【ラブライブ!】凛「縁側と短編小説」

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1: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:17:32.55 ID:9Khi3BXT.net

短いのを思い付いたらぼちぼち投下するスレ。

ぽかぽか陽気に、澄み切った空気。
青々とした木々が、風に揺れる。

うららかな春日和ですなぁ。

縁側でごろんと寝転びながら、そんなことを考える。

「凛、お茶が入りましたよ」

今日は海未ちゃん家でお勉強を教えて貰ってたんだけど。
疲れたし、あまりにも天気が良いものだから、ちょっと休憩。

「またそうやって寝転んで…本当に猫になってしまいますよ?」

冗談っぽく海未ちゃんは笑うけど、海未ちゃん家の飼い猫だったら喜んでなるにゃー。

「猫になったら、ラーメンも食べれなくなりますよ」

…それは嫌だなぁ。

でも、猫になって、ずっとこの縁側でごろごろ出来たら、すっごく幸せなんだろうけどなぁ。

ほっぺをぺたん、と板の間にくっつける。ひんやりして気持ちいい。

…暖かい日差しが眠気を誘う。

ふわふわ、ぽかぽか。お日様に包まれてるみたい。

「…おや、寝てしまいましたね」

2: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:20:29.56 ID:9Khi3BXT.net



んー… ちょっと寝ちゃったみたい。

頭の上の方で、ぺら、と、紙をめくる音が聞こえる。

顔をあげると、少し俯く海未ちゃんの顔。
背景には雲1つ無い青空と、新緑の木々たち。

青に映える海未ちゃんは、まるで女優さんみたいに綺麗。

「起きましたか。気持ち良さそうに寝てましたね」

縁側に腰掛ける海未ちゃんの膝には、1冊の本。

「ああ、これは、私が好きな作家の短編小説集です。最近、短編小説にハマっているんですよ。」

小説かぁ。凛は長い文章を読むの苦手だから…

「1話1話が短いから、本が嫌いな凛でも読みやすいと思いますよ。読み終わったら貸しましょうか?」

それなら、凛も大丈夫かも!海未ちゃんが読んだ小説を凛も読むなんて、頭が良くなったみたい!みんなに自慢しよっ。

「さて、凛も起きたことですし、勉強を再開しましょう」

えー…まだごろごろしてたいにゃー…

「今日は勉強をしに来たんでしょう!…それに、また来たいなら、いつでも寄って行って良いですから」

ちょっと気恥ずかしいのか、だんだん声が小さくなる海未ちゃん。
顔もなんだか赤くなってない?

3: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:22:14.26 ID:9Khi3BXT.net

「ほら!はやく起き上がって!お茶も飲んでしまって下さい。新しいのを淹れなおしますから」

そういえば、海未ちゃんが淹れてくれたお茶、飲むの忘れてた。

起き上がり、冷めてしまった緑茶を、ぐい、と流し込む。

冷たいのが体の中を流れて、ちょっと目が冴えたかも。

「…まぁ、今日は天気も良いですからね。凛がちゃんと勉強を終わらせたら、また休憩しましょう」

そのひとことに、やる気が燃え上がる。

「ふふ、その調子です。では、やる気があるうちに、凛が大嫌いな数学からやりましょうか」

ええー!す、数学は嫌だけど…

縁側でごろごろのために、頑張るにゃー!

奥の座敷に行く前に、ちら、と縁側の方を振り返る。

さわさわとそよぐ草木が、『がんばれ』と言ってくれてるみたい。

家の中を通り抜ける風も、背中を押してくれる。

次の休憩の時は、海未ちゃんの短編小説をちょっと読んでみようかな。

「うー、頑張るにゃー!!」

おわり

5: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:31:14.00 ID:O6l03/hN.net

うむ
4: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:27:57.89 ID:E+QGKr2O.net

もっと
6: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:44:39.54 ID:9Khi3BXT.net

穂乃果「猫を飼いたい」

穂乃果のお家はお饅頭屋さんをやってるんだ!
老舗和菓子屋、って言うのかな?
地域のみなさんにご愛顧いただいてますっ!

でも、そのおかげで、ペットは飼ったことないんだ…

穂乃果だって、犬とか猫とか飼いたいなぁ。

7: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:47:47.00 ID:9Khi3BXT.net

今日は部活も休みだから、お店番。

『穂乃果ちゃん可愛いから、お饅頭もう2つ買っちゃおうかな~?』なんて言ってくれる人も居るんだよ!えっへん。

…お客さんの大半は、おじいちゃんおばあちゃんなんだけどね。

でもでも、売り上げには貢献してるよね。
看板娘、ってやつですな。

8: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 13:52:48.60 ID:9Khi3BXT.net

「こんにちはー」

おっ、お客さん…って凛ちゃんと絵里ちゃん!?

「穂乃果ちゃん家のお饅頭買いにきたにゃー!」

「散歩をしてたら、凛にばったり会ってね。一緒に穂乃果の家のお饅頭を食べに行こうってなったのよ」

海未ちゃんやことりちゃんは昔からよく来てくれるけど、凛ちゃんと絵里ちゃんは珍しいなぁ。

うちのお店でこのメンバーって、ちょっと新鮮。

9: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 14:20:36.05 ID:9Khi3BXT.net

「凛は揚げ饅頭!」

「私も同じものにしようかしら」

揚げ饅頭はうちの看板商品。サックサクの衣に、上品な甘さのあんこが詰まった至高の逸品だよ!

「ここの席、良いかしら。ほら、凛も座って」

「穂乃果ちゃん家、ホント、老舗!って感じだよねー。オモムキがあるにゃ!」

目を輝かせながら興味津々に店を歩き回る凛ちゃん。

「もう、あまりウロウロしないの」

「はーい…」

とぼとぼと席に着く凛ちゃん。まるで、お母さんに叱られた小さい子どもみたい。

10: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 14:40:27.15 ID:9Khi3BXT.net

「うわー!おいしそうにゃー!」

揚げたての揚げ饅頭を目の前にして、今日1番目を輝かせる凛ちゃん。

「冷めないうちにいただきましょう」

「いただきまーす!」

言うが速いか、凛ちゃんが揚げ饅頭にがっつく。

「あっちちち!!」

…はは、そりゃそうなっちゃうよね。
涙目になって舌を出してる。ちょっと可愛いかも。

「もう…揚げたてなんだから、気をつけないと」

「猫舌なの、忘れてたにゃー」

「はいはい、熱かったわね」

絵里ちゃんが凛ちゃんの頭を優しくナデナデする。凛ちゃんは険しい表情を崩し、ふにゃっ、としている。

いいなぁ絵里ちゃん、私もナデナデしたいよぉ…

…こうして見ると、凛ちゃんって、子どもってより…

猫っぽいよね。口癖も『にゃー』だし。

11: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 15:12:13.47 ID:9Khi3BXT.net

穂乃果と凛ちゃんって、よく姉妹みたいって言われるけど、私が看板娘だとしたら、凛ちゃんは看板猫?

招き猫を置いとくと商売繁盛するって言うし、凛ちゃんがうちの看板娘になったら、もーっと売り上げあがるかな?

それに、凛ちゃんって猫っぽいから、穂乃果の「ペット飼いたい」欲求も満たせるし、良いことづくしじゃない??

一緒にこたつ入ってー、ごろごろしてー、凛ちゃんをナデナデしてー、猫じゃらしで遊んでー、たまにお散歩してー、夜は一緒の布団で寝るの!

「…穂乃果、顔がニヤけてるわよ」

はっ!つい、妄想に熱中しちゃった

「穂乃果ちゃん、何考えてたのかにゃー?」

…あなたをペットにする妄想をしていたなんて、口が裂けても言えません。

12: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 16:23:38.60 ID:O6l03/hN.net

もしかしてGODじゃね?二重の意味で
13: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 16:29:37.41 ID:z+k61gtE.net

公野先生こんなとこで何してはるんですか
14: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 16:31:57.76 ID:Eu+Ej8ru.net

「ごちそう様でした。美味しかったわ」

「ごちそう様!また明日、学校で会おうね!」

絵里ちゃんと凛ちゃんの背中を見送って、机の上の片付けをする。

「ただいまー。あ、お姉ちゃん、さっきそこで、絵里さんと凛さんを見かけたよ」

出掛けてた雪穂が帰ってきた。お土産は無いのかなぁ。

「凛さんってなんか猫みたいだよねー。年上だけど、愛でたくなる」

うむ…血は争えないな。

「へー、うちに饅頭食べに来たんだ。…あはは、凛さんをうちの招き猫にねー。あ、これお土産」

やったぁ!シュークリーム!ユッキー大好き!

「でも、うちはもうお姉ちゃんを飼ってるから、ペットは飼えないよ」

なんて失礼な妹。これでも私、看板娘なんだよ?
そんな妹は、こうだ!

「ちょっとお姉ちゃん!髪の毛ぐしゃぐしゃにしないでよ!」

お姉様に逆らった罰だよ。雪穂が恨めしそうに私を睨む。

15: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 16:42:41.38 ID:Eu+Ej8ru.net

昔からペット飼いたいなーって思ってたけど、やっぱりいいかな。

家には遊び相手のユッキーが居るし、学校に行けば猫ちゃん…もとい、凛ちゃんが居るし。

ー人間とは、無いものねだりをする生き物であるー
…お、ちょっとかっこいいぞ。私。

明日になったら、今日出来なかった分、凛ちゃんをいっぱいナデナデするんだから。

はやく明日にならないかなぁ。

おわり

16: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 17:34:37.94 ID:Eu+Ej8ru.net

希「みんなと居るあたたかさ」

最近、近くに足湯が出来たんやって。うち、温泉が好きやから、行かない訳にはいかんやん?
でも1人は寂しいなぁ…

絵里ちとにこっちでも誘ってみよ。

「足湯…名前は知ってるけど、実際に入ったことは無いわね」

「あー、近くに出来たとこでしょ?にこも妹たちを連れて行ってみようと思ってたのよ」

18: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 18:12:03.82 ID:Eu+Ej8ru.net

「へぇ…足だけ浸かる温泉…それって、本当に全身が温かくなるの?足だけって、上半身が寒そうだけど」

うちに疑いの目を向ける絵里ち。ふっふっふ。絵里ちは足湯を舐めとるね?

「にこは1回だけ、家族と行ったことがあるけど。足だけでも、ずっと入ってたら汗かくぐらい全身が温まるんだから!」

「ハラショー…足だけなら気軽に浸かれるし、良いわね」

お、絵里ちも乗り気になってくれた。
んー、楽しみやなぁ♪

21: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 19:34:43.84 ID:Eu+Ej8ru.net

「いい!?足湯に入りに行くんだから、タイツやストッキングを履いてきちゃ駄目よ!捲り上げにくいズボンなんかも!タオルも忘れず持って来るのよ!」

にこっち張り切ってんなぁ。家族旅行に行く前の、肝っ玉かあさんみたいやん。

「足湯に入るには、心構えが必要なのね…!」

うーん、そんな気い張って入りに行くようなもんでも無いんやけどな。

22: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 21:21:45.34 ID:Eu+Ej8ru.net



うぅ、さぶい。外は風が冷たい。
はやくあったまりたいなぁ。

「これが足湯…本当に足だけなのね!ここに座って足を浸けるの?」

きらきらと目を輝かせる絵里ち。
昔、おもちゃの手裏剣をあげた時も、こんな顔してたっけ。

ちょうど、うちら以外に人は居ない。分かりにくい場所にあるもんな。

「ちゃんとズボンやスカートをあげるのよ!裾が濡れちゃうから」

にこっちお母さんは今日も張り切っとるな。

うちを挟んで、絵里とにこっちが椅子に腰掛ける。両手に花やんな♪

「寒いから、はやく浸かりたいわ!…あっつ!」

あーあー…絵里ちたら…こういうのは、ゆっくり…あっつ!!
予想以外にあっついわ!茹でる気ちゃうん!?

「あんたら、全然駄目ね!こういうのは、一気に突っ込むのよ!」

そう言って、勢い良く両足を足湯に浸けるにこっち。

「ゔぉぉ…」

アイドルらしからぬ声が出とるよ、にこっち…。

「ハラショー!にこ、凄いわ!」

「あ、当たり前よ…最初は熱いけど、だんだん…慣れてくるから…気持ちいいわよ…」

そんな険しい顔で言われても、説得力無いで…。

23: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 21:38:39.27 ID:Eu+Ej8ru.net



「ふぅ…やっと足を全部漬けることができたわ…」

はー、やっぱり気持ちえーなー。

「それにしても、何故足だけなのかしら。普通に温泉に入れば良いのに」

絵里ちは分かってないなぁ。足湯は、服を脱がずに気軽に入れるし、内蔵にも負担が少ないんやで!

「何より、タダで入れるしね」

お金が無い学生にとって、最高のアクティビティやね!

「確かに、無料で入れるのはありがたいわね。でも…まだ入ったばかりだから、上半身が寒いわ…」

足は温泉に浸かってるけど、上半身は野ざらしやもんな。
…じゃあ、こうしたらあったかくなるんやない?

「うわぁっ」

「きゃっ」

両脇の絵里ちとにこっちを、ぎゅっと抱き寄せる。身体があったまるまで、3人でぎゅーってしとこ?♪

「の、希、恥ずかしいわよ…!」

「んー!離しなさいよ希!」

うちら以外に誰もおらんし、大丈夫やて♪
…あ、にこっちは胸に埋れて苦しそうにしとる。

25: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 22:41:22.69 ID:Eu+Ej8ru.net

「…たまには、こういう風にゆっくりするのも良いわね。絵里と希と3人で出掛ける機会も、あんまり無かったし」

「そうね。今日は、誘ってくれてありがとう。希」

な、なんかそんなに素直に感謝されたら照れるやん?
あー、顔が火照ってきたわー。足湯の効果が出てきたんかな。

温泉には足しか浸かってへんのに、身体がぽかぽかする。

「また何かあったら誘いなさいよ。希も、絵里も」

今日は、絵里ちとにこっちを誘って本当に良かった。

身体もぽかぽか。…心もぽかぽか。

「ねぇ、今度はみんなで温泉に行かない?私、露天風呂に入りたいわ」

「良いわね!練習が無い日にでも行きたいわね。それにしても、絵里って意外と温泉好きなのね」

温泉かぁ…みんなの成長度合いを見れるチャンスやんな。

「希!あんた、今イヤらしいこと考えたでしょ!」

べっつに~♪

1人でお風呂に入るんも好きやけど、みんなで入るのも大好き。

だって、身体も心もぽかぽかできて、一石二鳥やん?

「はぁ…こんなに気持ち良かったら、足湯から出たくなくなるわね」

絵里ちが珍しく、ぽわーんとした顔をしている。キリッとした絵里ちも好きやけど、完全オフの絵里ちも好きやよ♪

「あんまり入ったら足がふにゃふにゃになるから、ほどほどにしないとね」

いつもはおどけてるけど、しっかり者で仲間思いのにこっち。からかったりするけど、本当は感謝しとるんよ?

…いつまでも、この3人で浸かっていられたら良いのになぁ。

のぼせるくらいに。

おわり

27: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 23:51:23.77 ID:Eu+Ej8ru.net

海未「波打ち際に、ひとり」

ざざん、ざざん、と波の音

橙色の地平線が、太陽を飲み込んでいきます

きらきら、きらきら、と水面に遊ぶ光は無邪気

紺、紫、橙のコントラストの空は、今にも私を押し潰してしまいそう

海の上を飛ぶ鳥たちも、太陽を追って消えていきます

波打ち際に、ひとり。ぽつねんと私が残される

足元の石をひとつ、太陽に向かって投げてみた

ぽちゃん、と間の抜けた音を立て、水面に波紋を作るだけ

太陽には届くはずもなくて

もうすぐ、遊んでいた光たちも帰っていきます

潮風が奏でるメロディも、空に吸い込まれていきます

私はひとり、全てを見送って立ち尽くすのでした

おわり

28: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 13:43:50.93 ID:WWbm/jSN.net

絵里「春と綿毛」

寒さも和らぎ、春めいてきた今日この頃。
ちょっと散歩にでも行ってみましょうか。

玄関を開けると、春風がひと吹き。

あたたか陽気を胸いっぱいに吸い込み、外へと踏み出す。
とくにあても無いけど、とりあえず歩いてみましょう。

ふと足元を見ると、可愛い黄色のタンポポ。
まるで小さい太陽みたい。

「絵里ちゃん?」

後ろから私を呼ぶ声。振り返ると、四角いバスケットを持った花陽。
どこかへお出掛けかしら。

「えへへ…今日は天気が良いから、ピクニックに行こうかと」

ピクニック…確かに、今日はピクニック日和ね。

「凛ちゃんと2人で行こうと思ってたんですが、絵里ちゃんも一緒にどうですか?」

花陽からお誘いなんて、珍しいわね。せっかくだし、ご一緒して良いかしら。

「やったぁ!絵里ちゃんとお出掛けなんてなかなか無いから、花陽、嬉しいですっ!」

ぱあぁっと満面の笑みを咲かせた花陽は、たたたっ、と走り出した。

「私と凛ちゃんがいつも行く河川敷があるんです。きっと絵里ちゃんも気に入ると思います!」

30: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 14:14:29.29 ID:WWbm/jSN.net



花陽に引っ張られて連れて来られたのは、広い河川敷。
川の流れは穏やかで、まるで時間の流れもゆっくりになったよう。

青い土手では、春の花たちが楽しげに揺れている。

近くにこんな素敵な場所があったなんて、知らなかった。
花陽に感謝しなくっちゃね。

「凛ちゃんとはここで待ち合わせてるんで、もうすぐ来ると思います!ふふ、絵里ちゃんが居るなんて、凛ちゃんびっくりするだろうなぁ」

花陽は、好きなものの話をする時は、本当に目が輝くのね。凛とか、アイドルとか、ご飯とか。

「よいしょ…今日はおにぎりを作ってきたんです!いっぱい作ってきたんで、絵里ちゃんも食べて下さい!」

バスケットには、おにぎりが入ってたのね。…結構大きいけど、どれだけ作ってきたのかしら。

31: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 16:59:39.18 ID:WWbm/jSN.net

「…あのね、絵里ちゃん。」

もじもじしながら、花陽が喋り出す。

「私、絵里ちゃんのこと、すごく尊敬してるんです。スタイルも良くて、ダンスも上手いし、頭も良いし、かっこいいし」

そんなに褒められると、流石に照れるわね。

「だから、その、私…絵里ちゃんのことが大好きなんです!」

顔を真っ赤にして叫ぶ花陽も可愛いわ。
…って…え、大好き!?こ、これは、告白というやつかしら…?花陽、いきなり大胆すぎじゃないの?

「えへへ、言っちゃった…」

どうしようかしら。落ち着くのよ、私。女の子が女の子に告白するのは、稀にあると聞くわ。…いや、まさか花陽が…

「前から思ってたんですけど、絵里ちゃんと2人で話す機会が無くて。これからも、私の自慢の先輩で居て下さい♪」

…ああ、これは『先輩』としての『大好き』なのね。何を勘違いしてたのかしら私。

「…あれ、絵里ちゃん顔赤くないですか?…もしかして、照れてる?可愛いっ!」

照れてるとはまた違うのだけれど。まぁ、そういうことにしときましょう。

32: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 18:05:07.83 ID:tvC8CGVJ.net

えりぱなとは…
ごちそうです
33: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 22:03:36.98 ID:WWbm/jSN.net

「あ、絵里ちゃん見て下さい!タンポポが咲いてます!」

この河川敷は日当たりが良いからか、すごく大きな花を咲かせている。
太陽の光をいっぱい浴びてきたのね。

「こっちのはもう綿毛になってますね」

綿毛のタンポポを摘むと、花陽は、ふぅーっと息を吹きかけた。
ほっぺを膨らませる花陽の横顔は、すごく愛らしい。

飛ばされた綿毛が春風に乗って、ふわふわと空へと舞い上がる。

あの綿毛たちは、どこに行くのだろう。
新しい土地が、日当たりが良いところだったらいいのだけれど。

「あ!かよちん見つけたー!…と、絵里ちゃん!?」

「来る途中に偶然会ったから、誘ったの」

「そうなんだ!絵里ちゃんとピクニック~♪嬉しいにゃ!…かよちんそれ、タンポポ?」

ぴょんぴょん跳ねる凛の目にとまったのは、タンポポの綿毛。

34: 名無しで叶える物語(茸)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 22:03:47.84 ID:WWbm/jSN.net

「凛もやる!絵里ちゃんも飛ばそう!誰の綿毛が1番遠くに行くか競争にゃー!」

タンポポの綿毛を飛ばすなんて、何年ぶりかしら。
3人で、空に向かってタンポポの綿毛を飛ばす。
空に舞う白い綿毛が、まるで雪みたい。

「わぁ…なんだか、雪みたい」

ぽそり、と花陽が呟く。ふふ、同じこと考えてるわね。

「春に降る雪…なんだか、ロマンチックにゃー…」

ぐぅー、とお腹の音。

「にゃはは…走ってきたから、お腹空いちゃったにゃ」

もう、凛ったら。ロマンチストなのか何なのか、分からないわね。

「おにぎりいっぱい作ってきたから食べよ!」

「やったー!かよちんのおにぎり大好き!」

花より団子…いや、花よりおにぎりね。

タンポポを見ながらおにぎりを食べるのも、お花見に入るのかしら?

「もー、凛ちゃんたら」

「えへへー」

川の流れは穏やかで、時間の流れも穏やかで。
春の訪れって、こんなにも幸せなものだったのね。

今度、花陽にも私のとっておきの場所、教えてあげなくっちゃね。

おわり

35: 名無しで叶える物語(舞妓 どすえ)@\(^o^)/ 2015/03/06(金) 23:42:01.11 ID:PU6Z79fg.net

いいね!
26: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/03/05(木) 23:29:53.38 ID:z+k61gtE.net

乙乙
いい話やん