」カァァ
曜「いやいやいや!!ダメダメ!!だめでしょそんな勢いで告ったりしt
バス運転手「盛り上がってるとこ悪いけど、お嬢ちゃん車内では静かにねー」
曜「あっごめんなさい」シュン
バス運転手(青春だなぁ……)
~翌朝登校中~
曜「で?」
千歌「い、いやー、創作の霊感っていうの? 昨夜は結局なにも降りてこなくてさぁ」
曜「ふーん……それじゃ今日もお泊まり会できないね」
千歌「下校時間までには必ず!必ず仕上げるから!」
曜「あきまへんで千歌はん……期日はのう……絶対なんや……」
千歌「そこを何とかたのんますさかい待っとくんなはれ~」
曜「ぶふっ……ちょ、ちょっと千歌ちゃん似合いすぎ」
千歌「えー?関西弁が?」
曜「借金とりに追われて泣き入れてる姿が」
曜「大丈夫、私は千歌ちゃんが借金まみれになっても見捨てないよ」
千歌「わーいありがとー、ってならないよ!」
曜「じゃここにサインしてくれる?」
千歌「えー参ったなー、まだサインの練習なんてしてないんだけどファンに頼まれたら書かなきゃねー」サラサラー
曜「こうして連帯保証人となった千歌ちゃんは主債務者に多額の負債を押し付けられることになったのでした、完」
千歌「へ?」パチクリ
曜「そして地下帝国編へ続く!」
千歌「千歌帝国???」
千歌「ほんと!?」
曜「うん、それまでに出来てたら今日はお泊まり会だ!」
千歌「やったー!許されたー!」
曜「出来てたらって言ってるでしょー、ってか私はともかく梨子ちゃんには……」
千歌「はっ……そうだった……」
曜「まぁ……千歌せんせーお得意のあれを見せて謝るしかないね」
千歌「あれ?」
千歌「しないよ!ってかしてないよ!」
曜「見事なフォームだったよ、うん」
千歌「こわいわーこの子こわいわー、自然に人の過去を捏造しよるわー」ガクガク
曜「あはは、生まれたての子鹿みたいになってるよ」
千歌「!!子鹿に近い千歌!」
曜「……」
千歌「あ、ちなみに今のは鹿と近いと千歌をかけていt
曜「さーて、もう玄関だから上靴に履き替えなきゃなっと」
千歌「」
・
・
・
・
・
千歌「……あれ?」
曜「どしたの?」
千歌「靴箱に何か入ってる……」
曜「まさか画鋲や虫とか……?」
千歌「違うよ!」
曜「もしいじめられてたら私に相談してね!千歌ちゃんをいじめた奴は曜がぶっソローしてやるから!」
千歌「なにその動詞、物騒なようで全然強そうに聞こえない!ふしぎ!」
千歌「手紙……かな?」
曜「え……」ドキ
千歌「これはもしや果たし状……?」
曜「……」
千歌「差出人は……封筒には書いてない、か……手練の犯行だねこれは」
曜「……」
千歌「何か恨みを持たれるようなことしたかなぁ……おっと、心当たりが多すぎるぜ!」アチャー
曜「……」
曜「……」
千歌「おーい、よーちゃーん」
曜「ふぇっ!?わ、私じゃないよ!?」
千歌「知ってるよ、じゃなくてどうしたの?またボーッとしてた」
曜「あ、いや……その手紙だけどさ……」
千歌「うん」
曜「……ラブレターじゃないかな」
曜「ほら……口のところがハートマークのシールで留められてるから……」
千歌「これってそういうことなの……?」
曜「……普通は」
千歌「でも私にそんなもの来るとは思えないけどなぁ……とりあえずトイレで開けてみる!」
曜「え……」
千歌「ごめん、ちょっとだけ待ってて!」タタタ
曜「あ、うん……」
曜「……」
曜「……」ギュ…
千歌「ほんとにラブレターだった……」
曜「……やっぱり」
千歌「放課後に屋上で待ってるって……」
曜「……」
千歌「まさかこんなのもらえる日がくるなんて」
曜「そりゃもらえるでしょ」
千歌「でも私だよ? 千歌だよ? 果たし状の類かと思うじゃん!」
曜「一応アイドルでしょ」
千歌「でも私なんかを好きになる人がいるなんて信じられな
曜「ダメだよ、それ以上言ったら。相手に失礼」
曜「……かわいいんだから好きになる人いるに決まってるじゃん」ボソッ
千歌「え?」
曜「なんでもないよ」
千歌「……曜ちゃん何か怒ってる?」
曜「怒ってなんか……」
千歌「ウソ。だってずっと目を合わせてくれないじゃん」
曜「……」
千歌「口調もずっと冷たいっていうか……何かあったんでしょ?」
千歌「もし知らない内に何かしちゃってたなら謝るから教えt
曜「なんでもないったら!」
千歌「っ!」ビクッ
曜「……」ハッ
曜「ご……ごめん……でも本当に何もないから」
千歌「曜ちゃん……」
曜「それでどうするの? ……付き合うの?」
千歌「……まだわからない」
曜「でも昨日はそういう気持ちを応援したいって」
千歌「それはそうだけど……それが私に向けられるなんて想定してないよ……」
曜「そっか……」
千歌「でも……放課後までには決めなきゃね」
曜「……!」
千歌「私の気持ちは私自身にしかわからないから……私がどう応えたいのかちゃんと考えるよ」
曜「……そ、うだね」
< キーンコーンカーンコーン
千歌「って、わっやばい予鈴が!」
曜「……」
曜「――うん、そうだね。急がないと」
千歌「本当に大丈夫? 昨日からなんか様子がおかしいよ」
曜「昨日から、か……」ボソッ
千歌「え?」
千歌「げっ!ちょ、ちょっと待ってよ!よーいどんのタイミングも曜ちゃんの移動も速すぎて無理だって!」
曜「油断してるのが悪いんだよー!」
千歌「あ、今のはね? よーいどんと曜移動をかけt
ダイヤ「こらぁぁあっ!!!!!!!!!!」
ようちか「「!!」」ビクッ
ダイヤ「廊下を走ったらブッブッブーですわ!!!!!」
ようちか「「ご、ごめんなさーい!」」
曜「私は千歌ちゃんのダジャレを引き出すため健気にも体を張ってネタふりしただけなのに……しくしく」
千歌「えっそうだったの……?ごめんね恩知らずでごめんね」ヨヨヨ
曜「まぁ嘘だけど」
千歌「知ってた」
曜「……」
千歌「……」
曜「あの……さ……」
千歌「うん……」
千歌「……うん」
千歌「だからきちんと考えて答えを出さなきゃ」
千歌「……たとえそれがその子の求めているものじゃなくても」
曜「……」
曜「それなら……」
曜「……千歌ちゃんの気持ちは私が応援するよ」
千歌「曜ちゃん……?」
曜「あっやばい!先生歩いてきてるよ!先に入らなきゃ遅刻になっちゃう!」
千歌「っ!は、早歩きー!」
曜「ヨーソロー!」
曜「……」
曜(応援するよ……たとえ千歌ちゃんがラブレターの子を好きになっても……)
教師「……であるから、心臓に入ってくる血液は肺からくるものと体全体からくるものの二種類があり……」
千歌「……」
教師「……これを肺循環、体循環といってそれぞれ酸素と二酸化炭素を……」
千歌「……」
教師「各所から大静脈へと集まって右心房へ……おーい高海聞いてるか?」
千歌「……」
教師「高海ぃー?」
千歌「……」
曜「千歌ちゃん、千歌ちゃん……!」クイクイ
千歌「……ふぇ?……あっ!!ご、ごめんなさい!」
教師「なんだ?目開けたまま寝てたのか?」
千歌「い、いえめっそうもねぇです」
< プフッ
メッソウモッテ… >
< クスクス クスクス >
クスクス >
千歌「」
教師「ったく、予習してこいとは言わんがせめて授業だけでも聞いておかないとまた補習だぞ」
千歌「すみませんでした……」
千歌(うう……授業に集中できない……)
千歌(どうしてよりによってこんな日に……)
千歌(……ううん、違うよね、きっと今日が手紙の子の決意が固まった日なんだ)
千歌(だからきっとこの日じゃなきゃダメだったんだ)
千歌(私はいつも通り普通をすごしていただけだった)
千歌(いつも通り締め切りに遅れて、いつも通り曜ちゃんを泊まりに誘って……)
千歌(手紙という特別がとびこんできたから、今だけ特別に合わさなきゃいけなくなった)
千歌(ただそれだけ)
千歌(私が特別なんじゃなくて相手の子が特別でキラキラしてるんだ)
千歌(だから私は私の言葉でそれに応えなくちゃ)
千歌(でも、一体どうすれば……)
千歌(……恋ってなんだろう)
千歌(好きになるって、どういうことなんだろう)
千歌(……)
千歌(曜ちゃん……曜ちゃんはどうして告白を断り続けてるんだろう)
千歌(昨日ははぐらかされちゃったけど……)
千歌(曜ちゃんの好きな人か……)
千歌(……)
千歌(あれ……なんでだろう)
千歌(胸がちくちくする気がする……)
千歌(それに、もやもやして……おへその上あたりが気持ちわるい……)
千歌(曜ちゃん……)ジーッ
曜「……」チラッ
千歌(!!)ドキッ
千歌(……びっくりした……そんなつもりなかったのに眼が合っちゃった)ドキドキ
千歌(なんで急にこっち見たんだろう)チラ
曜「……////」
千歌(あれ?なんか曜ちゃんの顔が赤くなってるような……)
曜「……なに?////」ヒソ
千歌「曜ちゃんもしかして熱とかある?」ヒソヒソ
曜「平熱だよ!」ヒソヒソ
千歌「でも顔が赤いような気が……」ヒソヒソ
曜「太陽が当たってるからそう見えるだけだって……」ヒソヒソ
千歌「んじゃちょっとおデコくっ付けさせて……」スッ
曜「っ!!////」バッ
千歌「えっ」
千歌「……!」ドキッ
千歌「あ……ごめ……」ドキドキ
千歌(なにこれ……)ドキドキ
曜「……////」
千歌(この感覚どこかで……)
千歌(……そうだ、曜ちゃんの試合を見てる時だ)
千歌(曜ちゃんがくるくると回って飛び込む瞬間……――ちがう)
千歌(たしかに心配でどきどきするけど、そういうのじゃなくて――)
千歌(――ああ、そうだ)
千歌(飛び込む直前、10m固定台の上でスタンバイしたとき)
千歌(曜ちゃんは必ず一度こちらを……ううん、観戦席の方をじっと見つめる)
千歌(たぶんどんな風に演技するかシミュレーションしてるんだと思うけど……)
千歌(遊んでいる時とは違う、真剣な眼で見つめられてるような気がして)
千歌(そう、このどきどきはあのときの感覚に似てるんだ)
千歌「……!」チクッ
千歌(――そっか、さっきのちくちくはあの時と同じ……)
千歌(なんなんだろう……これ……)
千歌(千歌の心臓おかしくなっちゃったのかな……)
教師「……というわけだ。えー、ここまで心臓の仕組みについて説明してきたわけだが」
教師「何か質問は?」
千歌「……」
教師「なければ次の章に――」
千歌「あ、あの!」
千歌「ええと……その……心臓がどきどきしたりちくちくしたりするのはなぜですか!」
ザワ…
…ザワザワ
ザワザワ…
ザワザワ…
曜(千歌ちゃん……?)
教師「……えらくざっくりとした質問だな」
千歌「あ……すいません……」
教師「まぁ……ざっくりと答えると、交換神経が活発になるせいだな」
千歌「こうかんしんけい……?」
教師「二種類に分かれる自律神経系の一つだ。心拍はこれらの神経系でコントロールされている」
千歌「???」
教師「ただその片方、つまり交換神経の働きが高まると筋肉が緊張して血圧や心拍があがるわけだ」
教師「原因は色々あるが、例えば緊張したり、不安になったり、恥ずかしい思いをしたり……」
教師「あとはそうだな……恋をしたり」
千歌「こ、恋!?」
曜「っ!!」
教師「あ、ああ……なんだお前恋してるのか?」
千歌「!?そ……そうなんですか?」
教師「いやこっちに聞かれてもな……」
曜「……」ズキ…
教師「それに伴って交換神経の状態が優位になる」
教師「その結果、心拍数が上がってどきどきするわけだ」
教師「ちくちくについては……状態がわからないから正確な答えにはならないが、よくあるのはストレスだな」
千歌「ストレス……?」
教師「ああ、これは他の衝撃が大きいぶん一気に反応として出てくる」
教師「それがちくちくとした痛みに感じるんだろう。恋愛に絡めていうなら、失恋または」
教師「嫉妬だな」
千歌「し……っと……」
曜「……」
< キーンコーンカーンコーン
「っと、チャイムが鳴ったので今日はここまで!来週は次章からはじめるからなー!号令!」
< キリツ! レイ!
< アリガトーゴザイマシター!!
千歌「……恋……嫉妬……」
曜「……」
梨子「千歌ちゃん!」
千歌「……梨子ちゃん?」
梨子「さっきはどうしたの?」
千歌「あ……いやぁ、あはは……」
曜「……」
梨子「まさか本当に恋の悩みを……?」
千歌「ええと……よくわからないっていうか……」
千歌「相手?」
梨子「相手がいなかったら恋なんてできないじゃない」
曜「……」
千歌「……うん、そうだよね……でもこんなの初めての感覚で……どうすればいいか」
曜「……大丈夫だよ」ガタ
千歌「え……」
梨子「曜ちゃん?」
千歌「曜ちゃ」
曜「私は千歌ちゃんの好きを応援しているから」ズキズキ
曜「手紙の子と幸せになれるようにって」ズキズキ
千歌「……」
曜「だって私は千歌ちゃんの親友だもん」
千歌「……曜ちゃん……どうして……」
千歌「どうして泣いてるの……?」
千歌「どこか痛いの……? 保健室行く……?」
曜「あ……あはは、いやだな何これ……朝練でプールの塩素が沁みたのかな……」ポロポロ
曜「ちょっとトイレで目洗ってくるね……!」ダッ
千歌「あっ、曜ちゃ……!」
千歌「……」
千歌「……今日朝練なかったじゃん……」
千歌「……」ギュ…
梨子「……」
梨子「今朝何があったか話してくれる?」
千歌「え……」
梨子「遅刻ぎりぎりで教室に駆け込んできた時から何か様子がおかしかったから」
千歌「……」
千歌「……そっか」
梨子「話せる範囲でいいよ」
千歌「……」
千歌「……実は……」
・
・
・
・
・
梨子「なるほど……ラブレター、か……」
千歌「うん……なんだかその時から曜ちゃん……雰囲気がいつもと違うかったっていうか……」
梨子「……」
梨子「千歌ちゃんちょっと顔あげて」
千歌「?」
梨子「ふむ」
千歌「なに……?」
梨子「話がちょっと逸れるんだけどね」
千歌「うん?」
梨子「千歌ちゃんの好きになった相手って曜ちゃんでしょ」
千歌「……へ?」
千歌「ぅえぇ!!?////」ボンッ
梨子「やっぱり」
千歌「な……な……ん……なに……を……////」アワアワ
梨子「その顔見ればわかるよ」
千歌「かお……?////」
梨子「真っ赤になってる」
梨子「うん。みかん……じゃなくて、リンゴみたいになってるよ」クス
千歌「ブラッドオレンジでお願いします……////」
梨子「……結構余裕だね」
千歌「そこはこだわりなので……」
千歌「でもなんで? 赤くなってるから好きってわかるの……?」
梨子「一般的にはそうかな」
千歌「そう……なんだ……」
梨子「まぁそれだけじゃないけど。さっきのやりとり見ててそうかな?って思ったから」
千歌「さっきのやりとり……?」
千歌「……私が?」
梨子「やっぱり自覚なかったんだ」
千歌「う……」
梨子「どうしてそんな顔になったか分かる?」
千歌「……わかんない……でも手紙の子と幸せにって言われて胸が苦しくなって……」
千歌「でもそれ以上に泣いてる曜ちゃん見たらすごく悲しくなって……」
梨子「……」
千歌「どうしよう梨子ちゃん……お腹痛い……」
梨子「……」
梨子「……まぁある意味では。だけど別に千歌ちゃんが悪いわけじゃないよ」
千歌「でも」
梨子「もちろん曜ちゃんが悪いわけでもない。千歌ちゃん、よく思い出してみて」
千歌「なにを…?」
梨子「曜ちゃんの様子」
千歌「様子……」
梨子「今の千歌ちゃん自身と照らし合わせてみて」
千歌「……」
千歌「……あ」
千歌「え……そんな……でも……梨子ちゃん、もしかして曜ちゃんは」
梨子「はいストップ。そこから先は私には何も言えないよ」
千歌「けど」
梨子「言う権利もなければ確証もない。私は曜ちゃん本人じゃないからね」
梨子「ただ、確信に近い予感があるだけ」
梨子「それを確かめることができるのは千歌ちゃんだけなんだよ」
千歌「で、でも、もし違うかったら私、自意識過剰すぎじゃん!」
梨子「あーそれは今更だから誰も気にしないよ」
梨子「本当に普通の人は普通を自称しないし、アイドルなんて始めません!よって自意識過剰!」
千歌「えぇー……」
梨子「だいたいみんなを強引にスカウトして回ってたんだから、今更そんな恥じらい違和感しかないよ」
梨子「当たって砕けるのが高海千歌でしょ?」
千歌「……」
梨子「それともやめる?」
千歌「……やめない!」
梨子「だよね」
梨子「え? ちょ、ちょっと!休憩時間もう終わっちゃ……ってもういない……」
梨子「ちゃんとチャイムまでに戻ってくればいいけど……」
梨子「……うん、たぶん無理だよね」
梨子「それにしても……やめやめ問答、初めて使ったけど効果ありすぎ……さすが曜ちゃん」
梨子「……」
梨子「二人ともがんばってね……」
15分くらいしたら戻ります
~保健室~
< キーンコーンカーンコーン
保険医「はい、胃薬と担任の先生に届ける紙」
曜「……ありがとうございます」
保険医「先生は今から会議に行かなきゃいけないから席を外すけど、もし楽になったらクラスに戻るのよ?」
曜「はい……」
保険医「奥のベッド使っていいから横になってなさい。それじゃ」
< ガラガラ…ピシャ
曜「……」
曜「ああ~もうっ、なんであんな姿見せちゃったかなぁっ」
曜「笑って応援するつもりだったのに……」
曜「……」
曜「……千歌ちゃんが恋」
曜「このタイミングだと十中八九あの手紙の子にだよね……」
曜「……」
曜「……っ」ジワ
曜「いやだ、また……」ゴシ
曜「ほんといやになっちゃうよ」
曜「世間体を気にして気持ちを殺して」
曜「ずっと隣にいるのが当たり前になってて」
曜「千歌ちゃんとの関係が壊れることを恐れて決断を先延ばしにして……」
曜「……でも手紙の子はそんな私よりもずっと勇気があった」
曜「大好きを隠さなかった」
曜「だからこそ千歌ちゃんは……」ポロ
曜「……」グシグシ
< ヴーッ ヴーッ
曜「……めーる?」
―――――――――――――――――
from: 梨子ちゃん
件名:なし
千歌ちゃんそっちに行ってない?
―――――――――――――――――
曜「……え」
曜「そっち、ってもう授業始まってるはずなのに……どういう……」
< ガラガラッ
曜「……!!」
千歌「っ……やっと見つけたぁ……!」
曜「ち……かちゃ……ん?」
千歌「それはこっちのセリフだよ!校舎内のトイレ全部探しちゃったじゃん!」
曜「あの、わたしその…」
曜「っ……教室に戻らなきゃ……!」ガタ
千歌「待って!」ガシッ
曜「え……」フラッ
千歌「……」ギュ
千歌「よーちゃんをつかまえてるんだよ」ギュウ…
曜「つかまえるって……な、んで////」
千歌「だって逃げちゃうもん。こうやって抱きしめてれば逃げられないよ」
曜「逃げてなんか」
千歌「逃げてるよ。今朝もさっきも、ううん、昨日もその前もずっと!」
曜「……っ」
曜「千歌ちゃん?一体なにを……」
千歌「もしかすると私の勘違いかもしれない。すごく恥ずかしい勘違い。でも好きになっちゃったんだから仕方ないよね」
曜「!」
曜「……千歌ちゃんも決断したんだね」ズキ
千歌「うん。私そんなに器用じゃないから、自覚しちゃったらもう隠せない……ううん」
千歌「少なくとも曜ちゃんには隠したくない。応援するって言ってくれたから恥ずかしくても言うよ」
曜「そ……っか……」ズキズキ
千歌「ありがと……わたし……私ね」
曜「うん」
千歌「好きになっちゃったの」
曜「……うん」
千歌「曜ちゃんのことが」
曜「……うん……
………………
…………え………?」
曜「え……ぅえぇえ!!?!?」
千歌「なっちゃったって言ったけど、本当はずっと前から好きでした!」
曜「ずっと前って……え?…え?」
千歌「たぶんね。さっきまで私も知らなかったけど」
千歌「なぜか曜ちゃんの顔が浮かんで……曜ちゃんは告白されてどんな気持ちだったのかなとか考えて」
千歌「そしたら急にちくちくし始めて……あれってきっと嫉妬だったんだと思う」
千歌「曜ちゃんは小さいころからずっと私の一番で、特別で、それが嬉しくて」
千歌「でも心の底では私も曜ちゃんにとっての一番だったらいいのにってずっと思ってた」
千歌「今思うと、曜ちゃんがみんなに囲まれたり告白されたりしてるのを見て、その度にちくちくしてたんだ」
千歌「どうして私は隣にいられないの、どうして私は特別になれないの、って」
千歌「ここには……私にはなにもない。曜ちゃんの特別になるためのものなんて、何も」
千歌「助けて!って。ちくちく!って。私の心臓はずっと叫んでたんだ」
千歌「曜ちゃん、私は曜ちゃんのことが好き」
千歌「私は普通で、何も持ってない普通星人だけど、この気持ちだけは誰にも譲りたくない」
千歌「曜ちゃん以外の誰にも渡したくない、たった一つの特別な気持ち。私の特別の全財産なの」
千歌「はい、言ったよ!まだまだ言い足りないけれど、それに今ものすごく恥ずかしいけど、ちゃんと言えた!」
千歌「どう?曜ちゃんはまだ私の気持ちを応援してくれる?」
曜「……」
千歌「……それとも応援やめる?」
曜「……やめない」ギュッ
曜「やめるわけないじゃん……私が千歌ちゃんの応援やめるなんて天地がひっくり返ってもあり得ない」ギュウウ
千歌「曜ちゃん……?」
曜「だめ!」
千歌「!!」
曜「離れないで……たぶん今わたしの顔やばいから……」
千歌「やばいって?」
曜「千歌ちゃんのせいだよ……」
千歌「ええっ私?」
曜「今きっと顔ぐちゃぐちゃになってるから……」
千歌「そんな……私、どんな顔でも曜ちゃんの顔なら好きだよ」
曜「っ……もう!私が嫌なの!」
千歌「よ、よーちゃん?」
曜「こんな顔、好きな人に見られたくないって言ってるの!////」
千歌「……!」
曜「千歌ちゃんと違って自覚はしてたんだ……いつからかはもう覚えてないけれど、たぶん小学校の頃から」
曜「でも世の中の常識を知れば知るほど、私の気持ちは異常なんだって、不自然なんだって気付き始めた」
曜「飛込競技に集中すれば変な気持ちも湧かなくなるって思って、一時期は毎日のように施設に通った時期もあった」
曜「でも、観戦席には必ず千歌ちゃんがいて私を応援していて、気持ちは膨れ上がる一方だった」
曜「だからもっと集中しなきゃ、集中して邪な考えを無くさなきゃって思ってたらどんどん難易率が上がっていって」
曜「気がつくと順番が逆転してた。千歌ちゃんの存在が私の原動力になっちゃってたの」
曜「いつもダイブの前に千歌ちゃんを探して、千歌ちゃんの目を見てから飛ぶようになって、気がつくと今みたいになってたんだ」
曜「千歌ちゃんが自分のことを普通だって言うたびに、違うよ!ってずっと言いたかった。そんなことない!って言いたかった」
曜「でもそれを証明することは私の中の気持ちを晒すことと同じで」
曜「もしそれで千歌ちゃんとの関係が壊れたらと思うと恐くて言えなかったの」
曜「ごめんね千歌ちゃん、千歌ちゃんの悩みよりも私は自分の気持ちを守ろうとしてたんだ……情けないよ」
曜「ほんと情けなくて……でも嬉しくて……」グス
千歌「……よーちゃん」
曜「私、渡辺曜は高海千歌が好き、大好きです。もちろんラブの意味で」
曜「誰にも渡したくない。誰かが千歌ちゃんを好きになっても、私はもっともっと大きな好きを育てたい」
千歌「曜ちゃん……」グス
曜「でももし千歌ちゃんが他の誰かを好きになったら……」
千歌「ならないよ!」
千歌「万が一、ううん、億が一そんなことになったら私の気持ちなんか応援しないで」
千歌「曜ちゃんの気持ちを犠牲にしないで!」
曜「千歌ちゃん……」
曜「……応援しないなんて出来ないよ……千歌ちゃんは私の特別なんだから……」
曜「でもね」
曜「でも、もう絶対に大好きを諦めたりしない。その時はまた千歌ちゃんが振り向いてくれるまで粘り続ける」
曜「今日、千歌ちゃんの特別になれたってことが分かったから……」
曜「諦める理由なんてもうないから……!」ギュウゥ
千歌「曜ちゃん……!」ギュー
千歌「……曜ちゃんの心臓の音すごいね」
曜「……千歌ちゃんだって」
千歌「これが恋するってことなんだ……」
曜「鯉……?」
千歌「天丼禁止ー……ってこの雰囲気でそういうこと言うかなぁ」
曜「だって私は恋どころか愛まで行ってるから」
千歌「むむっ……よく分からないけどいい響きだね」
曜「でしょー……まぁ私もよく分かってないけど」
千歌「知ってた……」
曜「あちゃー、また知られちゃってたかぁ……」
曜「そんなに私のみっともない顔が見たいの……?」
千歌「見たい」
曜「言い切ったよ……」
千歌「だって大好きなんだもん、仕方ないよ」
曜「便利すぎる言葉だなぁ……なのに破壊力キープしてるから困っちゃう」
千歌「全部本心だからね」
千歌「…………………うん」
曜「すごい間があいたけど」
千歌「世の中に絶対はないんだよ、曜ちゃん」ドヤ
曜「見えないけど多分ドヤ顔で言ってるんだろうと思うと腹立つなぁ」
千歌「あ、例外は私の曜ちゃんへの愛ね。これは絶対だから」
曜「……私だってそうだもん」
曜「……」スッ
千歌「……」スッ
千歌「……ぷっ」
曜「ああーっ!やっぱり笑った!!」
千歌「だ、だって……くふっ……曜ちゃん目の周り赤くなってパンダみたいになってるしぃ……あははっ」
曜「言っとくけど千歌ちゃんだって同じなんだからね!やーい、みっともない!みっともない顔!」
千歌「残念でしたー!私は昔からみっともないところ見られ慣れてるもんね!」エヘン
曜「いばるところかー!くらえヨーソローパンチ!」
千歌「なんの普通バリアー!」
千歌「わわっ、普通クリンチ!」
曜「クリンチ突破ヨーソロータックル!」ガシッ
千歌「ぐわーやられたぁー」ドサッ
曜「……」
千歌「……」
曜「……」
曜「……」
千歌「動けないんですが」
曜「私が上に乗ってるからね」
千歌「体どころか手首も動かないんですが」
曜「私が抑えてるからね」
千歌「抑えてる、ったって……ふぬぬっ……びくともしないんですけどー……」
曜「私の方が力あるからね」
曜「もしかしなくてもそうかな……」
千歌「ええー……」
曜「ね……キスしていい?」
千歌「海釣りの話……
曜「それは鱚」
千歌「……じゃないよねー」
千歌「ええっだめだよそんな……!いや良いんだけど、嬉しいんだけど、むしろ私だってしたいんだけど!」
曜「どっちなの?」
千歌「だって私、キスミ○ト噛んでない……」
曜「いらないよそんなの」スッ
千歌「ま、待ってせめてクロレッ……んっ」
曜「……」
曜「……」
千歌「……ぷはっ」
曜「……っふ……」
千歌「よう……ちゃ……」
曜「しちゃった……ね……」
千歌「これがようちゃんの味かぁ……」
曜「千歌ちゃんはみかん味だね……」
曜「うそ……千歌ちゃん味だよ……」
千歌「……なにそれ」クス
曜「だって他に言い表す言葉がないもん」クスクス
千歌「ふふっ……ね……もういっかい……」
曜「ん……」
ようちか「「!!!!」」ビクッ
千歌「携帯……?」
曜「うん……あ……梨子ちゃんから、ってああ!」
千歌「えっ、なに?」
曜「『千歌ちゃんこっちに来た』って返信し忘れてた……」
千歌「ってわたし授業!うわわ、さぼっちゃったよ!どうしよう怒られる!」ガクガク
千歌「え?」
曜「千歌ちゃん、お腹痛いって言ったんだって? それ、そのまま伝えたってさ」
千歌「あ……そうなんだ……よかった」ホッ
曜「梨子ちゃんには感謝しかないね」
千歌「本当だよ……私の背を押してくれたのも梨子ちゃんだったし……」
曜「千歌ちゃんの?」
曜「……そっか……なんか恥ずかしいな」
千歌「やっぱり都会育ちは恋愛マスターなんだよ……」
曜「ピアノだって弾けるしね……歌だって……歌?」
曜「そういえば歌詞は思いついたの?」
千歌「あっ……忘れてた」
曜「……お泊まり会」
千歌「ま、待って待って!必ず放課後までには仕上げるから!」
曜「本当かなぁ」
曜「えっ///」ボンッ
千歌「曜ちゃんへの想いならいくらでも書けちゃうからね!ん~~創作意欲湧いてきたぞー!」
曜「……///」
千歌「あ、でも創作じゃなくて実録かな?だって全部本当のことだもんね!一文字一文字が全部、曜ちゃんへの愛なのだ!」
曜「……/////」
千歌「ああでも上手くコントロールしないと歌が終わらなくなっちゃう!少なくとも10年分は溜まってるもん!」
曜「……////////」
千歌「何から書こうかなー、やっぱりまずは初めて会った時のことから……ってどうしたの曜ちゃん?」
曜「……ううん……がんばってね///////」マッカ
~放課後~
千歌「あっ、曜ちゃーん!こっちこっち!」フリフリ
曜「お待たせー、遅れてごめん!」タッタッタ
千歌「ううん、千歌も今きたところだから」ポッ
曜「なにそれ恋人っぽいセリフ」
千歌「ふふん、さっそく使ってみたよ!って本当に今きたところなんだけどねっ」
曜「歌詞はできたの?」
千歌「ばっちり!さっき梨子ちゃんに渡してきたよ!」
曜「そっか……何か言ってた?」
千歌「なにかって……?」
千歌「ああもちろん……全部バレバレだったよ!////」
曜「やっぱりなー!////」
千歌「あと……」
千歌「……手紙の子にも会ってきた」
曜「……」
曜「そっか……」
千歌「私自身や曜ちゃんのためだけじゃない」
千歌「もしそれを諦めたら、あの子の切ない想いまで否定することになっちゃうから」
曜「……うん、私も」
曜「これから付き合っていく中でたくさん辛いことや苦しいこともあるかもしれないけど」
曜「荒波にもまれて船がバラバラになっても、ずっと、ずーっと千歌ちゃんの手を離したりしないよ」
千歌「嵐を避けるという道はないんですか船長!」
曜「穏やかな波はいい船乗りを育てない……けだし至言だね」ドヤ
千歌「うわー受け売り星人ヨーソローだ!」
曜「いいかいチカチー、学ぶは真似ぶに由来していてだね……」
曜「千歌ちゃん……」ジーン
千歌「あ、今のはね?航海と後悔をかけててね?」
曜「……」
千歌「……ええと、もちろんダジャレが言いたかったわけじゃなくて、ちゃんと本心というかなんというか」
曜「出航準備!全部員、錨鎖詰め方!」
千歌「ア、アイマム!」
曜「両舷前進原速!針路千歌ちゃん家ヨーソロー!」テクテク
千歌「ヨーソロー!!」テクテク
・
・
・
・
・
曜「そういえばさ」
千歌「うん?」
曜「私がスケッチブックに描いたアイドル像がずれてるって言ってたじゃん?」
千歌「あー、うん。ズれてるね」
曜「本当はズれてないんだよ」
千歌「え?だってあれじゃアイドルというより公務員じゃ」
曜「んー、制服はどうでもよくてさ」
千歌「……?どゆこと?」
曜「私にとってのアイドルは中身だけだよ」
み完!
最後の曜ちゃんの言葉ついては画像を参照のこと

ようちかウラー
恋に気づく描写細かくてとてもよかった
恋心に気がついていく千歌ちゃんがかわいすぎた
ありがとな
曜ちゃんかわいかった
本編もようちかのノリってこんな感じだよね
歌詞って何~♪って急にミュージカル始めたり
すばらしかったぞ
ふたりのふざけてるとこ大好きだな
またよかったらかいてください!
とっても幸せ
スケッチブックの件すげぇ
シリアスとギャグのバランス取れた名作でした
ありがとう
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